以下、本発明に係る遊技機の一つの実施形態として、プリペイドカードを使ってメダルの貸出しを行うメダル貸出操作入力手段としてのCRユニット50を隣接して備えるスロットマシン1について説明する。ここで、図1は、スロットマシン1の本体とCRユニット50の前面外観構造を表した正面図である。また、図2は、スロットマシン1本体の前扉3を開放して筐体2内部の構造を表した図である。なお、CRユニット50は、後述するように、スロットマシン1の本体とシリアル通信を介して相互に通信可能に接続されている。
はじめに、図1を参照し、CRユニット50の前面には、プリペイドカードの挿入を受け付け、また装填されたプリペイドカードをカード返却操作に応じて排出するカード挿入口51が所定位置に形成されている。また、CRユニット50の前面には、それぞれ押圧式のボタンスイッチである貸出スイッチ52とカード返却スイッチ53が設けられている。
詳細は後述するが、貸出スイッチ52は、遊技者がメダルの貸出しを求めて操作入力(これを「貸出し操作」という)するための操作スイッチであり、CRユニット50のカード挿入口51に有効なプリペイドカードが挿入され、かつ、スロットマシン1が貸出し動作を許可した所定の状態にあるときに貸出スイッチ52が押圧操作されると、プリペイドカードのポイント残高の範囲内で、所定の貸出枚数のメダルが遊技者に貸出される。また、カード返却スイッチ53は、CRユニット50に装填したプリペイドカードの返却を求める操作スイッチであり、カード返却スイッチ53が操作入力されると、カード挿入口51からプリペイドカードが排出されて遊技者に返却される。
更に、貸出スイッチ52の上方部には、装填されているプリペイドカードが保有するポイント残高を数値表示するカード残高表示部54が設けられている。
なお、本実施形態では、メダルの貸出しに際して使用されるカードとして、メダルと交換可能な遊技価値をポイントとして磁気コード化し更新可能に記憶するプリペイドカードを例に説明するが、外部から電磁的にアクセス可能なICチップメモリが埋め込まれたICカードであってもよいし、また、カードの形態に限らず代替硬貨(ICコイン)等であってもよい。更には、ICタグ又はICメモリ等により会員の識別情報を記憶した会員カードであってもよい。
次に、スロットマシン1の本体は、遊技者側に面する側にいわゆるフロントマスクが形成された前扉3が、略矩形状の箱体である筐体2の開口側に対し、図示しない蝶番機構により開閉可能に取り付けられている。フロントマスクは、上から上パネル部、中パネル部、下パネル部に概ね分けられ、これらは化粧板として視覚効果を高めてデザインされた硬質プラスチックにより一体的に形成されている。また、下パネル部の下方には、メダルを貯留するための受け皿4aを備える受皿ユニット4が設けられている。
上パネル部には、高輝度の発光ダイオード(LED)を内蔵したコーナーランプ5a、5b及び上部ランプ5c等からなる効果ランプが配置され、リーチや大当たり等の際に点灯または点滅して遊技者の視覚に訴える演出を行っている。また、上パネル部の左右位置には、それぞれスピーカを内蔵した放音部6a、6bが形成され、効果音や楽音等によるゲームの演出を行っている。更に、各放音部6a、6bに挟まれる中央位置には、液晶表示ユニット7を備えてなる画像表示部が形成されている。
なお、液晶表示ユニット7は、ゲームの進行に応じて適宜選択される動画像を表示して当該ゲームにストーリー性を与えたり、また、ボーナスゲーム等の大当たりの際には、よりダイナミックな画像が表示されて、遊技者に高配当の期待感を引き起こしたりする等の演出を行っている。
中段の中パネル部には、中央に略長方形の透明な表示窓8aが形成されたアクリル製の中パネル8が取り付けられている。そして、この表示窓8aを通して、筐体内に設けられている円筒状の3個のリール10a、10b、10cを遊技者が目視できるように構成されている。
なお、各リール10a、10b、10cの周面には、複数の異なる種類を含む例えば21個の識別図柄がほぼ等間隔で配列され、表示窓8aに臨む縦3個、横3列の識別図柄が当該表示窓を通して遊技者に視認されるようになっている。
また、中パネル8には、背後に設けたランプ等を点灯させて、例えば内部抽選している入賞役を告知する告知表示部8bや、スロットマシン1にクレジット(内部貯留)されているメダル数や、入賞によって獲得したメダル数、又は入賞役への当選回数等の情報を数値表示する7セグLEDからなる数値表示部8cが、それぞれ表示窓8aの周辺に設けられている。
中パネル8の下方には、前方に若干突出した操作卓と呼ばれる卓状部が形成され、ここには、ゲームに使用するメダルを投入するための投入口を有するメダル投入部11と、ゲームの操作を指示するためのベットボタン12、スタートレバー13、及び3個のストップボタン14a、14b、14c等が配設されている。
ベットボタン12は、ゲームに賭けるメダルの枚数を提示するための押圧式のボタンスイッチである。スタートレバー13は、リール10a、10b、10cを一斉に回転させる指示をするためのレバースイッチであり、先端に球形の操作ノブを有するレバーを上下左右の何れかの方向に傾倒操作するとオン作動し、レバーから手が離されるとスプリングの付勢力によって自動的に元の位置に戻ってオフ作動するように構成されている。
ストップボタン14a、14b、14cは、各リール10a、10b、10cの回転停止を個別に指示するための押圧式のボタンスイッチであり、各リールの配列に対応してそれぞれ並設されている。
フロントマスクの下パネル部を構成するパネル17には、スロットマシン1のモデルタイプ等を遊技者へ認識させるための、例えば登場キャラクターの絵柄(不図示)などが印刷されて表示されている。
前扉3の最下部に設けられた受皿ユニット4には、入賞配当等によりメダルを受け皿4aへ払い出すための開口である配当払出口18と、貸出スイッチ52に対する貸出し操作入力に基づいて所定貸出枚数のメダルを払い出すための開口である貸出払出口19と、スピーカを内蔵しゲームの進行に応じて演出効果音を発生させる放音部20等が配設されている。
次に、図2を参照しながらスロットマシン1本体の内部構造を説明する。同図に示されるように、筐体2の内側の上部位置には、スロットマシン1の全体動作を統括制御する主制御基板21が取り付けられている。なお、主制御基板21は、CPU、ROM、RAM、その他周辺機器と通信する際の整合機能を有するインタフェース回路等の電子部品を実装するマイコンベースの制御基板であり、透明な基板ケースに収容されて筐体2内に離脱不能に固定されている。
筐体2内のほぼ中央には、3個のリール10a、10b、10cを軸方向に並設したリールユニット10が、前扉3側に形成される表示窓8aに対向して所定のフレームに設置されている。なお、各リール10a、10b、10cは、それぞれの回転軸に設けられたステッピングモータ402a、402b、402cにより回転駆動され、リールユニット10の上部に取り付けた図示しない回胴装置基板403を介して主制御基板21が4相の駆動パルス信号を各ステッピングモータ402a、402b、402cへ送出することにより、各リールの回転動作制御及び停止位置制御を行っている。
筐体2の底板部には、前面のメダル投入部11から投入されたメダルを貯留するとともに、入賞配当及び貸出しに際してメダルを払い出すメダル払出装置100が設置されている。なお、後述するように、本メダル払出装置100は、メダルを複数枚貯留できる概略椀形状のホッパー部110と、ホッパー部110に貯留したメダルを払い出すメダル払出部150とから構成されている。更に、スロットマシン1において入賞が成立し、例えばクレジットの上限を超えるメダルを配当する際にメダルを放出する配当出口111と、貸出し用のメダルを予めストックするために随時メダルを放出する貸出出口112とを有している。
メダル払出装置100に隣接する補助タンク24は、当該メダル払出装置100でオーバーフローしたメダルを回収するために設けられている。
また、筐体2の底部には、定電圧源からなる主電源装置26及びスロットマシン1に内蔵される各機器へ所要の電力を配電する電源装置基板25が共に同一の板金ケース内に収容されて配置されている。
次に、前扉3の裏面側には、その上部の位置に放音部6a、6bに対向するスピーカ31a、31bが取り付けられている。また、スピーカ31a、31bの間には、上述の画像表示部に画像を表示させる液晶表示ユニット7と、その背後にマイコンベースのサブ制御基板32が取り付けられている。サブ制御基板32は、上述した液晶表示ユニット7による演出映像の表示制御、上部ランプ5c及びコーナーランプ5a、5b等の効果ランプを使った照明制御、並びにスピーカを鳴動させ放音部6a、6b、20等を介した演出効果音制御など、ゲームの演出に係る制御を主に行う制御基板である。
サブ制御基板32の下方には、リール10a、10b、10cを透視させるための透明な表示窓8a等を中パネル8に形成してユニット化した中パネルユニット34が取り付けられている。また、中パネルユニット34には、リール10a、10b、10cの外周面を照射する冷陰極蛍光管及びこれを駆動するインバータ35と、スタートレバー13及びストップボタン14a、14b、14c等の操作スイッチ類の信号を筐体2側の主制御基板21へ中継する中央表示基板36等が組み付けられている。
中パネルユニット34の下方には、メダルセレクタ37が取り付けられている。メダルセレクタ37は、前面のメダル投入部11に投入されたメダルの適否を判別する装置である。また、メダルセレクタ37には、フォトインタラプタからなるメダルセンサ37aが搭載され、メダルセレクタ37が適正と判定し振り分けたメダルをメダルセンサ37aが検出することにより、主制御基板21に対してメダル受付信号を出力する。主制御基板21は、メダル受付信号を受信する毎にクレジットを加算しメモリに記憶することで、内部的にメダルを貯留する処理を行っている。
メダルセレクタ37の下方には、適正と判定し振り分けたメダルをメダル払出装置100のホッパー部110へ案内するメダル受入通路38aと、メダルセレクタ37により不適として排除され落下したメダル(または異物)を前面の配当払出口18へ案内するフローシュート38bが取り付けられている。
更に、図3において詳細に示されるように、前扉3の裏面側下方部には、筐体2側のメダル払出装置100の配当出口111から放出されたメダルを開口部42から受け入れて配当払出口18へ案内する配当払出通路41が設けられている。
また、メダル払出装置100の貸出出口112から放出されたメダルを開口部44から受け入れ、下方部に設けられた開閉装置45の開閉シャッター45aを閉じることで、メダルを複数枚貯留可能な貸出払出通路43が設けられている。そして、開閉シャッター45aを開放駆動することで、貸出払出通路43に貯留したメダルを前面の貸出払出口19へ案内し受皿ユニット4へ払い出すことができるように構成されている。
なお、ここでは、配当用と貸出し用のメダルの放出口を2箇所に形成し(配当出口111と貸出出口112)、貸出し用のメダルをストック(貯留)するため開閉装置45を貸出出口112近くに設けた実施形態を説明しているが、開閉装置45を貸出払出通路43の例えば中段の適宜の位置に設け、開閉シャッター45aを開放して放出したメダルと、配当の際に放出したメダルとを集合させて1箇所の払出口を介してこれらのメダルを受皿ユニット4へ払い出す構成でもよい。
また、前扉3の裏面側下方部には、上述した受皿ユニット4の放音部20に対向するようにスピーカ39が取り付けられている。
かかる構成のスロットマシン1は、先のゲームにおいて入賞しメダルの払い出しが完了した時、または先のゲームにおいてハズレが確定すると待機状態となる。この状態において、遊技者がメダル投入部11よりメダルを投入すると、そのメダルがクレジットに加算される。そして、ベットボタン12が押圧操作されることで、指示枚数分のクレジットを消費してメダルが当該ゲームに賭けられる。
当該ゲームにメダルが賭けられ、スタートレバー13が傾倒操作されると、主制御基板21は、リール10a、10b、10cを一斉に回転させ始める。同時に入賞役を内部的な処理で乱数抽選し(内部抽選)、その結果を抽選結果フラグ(メモリ)に記憶する。
次に、遊技者がストップボタン14a、14b、14cを任意の順番で押圧操作すると、主制御基板21はそれに従い順次対応するリールを停止させる。そして、全てのリール10a、10b、10cが停止した後、各リールに表示された図柄の組合せと、上述の内部抽選した入賞役に係る図柄の組合せとが一致しているか否か判定される。これらが一致したときには当該入賞が確定し、その入賞役の種類に応じた枚数のメダルがクレジットに加算され配当される。入賞の配当によりクレジットの上限を超える場合には、メダル払出装置100が作動してその超過した枚数分のメダルが配当払出口18より受皿ユニット4へ払い出される。
このように、スロットマシン1の遊技者は、リール10a、10b、10cを回転・停止させる遊技操作を行って、表示窓8aに変動表示した識別図柄が揃わなければ賭けたメダルを失うが、予め定められた組合せで識別図柄が揃い入賞が成立すると賭けた枚数以上のメダルを獲得し得るので、技量と運とによりメダルを増やすという興趣を伴った勝敗ゲームを楽しむことができる。
次に、メダル払出貸出装置100について詳細に説明する。上述したように、メダル払出貸出装置100は、メダルを複数枚貯留できる概略椀形状のホッパー部110と、配当用のメダルを放出する配当出口111と、貸出し用のメダルを放出する貸出出口112とを有するメダル払出部150とを備え構成されている。
ここで、図4〜図6を参照しながらメダル払出部150の構造を説明する。なお、図4は、メダル払出部150の回転捕捉板153の一部を破断して表した平面図、図5及び図6は、図4に示した回転捕捉板153を取り外し更に搬送路面155の一部を破断して表した平面図である。
メダル払出部150は、上述したホッパー部110が上部に取り付けられるユニット装置であり、ホッパー部110の底部に位置し当該ホッパー部110に貯留したメダルを捕捉する円孔である複数の捕捉孔153aが周方向に等配分された円板状の回転捕捉板153と、当該回転捕捉板153の下側面に当接する搬送板154とを備えている。
また、メダル払出部150は、傾斜する上面(ホッパー部110の底面に相当)に、段差155aを伴って陥没する搬送路面155が形成され、回転捕捉板153及び搬送板154が、回転軸151aを同軸に当該搬送路面155上を一体的に回転するように設けられている。すなわち、搬送路面155の裏面側下方部には、当該路面の法線方向を駆動軸方向に一致させた払出モータ151が設けられ、回転捕捉板153及び搬送板154が払出モータ151の回転軸(駆動軸)151aに直結して、一方向(図5及び図6参照)に回転するように構成されている。
回転捕捉板153の上面は、回転軸151aを頂部として緩やかな略円錐面となっている。回転捕捉板153に貫通するそれぞれの捕捉孔153aは、メダルよりも若干大きな開口径を有し、ホッパー部110に貯留する1枚のメダルを捕捉する。
搬送板154には、上述の捕捉孔153aと位置整合し、捕捉孔153aとほぼ同一の曲率を有する湾入部154aが形成され、また、相互に隣接する湾入部154a間の位置から半径方向に放射状に延びて回転方向とは逆方向に緩やかに曲がる押進突起154bが形成されている。
すなわち、回転捕捉板153の捕捉孔153aを介して湾入部154aに捕捉されたメダルは、払出モータ151を駆動することにより、押進突起154bに押圧されながら段差155aで画される搬送路面155上を周回するように搬送される。
また、搬送路面155の一端には放出路156が形成され、放出路156の一側にピンローラ157が設けられている。
図5及び図6において、一部が破断して省略される搬送路面155の裏面側には、放出アーム160が支軸161を中心に回動可能に取り付けられている。放出アーム160には、図示しない長孔を介して放出路156の路面内に突出するピンローラ162が設けられている。ピンローラ162は、放出アーム160が回動動作するに伴い、放出路156を挟んで対向するピンローラ157に対して近接する位置(閉じる側)及び離間する位置(開く側)に往復移動する。なお、放出アーム160は、コイルバネ170により、ピンローラ162が閉じる側に常時付勢されている。
また、搬送路面155の裏面側には、放出アーム160の回動位置を検出する2個のフォトインタラプタ152a、152bが設けられている。これらフォトインタラプタ152a、152bは、放出したメダルを1枚ずつ検出しカウントするためのメダルセンサ152を構成している。
また、放出路156は、配当出口111と貸出出口112とにそれぞれ連通する配当側放出路111aと貸出側放出路112aとが二股に分岐して形成されている。そして、放出路156のこれらの分岐位置には、メダルの放出先を配当出口111(配当払出通路41)側若しくは貸出出口112(貸出払出通路43)側の何れかに振り分ける振分機構が構成されている。
この振分機構は、一方側の放出路を閉鎖したとき他方側を放出路156に連通させる揺動可能なフラップ部材181と、フラップ部材181を揺動駆動する振分ソレノイド(電磁石)182と、フラップ部材181を、例えば配当側放出路111aを閉鎖して貸出側放出路112aを開放する側に引張弾性力を付与して付勢するコイルバネ183とを備えている。
つまり、常時は、コイルバネ183の引張弾性力により、メダルを放出する出口を貸出出口112に設定し、振分ソレノイド182を励磁駆動することでフラップ部材181を磁力吸引し、貸出側放出路112aを閉鎖する側に揺動移動させて、メダルの放出出口を配当出口111に設定するように構成されている。
かかるメダル払出部150の動作は次の通りである。メダル払出部150は、払出モータ151を駆動して搬送板154を回転させると、図5に示すように、湾入部154aに保持されたメダルMが搬送路面155上を放出路156に向けて搬送され、閉じ状態にある各ピンローラ157、162に当接する。
押進突起154bの押圧力がメダルMを介してピンローラ157、162に作用すると、放出アーム160に設けられたピンローラ162がコイルバネ170による引張方向の弾性力に抗しながら開く側に押し広げられる。このとき、コイルバネ170には、伸張による弾性エネルギーが蓄積される。
更に搬送板154が回転し、図6に示される位置に至ると、メダルMの中心がピンローラ157、162の各軸を結ぶ線を超え、この時コイルバネ170の収縮力がメダルMを放出する側に作用する。このため、コイルバネ170に蓄積された弾性エネルギーが一機に開放し、メダルMは、閉じる側に移動するピンローラ162により放出路156内に押し出される。
そして、押し出されたメダルMは、振分機構のフラップ部材181の揺動位置に応じて開放連通する側の放出路を通過して、配当出口111若しくは貸出出口112の何れかの放出口より外部へ放出される。
このときメダルセンサ152は、メダルMを1枚放出する際に往復回動する放出アーム160の位置を2個のフォトインタラプタ152a、152bがそれぞれ検知し、かかる一連の作動に基づいて論理判定することにより、1枚ごとのメダルの払い出しを検出する。
次に、図7に示すブロック図を参照しながら、スロットマシン1に設けられている制御システムの構成を説明する。
スロットマシン1の制御システムは、主制御基板21と、サブ制御基板32と、回胴装置基板403と、電源装置基板25と、中央表示基板36等の電気回路基板が配線ケーブルで相互に接続されている。
主制御基板21は、CPU211の他にROM212、RAM213等の半導体メモリからなる記憶部が備えられ、ROM212に予め記憶されているスロットマシンゲーム用のシステムプログラムに従ってCPU211が演算処理を実行することで、スロットマシン1全体の動作を統括して制御している。
CPU211には、一定周期(例えば1.87msec)のクロック信号を生成するクロック割込信号生成部214が接続され、毎回のクロック信号によるタイマ割込に同期して、スタートレバー13、ストップボタン14a、14b、14c、ベットボタン12等の操作入力信号、及びメダルセレクタ37に内蔵されたメダルセンサ37a等のセンサ信号を中央表示基板36を介して読み取っている。
また、主制御基板21には、発振素子及び当該発振素子で生成される短周期のパルス信号をカウントするメモリカウンタ素子とからなる乱数発生部215と、乱数発生部215のカウント値を取得するサンプリング部216とを有してなるハードウエア抽選回路が設けられている。CPU211は、所定の遊技操作に係るタイミングでサンプリング部216を介して乱数発生部215から乱数値を取得し、その乱数値に基づいて入賞役及び演出パターン等のテーブル抽選処理を行っている。
また、主制御基板21には、メダル払出装置100を使って貸出し用のメダルを所要の枚数、貯留確保できたか否かを、ストック動作の累計時間で判断するためのタイマ218が設けられている。
主制御基板21に配線接続されるサブ制御基板32は、上部ランプ5c及びコーナーランプ5a、5b等の光源であるLED等を点灯または点滅制御する照明制御部321と、音源データメモリ323から音源データを選択し復号化(再生)した音信号に基づいてスピーカ31a、31b、39を鳴動駆動する音響制御部322と、画像データメモリ325に記憶している演出画像データを適宜選択して画像制御基板71に出力する画像データ処理部324等の制御回路を主に有して構成されている。
なお、画像制御基板71は、VDP(Video Display Processor)及びフレームメモリやビデオRAM等を搭載しており、画像データ処理部324から供給される画像データに基づき、一部、動画の表現方法に応じてマージ等の編集を加えた後ビデオ信号を生成し、液晶表示ユニット7において演出用の動画像を表示する制御を行っている。
また、主制御基板21には、専用のCRUインタフェース回路217を介してCRユニット50がシリアル通信可能に接続されている。
CRユニット50には、当該ユニットを動作制御するCR制御基板501と、カード挿入口51から挿入されたプリペイドカードに記憶されているデータの読み取り及び書き込み(更新)等の処理を行うカードRW部502と、上述した貸出スイッチ52及びカード返却スイッチ53、及びカード残高表示部54等が設けられている。
主制御基板21のCPU211は、CRUインタフェース回路217を介して、貸出スイッチ52及びカード返却スイッチ53からの操作入力信号、カードRW部502が読み取ったプリペイドカードのポイント残高等の状態信号を受信している。
また、主制御基板21のCPU211は、各リール10a、10b、10cの回転駆動源であるステッピングモータ402a、402b、402cに対し、上述のクロック割込信号に基づいて生成される4相の駆動パルス信号を、回胴装置基板403により電流増幅して供給している。そして、CPU211は、各リールに設けられた基準位置センサ401a、401b、401cから作動信号を受信する毎にその位置データを校正(リセット)し、これを基準に送出した駆動パルス信号に基づいて、正確に各リールの回転位置制御を行っている。
また、主制御基板21には、電源装置基板25を経由して、主電源装置26及びメダル払出装置100が接続されている。
主制御基板21のCPU211は、リール10a、10b、10cが表示した図柄が所定のラインに揃う等の入賞役が成立したと判定したとき、その役に応じた枚数のメダルを遊技者に配当する。配当は、クレジットを加算することで行われるが、クレジットを加算した結果その上限(最大枚数)を超える分については、メダル払出装置100を作動させて超過分のメダルを受け皿4aへ払い出している。
すなわち配当によりメダルを払い出す際には、CPU211は、メダル払出装置100の振分ソレノイド182を励磁駆動しフラップ部材181を揺動移動させて、メダルの放出先を配当払出通路41側に設定する。そして、払出モータ151を回転駆動し、メダルセンサ152の作動に基づいてカウントした払い出し枚数が予定の枚数となった時、当該払出モータ151の駆動を停止させる。
また、貸出し操作によりメダルを払い出す場合には、スロットマシン1がメダルの配当の可能性のない状態(後述する状態A)のときに、メダルの放出先を貸出払出通路43側に設定しておき、上述した配当動作と同様の制御で貸出しに要する枚数(貸出枚数)のメダルを予め貸出払出通路43にストックしておく(図10参照)。そして、貸出しを許可する状態(準備完了状態)で貸出スイッチ52が操作入力されるに応じて、開閉装置45の開閉シャッター45aを開放駆動し、これにより貸出払出通路43にストックしたメダルを貸出払出口19から受け皿4aへ払い出している(図11参照)。
ここで、図8は、メダル払出装置100を使ったメダルの払い出し制御動作を表したフローチャートである。図8に示される実施形態の払い出しの制御は、主制御基板21に搭載された払出制御プログラムにより演算実行されるものであるが、かかる払出制御手段をサブ制御基板32やその他の専用の制御装置で実現してもよい。
また、図9は、スロットマシン1の1ゲームサイクルの状態推移を概念的に表した図である。図9によれば、スロットマシン1は、先のゲームにおいて入賞しメダルの払い出しが完了した時、または先のゲームにおいてハズレが確定すると、当該ゲームの開始となる。
スロットマシン1のゲームサイクルにおいては、まず、当該ゲーム開始からスタートレバー13に対するリールの回転開始操作入力があるまでメダル投入受付を許可する状態(I)にある。
リール10a、10b、10cの回転が開始して一定の速度に到達するまでの期間を回転加速状態(II)とし、全リールが一定の周速で回転し最初のストップボタン14a、14b、14cが押圧操作される第1停止操作入力までをリールの定速回転状態(III)としている。
そして、最初の停止操作入力から全てのリール10a、10b、10cが停止して入賞判定がされるまでの期間を停止操作状態(IV)とし、入賞が成立したときにメダルの払い出し動作が完了するまでの期間を配当払出状態(V)としている。
また、本明細書では、上述の停止操作状態(IV)と配当払出状態(V)とを合わせた期間をメダルの配当払い出しの可能性がある状態Bと定義している。その一方で、状態Bを除くメダルの配当払い出しの可能性がない状態を状態Aと定義している。
そして、スロットマシン1が上述の状態Aにあるときには、メダル払出装置100の振分機構によるメダルの放出先が貸出払出通路43側に設定され、また開閉シャッター45aが閉塞して貸出払出通路43へのメダルの貯留が可能な状態に設定されている。一方、状態Bにあるときには、振分機構によるメダルの放出先が配当払出通路41側に切り換え設定される。
なお、上述の定義では、メダルの配当払い出しの可能性がある状態Bの開始時点を最初の停止操作入力時としているが、これは便宜上の定義であって限定的でなく、例えば2回目の停止操作入力時を状態Bの開始時点としてもよく、または回転開始操作入力時若しくは最初の停止操作入力時から起算して所定時間経過時を状態Bの開始時点としてもよい。
このように、状態Aが初期の状態であることを前提にして、図8に示されるように、主制御基板21のCPU211が、リール10a、10b、10cの定速回転状態(III)中に何れか最初のストップボタン14a、14b、14cの操作入力を検知すると(ステップS1:YES)、上述したようにスロットマシン1はメダルの配当払い出しの可能性がある状態Bに遷移する。
この状態BでCPU211は、メダル払出装置100の振分ソレノイド182を励磁駆動してフラップ部材181を揺動し、メダルの放出先を配当払い出し(配当払出通路41)側に切り換え設定する(ステップS2)。
そして、ストップボタン14a、14b、14cが押圧操作され全てのリール10a、10b、10cが停止した後(ステップS3:YES)、入賞判定が行なわれる(ステップS4)。
CPU211は、何れかの入賞が成立したと判定すると(ステップS4:YES)、メダル払出装置100を作動して、例えばクレジットの上限を超える枚数のメダルを配当払出口18から払い出す(ステップS5)。
そして、状態Bの終了と同時に振分ソレノイド182の励磁を停止して、メダルの放出先を貸出払い出し(貸出払出通路43)側に戻す(ステップS6)。
ステップS4で、CPU211は、何れの入賞も成立していないと判定すると(ステップS4:NO)、その時点で状態Bが終了し、振分ソレノイド182の励磁を停止してメダルの放出先を貸出払い出し側に切り換える(ステップS6)。
ステップS6と同時に状態Bが終了し、若しくはステップS1で最初のストップボタン14a、14b、14cの操作入力が検知される前の状態Aにおいては、CPU211は、まずステップS7において貸出準備完了か否かを判定する。
具体的には、スロットマシン1が状態Aにときにメダル払出装置100により貸出払出通路43へ断続的にストックしたメダルの枚数を、CPU211がメダルセンサ152の作動回数を積算することで求め、そのストック枚数が1回の貸出しに要する枚数(所定貸出枚数)に至っている場合に貸出準備完了と判定する。
CPU211は、貸出準備完了と判定したとき(ステップS7:YES)、貸出スイッチ操作受付可能とする。すなわち、貸出準備完了の状態で、且つ上述の状態Aのときに貸出スイッチ52の操作入力を検知すると(ステップS8:YES)、ステップS9において開閉装置45を駆動して開閉シャッター45aを一定時間開放し、貸出払出通路43にストックしておいたメダルを受皿ユニット4の受け皿4aへ払い出す(図11参照)。
スロットマシン1が状態AにときにCPU211が貸出準備完了と判定しなければ(ステップS7:NO)、貸出スイッチ操作受付不可とし、所定の単位作動時間(例えば5秒、または払出モータ151の所定回転量や所定駆動ステップ数で換算してもよい)だけメダル払出装置100を作動させる。そして、このときメダルセンサ152を介して放出メダルをカウント積算しながら貸出払出通路43へ供給してストックさせる(ステップS10)。
そして、ゲーム毎に繰り返される状態Aの間に単位作動時間に分けてストックした回数を繰り越し加算して累積値(例えばストックの累積時間=作動回数×単位作動時間)を求め、その累積値が所定のタイムアウト時間の経過を示した場合には(ステップS11:YES)、CPU211は、1回の貸出しに要する所定貸出枚数のメダルを予備として貸出払出通路43にストックできなかったと判断し、ステップS12においてメダル不足信号(エンプティエラー)を島端や中央の管理コンピュータ(ホールコンピュータ等)へ出力する。これにより、管理者等にメダルの補給を促す等することができる。また、メダル不足を判定したとき、例えばスロットマシン1の上部ランプ5c等を点滅等して周囲に報知してもよい。
なお、状態Aにときに貸出払出通路43に断続的にストックさせた累積時間が上記所定時間の経過を未だ示さず(ステップS11:NO)、また所定貸出し枚数のメダルも未だストックしていない状態にあれば(ステップS7:NO)、ステップS10において再び単位作動時間だけメダル払出装置100を作動させて、貸出払出通路43へのメダルのストックを再試行する。
このように、本実施形態のスロットマシン1によれば、配当用と貸出し用のメダルの放出口(配当出口111、貸出出口112)をそれぞれ有したメダル払出装置100を採用し、スロットマシン1の遊技進行に基づいてメダルの配当の可能性がない状態Aのときに、断続的に貸出払出通路43内に貸出し用のメダルを予めストックさせておく。これにより、メダルの貸出し動作中にメダルが不足するといった事態が回避され、未払い等の無用の混乱を招くこともない。
また、貸出し用として貸出払出通路43内に断続的にストック動作させた累積時間の経過を監視することにより、事前に貸出し用のメダルの不足を検知することができる。したがって、貸出し用のメダル不足に対応して、例えばゲームを中断、停止等させることなくメダルを補給する等の措置を迅速に行うことができるようになる。
また、スロットマシン1がメダルの配当払い出しの可能性がない状態Aのときと、配当払い出しの可能性がある状態Bの場合に応じてメダル払出装置100の振分機構を切り換えるため、配当の払い出し動作と競合することなく貸出し用のメダルを予めストックすることができる。