JP4840225B2 - 磁石の製造方法及び成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、磁石の製造方法及び成形体に関する。
磁石の製造方法としては、磁石の原料粉末を油や有機溶媒等の分散媒(溶媒)と混合して得られたスラリーを成形した後、得られた成形体を焼成するという湿式成形や、磁石の原料粉末をそのまま成形し、焼成するという乾式成形のプロセスを経る方法が知られている。成形体の焼成は、所定の焼結冶具を用いて行われるのが一般的であるが、従来、かかる焼成の工程においては、液相焼結が生じることや磁石中の金属元素の反応性が高いこと等の原因により、焼成中に成形体が焼結冶具に溶着等して付着してしまうことがあった。成形体の付着が生じてしまった場合、磁石を得るには、焼成後の成形体(焼結体)をその付着した面から剥がす必要があり、その際に焼結体の割れ・欠けが生じたり、また焼結冶具の破損等が生じたりする問題があった。
そこで、このような問題に対して、下記特許文献1には、表面粗度Raが0.7μm以上45μm以下の主面を有する焼結用台板の主面上に、成形体を置いて焼結させる方法が記載されている。これにより、成形体と焼結用台板の溶着が防止され、成形体の付着を抑制できることが示されている。
特開2002−305122号公報
しかしながら、上述したように所定の表面粗度の主面を有する焼結用台板を用いる方法では、この焼結用台板を繰り返し焼成に用いると、徐々に主面の凹凸がならされてしまい、やがて成形体の台板への付着を十分に防止できなくなることも少なくなかった。また、成形体の大きさと主面の表面粗度との関係によっては十分に成形体の付着を防止できない場合もあるため、これらを一定の関係に維持する必要がある等、製造条件が制限される場合もあった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、焼成時に生じる成形体の付着を簡便且つ確実に防止することができる磁石の製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、このような製造方法に用いる成形体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の磁石の製造方法は、磁石の原料粉末を含むスラリーを、磁場を印加しながら成形して、成形体を得る成形工程と、成形体を、支持部材上に配置する配置工程と、支持部材上に配置された成形体を焼成する焼成工程とを有し、成形体は、少なくとも一つの面が、十点平均粗さ(Rz)が100〜800μmであり、中心線平均粗さ(Ra)が50〜700μmである粗面であり、成形工程において、上記粗面が形成されるように成形を行い、且つ、配置工程において、少なくとも一つの成形体を、上記粗面が支持部材及び/又は他の成形体と接するように配置することを特徴とする。ここで、粗面とは、多数の微細な凹凸が繰り返し形成された平滑ではない面をいう。
このような本発明の磁石の製造方法においては、成形体として少なくとも一つの面が粗面であるものを用い、この成形体をその粗面が所定の面と接するように配置して焼成することによって、以下に示すような効果が得られるようになる。すなわち、まず、第1に、成形体を、これが配置される支持部材の面(以下、「配置面」と略す)上に、当該成形体の粗面が接するように配置して焼成を行うことにより、成形体と配置面との接触面積が小さくなり、これにより焼成時におけるこれらの溶着が生じ難くなる。
また、本発明者らが検討を行ったところ、磁石の製造に際しては複数の成形体を並べて同時に焼成することが多いが、この際、成形体同士が接触していると、焼成時に接触していた成形体同士でも付着が生じる場合があることを見出した。このような成形体同士の付着は、上記従来技術のように、所定の表面粗度を有する焼結用台板を用いる方法では防止することができない。
これに対し、本発明では、第2に、配置工程において複数の成形体を所定の面上に配置する場合に、少なくとも一つの成形体を、その粗面が他の成形体と接するように配置する。このように粗面において接していることで、成形体同士の接触面積が小さくなり、その結果、接触している成形体同士の溶着を抑制することが可能となる。このような本発明によれば、例えば、複数の成形体を密着して配置させたり、また成形体を重ねたりして配置させても、成形体同士の付着による割れ・欠けが生じ難いため、従来に比して同じスペースでより多くの磁石を製造することができるようになる。
このように、成形体を、その粗面が配置面又は他の成形体と接するように配置することで、成形体と配置面、又は、成形体同士の付着を抑制することができる。特に、複数の粗面を有する成形体を用い、この成形体をその粗面が配置面及び他の成形体の両方にそれぞれ接するようにすれば、成形体の配置面との付着と、成形体同士の付着の両方を抑制することが可能となり、その結果、焼成時の成形体の付着に起因する磁石の割れ・欠けが極めて生じ難くなる。
上記本発明の磁石の製造方法においては、成形体の粗面は、その十点平均粗さ(Rz)が100〜800μmであると好ましい。ここで、十点平均粗さ(Rz)とは、JIS−B0601−1994に規定された十点平均粗さである。成形体の粗面がこのような範囲のRzを有することで、成形体とこれと接触している面(配置面や他の成形体)との焼成時の溶着等を効果的に低減することが可能となり、その結果、焼成による成形体の付着をさらに抑制することが可能となる。
本発明はまた、上記本発明の磁石の製造方法に好適な成形体を提供する。すなわち、本発明の成形体は、磁石の原料を成形して得られ、焼成により磁石を形成する成形体であって、少なくとも一つの面が、十点平均粗さ(Rz)が100〜800μmであり、中心線平均粗さ(Ra)が50〜700μmである粗面であり、成形体は、磁石の原料粉末を含むスラリーを、上記粗面が形成されるように磁場を印加しながら成形して得られたものであることを特徴とする。
このような成形体は、少なくとも一つの面が粗面であることから、磁石の製造工程において、上記本発明の製造方法のようにこの粗面を所定の配置面及び/又は他の成形体と接するように配置して焼成を行うことによって、成形体と配置面及び/又は他の成形体との付着が生じるのを大幅に防止することができる。したがって、このような成形体を用いて磁石の製造を行うことで、割れ・欠けが少ない磁石を容易に得ることが可能となる。
この本発明の成形体においては、上記粗面のRzが100〜800μmであることが好ましい。このような粗面を有する成形体によれば、粗面における配置面や他の成形体との付着が特に生じ難くなり、割れ・欠けが少ない磁石を一層容易に製造することが可能となる。
本発明によれば、焼成時の成形体の付着を簡便且つ確実に防止することができる磁石の製造方法を提供することが可能となる。また、本発明によれば、このような磁石の製造方法に好適な成形体を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。以下の説明においては、本発明に特に好適な希土類磁石の製造方法について説明するが、本発明の磁石の製造方法は、希土類磁石に限られず、その他の金属磁石にも特に制限無く適用することができる。
図1は、好適な実施形態に係る希土類磁石の製造工程を示すフローチャートである。
希土類磁石の製造においては、まず、所望の組成を有する希土類磁石が得られるような合金を準備する(ステップS11)。この工程では、例えば、希土類磁石の組成に対応する金属等の元素を含む単体、合金や化合物等を、真空又はアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で溶解した後、これを用いて鋳造法やストリップキャスト法等の合金製造プロセスを行うことによって所望の組成を有する合金を作製する。
ここで、希土類磁石としては、例えば、希土類元素として主にNdやPrを含むものが挙げられ、希土類元素と、希土類元素以外の遷移元素とを組み合わせた組成を有するものが好適である。具体的には、希土類元素(「R」で表す)としてNd、Pr、Dy及びTbのうちの少なくとも1種を含み、Bを必須元素として1〜12原子%含み、且つ残部がFeであるR−Fe−B系の組成を有するものが好ましい。このような希土類磁石は、必要に応じて、Co、Ni、Mn、Al、Cu、Nb、Zr、Ti、W、Mo、V、Ga、Zn、Si等の他の元素を更に含む組成を有していてもよい。
次に、得られた合金を粗粉砕して、数百μm程度の粒径を有する粒子とする(ステップS12)。合金の粗粉砕は、例えば、ジョークラッシャー、ブラウンミル、スタンプミル等の粗粉砕機を用いるか、または、合金に水素を吸蔵させた後、異なる相間の水素吸蔵量の相違に基づく自己崩壊的な粉砕を生じさせる(水素吸蔵粉砕)ことによって行うことができる。
続いて、粗粉砕により得られた粉末を更に微粉砕することで(ステップS13)、好ましくは1〜10μm、より好ましくは3〜5μm程度の粒径を有する希土類磁石の原料粉末(以下、単に「原料粉末」という)を得る。微粉砕は、粗粉砕された粉末に対し、粉砕時間等の条件を適宜調整しながら、ジェットミル、ボールミル、振動ミル、湿式アトライター等の微粉砕機を用いて更なる粉砕を行うことによって実施する。
次いで、得られた原料粉末と、溶媒とを混合し、原料粉末を含むスラリーを調製する(ステップS14;スラリー製造工程)。スラリーの製造に用いる溶媒としては、磁石の湿式成形におけるスラリーに用いられる溶媒を特に制限無く適用できる。例えば、鉱物油、合成油、植物油等の油や、アセトン、アルコールといった有機溶媒等が挙げられる。なかでも、磁性粉末の酸化を抑制するために、油が好ましい。また、溶媒以外に、所望の特性が得られる他の添加剤を更に加えることもできる。添加剤としては、例えば、磁性粉末の分散を促進することができるカチオン系、アニオン系、ベタイン系、非イオン系界面活性剤等の分散剤が挙げられる。
このスラリー製造工程においては、得られるスラリー中の原料粉末濃度が好ましくは60〜80質量%、より好ましくは65〜75質量%となるようにする。このような原料粉末濃度を有するスラリーは、成形機への輸送に好適な流動性を有するものとなる。
なお、このスラリー製造工程では、上記の原料粉末濃度を有するスラリーを得る前に、これよりも高い濃度で混練を行った後(混練工程)、得られた混練物に有機溶媒を加えて上記濃度まで希釈してもよい(希釈工程)。高濃度で混練を行うことにより、原料粉末同士の衝突等を高頻度で生じさせることができる。その結果、原料粉末の構成粒子が凝集して2次粒子等を形成している場合は、これを解砕して一次粒子が均一に分散されたスラリーを得ることが可能となる。このようなスラリーによれば、後述する成形時の配向が生じ易くなり、高い配高度を有する希土類磁石を形成することができる。かかる混練時の原料粉末濃度は好ましくは85〜95質量%、より好ましくは88〜94質量%である。
このようにして得られたスラリーに対しては、成形前に、磁性粉末と溶媒とを再度分散させる工程を行うことが好ましい(分散工程)。スラリーにおいては、成形機に供給する途中で磁性粉末と溶媒とが分離してしまい、これによって溶媒の上澄み等が生じていることがある。このスラリーをそのまま成形に用いると、分離の程度によっては成形機に投入される原料粉末の量が一定でなくなり、その結果、成形体中の磁性粉末量にばらつきが生じるおそれもある。これに対し、成形前に分散を行うと、スラリーの分離が少ない状態で成形を行うことができるようになり、成形体のばらつきを抑えることが可能となる。
スラリーの分散は、ボールミル、超音波拡散、ホモジナイザー、アルティマイザー等を用いることによって行うことができる。例えば、これらの操作を行う装置を、スラリーを成形機に供給する供給管の途中に組み入れることで、良好に分散を行うことができる。この分散による効果を良好に得る観点からは、できるだけ成形直前に分散を行うことが好ましい。
その後、原料粉末を含むスラリーを成形機に投入し、磁場を印加しながらスラリーの成形を行うことで、成形体を得る(ステップS15;成形工程)。この成形工程により、所定の配向度を有する成形体が得られる。成形は、例えば、プレス成形により行うことができ、具体的には、スラリーを金型キャビティ内に充填した後、充填されたスラリーを上パンチと下パンチとの間で挟むようにして加圧し、スラリー中の溶媒を抜き出しながら所定形状に加工する。この際、上パンチ又は下パンチには、流出した溶媒を抜き出すために外部と連通する穴が設けられていてもよい。ただし、磁性粉末の流出が生じないように、パンチ面に布製、紙製等のフィルターを配置するか、或いは、上パンチ又は下パンチの一部の材質を多孔質とすることが好ましい。成形によって得られる成形体の形状は特に制限されず、柱状、平板状、リング状等、所望とする希土類磁石の形状に応じて変更することができる。
成形時の加圧方向は、磁場の印加方向と同じとしてもよく、磁場の印加方向と垂直としてもよいが、磁場の印加方向と垂直に加圧を行うと、より優れた磁気特性が得られる傾向にある。また、成形時における磁場強度は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)とすることができ、加圧は0.3〜3ton/cm(30〜300MPa)とすることができる。さらに、成形時間は、数秒〜数十秒とすることが好ましい。このような条件で磁場中、成形を行うことにより、良好な磁気特性を有する希土類磁石が得られ易い傾向にある。
次いで、得られた成形体に対して表面の粗面化処理を行い、所望の表面が粗面である成形体を得る(ステップS16;粗面化工程)。この工程においては、成形体の表面に微細な凹凸を形成することによって、当該表面が平滑でない面となるように加工する。粗面化処理は、成形体の少なくとも一つの面に施し、好ましくは後述する配置工程において他の要素(支持部材の配置面や他の成形体)と接触する全ての面に施す。粗面化処理は、例えば、成形体の所望の面に対して金属による切削や、やすりによる加工等によって行うことができる。
また、このような粗面化処理を行う方法以外に、成形体の形成時に、得られる成形体の所望の面が粗面化された面となるように成形を行うことによって、粗面を有する成形体を得てもよい。この場合は、成形工程とともに粗面化工程が行われることとなる。粗面を有する成形体は、例えば、成形に用いる型枠(上パンチや下パンチ)として、成形体との接触面が粗面化されたものを用いたり、この接触面に粗面を有するシート等を配置したりすることで、これらの粗面を成形体に転写することによって得ることができる。
粗面化工程によって形成される成形体の粗面は、その十点平均粗さ(Rz)が100〜800μmであることが好ましく、300〜400μmであることがより好ましい。成形体の粗面のRzが100μm未満であると、この成形体の焼成時における配置面や他の成形体への付着を十分に抑制し難くなる傾向にある。一方、800μmを超えると、焼結後に表面を研磨する場合、その研磨量が大きくなり、加工負荷が増大するとともに、材料の歩留りが悪くなる傾向にある。
また、成形体の中心線平均粗さ(Ra)は、50〜700μmであると好ましく、200〜300μmであるとより好ましい。このようなRaを満たす粗面は、接触面への付着をより一層生じ難い傾向にある。なお、Raとは、JIS−B0601−1994に規定された中心線表面粗さである。
次に、表面に粗面を有する成形体を、後述する焼成工程に用いる支持部材の上に配置する(ステップS17;配置工程)。支持部材は、焼結時の成形体の位置を固定する焼結冶具のトレー等、成形体を配置して焼成することができるものであれば特に制限されない。ここで、図2及び3を参照して成形体の配置について説明する。図2は、第1の例に係る磁石の配置を示す平面図であり、図3は、第2の例に係る磁石の配置を示す平面図であり、それぞれトレー2上に成形体4を配置した状態を上方から見た図である。
まず、第1の例においては、図2に示すように、トレー2上に、隣り合う成形体4同士が接触しないように複数の成形体4を配置する。この第1の例の場合、成形体4として、一つの表面が粗面であるものを用い、この成形体4を、その粗面がトレー2と接触するようにして配置すればよい。一方、第2の例においては、図3に示すように、トレー2上に、隣り合う成形体4同士が接触するようにして複数の成形体4を規則的に配置する。この第2の例の場合、各成形体4として、複数の面が粗面であるものを用い、これらの成形体4を、トレー2との接触面、及び、他の成形体4との接触面が粗面となるようにそれぞれ配置する。
このようにトレー等の上に配置された成形体に対しては、例えば真空加熱を行うことにより、成形体に残存した溶媒や添加物等を除去する脱溶媒を必要に応じて行ってもよい(ステップS18;脱溶媒工程)。脱溶媒は、成形体中の溶媒の大部分を除去できるような条件で行い、例えば、1〜50Pa程度に減圧した条件下、室温〜300℃で1〜5時間加熱することが好ましい。かかる脱溶媒の工程では、通常は成形体の焼結は進行しないが、一部焼結が進行していても構わない。なお、脱溶媒は、必ずしも成形体をトレー等の上に配置した後に行う必要はなく、配置工程前の成形体に対して行ってもよい。
その後、トレー等の上に配置された成形体を焼成して、焼結体を得る(ステップS19;焼成工程)。焼成は、例えば、真空中又は不活性ガスの存在下、成形体を1000〜1200℃、1〜10時間加熱した後、急冷することによって行うことができる。
この焼成工程においては、成形体がトレー等の上に配置された状態で焼成を行うが、この場合、通常では焼成時の高温によって成形体とトレーとの接触部分の溶着が生じ、成形体がトレー2に付着して固定された状態となり易い傾向にある。これに対し、例えば、上述した第1の例の場合、成形体4の粗面がトレー2と接触していることから、平滑面を接触させた場合に比して、これらの両者の接触面積が大幅に小さくなっている。そのため、成形体4とトレー2との溶着が抑制され、成形体4のトレー2への付着が生じ難くなる。また、第2の例においては、成形体4の粗面がトレー2及び他の成形体4と接触しているため、成形体4とトレー2との付着、及び、隣接する成形体4同士の付着の両方が生じ難くなる。
焼成後には、得られた焼結体を焼成時よりも低い温度で加熱すること等によって、焼結体に時効処理を施してもよい(ステップS20)。時効処理は、例えば、700〜900℃で1〜3時間、更に500〜700℃で1〜3時間加熱する2段階加熱や、600℃付近で1〜3時間加熱する1段階加熱等の適宜の条件で行う。このような時効処理によって、焼結体の磁気特性を向上させることができる。
そして、このようにして得られた焼結体をトレー等から剥離し、成形体同士が付着している場合はこれらも剥離した後、得られた各焼結体を所望のサイズに切断したり、表面を平滑化したりする処理を行うことによって、目的とする希土類磁石が得られる。なお、得られた希土類磁石には、その表面上に酸化や粉落ち等を防止するための保護層が更に設けられてもよい。
上述した実施形態の希土類磁石の製造方法においては、少なくとも一つの表面が粗面である成形体を、その粗面が支持部材や他の成形体と接するように配置していることから、成形体の支持部材や他の成形体に対する接触面積が小さい。そのため、焼成工程においては、成形体の支持部材の配置面や他の成形体に対する溶着が極めて生じ難く、これにより、成形体の支持部材や他の成形体に対する付着が抑制される。その結果、焼成後に磁石(焼結体)を容易に取り出すことが可能であり、磁石の割れ・欠けを大幅に少なくすることができる。
以上、本発明の磁石の製造方法及び成形体の好適な実施形態として、希土類磁石の製造方法及びその際に得られる成形体について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、粗面化工程によって成形体に粗面を形成する処理を行ったが、得られた成形体自体が既に好適な粗面を有している場合は、別途の粗面化工程を行わなくてもよい。
また、上述した第1及び第2の例のいずれの場合にも、成形体4として全ての表面が粗面であるものを用いてもよい。こうすれば、配置工程において成形体4をどのように配置しても、成形体4のトレー2や隣接する成形体4との接触面が粗面となるため、成形体4の配置が容易となる。
さらに、上記第2の例の場合は、隣接する成形体4の接触面のいずれか一方が粗面であればよいので、例えば、側面が粗面化された成形体4と、側面が粗面化されていない成形体4とを交互に配置するようにしてもよい。また、第2の例において、材料の相違等によって成形体4とトレー2との付着がもともと生じ難い場合は、成形体4同士の接触面が粗面でさえあれば、必ずしも成形体4のトレー2との接触面が粗面でなくてもよい。
また、上述した実施形態では、磁石の製造プロセスとして湿式成型を適用した場合の例を説明したが、本発明には、乾式成形のプロセスを適用することもできる。乾式成形の場合、ステップS13で原料粉末を得た後、ステップS14のスラリー製造工程を行わずにそのまま原料粉末を用いてステップS15の成形を行えばよい。また、この場合、ステップS18の脱溶媒工程は実施しなくてよい。
さらに、上述したように、本発明の製造方法は、希土類磁石に限らず、他の磁石等の製造に適用することできる。そして、他の磁石に適用した場合であっても、粗面を有する成形体を適切に配置することで、成形体の支持部材や他の成形体への付着を防止して、磁石の割れ・欠けを十分に防止することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[希土類磁石の製造]
(実施例1)
まず、Nd:24.5重量%、Dy:6.8重量%、Co:0.5重量%、Al:0.2重量%、Cu:0.07重量%、B:1.0重量、残部Feとなるように原料金属又は原料合金を配合し、これらの溶解及び鋳造を経て原料合金薄板を得た。得られた原料合金薄板に対して、水素粉砕を行い、原料合金粗粉を得た。次いで、この原料合金粗粉に、粉砕助剤としてオレイン酸アミドを0.1重量%添加した後、気流式粉砕機(ジェットミル)を用いて、高圧窒素雰囲気下で微粉砕を行い、希土類磁石の原料粉末である磁性粉末を得た。
次いで、得られた原料粉末を、溶媒及び分散剤と混合して混合物を得た後、この混合物に対し、プラネタリーミキサーを用いて、40rpm、30分の条件で混練を行い、混練物を得た(混練工程)。それから、混練物に対し、適宜溶媒を加えて引き続きプラネタリーミキサーにより10分間攪拌を行うことにより、磁性粉末濃度が70重量%であるスラリーを得た(希釈工程)。
その後、得られたスラリーを用いて磁場中で成形を行い。成形体を得た(成形工程)。成形は、1200kA/mの磁場中、100MPaの条件で、キャビティ中で上パンチと下パンチとの間で加圧するようにして行った。加圧中には、上パンチから溶媒を吸引除去した。また、磁場方向は、プレス方向と一致するようにした。成形体の寸法は、長さ10mm×厚さ20mm×幅40mmとした。その後、得られた成形体に対し、10mm×40mmの1つの表面を、目幅1.1mmの金やすりを用いて荒らすことで粗面化した。
得られた成形体の粗面のRz(10点平均粗さ)は、774μmであった。なお、粗面のRzの測定においては、まず、レーザーの焦点により測定物表面の3次元データを取得するレーザー顕微鏡を用いて、成形体の表面状態を調べた。そして、このデータに基づいてJIS−B0601−1994に記載された方法に準じてRzを測定した。
このような粗面を有する成形体を30個作製し、これらを、150mm×150mm×30mmのトレーの上に、4mm以上の間隔が空くようにして並べて配置した。この際、各成形体は、それぞれの粗面がトレーと接触するように配置させた。そして、成形体を覆うように蓋をした後、26.7Paの圧力下、150℃で2時間の加熱を行い、成形体に含まれる溶媒及び分散剤を除去した。次いで、1050℃で3時間焼成を行うことにより、トレー上に各成形体が焼結した焼結体からなる希土類磁石を形成させた。
(実施例2〜4)
実施例2〜4では、表1に示すように金やすりの目幅を変え、それぞれ異なるRzの粗面を形成させたこと以外は、実施例1と同様にしてトレー上に30個の希土類磁石を形成させた。
(比較例1)
成形体の粗面化を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてトレー上に30個の希土類磁石を形成させた。
[希土類磁石の欠け個数の評価]
実施例1〜4及び比較例1において、トレー上に形成させた30個の希土類磁石を全てトレーから剥がし、個々の希土類磁石に分離した。このようにして得られた全ての希土類磁石の表面観察を行った。そして、各実施例又は比較例に対応する30個の希土類磁石のうち、欠けを生じていたものの数を数えた。得られた結果をまとめて表1に示す。
Figure 0004840225
表1より、粗面化された面をトレーに向けて配置した状態で焼成を行った実施例1〜4では、粗面化を行わなかった比較例1に比して、トレーから剥がす際に生じる希土類磁石の欠けを大幅に低減できることが確認された。
[希土類磁石の製造]
(実施例5〜8)
まず、Nd:27重量%、Dy:4重量%、Co:0.5重量%、Al:0.2重量%、Cu:0.07重量%、B:1.0重量、残部Feとなるように原料金属又は原料合金を配合し、これらの溶解及び鋳造を経て原料合金薄板を得た。得られた原料合金薄板に対し、水素粉砕を行い、原料合金粗粉を得た。次いで、この原料合金粗粉に、粉砕助剤としてオレイン酸アミドを0.1重量%添加した後、気流式粉砕機(ジェットミル)を用い、高圧窒素雰囲気下で微粉砕を行い、磁石の原料粉末である磁性粉末を得た。この磁性粉末の平均粒径は4.5μmであった。
次いで、得られた原料粉末を、印加磁場1200kA/mの磁場中、成形圧力100MPaで成形して、長さ10mm×厚さ20mm×幅40mmの成形体を得た。この際、成形体の長さ方向に配向が生じるようにした。その後、得られた成形体に対し、複数の表面を、金やすりを用いて荒らすことで粗面化した。なお、実施例5〜8においては、表2に示すように金やすりの目幅を変え、それぞれ異なるRzを有する粗面を形成させた。
このような粗面を有する成形体を30個作製し、これらを隣り合う成形体同士が接するようにしてトレー上に配置した。この際、各成形体は、これらの粗面がトレー及び隣接する成形体と接するようにそれぞれ配置させた。そして、成形体を覆うように蓋をした後、1050℃で3時間焼成を行うことにより、トレー上に各成形体が焼結した焼結体からなる希土類磁石を形成させた。
(比較例2)
成形体の粗面化を行わなかったこと以外は、実施例5〜8と同様にしてトレー上に30個の希土類磁石を形成させた。
[評価]
実施例5〜8及び比較例2においてトレー上に形成させた30個の希土類磁石を、それぞれトレーから剥がすとともに、成形体同士が付着している場合はこれも剥がすことによって、個々の希土類磁石に分離した。このようにして得られた全ての希土類磁石の表面観察を行った。そして、各実施例又は比較例に対応する30個の希土類磁石のうち、欠けを生じていたものの数を数えた。得られた結果をまとめて表2に示す。
Figure 0004840225
表2より、粗面化された面をトレーに向けるとともに、隣接する成形体同士が粗面で接触するように配置した状態で焼成を行った実施例5〜8では、粗面化を行わなかった比較例2に比して、希土類磁石の欠けを大幅に低減できることが確認された。また、比較例2では、比較例1よりも欠けの発生数が多かったことから、成形体同士を接触させて焼成を行った場合は、焼成後の成形体同士を剥離する際に欠けが発生し易いことが判明した。
好適な実施形態に係る希土類磁石の製造工程を示すフローチャートである。 第1の例に係る磁石の配置を示す平面図である。 第2の例に係る磁石の配置を示す平面図である。
符号の説明
2…トレー、4…成形体。

Claims (2)

  1. 磁石の原料粉末を含むスラリーを、磁場を印加しながら成形して、成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を、支持部材上に配置する配置工程と、
    前記支持部材上に配置された前記成形体を焼成する焼成工程と、を有し、
    前記成形体として、少なくとも一つの面が、十点平均粗さ(Rz)が100〜800μmであり、中心線平均粗さ(Ra)が50〜700μmである粗面であるものを用い、
    前記成形工程において、前記粗面が形成されるように成形を行い、且つ、
    前記配置工程において、前記成形体を、その前記粗面が前記支持部材及び/又は他の成形体と接するように配置する、ことを特徴とする磁石の製造方法。
  2. 磁石の原料を成形して得られ、焼成により磁石を形成する成形体であって、
    少なくとも一つの面が、十点平均粗さ(Rz)が100〜800μmであり、中心線平均粗さ(Ra)が50〜700μmである粗面であり、
    前記成形体は、磁石の原料粉末を含むスラリーを、前記粗面が形成されるように磁場を印加しながら成形して得られたものである、ことを特徴とする成形体。
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