JP4843923B2 - 高耐圧半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

高耐圧半導体装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は電力変換装置などに使用されるパワー半導体装置に関する。詳しくは、分離拡散層を備え、双方向の耐圧特性を有する双方向デバイスまたは逆阻止絶縁ゲート形バイポーラトランジスタ(以降、逆阻止IGBTと略す)に関する。
最近、半導体電力変換装置において、AC(交流)/AC変換、AC/DC(直流)変換、DC/AC変換など、直接リンク形変換回路等のマトリクスコンバータ用途への双方向スイッチング素子の使用が、回路の小型化、軽量化、高効率化、高速応答化および低コスト化等の観点から着目されている。そのような双方向スイッチング用素子として、逆阻止IGBTを2個逆並列接続させたものが知られている。この逆阻止IGBTは、図7に示すように第一主面側112から片側拡散によって形成した分離拡散層111を備え、この分離拡散層111の内側に形成される活性部Aと、この活性部と分離拡散層111との間に位置する耐圧接合終端構造113を第一主面側112に設けた構造である。前記図7に示すIGBTでは、FZシリコン基板を採用したNPT(Non Punch Through)ウェハ(厚さは、たとえば600V耐圧用で100μm、1200V耐圧用で180μm程度)を用いることができるので、コレクタ層103厚を薄くし、その不純物濃度を低く適切に制御して、コレクタ層103からの少数キャリアの注入をコントロールすることにより、従来問題となっていたオン電圧特性とターンオフ損失に関するトレードオフ関係を改善し、共に小さくすることが可能になるメリットが得られる(特許文献1)。
また、逆阻止IGBTとして、図8に示すように、ドリフト層内の両界面側に同導電型で高不純物濃度の緩衝層201、202を形成することにより、順逆耐圧値の揃ったIGBTとすることができるという双方向IGBTが知られている(特許文献2)。
特開2002−319676号公報 特表2002−532885号公報
しかしながら、前述の特許文献1に示すプレーナ形逆阻止IGBTについては、pn接合が有する曲率部の影響から、通常、逆耐圧が順耐圧に比べて大きくなり易いが、耐圧600V以上の高耐圧では、高温逆漏れ電流が大きくなることが影響して、逆耐圧が順耐圧より小さくなり易いという問題がある。以下、その原因を説明する。プレーナ形逆阻止IGBTは逆阻止型とするために分離拡散層を備えている。この分離拡散層を形成するために必要な高温で長時間のドライブ拡散は、n型シリコン基板の面荒れを防ぐために酸素雰囲気中で行なわれる。拡散時間については、たとえば、600V用耐圧デバイスでは1300℃で100時間程度、1200V用の耐圧デバイスでは1300℃で200時間程度を必要とする。このような高温長時間の熱処理が酸素雰囲気でシリコン基板に加えられると、酸素は、シリコン基板にその温度における固溶限濃度をピークとする分布で取り込まれるだけでなく、特に1300℃ではシリコン基板中の酸素の拡散係数が極めて大きいこともあり、処理時間が長い場合(たとえば、200時間)、基板の全厚さ方向に亘ってほぼ一様にフラットな固溶限濃度分布となる程度に取り込まれる。しかし、一旦熱処理が終了すると、シリコン基板の温度低下と共に、シリコン基板中の酸素の固溶限濃度も低下するので、固溶限濃度を超えた酸素は外方拡散により、シリコン基板の表面から順次排出される。その結果、高温中とは異なって、室温へ降下した基板中の酸素濃度分布は図2のように基板の表面側で低く、バルク中で高いという傾斜分布を持つようになる。詳しくは厚さ方向について、表面から深さ45μm乃至60μm程度までは次第に濃度が高くなり、45μm乃至60μm程度で酸素の前記高温での固溶限濃度に達すると、それ以降では酸素の固溶限濃度でフラットな分布を示すようになる(図2はシリコン基板の第一主面側(表面)のみを示している。第二主面側(裏面)は素子の製造過程で研削工程を伴うため、前記固溶限濃度面となっている。
さらに、逆阻止IGBTを製造するために、前記分離拡散後に表面側のシリコン基板にMOSゲート構造が形成され、エミッタ電極とゲート電極パッドがアルミニウム蒸着により形成される。その後、裏面側を前記分離拡散層が露出するまで削って、基板厚さを薄くする(耐圧600Vで、100μm程度、耐圧1200Vで180μm程度の基板厚さ)。さらに裏面側にドーズ量1×1013cm−2のボロンのイオン注入と380℃の1時間程度のアニール処理によりコレクタ層を形成し、コレクタ電極を金属蒸着等により形成すると逆阻止IGBTが完成する。この際、前記380℃、1時間のアニール温度による低温熱処理に伴って、前記n型シリコン基板に取り込まれた酸素はクラスター化し、表面から45μm乃至60μm程度までは傾斜濃度分布、それ以上の深さではフラットな濃度分布を有するドナーとなる。このドナー濃度分布により、均一であったドリフト層の不純物濃度が影響を受けて均一ではなくなる。
その結果、逆阻止IGBTは、一次元的な理想平面接合で考えた場合、逆阻止IGBTに順バイアスと逆バイアスを印加すると、図3のようなIGBT基板の厚さ方向についての電界強度分布を示すようになる。図中、電界強度分布の傾きは不純物濃度に関係する。図3において、電界強度分布を積分した面積が印加電圧値を表す。図中の破線で示すように酸素ドナーが実質的に存在しない、すなわち、分離拡散をしていない逆阻止IGBTの電界強度の傾きはドリフト層の不純物濃度が一定であるが、実線で示す酸素ドナーが存在する(すなわち分離拡散あり)逆阻止IGBTの電界強度は、一様でなく傾斜したドナー濃度の影響により基板内部の深さによって不純物濃度が変化するようになるため、不純物濃度が変化するところで電界強度の傾きが変わり折れ線となる。図示されるように逆阻止IGBTへの順バイアス時または逆バイアス時にはドリフト層の表面側および裏面側のpn接合において、それぞれ最大電界強度が表れ、この最大電界強度値がシリコン固有の臨界値に達するとアバランシェ降伏が始まる。この時の電界強度分布の面積がそれぞれ順耐圧値、逆耐圧値となる。図3では逆耐圧値の方が順耐圧値よりも、酸素ドナー濃度による比抵抗の低下の影響を強く受けて面積が小さいので、耐圧も低くなる。ただし、酸素ドナーによる耐圧への影響はシリコン基板の比抵抗が小さい場合は小さくなるので、耐圧が600V以上で問題になり易い。
しかし、以上説明した一次元理想平面接合とは異なり、実際には順逆耐圧共プレーナ接合のため平面接合だけでなくそれぞれ曲率部を有し、逆耐圧接合は順耐圧接合と異なり、pn接合のコレクタ側から見ると凹型の曲率を持ち、平面接合に等しい耐圧が得られるので、この点からは逆耐圧が順耐圧より高耐圧となりやすいということが言える。このため、耐圧600V未満では、前述の酸素ドナーによる逆耐圧への影響を考慮しても、逆耐圧が順耐圧より大きくなり易い。
逆阻止IGBTにおいて、逆耐圧が順耐圧より小さくなることに関して、他の原因としては、順耐圧方向の電圧印加ではラッチアップ耐量を高くするためにpベース層の不純物濃度を高く、ターンオフ損失の低減のためにpコレクタ層の不純物濃度を低くという非対称pnp構造として増幅率を抑えていることの影響がある。増幅率に関しては、このほかに逆バイアス時の中性ベース領域(前記IGBTのpnp構造におけるnベース中の電界のかからない領域)の不純物濃度と幅が順バイアス時の不純物濃度と幅より共に小さく、注入効率(増幅率)の増大の原因となることも問題となる。この結果、逆バイアス印加時には順バイアス印加時より増幅率がはるかに高くなりやすく、高増幅率に伴って漏れ電流も増幅されて増大するので、逆耐圧が小さくなり易いのである。ただし、順耐圧にしても、酸素ドナーが存在するので、その分酸素ドナーがない場合より、総不純物量が増加する分、相対的に耐圧は下がる(酸素ドナーがない場合とは従来の分離拡散を伴わない順耐圧IGBTの場合である。)。
以上説明した逆耐圧が順耐圧より小さくなる要因を総合的に見ると、分離拡散を伴う逆阻止IGBTの逆耐圧は順耐圧より600V以上、特には1200V以上の場合に小さくなり易いと言える。また、順耐圧にしても酸素ドナーの影響から基板の比抵抗が小さくなって耐圧が下がり易いので、実際の素子の設計ではその下がった耐圧を補償するために、シリコン基板の比抵抗を高くしなければならない。しかし、シリコン基板の比抵抗を高くしただけでは、図4に示すように逆バイアス時に酸素ドナーの影響の小さい領域で高比抵抗化の影響からさらに中性領域の減少を招き、この中性領域の減少分Hに起因して増幅率の増大をもたらし、漏れ電流が増大して逆耐圧が低下する(図4の破線で示す電界強度分布線は順耐圧時の電界強度分布を示すものであるが、中性領域の減少分Hを示すために逆バイアス方向に向きを変えてある)。従って、高耐圧化のためには、シリコン基板の高比抵抗化と共にシリコン基板の厚さの増大が必要となる。ところが、シリコン基板を厚くするとデバイスの定常オン状態におけるオン電圧上昇およびスイッチング損失を増大させ、さらにその厚い分、分離拡散層も深くする必要があるので、高温熱処理時間がさらに長くなることによる前述と同様の問題の拡大等のディレンマに陥るので、分離拡散を伴う逆阻止IGBTに関する前述の問題点の解決は容易ではない。
本発明は、そのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長時間で分離拡散層を形成しても、逆耐圧を低下させることなく、高温逆漏れ電流の小さい逆阻止絶縁ゲート形半導体装置およびその製造方法を提供することである。
特許請求の範囲の請求項1記載の発明によれば、前記目的は、n形半導体基板の第一主面に選択形成されるp形ベース領域と、該ベース領域表面層に選択形成されるn形エミッタ領域と、前記半導体基板の残り部分であるn形ドリフト層と前記エミッタ領域とに挟まれる前記ベース領域の第一主面側表面に被覆されるゲート絶縁膜と該ゲート絶縁膜上に被覆されるゲート電極と、前記p形ベース領域を前記ドリフト層を介して取り囲むp形分離拡散領域と、前記半導体基板の第二主面に露出する前記分離拡散領域に連結されるp形コレクタ層とを備える高耐圧半導体装置において、前記分離拡散領域の形成によって前記半導体基板に取り込まれた酸素がドナー化することによるドナー濃度の分布領域が、前記半導体基板の第一主面から内部に向かって増加する傾斜濃度分布領域と該傾斜濃度分布より深い領域では一定の濃度分布領域を有し、前記傾斜濃度分布領域は更にリンを不純物として加えられ前記一定の濃度分布領域の不純物濃度以上の不純物濃度であることにより、達成される。
特許請求の範囲の請求項2記載の発明によれば、前記p形コレクタ層のピーク濃度が5×10 16 cm −3 以上1×10 18 cm −3 以下であることが好ましい。
特許請求の範囲の請求項3記載の発明によれば、n形半導体基板の第一主面に選択形成されるp形ベース領域と、該ベース領域表面層に選択形成されるn形エミッタ領域と、前記半導体基板の残り部分であるn形ドリフト層と前記エミッタ領域とに挟まれる前記ベース領域の第一主面側表面に被覆されるゲート絶縁膜と該ゲート絶縁膜上に被覆されるゲート電極と、前記p形ベース領域を前記ドリフト層を介して取り囲むp形分離拡散領域と、前記半導体基板の第二主面に露出する前記分離拡散領域に連結されるp形コレクタ層とを備える高耐圧半導体装置の製造方法であって、半導体基板に酸化膜を形成し、該酸化膜の上からリンをイオン注入し、該リンをイオン注入した半導体基板への分離拡散領域の形成が酸素雰囲気中で行われる製造方法とすることが望ましい。
許請求の範囲の請求項記載の発明によれば、前記分離拡散領域の形成前に行なわれるイオン注入でのリンイオンのドーズ量が、分離拡散領域の形成時に取り込まれる酸素がドナー化することによる半導体基板の不純物濃度の不均一化を補償する程度と同程度以上である特許請求の範囲の請求項記載の高耐圧半導体装置の製造方法とすることが好ましい。
特許請求の範囲の請求項記載の発明によれば前記リンイオンのドーズ量が1×1011cm−2以上である特許請求の範囲の請求項記載の高耐圧半導体装置の製造方法とすることが望ましい。
前述の本発明によれば、長時間の分離拡散層を形成しても、逆耐圧を低下させることなく、高温逆漏れ電流の小さい逆阻止型絶縁ゲート形半導体装置およびその製造方法を提供することができる。
図1は本発明にかかる逆阻止型絶縁ゲート形バイポーラトランジスタ(逆阻止IGBT)の断面図であり、本発明の要旨を超えない限り、本発明は以下説明する実施例の記載に限定されるものではない。図2は初期リンドーピングのない従来のシリコン基板にボロンによる分離拡散の際にFZシリコン基板に取り込まれた酸素の濃度分布である。図5は、本発明にかかる分離拡散熱処理を行った後のリンの濃度分布とウェハの不純物濃度分布を示す図であり、同図点線は、比抵抗80Ωcmのn型シリコン基板と、初期リンドーピングなしで前記分離拡散により取り込まれた酸素ドナーとを合わせた不純物濃度分布を示す(横軸は基板表面からの深さ方向、縦軸は不純物濃度を表す)。この図5によれば、点線で示す従来の前記リンドーピングがない場合は、酸素ドナー濃度の影響を受けて、シリコン基板表面でドナー濃度がバルクより、低くなっていることが分かる。図6の実線は本発明にかかる初期リンドーピング(ドーズ量1.0×1014cm−2)を行なったシリコン基板を用いて前記分離拡散を行った場合のリン(ドナー)と酸素ドナーを合わせたドナーとしての濃度分布を示す図(横軸は基板表面からの深さ方向、縦軸は不純物濃度を表す)である。図6の点線は、FZシリコン基板に対するリンのイオン注入におけるドーズ量を1.0×1014cm−2から2.0×1014cm−2と多くして、シリコン基板表面でのリン濃度を内部(バルク)より高くした場合である。
以下、図1に示す逆阻止IGBTの耐圧が1200Vの場合について説明する。本発明では、n型の100Ωcmで厚さ500μmのFZシリコン基板1に対して、あらかじめ、熱酸化膜を0.2μmの厚さに成長させ、シリコン基板の一方の面(表面)9の酸化膜の上から、ドーズ量1.0×1014cm−2のリンを加速エネルギー100keVでイオン注入しておくことが重要である。
リンがイオン注入されたシリコン基板(ウェハ)1に、リンドープ面と同じ表面9から選択的にボロンを1300℃で200時間のドライブ拡散を経て分離拡散領域2を形成し、この分離拡散領域2に取り囲まれた内部のシリコン基板の表面層にpベース領域3、nエミッタ領域4、ゲート酸化膜5、ゲート電極6、Alゲートパッド電極(図示せず)、エミッタ電極7等からなるMOSゲート構造が形成される。前記エミッタ電極7がアルミニウムの場合、そのコンタクト性を良好にするため、380℃×80分のアニール熱処理を行った後、シリコン基板1の裏面10側を研削してシリコン基板厚を180μmとする(裏面10は研削後の面)。ライフタイム調整のための電子線照射後、裏面10側にコレクタ層8の形成のためにボロンイオン注入し、380℃×60分のアニール熱処理を加え、ボロンの活性化を行う。この結果、従来は図5の点線で示すように表面の濃度が低く、バルクで高いドナーの濃度分布であったが、図6の実線または点線で示すフラットまたは表面で濃度が高いドナー濃度分布が得られる。
つぎに、図1の逆阻止IGBTの具体的な製造方法について説明する。
図9から図15は、この発明の実施例にかかる逆阻止IGBTの製造方法を工程順に示したIGBTの要部断面図である。この逆阻止IGBTは1200V耐圧の逆阻止型IGBTの例である。厚さ500μmで比抵抗100ΩcmのFZシリコン基板101の表面に、分離拡散層2を形成する前にあらかじめ、前述のように厚さ0.2μmの熱酸化膜(図示せず)を形成し、この酸化膜越しにドーズ量1.0×1014cm−2のリンを加速エネルギー100keVでイオン注入する。この場合、分離拡散後のシリコン基板における表面側のリンの不純物濃度を図5の実線で示す。前記酸化膜を除去した後、新たに1.6μmの初期酸化膜11を形成し、後工程でpベース領域が形成される箇所を取り囲むパターンで、幅170μmの分離拡散用の開口部12を選択的にエッチングして形成する(図9)。
つぎに、表面にボロンソースを塗布して熱処理することで、ボロンのデポジションを行い、ボロンデポジション領域13を形成する(図10)。
つぎに、ボロンガラスエッチングを行い酸化膜中のボロンを除去した後、1300℃の温度において酸素雰囲気中で深さ180μmまでボロンをドライブ拡散してp+分離拡散領域2を形成する。このとき、酸化膜11上に酸化膜11−1も形成される(図11)。
つぎに、pベース領域3、n+ エミッタ領域4、ゲート酸化膜5、ゲート電極6およびエミッタ電極7等を通常のプレーナゲート型IGBTと同様の方法で形成する(図12)。さらに、高速化を図るために、ライフタイムキラーとして電子線照射やヘリウム照射を行うこともある。
つぎに、裏面を削り、FZシリコン基板101の厚さを172μm程度にし、削り面10にp+分離拡散領域2を露出させる(図13)。
つぎに、裏面10に、ドーズ量1×1013cm-2のボロンをイオン注入して350℃程度で1時間程度の低温アニールを行い、活性化したボロンのピーク濃度が1×1017cm-3程度で、厚みが1μm程度の裏面のp+ コレクタ領域8を形成する。この裏面のp+ コレクタ領域8と前記のp+分離拡散領域2は導電接続される(図14)。
つぎに、コレクタ電極8−1を形成して、FZシリコン基板101を切断箇所2−1で切断し(図15)、図1のような逆阻止型IGBTが製造される。
また、前記の裏面のp+ コレクタ領域8のピーク濃度が5×1016cm-3未満では、注入効率が低下して、オン電圧が上昇する。また、逆電圧印加時にp+ コレクタ領域8が完全に空乏化して逆耐圧が低下する。一方、1×1018cm-3を超えると逆回復電流が増大するので、ピーク濃度は5×1016cm-3以上で1×1018cm-3以下が望ましい。
さらに、裏面のp+ コレクタ領域8の厚さが0.1μm未満では、空乏層がコレクタ電極8−1に達しやすくなり、逆耐圧が確保出来なくなる。一方、2μmを超えるとボロンイオン注入時の必要エネルギーが1MeVを超えて、特殊なイオン注入装置が必要となるため、コレクタ領域8の厚みは0.1μm以上で、2μm以下が望ましい。
このような逆阻止形IGBTとすることにより、表面9側に初期リンドーピングがされ、裏面10のp+ コレクタ領域8の不純物濃度が低く、注入効率が低減されているので、高温で長時間の分離拡散で酸素が固溶限まで取り込まれても、逆耐圧を低下させることなく、高温逆漏れ電流の小さいIGBTが得られ、かつIGBT動作時においてはドリフト層1内のコレクタ側のキャリア濃度が制限されるので、ターンオフ損失を低くできる。
実施例2では、初期のリンドーピングに関し、リンのイオン注入におけるドーズ量を実施例1のドーズ量の2倍の2.0×1014cm−2と多くした以外は実施例1と同様にして逆阻止IGBTを製造した。この場合の分離拡散前のシリコン基板の表面側のリンの不純物濃度を図6の点線で示す。以上の実施例1、2では分離拡散をシリコン基板の片面側からの拡散により形成したが、両面側から分離拡散を形成しても良い。この場合は、拡散時間が短縮されるので、より高耐圧にするためにシリコン基板を厚くした逆阻止IGBTが可能になる。
従来の分離拡散のない順耐圧IGBTと(従来例1)、分離拡散はあるが、初期リンドープのない逆阻止IGBT(従来例2)および初期リンドープと分離拡散を伴う実施例1の逆阻止IGBTと、初期リンドープ量を2倍にした実施例2の逆阻止IGBTについて、それぞれ室温順耐圧、室温逆耐圧、高温逆漏れ電流、スイッチング損失を測定し、下記表1に示す。
表1で、従来例2の分離拡散を伴う逆阻止IGBTの逆耐圧は、従来例1の分離拡散のない順耐圧IGBTより比抵抗を60Ωcmから100Ωcmに高くしたにもかかわらず、酸素ドーピングの影響を強く受け、従来例1の順耐圧IGBTの順耐圧とあまりかわらない値に低下している。従来例2の逆阻止IGBTの順耐圧は、逆耐圧ほどは酸素ドーピングの影響を受けないため、逆耐圧よりは150Vほど高い。さらにこの従来例2の逆阻止IGBTは比抵抗のアップに伴いウェハ厚も10μm厚くされているので、スイッチング損失が前記順耐圧IGBTを基準(100%)として、112%に増加している。
一方、本発明にかかる実施例1のIGBTは、ウェハ表面にリンが初期ドープされているので、分離拡散に伴う酸素ドープがあっても相殺されて、ウェハ表面とバルクのドナー濃度が少なくとも同程度のフラットな分布にされているため、順耐圧が1405Vであり、従来例2の順耐圧1531Vより小さく抑えられているが、逆耐圧1390Vとほぼ同程度の値に揃えられていることが分かる。ただし、順逆耐圧とも100Ωcmの比抵抗から本来(分離拡散を伴なわない場合)期待される耐圧値からは共に比抵抗60Ωcmの前記従来例1の順耐圧IGBTの順耐圧値なみに低下している。これは酸素ドナーと初期リンドーピングにより実質的にドリフト層1の比抵抗が下がったためである。また、125℃、1200Vにおける高温逆漏れ電流は56.4mAのように、実施例1では、従来例2の逆阻止IGBTの55.0mAと同程度の値である。しかし、ウェハ厚は172μmと、10μm薄くされているので、スイッチング損失は従来例2より12%低い従来例1なみの100であり、分離拡散時間も約25時間短縮できる。
さらに、本発明にかかる実施例2のIGBTは、実施例1のIGBTより表面リンイオンのドーズ量が高いために表面ドーピング濃度が高く、それに対応して順耐圧は実施例1よりも少し低いが、逆耐圧は、前記リンの初期ドーピングの影響によりIGBTに寄生するpnp構造の増幅率が低減されているので、若干高くなっている。また、前記増幅率の低下の影響は高温逆漏れ電流の低減(56.4mAから35.4mAへ低減)にも明確に表れている。
本発明の逆阻止IGBTの断面図 分離拡散後のシリコン基板中の酸素濃度分布図、 逆阻止IGBTの順逆方向電界強度分布図、 高比抵抗化逆阻止IGBTの順逆方向電界強度分布図、 リンのカウンタードーピング濃度と(酸素ドナー濃度+基板の不純物濃度)の分布図、 本発明にかかるリンのカウンタードーピング濃度+酸素ドナー濃度+基板の不純物濃度の分布図、 従来の逆阻止IGBTの断面図 特許文献2にかかる従来のIGBTの断面図 本発明の逆阻止IGBTの製造工程にかかる断面図(その1) 本発明の逆阻止IGBTの製造工程にかかる断面図(その2) 本発明の逆阻止IGBTの製造工程にかかる断面図(その3) 本発明の逆阻止IGBTの製造工程にかかる断面図(その4) 本発明の逆阻止IGBTの製造工程にかかる断面図(その5) 本発明の逆阻止IGBTの製造工程にかかる断面図(その6) 本発明の逆阻止IGBTの製造工程にかかる断面図(その7)
符号の説明
1 nドリフト層(シリコン基板)
2 分離拡散領域
3 pベース領域
4 n+エミッタ領域
5 ゲート酸化膜
6 ゲート電極
7 エミッタ電極
8 コレクタ領域
8−1 コレクタ電極
9 表面
10 裏面。







Claims (5)

  1. n形半導体基板の第一主面に選択形成されるp形ベース領域と、該ベース領域表面層に選択形成されるn形エミッタ領域と、前記半導体基板の残り部分であるn形ドリフト層と前記エミッタ領域とに挟まれる前記ベース領域の第一主面側表面に被覆されるゲート絶縁膜と該ゲート絶縁膜上に被覆されるゲート電極と、前記p形ベース領域を前記ドリフト層を介して取り囲むp形分離拡散領域と、前記半導体基板の第二主面に露出する前記分離拡散領域に連結されるp形コレクタ層とを備える高耐圧半導体装置において、前記分離拡散領域の形成によって前記半導体基板に取り込まれた酸素がドナー化することによるドナー濃度の分布領域が、前記半導体基板の第一主面から内部に向かって増加する傾斜濃度分布領域と該傾斜濃度分布より深い領域では一定の濃度分布領域を有し、前記傾斜濃度分布領域は更にリンを不純物として加えられ前記一定の濃度分布領域の不純物濃度以上の不純物濃度であることを特徴とする高耐圧半導体装置。
  2. 前記p形コレクタ層のピーク濃度が5×10 16 cm −3 以上1×10 18 cm −3 以下であることを特徴とする請求項1記載の高耐圧半導体装置。
  3. n形半導体基板の第一主面に選択形成されるp形ベース領域と、該ベース領域表面層に選択形成されるn形エミッタ領域と、前記半導体基板の残り部分であるn形ドリフト層と前記エミッタ領域とに挟まれる前記ベース領域の第一主面側表面に被覆されるゲート絶縁膜と該ゲート絶縁膜上に被覆されるゲート電極と、前記p形ベース領域を前記ドリフト層を介して取り囲むp形分離拡散領域と、前記半導体基板の第二主面に露出する前記分離拡散領域に連結されるp形コレクタ層とを備える高耐圧半導体装置の製造方法であって、半導体基板に酸化膜を形成し、該酸化膜の上からリンをイオン注入し、該リンをイオン注入した半導体基板への分離拡散領域の形成が酸素雰囲気中で行われることを特徴とする高耐圧半導体装置の製造方法。
  4. 前記分離拡散領域の形成前に行なわれるイオン注入でのリンイオンのドーズ量が、分離拡散領域の形成時に取り込まれる酸素がドナー化することによる半導体基板の不純物濃度の不均一化を補償する程度と同程度以上であることを特徴とする請求項記載の高耐圧半導体装置の製造方法。
  5. 前記リンイオンのドーズ量が1×1011cm−2以上であることを特徴とする請求項記載の高耐圧半導体装置の製造方法。
JP2004262125A 2004-09-09 2004-09-09 高耐圧半導体装置およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4843923B2 (ja)

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