JP4844548B2 - 運転支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車車間通信を利用して得られる他車両の情報を自車両の運転者に通知する運転支援装置に関するものである。
従来、交差点等における車両同士の衝突を防ぐため、自車両の周囲に存在する他車両から無線通信によって得られる情報を利用して、自車両の運転者に他車両の存在を警告する装置が提案されている(特許文献1参照)。この装置によれば、他車両から得られる現在位置や進行方向や走行速度の情報に基づき、接近している他車両の存在を自車両の運転者に警告することで、車両同士の衝突を防止することができる。
しかしながら、このような装置では、複数の車両が重複したタイミングで情報の送信を行うと、それらの送信信号が互いに干渉するため、送信信号の表す情報が得られず、車両の存在を運転者に警告できない問題が生ずる。
そこで、こうした問題を解決するため、車車間通信を行う際の送信信号の干渉を防止する車両間通信システムが提案されている(特許文献2参照)。この車両間通信システムでは、所定のエリア内に存在する代表車両の送信する送信順序データに従ってそのエリア内に存在する他車両が送信を行うことで、車車間通信を行う際の送信信号の干渉を防止する。
特開平4−290200号公報 特開2007−110359号公報
しかしながら、前述した車両間通信システムでは、車両情報のデータを送受信する無線信号の周波数に加えて、送信順序データを送受信する無線信号の周波数を別に設定する必要がある。しかも、所定のエリア内に進入した車両は、まず代表車両に送信要求を送信し、その送信要求に基づき代表車両が送信順序を決定する必要があるため、進入車両は、その送信順序データを受信するまでは自車両の位置情報を送信することができず、情報を迅速に伝えることができないという問題がある。
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、複数の車両から重複したタイミングで無線信号が送信され、無線信号が互いに干渉した場合にも、各車両の存在を報知することのできる運転支援装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の運転支援装置は、車両に搭載され、他車両(自車両以外の車両)から送信される無線信号を受信してその存在を自車両(当該運転支援装置の搭載された車両)の運転者に通知するものである。
具体的には、この運転支援装置では、受信手段が、他車両からの無線信号を受信する。そして、所望車両位置検出手段が、受信手段により非受信状態から受信された無線信号(所望信号)に基づき、その所望信号の送信元である他車両(所望車両)の位置を検出する。例えば、無指向性アンテナを備えた受信手段により受信された所望信号を周波数変換及び復調等することにより、所望車両の位置情報に変換する。
また、この運転支援装置では、受信手段により所望信号の受信中に所望車両とは別の他車両からの無線信号(干渉信号)が受信された場合には、干渉車両位置推定手段が、その干渉信号の強度に基づき、その送信元である他車両(干渉車両)の位置を推定する。なお、干渉車両位置推定手段が推定する位置は、詳細な位置に限定されるものではなく、例えば、他車両が存在する可能性の高いエリアや方向といった概略的な位置であってもよい。
そして、この運転支援装置では、報知手段が、所望車両位置検出手段により検出された所望車両の位置及び干渉車両位置推定手段により推定された干渉車両の位置を報知する。なお、所望車両及び干渉車両の位置の報知は、例えば、音声、画像、ランプの点灯等により行うことができる。
このような運転支援装置によれば、複数の他車両から重複したタイミングで無線信号が送信され、無線信号が互いに干渉した場合にも、各他車両の存在を報知することが可能となる。
例えば、請求項2に記載の運転支援装置では、干渉車両位置推定手段は、所望車両位置検出手段により検出された所望車両の位置と、受信手段により受信された所望信号及び干渉信号の強度とに基づき、干渉車両の位置を推定する。
このように、所望車両の検出位置を利用して干渉車両の位置を推定することで、干渉信号の強度のみに基づき干渉車両の位置を推定する場合に比べ、干渉車両の位置を精度よく推定することが可能となる。
具体的には、例えば請求項3に記載のように、干渉車両位置推定手段は、所望車両位置検出手段により検出された所望車両の位置に基づき所望車両の自車両からの距離を算出するとともに、干渉車両が所望車両よりも近くに存在するか否かを、所望信号の強度と干渉信号の強度との比に基づき判定するとよい。例えば、所望信号の強度と干渉信号の強度との比(所望信号の強度/干渉信号の強度)がある所定の値よりも小さい場合には、干渉車両は所望車両よりも近い位置に存在すると判定される。
このようにすれば、報知手段は、干渉車両位置推定手段により干渉車両が所望車両よりも近くに存在すると判定された場合に、算出した距離の範囲内に干渉車両が存在すること(つまり干渉車両の存在範囲)を報知することができる。
また、例えば請求項4に記載のように、干渉車両位置推定手段は、干渉車両が所望車両よりも近くに存在しないと判定した場合には、干渉信号の強度が所定の干渉信号判定しきい値よりも大きいか否かを判定するとよい。このようにすれば、報知手段は、干渉車両位置推定手段による干渉信号の強度が干渉信号判定しきい値よりも大きいか否かの判定結果に応じて、干渉車両の存在の有無を報知することができる。
なお、干渉信号判定しきい値は、例えば、自車両を中心とする所定の範囲(報知をすべき範囲)に干渉車両が存在すると推定される干渉信号強度とすることができ、例えば自由空間伝搬や2波大地反射伝搬等を仮定した場合の信号強度の減衰量を求める式等を用いて算出することができる。
ところで、他車両から送信される無線信号の強度は、例えばその無線信号がビル等の反射により受信される場合には、直接受信される場合に比べて小さくなる。このため、無線信号の強度に基づきその無線信号の送信元である他車両までの距離を推定する場合には、無線信号が直接受信された場合と反射等により受信された場合とでは推定結果が異なってしまう。
そこで、請求項5に記載の運転支援装置では、干渉車両位置推定手段は、所望信号の強度が、所望車両の自車両からの距離に基づき算出される所望信号判定しきい値以下であると判定した場合には、所望信号の強度と干渉信号の強度との比に基づく判定を行わない。ここで、所望信号判定しきい値は、例えば、所望車両と自車両との距離から推定される信号強度の減衰量から算出する値とし、反射や回折等の伝搬路の影響により所望信号強度が著しく減衰した場合には、所望信号の強度が所望信号判定しきい値以下であると判定されるようにする。
このような運転支援装置によれば、実際とは大きく異なる推定結果が得られることを事前に防止することができる。
一方、請求項6に記載の運転支援装置では、受信手段は、複数の指向性アンテナを備えており、干渉車両位置推定手段は、複数の指向性アンテナにより受信された干渉信号の強度に基づき、自車両を基準とした干渉車両の存在方向を推定する。このような構成によれば、報知手段は、干渉車両の位置としてその存在方向を報知することができる。
具体的には、例えば、各指向性アンテナにより受信された無線信号ごとに、干渉信号が含まれるか否かを判定し、干渉信号が含まれると判定した場合には、所望信号の強度とともに干渉信号の強度を出力する。各指向性アンテナの指向性が十分に分離されている場合、指向性アンテナごとの所望信号及び干渉信号の強度は異なる値をとり、所望信号が到来した方向により大きい利得を持つアンテナほど所望信号の強度は大きく、干渉信号が到来した方向により大きい利得を持つアンテナほど干渉信号の強度は大きくなる。このため、これら複数の所望信号及び干渉信号の強度の値を比較することで、干渉信号の到来方向を決定し、決定結果から干渉車両の存在方向を推定することができる。
さらに、請求項7に記載のように、干渉車両位置推定手段が、地図データを記憶する地図記憶手段を備え、地図データに基づき干渉車両の存在する道路を推定するようにしてもよい。このようにすれば、報知手段は、干渉車両位置推定手段により推定された干渉車両の存在する道路を干渉車両の位置として報知することができる。
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の運転支援装置100の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、この運転支援装置100は、自車両情報作成部101、送信部102、無指向性アンテナ103、受信部104、自車両位置取得部105、所望車両位置取得部106、干渉信号検出部107、干渉車両位置推定部108、及び情報提供部109を備えている。
自車両情報作成部101は、自車両に関する車両情報を作成する。ここで、車両情報とは、例えば、位置情報(現在位置を表す情報)、速度情報(走行速度を表す情報)、移動方向情報(移動方向を表す情報)を含み得るものであり、本実施形態では、少なくとも位置情報を含むものとする。
そして、自車両情報作成部101によって作成された車両情報は、送信部102によって無線信号に変換された後、無指向性アンテナ103を介して他車両へ送信される。この送信は、単一の車両に向けて行われてもよく、複数の車両からなる特定のグループに向けて行われてもよく、或いは、不特定の車両に向けて行われてもよい。
なお、送信部102が出力する無線信号の形式は、干渉信号検出部107において干渉信号の検出、所望信号強度の取得、及び干渉信号強度の取得が可能である限りどのようなものを用いてもよく、例えば、直交周波数分割多重(OFDM)信号等を用いることができる。
一方、自車両と同様の運転支援装置100が搭載された他車両から送信された無線信号は、自車両の運転支援装置100において、無指向性アンテナ103を介して受信部104で受信される。なお、非受信状態から最初に受信された無線信号を所望信号と呼び、所望信号を受信中に最初に受信された信号を干渉信号と呼ぶ。
受信部104は、例えば、無指向性アンテナ103から入力される信号の電力を常時監視するなどして所望信号が受信されたことを検出すると、受信された所望信号の変換を開始し、所望信号の送信元である他車両(所望車両)の車両情報を出力する。なお、前述したように、車両情報には少なくともその車両の位置情報が含まれている。
そして、所望車両位置取得部106は、受信部104から入力される所望車両の車両情報(所望車両情報)から位置情報(所望車両位置情報)のみを取り出して干渉車両位置推定部108へ出力する。
一方、無指向性アンテナ103から出力される無線信号は干渉信号検出部107へも入力される。干渉信号検出部107は、例えば、無指向性アンテナ103から入力される信号の電力を常時監視するなどして所望信号が受信されたことを検出すると、干渉信号検出処理を開始し、干渉信号が受信されたことを検出すると、所望信号及び干渉信号の強度を出力する。
例えば、図2に示すように、車両A(自車両)が、まず他車両B(所望車両)からの無線信号(所望信号)を受信し、この所望信号の受信中に、別の他車両C(干渉車両)からの無線信号(干渉信号)を受信すると、受信されている無線信号の振幅が干渉信号の分だけ増大する。このため、干渉信号強度は、振幅増大後の無線信号(所望信号+干渉信号)から振幅増大前の無線信号(所望信号)を差し引くような形で測定することができる。
なお、干渉信号の検出、所望信号強度の取得、及び干渉信号強度の取得方法には、どのような方法を用いてもよく、無線信号形式としてOFDM信号を用いている場合、例えば、杉浦泰伸、澤田学、“OFDM受信機におけるEVM変動量に着目した干渉影響の低減に関する一検討”、2006年情報理論とその応用シンポジウム、2006年12月、に提案されている変調精度(EVM)を利用した方法等を用いることができる。
干渉車両位置推定部108は、自車両位置取得部105において自車両情報作成部101の出力から取り出された自車両位置情報、所望車両位置取得部106から入力された所望車両位置情報、及び干渉信号検出部107から入力された所望信号強度及び干渉信号強度に基づき、干渉信号の送信元である他車両(干渉車両)の車両位置を推定する。こうして推定された車両位置は、干渉車両位置情報として情報提供部109へ出力される。
次に、干渉車両位置推定部108の処理を、図3のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、干渉信号が受信されたことが検出された時点で開始される。
干渉車両位置推定部108は、処理を開始すると、まずS201に移行し、所望車両位置取得部106から所望車両位置情報が入力されているか否か(所望信号から所望車両位置情報を取り出すことができたか否か)を判定する。
そして、所望車両位置情報が入力されている場合(所望信号から所望車両位置情報を取り出すことができた場合)、S202に移行し、所望車両位置情報と自車両位置情報とを用いて所望車両と自車両との間の距離Dを算出する。
続いて、S203では、所望信号強度をしきい値α1と比較する。ここで、しきい値α1は、所望信号強度が伝搬路における反射や回折等の影響を受けていないことを判定するためのしきい値であり、S202で算出した距離Dから推定される信号強度の減衰量から算出した値とする。例えば、自由空間伝搬を仮定した場合、しきい値α1は以下の式(1)から算出される。
α1=Pt・(λ/4πD)2 …式(1)
ただし、Ptは所望車両の送信信号強度、λは無線信号の波長である。なお、上記式(1)では自由空間伝搬を仮定したが、2波大地反射伝搬等を仮定した減衰量の式を用いてもよいし、所望車両と自車両との間の距離Dに応じて異なる減衰量の式を用いてもよい。
S203において、所望信号強度がしきい値α1よりも大きい(所望信号強度が伝搬路における反射や回折等の影響を受けていない)と判定すると、S204に移行し、所望信号強度と干渉信号強度の比(所望信号強度/干渉信号強度)を所定のしきい値β1と比較する。この比較により、干渉車両が所望車両よりも自車両の近傍に存在するか否かを判定する。
なお、しきい値β1は、所望信号強度及び干渉信号強度が共に伝搬路における反射や回折等の影響を受けていないという前提であれば、1とすることが好ましい。ただし、実際には、干渉信号強度が伝搬路における反射や回折等の影響を受けている可能性が考えられるため、その分を考慮して、例えばしきい値β1を1よりも大きく設定してもよい。
そして、S204で、所望信号強度と干渉信号強度の比がしきい値β1よりも小さい(干渉車両が所望車両よりも近傍に存在する)と判定すると、S205において、S202で算出した距離Dを情報提供部109へ出力して処理を終了する。
一方、S201において、受信部104における所望信号の受信失敗等の理由により、所望車両位置情報が入力されていない場合、S203において、所望信号強度が伝搬路における反射や回折等の影響によりしきい値α1よりも小さい場合、及びS204において、所望信号強度と干渉信号強度の比がしきい値β1よりも大きい場合、S206に移行する。
S206では、干渉信号強度を、しきい値γ1と比較する。ここで、干渉信号強度が、しきい値γ1よりも大きいと判定すると、S207に移行し、干渉車両の存在を示す情報を情報提供部109へ出力して処理を終了する。一方、干渉信号強度が、しきい値γ1よりも小さいと判定すると、そのまま処理を終了する。
ここで、しきい値γ1は、自車両から半径Dmaxの範囲に干渉車両が存在する場合に運転者に情報を提供するように設定されており、Dmaxから推定される信号強度の減衰量から算出した値とする。例えば、自由空間伝搬を仮定した場合、しきい値γ1は以下の式(2)から算出される。
γ1=Pi・(λ/4πDmax2 …式(2)
ただし、Piは干渉車両の送信信号強度、λは無線信号の波長である。なお、上記式(2)では自由空間伝搬を仮定したが、2波大地反射伝搬等を仮定した式を用いてもよいし、Dmaxの値に応じて異なる式を用いてもよい。
情報提供部109は、受信部104から入力される所望車両情報及び干渉車両位置推定部108から入力される干渉車両位置情報に基づき、所望車両及び干渉車両に関する情報を運転者に提供する。ここで、干渉車両位置推定部108から自車両と所望車両の距離Dが入力された場合は、自車両から半径D以内に干渉車両が存在することを、例えば、画像、音声、ランプの点灯等を用いて運転者に通知する。一方、干渉車両位置推定部108から干渉車両の存在を示す情報が入力された場合は、干渉車両が存在することを、例えば、画像、音声、ランプの点灯等を用いて運転者に通知する。加えて、受信部104より所望車両情報が入力された場合には、所望車両の位置等を運転者に通知する。
以上説明したように、第1実施形態の運転支援装置100によれば、干渉信号を検出し、干渉信号の強度と所望信号から得られる所望車両位置情報に基づき、干渉車両が存在するか否か、又は干渉車両の存在範囲の半径Dを推定するため、信号の干渉が発生した場合でも、干渉車両の情報を運転者に通知することで、適切な運転支援を行うことができる。
すなわち、本実施形態の運転支援装置100では、所望信号に基づき所望車両の位置を検出し、干渉信号が受信された場合には、その強度に基づき干渉車両の位置を推定する。具体的には、図4に示すように、所望車両の位置に基づき所望車両の自車両からの距離Dを算出するとともに、干渉車両が所望車両よりも近くに存在するか否かを、所望信号強度と干渉信号強度との比に基づき判定する。このため、干渉車両が所望車両よりも近くに存在すると判定された場合に、算出した距離の範囲内に干渉車両が存在すること(干渉車両の存在範囲)を報知することができる。
また、干渉車両が所望車両よりも近くに存在しないと判定した場合には、干渉信号の強度が所定のしきい値γ1よりも大きいか否かを判定するため、その判定結果に応じて、干渉車両の存在の有無を報知することができる。
加えて、所望信号強度がしきい値α1よりも大きくないと判定した場合には、所望信号強度と干渉信号強度との比に基づく判定を行わないようにしているため、実際とは大きく異なる推定結果が得られることを事前に防止することができる。
なお、第1実施形態の運転支援装置100では、無指向性アンテナ103が、本発明の受信手段に相当し、受信部104及び所望車両位置取得部106が、本発明の所望車両位置検出手段に相当する。また、自車両位置取得部105、干渉信号検出部107及び干渉車両位置推定部108が、本発明の干渉車両位置推定手段に相当し、情報提供部109が、本発明の報知手段に相当する。
[第2実施形態]
次に、本発明の運転支援装置の第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態の運転支援装置300の概略構成を示すブロック図である。
第2実施形態の運転支援装置300は、第1実施形態の運転支援装置100と共通するところが多いので、以下、共通部分については同一符号を用いて詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
前述した第1実施形態の運転支援装置100は、単一の無指向性アンテナを介して受信された所望信号及び干渉信号に基づき、干渉車両の存在又は存在範囲の半径Dを推定し、運転者に通知するものである(図4)。これに対し、第2実施形態の運転支援装置300は、図6に示すように、複数の指向性アンテナを介して受信された所望信号及び干渉信号に基づき、干渉車両の存在方向又は存在方向及び距離を推定し、運転者に通知するものである。
図5に示すように、この運転支援装置300は、自車両情報作成部101、送信部102、無指向性アンテナ103、複数の指向性アンテナ301a,301b、アンテナ選択部304、受信部104、自車両位置取得部105、所望車両位置取得部106、干渉信号検出部107a,107b、干渉車両位置推定部302、及び情報提供部303を備えている。
なお、ここでは、2本の指向性アンテナ301a,301bを図示しているが、これに限定されるものではなく、その本数は、各アンテナの指向性が十分に分離されている限りにおいて増やしてよい。これにより、干渉車両の存在方向の推定をより高精度に行うことが可能となる。
第2実施形態の運転支援装置300は、他車両が送信した無線信号を、複数の指向性アンテナ301a,301bを介して受信する。ここで、指向性アンテナ301a,301bは、それぞれのアンテナ利得が最大となる方向が異なるように構成されている。
指向性アンテナ301a,301bから出力される無線信号は、干渉信号検出部107a,107bへそれぞれ入力される。干渉信号検出部107a,107bは、第1実施形態における図1に示す干渉信号検出部107と同一のものであり、入力された無線信号から所望信号強度及び干渉信号強度を取得して出力する。
アンテナ選択部304は、干渉信号検出部107a,107bから入力される所望信号強度に基づき、指向性アンテナ301a,301bからの入力のうち1つを選択して、受信部104に出力する。ここで、アンテナ選択部304は、干渉信号検出部107a,107bから入力される所望信号強度のうち、最も大きいものを選択し、それに対応する指向性アンテナからの入力を受信部104へ出力する。
干渉車両位置推定部302は、自車両位置取得部105において自車両情報作成部101の出力から取り出された自車両位置情報、所望車両位置取得部106から入力された所望車両位置情報、並びに干渉信号検出部107a,107bから入力された所望信号強度及び干渉信号強度に基づき、干渉車両の位置を推定する。こうして推定された車両位置は、干渉車両位置情報として情報提供部303へ出力される。
次に、干渉車両位置推定部302の処理を、図7のフローチャートを用いて説明する。本第2実施形態の干渉車両位置推定部302の処理が、図3に示す第1実施形態の干渉車両位置推定部108の処理と異なるのは、S201の前にS401が挿入されている点、及びS203〜S207がS402〜S406に変更されている点である。
干渉車両位置推定部302は、処理を開始すると、まずS401に移行し、干渉信号検出部107a,107bから入力された干渉信号強度を比較することで、干渉車両の存在方向を推定する。ここで、例えば、干渉信号検出部107aから入力された干渉信号強度が最も大きいと仮定する。その場合、指向性アンテナ301aのアンテナ利得が最大となる方向が干渉車両の存在する方向であると推定される。
次に、S201に移行し、所望車両位置取得部106から所望車両位置情報が入力されているか否かを判定する。所望車両位置情報が入力されている場合、S202に移行し、所望車両位置情報と自車両位置情報とを用いて所望車両と自車両との距離Dを算出する。そして、S402に移行し、干渉信号検出部107a,107bから出力された所望信号強度の和をしきい値α2と比較する。S402において、所望信号強度がしきい値α2よりも大きいと判定すると、S403に移行し、所望信号強度の和と干渉信号検出部107a,107bから出力された干渉信号強度の和の比をしきい値β2と比較する。ここで、所望信号強度の和と干渉信号強度の和の比がしきい値β2よりも小さいと判定すると、S404において、S202で算出した所望車両と自車両との距離D及びS401において推定した干渉車両の存在方向が情報提供部303へ出力され、処理を終了する。
一方、S201において、受信部104における所望信号の受信失敗等の理由により、所望車両位置情報が入力されていない場合、S402において、所望信号強度が伝搬路における反射や回折等の影響によりしきい値α2よりも小さい場合、及びS403において所望信号強度の和と干渉信号強度の和の比がしきい値β2よりも大きい場合、S405に移行する。
S405では、干渉信号強度の和を、しきい値γ2と比較する。ここで、干渉信号強度の和がしきい値γ2よりも大きいと判定すると、S406に移行し、干渉車両の存在を示す情報が、S401で推定した干渉車両の存在方向の情報とともに情報提供部303へ出力され、処理を終了する。一方、干渉信号強度の和が、しきい値γ2よりも小さいと判定すると、そのまま処理を終了する。
情報提供部303は、受信部104から入力される所望車両情報及び干渉車両位置推定部302から入力される干渉車両位置情報に基づき、所望車両及び干渉車両に関する情報を運転者に提供する。ここで、干渉車両位置推定部302から自車両と所望車両の距離D及び干渉車両の存在方向が入力された場合は、推定された存在方向の距離D以内に干渉車両が存在することを、例えば、画像、音声、ランプの点灯等を用いて運転者に通知する。
一方、干渉車両位置推定部302から干渉車両の存在を示す情報及び干渉車両の存在方向が入力された場合は、推定された存在方向に干渉車両が存在することを、例えば、画像、音声、ランプの点灯等を用いて運転者に通知する。加えて、受信部104より所望車両情報が入力された場合には、所望車両の位置等を運転者に通知する。
以上説明したように、第2実施形態における運転支援装置300によれば、干渉信号を検出し、干渉信号強度と所望信号から得られる所望車両位置情報に基づき、干渉車両が存在するか否か、又は干渉車両の存在範囲の半径Dに加えて、その存在方向を推定するため、第1実施形態に比べて、より高精度な干渉車両の位置推定が可能である。したがって、信号の干渉が発生した場合に、より適切な運転支援を行うことができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の運転支援装置の第3実施形態について説明する。
図8は、第3実施形態の運転支援装置500の概略構成を示すブロック図である。
第3実施形態の運転支援装置500は、第2実施形態の運転支援装置300と共通するところが多いので、以下、共通部分については同一符号を用いて詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
前述した第2実施形態の運転支援装置300は、複数の指向性アンテナを介して受信された所望信号及び干渉信号に基づき、干渉車両の存在方向又は存在方向及び距離を推定し、運転者に通知するものである(図6)。これに対し、第3実施形態の運転支援装置500は、図9に示すように、複数の指向性アンテナを介して受信された所望信号及び干渉信号、並びに地図データベースを利用して干渉車両の存在する道路を推定し、運転者に通知するものである。
図8に示すように、この運転支援装置500は、自車両情報作成部101、送信部102、無指向性アンテナ103、指向性アンテナ301a,301b、アンテナ選択部304、受信部104、自車両位置取得部105、所望車両位置取得部106、干渉信号検出部107a,107b、地図データベース501、干渉車両位置推定部502及び情報提供部503を備えている。
干渉車両位置推定部502は、自車両位置取得部105において自車両情報作成部101の出力から取り出された自車両位置情報、所望車両位置取得部106から入力された所望車両位置情報、干渉信号検出部107a,107bから入力された所望信号強度及び干渉信号強度、及び地図データベース501から入力された道路形状情報に基づき、干渉車両の位置を推定する。こうして推定された車両位置は、干渉車両位置情報として情報提供部503へ出力される。
次に、干渉車両位置推定部502の処理を、図10のフローチャートを用いて説明する。本第3実施形態の干渉車両位置推定部502の処理が、図7に示す第2実施形態の干渉車両位置推定部302の処理と異なるのは、S403、S405の後にS601、S603がそれぞれ挿入されている点、S404がS602に変更されている点、及びS406がS604に変更されている点である。
干渉車両位置推定部502の処理において、S601に移行すると、地図データベース501から入力される地図データ、及び自車両位置取得部105から入力される自車両位置情報に基づき、自車両位置周辺の道路形状を特定し、これをS202で算出した距離Dの範囲内でS401で推定した干渉車両の存在方向と対応させることで、干渉車両の存在する道路を推定する。例えば、S401で推定した干渉車両の存在方向に最も近い道路を、干渉車両が存在する道路と推定する。
S602では、S601で推定した干渉車両の存在する道路の情報を、S202で算出した所望車両と自車両との距離Dとともに、情報提供部503へ出力する。
一方、S603では、地図データベース501から入力される地図データ、及び自車両位置取得部105から入力される自車両位置情報に基づき、自車両位置周辺の道路形状を特定し、これをS401で推定した干渉車両の存在方向と対応させることで、干渉車両の存在する道路を推定する。なお、S202で距離Dを算出した場合には、その距離Dの範囲外で道路を推定する。
S604では、S601で推定した干渉車両の存在する道路の情報を、干渉車両の存在を示す情報とともに、情報提供部503へ出力する。
情報提供部503は、受信部104から入力される所望車両情報及び干渉車両位置推定部502から入力される干渉車両位置情報に基づき、所望車両及び干渉車両に関する情報を運転者に提供する。ここで、干渉車両位置推定部502から自車両と所望車両の距離D及び干渉車両の存在する道路が入力された場合は、推定された道路の距離D以内に干渉車両が存在することを、例えば、画像、音声、ランプの点灯等を用いて運転者に通知する。
一方、干渉車両位置推定部502から干渉車両の存在を示す情報及び干渉車両の存在する道路が入力された場合は、推定された道路に干渉車両が存在することを、例えば、画像、音声、ランプの点灯等を用いて運転者に通知する。加えて、受信部104より所望車両情報が入力された場合には、所望車両の位置等を運転者に通知する。
以上説明したように、第3実施形態における運転支援装置500によれば、干渉信号を検出し、その強度と所望信号から得られる所望車両位置情報に基づき、干渉車両が存在するか否か、又はその存在範囲の半径Dに加えて、その存在する道路を推定するため、第2実施形態に比べて、より高精度な干渉車両の位置推定が可能である。したがって、信号の干渉が発生した場合に、より適切な運転支援を行うことができる。
[他の形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、受信部104と干渉信号検出部107とが独立に構成されているが、可能であるならば、その機構の一部を共有してもよい。例えば、受信部104及び干渉信号検出部107には所望信号が受信されたことを検出する機構が必要であるため、この機構を共有することが可能である。これにより、本実施形態をハードウェアで実現する場合に、小型化及びコストの削減等が可能となる。
また、受信部104は、干渉信号検出部107で得られる干渉信号の存在及びその強度を利用して、所望信号の受信を行ってもよい。例えば、杉浦泰伸、澤田学、“OFDM受信機におけるEVM変動量に着目した干渉影響の低減に関する一検討”、2006年情報理論とその応用シンポジウム、2006年12月、に提案されている手法等を用いることで、干渉信号が存在する場合の所望信号の受信成功確率を向上させることができる。これにより、所望車両位置情報を得られる可能性が高くなり、自車両から半径D以内に干渉車両が存在することを運転者に通知できる可能性が高くなる。
また、アンテナ選択部304は、干渉信号検出部107a,107bから入力される所望信号強度のうち、最も大きいものを選択し、それに対応する指向性アンテナからの入力を受信部104へ出力するものとしたが、干渉信号検出部107a,107bから入力される所望信号強度及び干渉信号強度から、その所望信号強度と干渉信号強度の比が最も大きいものを選択し、それに対応する指向性アンテナからの入力を受信部104へ出力してもよい。
第1実施形態の運転支援装置の概略構成を示すブロック図である。 所望信号と干渉信号との干渉状態を説明するための説明図である。 第1実施形態の干渉車両位置推定部の処理を示すフローチャートである。 第1実施形態の運転支援装置の特徴を説明するための説明図である。 第2実施形態の運転支援装置の概略構成を示すブロック図である。 第2実施形態の運転支援装置の特徴を説明するための説明図である。 第2実施形態の干渉車両位置推定部の処理を示すフローチャートである。 第3実施形態の運転支援装置の概略構成を示すブロック図である。 第3実施形態の運転支援装置の特徴を説明するための説明図である。 第3実施形態の干渉車両位置推定部の処理を示すフローチャートである。
符号の説明
100,300,500…運転支援装置、101…自車両情報作成部、102…送信部、103…無指向性アンテナ、104…受信部、105…自車両位置取得部、106…所望車両位置取得部、107…干渉信号検出部、108,302,502…干渉車両位置推定部、109,303,503…情報提供部、301a,301b…指向性アンテナ、304…アンテナ選択部、501…地図データベース

Claims (7)

  1. 車両に搭載され、他車両から送信される無線信号を受信してその存在を自車両の運転者に通知する運転支援装置であって、
    他車両からの無線信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段により非受信状態から受信された無線信号(特許請求の範囲において「所望信号」と称する。)に基づき、その所望信号の送信元である他車両(特許請求の範囲において「所望車両」と称する。)の位置を検出する所望車両位置検出手段と、
    前記受信手段により所望信号の受信中に所望車両とは別の他車両からの無線信号(特許請求の範囲において「干渉信号」と称する。)が受信された場合に、その干渉信号の強度に基づき、その送信元である他車両(特許請求の範囲において「干渉車両」と称する。)の位置を推定する干渉車両位置推定手段と、
    前記所望車両位置検出手段により検出された所望車両の位置及び前記干渉車両位置推定手段により推定された干渉車両の位置を報知する報知手段と、
    を備えることを特徴とする運転支援装置。
  2. 前記干渉車両位置推定手段は、前記所望車両位置検出手段により検出された所望車両の位置と、前記受信手段により受信された所望信号及び干渉信号の強度とに基づき、干渉車両の位置を推定すること
    を特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記干渉車両位置推定手段は、前記所望車両位置検出手段により検出された所望車両の位置に基づき所望車両の自車両からの距離を算出するとともに、干渉車両が所望車両よりも近くに存在するか否かを、所望信号の強度と干渉信号の強度との比に基づき判定し、
    前記報知手段は、前記干渉車両位置推定手段により干渉車両が所望車両よりも近くに存在すると判定された場合には、前記算出した距離の範囲内に干渉車両が存在することを報知すること
    を特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
  4. 前記干渉車両位置推定手段は、干渉車両が所望車両よりも近くに存在しないと判定した場合には、干渉信号の強度が所定の干渉信号判定しきい値よりも大きいか否かを判定し、
    前記報知手段は、前記干渉車両位置推定手段による干渉信号の強度が前記干渉信号判定しきい値よりも大きいか否かの判定結果に応じて、干渉車両の存在の有無を報知すること
    を特徴とする請求項3に記載の運転支援装置。
  5. 前記干渉車両位置推定手段は、所望信号の強度が、前記所望車両の自車両からの距離に基づき算出される所望信号判定しきい値以下であると判定した場合には、所望信号の強度と干渉信号の強度との比に基づく判定を行わないこと
    を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の運転支援装置。
  6. 前記受信手段は、複数の指向性アンテナを備え、
    前記干渉車両位置推定手段は、前記複数の指向性アンテナにより受信された干渉信号の強度に基づき、自車両を基準とした干渉車両の存在方向を推定し、
    前記報知手段は、干渉車両の位置としてその存在方向を報知すること
    を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の運転支援装置。
  7. 前記干渉車両位置推定手段は、地図データを記憶する地図記憶手段を備え、前記地図データに基づき干渉車両の存在する道路を推定し、
    前記報知手段は、前記干渉車両位置推定手段により推定された干渉車両の存在する道路を干渉車両の位置として報知すること
    を特徴とする請求項6に記載の運転支援装置。
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