JP4845418B2 - 多孔性導電性高分子膜を含む多孔性電極、及び電気化学デバイス - Google Patents
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Description
すなわち、この導電性高分子を多孔性化することができれば、短時間出力特性を下げずに、さらなる電池容量向上が図れることは明らかである。
1.基体上に、アニリン及びアニリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物をモノマー成分とする共重合体と、ドーパントとを含む多孔性導電性高分子膜を有する多孔性電極。
2.ドーパントが、1〜3個のスルホン酸基を有する低分子スルホン酸と、高分子スルホン酸とを含む上記1記載の多孔性電極。
3.低分子スルホン酸対高分子スルホン酸の質量比が1:100〜10:1である上記2記載の多孔性電極。
4.共重合体が、アニリン及びアニリン誘導体との共重合体である上記1〜3のいずれか1項記載の多孔性電極。
5.アニリン誘導体が、アニシジン、フェネチジン、トルイジン、フェニレンジアミン、ヒドロキシアニリン、及びN−メチルアニリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記4記載の多孔性電極。
6.アニリン誘導体が、トリフルオロメタンアニリン、ニトロアニリン、シアノアニリン、及びハロゲン化アニリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記4記載の多孔性電極。
7.上記1〜6のいずれか1項記載の多孔性電極を用いた電気化学デバイス。
本発明において、電導度と耐久性に優れ、かつ多孔性となる導電性高分子膜が得られる理由としては次のようなことが考えられる。
複数の芳香族化合物を用いることで、1種類の芳香族化合物を用いた場合よりも導電性高分子膜の酸化還元電位をシフトさせて電位窓を拡張もしくは縮小、移動させることにより、長期間の使用中において少しずつ進行し、耐久性低下の原因とされる導電性高分子の酸化還元に伴なう不導体化およびドーパントの脱離反応を抑制できること。
加えて芳香族化合物が置換基を有する場合、立体的効果によってドーパントの脱離反応を抑制できること。すなわち複数のモノマー成分の共存比を調整することにより、電極の使用目的に合わせた耐久性の高い導電性高分子を作製できること。
ドーパントとして高分子スルホン酸を使用した場合には、ドーパントの脱離がさらに抑制されるため耐久性がさらに向上する。
一方、高分子スルホン酸の効果としては、電極基体との密着性を向上させることができる。
従って、低分子スルホン酸と高分子スルホン酸の共存比を調整することにより、表面積(導電性高分子膜の多孔性)の調整を行い、かつ電極基体との密着性の向上を図ることができる。
アニリン誘導体の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ベンジル基、ヒドロキシル基、アミド基等の電子供与性置換基、または、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン、シアノ基などの電子吸引性置換基などが挙げられ、具体例としては、アニシジン、フェネチジン、トルイジン、フェニレンジアミン、ヒドロキシアニリン、N−メチルアニリン、トリフルオロメタンアニリン、ニトロアニリン、シアノアニリン、ハロゲン化アニリンなどが挙げられる。
例えばアニリン及びアニリン誘導体を用いるとき、それらの比率は電極を使用する用途により最適値が異なるため特に限定されないが、モル比でアニリン及びアニリン誘導体のうち一方を100として他方を3以上の割合で重合することが一般に適当である。
本発明の導電性高分子中の、アニリン及びアニリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーの量は、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。
さらに、要求される特性に合わせて組み合わせるアニリン及びアニリン誘導体、もしくは芳香族化合物の種類・濃度および濃度比を調整することが望ましい。
導電性高分子中のドーパントの使用量は、使用する用途により最適値が異なるため特に限定されないが、好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは10〜45質量%である。
また、多孔性を発現させるためには、上記ドーパントのうち、1〜3個のスルホン酸基を有する低分子スルホン酸アニオンを用いることが望ましい。そのような低分子スルホン酸としては、1〜3個のスルホン酸基を有する置換もしくは無置換のナフタレンスルホン酸アニオン、置換または無置換のベンゼンスルホン酸アニオン、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンなどが挙げられる。
さらに、要求される導電性・密着性・多孔性を同時に達成させるため、低分子スルホン酸アニオンと高分子スルホン酸アニオンを共存させて用いることが望ましい。低分子スルホン酸アニオンと高分子スルホン酸アニオンの質量比は好ましくは1:100〜10:1である。
さらに、要求される特性に合わせて低分子スルホン酸アニオンと高分子スルホン酸アニオンの種類・濃度および濃度比を調整することが望ましい。
また、電極基体の形状は使用する用途に応じて求められる特性が異なるため特に限定されないが、例えば、フレキシブル電極として用いる場合には、プラスチックフィルム上に金属の蒸着による薄膜などを形成させたものが利用でき、透明電極として用いるのであれば、透明ガラス上にFTOなどの透明導電膜を形成させたものが利用できる。他には、リチウムイオン二次電池や電気化学キャパシタなどにはステンレスなどの金属板が好適に利用できる。
さらに、電解重合により直接該電極基体上に導電性高分子膜を形成させる場合、該電極基体の表面形態としては、凸部が導電性高分子の成長点として利用できるため、平滑であるよりも粗面や任意の凹凸がある方がより容易に多孔性の膜を形成することができる。
本発明の多孔性導電性高分子膜の厚さは、使用する用途により最適値が異なるため特に限定されないが、通常は単分子膜〜1cm、好ましくは1nm〜1cmであり、特に、電気化学デバイス用電極として利用する場合、好ましくは0.1〜5mmである。
電極基体としてSUS304(10cm×10cm×5mm)を用いた。有機溶媒中で超音波洗浄した電極基体を、芳香族化合物としてアニリン0.05mol/l、アニシジン0.05mol/l、ドーパントとしてp-トルエンスルホン酸0.5mol/lと硫酸0.5mol/lを含む水溶液中に浸漬し、電気化学的に酸化することでSUS基体表面に導電性高分子膜を形成させた。この導電性高分子膜を、純水で洗浄し空気中100℃で乾燥させた。得られた導電性高分子膜の表面を走査電子顕微鏡(以下、「SEM」と略記する)にて観察したところ、図1のような多孔性状態が観察された。
芳香族化合物として、アニシジンに換えてトリフルオロメチルアニリン、p−トルエンスルホン酸に換えてポリスチレンスルホン酸を用いた他は実施例1と同様にして多孔性電極を形成させた。得られた多孔性電極をSEMにて観察したところ、図2のような多孔性状態が観察された。これは実施例1よりもさらに孔径の小さい電極であった。
芳香族化合物としてアニリンのみ0.1mol/lを使用した他は実施例1と同様にして電極を作製した。
実施例1と比較例1の手法により導電性高分子膜をそれぞれ2枚作製したのち剥離し、円形(直径13mm)に打ち抜いた。得られた2枚の導電性高分子膜を電極とし、2mol/lの硫酸水溶液を電解液とし、セパレータとして市販の多孔性プロピレン膜を挟んでステンレス製コイン型ケースに入れ、図5に示すような電気化学キャパシタを作製した。これを、使用した電極材料あたり15mA/gの定電流充放電を行い、得られた放電曲線から放電容量を求め、5000回のサイクル試験を行った。初期特性に対する容量減少率は表1のようになった。本発明の多孔性電極を備えた電気化学キャパシタは、表面積が大きく充放電特性に優れ、かつ耐久性にも優れていることがわかる。
2 負極
3 集電体
4 電解質
5 セパレータ
6 正極
7 正極ケース
8 ガスケット
Claims (3)
- 電解重合法によって、アニリン及びアニリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物をモノマー成分とする共重合体と、ドーパントとを含む多孔性導電性高分子膜を、基体上に形成することを含む、基体上に多孔性導電性高分子膜を有する多孔性電極の製造方法であって、共重合体が、アニリン及びアニリン誘導体との共重合体であり、アニリン誘導体が、アニシジン、フェネチジン、トルイジン、フェニレンジアミン、ヒドロキシアニリン、及びN−メチルアニリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記方法。
- 電解重合法によって、アニリン及びアニリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物をモノマー成分とする共重合体と、ドーパントとを含む多孔性導電性高分子膜を、基体上に形成することを含む、基体上に多孔性導電性高分子膜を有する多孔性電極の製造方法であって、共重合体が、アニリン及びアニリン誘導体との共重合体であり、アニリン誘導体が、トリフルオロメタンアニリン、ニトロアニリン、シアノアニリン、及びハロゲン化アニリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記方法。
- 請求項1又は2に記載の多孔性電極の製造方法で製造された多孔性電極を用いた電気化学デバイス。
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