JP4841442B2 - クラッチレリーズ機構 - Google Patents
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このように構成されたプルタイプクラッチのベアリングシフタの組付時には、ベアリングシフタが回転方向でずれた状態でエンジンにトランスミッションを接近させると、先ずベアリングシフタに形成された案内部が所定の位置でレリーズフォークと当接する。この状態で更にトランスミッションを接近させると、案内部がレリーズフォークに圧接されることにより、ベアリングシフタが正規組付角度方向に回転するため、治具等による位置合せが不要となる。即ち、エンジンとトランスミッションとの結合時にレリーズフォークのカムフォロアと当接してベアリングシフタを正規組付角度に回転させる案内部をベアリングシフタに形成したため、ベアリングシフタの位置合せを極めて容易に行うことができ、組立に要する手間や時間を大幅に低減できるようになっている。
しかし、キー4の長手方向の中心Qを、フォークホルダ3の長手方向の中心Pを通りかつフォークシャフト1の軸線に直行する直線上に位置させた状態で、レリーズレバー2をクラッチブースタにより回転させると、この回転力はレリーズシャフト1に若干のねじれ現象を発生させながらレリーズホルダ3に伝わるとともに、軸側キー溝1aとキー4との間や孔側キー溝3bとキー4との間に僅かな隙間があるため、キー4が上記レリーズシャフト1のねじれ分や隙間分だけねじれて傾くことにより、レリーズレバー2に近いレリーズシャフト1の一端側のカムフォロア6aに作用する荷重f1がレリーズレバー2から遠いレリーズシャフト1の他端側のカムフォロア6bに作用する荷重f2より大きくなる。このため、カムフォロア6a,6bの仕様は高荷重側で決められ、部品点数の削減を考慮して低荷重側のカムフォロア6bを必要以上の高荷重に耐え得る大型のものを用いており、一対のカムフォロア6a,6bの荷重バランスが悪い問題点があった。
その特徴ある構成は、フォークホルダ33がレリーズシャフト31に嵌入可能な通孔33aを有するとともにキー34によりレリーズシャフト31に対して回転不能に構成され、キー34の長手方向の中心Qをフォークホルダ33の長手方向の中心Pに対して所定量δだけレリーズシャフト31の他端側に遍倚させることにより、上記各作用面の上記被作用面に対する面圧及び荷重をそれぞれ均等にするように構成されたところにある。
そこで、請求項1に記載されたクラッチレリーズ機構は、一対のレリーズフォーク41,42の先端付近に位置する各作用面のレリーズベアリングハブ30の被作用面に対する面圧をそれぞれ均等にするように構成し、レリーズシャフト31のねじれに起因する各作用面における面圧の差を補正するものである。例えば、レリーズレバー32に近いレリーズシャフト31の一端側のレリーズフォーク41の先端付近に上記荷重に耐え得る最適なカムフォロア(図示せず)を取付け、レリーズレバー32から遠いレリーズシャフト31の他端側のレリーズフォーク42の先端付近に上記荷重に耐え得る最適なカムフォロア(図示せず)を取付けると、レリーズシャフト31の一端側のカムフォロアのサイズよりレリーズシャフト31の他端側のカムフォロアのサイズの方が大きくなるため、一対のレリーズフォーク41,42の先端付近に位置する各作用面のレリーズベアリグハブ30の被作用面に対する面圧をそれぞれ均等にすることができる。この結果、レリーズシャフト31のねじれに起因する一対のレリーズフォーク41,42の先端付近の各作用面における面圧の差を補正することができるので、これらのカムフォロアの軽量化、製造コストの低減及び高寿命化を図ることができる。
更にキー34の全長L1を100%とするとき、キー34の長手方向の中心Qの遍倚量が5〜20%であることが好ましい。
レリーズレバー32によりレリーズシャフト31が回転すると、この回転力はレリーズシャフト31に若干のねじれ現象を発生させながらレリーズホルダ33に伝わるとともに、キー34がレリーズシャフト31のねじれ分や隙間分だけねじれて傾くため、従来のように、レリーズフォークを略左右対称に形成しかつキーの長手方向の中心を、フォークホルダの長手方向の中心を通りかつフォークシャフトの軸線に直行する直線上に位置させた状態では、レリーズレバーに近いレリーズシャフトの一端側のカムフォロアに作用する荷重が、レリーズレバーから遠いレリーズシャフトの他端側のカムフォロアに作用する荷重より大きくなってしまう。
そこで、この請求項3に記載されたクラッチレリーズ機構では、キー34の長手方向の中心Qをフォークホルダ33の長手方向の中心Pに対して所定量δだけレリーズシャフト31の他端側に遍倚させたので、キー34の長手方向の中心Qからレリーズシャフト31の一端側のカムフォロア51の中心K1までの距離M1が、キー34の長手方向の中心Qからレリーズシャフト31の他端側のカムフォロア52の中心K2までの距離M2より長くなる。これによりキー34のねじれて傾いた分が相殺されるので、一対のカムフォロア51,52に作用する荷重f1,f2が均等になるとともに、一対のカムフォロア51,52を同一サイズにすれば、これらのカムフォロア51,52に作用する面圧も均等になる。
またレリーズレバーによりレリーズシャフトを回転させたとき、この回転力がレリーズシャフトに若干のねじれ現象を発生させながらレリーズホルダに伝わるとともに、キーがレリーズシャフトのねじれ分や隙間分だけねじれて傾こうとするけれども、キーの長手方向の中心をフォークホルダの長手方向の中心に対して所定量だけレリーズシャフトの他端側に遍倚させれば、キーの長手方向の中心からレリーズシャフトの一端側のレリーズフォークの先端付近の作用面までの距離が、キーの長手方向の中心から他方のレリーズシャフトの他端側のレリーズフォークの先端付近の作用面までの距離より長くなる。この結果、キーのねじれて傾いた分が相殺されるので、レリーズシャフトの他端側のレリーズフォークの先端付近に位置する作用面に作用する荷重が増大し、レリーズシャフトの一端側のレリーズフォークの先端付近に位置する作用面に作用する荷重が減少する。従って、一対のレリーズシャフトの先端付近の作用面に作用する面圧及び荷重は均等になるので、一対のレリーズフォークの先端付近に同一サイズの一対のカムフォロアをそれぞれ取付ければ、これらのカムフォロアに作用する面圧及び荷重は均等になる。
更に上記各作用面が一対のレリーズフォークの先端付近にそれぞれ取付けられた一対のカムフォロアの各外周面であれば、一対のカムフォロアとして同一サイズのものを採用することができるので、一対のカムフォロアに作用する面圧及び荷重が均等になる。この結果、部品管理を容易にすることができるとともに、一対のカムフォロアのサイズダウンによる軽量化及び製造コストの低減を図ることができ、これらのカムフォロアの高寿命化を図ることができる。
図3に示すように、エンジン(回転動力)の出力軸11にはフライホイール12が取付けられ、このフライホイール12にはクラッチカバー14が取付けられる。クラッチカバー14にはレバー16を支点Aで枢支するヨーク17が取付けられ、レバー16の基端は更にプレッシャプレート19に支点Bで枢支される。これによりフライホイール12とクラッチカバー14とプレッシャプレート19は一体的に回転するように構成される。また出力軸11と同一線上に変速機の入力軸20が配置される。この入力軸20には第1クラッチハブ21がスプライン嵌合され、この第1クラッチハブ21は入力軸20と一体的に回転するようになっている。第1クラッチハブ21よりフライホイール側の入力軸20には、カラー20a及びカラー20bを介して第2クラッチハブ22が回転可能にかつ入力軸方向に摺動可能に嵌合される。また第1クラッチハブ21と第2クラッチハブ22との間の入力軸20上のカラー20cにはシンクロナイザリング25が回転可能に嵌合される。第2クラッチハブ22の両側にはクラッチプレート23とリテーニングプレート24がスタッドピン26により取付けられる。またクラッチプレート23の両側にはフェーシング27,27が配設され、これらはフライホイール12とプレッシャプレート19の間に配置される。プレッシャプレート19はクラッチスプリング28の弾性力によりクラッチプレート23をフェーシング27を介してフライホイール12に圧接される。更に第1クラッチハブ21より変速機側の入力軸20には、クラッチレリーズ機構のレリーズベアリングハブ30がスプライン嵌合され、このレリーズベアリングハブ30にはレリーズベアリング29が嵌入される(図3)。
なお、この実施の形態では、キーとして平行キーを挙げたが、半月キー、勾配キー、又はその他のキーを用いてもよい。キーとして半月キーを用いる場合、軸側キー溝の長さは平行キーの長さより所定量だけ短く形成される。
クラッチペダル(図示せず)を踏込むと、クラッチブースタ(図示せず)がレリーズレバー32の先端を図1の破線矢印の方向に回転させる。この回転力はレリーズシャフト31に若干のねじれ現象を発生させながらレリーズホルダ33に伝わるとともに、軸側キー溝31aと平行キー34との間や孔側キー溝33bと平行キー34との間に僅かな隙間があるため、平行キー34が上記レリーズシャフト31のねじれ分や隙間分だけねじれて傾く。このため、従来のように、キーの長手方向の中心、即ち軸側キー溝の長手方向の中心を、フォークホルダの長手方向の中心を通りかつフォークシャフトの軸線に直行する直線上に位置させた状態では、レリーズレバーに近いレリーズシャフトの一端側の第1カムフォロアに作用する荷重が、レリーズレバーから遠いレリーズシャフトの他端側の第2カムフォロアに作用する荷重より大きくなってしまう。
しかし、この実施の形態では、平行キー34の長手方向の中心Q、即ち軸側キー溝31aの長手方向の中心Qをフォークホルダ33の長手方向の中心Pに対して所定量δだけレリーズシャフト31の他端側に遍倚させたので、平行キー34の長手方向の中心Qから第1カムフォロア51の中心K1までの距離M1が、平行キー34の長手方向の中心Qから第2カムフォロア52の中心K2までの距離M2より長くなる。これにより平行キー34のねじれて傾いた分が相殺される。この結果、第2カムフォロア52に作用する荷重f2が増大し、第1カムフォロア51に作用する荷重f1が減少して、第1及び第2カムフォロア51,52に作用する荷重f1,f2は均等になる。従って、第2レリーズフォーク42の先端付近に取付けられる第2カムフォロア52を一回り大きくし、第1レリーズフォーク41の先端付近に取付けられる第1カムフォロア51を一回り小さくすることにより、第1及び第2カムフォロア51,52として同一サイズのものを採用することができる。これにより第1及び第2カムフォロア51,52に作用する面圧も均等になり、カムフォロア51,52のサイズダウンによる軽量化及び製造コストの低減を図ることができるとともに、カムフォロア51,52の高寿命化を図ることができる。
30 レリーズベアリングハブ
31 レリーズシャフト
32 レリーズレバー
33 フォークホルダ
33a 通孔
34 平行キー
41,42 レリーズフォーク
51,52 カムフォロア
P フォークホルダの長手方向の中心
Q 平行キーの長手方向の中心
δ 遍倚量
L1 平行キーの全長
Claims (3)
- クラッチハウジングに回動可能に取付けられたレリーズシャフト(31)と、前記レリーズシャフト(31)の一端側に取付けられ前記レリーズシャフト(31)を回動させるレリーズレバー(32)と、前記レリーズシャフト(31)に嵌着されたフォークホルダ(33)と、前記フォークホルダ(33)の両端から略左右対称に延びて設けられた一対のレリーズフォーク(41,42)と、回転動力の入力軸(20)にスプライン嵌合され前記一対のレリーズフォーク(41,42)の各作用面を圧接することにより前記入力軸(20)の軸方向に摺動するように構成され更に前記各作用面と対向する被作用面を有するレリーズベアリングハブ(30)とを備えたクラッチレリーズ機構において、
前記フォークホルダ(33)が前記レリーズシャフト(31)に嵌入可能な通孔(33a)を有するとともにキー(34)により前記レリーズシャフト(31)に対して回転不能に構成され、前記キー(34)の長手方向の中心(Q)を前記フォークホルダ(33)の長手方向の中心(P)に対して所定量(δ)だけ前記レリーズシャフト(31)の他端側に遍倚させることにより、前記各作用面の前記被作用面に対する面圧及び荷重をそれぞれ均等にするように構成されたことを特徴とするクラッチレリーズ機構。 - キー(34)の全長(L1)を100%とするとき、前記キー(34)の長手方向の中心(Q)の遍倚量が5〜20%である請求項1記載のクラッチレリーズ機構。
- 各作用面が一対のレリーズフォーク(41,42)の先端付近にそれぞれ取付けられた一対のカムフォロア(51,52)の各外周面である請求項1記載のクラッチレリーズ機構。
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