JP4846077B2 - プラズマディスプレイ基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光体ペーストおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す)基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDPは、液晶ディスプレイに比べて高速の表示が可能であり、かつ大型化が容易であることから、OA機器および広報表示装置などの分野に浸透している。また、高品位テレビジョンの分野などの進展が非常に期待されている。
【0003】
このような用途の拡大に伴って、精細で多数の表示セルを有するカラーPDPが注目されている。PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に設けられた放電空間内で対向するアノードおよびカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、この放電空間内に封入されているガスから発生する紫外線を放電空間内に設けた蛍光体にあてることにより表示を行うものである。この場合、放電の広がりを一定領域におさえ、表示を規定のセル内で行わせると同時に、かつ均一な放電空間を確保するために隔壁(障壁、リブともいう)が設けられている。
【0004】
これらの隔壁はストライプ状に形成されることが多いが、そのサイズ(線幅、高さ、ピッチ)はPDPの性能により異なる。PDPを高精細化するため、つまり一定の画面サイズで画素の数を増やすためには、1画素の大きさを小さくする必要がある。この場合、隔壁間のピッチを小さくする必要があるが、ピッチを小さくすると放電空間が小さくなり、また、蛍光体の塗布面積が小さくなることから、輝度が低下する。具体的には、42インチのハイビジョンテレビ(1920×1035画素)や23インチのOAモニター(XGA:1024×768画素)を実現しようとすると、画素のサイズを450μmの大きさにする必要があり、各色を仕切る隔壁はピッチ150μmで形成する必要がある。この場合、隔壁の線幅が大きいと放電空間を十分に確保できず蛍光体の塗布面積が小さくなることによつて輝度を向上することが困難になる。このようなことから、高精細用の隔壁は、ストライプ状で、そのサイズは、線幅15〜50μm、高さ60〜170μm、ピッチ100〜250μmを有するものが用いられる。
【0005】
隔壁は通常背面板に形成され、その隔壁で形成されたセル間にそれぞれ赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のカラー表示を行うために蛍光体層が形成されている。これらの蛍光体層の形成は、従来から蛍光体ペーストを用いたスクリーン印刷法で行われてきた。すなわち、赤色発光蛍光体ペースト、緑色発光蛍光体ペーストおよび青色発光蛍光体ペーストを、それぞれスクリーン印刷版を用いて隔壁間(セル)に塗布し、乾燥する工程を順次繰り返していた。
【0006】
蛍光体の塗布技術はプラズマディスプレイの品質を左右する要素技術である。蛍光体ペーストは高輝度化のためにセルの底部のみでなく、隔壁の側面にも塗布されるように工夫されてきた。さらに画面のムラをなくするには安定した均一塗布が必要である。このため隔壁との位置精度やペーストのレオロジーなどが重要である。この場合、スクリーン印刷版はフラットな面に接するのではなく、隔壁頂部に支えられた状態で蛍光体ペーストが転写されることになる。スクリーン印刷版の裏面の汚れなどが隔壁頂部に付着する問題が起こるほかに、メタルメッシュにタワミやネジレなどが発生しやすく位置精度を保持することが難しい。この傾向は大型になるほど厳しくなりスクリーン印刷法での大型・高精細プラズマディスプレイの作製は非常に難しい状況になる。スクリーン印刷技術における改善方法として、特開平6−5205号公報ではサンドブラスト技術を併用する方法が、また、特開平5−144375号公報では架橋剤を塗布した後にスクリーン印刷する方法が提案されている。しかしながら、これらはスクリーン印刷法の範囲内のものである。
【0007】
また、高精度のパターン塗布を実現する方法としてフォトリソグラフィ技術を用いる方法があるが、この場合、RGBの各色の蛍光体層を形成するために、それぞれの色について塗布−露光−現像−焼成などの工程を繰り返すなど煩雑になるという問題がある。
【0008】
さらに隔壁で形成させるセル内へ蛍光体ペーストを塗布する方法として、インクジェットノズルの先端から蛍光体ペーストを噴出し、蛍光体層を形成する方法も提案されているが、インクジェットの場合は、蛍光体ペーストの粘度を0.2ポイズ以下にする必要があり、ペーストの中の蛍光体粉末量を多くできないため、形成された蛍光体層の厚みが薄くなるという課題があった。また、インクジェットノズルの径が小さいため、蛍光体粉末が詰まるという問題もあった。
【0009】
蛍光体ペーストは、無機蛍光体粉末と有機ポリマからなるバインダー成分とを溶媒中に混合したものが一般的であり、塗布した後、乾燥工程で溶媒を除去し、さらに焼成工程でバインダー成分を熱分解して除去することが必要である。この焼成工程では、空気中で少なくとも400℃以上の温度に曝されるので、蛍光体粉末の劣化が免れず、輝度低下などの効率低下が起こる。すなわち、ペーストに含まれる有機成分を完全に除去するために400〜500℃に加熱して行う焼成工程が必須であり、空気中での高温加熱による蛍光体粉末の劣化が起こり、本来無機蛍光体粉末が有する発光効率が阻害されて輝度の低下を招く。焼成工程におけるこのような劣化による輝度の低下は30%以上あると推定されている。従って、塗布後に200℃以下で行われる乾燥工程のみで蛍光体層を形成することができれば、無機蛍光体粉末の発光効率を高く保持するために有効である。
【0010】
この点の改良として特開平4−75231号公報では、蛍光体粉末とビークルを含む蛍光体ペーストが提案されている。しかしながら、このペーストによる蛍光体層は隔壁の側面や底面に塗布して形成するものではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、焼成工程を必要とせずに蛍光体層となる蛍光体ペーストを提供し、セル内に精度よく蛍光体ペーストを塗布したPDP用基板の製造方法を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、赤色、緑色または青色に発光する無機蛍光体粉末と有機成分から構成され、有機成分として沸点100〜350℃の有機溶媒を含み、沸点350℃以下の有機溶媒以外の有機成分の含有量が3重量%以下であって、かつ降伏値が50〜1000mPaの範囲である蛍光体ペーストを、複数個の吐出孔から連続的吐出させて、ガラス基板上に形成されたストライプ状の隔壁間に塗布することによって蛍光体層を形成するプラズマディスプレイ基板の製造方法によって達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の目的の1つは、無機蛍光体粉末と有機溶媒を主成分とし、有機溶媒の沸点が100〜350℃であり、降伏値が50〜1000mPaの範囲であることを特徴とする蛍光体ペーストを提供することである。
【0014】
本発明の蛍光体ペーストは、沸点350℃以下の有機溶媒以外の有機成分の含有量が3重量%以下であることが好ましい。また、粘度が5〜50Pa・sの範囲であることが好ましい。さらに、無機蛍光体粉末の平均粒子径が0.5〜6μmの範囲、比表面積が0.1〜5m2/ccの範囲、最大粒子径が40μm以下であることが好ましい。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、無機蛍光体粉末と有機溶媒からなるRGB3種類の蛍光体ペーストを、吐出孔を有する口金から吐出させ、ガラス基板上に形成された隔壁間にストライプ状にそれぞれ塗布することによって蛍光体面を形成することを特徴とするPDP基板の製造方法の提供である。
【0016】
本発明の蛍光体ペーストは、無機蛍光体粉末を、沸点100〜350℃を有する有機溶剤に分散したものである。沸点が上記範囲内にあると、溶媒の乾燥工程での揮発がスムースに行われる。
【0017】
また、蛍光体ペーストを隔壁に仕切られたセル内に塗布する際、蛍光体ペーストがセル内で流動すると得られる蛍光体層の厚みを均一にすることが困難となる。
【0018】
本発明の蛍光体ペーストは降伏値が50〜1000mPaの範囲である。降伏値がこの範囲内にあると、蛍光体層を隔壁の底部と側面にほぼ均一な厚みで形成することができる。降伏値が50mPa未満では底部の厚みが厚くなり、1000mPaを超えると側面の厚みが厚くなる。
【0019】
さらに、吐出孔を有する口金から吐出させて蛍光体ペーストを塗布する際、蛍光体ペーストは5〜50Pa・s、さらには10〜30Pa・sの粘度を有することが、吐出孔から安定したペーストの吐出が可能となる点から好ましい。また、このような粘度を示すには、用いる有機溶媒自身がこれらの粘度に近い粘性を示すことが好ましい。エチレングリコール(沸点197.2℃)、ジエチレングリコール(沸点244.3℃)、トリエチレングリコール(沸点287.4℃)、プロピレングリコール(沸点187.4℃)、ジプロピレングリコール(沸点231.8℃)、グリセリン(沸点290℃)などが単独または混合して使用できる。
【0020】
一般的な蛍光体ペーストの溶媒として多用されているテルピネオールは、異性体の混合物で沸点217〜219℃である。この溶媒は無機蛍光体の分散性が良好であり、本発明における溶媒としても使用可能である。しかし、やや粘度が不足であり、単独使用も可能であるが、上記の溶媒と併用することにより効果を発揮することができる。
【0021】
本発明における降伏値と粘度は、ずり速度に対するずり応力を測定し、流動曲線をプロットすることにより間接的に測定した値を用いる。具体的にはパラレルコーンのE型粘度計を用いて計測することができる。
【0022】
蛍光体ペースト中の無機蛍光体粉末と有機溶媒の割合は2/1〜7/1の範囲が好ましく、3/1〜5/1であることがより好ましい。このような割合で混合されたペーストは、口金からの吐出に適した粘度を示すと共に、ペーストの塗布性が良好である。ペーストに含まれる蛍光体粉末のみが乾燥工程の後に残留して蛍光体層を形成するものであり、ペースト中の無機蛍光体粉末の含有量が少ないと蛍光体層が薄くなり、また、7/1を超える場合には、ペースト粘度が高くなり、口金からの吐出性および塗布性が低下するため好ましくない。
【0023】
本発明の蛍光体ペーストは、無機蛍光体粉末および有機溶媒を主成分とし、上記の要件を具備したことを特徴とするものである。さらに必要に応じ、アニオン性や非イオン性界面活性剤等の有機化合物分散剤や、増粘剤、可塑剤(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール等)等を添加することもできるが、これらの有機成分の添加量は3重量%以下であることが好ましい。
【0024】
本発明のプラズマディスプレイ用基板の製造方法に用いる蛍光体ペーストはRGB各色に発光する無機蛍光体粉末を含有することが必須である。使用される無機蛍光体粉末は特に限定されない。例えば、赤色発光の蛍光体としては、Y23:Eu,YVO4:Eu,Gd23:Eu,(Y,Gd)BO3:Eu,YBO3:Euなどがある。緑色発光の蛍光体では、Zn2SiO4:Mn,BaAl1219:Mn,BaMgAl1626:Eu,Mnなどが用いられる。青色発光の蛍光体では、CaWO4:Pb,Y2SiO5:Ce,BaMgAl1017:Euなどがある。
【0025】
使用される蛍光体粉末の粒子径は、作製しようとする蛍光体層パターンの線幅、隔壁間隔および厚みを考慮して選ばれるが、粉末は、レーザー回折散乱法で測定される累積平均粒子径が0.5〜6μm、かつ比表面積が0.1〜5m2/ccの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4m2/ccの範囲である。累積平均粒子径が0.5μm未満、比表面積が5m2 /ccを越えると粉末が細かくなりすぎるため、粉末の凝集が生じやすくなり、蛍光体ペーストを塗布する際に、口金の吐出孔の詰まりなどが生じやすい。また、累積平均粒子径が6μmを越え、比表面積が0.1m2/cc未満では、目標の厚み(例えば20μm)の蛍光体層を均一で滑らかに形成することが困難になる。さらに、蛍光体粉末の最大粒子径は40μm以下、さらには30μm以下とすることが好ましく、内径50〜200μmの口金の吐出孔からの吐出時における詰まり等のトラブルを少なくすることができる。蛍光体粉末の粒子径条件がこの範囲にあると高精度なパターン形状が得られる。また、蛍光体の発光効率がよく、高寿命になるので好ましい。
【0026】
次に本発明のPDP基板の製造方法の一例について説明する。
プラズマディスプレイを構成する背面ガラス基板には、通常、RGB蛍光体層を仕切るためピッチ100〜430μm、線幅15〜60μm、高さ60〜150μm程度の形状を有する隔壁層が形成されている(図1)。また通常、隔壁はストライプ状に形成されるのでRGBの蛍光体層もストライプ状に10〜50μmの厚みで形成されている。隔壁はその断面がほぼ矩形状になるように形成され、蛍光体ペーストはこれらの隔壁に仕切られたセル内に塗布される。カラーディスプレイの場合、RGB3本のストライプで1つの画素ラインを形成するため、その繰り返しで蛍光体層を形成する必要がある(図2)。
【0027】
蛍光体ペーストの塗布技術は、プラズマディスプレイの品質を左右する重要技術であり、これまではスクリーン印刷法が用いられてきた。蛍光体ペーストは、蛍光体粉末、バインダー樹脂および溶媒等から構成されたものであり、塗布後の焼成工程でバインダー成分を処理して蛍光体層が形成される。上記のように隔壁ピッチが100〜430μmとなると3色に塗り分ける場合の蛍光体ペーストの塗布ピッチは300〜1290μmとなり、隔壁線幅が50μmとするならばペーストが塗布されるパターン部の大きさは50〜380μmとなる。このようなパターンが形成されたスクリーン印刷版から隔壁間に押し出された蛍光体ペーストは隔壁の側面に転写された後、ペーストの自重で隔壁側面を降下し、ペーストの自重と表面張力で均一化して、隔壁の側面とその底部に蛍光体ペーストの塗布層を形成すると考えられている。ペーストの粘度が低いと底部にペーストが集中し、隔壁側面厚みが薄くなるため、輝度のロス・高視野角での輝度低下を引き起こすことになる。また、粘度が高い場合には、輝度確保には有効であるが、塗布条件の設定を適切に行わなければならない。
【0028】
このようなスクリーン印刷法での塗布の場合において、スクリーン版材裏面へのペーストの回り込みや位置合わせ精度の問題から隔壁頂部が各色ペーストで汚染されるという問題がある。このような不要ペーストを如何に除去するかは背面ガラス基板の歩留まり向上にとって非常に重要な問題である。
【0029】
本発明では、高精細な背面ガラス基板を製造するための蛍光体ペーストの塗布法として、1個もしくは複数個の吐出孔(吐出部分の形状は平板、ノズルまたはニードル等。孔形状は円形、楕円形またはスリット等)を有する口金からRGBの各色から選ばれた蛍光体ペーストを吐出して塗布する(図4)工程を、数回(例えば3回)繰り返した後に、乾燥工程を経て蛍光体層を形成する方法を好ましく用いることができる。また、このような塗布方式においては、RGBを同時に吐出する吐出孔をもつ口金からRGBの各色蛍光体ペーストを吐出して塗布する方法も可能である。口金から蛍光体ペーストを吐出するためには、一定範囲の圧力で連続的にペーストを加圧して、その圧力でペーストを吐出する定圧吐出、あるいはシリンジなどに充填されたペーストの一定体積を連続的に押し出す定量吐出などの方法が好ましく用いられる。これにより、ペーストの吐出量を一定に保つことができ、安定した塗布厚みを得ることができる。
【0030】
蛍光体ペーストを吐出孔から吐出して隔壁間に塗布した後、好ましくは40〜300℃で加熱するなどの乾燥工程により、有機成分や有機溶剤などを蒸発もしくは分解して除去することにより、蛍光体粉末のみで構成される蛍光体層を形成することができる(図3)。
【0031】
本発明では、無機蛍光体粉末および有機溶媒からなるRGB各色の蛍光体ペーストを、吐出孔から吐出する方法で隔壁間に塗布した後、200℃以下の乾燥工程を経て蛍光体層を形成し、良好なプラズマディスプレイパネル用基板を得ることができる。隔壁の側面および底部に同等の厚さで十分な輝度を得ることのできる蛍光体層が形成される。また、本発明の蛍光体ペーストは、口金で塗布する方法に優れた特性を示すが、スクリーン印刷等の他の塗布方法に使用することもできるため、この限りではない。
【0032】
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。なお、濃度(%)は特に断らない限り重量%である。
【0033】
【実施例】
降伏値及び粘度は以下のように測定した。蛍光体ペースト2mlをパラレルコーンのE型粘度計に取り、回転数0.5、1.0、2.5、5.0、10.0rpmでそれぞれ3分間一定のずりを与え、その後のずり応力を測定した。ずり応力を回転数の逆数であるずり速度に対してプロットして流動曲線を描き、最小二乗法によりその傾きから粘度を求め、y切片から降伏値を求めた。
【0034】
実施例1
無機蛍光体粉末75gをグリセリン25gの中に分散・混合して蛍光体ペーストを作製した。このペーストの降伏値は250mPaで、粘度は11Pa・sであった。
【0035】
用いた蛍光体粉末は、赤色発光には(Y,Gd)BO3:Eu、緑色発光にはZnSiO4:Mn、青色発光にはBaMgAl1017:Euである。これらの各色蛍光体粉末の累積平均粒子径、最大粒子径および比表面積はそれぞれ次の通りであった。
【0036】
R蛍光体:2.7μm、27μm、3.1m2/cc
G蛍光体:3.6μm、25μm、2.5m2/cc
B蛍光体:3.7μm、27μm、2.3m2/cc
これらの各色蛍光体ペーストをピッチ220μm、高さ120μm、幅30μmの隔壁961本が形成されたガラス基板上にストライプ状に塗布した。
【0037】
塗布は、孔径150μmの吐出孔20個をピッチ660μmで一列に形成した口金により行った。口金は、赤色、青色、緑色の蛍光体ペーストのそれぞれに2基ずつ使用した。2基の口金は、それぞれ隔壁の形成された端に隔壁方向と垂直方向に、20個の吐出孔が並び、それぞれの口金の中心の吐出孔間隔が105.6mmとなるようにセットし、同期させて、同時に同速度で同方向に走行させた。口金の吐出孔部と隔壁の上端の距離は、150μmにセットした。そして、ディスペンサーにより吐出圧を392kPaに調節し、ノズルを隔壁と平行に50mm/sの一定速度で走行させながら蛍光体ペーストを一定量吐出して隔壁間に塗布した。まず、赤色蛍光体ペーストを所定の隔壁間に40本ずつ塗布した。このとき、40本塗布が終了した位置において、隔壁方向と垂直方向に2基の口金を同時に同報告に13,200μm移動させた。次は逆方向に口金を同様に走行させながら40本の隔壁間に塗布した。これを繰り返して、赤色蛍光体の所定位置の320本を塗布した。塗布終了後、塗布面を上にして80℃で40分乾燥した。
【0038】
次に、赤色蛍光体を塗布した隣の隔壁間に青色蛍光体ペーストを同様に320本塗布して乾燥した。さらに次に、青色蛍光体を塗布した隣の隔壁間に緑色蛍光体ペーストを同様に320本塗布して乾燥した。
【0039】
乾燥後の蛍光体層の側面厚み、底部厚みを電子顕微鏡により観察したところ、各色蛍光体が側面に20±5μm、底部には20±5μmの厚みでストライプ状に形成されたプラズマディスプレイ用基板が得られた。
【0040】
実施例2
実施例1と同一の無機蛍光体粉末80gを、ジプロピレングリコール20gに混合・分散して、降伏値500mPaで、粘度10Pa・sの蛍光体ペーストを得た。その他は実施例1を繰り返し、プラズマディスプレイ用基板を製造した。隔壁側面の蛍光体層の厚みは20±5μm、底部の厚みは20±5μmであった。
【0041】
実施例3
実施例1と同一の無機蛍光体粉末70gをグリセリン20gとテルピネオール10gの混合溶媒に混合・分散して、降伏値350mPaで、粘度11Pa・sの蛍光体ペーストを得た。その他は実施例1を繰り返し、プラズマディスプレイ用基板を製造した。隔壁側面の蛍光体層の厚みは20±5μm、底部の厚みは20±5μmであった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の構成要件を満足する蛍光体ペーストを用いて、隔壁が形成されたガラス基板に、吐出孔を有する口金から吐出する方法で塗布し、乾燥することにより、高精細で均一な高い輝度を示すプラズマディスプレイパネル用基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するために用いる隔壁を形成したガラス基板の模式図である。
【図2】本発明の蛍光体ペーストを塗布した後のプラズマディスプレイパネルを示す模式図である。
【図3】本発明の乾燥後のプラズマディスプレイパネルを示す模式図である。
【図4】隔壁を形成したガラス基板に対して行う本発明の実施方法の1例を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1:電極
2:ガラス基板
3:隔壁
4:赤色蛍光体層
5:青色蛍光体層
6:緑色蛍光体層
7:ニードル
8:蛍光体ペースト
9:吐出孔部先端と隔壁上部の距離

Claims (4)

  1. 赤色、緑色または青色に発光する無機蛍光体粉末と有機成分から構成され、有機成分として沸点100〜350℃の有機溶媒を含み、沸点350℃以下の有機溶媒以外の有機成分の含有量が3重量%以下であって、かつ降伏値が50〜1000mPaの範囲である蛍光体ペーストを、複数個の吐出孔孔から連続的に吐出させてガラス基板上に形成されたストライプ状の隔壁間に塗布することによって蛍光体層を形成するプラズマディスプレイ基板の製造方法
  2. 前記蛍光体ペーストの粘度が5〜50Pa・sの範囲である請求項1に記載のプラズマディスプレイ基板の製造方法。
  3. 前記蛍光体ペースト中に含まれる無機蛍光体粉末の平均粒子径が0.5〜6μm、最大粒子径40μm以下、比表面積が0.1〜5m/ccである請求項1または2に記載のプラズマディスプレイ基板の製造方法。
  4. 前記蛍光体ペースト中の無機蛍光体粉末と有機溶媒の割合が重量比で無機蛍光体粉末/有機溶媒で2/1〜7/1の範囲である請求項1〜のいずれかに記載のプラズマディスプレイ基板の製造方法。
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