JP4844866B2 - フェライト焼結体 - Google Patents
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Description
六方晶フェライトを主体とするフェライト焼結体中のNa含有量を該範囲とすることで白色物の生成が抑制される。なお、白色物生成抑制の観点からはNaの含有量は少ないほど好ましいので下限を特に限定するものではないが、必要以上にNaを低減することは工程の煩雑化・製造コストの増加を招くので、かかる観点からはNaの含有量は0.001wt%以上、より好ましくは0.005wt%以上とするのがよい。なお、Z型またはY型の六方晶フェライトを主体とするとは、粉末X線回折において最も強度の高いピークがZまたはY型フェライトのメインピークであること意味する。
本発明の六方晶フェライトを主体とするフェライト焼結体は、従来からの粉末冶金的手法を応用することで製造することができる。すなわち、Ba、CoおよびFeをそれぞれ含有する素原料を混合する混合工程と、前記混合工程によって得られた混合粉を仮焼する仮焼工程と、前記仮焼工程によって得られた仮焼粉を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程によって得られた粉砕粉を成形する成形工程と、前記成形工程によって得られた成形体を焼結する焼結工程とを有する製造方法である。ここで混合は、例えば水を媒体としてボールミル、アトライタ等を用いて湿式で混合すればよい。仮焼は例えば電気炉等を用いて、大気中、酸素中等の雰囲気で行う。仮焼後の粉砕は水を媒体としてボールミル、アトライタ等を用いて湿式で粉砕する。湿式粉砕終了後は、粉砕粉は通常そのまま乾燥される。粉砕粉は、造粒を経た後成形され、大気中、酸素中または酸素量を制御した雰囲気中などで焼結される。
以下、本発明に係る六方晶フェライトを主体とするフェライト焼結体について具体的に説明する。先ず、主成分組成が表1のような割合となるよう、酸化鉄Fe2O3、炭酸バリウムBaCO3、酸化コバルトCo3O4を秤量し、水を媒体として湿式ボールミルにて16時間混合した。使用した素原料は、Fe2O3は戸田工業製PF−3400、BaCO3はNaの含有量が0.05wt%以下である堺化学工業製BW−KS、Co3O4はNaの含有量が1wt%以下であるOMG KOKKOLA CHEMICALS製71/72であり、Fe2O3、BaCO3及び、Co3O4が不純物として含有するNa量はそれぞれ0.01wt%、0.001wt%、0.7wt%である。なお、不純物として含有するS量はそれぞれ0.1wt%、0.01wt%未満(検出されず)、0.04wt%であった。素原料と水からなるスラリーを140℃の乾燥機に入れて12時間乾燥した。次にこれを大気中1100℃で2時間仮焼して仮焼粉となした後、この仮焼粉を水を媒体として湿式ボールミルにて18時間粉砕した。得られた粉砕粉のスラリーは、140℃の乾燥機に入れて12時間乾燥した。乾燥後の粉砕粉にバインダー(PVA)を添加し、造粒した。造粒後リング状に圧縮成形し、その後、酸素雰囲気中1280℃で3時間焼結した。得られた外径25mm、内径15mm、高さ5mmのリング状焼結体の25℃における初透磁率を測定した。初透磁率μiは、リング焼結体に20回の巻き線を施し、インピーダンス・ゲインフェイズアナライザー4194A(Yokogawa・Hewlett・Packard社製)を用いて周波数100kHzで測定した(以下、特に断らない限り初透磁率とは100kHzで測定した値を指すものとする)。また、得られた試料の含有Na量は、焼結体を酸に溶解し、それをICPで分析した。なお、焼結体密度は水中置換法で測定し、焼結体の構成相は粉末X線回折法で確認した。X線回折の結果、Z型フェライトのメインピークが最も大きく、焼結体は主にZ型フェライトで構成されていることがわかった。含有Na量や磁気特性の評価結果を表1に示す。なお、これらの試料について、そのリング焼結体を中心で2分割に切断し、切断面に導電材であるドータイトを塗布し絶縁抵抗計(アドバンテスト社製)を用いて体積抵抗率を測定したところ、1×104Ω・m未満の体積抵抗率であった。表1に示すように、焼結体中のNa含有量は、0.08wt%以下の低い値を示した。また、表面が焼結面のみで構成されている,すなわち、焼結ままの実施例1の焼結体を5日間大気中で放置したが、焼結体表面白色物の生成は認められず、良好な表面状態を維持していた。
素原料の炭酸バリウムBaCO3としてNaの含有量が0.05wt%を超える堺化学工業製BW−P、酸化コバルトCo3O4としてNaの含有量が1wt%を超えるumicore製Cobalt Black Oxide ORを用いた以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。BaCO3とCo3O4に不純物として含有するNa量はそれぞれ0.139wt%、1.1wt%である。なお、不純物として含有するS量はそれぞれ0.04wt%、0.02wt%であった。X線回折の結果、Z型フェライトのメインピークが最も大きく、焼結体は主にZ型フェライトで構成されていることがわかった。含有Na量や磁気特性の評価結果を表1に示す。表1に示すように、焼結体中のNa含有量は、0.08wt%を超える高い値を示した。また、初透磁率はNa含有量の少ない実施例1に比べて高い値を示した。しかし、表面が焼結面のみで構成されている,すなわち、焼結ままの比較例1の焼結体を5日間大気中で放置したところ、焼結体表面に白色物が生成していることが確認された。白色物をエネルギー分散型X線分光器EDXで分析したところ、Naが94.5wt%、Siが3.7wt%、Feが1.8wt%であり、Na含有量が90%を超えるNaリッチな相であることがわかった。
主成分組成が表1のような割合となるよう、酸化鉄Fe2O3、炭酸バリウムBaCO3、酸化コバルトCo3O4を秤量し、この主成分に対しMn3O4、SiO2をそれぞれ3.0wt%、0.13wt%添加し、さらにNa2CO3添加量を変え、それ以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。使用した素原料は、実施例1と同じである。なお、実施例2は積極的にNa2CO3を添加していないものである。X線回折の結果、Z型フェライトのメインピークが最も大きく、焼結体は主にZ型フェライトで構成されていることがわかった。含有Na量や磁気特性の結果は表1に示した。Na含有量が増えると初透磁率が増加する傾向を示す。表面が焼結面のみで構成されている,すなわち、焼結ままのNa含有量が0.03wt%の焼結体を5日間大気中で放置したが、焼結体表面白色物の生成は認められず、良好な表面状態を維持していた。しかし、Na含有量が0.10wt%、0.20wt%のものは、5日間大気中で放置したところ、焼結体表面に白色物が生成していることが確認された。また、これらの試料について、焼結体からのNaの溶出試験として、焼結体の一部約1gを30mlの純水に入れ、100℃で30分保持した後、純水中に溶け出したNa量をICPで分析し、焼結体重量に対する溶出量を算出した。結果を表2に示すが、Na含有量が0.10wt%以上のものはNaの溶出量が5ppm超と高いのに対して、Na含有量が0.03wt%の試料は、溶出量が0.3ppmであり、低Na溶出性、高安定性を示した。この含有Na量とNa溶出量との関係は三次関数でほぼフィッティングできる。なお、これらの試料について、そのリング焼結体を中心で2分割に切断し、切断面に導電材であるドータイトを塗布し絶縁抵抗計(アドバンテスト社製)を用いて体積抵抗率を測定したところ、1×104Ω・m以上の非常に高い体積抵抗率を示した。
主成分組成が表1のような割合となるよう、酸化鉄Fe2O3、炭酸バリウムBaCO3、酸化コバルトCo3O4を秤量し、この主成分に対しMn3O4、SiO2、Li2CO3をそれぞれ3.0wt%、0.13wt%、0.4wt%添加し、それ以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。使用した素原料は、実施例1と同じである。X線回折の結果、Z型フェライトのメインピークが最も大きく、焼結体は主にZ型フェライトで構成されていることがわかった。含有Na量を表1に示すが、CoOが9モル%、BaOが19.2モル、残部Fe2O3の組成である実施例3では含有Naが少なく、かつ焼結体密度が特に高い焼結体が得られている。特に化学量論組成よりも、大幅にCoプアーな組成とすることで、含有Na量が大幅に少なくできることが分かる。表面が焼結面のみで構成されている,すなわち、焼結ままの実施例3の焼結体を、焼結体を5日間大気中で放置したが、焼結体表面白色物の生成は認められず、良好な表面状態を維持していた。
Claims (2)
- BaO:18.2〜21mol%、CoO:6〜11.5mol%、残部Fe2O3からなるZ型の六方晶フェライトを主体とするフェライト焼結体であって、
前記主成分に対してLiとSiの少なくとも一方を、LiはLi2CO3換算で0.2〜1.0wt%、SiはSiO2換算で0.05〜0.5wt%の範囲で含み(ただし、CaOまたはPbOが含まれる場合を除く。)、Naの含有量が0.001wt%以上0.08wt%以下で、
焼結体表面が焼結ままの焼結面のみで構成されていることを特徴とするフェライト焼結体。 - 前記主成分に対してMnをMn3O4換算で0.05〜5wt%含むことを特徴とする請求項1に記載のフェライト焼結体。
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