以下に、本発明にかかる微細気泡供給装置および液体処理装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
本発明者らは、ウェハや基板の水洗処理やエッチング処理等の液体処理において、液体処理を行う処理槽内に浸漬させたウェハや基板に対して、微細気泡を長期間安定して且つ均一に供給する方法について検討した。通常、ウェハや基板が浸漬される処理槽は、ウェハや基板が一定枚数入れられた保持部材(キャリア)が複数個並べられるため、幅または奥行き寸法がある程度長い直方体形状であることが一般的である。
そして、このような処理槽内に浸漬されたウェハや基板に対して均一に微細気泡を供給するためには、微細な気泡を生成する気泡微細化手段に、少なくとも1つ以上の噴出穴の開いた噴流管を接続し、さらに噴流管における下流側の先端を封じることが有効であることが分かった。また、処理槽内のウェハや基板に対して微細気泡をより均一に供給するためには、気泡微細化装置を処理槽に対して正反対に取り付けることが有効であることが分かった。
図1−1〜図1−3は、本発明の実施の形態1にかかる微細気泡供給装置を用いた液体処理装置である洗浄装置の概略構成を説明するための模式図である。図1−1は、洗浄装置の正面模式図、図1−2は、洗浄装置を図1−1の矢視Xから見た側面模式図、図1−3は、洗浄装置の図1−1の矢視Yから見た上面模式図である。洗浄液貯留部である処理槽1には、外側に気液二相流体供給配管11を介して、気泡微細化部3が接続されている。気泡微細化部3には、洗浄液供給部13から気泡微細化部3に洗浄液を供給する洗浄液供給配管2と、気体供給部14から気泡微細化部3に気体を供給する気体供給配管8と、が接続されている。
処理槽1内には、キャリア支持台6が配置されている。また、キャリア支持台6上には、処理槽1内において洗浄処理の対象となるウェハ4を保持する保持部であり、ウェハ4を複数配置可能とされたキャリア5が載置される。1台のキャリア5には、例えば10枚〜100枚のウェハが配置可能である。また、処理槽1には洗浄液流出配管9およびドレーン12が接続されている。
また、処理槽1内には、キャリア支持台6の下方に、略円筒形のパイプに噴出穴7aが開けられた噴流管7が配置されている。噴流管7の長手方向における一端は気液二相流体供給配管11に接続されており、気液二相流体供給配管11から気液二相流体が噴流管7に供給されるようになっている。一方、噴流管7の長手方向における他端には管封じ部10が設けられており、気液二相流体が管封じ部10でせき止められるようになっている。すなわち、気液二相流体をせき止めて噴出穴7aを介して洗浄液中に噴出させるせき止め部とされている。
洗浄液供給配管2、気泡微細化部3、噴流管7、気体供給配管8、管封じ部10、気液二相流体供給配管11、洗浄液供給部13および気体供給部14により微細気泡供給装置が構成されている。また、洗浄液供給配管2および洗浄液供給部13により、処理槽1内の洗浄液中に噴出する洗浄液を供給する液体供給部が構成されている。
次に、微細気泡供給装置について詳細に説明する。気泡微細化部3としては、具体的にはインジェクタ等が挙げられるが、スリット式、多孔質板式、配列多孔板式、極細ニードル式、メンブレン式、加圧溶解式、ベンチュリ式を使用しても同様の効果を得ることができる。また、気泡微細化部3は、処理槽1の側面のうち、底辺の長さの短い側面側に設置するのが好ましい。特に処理槽1が直方体である場合は、気泡微細化部3を処理槽1の側面のうち底辺の長さの短い側面側に設置すると、微細気泡をより均一に処理槽1内に供給できる。
また、気泡微細化部3に供給される気体流量Gと液体流量Lとの流量比G/Lは、体積比で0.05以上、5以下とするのが好ましい。流量比G/Lが0.05未満である場合には、気泡微細化部3において微細気泡は発生できるものの、気体供給量が少なすぎるために発生する気泡の量が少なくなり、ウェハ4の洗浄効果を十分に得ることができない。また、流量比G/Lが5より大きい場合には、気泡微細化部3への気体供給量が大き過ぎて、気泡微細化部3で発生する気泡の合一が進んで気泡径が大きくなるため、微細気泡が供給できず、ウェハ4の洗浄効果が低下する。
なお、気泡の合一を防ぐ効果を有する合一防止剤として、アルコールまたはアルコール誘導体を予めイオン交換水に添加してもよい。アルコールまたはアルコール誘導体としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、1,3−プロパンジオール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル2−プロパノール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1−ペンタノール、2−ペンタノール(sec−アミルアルコール)、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール)、2−メチル−2−ブタノール(tert−アミルアルコール)、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール(ネオペンチルアルコール)、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、5−ヘプタノール、6−ヘプタノール、7−ヘプタノール、8−ヘプタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,4−ヘプタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2,3−ヘプタンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2,5−ヘプタンジオール、2,6−ヘプタンジオール、2,7−ヘプタンジオール、3,4−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、3,6−ヘプタンジオール、3,7−ヘプタンジオール等およびこれらに挙げた物質以外の異性体(同一炭素数で直鎖または側鎖のあるもの、OH基の位置が異なるもの)が挙げられる。
また、気泡微細化部3に供給される1分間あたりの液体流量Lは、処理槽1の有効容積(実際に液体が処理槽1内に貯留される量)の1/100以上、1/2以下とすることが好ましい。1分間あたりの液体流量Lが処理槽1の有効容積の1/100未満である場合には、液体流量Lが小さ過ぎて、ウェハ4の洗浄が効率的に実施されない。また、1分間あたりの液体流量Lが処理槽1の有効容積の1/2より大きい場合には、液体流量が大き過ぎて、処理槽1内における液体の乱れが激しくなり、ウェハ4が大きく振動するため好ましくない。
次に、噴流管7について説明する。図2は、噴流管7の構造を説明するための模式図である。図2−1は、噴流管7の中心軸に略垂直な方向における断面模式図、図2−2は、噴流管7の中心軸に略平行な方向における断面模式図である。噴流管7には少なくとも1つ以上の噴出穴7aが必要であり、その形状は円形でも良いが、楕円形状または長方形形状が好ましい。噴出穴7aを楕円形状または長方形形状とすることにより、微細気泡が噴流管7から噴出し易くなる。噴出穴7aと噴出穴7aとの間隔は、噴流管7の機械的強度が確保できる範囲内で短くする、もしくは無いことが好ましい。噴出穴7aと噴出穴7aとの間隔を極力短くすることにより、噴出穴7aの長さを長くすることができ、微細気泡が噴流管7からより噴出し易くなる。また、噴流管7は、中心軸に略垂直な方向における断面形状が円形または楕円形であることが好ましい。このような形状を有することにより、噴流管7内を流体がスムーズに流れることができる。
また、例えば噴出穴7aが長方形形状を有し、キャリア5内における隣接するウェハ4間の距離が2mm〜3mm程度である場合には、噴出穴7aの長手方向の長さをAとし、噴出穴7aの長手方向における中央部と隣接する噴出穴7aの長手方向における中央部との間隔をBとすると、B>A、5mm<A<噴流管7の全長(A=噴流管7の全長である場合はB=0)とすることが好ましい。このような条件を満たすことにより、例えば1mm〜3mm程度の微細気泡が処理槽1内に均一に供給し易くなる。また、噴出穴7aの短手方向の長さをCとすると、0.1mm<C<10mmとすることが好ましい。このような条件を満たすことにより、例えば1mm〜3mm程度の微細気泡が処理槽1内に均一に供給し易くなる。
噴出穴7aの開口率は、噴流管7の全周面積に対して1%以上50%以下であることが好ましい。噴出穴7aの開口率が1%より小さい場合には、微細気泡が噴出穴7aから噴出する際の抵抗が大きくなり過ぎ、微細気泡が処理槽1内に均一に供給されないため好ましくない。また、噴出穴7aの開口率が50%より大きい場合には、噴流管7内の圧力が一様にならず、微細気泡が処理槽1内に均一に供給されないため好ましくない。
噴出穴7aは、図2−1および図2−2に示すように複数個あればよいが、数は極力多いほうが好ましい。噴出穴7aの数が多いほど、微細気泡が処理槽1内に均一に供給することができる。なお、噴流管7の機械強度等が問題になる場合は、垂直方向下向きの噴出穴7aは無くてもよい。
上述したように噴流管7の他端には管封じ部10が設けられている。図3は、噴流管7内における気泡微細化部3が配置されている側の槽壁面からの距離(cm)と、噴流管7内での気液二相流体の噴流管7の軸方向における流速(以下、単に流速と呼ぶ)(m/sec)と、の関係について、噴流管7の他端に管封じ部10がある場合と無い場合とで比較した特性図である。ここで、気体(空気)流量Gと液体(イオン交換水)流量Lとの比:G/Lは0.5であり、噴流管7の長さは100cm、内径は20mm、液体流量は15L/分である。
図3から分かるように、噴流管7の他端における管封じ部10の有無にかかわらず、流速は噴流管7の槽壁面からの距離が長くなるほど遅くなる。なお、初速は管封じ部10の有無にかかわらず、0.83m/秒である。また、管封じ部10がある場合における流速は、噴流管7の槽壁面からの距離が近いところで一旦減少し、その後徐々に緩やか且つ均一になる。なお、管封じ部10がある場合の流速は0m/秒であるが、管封じ部10が無い場合の流速は0.44m/秒である。また、噴流管の材質としては静的接触角が90℃未満のものが好ましく、例えば塩化ビニル(液体の温度が高い場合は耐熱性のもの)やSUSが挙げられる。
一方、管封じ部10が無い場合における流速は徐々に減少するが、管封じ部10がある場合よりも全体的に速い。そして、管封じ部10が無い場合は、流速が速すぎて気泡の上昇速度よりも噴流管7内を移動する流速のほうが速くなるため、噴流管7の噴出穴7aから微細気泡が放出されず、微細気泡のほとんどが噴流管7の他端から流出してしまい、処理槽1内のウェハ4に一様に微細気泡を供給することができない。すなわち、噴流管7の他端に管封じ部10があることによって、噴流管7内の流速を低く保つことができ、その結果噴流管7の噴出穴7aから微細気泡を一様に放出して、ウェハ4に微細気泡を均一に供給することができる。
なお、噴流管7の他端における管封じの方法としては、気液二相流体が噴流管の先端から漏れないようにすればよく、管封じ部10として噴流管7の他端にキャップをする方法や管の先端を溶かして封止する方法等がある。
また、噴流管7の長さは、処理槽1を上面から見た場合にキャリア5から十分にはみ出る長さにすることが好ましい。噴流管7がその長さ方向においてキャリア5からはみ出さない場合には、噴流管7が短すぎるために微細気泡を全てのウェハ4に均一に供給することができない。また、本実施の形態で示すように気泡微細化部3が処理槽1に対して1つ設置される場合には、一般的に噴流管7の長さは100cm以下とするのが好ましい。噴流管7の長さが100cmより長くなると、管封じ部10を設けても噴流管7内の圧力を一定に保つことが難しくなり、微細気泡を処理槽1内に均一に供給できなくなる。
次に、洗浄装置の動作について説明する。なお、本実施の形態においては、ウェハ4をイオン交換水で洗浄する場合について説明するが、洗浄装置の洗浄処理はこれに限るものではない。処理槽1には、予め洗浄液流出配管9よりも低い水位のイオン交換水(第1の液体)が貯留されている。まず、洗浄液供給部13からイオン交換水(第2の液体)が洗浄液供給配管2を介して気泡微細化部3に送られるとともに、気体供給部14から空気が気体供給配管8を介して気泡微細化部3に送られる。
気泡微細化部3では、供給された空気を微細化して微細気泡を発生するとともに、洗浄液供給配管2を介して供給されたイオン交換水に微細気泡を混合して混合流体を生成する。この混合流体は、気液二相流体、すなわち微細気泡の相(気相)とイオン交換水(液相)との気液二相流体である。そして、気液二相流体は、イオン交換水(第2の液体)が供給された際の流動力より、気液二相流体供給配管11を介して処理槽1内の噴流管7に送出される。
続いて、気液二相流体が噴流管7に流入すると、気液二相流体は該気液二相流体の流動力によって、噴流管7に開けられた噴出穴7aから処理槽1内の洗浄液中に噴出される。すなわち、噴流管7に開けられた噴出穴7aからイオン交換水および微細気泡が同時に噴出される。これにより、ウェハ4には、該ウェハ4の下部から一様にイオン交換水および微細気泡が供給され、ウェハ4の表面のイオン交換水が流動し、ウェハ4が洗浄される。
その際、噴流管7の他端が管封じ部10によって封止されていることにより、噴流管7内の気液二相流体の流速が緩やか且つ均一になり、噴流管7に開けられた噴出穴7aから一様に微細気泡が噴出する。これにより、ウェハ4には、該ウェハ4の下部からウェハ4間およびウェハ4の外側において安定して、且つ略均等に微細気泡が供給されるため、ウェハ4の表面のイオン交換水が略均等に流動し、ウェハ4が略均一に洗浄される。なお、キャリア支持台6においてキャリア5が設置される箇所は空隙があり、噴流管7から供給された微細気泡が滞りなくウェハ4へ供給されるようになっている。
微細気泡は、ウェハ4間およびウェハ4の外側を通過して上昇した後、水面で大気へ放出される。洗浄が終わった後のイオン交換水は、洗浄液流出配管9から流出する。また、洗浄が完了したウェハ4はキャリア5ごと引き上げられて次の工程へ送られ、別のキャリア5が処理槽1内に浸漬される。このようにしてウェハ4の洗浄が進められ、洗浄が完了すると、処理槽1内のイオン交換水はドレーン12を介して排水される。
上述したように、実施の形態1にかかる洗浄装置によれば、微細気泡を含んだ気液二相流体が該気液二相流体の流動力により、噴流管7の噴出穴7aから処理槽1内に噴出されて速やかに且つ確実に上昇するため、洗浄液中の不純物等に起因した噴出穴7aにおける目詰まりの発生が防止され、微細気泡を処理槽1内の洗浄液中に安定して均一に供給することができる。また、噴出穴7aから噴出されて且つ確実に上昇するため、微細気泡が合一して大きく成長することが無く、微細なままの気泡を処理槽1内の洗浄液中に安定して均一に供給することができる。
また、洗浄液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4間およびウェハ4の外側において均一に且つ確実に通過することができ、ウェハ4の配置位置に起因したウェハ4の表面における洗浄液の更新の効率の差が生じない。これにより、ウェハ4の配置位置に起因した洗浄度合いのばらつきの発生が防止され、均等にウェハ4の洗浄を行うことができる。
また、洗浄液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4に与える衝撃を和らげ、ウェハ4同士の割れ、ウェハ4の欠けおよびウェハ4同士のくっつきを抑制することができる。
なお、上記においては気泡微細化部3に供給する気体として空気を使用する場合について説明したが、気泡微細化部3に供給する気体はこれに限定されず、空気、酸素、窒素、オゾン、水素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、メタン、プロパンのうち少なくとも1種を含む気体を供給することができる。
また、上記においては洗浄液としてイオン交換水を使用する場合について説明したが、洗浄液はこれに限定されず、イオン交換水、水道水、地下水、再生水、純水のうち少なくとも1種を含む液体を供給することができる。また、処理槽1に貯留した洗浄液と、気泡微細化部3に供給する洗浄液とに異なる液体を用いてもよい。
また、上記においては一度ウェハ4を洗浄した洗浄液が洗浄液流出配管9から排出されるワンスルー型の洗浄例を示したが、洗浄液を循環使用してもかまわない。その際は、膜等によるろ過、イオン交換樹脂によるイオン除去等の処理を洗浄液に施してもよい。
実施の形態2.
実施の形態2では、より微細気泡を均一に処理槽1内に供給する方法について説明する。図4は、実施の形態2にかかる洗浄装置の概略構成を説明するための正面模式図である。実施の形態2にかかる洗浄装置は、図4に示すように実施の形態1にかかる洗浄装置において、気体供給配管8の途中に気体供給量制御装置15が配置された構成を有する。この気体供給量制御装置15は、洗浄装置によりウェハ4を洗浄する際に、気泡微細化部3への気体の供給量を制御することができる。すなわち、実施の形態2にかかる洗浄装置では、気泡微細化部3への気体の供給量を気体供給量制御装置15で制御することにより、気体(空気)流量Gと液体(イオン交換水)流量Lとの比:G/Lを変動させることができる。
図5−1は、気泡微細化部3への気体の供給量が少ない場合(G/L=0.1)において、噴流管7から気泡が発生する様子を示す模式図である。また、図5−2は、気泡微細化部3への気体の供給量が多い場合(G/L=1.0)において、噴流管7から気泡が発生する様子を示す模式図である。ここで、噴流管7の内径は20mm、液体流量は15L/分である。
気泡微細化部3への気体の供給量が少ない場合(G/L=0.1)および多い場合(G/L=1.0)のいずれの条件においても噴流管7から一様に微細気泡が放出される。そして、気泡微細化部3への気体の供給量が少ない場合(G/L=0.1)の場合は、図5−1に示すように、噴流管7の長さ方向における気泡微細化部3に近い領域から放出される微細気泡の量が多めとなる。一方、気泡微細化部3への気体の供給量が多い場合(G/L=1.0)の場合は、図5−2に示すように、噴流管7の長さ方向における気泡微細化部3から遠い領域から放出される微細気泡の量が多めとなる。
図6は、噴流管7内における気泡微細化部3が配置されている側の槽壁面からの距離(cm)と、噴流管7内での気液二相流体の噴流管7の軸方向における流速(m/sec)と、の関係について、G/L=0.1の場合とG/L=1.0の場合とで比較した特性図である。ここで、噴流管7の内径は20mm、液体流量は15L/分である。また、噴流管7の長さは、100cmである。また、噴流管の材質としては静的接触角が90℃未満のものが好ましく、例えば塩化ビニル(液体の温度が高い場合は耐熱性のもの)やSUSが挙げられる。
図6から分かるように、G/L=0.1の場合は、流速は気泡微細化部3に近い領域で急激に低下した後、さらに徐々に低下して管封じ部10のところでゼロとなる。一方、G/L=1.0の場合は、流速は徐々に低下して管封じ部10のところでゼロとなる。すなわち噴流管7内の流速の変化によって、噴流管7の長さ方向における微細気泡の発生量の差が生じている。したがって、本実施の形態のように気体供給量制御装置15を用いて気泡微細化部3への気体供給量を制御することによって、微細気泡の発生量を制御して、微細気泡をウェハ4に対してより均一に供給することが可能となる。特に、気泡微細化部3に供給する気体流量または液体流量に制限がある場合には、本実施の形態のように気泡微細化部3への気体供給量を制御することによって、ウェハ4に対して効率的に且つ均一に微細気泡を供給することができる。なお、気体供給量制御装置15は、予め定められた気体流量をタイマー等で制御して自動で運転してもよい。
上述したように、実施の形態2にかかる洗浄装置によれば、微細気泡を含んだ気液二相流体が該気液二相流体の流動力により、噴流管7の噴出穴7aから処理槽1内に噴出されて速やかに且つ確実に上昇するため、洗浄液中の不純物等に起因した噴出穴7aにおける目詰まりの発生が防止され、微細気泡を処理槽1内の洗浄液中に安定して均一に供給することができる。また、噴出穴7aから噴出されて且つ確実に上昇するため、微細気泡が合一して大きく成長することが無く、微細なままの気泡を処理槽1内の洗浄液中に安定して均一に供給することができる。
また、洗浄液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4間およびウェハ4の外側において均一に且つ確実に通過することができ、ウェハ4の配置位置に起因したウェハ4の表面における洗浄液の更新の効率の差が生じない。これにより、ウェハ4の配置位置に起因した洗浄度合いのばらつきの発生が防止され、均等にウェハ4の洗浄を行うことができる。
また、洗浄液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4に与える衝撃を和らげ、ウェハ4同士の割れ、ウェハ4の欠けおよびウェハ4同士のくっつきを抑制することができる。
また、実施の形態2にかかる洗浄装置によれば、気体供給量制御装置15を用いて気泡微細化部3への気体供給量を制御することにより気泡微細化部3での微細気泡の発生量を制御することができ、微細気泡をウェハ4に対してより均一に供給することが可能となる。
実施の形態3.
実施の形態3では、本発明にかかる微細気泡供給装置を用いた液体処理装置であり、ウェハ4に対してアルカリウェットエッチングを行うウェットエッチング装置について説明する。図7は、実施の形態3にかかるウェットエッチング装置の概略構成を説明するための正面模式図である。
エッチング液貯留部である処理槽1には、外側に気液二相流体供給配管11を介して、気泡微細化部3が接続されている。気泡微細化部3には、気体供給部14から気泡微細化部3に気体を供給する気体供給配管8が接続されている。また、処理槽1内にはオーバーフロー槽16が併設され、該オーバーフロー槽16にはエッチング液循環配管18を介してエッチング液循環ポンプ17が接続され、さらにエッチング液循環配管18を介して気泡微細化部3に接続されている。
処理槽1内には、キャリア支持台6が配置されている。また、キャリア支持台6上には、処理槽1内においてエッチング処理の対象となるウェハ4を保持する保持部であり、ウェハ4を複数配置可能とされたキャリア5が載置される。1台のキャリア5には、例えば10枚〜100枚のウェハが配置可能である。処理槽1にはドレーン12が接続されている。
また、処理槽1内には、キャリア支持台6の下方に、略円筒形のパイプに噴出穴7aが開けられた噴流部である噴流管7が配置されている。噴流管7の長手方向における一端は気液二相流体供給配管11に接続されており、気液二相流体供給配管11から気液二相流体が噴流管7に供給されるようになっている。一方、噴流管7の長手方向における他端には管封じ部10が設けられており、気液二相流体が管封じ部10でせき止められるようになっている。噴流管7の下方には、ヒータ24が配置され、ヒータ配線30を介してヒータ電源31に接続されている。
また、処理槽1には水酸化ナトリウム(NaOH)供給配管23、アルコール誘導体供給配管27、イオン交換水供給配管28が接続されている。水酸化ナトリウム(NaOH)貯留槽21および水酸化ナトリウム(NaOH)供給ポンプ22は順次水酸化ナトリウム(NaOH)供給配管23を介して処理槽1に接続されている。アルコール誘導体貯留槽25およびアルコール誘導体供給ポンプ26は順次アルコール誘導体供給配管27を介して処理槽1に接続されている。ここで、アルコール誘導体貯留槽25、アルコール誘導体供給ポンプ26およびアルコール誘導体供給配管27により、エッチング液に気泡の合一防止剤を添加する合一防止剤添加部が構成されている。なお、これらの構成部品の材質は耐熱性、耐アルカリ性であることが好ましく、使用される材料としてはSUSやフッ素樹脂が挙げられる。
気泡微細化部3、噴流管7、気体供給配管8、管封じ部10、気液二相流体供給配管11、オーバーフロー槽16、エッチング液循環ポンプ17およびエッチング液循環配管18により微細気泡供給装置が構成されている。また、オーバーフロー槽16、エッチング液循環ポンプ17およびエッチング液循環配管18により、処理槽1内のエッチング液中に噴出するエッチング液を供給する液体供給部が構成されている。
次に、ウェットエッチング装置の動作について説明する。まず、処理槽1に所定量のイオン交換水がイオン交換水供給配管28を介して投入される。また、水酸化ナトリウム(NaOH)貯留槽21から所定量の水酸化ナトリウム(NaOH)溶液が、水酸化ナトリウム(NaOH)供給ポンプ22によって水酸化ナトリウム(NaOH)供給配管23を介して処理槽1に投入される。また、アルコール誘導体貯留槽25から所定量のアルコール誘導体が、アルコール誘導体供給ポンプ26によってアルコール誘導体供給配管27を介して処理槽1に投入される。これにより、所定の濃度のエッチング液が調製される。処理槽1からあふれたエッチング液はオーバーフロー槽16に貯留される。
ここで供給される水酸化ナトリウム(NaOH)、アルコール誘導体は液体の方が好ましいが、固体をイオン交換水等に溶解させて供給してもよく、また固体を直接処理槽1に所定量投入してもよい。
続いて処理槽1内のエッチング液に気体供給配管8を介して気体供給部14から気体が供給される。そして、オーバーフロー槽16に貯留されたエッチング液が、エッチング液循環ポンプ17によってエッチング液循環配管18を介して汲み出され、エッチング液循環配管18を介して再度処理槽1に送られて循環される。また、処理槽1内のエッチング液が、ヒータ24によって所定温度まで加熱される。
続いて気体供給配管8から気体が気泡微細化部3に供給されると同時に、エッチング液循環ポンプ17によってオーバーフロー槽16のエッチング液が汲み出され、エッチング液循環配管18を介して処理槽1に送られる。このとき、気泡微細化部3では供給された気体が微細気泡とされ、循環されるエッチング液に混合されて、微細気泡を含む気液二相流体が生成される。そして、気泡微細化部3で生成された気液二相流体が、気液二相流体供給配管11を介して再度処理槽1に供給されることでエッチング液が循環される。
次に、ウェハ4として例えばシリコンウェハが配置された2台のキャリア5がロボットアーム等によって処理槽1内のキャリア支持台6の上に載置される。これにより、ウェハ4がエッチング液内に浸漬され、所定時間だけウェットエッチング処理が実施される。その後、再度ロボットアーム等によって処理槽1からキャリア5ごとウェハ4が引き上げられ、次工程に送られる。以上により、1バッチ分のウェハ4のウェットエッチングが終了する。なお、ウェハ4は予めダメージエッチング処理が実施されていることが好ましい。ダメージエッチング処理としては、所定時間だけウェハ4をアルカリ試薬に浸漬する等の方法がある。
続いて、上記と同様にして未処理のウェハ4が配置されたキャリア5がロボットアーム等によって処理槽1に投入されて、順次ウェットエッチング処理が実施される。所定バッチ数のウェットエッチング処理が完了すると、処理槽1内のエッチング液はドレーン12を介して排出され、上記のようにして新たにエッチング液が処理槽1内で調製される。バッチ数はウェハ4からエッチング液に溶出されたシリコンの量等から決定される。またウェットエッチング処理時間はバッチ数毎に異なり、バッチ数が増えるほど長くなる。
図8は、実施の形態3にかかる他のウェットエッチング装置の概略構成を説明するための正面模式図である。図8に示すウェットエッチング装置は、図7に示したウェットエッチング装置において、気体供給配管8の途中に気体供給量制御装置15が配置された構成を有する。この気体供給量制御装置15は、ウェットエッチング装置によりウェハ4のエッチングを行う際に、気泡微細化部3への気体の供給量を制御することができる。すなわち、このエッチング装置では、気泡微細化部3への気体の供給量を気体供給量制御装置15で制御することにより、気体(空気)流量Gと液体(イオン交換水)流量Lとの比:G/Lを変動させることができる。気体供給量制御装置15は、予め定められた気体流量をタイマー等で制御して自動で運転してもよい。
気体供給量制御装置15を用いて気泡微細化部3への気体供給量を制御することによって、微細気泡の発生量を制御して、微細気泡をウェハ4に対してより均一に供給することが可能となる。特に、気泡微細化部3に供給する気体流量または液体流量に制限がある場合には、気泡微細化部3への気体供給量を制御することによって、ウェハ4に対して効率的に且つ均一に微細気泡を供給することができる。これにより、ウェハ4のエッチングを安定して効率的に実施できるとともに、処理槽1内のウェハ4をムラなく、均一にエッチングすることができる。また、気泡が微細化されているため処理槽1内のウェハ4への気泡による衝撃を和らげ、ウェハ4同士の割れ、ウェハ4の欠けおよびウェハ4同士のくっつきを抑制できる。
上述したように、実施の形態3にかかるウェットエッチング装置によれば、微細気泡を含んだ気液二相流体が該気液二相流体の流動力により、噴流管7の噴出穴7aから処理槽1内に噴出されて速やかに且つ確実に上昇するため、エッチング液中の不純物等に起因した噴出穴7aにおける目詰まりの発生が防止され、微細気泡を処理槽1内のエッチング液中に安定して均一に供給することができる。また、噴出穴7aから噴出されて且つ確実に上昇するため、微細気泡が合一して大きく成長することが無く、微細なままの気泡を処理槽1内のエッチング液中に安定して均一に供給することができる。
また、エッチング液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4間およびウェハ4の外側において均一に且つ確実に通過することができ、ウェハ4の配置位置に起因したウェハ4の表面におけるエッチング液の更新の効率の差が生じない。これにより、ウェハ4の配置位置に起因したエッチング度合いのばらつきの発生が防止され、均等にウェハ4のエッチングを行うことができる。
また、エッチング液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4に与える衝撃を和らげ、ウェハ4同士の割れ、ウェハ4の欠けおよびウェハ4同士のくっつきを抑制することができる。
また、気体供給量制御装置15を用いて気泡微細化部3への気体供給量を制御することにより気泡微細化部3での微細気泡の発生量を制御することができ、微細気泡をウェハ4に対してより均一に供給することが可能となる。
実施の形態4.
処理槽1が直方体の形状を有し、その底面の長手方向の長さ(以下、処理槽1の幅寸法と呼ぶ)が長い場合、例えば処理槽1の幅寸法が100cmを超えるような場合は、1つの気泡微細化部3では処理槽1内に微細気泡を均一に供給することが難しくなる。このような場合は、気泡微細化部3を処理槽1の幅方向における両側面の外側に設置することにより、微細気泡を均一に処理槽1内に供給することが可能になる。実施の形態4では、処理槽1が直方体形状を有し、処理槽1の幅寸法が長い場合において、微細気泡を均一に処理槽1内に供給する方法について説明する。
図9は、実施の形態4にかかる洗浄装置の概略構成を説明するための正面模式図である。実施の形態4にかかる洗浄装置は、図9に示すように実施の形態1にかかる洗浄装置よりも処理槽1の幅寸法が長く設けられ、2つの気泡微細化部3−1、3−2がそれぞれ気液二相流体供給配管11−1、11−2を介して処理槽1の幅方向における両側面の外側に配置された構成を有する。また、気泡微細化部3−1、3−2は、それぞれ気体供給配管8−1、8−2を介して気体供給部14に接続されている。
洗浄液供給部13に接続された洗浄液供給配管2は2つの経路に分岐されて、一方の経路は流量調整弁41−1を介して気泡微細化部3−1に接続されている。また、他方の経路は流量調整弁41−2を介して気泡微細化部3−2に接続されている。処理槽1内には洗浄対象となるウェハ4がキャリア5に納められ、キャリア5はキャリア支持台6の上に載置されている。さらに処理槽1には、洗浄液流出配管9およびドレーン12が接続されている。
処理槽1内では、それぞれ噴出穴7aを開けられた噴流管7−1および噴流管7−2が、キャリア支持台6の下方においてそれぞれ気液二相流体供給配管11−1、11−2に接続され、さらに処理槽1内の略中央で噴流管繋ぎ20を介して一つにまとめられている。
次に動作について説明する。なお、本実施の形態においては、ウェハ4をイオン交換水で洗浄する場合について説明するが、洗浄装置の洗浄処理はこれに限るものではない。処理槽1には、予め洗浄液流出配管9よりも低い水位のイオン交換水(第1の液体)が貯留されている。まず、洗浄液供給部13からイオン交換水(第2の液体)が洗浄液供給配管2を介して供給される。洗浄液供給部13から供給されるイオン交換水は、流量調整弁41−1、41−2の手前で分岐され、等流量で調整されてそれぞれ気泡微細化部3−1、3−2へ送られる。また、気体供給部14から空気が気体供給配管8−1、8−2を介して気泡微細化部3−1、3−2に送られる。
それぞれの気泡微細化部3−1、3−2においては、供給された空気を微細化して微細気泡を発生するとともに、洗浄液供給配管2を介して供給されたイオン交換水に微細気泡を混合して混合流体を生成する。この混合流体は、気液二相流体、すなわち微細気泡の相(気相)とイオン交換水(液相)との気液二相流体である。そして、気泡微細化部3−1、3−2において生成された気液二相流体は、洗浄液供給配管2を介してイオン交換水(第2の液体)が供給された際の流動力より、気液二相流体供給配管11−1、11−2を介してそれぞれ処理槽1内の噴流管7−1、7−2に送出される。
続いて、気液二相流体が噴流管7−1、7−2に流入すると、気液二相流体は該気液二相流体の流動力によって、噴流管7−1、7−2に開けられた噴出穴7aから処理槽1内の洗浄液中に噴出される。すなわち、噴流管7に開けられた噴出穴7aからイオン交換水および微細気泡が同時に噴出される。これにより、ウェハ4には、該ウェハ4の下部から一様にイオン交換水および微細気泡が供給され、ウェハ4の表面のイオン交換水が流動し、ウェハ4が洗浄される。
その際、処理槽1内の中央において噴流管繋ぎ20を介して噴流管7−1と噴流管7−2とが一つにまとめられていることにより、噴流管7−1内および噴流管7−2内の気液二相流体の流速が緩やか且つ均一になり、噴流管7−1、7−2に開けられた噴出穴7aから一様に微細気泡が噴出する。すなわち、噴流管7−1内および噴流管7−2内の気液二相流体の衝突した部分が、気液二相流体をせき止めて噴出穴7aを介してイオン交換水中に噴出させるせき止め部とされている。これにより、ウェハ4には、該ウェハ4の下部からウェハ4間およびウェハ4の外側において安定して、且つ略均等に微細気泡が供給されるため、ウェハ4の表面のイオン交換水が略均等に流動し、ウェハ4が略均一に洗浄される。なお、キャリア支持台6においてキャリア5が設置される箇所は空隙があり、噴流管7から供給された微細気泡が滞りなくウェハ4へ供給されるようになっている。
微細気泡は、ウェハ4間およびウェハ4の外側を通過して上昇した後、水面で大気へ放出される。洗浄が終わった後のイオン交換水は、洗浄液流出配管9から流出する。また、洗浄が完了したウェハ4はキャリア5ごと引き上げられて次の工程へ送られ、別のキャリア5が処理槽1内に浸漬される。このようにしてウェハ4の洗浄が進められ、洗浄が完了すると、処理槽1内のイオン交換水はドレーン12を介して排水される。
なお、上記においては、流量調整弁41−1、41−2を用いてイオン交換水の気泡微細化部3−1、3−2への供給量が等しくなるように制御したが、同型の気泡微細化部3を2つ使用し、この2つの気泡微細化部3への供給気体流量が等しい場合には流量調整弁41−1、41−2は不要となる。
また、上記においては、処理槽1内の中央で噴流管繋ぎ20を介して噴流管7−1および噴流管7−2を一つにまとめた場合について説明したが、噴流管7−1および噴流管7−2における処理槽1内の中央部側の端部にそれぞれ管封じ部10を設置してもよく、この場合も上記と同様の効果が得られる。
但し、図9に示したように、処理槽1内の中央で噴流管繋ぎ20を介して噴流管7−1および噴流管7−2が一つにまとめられている方が、気液二相流体供給配管11−1側からおよび気液二相流体供給配管11−2側からの双方向からの気液二相流体が衝突することにより、噴流管7内で気液二相流体の混合がより促進されて、微細気泡が処理槽1内へより均一に供給されるという効果が得られる。また、噴流管7内の気液二相流体の水平流速の分布がより一様になって、微細気泡が処理槽1内へより均一に供給されるという効果が得られる。さらに、噴流管繋ぎ20を介さずに1本の噴流管7で各気液二相流体供給配管11−1、11−2を繋いでもよく、この場合も噴流管繋ぎ20を介した場合と同様の効果が得られる。
なお、気泡微細化部3の設置位置に制限が無ければ、処理槽1の幅方向の長さが例えば50cm未満であっても、二つの気泡微細化部3−1、3−2を取り付けることにより、より均一に微細気泡を処理槽1内に供給できる。
図10は、実施の形態4にかかる他の洗浄装置の概略構成を説明するための下面模式図である。図10に示す洗浄装置は基本的に図9に示した洗浄装置と同様の構成を有する。以下では、図9に示した洗浄装置と異なる特徴について説明する。
図10に示す洗浄装置は処理槽1が直方体の形状を有し、その底面の短手方向の長さ(以下、処理槽1の奥行きと呼ぶ)が図9に示した洗浄装置よりも長く設けられている。そして、気液二相流体供給配管11−1、11−2を処理槽1側においてそれぞれ同じ数だけ分岐させており、分岐させた数に合わせた流量調整弁42が分岐した気液二相流体供給配管11−1、11−2の途中に配置されている。また、それぞれの流量調整弁42の先に気液二相流体供給配管11−1、11−2を介して噴流管7−1、7−2が配置され、さらに同じ列に位置する噴流管7−1と噴流管7−2とが噴流管繋ぎ20により1つにまとめられている。
噴流管7の長手方向と略直交する方向である処理槽1の奥行き寸法が長い場合には、このように噴流管7−1、7−2を噴流管7の長手方向と略直交する方向において複数列配置することにより、処理槽1内へより均一に微細気泡を供給することができる。図10では、気液二相流体供給配管11を処理槽1側において3列に分岐させて、噴流管7を3列に設置した例を示している。
さらに、例えば処理槽1の幅寸法が200cm以下であれば各噴流管7−1、7−2の長さが100cm以下となり、気泡微細化部3−1、3−2が一般的な処理能力を有する場合には処理槽1内へ、より均一に微細気泡を供給することができる。
上述したように、実施の形態4にかかる洗浄装置によれば、微細気泡を含んだ気液二相流体が該気液二相流体の流動力により、噴流管7の噴出穴7aから処理槽1内に噴出されて速やかに且つ確実に上昇するため、洗浄液中の不純物等に起因した噴出穴7aにおける目詰まりの発生が防止され、微細気泡を処理槽1内の洗浄液中に安定して均一に供給することができる。また、噴出穴7aから噴出されて且つ確実に上昇するため、微細気泡が合一して大きく成長することが無く、微細なままの気泡を処理槽1内の洗浄液中に安定して均一に供給することができる。
また、洗浄液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4間およびウェハ4の外側において均一に且つ確実に通過することができ、ウェハ4の配置位置に起因したウェハ4の表面における洗浄液の更新の効率の差が生じない。これにより、ウェハ4の配置位置に起因した洗浄度合いのばらつきの発生が防止され、均等にウェハ4の洗浄を行うことができる。
また、洗浄液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4に与える衝撃を和らげ、ウェハ4同士の割れ、ウェハ4の欠けおよびウェハ4同士のくっつきを抑制することができる。
また、実施の形態4にかかる洗浄装置によれば、処理槽1内の中央において噴流管繋ぎ20を介して噴流管7−1と噴流管7−2とが一つに繋がれているため、噴流管7−1内および噴流管7−2内の気液二相流体の流速が緩やか且つ均一になり、噴流管7−1、7−2に開けられた噴出穴7aから一様に微細気泡が噴出する。これにより、例えば処理槽1の幅寸法が100cmを超えるような場合においても、微細気泡はウェハ4間およびウェハ4の外側において安定して且つ略均等に供給されるため、ウェハ4の表面において洗浄液が略均等に流動し、ウェハ4を略均一に洗浄することができる。
実施の形態5.
実施の形態5では、幅寸法が100cmを超える処理槽1を有するウェットエッチング装置について説明する。図11は、実施の形態5にかかるウェットエッチング装置の概略構成を説明するための正面模式図であり、処理槽1の幅寸法:1450mm、奥行寸法:400mm、水深:300mmであり、5台のキャリア5に収納したウェハ4をアルカリエッチングする場合を示している。図12は、実施の形態5にかかるウェットエッチング装置の処理槽1の上面図である。
処理槽1には、図12に示すように奥行き方向の一側面に沿ってオーバーフロー槽16が設置されている。エッチング液循環ポンプ17は、エッチング液循環配管18を介してオーバーフロー槽16に接続されている。また、エッチング液循環配管18はオーバーフロー槽16と反対側において二つの経路に分岐されて、一方の経路は流量調整弁41−1を介して気泡微細化部3−1に接続されている。また、他方の経路は流量調整弁41−2を介して気泡微細化部3−2に接続されている。
2つの気泡微細化部3−1、3−2は、それぞれ気液二相流体供給配管11−1、11−2を介して処理槽1の幅方向における両側面の外側に配置されている。また、気泡微細化部3−1、3−2は、それぞれ気体供給配管8−1、8−2を介して気体供給部14に接続されている。
また、処理槽1内では、それぞれ噴出穴7aを開けられた噴流管7−1および噴流管7−2が、キャリア支持台6の下方においてそれぞれ気液二相流体供給配管11−1、11−2に接続され、さらに処理槽1内の略中央で噴流管繋ぎ20を介して一つにまとめられている。それ以外の構成は実施の形態3における図7の場合と同様である。なお、気体供給配管8−1、8−2には、気体供給量制御装置15を設置してもよい。
なお、ウェットエッチング装置の動作は、気体供給配管8を介して気体供給部14から気泡微細化部3−1、3−2に気体が供給され、処理槽1に貯留されたエッチング液が、エッチング液循環ポンプ17によってエッチング液循環配管18を介して気泡微細化部3−1、3−2に供給され、気泡微細化部3−1、3−2から気液二相流体供給配管11を介して噴流管7−1と噴流管7−2とに供給されること以外は、実施の形態3の場合と同様である。
上述したように、実施の形態5にかかるウェットエッチング装置によれば、微細気泡を含んだ気液二相流体が該気液二相流体の流動力により、噴流管7の噴出穴7aから処理槽1内に噴出されて速やかに且つ確実に上昇するため、エッチング液中の不純物等に起因した噴出穴7aにおける目詰まりの発生が防止され、微細気泡を処理槽1内のエッチング液中に安定して均一に供給することができる。また、噴出穴7aから噴出されて且つ確実に上昇するため、微細気泡が合一して大きく成長することが無く、微細なままの気泡を処理槽1内のエッチング液中に安定して均一に供給することができる。
また、エッチング液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4間およびウェハ4の外側において均一に且つ確実に通過することができ、ウェハ4の配置位置に起因したウェハ4の表面におけるエッチング液の更新の効率の差が生じない。これにより、ウェハ4の配置位置に起因したエッチング度合いのばらつきの発生が防止され、均等にウェハ4のエッチングを行うことができる。
また、エッチング液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4に与える衝撃を和らげ、ウェハ4同士の割れ、ウェハ4の欠けおよびウェハ4同士のくっつきを抑制することができる。
また、実施の形態5にかかるウェットエッチング装置によれば、処理槽1内の中央において噴流管繋ぎ20を介して噴流管7−1と噴流管7−2とを一つに繋がれているため、噴流管7−1内および噴流管7−2内の気液二相流体の流速が緩やか且つ均一になり、噴流管7−1、7−2に開けられた噴出穴7aから一様に微細気泡が噴出する。これにより、例えば処理槽1の幅寸法が100cmを超えるような場合においても、微細気泡はウェハ4間およびウェハ4の外側において安定して且つ略均等に供給されるため、ウェハ4の表面においてエッチング液が略均等に流動し、ウェハ4を略均一にエッチングすることができる。
実施の形態6.
実施の形態6では、幅寸法が100cmを超える処理槽1を有する洗浄装置について説明する。図13は、実施の形態6にかかる洗浄装置の概略構成を説明するための正面模式図であり、処理槽1の幅寸法:1400mm、奥行寸法:400mm、水深:300mmであり、キャリア5に収納したウェハ4をイオン交換水で洗浄する場合を示している。
実施の形態にかかる洗浄装置の構成および動作は、実施の形態4において図9に示した洗浄装置と同じであるが、処理槽1の幅寸法が1400mmと長く、5台のキャリア5に収納したウェハ4を同時に洗浄できる点が異なる。なお、気体供給配管8には気体供給量制御装置15を設置してもよい。
上述したように、実施の形態6にかかる洗浄装置によれば、微細気泡を含んだ気液二相流体が該気液二相流体の流動力により、噴流管7の噴出穴7aから処理槽1内に噴出されて速やかに且つ確実に上昇するため、洗浄液中の不純物等に起因した噴出穴7aにおける目詰まりの発生が防止され、微細気泡を処理槽1内の洗浄液中に安定して均一に供給することができる。また、噴出穴7aから噴出されて且つ確実に上昇するため、微細気泡が合一して大きく成長することが無く、微細なままの気泡を処理槽1内の洗浄液中に安定して均一に供給することができる。
また、洗浄液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4間およびウェハ4の外側において均一に且つ確実に通過することができ、ウェハ4の配置位置に起因したウェハ4の表面における洗浄液の更新の効率の差が生じない。これにより、ウェハ4の配置位置に起因した洗浄度合いのばらつきの発生が防止され、均等にウェハ4の洗浄を行うことができる。
また、洗浄液中に供給される気泡は微細気泡であるため、気泡がウェハ4に与える衝撃を和らげ、ウェハ4同士の割れ、ウェハ4の欠けおよびウェハ4同士のくっつきを抑制することができる。
また、実施の形態6にかかる洗浄装置によれば、処理槽1内の中央において噴流管繋ぎ20を介して噴流管7−1と噴流管7−2とが一つに繋がれているため、噴流管7−1内および噴流管7−2内の気液二相流体の流速が緩やか且つ均一になり、噴流管7−1、7−2に開けられた噴出穴7aから一様に微細気泡が噴出する。これにより、例えば処理槽1の幅寸法が100cmを超えるような場合においても、微細気泡はウェハ4間およびウェハ4の外側において安定して且つ略均等に供給されるため、ウェハ4の表面において洗浄液が略均等に流動し、ウェハ4を略均一に洗浄することができる。
実施の形態7.
実施の形態7では、本発明にかかる微細気泡供給装置を太陽光発電装置の製造に適用した場合について説明する。実施の形態3において図7に示したウェットエッチング装置を用いて太陽光発電装置形成用のシリコンウェハの表面にエッチング処理を施し、シリコンウェハの表面にテクスチャーを形成した。
エッチング液は、イオン交換水に対して水酸化ナトリウムを溶解させた濃度3wt%の水酸化ナトリウム溶液に添加剤として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを2.5g/Lで添加して調製した。エッチング液量は56L、エッチング液の温度は90℃、循環エッチング液量は1分間あたりエッチング液量の1/8とした。また、気体供給部14から気泡微細化部3に空気を供給した。供給気体流量は、循環エッチング液量の1/7とした。
そして、サイズ15cm×15cm、厚さ200μmのシリコンウェハが50枚入れられた2台のキャリアをエッチング液中に浸漬して、400秒間、シリコンウェハのウェットエッチング処理を実施した。以上により、表面にテクスチャーを形成した実施例1のシリコンウェハを作製した。
また、比較例1として、図14に示すように気泡微細化部3の代わりにフッ素樹脂製のフッ素樹脂バブラー43を使用し、その他の条件は実施例1と同様にしてシリコンウェハのウェットエッチング処理を実施した。以上により、表面にテクスチャーを形成した比較例1のシリコンウェハを作製した。
図15に、実施例1および比較例1のシリコンウェハの表面を波長300nm〜1200nmの光でスキャンしたときの、波長(nm)と光反射率(シリコンウェハ50枚分の平均値)との関係を示す。また、図16に、実施例1および比較例1のシリコンウェハの表面における波長700nmの光の反射率(シリコンウェハ50枚分の平均値)を示す。
図15より、実施例1のシリコンウェハの方が、波長1200nm近傍を除いた大半の波長域において光反射率が低いことが分かる。また、図16から分かるように、実施例1のシリコンウェハの方が光反射率が5.2%低かった。したがって、実施例1のウェットエッチング方法の方が比較例1のウェットエッチング方法よりも効果的にテクスチャーを形成できる、といえる。
次に、以上のようにしてウェットエッチング工程を完了したシリコンウェハを用いて太陽光発電装置を作製した。図17−1および図17−2は、上述したウェットエッチングにより表面にテクスチャを形成した実施例1のシリコンウェハを用いて作製した太陽光発電装置を示す図であり、図17−1は太陽光発電装置の要部断面図、図17−2は太陽光発電装置の上面図である。図17−1および図17−2に示す太陽光発電装置は、シリコンウェハ表層にN層131aを有するシリコンウェハ131と、シリコンウェハ131の受光面側の面(表面)に形成された反射防止膜132と、シリコンウェハ131の受光面側の面(表面)に形成された受光面側電極133と、シリコンウェハ131の受光面と反対側の面(裏面)に形成された裏面電極134と、を備える。
また、受光面側電極133としては、グリッド電極133aおよびバス電極133bを含み、図17−1においてはグリッド電極133aの長手方向に垂直な断面における断面図を示している。そして、シリコンウェハ131には、上述した実施例1のウェットエッチング方法を用いて表面にテクスチャ構造を形成したシリコンウェハを使用して、15cm角の太陽光発電装置を構成している。
次に、上述したシリコンウェハを用いて図17−1および図17−2に示す太陽光発電装置を製造するための工程を説明する。なお、ここで説明する工程は、一般的な多結晶シリコンウェハを用いた太陽光発電装置の製造工程と同様であるため、特に図示しない。
上記の実施例1のウェットエッチング処理が完了したシリコンウェハを熱酸化炉へ投入し、オキシ塩化リン(POCl3)蒸気の存在下で加熱してシリコンウェハの表面にリンガラスを形成することでシリコンウェハ中にリンを拡散させ、シリコンウェハの表層にN層131aを形成する。
次に、フッ酸溶液中でシリコンウェハのリンガラス層を除去した後、反射防止膜132としてプラズマCVD法により窒化シリコン膜(SiN膜)をN層131a上に受光面側電極133の形成領域を除いて形成する。反射防止膜の膜厚および屈折率は、光反射を最も抑制する値に設定する。なお、屈折率の異なる2層以上の膜を積層してもよい。また、反射防止膜132は、スパッタリング法など、異なる成膜方法により形成しても良い。
次に、シリコンウェハの受光面に銀の混入したペーストを櫛形にスクリーン印刷にて印刷し、シリコンウェハの裏面にアルミニウムの混入したペーストを全面にスクリーン印刷にて印刷した後、焼成処理を実施して受光面側電極133と裏面電極134とを形成する。以上のようにして、実施例1の太陽光発電装置として、図17−1および図17−2に示す太陽光発電装置が作製される。
次に、作製した太陽光発電装置を実際に作動させ、発電特性を測定して評価した。その結果として光電変換効率η(%)、開放電圧Voc(V)、短絡電流Isc(mA/cm2)、曲線因子F.F.を表1に示す。
また比較例1の太陽光発電装置として、上記の比較例1のシリコンウェハを使用して15cm角の太陽光発電装置を作製した。そして、この比較例1の太陽光発電装置を実際に作動させ、発電特性を測定して評価した。その結果として光電変換効率η(%)、開放電圧Voc(V)、短絡電流Isc(mA/cm2)、曲線因子F.F.を表1に併せて示す。
表1から分かるように、実施例1にかかる太陽光発電装置では、比較例1の太陽光発電装置と比較して光電変換効率ηが0.6%高くなり、光電変換効率が向上している。これにより、実施例1にかかるウェットエッチング方法によりウェハ表面にテクスチャを形成したシリコンウェハを使用して太陽光発電装置を構成することにより、シリコンウェハの表面反射損失の抑制が奏功して、短絡電流が増大し、光電変換効率の向上に寄与することがわかった。
これは、図7に示したウェットエッチング装置を用いて太陽光発電装置形成用のシリコンウェハの表面にエッチング処理を施すことにより、微細気泡をエッチング処理槽内に均一に供給できるため、微細気泡の噴出箇所において目詰まりが生じず、エッチングを安定して効率的に実施できることによるものである。したがって、図7に示したウェットエッチング装置を用いてウェハ表面にエッチング処理を施したシリコンウェハを用いることにより、変換効率の高い太陽光発電装置を製作することが可能となる、といえる。
なお、本実施の形態では気泡微細化部3は1個としたが、気泡微細化部3を2個使用した場合でも同様の効果を得ることができる。