JP4841130B2 - 安定化されたビタミン製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、塩酸フルスルチアミン、ビタミンB類、ビタミンB12類およびパントテン酸カルシウムを含有する固形のビタミン製剤におけるパントテン酸カルシウムと、ビタミンB12類とを共に安定化することに関する。
パントテン酸カルシウムは、アスコルビン酸との配合性が悪く、安定性が低下することが知られている。また、水分にも不安定である。このため、アスコルビン酸またはその塩とパントテン酸カルシウムを含有する製剤では、パントテン酸カルシウム含有組成物を用い、かつ低水分化することで安定化する方法が知られている(特許文献1および2)。
一方、ビタミンB12類は、水分に不安定で、ビタミンB類と配合すると不安定化することが知られ、ビタミンB12類の安定化方法がいくつか提案されている(特許文献3〜6)。
しかし、これらには、塩酸フルスルチアミンと、ビタミンB類と、ビタミンB12類と、パントテン酸カルシウムとを配合し、低水分化された製剤におけるパントテン酸カルシウムとビタミンB12類の不安定化に関しては明らかにされておらず、解決法の開示も示唆もない。
特許第2891744号明細書 特開2003−128543号公報 特開2000−16940号公報 特開平9−124480号公報 特許第2916227号明細書 特許第2689458号明細書
本発明の目的は、塩酸フルスルチアミン、ビタミンB類、ビタミンB12類およびパントテン酸カルシウムを含有する固形のビタミン製剤であって、パントテン酸カルシウムおよびビタミンB12類が共に安定化された固形製剤を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、塩酸フルスルチアミン、ビタミンB類、ビタミンB12類およびパントテン酸カルシウムを含有する固形製剤において、パントテン酸カルシウム含有組成物を乾式で配合し、ビタミンB12類を水に溶解または分散した液をパントテン酸カルシウム以外の薬物および/または賦形剤に噴霧、乾燥して得られた粒で配合することにより、パントテン酸カルシウムと、ビタミンB12類が共に安定化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)塩酸フルスルチアミンと、ビタミンB類と、ビタミンB12類と、パントテン酸カルシウムとを含有する固形製剤であって、パントテン酸カルシウムを、パントテン酸カルシウムと、それ自体が中性ないし塩基性のマグネシウムまたはカルシウムの乳酸塩または炭酸塩とを、水および/または低級アルコールの存在下に混合し、ついで該混合物を乾燥することにより得られる組成物として含有することを特徴とする固形製剤、
(2)ビタミンB12類を、その水溶液または水分散液をパントテン酸カルシウム以外の薬物および/または賦形剤に噴霧、乾燥して得られた粒として含有する上記(1)記載の固形製剤、
(3)コーティングされている上記(1)記載の固形製剤、
(4)パントテン酸カルシウムと、それ自体が中性ないし塩基性のマグネシウムまたはカルシウムの乳酸塩または炭酸塩とを、水および/または低級アルコールの存在下に混合し、ついで該混合物を乾燥することにより得られる組成物と、ビタミンB12類を、その水溶液または水分散液をパントテン酸カルシウム以外の薬物および/または賦形剤に噴霧、乾燥して得られた粒とを乾式で配合することを特徴とする上記(1)記載の固形製剤の製造方法、および
(5)パントテン酸カルシウムと、それ自体が中性ないし塩基性のマグネシウムまたはカルシウムの乳酸塩または炭酸塩とを、水および/または低級アルコールの存在下に混合し、ついで該混合物を乾燥することにより得られる組成物と、ビタミンB12類を、その水溶液または水分散液をパントテン酸カルシウム以外の薬物および/または賦形剤に噴霧、乾燥して得られた粒とを乾式で配合することを特徴とする塩酸フルスルチアミンと、ビタミンB類と、ビタミンB12類と、パントテン酸カルシウムとを含有する固形製剤におけるビタミンB12類とパントテン酸カルシウムの両方を安定化させる方法を提供するものである。
本発明によれば、パントテン酸カルシウムをパントテン酸カルシウム含有組成物の形態で、また、ビタミンB12類を所定の乾燥粒状形態で用いることにより、塩酸フルスルチアミン、ビタミンB類、ビタミンB12類およびパントテン酸カルシウムを含有する固形のビタミン製剤であって、パントテン酸カルシウムおよびビタミンB12類が共に安定化された固形製剤を提供することができる。
本発明で用いる塩酸フルスルチアミン、ビタミンB類、ビタミンB12類およびパントテン酸カルシウムはビタミン製剤に通常用いられるものでよく、その量も特に限定するものではなく、通常のビタミン製剤におけると同様な量を用いることができる。
例えば、本発明で配合できるビタミンB類としては、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール等が挙げられる。ビタミンB12類としては、シアノコバラミン、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、メコバラミンが挙げられる。
本発明で用いられるパントテン酸カルシウム含有組成物は、上記特許第2891744号明細書に記載されており、当該明細書に記載の方法に従って製造できるが、具体的には、パントテン酸カルシウムと、それ自体が中性ないし塩基性のマグネシウムまたはカルシウムの乳酸塩または炭酸塩とを水および/または低級アルコールの存在下に混合し、ついで該混合物を乾燥することにより得られる。好ましくは、パントテン酸カルシウムと乳酸カルシウムとを水存在下に混合し、ついで該混合物を乾燥することにより得られる組成物である。また該組成物は市販品としても入手可能である(商品名パントテン酸カルシウムタイプS、BASF武田ビタミン)。
本発明においては、必要に応じて、上記以外のビタミン類、例えば、ビタミンB類(リボフラビン、リン酸リボフラビン、酪酸リボフラビン等)、ビタミンE類(コハク酸dl−α―トコフェロールカルシウム、コハク酸d−α―トコフェロール、酢酸d−α―トコフェロール等)、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ガンマーオリザノール、オロチン酸、グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド、ヨクイニン、ヘスペリジン、ビオチン、ビタミンC類(アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム等)、L−システイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等を配合してもよい。
本発明において、ビタミンB12類の水溶液または水分散液を噴霧する薬物としては、塩酸フルスルチアミン、ビタミンB類(塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール)、ビタミンB類(リボフラビン、リン酸リボフラビン、酪酸リボフラビン等)、ビタミンE類(コハク酸dl−α―トコフェロールカルシウム、コハク酸d−α―トコフェロール、酢酸d−α―トコフェロール等)、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ガンマーオリザノール、オロチン酸、グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド、ヨクイニン、ヘスペリジン、ビオチン、ビタミンC類(アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム等)、L−システイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等が挙げられる。特に好ましくは、塩酸フルスルチアミン、コンドロイチン硫酸ナトリウムである。
本発明において、ビタミンB12類の水溶液または水分散液を噴霧する賦形剤としては、部分α化デンプン、コーンスターチ、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、カルメロース、乳糖、マンニトール、エリスリトール、粉末還元麦芽糖水アメ、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、トレハトース、ブドウ糖、塩酸グルコサミン、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム等が挙げられる。特に好ましくは、部分α化デンプン、結晶セルロース、粉末還元麦芽糖水アメである。
本発明においては、ビタミンB12類の水溶液または水分散液に、結合剤として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プルラン、アラビアゴム末、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、コポリビドン等を溶解または懸濁させてもよい。
本発明においては、ビタミンB12類は、かかるビタミンB12類の適宜の濃度の水溶液または水分散液を、常法に従って、薬物および/または賦形剤に噴霧、乾燥して得られた粒として固形製剤に含有させる。
このような粒には、さらにコーティング剤を用い、常法によりコーティングしてもよい。該コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プルラン、アラビアゴム末、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、コポリビドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、マクロゴール6000、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等が挙げられる。
本発明の固形製剤は、例えば、顆粒剤、細粒剤、素錠、フィルム錠、薄層糖衣錠、糖衣錠、チユアブル錠等の剤形とすることができ、必要に応じて、さらに上記以外の固形製剤に通常使用される成分を含有させてもよい。
本発明の固形製剤は、例えば、造粒ハンドブック(日本粉体工業技術協会編、オーム社)、経口投与製剤の処方設計(京都大学大学院薬学研究科教授 橋田充編、薬業時報社)、粉体の圧縮成形技術(粉体工学・製剤と粒子設計部会編、日刊工業新聞社)のような刊行物に記載されている一般的な方法で製造することができる。
特に、本発明においては、上記のパントテン酸カルシウム含有組成物と、ビタミンB12類の粒を乾式で配合することが好ましい。これは、例えば、ビタミンB12類の粒を造粒した後、得られた整粒末にパントテン酸カルシウム含有組成物を混合することにより実施できる。ついで、この混合物を乾燥状態のまま、固形製剤とすればよい。
さらに、塩酸フルスルチアミンが不快なにおいと味をもつため、本発明においては、そのマスキングのために固形製剤をコーティングすることが好ましく、これにより、服用性に優れた固形製剤が得られる。本発明におけるコーティングとしては、フィルムコーティング、糖衣等があり、特に制限はないが、本発明者らが発明した薄層糖衣(特開2002−179559号公報)を施すことが好ましい。薄層糖衣に用いる糖質、賦形剤、結合剤には特に制限はない。薄層糖衣としては、アンダーコーティング(UC)、ビルドアップコーティング(BC)、シロップコーティング(SC)の3層を施すことが好ましい。UCとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性高分子、タルク等の賦形剤等を、BCとしては、エリスリトール等の糖質、タルク、沈降炭酸カルシウム等の賦形剤剤、アラビゴム末、結晶セルロース等の結合剤等を、SCとしては、エリスリトール等の糖質、リボフラビン等の着色剤を配合するのが好ましい。この際、エリスリトールに他の糖質、例えばショ糖(精製白糖、白糖)、トレハロース、マルチトール、粉末還元麦芽糖水アメ、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、乳糖等を1種以上組み合わせてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
塩酸フルスルチアミン1142g、リボフラビン118.8g、塩酸ピリドキシン200g、乳糖1950g、コーンスターチ439.2gにヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)170gを精製水2660gに溶解させた水溶液を流動層造粒機(FD−5S、パウレック)にて噴霧し、造粒した。得られた造粒末を整粒機(パワーミル、昭和機械化工)にて整粒し、整粒末を得た。部分アルファー化デンプン1797g、コーンスターチ1.079gにシアノコバラミン1.921gを精製水708gに溶解させた水溶液を流動層造粒機(FD−5S、パウレック)にて噴霧し、シアノコバラミン吸着末を得た。続いて、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5MW)180gを精製水1320gに溶解させた水溶液を流動層造粒機(FD−5S、パウレック)にて噴霧し、シアノコバラミンコーティング粒を得た。得られたコーティング粒は整粒機(パワーミル、昭和化学機械)にて整粒した。
整粒末3216g、整粒したシアノコバラミンコーティング粒528g、パントテン酸カルシウムタイプS189.4g、結晶セルロース(旭化成品PH101)240g、コーンスターチ125g、ステアリン酸マグネシウム21.6gを混合機(タンブラー混合機(15L)、昭和化学機械)にて混合し、混合末を得た。得られた混合末をロータリー式打錠機(コレクト12HUK、菊水製作所)にて、直径8mmの臼と曲率半径9mm、3mmの2段Rをもつ杵を用い、重量180mg、厚み3.90mmの素錠を得た。
得られた素錠3240gをコーティング機(ドリアコーターDRC−500、パウレック)に仕込み、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5MW)108g、タルク12gを精製水1080gに溶解、懸濁させたコーティング液を素錠に噴霧し、1錠あたり4mgコーティングし、アンダーコーティング(UC)錠を得た。続いて、UC錠に、エリスリトール1003g、タルク189.2g、沈降炭酸カルシウム340.6g、酸化チタン37.85g、結晶セルロース(アビセルPH−F20)94.62g、アラビアゴム末227.1gを精製水2839gに溶解、懸濁させたコーティング液を噴霧し、1錠あたり76mgコーティングし、ビルドアップコーティング(BC)錠を得た。続いてBC錠に、精製白糖418.8g、エリスリトール179.5g、リボフラビン1.707gを精製水300.9gに溶解、懸濁させたコーティング液を用い、1錠あたり20mgコーティングし、シロップコーティング(SC)錠を得た。SC錠に、カルナウバロウ、セラックパール、ヒマシ油、エタノール、n−ヘキサンを溶解させた艶出液を注液、乾燥し、艶出した薄層糖衣錠を得た。
塩酸フルスルチアミン 2883g、結晶セルロース(旭化成品PH101)714.5gにシアノコバラミン40gを精製水3000gに溶解させた水溶液を流動層造粒機(FD−5S、パウレック)にて噴霧した。その後、HPC−L112.5gを精製水1763gに溶解させた水溶液を流動層造粒機(FD−5S、パウレック)にて噴霧し、造粒した。得られた造粒末を整粒機(パワーミル、昭和機械化工)にて整粒し、T群整粒末を得た。コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム1544g、塩酸ピリドキシン1400g、ガンマーオリザノール143.1g、軽質無水ケイ酸(サイリシア320)216.3g、結晶セルロース(旭化成品KG802)554gにHPC−L203gを精製水3181gに溶解させた水溶液を流動層造粒機(FD−5S、パウレック)にて噴霧し、造粒した。得られた造粒末を整粒機(パワーミル、昭和化学機械)にて整粒し、E群整粒末を得た。
T群整粒末1800g、E群整粒末3480g、パントテン酸カルシウムタイプS562.7g、軽質無水ケイ酸(サイリシア320)66.6g、結晶セルロース(旭化成品KG802)354.7g、L−HPC(LH31)336g、ステアリン酸マグネシウム60gを混合機(タンブラー混合機(60L)、昭和化学機械)にて混合し、混合末を得た。得られた混合末をロータリー式打錠機(コレクト12HUK、菊水製作所)にて直径8.3mmの臼と曲率半径9.3mm、3.1mmの2段Rをもつ杵を用い、重量185mg、厚み4.11mmの素錠を得た。
得られた素錠3330gをコーティング機(ドリアコーターDRC−500、パウレック)に仕込み、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5MW)129.6g、タルク14.4gを精製水1152gに溶解、懸濁させたコーティング液を素錠に噴霧し、1錠あたり4mgコーティングし、アンダーコーティング(UC)錠を得た。続いて、UC錠に、エリスリトール1082g、タルク204.1g、沈降炭酸カルシウム367.4g、酸化チタン40.82g、結晶セルロース(アビセルPH−F20)102.1g、アラビアゴム末244.9gを精製水3062gに溶解、懸濁させたコーティング液を噴霧し、1錠あたり81mgコーティングし、ビルドアップコーティング(BC)錠を得た。続いてBC錠に、精製白糖351.8g、エリスリトール150.8g、リボフラビン1.428gを精製水252.8gに溶解、懸濁させたコーティング液を用い、1錠あたり20mgコーティングし、シロップコーティング(SC)錠を得た。SC錠に、カルナウバロウ、セラックパール、ヒマシ油、エタノール、n−ヘキサンを溶解させた艶出液を注液、乾燥し、艶出した薄層糖衣錠を得た。
塩酸フルスルチアミン545.8g、リボフラビン59.27g、塩酸ピリドキシン100g、乳糖1222.63g、結晶セルロース(アビセルPH101)340gにシアノコバラミン0.3gを精製水100gに溶解させた水溶液を流動層造粒機(FD−3SN、パウレック)にて噴霧し、続いてHPC−L70gを精製水1097gに溶解させた水溶液を噴霧し、造粒した。得られた造粒末を整粒機(パワーミル、昭和機械化工)にて整粒し、整粒末を得た。
整粒末1870.4g、パントテン酸カルシウムタイプS61.6g、結晶セルロース(旭化成品PH101)120g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)(LH31)98g、ステアリン酸マグネシウム10gを混合機(タンブラー混合機(15L)、昭和化学機械)にて混合し、混合末を得た。得られた混合末をロータリー式打錠機(コレクト19AWC、菊水製作所)にて、直径8mmの臼と曲率半径9mm、3mmの2段Rをもつ杵を用い、重量180mg、厚み3.90mmの素錠を得た。
得られた素錠300gをコーティング機(ハイコーターMINI、フロイント)に仕込み、エリスリトール530g、タルク100g、沈降炭酸カルシウム180g、酸化チタン20g、結晶セルロース(アビセルPH−F20)50g、アラビアゴム末120gを精製水1632gに溶解、懸濁させたコーティング液を噴霧し、1錠あたり60mgコーティングした。続いて、精製白糖530g、タルク170g、沈降炭酸カルシウム170g、酸化チタン20g、アラビアゴム末60g、PEG6000 50gを精製水1632gに溶解、懸濁させたコーティング液を噴霧し、1錠あたり20mgコーティングし、ビルドアップコーティング(BC)錠を得た。続いてBC錠に、精製白糖748.3g、リボフラビン1.7gを精製水374.3gに溶解、懸濁させたコーティング液を用い、1錠あたり20mgコーティングし、シロップコーティング(SC)錠を得た。SC錠に、カルナウバロウ、セラックパール、ヒマシ油、エタノール、n−ヘキサンを溶解させた艶出液を注液、乾燥し、艶出した薄層糖衣錠を得た。
比較例1
塩酸フルスルチアミン545.8g、リボフラビン59.27g、塩酸ピリドキシン100g、パントテン酸カルシウム結晶50g、乳糖1249.63g、結晶セルロース(旭化成品PH101)340gにシアノコバラミン0.3gを精製水100gに溶解させた水溶液を流動層造粒機(FD−3SN、パウレック)にて噴霧し、続いてHPC−L70gを精製水1097gに溶解させた水溶液を噴霧し、造粒した。得られた造粒末を整粒機(パワーミル、昭和機械化工)にて整粒し、整粒末を得た。
整粒末1932g、結晶セルロース(旭化成品PH101)120g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)(LH31)98g、ステアリン酸マグネシウム10gを混合機(タンブラー混合機(15L)、昭和化学機械)にて混合し、混合末を得た。得られた混合末をロータリー式打錠機(コレクト19AWC、菊水製作所)にて、直径8mmの臼と曲率半径9mm、3mmの2段Rをもつ杵を用い、重量180mg、厚み3.90mmの素錠を得た。
得られた素錠を実施例3と同じ操作で、コーティングし、艶出された薄層糖衣錠を得た。
試験例1
薄層糖衣錠中のシアノコバラミンおよびパントテン酸カルシウム含量安定性
平衡相対湿度(ERH)40%以下に低水分化された実施例1、実施例2、実施例3、比較例1の薄層糖衣錠を40℃1ケ月ガラス瓶密栓保存し、シアノコバラミンおよびパントテン酸カルシウム含量の残存率を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0004841130
実施例2におけるシアノコバラミン40gを溶解させる精製水を1000gにし、精製水にシアノコバラミンを分散させた懸濁液を用い、その後は、実施例2と同じ操作で薄層糖衣錠を得た。
比較例2
実施例2におけるシアノコバラミン40gを粉末として流動層造粒機(FD−5S、パウレック)に仕込み、その後は、実施例2と同じに操作で薄層糖衣錠を得た。
試験例2
薄層糖衣錠中のシアノコバラミン含量安定性
平衡相対湿度(ERH)40%以下に低水分化された実施例2、実施例4、比較例2の薄層糖衣錠を60℃4週間ガラス瓶密栓保存し、シアノコバラミン含量の残存率を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 0004841130
以上記載したごとく、本発明によれば、塩酸フルスルチアミン、ビタミンB類、ビタミンB12類およびパントテン酸カルシウムを含有する固形のビタミン製剤であって、パントテン酸カルシウムおよびビタミンB12類が共に安定化された固形製剤を提供することができる。

Claims (4)

  1. 塩酸フルスルチアミンと、ビタミンB類と、ビタミンB12類と、パントテン酸カルシウムとを含有する固形製剤であって:
    パントテン酸カルシウムを、パントテン酸カルシウムと、それ自体が中性ないし塩基性のマグネシウムまたはカルシウムの乳酸塩または炭酸塩とを、水および/または低級アルコールの存在下に混合し、ついで該混合物を乾燥することにより得られる組成物として含有すること;および
    ビタミンB12類を、その水溶液または水分散液を、パントテン酸カルシウム以外の薬物および賦形剤に噴霧、乾燥して得られた粒として含有すること:ここに、該パントテン酸カルシウム以外の薬物が、塩酸フルスルチアミン、ビタミンB 類、ビタミンB 類、ビタミンE類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ガンマーオリザノール、オロチン酸、グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド、ヨクイニン、ヘスペリジン、ビオチン、ビタミンC類、L−システイン、およびコンドロイチン硫酸ナトリウムから選択される1種またはそれ以上の薬物であり、該賦形剤が、部分α化デンプン、コーンスターチ、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、およびカルメロースから選択される1種またはそれ以上のものである
    を特徴とする固形製剤。
  2. パントテン酸カルシウム以外の薬物が、塩酸フルスルチアミン、ビタミンB 類、ビタミンB 類、およびコンドロイチン硫酸ナトリウムから選択される1種またはそれ以上の薬物である請求項1記載の固形製剤。
  3. パントテン酸カルシウム以外の薬物が、塩酸フルスルチアミン、ビタミンB 類、およびビタミンB 類から選択される1種またはそれ以上の薬物である請求項1記載の固形製剤。
  4. パントテン酸カルシウム以外の薬物が塩酸フルスルチアミンである請求項1記載の固形製剤。
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