以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置の構成例を示す図である。リムずれ量測定装置1−1は、タイヤ試験機2と、六分力計3と、回転位置センサ4と、制御装置5と、入出力装置6とにより構成されている。なお、Tは測定対象タイヤであり、Rは測定対象タイヤがリム組みされるリムであり、TRはリムRとリム組みされた測定対象タイヤTとからなるタイヤ組立体である。ここで、リムずれ量とは、タイヤ組立体においてリムRに対して測定対象タイヤTがタイヤ回転方向にずれた際の変化量をいう。
タイヤ試験機2は、タイヤ回転手段であり、衝撃力付与手段でもある。タイヤ試験機2は、測定対象タイヤTを仮想路面に対して接触状態あるいは非接触状態でタイヤ組立体TRを回転させるものである。タイヤ試験機2は、実施例ではドラム式試験機であり、タイヤ軸21と、タイヤ支持移動装置22と、ドラム23と、ドラム回転軸24と、ドラム回転力付与装置25とにより構成されている。
タイヤ軸21は、測定対象タイヤTを回転自在に支持するものである。タイヤ軸21は、軸方向における一方の端部(同図左側端部)がリムRと固定可能であり、他方の端部(同図右側端部)がタイヤ支持移動装置22の図示しないタイヤ回転力付与装置に連結あるいは一体に形成されている。ここで、測定対象タイヤTをタイヤ軸21に固定する際には、測定対象タイヤTをリムRにリム組みし、タイヤ組立体TRをタイヤ軸21に固定することで行われる。
タイヤ支持移動装置22は、測定対象タイヤTをタイヤ軸21周りに回転自在に支持するものである。また、タイヤ支持移動装置22は、タイヤ軸に固定された測定対象タイヤTを上下方向、すなわち荷重方向(同図矢印A方向)および上下方向周りであるヨー方向、すなわちタイヤスリップ方向(同図矢印B方向)に移動自在に支持するものである。また、タイヤ支持移動装置22は、測定対象タイヤTにタイヤ軸21周り、すなわちタイヤ回転方向(同図矢印C方向)のタイヤ回転力を付与するタイヤ回転力付与装置(例えば、モータジェネレータ)、測定対象タイヤTを荷重方向(上下方向)に移動させる荷重方向移動装置、測定対象タイヤTをタイヤスリップ方向(ヨー方向)に移動させるタイヤスリップ方向移動装置を備える。これらの装置は、制御装置5と接続されており、制御装置5の後述するタイヤ試験機制御部52eから出力されたタイヤ回転力制御信号、荷重制御信号、タイヤスリップ制御信号により、測定対象タイヤTに付与するタイヤ回転力、測定対象タイヤTに付与する荷重、測定対象タイヤTのスリップアングルを調整するものである。
ドラム23は、測定対象タイヤTが接触するものであり、接触した測定対象タイヤTにタイヤ回転方向にタイヤ回転力を付与するものである。
ドラム回転軸24は、ドラム23を回転自在に支持するものである。ドラム回転軸24は、軸方向における一方の端部(同図左側端部)がドラム23に固定されており、他方の端部(同図右側端部)がドラム回転力付与装置25に連結あるいは一体に形成されている。
ドラム回転力付与装置25は、例えば、モータジェネレータであり、ドラム23にドラム回転軸24周り、すなわちドラム回転方向(同図矢印D方向)のドラム回転力を付与する。ドラム回転力付与装置25は、制御装置5と接続されており、制御装置5のタイヤ試験機制御部52eから出力されたドラム回転力制御信号により、ドラム23に付与するドラム回転力を調整するものである。
ここで、実施の形態1では、タイヤ支持移動装置22およびドラム回転力付与装置25は、測定対象タイヤTにタイヤ回転力、あるいは測定対象タイヤTに接触するドラム23にドラム回転力の少なくともいずれかを付与することで、リムRとリム組みされた測定対象タイヤTとからなるタイヤ組立体TRをタイヤ軸21周りに回転させる。また、タイヤ支持移動装置22およびドラム回転力付与装置25は、タイヤ回転力とドラム回転力とを調整することで、回転する測定対象タイヤTにドラム23に対する制動力あるいは駆動力を発生させ、回転する測定対象タイヤTに衝撃力を与える。つまり、実施の形態1では、タイヤ支持移動装置22およびドラム回転力付与装置25がタイヤ回転手段および衝撃力付与手段である。
6分力計3は、軸変動検出手段である。6分力計3は、タイヤ軸21に設けられており、上下方向、左右方向および前後方向(前方向は同図紙面表から裏に向かう方向)の3軸方向の力、上下方向周りであるヨー方向、左右方向周りであるピッチ方向および前後方向周りであるロール方向の各軸周りのモーメントを検出するものである。つまり、6分力計3は、タイヤ軸21の軸変動を検出するものである。6分力計3は、制御装置5と接続されており、タイヤ軸21の軸変動、すなわち各軸の力および各軸周りのモーメントの変動を制御装置5に変動信号として出力するものである。なお、実施の形態1では、軸変動検出手段として6分力計3を用いるが本発明はこれに限定さえるものではなく、各軸方向の力、各軸周りのモーメントのうち少なくともいずれか1つを検出するものであっても良い。
回転位置センサ4は、回転位置検出手段である。回転位置センサ4は、タイヤ軸21に対して設けられており、例えばタイヤ軸21に設けられた基準回転位置を検出するものである。つまり、回転位置センサ4は、タイヤ軸21の基準回転位置を検出するものである。回転位置センサ4は、制御装置5と接続されており、検出された基準回転位置を制御装置5に基準信号として出力するものである。従って、制御装置5は、回転位置センサ4が基準回転位置を検出する間隔に基づいて、タイヤ軸21および測定対象タイヤT(リムRを含む)の基準回転位置から1回転するまでを検出することができる。
制御装置5は、実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置1−1を制御するものである。制御装置5は、少なくとも入出力ポート(I/O)51と、処理部52と、記憶部53とにより構成されている。入出力ポート(I/O)51、処理部52、記憶部53は、例えば相互に接続されており、相互にデータのやりとりを行うことができる。なお、制御装置5には、入出力装置6が接続されている。
処理部52は、RAM、ROM等のメモリとCPU(Central Processing Unit)とにより構成されている。処理部52は、少なくとも軸変動取得部52aと、回転位置取得部52bと、軸変動波形生成部52cと、リムずれ量算出部52dと、タイヤ試験機制御部52eとにより構成されている。軸変動取得部52aは、軸変動検出手段である6分力計3により検出されたタイヤ軸21の軸変動、すなわち各軸の力および各軸周りのモーメントの変動を取得するものである。回転位置取得部52bは、回転位置検出手段である回転位置センサ4により基準回転位置を検出したタイミングを取得するものである。軸変動波形生成部52cは、軸変動波形生成手段であり、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の6分力計3により検出された軸変動に基づいて軸変動波形、実施の形態1では、衝撃前後のタイヤ組立体波形、すなわち衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を生成するものである。リムずれ量算出部52dは、リムずれ量算出手段であり、生成された衝撃前後のタイヤ組立体波形、すなわち衝撃前タイヤ組立体波形と、衝撃後タイヤ組立体波形とのピーク位置の差に基づいてリムずれ量を算出するものである。
リムずれ量測定装置1−1の制御装置5は、処理部52がリムずれ量測定プログラムを処理部52の図示しないメモリに読み込んで演算を行うことで、検出された軸変動から衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を生成し、生成された衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形に基づいてリムずれ量を算出するものである。なお、処理部52は、適宜演算途中の数値を記憶部53に記憶し、記憶した数値を適宜記憶部53から取り出して演算を行う。また、この処理部52は、上記リムずれ量測定プログラムの替わりに専用のハードウェアにより実現されるものであっても良い。
記憶部53には、実施の形態1にかかるリムずれ量測定方法を実現するリムずれ量測定方法が組み込まれたリムずれ量測定プログラムが記憶されている。ここで、記憶部53は、RAM(Random Access Memory)のようなメモリ等のストレージ手段により構成することができる。また、記憶部53は、処理部52内に設けられていても良い。記憶部53には、例えば上記生成された衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形の波形データや、算出されたリムずれ量などが適宜記憶される。
また、上記リムずれ量測定プログラムは、必ずしも単一的に構成されるものに限られず、コンピュータシステムにすでに記憶されているプログラム、例えばOS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものであっても良い。また、図1に示す処理部52の軸変動波形生成部52cおよびリムずれ量算出部52dの機能を実現するためのリムずれ量測定プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶して、記録媒体に記録されたリムずれ量測定プログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明にかかるリムずれ量測定方法を実行しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
入出力装置6は、入力装置61と出力装置62とを備えている。入力装置61は、例えば測定対象タイヤTのサイズ、リムRのサイズ、空気圧、スリップアングル、走行速度V(回転速度)、荷重、衝撃力の大きさ、衝撃力を与える回数など測定条件に基づくデータやその他のデータを制御装置5に入力するものである。なお、制御装置5は、上記入力装置61により入力された測定条件に基づくデータやその他のデータに基づいて、タイヤ回転力制御信号、荷重制御信号、タイヤスリップ制御信号、ドラム回転力制御信号などを出力し、測定対象タイヤTのタイヤ回転方向、タイヤ回転力、荷重、スリップアングル、ドラム23のドラム回転方向、ドラム回転力を制御する。なお、入力装置61としては、キーボード、マウス、マイク等の入力デバイスが使用することができる。
また、出力装置62は、リムずれ量測定装置1−1の運転状態や、生成された衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形、算出されたリムずれ量などデータを表示するものである。出力装置62には、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等を使用することができる。また、これらのデータは、図示しないプリンタに出力することができても良い。ここで、入出力装置6は、図示しない端末装置に備えられ、携帯端末を介して制御装置5に有線、無線のいずれかの方法でアクセスすることができる構成であっても良い。
次に、実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置1−1のリムずれ量測定方法について説明する。図2は、実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置の動作フロー図である。図3は、生成された衝撃前タイヤ組立体波形を示す図である。図4は、生成された衝撃後タイヤ組立体波形を示す図である。図5は、衝撃前後のタイヤ組立体波形におけるリムずれを示す図である。なお、実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置のリムずれ量測定方法では、タイヤ軸21の上下方向の力の変動からリムずれ量を測定するものである。
まず、測定者は、図2に示すように、入出力装置6を用いて、制御装置5に上記測定条件、例えば測定対象タイヤTのサイズ、リムRのサイズ、空気圧、スリップアングル、走行速度V(回転速度)、荷重、衝撃力の大きさ、衝撃力を与える回数などを入力する(ステップST101)。
次に、制御装置5の処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、タイヤ試験機2のタイヤ軸21に固定されたタイヤ組立体TRを回転させることで、リムRにリム組みされた測定対象タイヤTの回転を開始させる(ステップST102)。ここでは、タイヤ試験機制御部52eは、上記入力された測定条件のうち測定対象タイヤTのスリップアングル、荷重、走行速度V(回転速度)に基づいて測定対象タイヤTを回転させる。タイヤ試験機制御部52eは、走行速度V(回転速度)に基づいて、タイヤ回転力制御信号あるいはドラム回転力制御信号の少なくとも一方を図示しないタイヤ回転力付与装置あるいはドラム回転力付与装置25に出力し、測定対象タイヤTにタイヤ回転力あるいはドラム23にドラム回転力の少なくとも一方を付与する。これにより、測定対象タイヤTおよびドラム23が回転し、走行速度Vで測定対象タイヤTが回転を開始する。これにより、リムずれ量測定装置1−1は、リムずれ量の測定を開始する。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、衝撃前タイヤ組立体波形を生成する(ステップST103)。ここでは、軸変動波形生成部52cは、処理部52の軸変動取得部52aにより取得されたタイヤ軸21上下方向の力の変動と、処理部52の回転位置取得部52bにより取得された回転位置センサ4によりタイヤ軸21の基準回転位置を検出したタイミング、すなわちタイヤ軸21が基準回転位置を基準に1回転するタイミングとに基づいて、衝撃力を与える前におけるタイヤ組立体波形を生成する。軸変動波形生成部52cは、例えばタイヤ軸21が基準回転位置を基準に1回転する間におけるタイヤ軸21の上下方向の力の変動に基づいて、衝撃前タイヤ組立体波形を生成する。これにより、軸変動波形生成部52cは、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃前タイヤ組立体波形を生成する。
生成された衝撃前タイヤ組立体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図3に示すような波形となる。生成された衝撃前タイヤ組立体波形の衝撃前ピーク位置PB1は、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の上下方向の力の変動のうち最大の変動(実施の形態1では、プラス側の最大の変動)となる。なお、衝撃前タイヤ組立体波形を生成するためのタイヤ軸21の上下方向の力の変動は、衝撃力を与える直前の変動であっても良いし、測定対象タイヤTの回転が安定した後の変動であっても良い。また、軸変動波形生成部52cは、上記タイヤ軸21が基準回転位置を基準に1回転する間におけるタイヤ軸21の上下方向の力の変動に基づいて衝撃前タイヤ組立体波形を複数回生成し、複数の衝撃前タイヤ組立体波形を平均化することで、衝撃前タイヤ組立体波形を生成しても良い。なお、生成された衝撃前タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、図2に示すように、測定対象タイヤTに衝撃力を付与する(ステップST104)。ここでは、タイヤ試験機制御部52eは、上記入力された測定条件のうち衝撃力の大きさに基づいて、タイヤ回転力制御信号あるいはドラム回転力制御信号の少なくとも一方を図示しないタイヤ回転力付与装置あるいはドラム回転力付与装置25に出力し、タイヤ回転力あるいはドラム回転力の少なくとも一方を調整する。これにより、回転する測定対象タイヤTにドラム23に対する制動力あるいは駆動力を発生させ、回転する測定対象タイヤTに衝撃力を与える。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、衝撃後タイヤ組立体波形を生成する(ステップST105)。ここでは、軸変動波形生成部52cは、例えばタイヤ軸21が基準回転位置を基準に1回転する間におけるタイヤ軸21の上下方向の力の変動に基づいて、衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。これにより、軸変動波形生成部52cは、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。なお、生成された衝撃後タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
生成された衝撃後タイヤ組立体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図4に示すような波形となる。生成された衝撃後タイヤ組立体波形の衝撃後ピーク位置PA1は、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の上下方向の力の変動のうち最大の変動(実施の形態1では、プラス側の最大の変動)となる。なお、衝撃後タイヤ組立体波形を生成するためのタイヤ軸21の上下方向の力の変動は、衝撃力を与えた直後の変動であっても良いし、衝撃力を与えた後で測定対象タイヤTの回転が安定した後の変動であっても良い。また、軸変動波形生成部52cは、上記タイヤ軸21が基準回転位置を基準に1回転する間におけるタイヤ軸21の上下方向の力の変動に基づいて衝撃後タイヤ組立体波形を複数回生成し、複数の衝撃後タイヤ組立体波形を平均化することで、衝撃後タイヤ組立体波形を生成しても良い。ここで、生成された衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形は、基準回転位置を基準に1回転させた際の上下方向の力の変動の波形であるため、横軸におけるタイヤ軸21の回転位置が同期している。
次に、処理部52のリムずれ量算出部52dは、図2に示すように、リムずれ量Sを算出する(ステップST106)。ここでは、リムずれ量算出部52dは、上記生成された衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形に基づいてリムずれ量Sを算出する。リムずれ量算出部52dは、記憶部53に記憶されている衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を取得する。そして、図5に示すように、衝撃前タイヤ組立体波形の衝撃前ピーク位置PB1と、衝撃後タイヤ組立体波形の衝撃後ピーク位置PA1とを比較する。通常、タイヤ組立体TRが安定して回転していれば、タイヤ軸21周りに1回転するごとの軸変動は同一、すなわちタイヤ組立体波形は同じ波形である。従って、タイヤ組立体TRの1回転ごとの軸変動に基づいたタイヤ組立体波形のピーク位置は、回転する測定対象タイヤTに衝撃力が与えられなければ変化せず同一位置となる。しかし、測定対象タイヤTに衝撃力が付与され、測定対象タイヤTがリムRに対してずれることで、リムずれが発生した場合、衝撃力を与えられた後におけるピーク位置は、タイヤ組立体TRの1回転ごとに同一位置であるが、その位置がリムずれ量Sに比例して衝撃力を与えられる前のピーク位置に対して変化する。これにより、リムずれ量算出部52dは、衝撃前タイヤ組立体波形の衝撃前ピーク位置PB1と、衝撃後タイヤ組立体波形の衝撃後ピーク位置PA1との位置ずれ、すなわち差からリムずれ量Sを算出する。従って、リムずれ量算出部52dは、衝撃前タイヤ組立体波形と衝撃後タイヤ組立体波形とのピーク位置の差からリムずれ量Sを算出する。
次に、処理部52は、リムずれ量の測定を終了するか否かを判定する(ステップST107)。ここでは、処理部52は、例えば、測定条件である衝撃力を与える回数が1回であれば、リムずれ量の測定が終了したと判定(ステップST107肯定)し、リムずれ量の測定を終了する。また、処理部52は、例えば、測定条件である衝撃力を与える回数、すなわち条件回数が複数回であれば、衝撃力が測定対象タイヤTに与えられた実回数(例えば、処理部52は、図示しないカウント部により測定対象タイヤTに与えられた衝撃力の回数をカウントする)が測定条件である衝撃力を与える回数となったか否かを判定する。処理部52は、実回数が条件回数となるまで、リムずれ量の測定が終了していないと判定(ステップST107否定)する。従って、実回数が条件回数となるまで、すなわち測定条件である衝撃力を与える回数、測定対象タイヤTに衝撃力が与えられるまで、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を生成し、衝撃前タイヤ組立体波形と衝撃後タイヤ組立体波形とのピーク位置の差に基づいてリムずれ量Sの算出を繰り返す(ステップST103〜ステップST107)。そして、処理部52は、実回数が条件回数となったと判定すると、リムずれ量の測定が終了したと判定(ステップST107肯定)し、リムずれ量の測定を終了する。
以上のように、実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置1−1およびリムずれ量測定方法では、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸の基準回転位置から1回転分の軸変動に基づいて生成された衝撃前タイヤ組立体波形と、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸の前記基準回転位置から1回転分の軸変動に基づいて生成された衝撃後タイヤ組立体波形とのピーク位置の差からリムずれ量Sを算出する。つまり、タイヤ組立体TRが回転した際のタイヤ組立体TRが1回転する間のタイヤ軸21の軸変動に基づいてリムずれ量Sを算出することができる。また、衝撃前タイヤ組立体波形と、衝撃後タイヤ組立体波形とのピーク位置の差からリムずれ量を算出する、すなわち衝撃前後のタイヤ組立体波形におけるピーク位置の差からリムずれ量Sを算出するので、1回の測定で回転する測定対象タイヤTRに複数回衝撃力が与えられても、各衝撃前後のリムずれ量Sを算出することができる。従って、リムずれ量Sを連続的に測定することができる。
[実施の形態2]
次に、実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2について説明する。図6は、実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置の構成例を示す図である。同図に示す実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2が実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置1−1と異なる点は、処理部52がタイヤ単体波形生成部52fをさらに有し、軸変動波形生成部52cがリム単体波形を生成し、タイヤ単体波形生成部52fが衝撃前後のタイヤ組立体波形とリム単体波形とに基づいて衝撃前後のタイヤ単体波形を生成し、リムずれ量算出部52dが衝撃前後のタイヤ単体波形のピーク位置の差からリムずれ量Sを算出する点である。ここで、実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2の基本的構成は、図1に示す実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置1−1の基本的構成とほぼ同一であるため、同一箇所の説明は省略あるいは簡略化する。
処理部52は、少なくとも軸変動取得部52aと、回転位置取得部52bと、軸変動波形生成部52cと、リムずれ量算出部52dと、タイヤ試験機制御部52eと、タイヤ単体波形生成部52fとにより構成されている。タイヤ単体波形生成部52fは、タイヤ単体波形生成手段であり、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形からリム単体波形を減算処理し、衝撃前タイヤ単体波形および衝撃後タイヤ単体波形を生成するものである。
次に、実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2のリムずれ量測定方法について説明する。図7は、実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置の動作フロー図である。図8は、生成されたリム単体波形を示す図である。図9は、生成された衝撃前タイヤ組立体波形を示す図である。図10は、生成された衝撃後タイヤ組立体波形を示す図である。図11は、生成された衝撃前タイヤ単体波形を示す図である。図12は、生成された衝撃後タイヤ単体波形を示す図である。図13は、衝撃前後のタイヤ単体波形におけるリムずれを示す図である。ここで、実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2のリムずれ量測定方法において、実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置1−1のリムずれ量測定方法と同一部分は、省略あるいは簡略化して説明する。なお、実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2のリムずれ量測定方法では、タイヤ軸21の上下方向の力の変動からリムずれ量を測定するものである。
まず、図7に示すように、タイヤ試験機2のタイヤ軸21に測定対象タイヤTをリム組みする前のリムRのみを固定して、制御装置5の処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、リムR単体を回転させる(ステップST201)。ここでは、タイヤ試験機制御部52eは、下記の測定対象タイヤTを回転させる際における測定条件のうち、走行速度V(回転速度)に基づいてリム単体Tを回転させる。タイヤ試験機制御部52eは、走行速度V(回転速度)に基づいて、タイヤ回転力制御信号を図示しないタイヤ回転力付与装置に出力し、リムR単体にタイヤ回転力を付与する。これにより、リムR単体がタイヤ試験機2により走行速度Vで回転を開始する。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、リム単体波形を生成する(ステップST202)。ここでは、軸変動波形生成部52cは、処理部52の軸変動取得部52aにより取得されたタイヤ軸21上下方向の力の変動と、処理部52の回転位置取得部52bにより取得された回転位置センサ4によりタイヤ軸21の基準回転位置を検出したタイミング、すなわちタイヤ軸21が基準回転位置を基準に1回転するタイミングとに基づいて、リム単体波形を生成する。軸変動波形生成部52cは、例えばタイヤ軸21が基準回転位置を基準に1回転する間におけるタイヤ軸21の上下方向の力の変動に基づいて、リム単体波形を生成する。これにより、軸変動波形生成部52cは、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいてリム単体波形を生成する。
生成されたリム単体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図8に示すような波形となる。生成されたリム単体波形のリム単体ピーク位置は、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の上下方向の力の変動のうち最大の変動(実施の形態2では、プラス側の最大の変動)となる。なお、リム単体波形を生成するためのタイヤ軸21の上下方向の力の変動は、リムR単体の回転が安定した後の変動が好ましい。また、軸変動波形生成部52cは、上記タイヤ軸21が基準回転位置を基準に1回転する間におけるタイヤ軸21の上下方向の力の変動に基づいてリム単体波形を複数回生成し、複数のリム単体波形を平均化することで、リム単体波形を生成しても良い。なお、生成されたリム単体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、測定者は、図7に示すように、入出力装置6を用いて、制御装置5に上記測定条件、例えば測定対象タイヤTのサイズ、リムRのサイズ、空気圧、スリップアングル、走行速度V(回転速度)、荷重、衝撃力の大きさ、衝撃力を与える回数などを入力する(ステップST203)。
次に、制御装置5の処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、タイヤ試験機2のタイヤ軸21に固定されたタイヤ組立体TRを回転させることで、リムRにリム組みされた測定対象タイヤTの回転を開始させる(ステップST204)。ここでは、タイヤ試験機制御部52eは、上記入力された測定条件のうち測定対象タイヤTのスリップアングル、荷重、走行速度V(回転速度)に基づいて測定対象タイヤTを回転させる。これにより、リムずれ量測定装置1−2は、リムずれ量の測定を開始する。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、衝撃前タイヤ組立体波形を生成する(ステップST205)。軸変動波形生成部52cは、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃前タイヤ組立体波形を生成する。生成された衝撃前タイヤ組立体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図9に示すような波形となる。なお、生成された衝撃前タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、図7に示すように、測定対象タイヤTに衝撃力を付与する(ステップST206)。タイヤ試験機制御部52eは、回転する測定対象タイヤTにドラム23に対する制動力あるいは駆動力を発生させ、回転する測定対象タイヤTに衝撃力を与える。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、衝撃後タイヤ組立体波形を生成する(ステップST207)。軸変動波形生成部52cは、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。生成された衝撃後タイヤ組立体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図10に示すような波形となる。ここで、リム単体波形、生成された衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形は、基準回転位置を基準に1回転させた際の上下方向の力の変動の波形であるため、横軸におけるタイヤ軸21の回転位置が同期している。なお、生成された衝撃前タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、処理部52のタイヤ単体波形生成部52fは、図7に示すように、衝撃前タイヤ単体波形および衝撃後タイヤ単体波形を生成する(ステップST208)。ここでは、タイヤ単体波形生成部52fは、上記軸変動波形生成部52cにより生成されたリム単体波形と、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形とに基づいて衝撃前タイヤ単体波形および衝撃後タイヤ単体波形を生成する。ここで、タイヤ組立体TRに衝撃力を与える前のリム単体波形のピーク位置と、タイヤ組立体TRに衝撃力を与えた後のリム単体波形のピーク位置とは、同一位置である。つまり、タイヤ組立体TRにリムずれが発生した場合に、衝撃力を与える前のタイヤ単体波形と、衝撃力を与えた後のタイヤ単体波形とのピーク位置の差が衝撃前後のタイヤ組立体波形のピーク位置の差となって現れる。従って、リム単体波形は、タイヤ組立体TRにリムずれが発生した場合に、ノイズとなって衝撃前後のタイヤ組立体波形に現れ、特に衝撃前後のタイヤ単体波形のピーク位置における軸変動よりもリム単体波形のピーク位置における軸変動が大きい場合には、精度良くリムずれ量を測定することが困難である虞がある。
タイヤ単体波形生成部52fは、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された衝撃前タイヤ組立体波形から、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成されたリム単体波形を減算処理して、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいた衝撃前タイヤ単体波形を生成する。生成された衝撃前タイヤ単体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図11に示すような波形となる。生成された衝撃前タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置PB2は、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の上下方向の力の変動のうち最大の変動(実施の形態2では、プラス側の最大の変動)となる。なお、生成された衝撃後タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
また、タイヤ単体波形生成部52fは、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された衝撃後タイヤ組立体波形から、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成されたリム単体波形を減算処理して、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいた衝撃後タイヤ単体波形を生成する。生成された衝撃後タイヤ単体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図12に示すような波形となる。生成された衝撃後タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置PA2は、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の上下方向の力の変動のうち最大の変動(実施の形態2では、プラス側の最大の変動)となる。なお、生成された衝撃後タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。ここで、生成された衝撃前タイヤ単体波形および衝撃後タイヤ単体波形は、基準回転位置を基準に1回転させた際の上下方向の力の変動の衝撃前後のタイヤ組立体波形に基づいたものであるため、横軸におけるタイヤ軸21の回転位置が同期している。
次に、処理部52のリムずれ量算出部52dは、図7に示すように、リムずれ量Sを算出する(ステップST209)。ここでは、リムずれ量算出部52dは、上記生成された衝撃前タイヤ単体波形および衝撃後タイヤ単体波形に基づいてリムずれ量Sを算出する。リムずれ量算出部52dは、図13に示すように、衝撃前タイヤ単体波形の衝撃前ピーク位置PB2と、衝撃後タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置PA2との差からリムずれ量Sを算出する。
次に、処理部52は、リムずれ量の測定を終了するか否かを判定する(ステップST210)。ここでは、処理部52は、例えば測定条件である衝撃力を与える回数が1回であれば、あるいは実回数が条件回数となれば、リムずれ量の測定が終了したと判定(ステップST210肯定)し、リムずれ量の測定を終了する。なお、処理部52は、実回数が条件回数となるまで、リムずれ量の測定が終了していないと判定(ステップST210否定)し、衝撃前タイヤ単体波形と衝撃後タイヤ単体波形とのピーク位置の差に基づいてリムずれ量Sの算出を繰り返す(ステップST205〜ステップST210)。
以上のように、実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2およびリムずれ量測定方法では、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸の基準回転位置から1回転分の軸変動に基づいて生成された衝撃前タイヤ組立体波形とリム単体波形とに基づいて衝撃前タイヤ単体波形を生成し、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸の前記基準回転位置から1回転分の軸変動に基づいて生成された衝撃後タイヤ組立体波形とリム単体波形とに基づいて衝撃後タイヤ単体波形を生成する。そして、生成された衝撃前後のタイヤ単体波形のピーク位置の差からリムずれ量Sを算出する。つまり、タイヤ単体Tが回転した際のタイヤ単体Tが1回転する間のタイヤ軸21の軸変動に基づいてリムずれ量Sを算出するので、リムずれ量Sを精度良く測定することができる。また、衝撃前タイヤ単体波形と、衝撃後タイヤ単体波形とのピーク位置の差からリムずれ量Sを算出する、すなわち衝撃前後のタイヤ単体波形におけるピーク位置の差からリムずれ量Sを算出するので、1回の測定で回転する測定対象タイヤTRに複数回衝撃力が与えられても、各衝撃前後のリムずれ量Sを算出することができる。従って、リムずれ量Sを連続的に測定することができる。
[実施の形態3]
次に、実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3について説明する。図14は、実施の形態3,4にかかるリムずれ量測定装置の構成例を示す図である。同図に示す実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3が実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2と異なる点は、処理部52が次数波形生成部52gをさらに有し、軸変動波形生成部52cにより生成されたリム単体波形、および衝撃前後のタイヤ組立体波形の1次成分に基づいて衝撃前後のタイヤ単体波形を生成し、リムずれ量算出部52dが衝撃前後のタイヤ単体波形のピーク位置の差からリムずれ量Sを算出する点である。ここで、実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3の基本的構成は、図6に示す実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2の基本的構成とほぼ同一であるため、同一箇所の説明は省略あるいは簡略化する。
処理部52は、少なくとも軸変動取得部52aと、回転位置取得部52bと、軸変動波形生成部52cと、リムずれ量算出部52dと、タイヤ試験機制御部52eと、タイヤ単体波形生成部52fと、次数波形生成部52gとにより構成されている。次数波形生成部52gは、次数波形生成手段であり、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を次数解析することで、複数の次数成分の衝撃前タイヤ組立体波形および複数の次数成分の衝撃後タイヤ組立体波形を生成するとともに、リム単体波形を次数解析することで、複数の次数成分のリム単体波形を生成するものである。
次に、実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3のリムずれ量測定方法について説明する。図15は、実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置の動作フロー図である。図16は、生成された1次成分のリム単体波形を示す図である。図17は、生成された1次成分の衝撃前タイヤ組立体波形を示す図である。図18は、生成された1次成分の衝撃後タイヤ組立体波形を示す図である。図19は、生成された1次成分の衝撃前タイヤ単体波形を示す図である。図20は、生成された1次成分の衝撃後タイヤ単体波形を示す図である。図21は、衝撃前後の1次成分のタイヤ単体波形におけるリムずれを示す図である。ここで、実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3のリムずれ量測定方法において、実施の形態2にかかるリムずれ量測定装置1−2のリムずれ量測定方法と同一部分は、省略あるいは簡略化して説明する。なお、実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3のリムずれ量測定方法では、タイヤ軸21の上下方向の力の変動からリムずれ量を測定するものである。
まず、図15に示すように、タイヤ試験機2のタイヤ軸21に測定対象タイヤTをリム組みする前のリムRのみを固定して、制御装置5の処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、リムR単体を回転させる(ステップST301)。ここでは、リムR単体がタイヤ試験機2により走行速度Vで回転を開始する。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、リム単体波形を生成する(ステップST302)。ここでは、軸変動波形生成部52cは、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいてリム単体波形を生成する。なお、リム単体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、測定者は、入出力装置6を用いて、制御装置5に上記測定条件、例えば測定対象タイヤTのサイズ、リムRのサイズ、空気圧、スリップアングル、走行速度V(回転速度)、荷重、衝撃力の大きさ、衝撃力を与える回数などを入力する(ステップST303)。
次に、制御装置5の処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、タイヤ試験機2のタイヤ軸21に固定されたタイヤ組立体TRを回転させることで、リムRにリム組みされた測定対象タイヤTの回転を開始させる(ステップST304)。ここでは、タイヤ試験機制御部52eは、上記入力された測定条件のうち測定対象タイヤTのスリップアングル、荷重、走行速度V(回転速度)に基づいて測定対象タイヤTを回転させる。これにより、リムずれ量測定装置1−3は、リムずれ量の測定を開始する。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、衝撃前タイヤ組立体波形を生成する(ステップST305)。軸変動波形生成部52cは、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃前タイヤ組立体波形を生成する。なお、衝撃前タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、測定対象タイヤTに衝撃力を付与する(ステップST306)。タイヤ試験機制御部52eは、回転する測定対象タイヤTにドラム23に対する制動力あるいは駆動力を発生させ、回転する測定対象タイヤTに衝撃力を与える。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、衝撃後タイヤ組立体波形を生成する(ステップST307)。軸変動波形生成部52cは、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。ここで、リム単体波形、生成された衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形は、基準回転位置を基準に1回転させた際の上下方向の力の変動の波形であるため、横軸におけるタイヤ軸21の回転位置が同期している。なお、衝撃後タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、処理部52の次数波形生成部52gは、生成されたリム単体波形、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を次数解析する(ステップST308)。ここでは、次数波形生成部52gは、生成されたリム単体波形を次数解析することで、複数の次数成分のリム単体波形を生成するとともに、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を次数解析することで、複数の次数成分の衝撃前タイヤ組立体波形および複数の次数成分の衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。なお、波形の次数解析の方法は、公知技術であるためここでの説明は省略する。
実施の形態3では、次数波形生成部52gは、生成されたリム単体波形を次数解析することで、図16に示す1次成分のリム単体波形を生成するとともに、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を次数解析することで、図17に示す1次成分の衝撃前タイヤ組立体波形および図18に示す1次成分の次数成分の衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。生成された1次成分のリム単体波形および衝撃前後タイヤ組立体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とする波形であり、横軸におけるタイヤ軸21の回転位置が同期している。なお、生成された1次成分のリム単体波形および衝撃前後タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、処理部52のタイヤ単体波形生成部52fは、図15に示すように、1次成分の衝撃前タイヤ単体波形および1次成分の衝撃後タイヤ単体波形を生成する(ステップST309)。ここでは、タイヤ単体波形生成部52fは、上記次数波形生成部52gにより生成された1次成分のリム単体波形と、1次成分の衝撃前タイヤ組立体波形および1次成分の衝撃後タイヤ組立体波形とに基づいて1次成分の衝撃前タイヤ単体波形および1次成分の衝撃後タイヤ単体波形を生成する。ここで、各次数成分の衝撃前後のタイヤ組立体波形のうち、質量のアンバランスの影響を最も受けるは、1次成分の衝撃前後タイヤ組立体波形である。つまり、1次成分の衝撃前後タイヤ組立体波形がタイヤ軸21の力の変動の影響を最も受けることとなる。
タイヤ単体波形生成部52fは、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された1次成分の衝撃前タイヤ組立体波形から、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された1次成分のリム単体波形を減算処理して、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいた1次成分の衝撃前タイヤ単体波形を生成する。生成された1次成分の衝撃前タイヤ単体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図19に示すような波形となる。生成された1次成分の衝撃前タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置PB3は、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の上下方向の力の変動のうち最大の変動(実施の形態3では、プラス側の最大の変動)となる。なお、生成された1次成分の衝撃前タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
また、タイヤ単体波形生成部52fは、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された1次成分の衝撃後タイヤ組立体波形から、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された1次成分のリム単体波形を減算処理して、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいた1次成分の衝撃後タイヤ単体波形を生成する。生成された1次成分の衝撃後タイヤ単体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図20に示すような波形となる。生成された1次成分の衝撃後タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置PA3は、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の上下方向の力の変動のうち最大の変動(実施の形態では、プラス側の最大の変動)となる。なお、生成された1次成分の衝撃後タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。ここで、生成された1次成分の衝撃前タイヤ単体波形および1次成分の衝撃後タイヤ単体波形は、基準回転位置を基準に1回転させた際の上下方向の力の変動の衝撃前後の1次成分のタイヤ組立体波形に基づいたものであるため、横軸におけるタイヤ軸21の回転位置が同期している。
次に、処理部52のリムずれ量算出部52dは、図15に示すように、リムずれ量Sを算出する(ステップST310)。ここでは、リムずれ量算出部52dは、上記生成された1次成分の衝撃前タイヤ単体波形および1次成分の衝撃後タイヤ単体波形に基づいてリムずれ量Sを算出する。リムずれ量算出部52dは、図21に示すように、1次成分の衝撃前タイヤ単体波形の衝撃前ピーク位置PB3と、1次成分の衝撃後タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置PA3との差から1次成分におけるリムずれ量Sを算出する。
次に、処理部52は、リムずれ量の測定を終了するか否かを判定する(ステップST311)。ここでは、処理部52は、例えば測定条件である衝撃力を与える回数が1回であれば、あるいは実回数が条件回数となれば、リムずれ量の測定が終了したと判定(ステップST311肯定)し、リムずれ量の測定を終了する。なお、処理部52は、実回数が条件回数となるまで、リムずれ量の測定が終了していないと判定(ステップST311否定)し、衝撃前タイヤ単体波形と衝撃後タイヤ単体波形とのピーク位置の差に基づいてリムずれ量Sの算出を繰り返す(ステップST305〜ステップST311)。
以上のように、実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3およびリムずれ量測定方法では、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸の基準回転位置から1回転分の軸変動に基づいて生成された衝撃前タイヤ組立体波形の一次成分とリム単体波形の一次成分とに基づいての一次成分の衝撃前タイヤ単体波形を生成し、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸の前記基準回転位置から1回転分の軸変動に基づいて生成された一次成分の衝撃後タイヤ組立体波形とリム単体波形の一次成分とに基づいて一次成分の衝撃後タイヤ単体波形を生成する。そして、生成された一次成分の衝撃前後のタイヤ単体波形のピーク位置の差から一次成分のみのリムずれ量Sを算出する。つまり、質量のアンバランスの影響を最も受ける1次成分の衝撃前タイヤ単体波形と1次成分の衝撃後タイヤ単体波形とのピーク位置の差に基づいてリムずれ量Sを算出するので、精度良くリムずれ量Sを測定することができる。また、衝撃前タイヤ単体波形と、衝撃後タイヤ単体波形とのピーク位置の差からリムずれ量Sを算出する、すなわち衝撃前後のタイヤ単体波形におけるピーク位置の差からリムずれ量Sを算出するので、1回の測定で回転する測定対象タイヤTRに複数回衝撃力が与えられても、各衝撃前後のリムずれ量Sを算出することができる。従って、リムずれ量Sを連続的に測定することができる。
[実施の形態4]
次に、実施の形態4にかかるリムずれ量測定装置1−4について説明する。図14に示す実施の形態4にかかるリムずれ量測定装置1−4が実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3と異なる点は、軸変動波形生成部52cにより生成されたリム単体波形、および衝撃前後のタイヤ組立体波形の各次数成分に基づいて衝撃前後の各次数成分のタイヤ単体波形を生成し、リムずれ量算出部52dが衝撃前後の各次数成分のタイヤ単体波形のピーク位置の差から各次数成分のリムずれ量を算出し、算出された各次数成分のリムずれ量に基づいてリムずれ量を算出する点である。ここで、実施の形態4にかかるリムずれ量測定装置1−4の基本的構成は、図14に示す実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3の基本的構成と同一であるためその説明は省略する。
次に、実施の形態4にかかるリムずれ量測定装置1−4のリムずれ量測定方法について説明する。図22は、実施の形態4にかかるリムずれ量測定装置の動作フロー図である。図23は、生成された各次成分のリム単体波形を示す図である。図24は、生成された各次成分の衝撃前タイヤ組立体波形を示す図である。図25は、生成された各次成分の衝撃後タイヤ組立体波形を示す図である。図26は、生成された各次成分の衝撃前タイヤ単体波形を示す図である。図27は、生成された各次成分の衝撃後タイヤ単体波形を示す図である。図28は、衝撃前後の1次成分のタイヤ単体波形におけるリムずれを示す図である。図29は、衝撃前後の2次成分のタイヤ単体波形におけるリムずれを示す図である。図30は、衝撃前後の3次成分のタイヤ単体波形におけるリムずれを示す図である。ここで、実施の形態4にかかるリムずれ量測定装置1−4のリムずれ量測定方法において、実施の形態3にかかるリムずれ量測定装置1−3のリムずれ量測定方法と同一部分は、省略あるいは簡略化して説明する。なお、実施の形態4にかかるリムずれ量測定装置1−4のリムずれ量測定方法では、タイヤ軸21の上下方向の力の変動からリムずれ量を測定するものであり、1次〜3次成分のリムずれ量を算出し、算出された1次〜3次成分のリムずれ量に基づいてリムずれ量Sを算出するものである。
まず、図22に示すように、タイヤ試験機2のタイヤ軸21に測定対象タイヤTをリム組みする前のリムRのみを固定して、制御装置5の処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、リムR単体を回転させる(ステップST401)。ここでは、リムR単体がタイヤ試験機2により走行速度Vで回転を開始する。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、リム単体波形を生成する(ステップST402)。ここでは、軸変動波形生成部52cは、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいてリム単体波形を生成する。なお、リム単体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、測定者は、入出力装置6を用いて、制御装置5に上記測定条件、例えば測定対象タイヤTのサイズ、リムRのサイズ、空気圧、スリップアングル、走行速度V(回転速度)、荷重、衝撃力の大きさ、衝撃力を与える回数などを入力する(ステップST403)。
次に、制御装置5の処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、タイヤ試験機2のタイヤ軸21に固定されたタイヤ組立体TRを回転させることで、リムRにリム組みされた測定対象タイヤTの回転を開始させる(ステップST404)。ここでは、タイヤ試験機制御部52eは、上記入力された測定条件のうち測定対象タイヤTのスリップアングル、荷重、走行速度V(回転速度)に基づいて測定対象タイヤTを回転させる。これにより、リムずれ量測定装置1−4は、リムずれ量の測定を開始する。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、衝撃前タイヤ組立体波形を生成する(ステップST405)。軸変動波形生成部52cは、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃前タイヤ組立体波形を生成する。なお、衝撃前タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、処理部52のタイヤ試験機制御部52eは、測定対象タイヤTに衝撃力を付与する(ステップST406)。タイヤ試験機制御部52eは、回転する測定対象タイヤTにドラム23に対する制動力あるいは駆動力を発生させ、回転する測定対象タイヤTに衝撃力を与える。
次に、処理部52の軸変動波形生成部52cは、衝撃後タイヤ組立体波形を生成する(ステップST407)。軸変動波形生成部52cは、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。ここで、リム単体波形、生成された衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形は、基準回転位置を基準に1回転させた際の上下方向の力の変動の波形であるため、横軸におけるタイヤ軸21の回転位置が同期している。なお、衝撃後タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、処理部52の次数波形生成部52gは、生成されたリム単体波形、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を次数解析する(ステップST408)。ここでは、次数波形生成部52gは、生成されたリム単体波形を次数解析することで、複数の次数成分のリム単体波形を生成するとともに、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を次数解析することで、複数の次数成分の衝撃前タイヤ組立体波形および複数の次数成分の衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。
実施の形態4では、次数波形生成部52gは、生成されたリム単体波形を次数解析することで、図23に示す1次〜3次成分のリム単体波形を生成するとともに、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を次数解析することで、図17に示す1次〜3次成分の衝撃前タイヤ組立体波形および図18に示す1次〜3次成分の次数成分の衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。生成された1次〜3次成分のリム単体波形および衝撃前後タイヤ組立体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とする波形であり、横軸におけるタイヤ軸21の回転位置が同期している。なお、生成された各次成分のリム単体波形および衝撃前後タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
次に、処理部52のタイヤ単体波形生成部52fは、図22に示すように、1次〜3次成分の衝撃前タイヤ単体波形および1次〜3次成分の衝撃後タイヤ単体波形を生成する(ステップST409)。ここでは、タイヤ単体波形生成部52fは、上記次数波形生成部52gにより生成された1次〜3次成分のリム単体波形と、1次〜3次成分の衝撃前タイヤ組立体波形および1次〜3次成分の衝撃後タイヤ組立体波形とに基づいて1次〜3次成分の衝撃前タイヤ単体波形および1次〜3次成分の衝撃後タイヤ単体波形を生成する。
タイヤ単体波形生成部52fは、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された1次〜3次成分の衝撃前タイヤ組立体波形から、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された1次〜3次成分のリム単体波形をそれぞれ減算処理して、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいた1次〜3次成分の衝撃前タイヤ単体波形を生成する。生成された1次〜3次成分の衝撃前タイヤ単体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図26に示すような波形となる。生成された1次〜3次成分の衝撃前タイヤ単体波形のそれぞれの衝撃後ピーク位置PB41〜PB43は、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の上下方向の力の変動のうち最大の変動(実施の形態4では、プラス側の最大の変動)となる。なお、生成された各次成分の衝撃前タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。
また、タイヤ単体波形生成部52fは、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された1次〜3次成分の衝撃後タイヤ組立体波形から、タイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて生成された1次〜3次成分のリム単体波形をそれぞれ減算処理して、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいた1次〜3次成分の衝撃後タイヤ単体波形を生成する。生成された1次〜3次成分の衝撃後タイヤ単体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とすると、図27に示すような波形となる。生成された1次〜3次成分の衝撃後タイヤ単体波形のそれぞれの衝撃後ピーク位置PA41〜PA43は、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸21の基準回転位置から1回転分の上下方向の力の変動のうち最大の変動(実施の形態では、プラス側の最大の変動)となる。なお、生成された1次〜3次成分の衝撃後タイヤ組立体波形は、適宜記憶部53に記憶される。ここで、生成された1次〜3次成分の衝撃前タイヤ単体波形および1次〜3次成分の衝撃後タイヤ単体波形は、基準回転位置を基準に1回転させた際の上下方向の力の変動の衝撃前後の1次〜3次成分のタイヤ組立体波形に基づいたものであるため、横軸におけるタイヤ軸21の回転位置が同期している。
次に、処理部52のリムずれ量算出部52dは、図22に示すように、各次数成分のリムずれ量S1〜nを算出する(ステップST410)。ここでは、リムずれ量算出部52dは、同一次数成分の衝撃前タイヤ組立体波形と衝撃後タイヤ組立体波形とのピーク位置の差に基づいて各次数成分のリムずれ量を算出する。実施の形態4では、リムずれ量算出部52dは、上記生成された1次〜3次成分の衝撃前タイヤ単体波形および1次〜3次成分の衝撃後タイヤ単体波形に基づいてリムずれ量S1〜3を算出する。リムずれ量算出部52dは、図28に示すように、1次成分の衝撃前タイヤ単体波形の衝撃前ピーク位置PB41と、1次成分の衝撃後タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置PA41との差から1次成分におけるリムずれ量S1を算出する。また、リムずれ量算出部52dは、図29に示すように、2次成分の衝撃前タイヤ単体波形の衝撃前ピーク位置PB42と、2次成分の衝撃後タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置PA42との差から2次成分におけるリムずれ量S2を算出する。また、リムずれ量算出部52dは、図30に示すように、3次成分の衝撃前タイヤ単体波形の衝撃前ピーク位置PB43と、3次成分の衝撃後タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置PA43との差から3次成分におけるリムずれ量S3を算出する。
次に、処理部52のリムずれ量算出部52dは、図22に示すように、算出された各次数成分のリムずれ量S1〜nに基づいてリムずれ量Sを算出する(ステップST411)。ここでは、リムずれ量算出部52dは、各次数成分のリムずれ量の全部あるいは一部に基づいてリムずれ量を算出することを特徴とする。実施の形態4では、リムずれ量算出部52dは、例えば、算出された1次〜3次成分のリムずれ量S1〜3の全てを平均化してリムずれ量Sを算出しても良い。つまり、算出された各次数成分のリムずれ量S1〜nの全部に基づいてリムずれ量Sを算出して良い。また、リムずれ量算出部52dは、例えば、算出された1次〜3次成分のリムずれ量S1〜3のうちノイズの影響を受ける次数成分のリムずれ量を除いた各次数成分のリムずれ量を平均化してリムずれ量Sを算出しても良い。つまり、算出された各次数成分のリムずれ量S1〜nの一部に基づいてリムずれ量Sを算出して良い。算出された各次数成分のリムずれ量S1〜nの一部に基づいてリムずれ量Sを算出する方法としては、各次数成分のリムずれ量S1〜nの大きさを比較して、他のリムずれ量と顕著に大きさが異なるリムずれ量を除いた各次数成分のリムずれ量を平均化してリムずれ量Sを算出しても良い。
処理部52は、リムずれ量の測定を終了するか否かを判定する(ステップST412)。ここでは、処理部52は、例えば測定条件である衝撃力を与える回数が1回であれば、あるいは実回数が条件回数となれば、リムずれ量の測定が終了したと判定(ステップST412肯定)し、リムずれ量の測定を終了する。なお、処理部52は、実回数が条件回数となるまで、リムずれ量の測定が終了していないと判定(ステップST412否定)し、衝撃前タイヤ単体波形と衝撃後タイヤ単体波形とのピーク位置の差に基づいてリムずれ量Sの算出を繰り返す(ステップST405〜ステップST412)。
以上のように、実施の形態4にかかるリムずれ量測定装置1−4およびリムずれ量測定方法では、衝撃力を与える前におけるタイヤ軸の基準回転位置から1回転分の軸変動に基づいて生成された衝撃前タイヤ組立体波形の各次数成分とリム単体波形の各次数成分とに基づいての各次数成分の衝撃前タイヤ単体波形を生成し、衝撃力を与えた後におけるタイヤ軸の前記基準回転位置から1回転分の軸変動に基づいて生成された各次数成分の衝撃後タイヤ組立体波形とリム単体波形の各次数成分とに基づいて各次数成分の衝撃後タイヤ単体波形を生成する。そして、生成された各次数成分の衝撃前後のタイヤ単体波形のピーク位置の差から各次数成分のリムずれ量S1〜nを算出し、算出された各次数成分のリムずれ量S1〜nに基づいてリムずれ量Sを算出するので、精度良くリムずれ量Sを測定することができる。また、衝撃前タイヤ単体波形と、衝撃後タイヤ単体波形とのピーク位置の差からリムずれ量Sを算出する、すなわち衝撃前後のタイヤ単体波形におけるピーク位置の差からリムずれ量Sを算出するので、1回の測定で回転する測定対象タイヤTRに複数回衝撃力が与えられても、各衝撃前後のリムずれ量Sを算出することができる。従って、リムずれ量Sを連続的に測定することができる。
なお、上記実施例1〜4では、タイヤ試験機2としてドラム式試験機を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、仮想路面としてフラットベルトを用いたフラットベルトコーナリング試験機であっても良い。この場合は、ドラム式試験機よりも仮想路面が実際の路面に近似するので、精度良くリムずれ量を測定することができる。
また、上記実施例1〜4では、タイヤ試験機2を制御するタイヤ試験機制御部52eの機能を備える制御装置5に、軸変動取得部52a、回転位置取得部52b、軸変動波形生成部52c、リムずれ量算出部52d、タイヤ単体波形生成部52f、次数波形生成部52gの機能を備えさせているが、これらの機能を別個に、例えば測定装置として構成しても良い。
また、上記実施例1〜4では、制御装置5に6分力計3および回転位置センサ4が直接接続され、軸変動取得部52aにより6分力計3が検出したタイヤ軸21の軸変動が直接取得され、回転位置取得部52bにより回転位置センサ4が車軸101の基準回転位置を検出したタイミングが直接取得されるが、例えば持ち運び可能な記録媒体に一旦記憶し、軸変動取得部52aおよび回転位置取得部52bは、記憶された6分力計3が検出したタイヤ軸21の軸変動および回転位置センサ4が車軸101の基準回転位置を検出したタイミングを取得しても良い。
[実施の形態5]
次に、実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置1−5について説明する。図31は、実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置の構成例を示す図である。同図に示す実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置1−5が実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置1−1と異なる点は、タイヤ試験機2を用いてリムずれ量を測定するのではなく、車両が実際の路面を走行している状態でリムずれ量を測定する点である。ここで、実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置1−5の基本的構成は、図1に示す実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置1−1の基本的構成と一部がほぼ同一であるため、同一箇所の説明は省略あるいは簡略化する。
リムずれ量測定装置1−5は、図31に示すように、車両100と、回転位置センサ4と、入出力装置6と、加速度センサ7と、共振周波数測定装置8と、測定装置9と、により構成されている。なお、10は、回転位置センサ4が車軸101の基準回転位置を検出したタイミングおよび加速度センサ7が検出した車軸101の軸変動を記憶する記憶装置である。記憶装置10は、持ち運び可能な記録媒体により構成される。
車両100は、タイヤ回転手段であり、衝撃力付与手段でもある。車両100は、測定対象タイヤTを実際の路面に対して接触状態でタイヤ組立体TRを回転させるものである。車両100は、車軸101と、エンジン102と、ブレーキ装置103とにより構成されている。
車軸101は、タイヤ軸であり、測定対象タイヤTを回転自在に支持するものである。車軸101は、実施の形態5では、軸方向における一方の端部(同図左側端部)がリムRと固定可能であり、他方の端部(同図右側端部)がエンジン102に連結されている。ここで、測定対象タイヤTを車軸101に固定する際には、測定対象タイヤTをリムRにリム組みし、タイヤ組立体TRを車軸101に固定することで行われる。なお、車両100には、測定対象タイヤTを車軸101に固定された測定対象タイヤTを上下方向、すなわち荷重方向(同図矢印A方向)および上下方向周りであるヨー方向、すなわちタイヤスリップ方向(同図矢印B方向)に移動自在に支持する支持機構が備えられている。また、車両100には、測定対象タイヤTをタイヤスリップ方向(同図矢印B方向)に移動させるステアリング機構が備えられている。
エンジン102は、測定対象タイヤTに車軸101周り、すなわちタイヤ回転方向(同図矢印C方向)のタイヤ回転力を付与するものである。エンジン102は、車両100の運転制御装置と接続されており、運転制御装置が運転者の操作によるアクセルペダルの踏み込み量に基づいて出力する運転制御信号により、測定対象タイヤTに付与するタイヤ回転力を調整するものである。
ブレーキ装置103は、測定対象タイヤTに車軸101周り、すなわちタイヤ回転方向(同図矢印C方向)のタイヤ制動力を付与するものである。ブレーキ装置103は、ブレーキ経路を介して運転者が操作するブレーキペダルと接続されており、ブレーキペダルの踏み込み量に応じて測定対象タイヤTに付与するタイヤ制動力を調整するものである。
ここで、実施の形態5では、エンジン102は、測定対象タイヤTにタイヤ回転力を付与することで、リムRとリム組みされた測定対象タイヤTとからなるタイヤ組立体TRを車軸101周りに回転させる。また、ブレーキ装置103は、タイヤ制動力を回転する測定対象タイヤTに付与することで、回転する測定対象タイヤTに衝撃力を与える。つまり、実施の形態5では、エンジン102がタイヤ回転手段であり、ブレーキ装置103が衝撃力付与手段である。
加速度センサ7は、軸変動検出手段である。加速度センサ7は、車軸101の軸変動を加速度として検出するものである。実施の形態5では、加速度センサ7は、車軸101の上下方向の加速度を検出するものである。加速度センサ7は、記憶装置10と接続されており、車軸101の軸変動、すなわち上下方向の加速度の変動を記憶装置10に変動信号として出力するものである。なお、記憶装置10は、加速度センサ7により検出された軸変動のデータ、すなわち車軸101の上下方向の加速度の変動データが記憶される。
回転位置センサ4は、回転位置検出手段である。回転位置センサ4は、車軸101に対して設けられており、例えば車軸101に設けられた基準回転位置を検出するものである。つまり、回転位置センサ4は、車軸101の基準回転位置を検出するものである。回転位置センサ4は、記憶装置10と接続されており、検出された基準回転位置を記憶装置10に基準信号として出力するものである。なお、記憶装置10は、回転位置センサ4により検出された基準回転位置のデータ、すなわち基準回転位置を検出するタイミングのデータが記憶される。ここで、測定装置9は、記憶装置10に記憶されている基準回転位置を検出するタイミングのデータを取得することで、回転位置センサ4が基準回転位置を検出する間隔に基づいて、車軸101および測定対象タイヤT(リムRを含む)の基準回転位置から1回転するまでを検出することができる。
共振周波数測定装置8は、車両100の共振周波数f[Hz]を測定するものである。車両100の共振周波数fは、例えばバネ下共振にかかわる周波数である。バネ下共振は、車両100が実際の路面を走行、すなわち測定対象タイヤTが車軸101周りに回転している際に、車軸101の軸変動に影響を与える。従って、車両100が車両100とタイヤ組立体TRとが共振する走行速度Vで走行した状態でリムずれ量を測定しようとすると、生成されるタイヤ組立体波形に共振周波数fの影響が現れることとなり、すなわち生成されるタイヤ組立体波形に共振周波数fによる共振成分が加わっているので、精度良くリムずれ量を測定することができない虞がある。そこで、実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置1−5では、共振周波数測定装置8により測定された共振周波数fから車両100とタイヤ組立体TRとが共振しない走行速度Vで加速度センサ6により車軸101の上下方向の加速度を検出する。
測定装置9は、車両100において加速度センサ7により検出された上下方向の加速度の変動に基づいてリムずれ量を算出するものである。測定装置9は、実施の形態5では、車両100とは別個に場所に設けられており、少なくとも入出力ポート(I/O)91と、処理部92と、記憶部93とにより構成されている。入出力ポート(I/O)91、処理部92、記憶部93は、例えば相互に接続されており、相互にデータのやりとりを行うことができる。なお、測定装置9には、入出力装置6が接続されている。
処理部92は、少なくとも軸変動取得部92aと、回転位置取得部92bと、軸変動波形生成部92cと、リムずれ量算出部92dとにより構成されている。軸変動取得部92aは、軸変動検出手段である加速度センサ7により検出された車軸101の軸変動、すなわち上下方向の加速度の変動を取得するものである。回転位置取得部52bは、回転位置検出手段である回転位置センサ4により基準回転位置を検出したタイミングを取得するものである。軸変動波形生成部52cは、軸変動波形生成手段であり、車軸101の基準回転位置から1回転分の加速度センサ7により検出された軸変動に基づいて軸変動波形、実施の形態5では、衝撃前後のタイヤ組立体波形、すなわち衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を生成するものである。リムずれ量算出部52dは、リムずれ量算出手段であり、生成された衝撃前後のタイヤ組立体波形、すなわち衝撃前タイヤ組立体波形と、衝撃後タイヤ組立体波形とのピーク位置の差に基づいてリムずれ量を算出するものである。
次に、実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置1−5のリムずれ量測定方法について説明する。図32は、実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置の動作フロー図である。図33は、共振周波数と、バネ下上下加速度との関係を示す図である。ここで、実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置1−5のリムずれ量測定方法において、実施の形態1にかかるリムずれ量測定装置1−1のリムずれ量測定方法と同一部分は、省略あるいは簡略化して説明する。なお、実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置1−5のリムずれ量測定方法では、車軸101の上下方向の加速度の変動からリムずれ量を測定するものである。
まず、図32に示すように、車両100を走行させる(ステップST501)。ここでは、車両100の運転者は、図示しないアクセルペダルを操作することで、エンジン102により測定対象タイヤTにタイヤ駆動力を付与し、車両100を種々の走行速度Vで走行させる。
次に、共振周波数測定装置8は、車両100が実際の路面を走行中における共振周波数fを測定する(ステップST502)。ここでは、共振周波数測定装置8は、バネ下共振にかかわる共振周波数fを測定する。車両100の共振周波数fの測定は、走行速度Vを徐々に変化させ、変化時におけるタイヤ軸変動のピークを測定することで行われる。共振周波数fは、縦軸をバネ下上下加速度、すなわち上下方向の加速度の変動とし、横軸を共振周波数fとすると、図33に示すように、一定のピークを有する波形となる。共振周波数fのピークは、走行速度、例えばV1、V2、V3(V1>V2>V3)に応じて変化するが最もタイヤ軸変動が大きい走行速度Vを抽出し、この走行速度Vにおけるピークを共振周波数fとする。
ここで、例えば、共振周波数fが約14[Hz]、タイヤ回転周長lが2[m]である場合に、車両100が走行速度V=100[km/h]で走行すると、タイヤ組立体TRの1回転における周波数が約14[Hz]となり、共振周波数fに近似し、バネ下共振が発生し、車軸101の上下方向の加速度の変動に影響を与える。そこで、次に、図32に示すように、共振周波数fに基づいて走行速度Vを算出する(ステップST503)。ここでは、共振周波数測定装置8により測定された共振周波数f、定対象タイヤのタイヤ回転周長l[m]とから下記の関係式(2)のいずれかを満たす走行速度V[km/h]を算出する。つまり、バネ下共振が車軸101の上下方向の加速度の変動に影響を与えない、すなわち車両100とタイヤ組立体TRとが共振しない走行速度Vを算出する。
V<l×f×0.8×3.6、V>l×f×1.2×3.6
次に、図32に示すように、車両100を走行速度Vで走行させる(ステップST504)。ここでは、車両100の運転者は、車両100を上記関係式から算出された走行速度Vで走行させる。つまり、車両100は、車両100とタイヤ組立体TRとが共振しない状態で走行することとなる。
次に、加速度センサ7は、衝撃前における車軸101の上下方向の加速度を検出し、記憶装置10に車軸101の上下方向の加速度を記憶する(ステップST505)。ここでは、加速度センサ7は、車両100が車両100とタイヤ組立体TRとが共振しない状態で走行している際において、衝撃力が与えられる前、すなわち衝撃前における車軸101の上下方向の加速度を検出する。記憶装置10は、検出された衝撃前における車軸101の上下方向の加速度を加速度データとして記憶装置10に記憶する。このとき、回転位置センサ4は、車軸101の基準回転位置を検出する。記憶装置10は、衝撃前における車軸101の上下方向の加速度が検出された際の車軸101の基準回転位置を検出したタイミングを基準回転位置データとして記憶する。
次に、車両100により測定対象タイヤTに衝撃力を付与する(ステップST506)。ここでは、運転者は、図示しないブレーキペダルを操作することで、ブレーキ装置103により測定対象タイヤTにタイヤ制動力を付与し、測定対象タイヤTに衝撃力を付与する。
次に、加速度センサ7は、衝撃後における車軸101の上下方向の加速度を検出し、記憶装置10に車軸101の上下方向の加速度を記憶する(ステップST507)。ここでは、加速度センサ7は、車両100が車両100とタイヤ組立体TRとが共振しない状態で走行している際において、衝撃力が与えられた後、すなわち衝撃後における車軸101の上下方向の加速度を検出する。記憶装置10は、検出された衝撃後における車軸101の上下方向の加速度を加速度データとして記憶装置10に記憶する。このとき、回転位置センサ4は、車軸101の基準回転位置を検出する。記憶装置10は、衝撃後における車軸101の上下方向の加速度が検出された際の車軸101の基準回転位置を検出したタイミングを基準回転位置データとして記憶する。
次に、車両100の走行を終了するか否かを判定する(ステップST508)。ここでは、車両100の1回の走行において、衝撃力を与える回数が1回であれば、あるいは衝撃力を与える回数が所定の回数となれば、車両100の走行を終了できると判定(ステップST508肯定)する。また、処理部52は、衝撃力を与える回数が所定の回数となるまで、車両100の走行を終了できないと判定(ステップST508否定)し、加速度センサ7が衝撃前後における車軸101の上下方向の加速度を検出し、記憶装置10が検出された衝撃前後における車軸101の上下方向の加速度を加速度データとして、基準回転位置データとともに記憶することを繰り返す(ステップST505〜ステップST508)。
次に、測定装置9の処理部92の軸変動波形生成部92cは、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を生成する(ステップST509)。ここでは、まず処理部92の軸変動取得部92aは、記憶装置10に記憶されている加速度データ、すなわち衝撃前後における車軸101の上下方向の加速度を取得する。また、回転位置取得部92bは、記憶装置10に記憶されている基準回転位置データ、すなわち車軸101の基準回転位置を検出したタイミング、すなわち車軸101が基準回転位置を基準に1回転するタイミングを取得する。次に、軸変動波形生成部92cは、取得された加速度データと、取得された基準回転位置データとに基づいて、衝撃前後におけるタイヤ組立体波形を生成する。軸変動波形生成部92cは、例えば車軸101が基準回転位置を基準に1回転する間における車軸101の上下方向の力の変動に基づいて、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。これにより、軸変動波形生成部52cは、車両100とタイヤ組立体TRとが共振しない走行速度Vで、衝撃力を与える前における車軸101の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃前タイヤ組立体波形を生成する。また、軸変動波形生成部52cは、車両100とタイヤ組立体TRとが共振しない走行速度Vで、衝撃力を与えた後における車軸101の基準回転位置から1回転分の検出された軸変動に基づいて衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。つまり、軸変動波形生成部92cは、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を車両100とタイヤ組立体TRとが共振しない、すなわち車両固有の振動成分を含まない状態で生成する。
生成された衝撃前後のタイヤ組立体波形は、縦軸を軸変動、すなわち上下方向の力の変動とし、横軸をタイヤ軸の基準回転位置からの回転位置、すなわち回転角度とする波形となる(図3および図4参照)。生成された衝撃前タイヤ組立体波形の衝撃前ピーク位置および衝撃後ピーク位置は、衝撃前後における車軸101の基準回転位置から1回転分の上下方向の加速度の変動のうち最大の変動となる(図3および図4におけるPB1およびPA1)。なお、衝撃前後のタイヤ組立体波形を生成するための車軸101の上下方向の加速度の変動は、衝撃力を与える直前および衝撃力を与えた直後の変動であっても良いし、測定対象タイヤTの回転が安定した後の変動であっても良い。また、軸変動波形生成部92cは、上記車軸101が基準回転位置を基準に1回転する間における車軸101の上下方向の加速度の変動に基づいて衝撃前後のタイヤ組立体波形を複数回生成し、複数の衝撃前後のタイヤ組立体波形をそれぞれ平均化することで、衝撃前後のタイヤ組立体波形を生成しても良い。なお、生成された衝撃前後のタイヤ組立体波形は、適宜記憶部93に記憶される。
次に、処理部92のリムずれ量算出部92dは、図32に示すように、リムずれ量Sを算出する(ステップST510)。ここでは、リムずれ量算出部92dは、上記生成された衝撃前タイヤ組立体単体波形および衝撃後タイヤ組立体波形に基づいてリムずれ量Sを算出する。リムずれ量算出部92dは、衝撃前タイヤ単体波形の衝撃前ピーク位置と、衝撃後タイヤ単体波形の衝撃後ピーク位置との差からリムずれ量Sを算出する(図5参照)。これにより、実施の形態5にかけるリムずれ量測定装置1−5は、リムずれ量の測定を終了する。
以上のように、実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置1−5およびリムずれ量測定方法では、車両走行中では、バネ下共振の影響をタイヤ軸である車軸の加速度が受けるので、車両100とタイヤ組立体TRとが共振しない走行速度Vで車両100を走行して、車両走行中のバネ下共振の影響を受けずに検出された軸変動に基づいて、衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。これにより、車両固有の振動成分を含まない状態で衝撃前タイヤ組立体波形および衝撃後タイヤ組立体波形を生成する。従って、衝撃前タイヤ組立体波形と衝撃後タイヤ組立体波形とのピーク位置の差からリムずれ量Sを車両走行中のバネ下共振の影響を受けずに算出することができる。これにより、車両100が実際に路面を走行している際におけるリムずれ量Sを精度良く測定することができる。また、両固有の振動成分を含まない状態で生成された衝撃前タイヤ単体波形と、衝撃後タイヤ単体波形とのピーク位置の差からリムずれ量Sを算出する、すなわち衝撃前後のタイヤ組立体波形におけるピーク位置の差からリムずれ量Sを算出するので、1回の測定で回転する測定対象タイヤTRに複数回衝撃力が与えられても、各衝撃前後のリムずれ量Sを算出することができる。従って、リムずれ量Sを連続的に測定することができる。
なお、上記実施の形態5にかかるリムずれ量測定装置1−5においても、実施の形態2〜4にかかるリムずれ量測定装置1−2〜1−4と同様に、衝撃前後のタイヤ単体波形のピーク位置の差、衝撃前後の1次成分のタイヤ単体波形(タイヤ組立体波形)のピーク位置の差、あるいは衝撃前後の各次成分のタイヤ単体波形(タイヤ組立体波形)のピーク位置の差に基づいて算出された各次数成分のリムずれ量に基づいてリムずれ量を算出しても良い。