JP4838680B2 - 熱交換器 - Google Patents
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Description
この様な熱交換器では多本数の伝熱管がシェルの開口部を塞ぐ板状の管板を貫通し、シェル外部に備えられたジャケットやU字形状のリターンベントによって伝熱管を折り返し、伝熱管内部を流通する流体を折り返す構造のものが知られている。
また、伝熱管を折り返すことなく、直管状の伝熱管の一方の端部と他方の端部を対向して配置された別々の管板にそれぞれ貫通させて両端を支持する構造のものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、伝熱管を流通する流体の折り返しはシェルの外側で行われていた。したがって、対抗する両管板で多数本の伝熱管を支持する必要があった。このため、双方の管板に同様のシール加工を行わなくてはならず、工数を増加させていた。
また、複数の伝熱管を対向する一対の管板で貫通させて、シェルの外側で冷却水などの伝熱管内部の流体を折り返して流す構造の場合、伝熱管とシェルの間に使用環境下の温度変化に起因する線膨張の差により伝熱管とシェルの接合部にひずみが発生し、漏れの原因となることがあった。
また、特に高温の腐食性ガスを扱う場合、用いられる材料は特殊な金属系に限られてきたため、材料入手が困難で溶接性が低いことなどが課題となっていた。
更に金属に替わる耐食性材料としてPTFEシートが用いられることもあるがシートは破損し易く加工作業が容易ではない。加えて、メンテナンスおよび部分修復が困難である。
また、シェル内部に挿入される伝熱管の長さを長くすることができる。これにより、シェル内部の第2の流体に接触する伝熱管の表面積も大きくなる。
また、管板が対抗して配置されている場合と比較して、管板がシェルに係止される箇所が減少する。また、シェル内部で複数回折り返された伝熱管は管板によって片持ち状に支持される。
このように構成することで、複数回折り返され片持ち状に支持された伝熱管の複数の折り返し部を支持板で補強し剛性を高くすることができる。
このように構成することで、支持板の下部に設けられたスライドロッドが、サポートロッドによって支持される。これにより、支持板に支持固定された伝熱管は、スライドロッドおよびサポートロッドを介してシェルの側壁に支持される。
また伝熱管をシェル内に挿入、あるいはシェル内から抜き取るときには、支持板の下部に設けられたスライドロッドが挿入および抜き取り方向に沿って伝熱管と一体的にサポートロッド上をスライドする。このとき、伝熱管の端部を支持固定する管板もこれらと一体的にスライドする。また、管板は伝熱管をシェル内部に収容した後はシェル前壁に固定される。
このように構成することで、メンテナンス時に伝熱管を交換することが可能となる。また、チューブの製作時には、まず、連結後に伝熱管の末端部に位置するストレート管を予め管板に貫通させて管板のシール加工をしておき、その後、リターンベントとストレート管を交互に連結させていくことができる。
このように構成することで、金属材料と比較して、ストレート管およびリターンベントの軽量化を図ることができる。また金属材料と比較して接合、切断等の加工を容易にすることができる。また、高温腐食性ガスに対する耐久性を高くすることができる。
また、伝熱管をシェル内部に挿入あるいはシェル内部から抜き取るときに、伝熱管をサポートロッド上に支持させた状態で、管板ごとサポートロッド上をスライドさせることができる。したがって、伝熱管の挿入および抜き取りを容易に行うことができる。よって、メンテナンスを容易にすることができる。
また、伝熱管の高温の腐食性ガスに対する耐久性を高くすることができるので、伝熱管の寿命を延長して熱交換器のメンテナンスを容易にすることができる。
図1に示すように、熱交換器1は矩形で筒状のシェル20を備えている。なお、図1は図示都合上、熱交換器1の中間部を省略して表している。シェル20の図示上下方向には、例えば高温の腐食性ガスである第2の流体を導入する第2流体入口23と、導入した第2の流体を排出する第2流体出口24が設けられている。第2流体入口23および出口24の外縁には、図示しない外部のダクト等に接続可能なフランジ21が形成されている。シェル20の前壁25には矩形の伝熱管挿入口26が設けられている。
シェル20の伝熱管挿入口26は、矩形の板である管板22によって封止されている。管板22は後述するようにボルト等の係止具によってシェル20に固定される。これにより、管板22はシェル20の前壁25の一部を構成する。
伝熱管12はストレート管10とリターンベント11を交互に接合することで、シェル20内部で蛇行するように複数回折り返された状態となっている。伝熱管12の両端部13,14は、シェル20の伝熱管挿入口26に固定される管板22に貫通し、シェル20の外部で開口する構造となっている。伝熱管12はこの管板22の貫通部27,27によって、シェル20内部に片持ち状に支持固定されている。また、貫通部27,27は図5に示すようにシール部材28を用いて固定シールする。
図2に示すように、伝熱管12は図示左右方向(z軸方向)に複数並べて設けられ、管束50を形成している。管板22には各伝熱管12につき2箇所の貫通部27,27が形成される。すなわち、各伝熱管12は給水部である端部14と排水部である端部13のみにおいて管板22に接合、支持されている。
ここで、支持板30は、例えば、2枚一組の板で構成され、各板に予め伝熱管12の外径および蛇行の間隔に合致する断面半円状の複数の凹部を設けておき、蛇行する伝熱管12を各板の各凹部の間に挟み込んで接合することで伝熱管12を固定している。
図1および図2に示すように、サポートロッド32の上にはパイプ状のスライドロッド31が伝熱管12の配置位置に沿って、伝熱管12の下方に設けられている。スライドロッド31は、支持板30の下部に接合され、支持板30と一体的に設けられている。
図5に示すように、シェル20の前壁25と管板22との接合部には増圧部44が形成されている。図6に示すように、増圧部44はシェル20成型時に伝熱管挿入口26の周囲に中子47等を挿入することにより、中実断面形状となっている。また、増圧部44には適当な間隔で、ナットサート45’が埋め込まれ、この増圧部44のナットサート45’にボルト45を締結することで、管板22をシェル20の前壁25に固定する。このとき、増圧部44と管板22の間にはガスケット46を挿入する。
図1に示すようにこの実施の形態では図示下側の伝熱管12の末端14から図示上側の伝熱管12の末端13に向けて第1の流体である冷却水を流過させる。また、シェル20の図示上側に設けられた第2流体入口23から、図示下側の第2流体出口24に向けて(図1のyのマイナス方向)第2の流体である高温の腐食性ガスを流過させる。これにより、伝熱管12を介して第1の流体と第2の流体との間で熱交換が行われる。
したがって、管板22への穿孔箇所が激減しリークの要因となり得る箇所が減ると同時に製作が簡便化され、更には穿孔に対する加工コストを減少させることができる。
また、万一伝熱管12の一部が損傷したとしても、損傷箇所の伝熱管12を交換するだけでよいので、メンテナンスが容易である。
さらに、伝熱管12の管板22貫通部27,27と折り返された伝熱管12を別々に製作することができる。したがって、蛇行する伝熱管12を作製してから管板22に貫通支持させる場合と比較して、製作を容易にすることができる。
したがって、伝熱管12の損傷を防止し、メンテナンスの頻度を低下させ、メンテナンスを容易にすることができる。
したがって、伝熱管12の損傷を防止し、メンテナンスの頻度を低下させ、メンテナンスを容易にすることができる。
また、図4に示すように、シェル20の側壁29,29の外面において、フランジ21に載置される外部支持体43を、パイプ受け40を固定するボルト42で挟持、固定することにより、サポートロッド32、パイプ受け40に加わる荷重を外部の部材に担わせることができる。
このとき、図1に示すように、伝熱管12は支持板30およびスライドロッド31を介してサポートロッド32上に支持される。すなわち、スライドロッド31は支持板30を介して伝熱管12と一体となっている。一方、サポートロッド32は、図4および図5に示すようにパイプ受け40によって支持され、シェル20と一体的に構成されている。
したがって、伝熱管12を管板22ごとシェル20の外部に引き抜くときには、伝熱管12はサポートロッド32によってその重量を支持された状態で、伝熱管12の引き抜きに伴ってスライドロッド31がサポートロッド32上をスライドする。
したがって、伝熱管12を取付けた管板22はシェル20から容易に取り外し、伝熱管12を管束50として引抜いたり挿入したりすることが可能であり、伝熱管12等のメンテナンスおよび修復を簡単に行なうことができる。
また、伝熱管の長さは伝熱管直径やシェルの大きさ更には製作機械の容量等で決まり、自ずとその長さは制限され、必要な伝熱面積を得るための本数も自ずと決まることになる。
また、高温の腐食性ガスを扱う環境では炭素繊維補強フェノール樹脂複合材料製であれば、耐熱耐食性に優れており、成形も簡便であり材料としてより望ましい。
また、支持板への伝熱管の固定方法については特に限定はないが、U字型の固定具などにより伝熱管を支持板に固定したり、直接支持板に接合したりしてもよい。
(プリプレグA、樹脂フイルムC)
炭素繊維織布として、三菱レイヨン株式会社製パイロフィルクロスTR3110を用意した。この炭素繊維織布は引張弾性率235GPa、引張強度4,410MPa、フィラメント数3,000本の炭素繊維束をたて糸、よこ糸ともに1インチあたり12.5本の打ち込み本数で平織り製織したものである。
炭素繊維織布を三菱レイヨン株式会社製パイロフィルクロスTRK510に変更し、樹脂フイルムの目付けを216g/m2に変更し、炭素繊維織布を2枚の樹脂フイルムで挟んでニップロールに供給したほかは、プリプレグAを得るときと同様にして、樹脂含有率40質量%のプリプレグBを準備した。
長さ2,500mm、外径28mmのスチール製芯金にプリプレグAを炭素繊維織布のたて糸が芯金の長手方向に配向するように10層巻きまわした。この巻きまわしにはプレスロールを用い、0.4MPaの圧力を付与した。巻きまわしされたプリプレグAの上に厚み25μm、幅30mmの熱収縮性を有するポリエチレンテレフタレートテープ(信越フイルム株式会社製PET−25K)を3mmピッチで巻きまわした。これをオーブンに移し、90℃×10時間、100℃×4時間、130℃×2時間の温度条件で加熱硬化し、ストレート管を得た。
芯型としてシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KE−1310ST)を用いて外形28mm(両端部58mmは外径24mm)、曲率部半径40mm、真直部長78mmのU字型を用意した。次に材料としてプリプレグAを炭素繊維織布のたて糸が長手方向と45°の角度をなすように切断し、幅20mmのテープ状プリプレグを用意した。U字型の両端に外径32mmの金属パイプを差込み、表面に離型処理を施した後、張力を変化させながら用意したテープ状プリプレグを重ね代10mmで型表面に巻まわした。材料の巻きまわし時に1層毎に脱気処理を施し、6層分巻きまわした後ポリプロピレンテープ(信越フィルム株式会社製PT−30H、幅15mm)を幅の2/3が重なるように巻きまわして固定した。ポリプロピレンテープの外側をブリーザークロス、バギングフイルムで真空バッグした後オーブンに移し、減圧下で伝熱管の作製時と同じ硬化条件で加熱硬化し、U字管状のリターンベントを得た。
幅を30mmに変えた他はリターンベントの作製時と同様にしてテープ状プリプレグを用意した。
リターンベントにストレート管を差込み、接合部をリターンベント側、ストレート管側それぞれ50mmの巻き代を設けてリターンベントの作製時と同様にして用意したテープ状プリプレグを重ね代10mmでリターンベントおよびストレート管表面に巻まわした。材料の巻きまわし時に1層毎に脱気処理を施し、6層分巻きまわした後ポリプロピレンテープ(信越フィルム株式会社製PT−30H、幅15mm)を幅の2/3が重なるように巻きまわして固定した。リターンベントとストレート管は伝熱管が蛇管状となるように接続した。ポリプロピレンテープの外側をブリーザークロス、バギングフイルムでバッグした後オーブンに移し、ストレート管の作製時と同じ硬化条件で加熱硬化し、ストレート管を14本接続した14行の伝熱管を得た。伝熱管の両端には長さ2,300mm、その他部分には長さ2,000mmのストレート管を使用した。またこの伝熱管のストレート管ピッチは52mmとした。得られた伝熱管に1.5MPaの水圧を加え、接合部での漏れの無いことを確認した。
スライドロッドには長さ2,100mmのストレート管と同じパイプにプリプレグBを2層オーバーレイして増厚したものを用意した。
サポートロッドには長さ270mmのストレート管と同じパイプにプリプレグBを2層オーバーレイして増厚したものを用意した。
支持板の作製にはプリプレグBを幅70mmに切出したものを材料として用意した。伝熱管を支持板で挟み合せた成形形状の半割れで、伝熱管と支持板が直角となる形状のシリコーン型を準備し、用意した材料を4層シリコーン型に積層した後バギングした。スライドロッドの繋ぎ合わせ部は用意した材料をスライドロッドに巻きつけ4層の目板となる様に積層してからバギングした。バギングした積層体はオーブンへ移した後、ストレート管の作製時と同じ硬化条件で加熱硬化した。
伝熱管のz方向の振れ止め用として、プリプレグAを用いて伝熱管と同様の方法で外径10mmの通しロッドおよび外径20mmのカラーを作製した。通しパイプは支持板の所定位置に空けられた孔に通し、支持板間に配置したカラーを通して両端の支持板間に渡してz方向の伝熱管間隔保持と振れ防止とした。
幅280mm、長さ2150mm、高さ1070mmの寸法を有する金型を用意し、その金型表面に離型処理を施した。金型上にプリプレグA3層、プリプレグB4層を各層を積層する毎に脱気処理をして積層した。これにバギングフイルムを被せて内部を脱気した。これをオーブンに移し、伝熱管の作製時と同じ硬化条件で加熱硬化し、両端部にフランジを有する矩形筒型のシェルを得た。 尚、シェル成形時にはシェルへ伝熱管(管束)を挿入出するための幅280mm、高さ870mmの開口部と、管板を固定するための幅40mmの管板受けフランジを同時施工した。管板受けフランジには管板固定用のインサートナットを設置する埋め込み有効厚さを確保するための積層厚さが必要であった。そこで受けフランジはFRP製中子を挿入する方式とし、内周が開口寸法、幅がフランジ幅となる厚さ25mmの額縁状中子を事前に作製し、シェル開口部のプリプレグ積層時にはこの額縁状中子を包み込む形で積層した。
管板の寸法は幅360mm、高さ950mmとし、プリプレグA3層、プリプレグB6層をシェルと同様の手順で全体を積層・成形した。更に後工程で、伝熱管の給排水口が貫通する部分についてのみ増厚を実施した。得られた管板の伝熱管が貫通する位置には組立時に使用するジョイントが取付けられる寸法の孔を開けた。
管板の伝熱管貫通用開口部にフェノール樹脂製ジョイントを解して伝熱管を固定した後、開口部から伝熱管の管束をシェル内に挿入し、シェルの側壁の間に渡したサポートロッド上をスライドロッドが滑る様にして管束をシェル内に収納した。管板はシールガスケットを介してシェル開口部のフランジへボルト締めにより固定した。前記、伝熱管とシェルを主要部材として構成するシェルアンドチューブ式熱交換ユニットを3ユニット用意し、フランジ部で接合した上で発電プラントの排ガスバイパス配管の途中に挿入接続し、表1の条件で3ヶ月間の実用運転を実施した。
11 ・・・ リターンベント
12 ・・・ 伝熱管
13 ・・・ 端部
14 ・・・ 端部
20 ・・・ シェル
22 ・・・ 管板
25 ・・・ 前壁
29 ・・・ 側壁
30 ・・・ 支持板
31 ・・・ スライドロッド
32 ・・・ サポートロッド
Claims (3)
- 第1の流体が流通する伝熱管を第2の流体が流通するシェル内に複数回折り返した状態で収容し、前記伝熱管の両端部を、前記シェルの前壁を構成する管板に貫通支持させて外部で開口させ、
前記シェル内に折り返した状態で収容されている前記伝熱管が、折り返された部分を跨るようにして連結する支持板によって支持固定され、
前記シェルの側壁下部に両側壁に渡ってサポートロッドを支持すると共に、前記支持板の下部に前記伝熱管の配置位置に沿ってスライドロッドを設け、前記シェルに対して管板ごと伝熱管をスライド可能に装着したことを特徴とする熱交換器。 - 前記伝熱管をストレート管と、折り返し部を構成するリターンベントとで構成したことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
- 前記ストレート管および前記リターンベントを炭素繊維補強樹脂複合材料で形成したことを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
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