JP2008182212A - ファラデー容量型キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極及び負極に導電性高分子を有し、電解液にイオン液体を用いたファラデー容量型キャパシタにおいて、前記導電性高分子及び前記イオン液体は共にベンゼン環又は複素環を有する分子構造とされている。
【選択図】なし
Description
こうであれば、カーボンによって電極の電気伝導性を高くすることができるとともに、カーボン表面の電気二重層に蓄えられた電荷によって、パワー密度も大きくすることができる。カーボンとしては、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、活性炭、グラファイト粉等が挙げられる。特にカーボンナノチューブは、優れた電気導電性を有しており、その細長い構造が分子ワイヤとして作用し、導電パス形成に寄与する。このため、電気伝導性に優れているというカーボンナノチューブの長所と、大きな放電容量を有するという導電性高分子の長所とを合わせもつこととなり、容量が大きくて、大電流を流すことができるキャパシタとなる。カーボンナノチューブには、チューブの壁が単層のグラファイトシートからなる単層カーボンナノチューブと、多層のグラファイトシートからなる多層カーボンナノチューブとが存在するが、どちらを用いてもよく、これらを混合して用いることもできる。多層カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブと比較して製造コストが低廉であり、電気伝導性が良好であるため負荷特性に優れているという長所を有する。しかし、多層カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブと比べて多数のカーボンナノチューブが長さ方向にそろって束となる傾向(バンドル化傾向)が強いため、集電電極上にコーティングされた場合、その異方性によって歪が生じやすい。このため、電極の表面がひび割れたり、剥離したりする傾向が強い。このため、多層カーボンナノチューブと単層カーボンナノチューブとを混合して蓄電デバイス用電極に用いることにより、お互いの欠点を補い合うことができる。
すなわち、カーボンナノチューブに電解重合用モノマーを吸着させる吸着工程と、該電解重合用モノマーが吸着したカーボンナノチューブを実質的に電解重合用モノマーを含まない電解液中で電解重合させて導電性高分子付着カーボンナノチューブとする重合工程とを備えることを特徴とするキャパシタ用電極材料の製造方法である。この方法によれば、電解重合工程が実質的に電解重合用モノマーを含まない電解液中で行われるため、電解液からカーボンナノチューブの表面に電解重合用モノマーが供給されることがない。このため、電解重合工程においてカーボンナノチューブに均一に吸着していた電解重合モノマーのみがそのまま電解重合し、カーボンナノチューブの表面に均一に導電性高分子を付着させることができる。このため、こうして得られたキャパシタ用電極材料は、導電性高分子が厚く被覆された導電性に劣る部分が存在せず、電気伝導性に優れ、大電流を流すことができる。また、電解重合と同時にカーボンナノチューブと導電性高分子の複合化がなされるため、工程数が少なく、製造も容易となる。
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオダイド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロフェレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム2-(2-メトキシエトキシ)ブチルスルフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブチルスルフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオダイド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムp-トルエンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウムイオダイド、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
また、ピリジニウム塩としては、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロマイド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルピリジニウムブロマイド、1-ブチルピリジニウムクロライド、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-(ヒドロキシメチル)ピリジニウムエチルサルフェート、1-ブチル-3-メチルピリジニウムエチルサルフェート、1-ブチルピリジニウムブロマイド、1-ブチルピリジニウム クロライドなどが挙げられる。
実施例1では、以下の方法によりファラデー容量型キャパシタを作製した。
−電極の作製−
正極は以下のようにして作成した。すなわち、ポリアニリン(以下PANという)45重量部、多層カーボンナノチューブ45重量部にエタノールを加えて混合、超音波分散(60〜120分)させる。次に60%ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液を固形分として10重量部になるように添加し、超音波と攪拌により十分に分散させた後、加熱して余分なエタノールを除去した。得られた混合物を乳鉢などでよく練り、シート状に成形した後、Al箔(50μm)に140°C、10kg/cm2の条件でホット平面プレスを行った。さらに、室温にて50kg/cm2の条件で平面プレスをする。その結果膜厚として100〜300μmの電極を得た。
また、負極は導電性高分子としてポリ2,5−ピリジン(以下PPYという)を用い、正極と同様にして作製した。
ファラデー容量型キャパシタの組み立ては、図1に示す密閉型の2極セルを用いた。すなわち、正極1、セパレータ2及び負極3を順に重ね、Alからなる円筒容器形状のセル容器4のそこに設けられた凹部4a内に入れる。そして、電解液を浸した後、真空下に3時間置いて、気泡の除去を行った。その後、フッ素樹脂ガイド5、ステンレス製の電極押え6、スプリング7の順に入れ、ステンレス製のセル蓋8を蝶ネジ9で固定して密封し、図2に示すファラデー容量型キャパシタを作製した。電解液として、3.2MのEMI-TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)/PC(炭酸プロピレン)溶液を用いた。また、セパレータ2にはイオン透過性で絶縁性の高い特殊紙を用いた。
実施例2では、電解液として1.7MのEMI-TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)/PC(炭酸プロピレン)溶液を用いた。その他は実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
実施例2では、正極における導電性高分子として、ポリ(3−ブチルチオフェン)(以下
PBTと略す)を用いた。その他は実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
実施例4では、電解液として3.5MのEMI-TFSI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)/PC(炭酸プロピレン)溶液を用いた。その他は実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
比較例1では、電解液として0.5MのTEABF4(テトラエチルアンモニウムテトラフルオロほう酸)/PC(炭酸プロピレン)溶液を用いた。その他は実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
比較例2では、電解液として3.2MのTMPA-TFSI(トリメチルプロピルアンモニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)/PC(炭酸プロピレン)溶液を用いた。その他は実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
比較例3では、電解液として0.5MのTEABF4(テトラエチルアンモニウムテトラフルオロほう酸)/PC(炭酸プロピレン)溶液を用いた。その他は実施例3と同様(すなわち正極活物質となる導電性高分子にPBTを用いた)であり、詳細な説明を省略する。
こうして得られた実施例1〜4及び比較例1〜3のファラデー容量型キャパシタについて、充放電とも2Cのレートにてエネルギー密度とセル電圧との関係を測定した。
評価の結果を表1及び図1に示す。これらの図表から、正極及び負極の導電性高分子並びにイオン液体共にベンゼン環又は複素環を有する化合物を用いた実施例1〜4のファラデー容量型キャパシタは、イオン液体にテトラアルキルアンモニウム誘導体を用いた比較例1〜3のファラデー容量型キャパシタに比べて、エネルギー密度が極めて高いことが分かった。また、実施例1、2及び4の評価結果の比較から、有機溶媒として加えた炭酸プロピレンの添加量によってもエネルギー密度が大きく変わり、イオン液体のモル濃度が3.2(実施例1)の場合に、エネルギー密度が飛躍的に大きくなることが分かった。また、実施例1〜4の結果から推測して、エネルギー密度が大きくなるのはイオン液体のモル濃度が2〜3.5であり、さらに好適な範囲は2.5〜3.3であった。
カーボンナノチューブ上での導電性高分子モノマーの電解重合は、例えば次のようにして行うことができる。
(実施例5)
すなわち、まず準備工程として、単層カーボンナノチューブ粉末とポリフッ化ビニリデン粉末とを80;20の質量比で混合し、14MPaの圧力で15mmφの円盤状に成型する(ペレット重量 約25mg)。そして、このペレットの片面にAuメッシュを載せ、ホットプレス装置により5MPaの圧力で150°Cで一体成型して片面にAuメッシュが貼り付けられた円盤状のプレ電極を作製した。
多層カーボンナノチューブ(90重量部)にエタノールを加えて混合し、さらに超音波による分散を60〜120分行なう。次に60重量%のPTFE分散液を固形分として10重量部となるように添加し、超音波及び機械撹拌を併用して充分に分散させた後、加熱によってエタノールを除去する。こうして得られた混合物を乳鉢などでよく練り、シート状に成形した後、エキスパンドAl箔(50μm)に140℃、6kg/cm2の条件でホット平面プレスを計2回行った。その結果、塗布面が25×50mm、膜厚として約200μmのプレ電極を得た。
2…セパレータ
3…負極
4…セル容器
5…フッ素樹脂ガイド
6…電極押え
7…スプリング
8…セル蓋
9…蝶ネジ
Claims (5)
- 正極及び負極に導電性高分子を有し、電解液にイオン液体を用いたファラデー容量型キャパシタにおいて、
前記導電性高分子及び前記イオン液体は共にベンゼン環又は複素環を有する分子構造とされていることを特徴とするファラデー容量型キャパシタ。 - 電解液には有機溶媒が添加されていることを特徴とする請求項1記載のファラデー容量型キャパシタ。
- 正極及び負極の少なくとも一方の極にはカーボンが含まれていることを特徴とする請求項1又は2記載のファラデー容量型キャパシタ。
- カーボンはカーボンナノチューブからなることを特徴とする請求項3記載のファラデー容量型キャパシタ。
- 導電性高分子は導電性高分子モノマーをカーボンナノチューブ上で電解重合させることによって該カーボンナノチューブ上に析出していることを特徴とする請求項4記載のファラデー容量型キャパシタ。
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