JP4844730B2 - 金属被覆ポリイミド基板の評価方法 - Google Patents
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Description
特に上記スパッタ及びめっき法によって形成された金属被覆ポリイミド基板を用いて得られるCOFは、金属層の薄膜化が容易であり、また、ポリイミドフィルムと金属被膜の界面を平滑に維持しながら十分な密着強度を得る技術が確立されているため、回路のファインピッチ化に適しており、インナーリード部で30μmピッチのCOFの量産が開始され、さらに20〜25μmピッチのCOFの開発が進んでいる。
一般に、金属被覆ポリイミド基板を用いてCOFのリードを形成する際には、リード形成時に加わる熱履歴等を加味してフォトレジスト露光用マスクに形成されたパターン寸法に一定の補正を行う。これは、ICチップとの接合時、および液晶パネルとの接合時までに加わる熱履歴等によってリード間隔が変化する量をあらかじめ予測し、剥離を防止するために行われるものである。ここで、リード間隔が変化する要因としては、ポリイミドフィルムや金属被膜、およびソルダーレジスト等、COF構成部材の熱膨張、熱収縮などの変形によるものであるが、かかる熱による変形は、ある意味当然生じる現象であり、この変形量を試験的にある程度把握することができる。
しかし、問題はこの変形量が一定しないこと、即ちばらつくことであり、該変形量のばらつきが大きく、かつリード間隔がファインピッチになるほど前述の剥離の危険性が高まる。
また、このようなばらつきの発生原因は、ポリイミドフィルムに関して言えば成膜時の熱履歴、および延伸のばらつき、およびフィルムの厚さのばらつきが主要因であり、また、ソルダーレジストに関して言えば、厚さのばらつきが主要因である。
しかしながら、上記残留応力による変形をあらかじめ想定して前述の補正を行っても、COFリード部とICチップ、液晶パネルとの接合の際に剥離が生じる場合があった。
これは、めっきで形成された金属被膜、特に銅被膜がめっき後室温環境下でも再結晶が進行することによって被膜中の残留応力が変化し、基板の変形に至るものと考えられる。但し、この再結晶化は、めっきの際の種々の条件によってその進行度合いが異なり、予め予測することは極めて難しいのが実情であった。
つまり、銅めっき被膜は再結晶化によって微細な結晶粒子が巨大化する。そうすると、結晶粒界が減少するため電気抵抗が減少する。従って、本発明者は、かかる電気抵抗の変化により、銅めっき被膜の再結晶挙動を推察することが可能であることに着目した。
ここで、150℃で5時間の熱処理を金属被覆ポリイミド基板に対し施すこととしたのは、金属被覆ポリイミド基板がCOFとして加工され、ICチップ、および液晶パネルと接合されるまでに加わる熱履歴に相当する熱履歴を加えることによって、銅めっき被膜の再結晶化に伴って生じる比抵抗の変化を測定し、これによって実際にICチップ、および液晶パネルと接合された際の基板変形によるCOFリード剥離の危険性を推定することが可能となるためである。
熱履歴を付加する前後の比抵抗の変化率が20%以下であると、熱履歴による銅めっき被膜の再結晶による基板変形量が極めて微小になるためより好ましいからである。
一方、比抵抗の変化率が30%を超える場合は、熱履歴に伴う再結晶化、再結晶化による基板変形量は大きく、かつばらつきの要因となるため、この状態では接合時の信頼性は得られない。
銅被膜の厚みが0.1μm未満では、薄膜すぎて本発明による効果が得難くなり、一方、10μmを超えた場合は、銅めっき被膜中の再結晶化の進行度合いが被膜中でばらつくようになり、より強い熱履歴を付加しなければ比抵抗の変化率での管理は難しくなるため実用性に劣ることとなる。
また、銅被膜の厚みが5〜8μmの範囲だと、負荷した熱履歴の強度と銅めっき被膜の再結晶化による基板変形量、および再結晶化に伴う比抵抗値の変化に良い相関が得られるため、COFリード接合時の剥離問題の危険度合いをより確実に推定することが可能であるため、より好ましい。
一方、金属被膜中の銅めっき被膜の割合が70%以下であれば、熱履歴による再結晶化によって基板が変形する程度は小さくなるため、本発明による効果が得難くなる。
しかしながら、これはポリイミドフィルム種と厚みはそれぞれ影響するため、本発明においては限定することができない。この意味においても、本発明のように、金属被覆ポリイミド基板に対し熱処理を行った前後の比抵抗の変化率により特定する意義がある。
尚、一般的に本発明において適用されるポリイミドフィルム種としては、東レ・デュポン社製Kapton EN、宇部興産社製 Upilex sを用い、厚さとしては25〜50μmであれば好都合である。
ポリイミドフィルムとしてKapton 150EN(東レ・デュポン製)を用い、真空度0.01〜0.1Paに保持されたチャンバー内で150℃、1分間の加熱処理を行った。引き続き、クロムを20重量%含有するニッケル-クロム合金ターゲット、および銅ターゲットを用い、ポリイミドフィルム表面に厚さ20nmのニッケル-クロム合金層、および厚さ100nmの銅層を形成した。その後、硫酸を180g/L、硫酸銅を80g/L、塩素イオンを50mg/L、および銅めっき被膜の平滑性等を確保する目的で有機添加剤を所定量添加しためっき液を使用し、種々のめっき条件で厚さ8μmまで電気めっき法によって銅被膜を形成した。
従って、本発明の実施例に係る金属被膜は、ニッケル、クロム、銅から構成され、また、本発明の実施例に係る銅被膜は、スパッタ及びめっき法によって得られた銅から構成されることとなる。
得られた金属被覆ポリイミド基板の一部を150℃大気中に5時間保持した前後の金属被膜の比抵抗を測定し、その変化率を求めた。また、得られた金属被覆ポリイミド基板を用いて、サブトラクティブ法によりインナーリード部が25μmピッチ、アウターリード部が40μmピッチのリードパターンを形成し、リード表面に無電解めっき法によって錫被膜を厚さ0.6μm形成した。その後、錫めっき被膜におけるウイスカー発生を抑制することを目的として120℃、60分の熱処理を行い、さらに所望な部分に厚さ10μmのソルダーレジスト層を形成し、これを熱硬化させることを目的として120℃で2時間熱処理を行った。以上の処理後、インナーリード部とICチップのパッド部を接合させるために、接合部を420℃で1秒間熱圧着し、さらにICチップおよびその周辺部に熱硬化型樹脂を塗布し、150℃で3時間熱処理を行うことによってICチップを樹脂封止した。更にその後、アウターリード部と液晶パネルITO電極とをACF接合するため、接合部を200℃で5秒間熱圧着した。以上の処理を行った後、インナーリード部およびアウターリード部の接合部を観察し、剥離等の不良発生率を求めた。
表1に金属被覆ポリイミド基板の150℃、5時間の熱履歴前後での比抵抗変化率と接合部の不良発生率との関係を実施例1〜4,比較例1〜3として示す。
Claims (1)
- ポリイミドフィルムの少なくとも片面にスパッタリング及び/又はめっき法により金属被膜が形成された金属被覆ポリイミド基板の評価方法であって、
前記金属被膜中の銅被膜の厚みが0.1〜10μmであり、且つ、前記金属被膜中の銅被膜の存在比が膜厚比70%以上であり、
前記金属被覆ポリイミド基板に対し150℃、5時間の熱処理を行った前後の比抵抗の変化率が30%以下である、
ことを特徴とする金属被覆ポリイミド基板の評価方法。
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