JP5178031B2 - 電気二重層キャパシタ用電解液 - Google Patents

電気二重層キャパシタ用電解液 Download PDF

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Description

本発明は、第4級アンモニウムテトラフルオロボレート、第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、環状カーボネート、鎖状カーボネートからなる電気二重層キャパシタ用電解液に関する。
近年、電気二重層キャパシタの高性能化に対する要求が高まっており、特に自動車等の低温環境下において使用される際には、内部抵抗を極力低減することが望まれている。
従来、電気二重層キャパシタ用の電解液としてはテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートやトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの第4級アンモニウム塩をプロピレンカーボネートやアセトニトリルなどの溶媒に溶解させた電解液が用いられてきた(特許文献1)。
しかしながら、溶媒としてプロピレンカーボネートを使用した際には低温環境下における内部抵抗が比較的高いため改善が求められてきた。一方、溶媒にアセトニトリルを使用する際には、低温環境下における性能は優れているものの、予期せず火災が生じた際には有毒なガスが発生し、安全性において問題がある。
特開2003‐243260号公報
本発明は前記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、低温性能に優れた電気二重層キャパシタ用電解液を提供することにある。
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、電気二重層キャパシタ用電解液について検討した。その結果、下記特定組成の電解液を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、前記の課題を解決する為に、第4級アンモニウムテトラフルオロボレート、第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートからなり、前記第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートの含有重量に対する前記第4級アンモニウムテトラフルオロボレートの含有重量の比が1以上20以下であることを特徴とする。
前記の構成に於いて、鎖状カーボネートはジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートの少なくとも一方を用いることが好ましい。
前記の構成に於いて、環状カーボネートはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートの少なくとも一方を用いることが好ましい。
前記の構成に於いて、前記第4級アンモニウムテトラフルオロボレートと第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートの含有量の合計が15重量%以上40重量%以下であることが好ましい。
前記の構成に於いて、前記鎖状カーボネートの含有重量の環状カーボネートの含有重量に対する比が1以上であることが好ましい。
また、前記第4級アンモニウムテトラフルオロボレートおよび第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートのカチオンはトリエチルメチルアンモニウム、エチルメチルピロリジニウムの少なくとも一方を用いることが好ましい。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、第4級アンモニウムテトラフルオロボレート、第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、環状カーボネート、鎖状カーボネートからなることを特徴とする本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、従来から使用されてきた第4級アンモニウム塩のみを電解質として使用した電解液に比べ、電気二重層キャパシタの内部抵抗を低減することが可能である。電気二重層キャパシタの内部抵抗は、使用する電解液の電気伝導性が高い方が好ましいが、必ずしも電気伝導性の大小と内部抵抗の高低とは一致するわけではなく、第4級アンモニウムテトラフルオロボレートと第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートを電解質とし、特定組成の溶媒からなる電解液を用いることにより内部抵抗の低減を図れる。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は第4級アンモニウムテトラフルオロボレート、第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、環状カーボネート、鎖状カーボネートからなる。
本発明で使用する鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート等が挙げられ、好ましくは、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。これらの鎖状カーボネートは単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。また、前記鎖状カーボネート分子中に含まれる炭化水素基の水素を少なくとも一部フッ素で置換したものを好適に用いることもできる。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられ、好ましくは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが挙げられる。これらの環状カーボネートは単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。また、前記環状カーボネート分子中に含まれる炭化水素基の水素を少なくとも一部フッ素で置換したものを好適に用いることもできる。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液で使用する鎖状カーボネートと環状カーボネートは、鎖状カーボネートの含有重量の環状カーボネートの含有重量に対する比は1以上であることが好ましく、1.1以上であることがより好ましく、1.3以上であることが特に好ましい。比率が1より小さい場合には低温において電解液の粘性が増大するため好ましくない。また、比率の上限については低温において電解液の凝固や析出などが生じない限り特に限定しない。
電解質として使用する第4級アンモニウムテトラフルオロボレートと第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートの濃度としては、その含有重量の合計が電解液重量の15重量%以上40重量%以下であることが好ましく、20重量%以上35重量%以下であることがより好ましい。特に好ましいのは25重量%以上30重量%以下である。15重量%より小さいとイオンの数が不足し、電気二重層キャパシタの容量低下につながってしまう。また、40重量%を超えると、電解液の粘性が増大し電気二重層キャパシタの内部抵抗増大につながってしまう。
本発明に於いて使用する第4級アンモニウムテトラフルオロボレートおよび第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートは種々カチオンを用いることができる。本発明で使用する第4級アンモニウムカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、チアゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン等が挙げられるがこの限りではない。
テトラアルキルアンモニウムカチオンとしては、テトラエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、ジメチルエチルプロピルアンモニウム、メチルエチルプロピルブチルアンモニウム、N,N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム、N−エチル−N−プロピルピロリジニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、N−メチル−N−エチルピペリジニウム、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム、N−エチル−N−プロピルピペリジニウム、N,N−ジメチルモルホリニウム、N−メチル−N−エチルモルホリニウム、N−メチル−N−プロピルモルホリニウム、N−エチル−N−プロピルモルホリニウム、トリメチルメトキシメチルアンモニウム、ジメチルエチルメトキシメチルアンモニウム、ジメチルプロピルメトキシメチルアンモニウム、ジメチルブチルメトキシメチルアンモニウム、ジエチルメチルメトキシメチルアンモニウム、メチルエチルプロピルメトキシメチルアンモニウム、トリエチルメトキシメチルアンモニウム、ジエチルプロピルメトキシメチルアンモニウム、ジエチルブチルメトキシメチルアンモニウム、ジプロピルメチルメトキシメチルアンモニウム、ジプロピルエチルメトキシメチルアンモニウム、トリプロピルメトキシメチルアンモニウム、トリブチルメトキシメチルアンモニウム、トリメチルエトキシメチルアンモニウム、ジメチルエチルエトキシメチルアンモニウム、ジメチルプロピルエトキシメチルアンモニウム、ジメチルブチルエトキシメチルアンモニウム、ジエチルメチルエトキシメチルアンモニウム、トリエチルエトキシメチルアンモニウム、ジエチルプロピルエトキシメチルアンモニウム、ジエチルブチルエトキシメチルアンモニウム、ジプロピルメチルエトキシメチルアンモニウム、ジプロピルエチルエトキシメチルアンモニウム、トリプロピルエトキシメチルアンモニウム、トリブチルエトキシメチルアンモニウム、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メトキシメチルピロリジニウム、N−プロピル−N−メトキシメチルピロリジニウム、N−ブチル−N−メトキシメチルピロリジニウム、N−メチル−N−エトキシメチルピロリジニウム、N−メチル−N−プロポキシメチルピロリジニウム、N−メチル−N−ブトキシメチルピロリジニウム、N−メチル−N−メトキシメチルピペリジニウム、N−エチル−N−メトキシメチルピロリジニウム、N−メチル−N−エトキシメチルピロリジニウム、N−プロピル−N−メトキシメチルピロリジニウム、N−メチル−N−プロポキシメチルピロリジニウム等が挙げられるがこれらの限りではない。
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、3−エチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、4−エチル−1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、2,4−ジエチル−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2,3−ジエチル−1,4−ジメチルイミダゾリウム、2,3,4−トリエチル−1−メチルイミダゾリウム、1,2−ジエチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、1,2,4−トリエチル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられるがこれらの限りではない。
ピラゾリウムカチオンとしては1,2−ジメチルピラゾリウム、1−メチル−2−エチルピラゾリウム、1−プロピル−2−メチルピラゾリウム、1−メチル−2−ブチルピラゾリウム等が挙げられるがこれらの限りではない。ピリジニウムカチオンとしてはN−メチルピリジニウム、N−エチルピリジニウム、N−プロピルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム等が挙げられるがこれらの限りではない。トリアゾリウムカチオンとしては、1−メチルトリアゾリウム、1−エチルトリアゾリウム、1−プロピルトリアゾリウム、1−ブチルトリアゾリウム等が挙げられるがこれらの限りではない。ピリダジニウムカチオンとしては1−メチルピリダジニウム、1−エチルピリダジニウム、1−プロピルピリダジニウム、1−ブチルピリダジニウム等が挙げられるがこれらの限りではない。チアゾリウムカチオンとしては、1,2−ジメチルチアゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルチアゾリウム等が挙げられるがこれらの限りではない。オキサゾリウムカチオンとしては、1−エチル−2−メチルオキサゾリウム、1,3−ジメチルオキサゾリウム等が挙げられるがこれらの限りではない。ピリミジニウムカチオンとしては、1,2−ジメチルピリミジニウム、1−メチル−3−プロピルピリミジニウム等が挙げられるがこれらの限りではない。ピラジニウムカチオンとしては、1−エチル−2−メチルピラジニウム、1−ブチルピラジニウム等が挙げられるがこれらに限定するものではない。これらは1種でも2種以上を併用してもよい。
前記の第4級アンモニウムテトラフルオロボレート又は第4級ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートの中には、常温で液状のイオン液体が存在する。イオン液体は常温に於いて液体であり、電気化学的安定性が高く、良好なイオン伝導性を示すため、本発明の電気二重層キャパシタ用電解液の電解質として好適に用いることができる。
前記第4級アンモニウムテトラフルオロボレートの含有重量の第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートの含有重量に対する比が1以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2以上であることが特に好ましい。比率が1より小さい場合には、電気二重層キャパシタの内部抵抗を低減する効果が十分に得られない。一方、比率の上限は20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが特に好ましい。20を超えると電気二重層キャパシタの内部抵抗の低減の効果が十分に得られない。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は種々の電気二重層キャパシタに使用することがでる。形状にも特に限定はなく、例として以下に示すコイン型セルの他に、例えば、円筒型、角型、ラミネート型等が挙げられる。電気二重層キャパシタの1例として取り上げるコイン型キャパシタは、図1に示すように、正極缶4と負極缶5とで形成される内部空間に、正極缶4側から正極1、セパレータ3、負極2、スペーサー7の順に積層された積層体が収納された構造を有している。負極缶5とスペーサー7との間にスプリング8を介在させることによって、正極1と負極2を適度に圧着固定している。有機電解液は、正極1、セパレータ3及び負極2の間に含浸されている。正極缶4及び負極缶5の間にガスケット6を介在させた状態で、正極缶4及び負極缶5を挟持させることによって両者を結合し、前記積層体を密閉状態にしている。
前記正極1および負極2は、集電体と活物質層とから構成される。
活性炭としては通常使用されている公知の活性炭を使用することができ特に限定しない。通常活性炭は、炭素質の原料を900℃以下の温度で炭化した後に賦活処理して得られる。炭素質の原料としては、木材、ヤシ殻、のこくず、石炭、ピッチ、コークス、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、廃プラスチック、廃タイヤ等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。賦活方法としては、炭化された原料を600℃〜1000℃にて高温で水蒸気、炭酸ガス、酸素等のガス雰囲気下で反応させるガス賦活法と、炭化された原料に塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の薬品を混合して不活性雰囲気で加熱処理する薬品賦活法があるが、いずれの方法でもかまわない。賦活処理により、炭素材料に多数の細孔が形成され、比表面積が増大する。この様にして得られる活性炭の比表面積は、1000〜2000m/gであり、大きくても3000m/gである。
集電体としては、電気化学的、化学的に耐食性のある導電体であればよい。より具体的には、ステンレス、アルミニウム、チタン、タンタル等の板や箔が使用できる。これらのうちステンレス又はアルミニウムの板や箔が性能と価格の両面で好ましい集電体である。
正極1および負極2は、上述した活性炭を、必要であれば公知の導電助剤や結着剤と共に加圧成型することにより、又は必要であれば公知の導電助剤や結着剤と共にピロリドン等の溶剤に混合し、ペースト状にしたものをアルミニウム箔等の集電体に塗工後、乾燥することにより得ることができる。
導電助剤としては、グラファイト、カーボンブラック、ニードルコークス等が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。またこれらの導電助剤は単独でも複数種を混合してもよい。
活物質層中に含まれる導電助剤の添加量は、通常0.01重量%〜20重量%が好ましく、0.1重量%〜15重量%がより好ましく、1重量%〜10重量%が特に好ましい。導電助材の添加量が0.01重量%未満であると、導電性が不十分になる場合があり、その一方、20重量%を超えると、電池容量が低下する場合がある。
結着剤としては、電解液に用いる非水溶媒や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、その種類は特に制限されないが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、酢酸ビニル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アルカリ金属イオン導電性ポリマー等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
活物質層中の結着剤の添加量は、通常0.1重量%〜30重量%が好ましく、1重量%〜20重量%がより好ましく、5重量%〜10重量%が特に好ましい。結着剤の添加量が0.1重量%未満であると、活物質層の機械的強度が不足し、デバイスとしての性能を低下させる場合がある。その一方、30重量%を超えると、容量の不足や電気抵抗の増大を招来する場合がある。
ペースト化するための溶剤としては、活物質、結着剤、導電助材を溶解又は分散させることができ、その後の乾燥で除去しやすいものであれば特に制限はない。例えば、水、アルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、ヘキサン等が挙げられる。尚、これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
正極と負極の短絡を防止するために、正極と負極との間に通常、セパレータ3が介在される。セパレータ3の材質や形状は特に制限されないが、上述の有機電解液が通過しやすく、絶縁体で、化学的に安定な材質であるものが好ましい。例えば、各種の高分子材料からなる微多孔性のフィルム、シート、不織布等が挙げられる。高分子材料の具体例としては、ナイロン(登録商標)、ニトロセルロース、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン高分子が用いられる。電気化学的な安定性・化学的安定性の観点からは、ポリオレフィン系高分子が好ましい。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
(実施例1)
トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEMA・BF4)、トリエチルメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(TEMA・PF6)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)(EC、EMC、DMC:キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)を、露点が−60℃以下のアルゴン雰囲気ドライボックス内で表1に示す組成で混合した。溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。
(実施例2)
エチルメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(EMP・BF4)、エチルメチルピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート(EMP・PF6)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)(EC、EMC、DMC:キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)を、露点が−60℃以下のアルゴン雰囲気ドライボックス内で表1に示す組成で混合した。溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。
(比較例1)
トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)(PC、EC、DMC:キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)を、露点が−60℃以下のアルゴン雰囲気ドライボックス内で表1に示す組成で混合した。溶液の水分をカールフィッシャー水分計(平沼産業株式会社製、平沼微量水分測定装置AQ−7)で測定し、30ppm以下であることを確認した。
<電解液の評価>
以下のとおり電気二重層キャパシタを作製し、電解液の評価を実施した。
先ず、BET法により比表面積が1700m/gであることが確認された活性炭100重量部に対して、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン粉末(呉羽化学工業株式会社製、KFポリマー#1100)が2.5重量部、導電助剤としてのデンカブラック(電気化学工業株式会社製)が5.5重量部の比率で混合した後、N−メチルピロリドンを加えて混練し電極ペーストを得た。このペーストを電極集電体である厚さ38μmのアルミニウム箔の片面に電極塗工用アプリケーター(テスター産業株式会社製)を用いて均一な厚みで塗布した。続いて130℃の加熱下で、2時間真空乾燥した後、ロールプレスにより活物質層の総厚さを82μmに調整し、シート状電極を作製した。得られたシート状電極を円形状に切り出し正極、負極とした。
図2に示す構造の試験セル(有限会社日本トムセル製、トムセルTJ−AC)を用いて、蓄電素子を作成した。図2に於いてボルト9、カシメワッシャー10、容器体11、蓋部14、ナット16、丸板20、スプリング21は共にステンレス鋼製であり、セパレータ18はポリプロピレン製で円形状に切り出したものを使用した。蓄電素子の組み立ては露点が−60℃以下のアルゴンドライボックス内で行った。まず、ボルト9、カシメワッシャー10、容器体11、スペーサー12、オーリング13、蓋部14、ブッシュ15、ナット16、電極17、丸板20、スプリング21は120℃の加熱下、24時間真空乾燥した後、ドライボックス内に持ち込んだ。また、セパレータ18は60℃の加熱下、24時間真空乾燥した後、及び前記の円形状に切り出した電極シートは130℃で12時間真空乾燥したのちドライボックス内に持ち込んだ。
次に、前記実施例および比較例で作成した電解液を電極及びセパレータ18に減圧下にて含浸させた後、容器体11に正極17、セパレータ18及びスペーサー12を図1に記載の順で載置し、前記電解液を適量注いだ。続いて負極19、丸板20及びスプリング21を図1の順で設置した後、蓋部14を上からかぶせ、ボルト9とナット16により容器体内を密閉状態にして、電気二重層キャパシタを作製した。
<蓄電素子特性の評価>
上記実施例および比較例で作製した電解液を用いた電気二重層キャパシタに関し、それぞれ充放電試験を行い、内部抵抗を測定した。充放電試験は−20℃の雰囲気に保った恒温機(エスペック株式会社、TEMPERATURE CARBINET LU−112)内で実施した。試験セルを恒温機内で2時間保持した後、電流密度が1.0mAcm−2の定電流充電を行い、電圧が2.5Vに達した時点で定電圧充電に切り替えた。2.5Vで10分保持した後、1.0mAcm−2の定電流放電をおこない、電圧が0Vに達した時点で定電圧放電に切り替え、0Vで10分間保持した。このサイクルを10回繰り返し、10サイクル目に於ける放電の際のiRドロップを測定した。表1には比較例1の電解液を使用したときのiRドロップを基準とし、各実施例の値を示した。
Figure 0005178031
前記表1から明らかな通り、実施例に於いては、比較例1の場合と比較して、iRドロップが低減されており、電気二重層キャパシタの内部抵抗が低減された。
本発明の実施の一形態に係る電気二重層キャパシタの概略を示す断面模式図である。 本発明の実施例で使用した電気二重層キャパシタの概略を示す断面模式図である。
符号の説明
9 ボルト
10 カシメワッシャー
11 容器体
12 スペーサー
13 オーリング
14 蓋部
15 ブッシュ
16 ナット
17 正極
18 セパレータ
19 負極
20 丸板
21 スプリング

Claims (3)

  1. 第4級アンモニウムテトラフルオロボレート、第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートからなり、
    前記第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートの含有重量に対する前記第4級アンモニウムテトラフルオロボレートの含有重量の比が1以上20以下(但し、4の場合を除く。)であり、
    前記第4級アンモニウムテトラフルオロボレートおよび前記第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートのカチオンはトリエチルメチルアンモニウム又はエチルメチルピロリジニウムの少なくとも何れか一方であり、
    前記環状カーボネートはエチレンカーボネートであり、
    前記鎖状カーボネートはジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートであることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液。
  2. 前記第4級アンモニウムテトラフルオロボレートと第4級アンモニウムヘキサフルオロホスフェートの含有量の合計が15重量%以上40重量%以下であることを特徴とする請求項に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
  3. 前記鎖状カーボネートの含有重量の環状カーボネートの含有重量に対する比が1以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
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