JP4846093B2 - 金属含有共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属含有樹脂を用いた防汚塗料組成物に関するものであり、より詳しくは、水中構築物、漁網、船底への海中生物および海藻類の付着を防止する塗膜を形成させることができる防汚性塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
浸水部分の腐食や航行速度低下の原因となる、フジツボ、フナクイムシ、藻類等の海中生物の付着防止を目的として、海洋構造物や船舶には、従来からロジン系や有機錫系の防汚塗料が塗装されている。また、養殖用の網においても、海中生物の付着による魚介類の致死防止等の目的で同様な防汚塗料が塗装されている。
【0003】
ロジン系の防汚塗料から形成される塗膜は、これに含まれるロジン系化合物や防汚成分が海中に溶出することによって防汚効果を発揮するものである。しかし、このような塗膜は、長時間にわたって海中に浸漬されていると、徐々に溶出分が少なくなって不溶出分が多くなるとともに塗膜面が凹凸状となるために、そのため海中生物等の生物の付着防止効果が著しく低下する傾向にある。一方、有機錫系の防汚塗料から形成される塗膜は、塗膜表面が徐々に溶解して表面更新し、塗膜表面に常に防汚成分が露出すること(自己研磨)により、長期の防汚効果が発揮されるものである。しかし、有機錫の有する強い毒性が魚介類に対して悪影響を及ぼすことが懸念されており、有機錫を含有しない塗料が検討されている。
【0004】
例えば、有機珪素エステルが側鎖に導入された有機珪素含有共重合体を用いた防汚塗料や、錫以外の金属を含有する共重合体を用いた防汚塗料が提案されており、中でも、錫以外の金属を含有する共重合体を用いたものが、防汚効果が高く、かつ比較的低コストである点から注目されている。
【0005】
特開昭62−57464号公報には、特定の一価の有機酸と銅、亜鉛またはテルルとの金属塩部分を有する単量体を重合して得られる樹脂を用いた自己研磨型防汚塗料組成物が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする手段】
しかし、特開昭62−57464号公報に記載されている防汚塗料組成物においては、上述の一価の有機酸との金属塩部分を有する単量体を製造後、これを単離精製して重合しているが、このような単量体を単離精製するのは工業上非常に困難であり、高コストとなるので好ましくない。また、このようにして得られた金属含有樹脂を使用した防汚塗料は、自己研磨の安定性が悪く、長期の防汚性が不充分であった。
【0007】
本発明は、これら問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、生産性に優れ、海中での優れた防汚効果を長期間発揮する自己研磨型防汚塗料組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定のラジカル重合性単量体を原料とする金属含有共重合体を含有する防汚塗料組成物が、上記課題を解決することを見い出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、2価の金属を用いた無機金属化合物、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体、および2価の金属を用いた無機金属化合物に対して0.01〜0.95倍モルの非重合性有機酸とを少なくともアルコール系化合物を含む有機溶剤中で反応して、ラジカル重合性単量体(A)を得、該ラジカル重合性単量体(A)と、その他のラジカル重合性単量体(B)とを共重合する金属含有共重合体の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記のラジカル重合性単量体(A)を原料とすることによって、一般的な有機溶剤に可溶であり、かつ、加水分解性の安定した金属含有共重合体を得ることができ、これを防汚塗料用ビヒクルとして使用することによって、得られる塗膜に高い自己研磨性を長期間付与し、優れた防汚効果を発揮させることができるものである。
【0011】
ラジカル重合性単量体(A)は、無機金属化合物、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体、および非重合性有機酸とを有機溶剤中で反応して得られるものであり、無機金属化合物が、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体および/または非重合性有機酸と反応して金属塩を形成するものである。反応温度は、原料や得られる金属塩の分解温度以下であれば特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜選択することができる。
【0012】
ラジカル重合性単量体(A)の製造に際しては、非重合性有機酸の使用量を無機金属化合物に対して0.01〜0.95倍モルの範囲とする必要があり、有機溶剤としては、少なくともアルコール系化合物を含むものを使用する必要がある。
【0013】
これは、非重合性有機酸の使用量が0.01倍モル未満であると、(B)成分と共重合しにくい固体の反応物が生成するとともに、得られる防汚塗料の長期の自己研磨性や耐クラック性が低下する傾向にあり、0.95倍モルを超えると、得られる防汚塗料の長期の防汚性能が低位となる傾向にあるためである。より好ましい非重合性有機酸の使用量の下限値は、0.3倍モルであり、より好ましい非重合性有機酸の使用量の上限値は、0.7倍モルである。
【0014】
また、これは、有機溶剤としてアルコール系化合物を含まないものを使用すると、ラジカル重合性単量体(A)の製造中に溶液が流動性を失い固化しやすくなる傾向にあるためである。
【0015】
有機溶剤中には、アルコール系化合物を5〜100質量%以上含有させるのが好ましい。これは、アルコール系化合物の使用量を5質量%以上とすることによって、反応生成物の溶剤への溶解性が向上し、ラジカル重合性単量体(A)を安定に製造することができるとともに、得られるラジカル重合性単量体(A)溶液の貯蔵安定性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは25〜100質量%の範囲である。アルコール系化合物としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0016】
ラジカル重合性単量体(A)の原料である無機金属化合物は、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体や非重合性有機酸と反応して金属塩を形成するものである。
【0017】
2価の金属を用いた無機金属化合物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化第二銅、酸化マグネシウム、酸化マンガン等の酸化物、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化第二銅、水酸化マグネシウム等の水酸化物、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化第二銅、水酸化マグネシウム等の塩化物等を挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではなく、カルボキシル基と反応して金属塩を形成するものであれば、1種あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0018】
無機金属化合物中の金属としては、樹脂製造時の作り易さの点から、二価の金属であることが好ましく、さらに、有機溶剤への溶解性の点から、亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムが好ましい。
【0019】
中でも、亜鉛やマグネシウムを用いると、得られる金属含有樹脂の透明性が高いため、塗装された防汚塗膜の色調が美しくなる傾向にあり、また、有機溶剤への溶解性が高いため取り扱いやすく、塗料製造時や塗装時の作業性が良好となる傾向にあり、より好ましい。さらに、亜鉛は、樹脂の耐水性を向上させる傾向にあり、特に好ましい。なお、銅を使用する場合は、アクリル系単量体等のラジカル重合性単量体(B)との共重合性を向上させるために亜鉛を併用するのが好ましい。
【0020】
ラジカル重合性単量体(A)の原料であるカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸モノアルキル(例えば、メチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル等)、マレイン酸モノアルキル(例えば、メチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル等)等が挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができるが、得られるラジカル重合性単量体(A)溶液の貯蔵安定性やコストの点で、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0021】
ラジカル重合性単量体(A)の原料である非重合性有機酸としては、例えば、酢酸、モノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、バーサチック酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、クレソチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸、リシノール酸、リシノエライジン酸、ブラシジン酸、エルカ酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、安息香酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、キノリンカルボン酸、ニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、プルビン酸等が挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができるが、得られる塗料塗膜の耐クラック性・耐剥離性等の物性の点からバーサチック酸やオレイン酸が好ましい。
【0022】
ラジカル重合性単量体(A)の製造時に用いられる有機溶剤としては、必須成分として用いられるアルコール系化合物とともに、必要に応じて、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤を混合して使用することができる。
【0023】
ラジカル重合性単量体(A)と有機溶剤との混合溶液中に含まれる金属の含有量は、金属の種類によって異なるが、0.1〜60質量%の範囲であることが好ましい。これは、含有量を0.1質量%以上とすることによって、金属含有共重合体を重合する際の作業性が良くなるとともに、金属含有共重合体中の金属量を上げることが可能となる傾向にあるためである。より好ましくは3質量%以上である。また、含有量を60質量%以下とすることによって、得られる金属含有共重合体の有機溶剤への溶解性が良好となり、金属含有共重合体溶液の固形分を上げることが可能となる傾向にあるためである。より好ましくは、25質量%以下である。
【0024】
ラジカル重合性単量体(A)の原料組成は、例えば無機金属化合物として、二価の金属を有する化合物を用いる場合、無機金属化合物のモル数と、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体と非重合性有機酸の合計モル数との比率が、1:2付近となるようにするのが好ましい。このような比率とすることによって、得られる防汚塗料の貯蔵安定性が良好となるとともに、塗膜の耐水性が良好となる傾向にあるためである。
【0025】
本発明の防汚塗料組成物で使用される金属含有共重合体は、以上説明したラジカル重合性単量体(A)と、その他のラジカル重合性単量体(B)とを共重合させて得られるものである。
【0026】
本発明で用いられる(A)成分と(B)成分の比率は、(A)成分と(B)成分の合計100質量%に対して、(A)成分が10〜80質量%の範囲であることが好ましい。これは、10質量%以上とすることによって、形成される塗膜に適度な自己研磨性が付与される傾向にあるためである。より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上である。また、84質量%以下とすることによって、得られる塗膜の耐クラック性や加水分解性等の諸特性のバランスを整えることができる傾向にあるためである。より好ましくは60質量%以下であり、特に好ましくは40質量%以下である。
【0027】
本発明で使用できる(B)成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトンまたはε−カプロラクトン等との付加物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の二量体または三量体;グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基を複数有する単量体;ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等の第一級および第二級アミノ基含有ビニル単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基含有ビニル単量体;ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環族系塩基性単量体等;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体を挙げることができる。なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。
【0028】
本発明において金属含有共重合体を防汚塗料として使用する場合、共重合体中の金属含有量は0.5〜25質量%の範囲とすることが好ましい。これは、0.5質量%以上とすることによって、形成される塗膜の自己研磨性が発現される傾向にあるためである。より好ましくは1質量%以上である。また、25質量%以下とすることによって、耐クラック性と加水分解性のバランスを向上させる効果が顕著となり、長期の自己研磨性を維持し、防汚効果が向上する傾向にある。より好ましくは10質量%以下である。
【0029】
本発明の金属含有共重合体を防汚塗料として使用する場合の共重合体の重量平均分子量は1000〜20000が好ましい。これは、重量平均分子量を1000以上とすることによって、耐クラック性を発現することができる傾向にあるためである。より好ましくは3000以上である。また、重量平均分子量を20000以下とすることによって、得られる防汚塗料組成物の溶液粘度を低減し、共重合体間の過剰な金属架橋によるゲル化を抑えることができる傾向にあるためである。より好ましくは、10000以下である。
【0030】
本発明のビヒクル成分として使用される共重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記の単量体を混合し、この混合物をラジカル開始剤の存在下に60〜180℃の反応温度で5〜14時間反応させることによって製造することができる。また、共重合体中の金属含有量の増加や、ハイソリッド化や生産性の向上や、重合時のカレットの生成抑制を目的として、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、金属含有重合性モノマーとの相溶性の点から、メルカプタン以外の化合物が好ましく、スチレンダイマー等が好ましい。重合方法は、有機溶剤中で行う溶液重合法のほかに、乳化重合法、懸濁重合法等が採用できるが、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノール等の一般の有機溶剤を用いる溶液重合方法を採用するのが生産性、塗装性能の点で有利である。
【0031】
本発明の防汚塗料組成物に、例えば、防汚剤を配合することによって、防汚性能をさらに向上した防汚塗料を得ることができる
【0032】
防汚剤としては、要求性能に応じて適宜選択して使用することができる。例えば、亜酸化銅、チオシアン銅、銅粉末等の銅系防汚剤を始め、鉛、亜鉛、ニッケル等その他の金属化合物、ジフェニルアミン等のアミン誘導体、ニトリル化合物、ベンゾチアゾール系化合物、マレイミド系化合物、ピリジン系化合物等が挙げられる。これらは、単独あるいは複数で使用することができる。特に(社)日本造船工業会等によって、調査研究の対象とされ選定されたものが好ましく、具体的には、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクジメチルジチオカーバメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6,テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバメイ−ト、ロダン銅、4,5−ジクロロ−2−nオクチル−3(2H)イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、Cu−10%Ni個溶合金、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメイ−ト、ジヨードメチルパラトリスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール、ピリジン−トリフェニルボラン等を挙げることができる。
【0033】
本発明の防汚塗料組成物には、その他、塗膜表面に潤滑性を付与し、生物の付着を防止する目的でジメチルポリシロキサン、シリコーンオイル等のシリコン化合物やフッ化炭素等の含フッ素化合物等も配合することができる。さらに、体質顔料、着色顔料、可塑剤、各種塗料用添加剤、その他の樹脂等を必要に応じて配合することができる。
【0034】
本発明の防汚塗料組成物から得られる防汚塗料中における共重合体の割合は特に限定されないが、固形分として通常15〜25質量%の範囲とするのが好ましい。これは固形分をこの範囲とすることによって、自己研磨性や耐クラック性等の塗膜性能が保持させるととも、優れた防汚能力を保持させるのに充分な量の防汚剤を防汚塗料中に配合させることが容易になる傾向にあるためである。
【0035】
本発明の防汚塗料組成物を用いて塗膜を形成するには、上記した防汚塗料組成物から得られる防汚塗料を船舶、各種漁網、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造物等の基材表面に直接に、もしくは基材にウオッシュプライマー、塩化ゴム系、エポキシ系等のプライマー、中塗り塗料等を塗布した塗膜の上に刷毛塗り、吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の手段で塗布する。
塗布量は、一般的には乾燥塗膜として50〜400μmの厚さになるような量である。塗膜の乾燥は一般的には室温で行われるが、加熱乾燥を行っても差し支えない。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、例中の部は質量部を表す。
【0037】
[製造例M1]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)72.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸30.1部、アクリル酸25.2部、バーサチック酸51.6部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後PGMを11部添加して透明なラジカル重合性単量体溶液M1を得た。固形分は59.6%であった。
【0038】
[製造例M2]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)80部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸38.7部、アクリル酸32.4部、バーサチック酸17.2部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後PGMを31部添加して透明なラジカル重合性単量体溶液M2を得た。固形分は49.7%であった。
【0039】
[製造例M3]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン60部、PGM(プロピレングリコールメチルエーテル)13部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸34.4部、アクリル酸28.8部、オレイン酸56.5部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後キシレン93部、PGMを52部添加して透明なラジカル重合性単量体溶液M3を得た。固形分は39.7%であった。
【0040】
[製造例M4]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン60部、PGM(プロピレングリコールメチルエーテル)13部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸32.3部、アクリル酸27部、オレイン酸37.7部、酢酸2.3部、プロピオン酸5.8部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後キシレン77部、PGMを46部添加して透明なラジカル重合性単量体溶液M4を得た。固形分は39.6%であった。
【0041】
[製造例M5]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)75.8部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸21.5部、アクリル酸18部、バーサチック酸86部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後PGMを20部添加して透明なラジカル重合性単量体溶液M5を得た。固形分は59.8%であった。
【0042】
[製造例M6]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)72.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸42.8部、アクリル酸36部、バーサチック酸0.43部からなる混合物を3時間で等速滴下しようとしたところ、滴下2時間の時点で急激に乳白状体の反応溶液が固化し、攪拌できなくなった。
【0043】
[製造例M7]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン72.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸30.1部、アクリル酸25.2部、バーサチック酸51.6部からなる混合物を3時間で等速滴下しようとしたところ、滴下30分後に反応溶液中に分散している酸化亜鉛が凝集しはじめ滴下1時間後には固化して攪拌できなくなった。
【0044】
[製造例P1]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)10部およびキシレン63部およびエチルアクリレート3部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート9部、エチルアクリレート58部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物50.3部、PGM10部、AMBN5部からなるからなる透明な混合物を4時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを12部添加して、加熱残分44.9%、ガードナー粘度+Tを有する淡黄色透明な金属含有樹脂P1を得た。得られた樹脂溶液中には不溶解物等のカレットの生成は全く見られなかった。
【0045】
[製造例P2]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)10部およびキシレン67部およびエチルアクリレート3部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート11部、エチルアクリレート51部、2−メトキシエチルアクリレート5部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物50.3部、PGM10部、AMBN5部からなるからなる透明な混合物を4時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、加熱残分45.3%、ガードナー粘度+Vを有する淡黄色透明な金属含有樹脂P2を得た。得られた樹脂溶液中には不溶解物等のカレットの生成は全く見られなかった。
【0046】
[製造例P3]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)10部およびキシレン62部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート6部、エチルアクリレート40部、2−メトキシエチルアクリレート15部、製造例M2記載の金属含有モノマー混合物70.4部、AMBN7部からなるからなる透明な混合物を4時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、加熱残分45.1%、ガードナー粘度−Nを有する淡黄色透明な金属含有樹脂P3を得た。得られた樹脂溶液中には不溶解物等のカレットの生成は全く見られなかった。
【0047】
[製造例P4]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)29.5部およびキシレン34部およびエチルアクリレート2部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート11部、エチルアクリレート53部、2−メトキシエチルアクリレート5部、製造例M3記載の金属含有モノマー混合物73部、AIBN2.5、AMBN2.5部からなるからなる透明な混合物を4時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、加熱残分45.2%、ガードナー粘度+Uを有する淡黄色透明な金属含有樹脂P4を得た。得られた樹脂溶液中には不溶解物等のカレットの生成は全く見られなかった。
【0048】
[製造例P5]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)27.3部およびキシレン44.9部およびエチルアクリレート2部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート16.2部、エチルアクリレート58.6部、製造例M4記載の金属含有モノマー混合物60.1部、AIBN2.5、AMBN1.5部からなるからなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、加熱残分45.4%、ガードナー粘度+Rを有する淡黄色透明な金属含有樹脂P5を得た。得られた樹脂溶液中には不溶解物等のカレットの生成は全く見られなかった。
【0049】
[製造例P6]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)10部およびキシレン60.2部およびエチルアクリレート3部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート10部、エチルアクリレート46.8部、製造例M5記載の金属含有モノマー混合物67.2部、PGM10部、AIBN3部からなるからなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、加熱残分45.1%、ガードナー粘度−Xを有する淡黄色透明な金属含有樹脂P6を得た。得られた樹脂溶液中には不溶解物等のカレットの生成は全く見られなかった。
【0050】
表1に製造例M1〜M7の金属含有モノマー混合物の仕込み量(モル比)、金属含有モノマー混合物中の溶剤量および有機酸の含有量(質量%)、金属含有モノマー混合物の固形分、金属含有量(計算値)を記載した。
【0051】
【表1】
Figure 0004846093
【0052】
表2にM1〜M5の単量体溶液の貯蔵安定性試験結果を記載した。
【0053】
【表2】
Figure 0004846093
【0054】
表3に製造例P1〜P6の金属含有樹脂組成物の仕込み量(質量比)、得られた樹脂組成物の粘度(ガードナー)、固形分(%)および樹脂の分子量(Mw)、樹脂中の金属量(計算値)を記載した。
【0055】
【表3】
Figure 0004846093
【0056】
分子量は、HLC−8120GPCによる金属含有樹脂の分子量をTSK−gel αタイプ(α−M)2本を用いて20mM LiBrを添加したDMF溶離液で測定した。重量平均分子量は、ポリスチレン換算として求めた。
【0057】
次いで、このようにして得られた共重合体溶液P1〜P5を用いて、表4に示す配合割合により本発明の防汚性塗料(実施例1〜5)を調製した。また、共重合体溶液P6を用いて、表4に示す配合割合により比較例1の防汚性塗料を調製した。
【0058】
【表4】
Figure 0004846093
【0059】
ついで、上記の各防汚塗料を用いて、下記の内容で塗膜の消耗度試験、防汚性試験、耐クラック・耐剥離性試験を行った。
【0060】
(1)塗膜の消耗度試験
各防汚性塗料を、それぞれ50×50×2mm(厚さ)の硬質塩化ビニル板に、乾燥膜厚240μmになるようにアプリケーターで塗布し、海水に設置した回転ドラムに取り付け、周速15ノットで回転させて、3カ月間毎の消耗膜厚を測定した。その結果を表5に示した。
【0061】
【表5】
Figure 0004846093
【0062】
(2)防汚性試験
各防汚性塗料を、あらかじめ防錆塗料を塗布してあるサンドブラスト鋼板に、乾燥膜厚が240μmになるように塗布して試験板を作成し、広島県広島湾内で36カ月間静置浸漬し、6カ月毎に付着性物の付着面積(%)を調べた。その結果を表6に示した。
【0063】
【表6】
Figure 0004846093
【0064】
(3)クラック・剥離性試験
下記の基盤(1)、基盤(2)上に、それぞれ実施例1〜5と比較例1の防汚性塗料組成物を乾燥膜厚が240μmになるように塗布して試験板▲1▼、▲2▼を作成した。試験板▲2▼は、基盤(2)を作成する際に塗布した防汚塗料と同一のものを塗装した。
基盤(1):あらかじめ防錆塗料を塗布してあるサンドブラスト鋼板からなる基盤
基盤(2):実施例1〜5と比較例1の防汚性塗料組成物による膜厚240μmの塗膜をそれぞれ基盤(1)上に形成させたものに、滅菌濾過海水中に3ヶ月間浸漬した後、室温で1週間乾燥して得られる基盤
【0065】
上記▲1▼、▲2▼の試験板を、滅菌濾過海水中に24カ月間浸漬し、6ヶ月毎に海水中から取り出した試験板を温度20℃の室温で1週間乾燥し、塗膜のクラック・剥離状況を観察した。クラックおよび剥離が全くないものを○、クラックがわずかに生じているもの△、クラックが全面に生じている、あるいは剥離が生じているものを×と表示した。その結果を表7に示した。
【0066】
【表7】
Figure 0004846093
【0067】
共重合体P1〜P5を用いた本発明の防汚塗料組成物(実施例1〜5)は、長期の自己研磨性と優れた防汚性能を示し、さらに、耐クラック性や耐剥離性が優れており、リコート性が良好であった。
【0068】
一方、(A)成分製造時の非重合性有機酸の使用量が過剰である比較例1については、自己研磨性や防汚性が初期において見られるが、経時的に性能が低下した。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明で規定する特定のラジカル重合性単量体を原料とする金属含有共重合体は、生産性に優れるとともに、海中での優れた防汚効果を長期間発揮する自己研磨型防汚塗料組成物を提供することができるものであり、工業上非常に有益なものである。

Claims (3)

  1. 2価の金属を用いた無機金属化合物、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体、および2価の金属を用いた無機金属化合物に対して0.01〜0.95倍モルの非重合性有機酸とを少なくともアルコール系化合物を含む有機溶剤中で反応して、ラジカル重合性単量体(A)を得、該ラジカル重合性単量体(A)と、その他のラジカル重合性単量体(B)とを共重合する防汚塗料用金属含有共重合体の製造方法。
  2. 有機溶剤が、アルコール系化合物を5〜100質量%含有することを特徴とする、請求項1記載の防汚塗料用金属含有共重合体の製造方法。
  3. ラジカル重合性単量体(A)が、2価の亜鉛、銅あるいはマグネシウムの酸化物、水酸化物あるいは塩化物と、(メタ)アクリル酸と、非重合性有機酸との反応物であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の防汚塗料用金属含有共重合体の製造方法。
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