JP3140963U - シエル・チューブ型熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱交換効率が良好で、チューブ固定管板とチューブの取付け構造部分のシール性も良好なシエル・チューブ型熱交換器を提供すること。
【解決手段】 伝熱管チューブ(10)をカーボン繊維補強合成樹脂製とすると共にシエル(1)を繊維補強合成樹脂製と成し、チューブ固定管板(7)にチューブ(10)を挿入固定して取付けする際は繊維補強合成樹脂にてシールする。
【選択図】 図2

Description

本考案はシエル・チューブ型熱交換器に係わり、更に詳しくは伝熱管チューブとシエルの形成材料に特徴を有すると共に伝熱管チューブをチューブ固定管板に取り付けた際の、シール構造にも勝れたシエル・チューブ型熱交換器に関する。
周知の通りシエル・チューブ型熱交換器は温泉プラント、薬品プラント、海水プラント、食品プラント、廃水プラント、等で多々用いられている。
以前のシエル・チューブ型熱交換器のシエル又は伝熱管チューブは金属製であったが、その後開発が進み特開平9−61071にみられるようにシエルを金属の熱伝導率より、より小さい熱伝導率の合成樹脂材料にて形成し、シエルの表面から外部へ逃げてしまう熱の損失を抑えるようにした技術が提案されている。これによれば熱交換器のシエルの熱損を抑止でき熱交換効率を良くできる。
更に特開平11−337295にみられるように伝熱管チューブをカーボン繊維補強合成樹脂にて形成したものも提案されている。これによればチューブ表面にスケール等が堆積しにくい為に、金属製のチューブに比して熱交換効率を良くできる。
特開平9−61071
特開平11−337295
本考案も上記特許文献1及び2にみられるようにシエルからの熱損失を防止し熱交換効率を良くすると共に、伝熱管チューブにスケール等が付着しにくくすることによって、熱交換効率を良好に維持できるという利点を有するシエル・チューブ型熱交換器を提供するものであるが、更に伝熱管チューブとチューブ固定管板の取付け構造のシール性を高めて上記した利点をより一層実現し易くしたシエル・チューブ型熱交換器を提供するにある。
上記目的を達成する為に本考案は次の技術的手段を有する。即ち本願の請求項1の考案は、入口部材と出口部材が設けられたシエルと、前記シエル中に於いてチューブ固定管板によって取付けられた多数の伝熱管チューブより成り、前記シエルの入口部材の入口から入り、出口部材の出口から流出する第一流体と、前記入口部材の入口から入り、出口部材の出口から流出する第二流体とを熱交換せしめるシエル・チューブ型熱交換器に於いて、
前記伝熱管チューブをカーボン繊維補強合成樹脂製とすると共に、前記シエルを繊維補強合成樹脂製と成し、而も前記チューブ固定管板にチューブを挿入固定する際は、繊維補強合成樹脂製の管板本体の取付け穴を管板本体の表側に於いてチューブの外径より拡径としておいて、その状態でチューブを挿入した後に前記拡径した隙間に繊維補強合成樹脂を充てんして、シールすると共に、管板本体の裏面側の周縁を凸部として残して、他を凹部としておき、前記チューブを取付け穴に取付けた後に前記凹部に繊維補強合成樹脂を充てんしてシールすることを特徴とするシエル・チューブ型熱交換器である。
上記構成によれば、第一流体を入口から流入せしめ、各チューブの中を通して出口から流出させる一方、第二流体を入口から流入せしめ、各チューブ間を通して出口から流出させると、その間に熱交換が行なわれる。この熱交換動作に於いて伝熱管チューブがカーボン繊維補強合成樹脂製なので、チューブ表面にスケールが堆積することがないから熱交換効率が良いことは勿論のこと、シエルが繊維補強合成樹脂製なので外部へ漏れる熱損が少なく、熱交換効率が良くなる。
特に、チューブ固定管板にチューブを固定するには、管板本体の取付け穴をチューブの径より管板本体の表側に於いて拡径としておいて、次にチューブを挿入してからその拡径部を繊維補強合成樹脂で充てんするので、チューブと管板本体の取付け穴の間に取付け隙間が生じない。又管板本体の裏面側は当初周縁凸部を残して凹部として形成せしめられ、チューブを取付け穴に挿入してから、前記凹部を繊維補強合成樹脂で充てんするので、ここもしっかりとシールされる。
従ってチューブ固定管板とチューブの取付け箇所のシール性能がよいものである。
次に添付図面に従い本考案の実施例を詳細に説明する。
先ず全体観を説明すると、1はシエルであって、その左右両端各々には第一流体Aの入口3が形成された入口部材2と、出口5が形成された出口部材4が適宜なシール手段を介してボルト、ナット6により取付けられている。そして前記シエル1内の両端各々の近傍にはチューブ固定管板7が管板取付け部材8に対して適宜なシール手段を介してボルト、ナット9により取付けられている。
次いで10は、前記左右のチューブ固定管板7に取付けられた伝熱管チューブであり、例えば外径8〜11mm、内径6〜9mm、長さ660mm〜700mmのものが、70本〜77本シエル1内に配管されている。そして前記シエル1の左右各々には第二流体Bの入口12が形成された入口部材11と出口14が形成された出口部材13が設けられている。
そして前記シエル1は、この実施例の場合、長手方向に沿って二分割され左側シエル1aと右側シエル1bより成り、左右のシエルには各々取付けフランジ15,16が設けられ、フランジ15,16部分の所でボルト、ナット17により結合されている。このようにシエルが二分割されているので、シエル10を必要に応じて二分割に分解し、中のチューブ10を取り外せるのでチューブ10の配管作業や、チューブ10の清掃作業等が容易となる。
更に符号18はバッフルを示し、バッフル18の一部が切り欠かれて第二流体Bの通路19を形成している。
そして符号20は脚である。
以上まではこの種のシエルアンドチューブ型熱交換器の全般を示したもので、次にこの実施例を中に示されている本考案の特徴とするところを記載する。
第一の特徴とするところは、伝熱管チューブ10をカーボン繊維補強合成樹脂(CFRP)製、例えばカーボン繊維補強エポキシ樹脂製とするのみならず、シエル1(第二流体Bの入口部材11、出口部材13を含む)と、第一流体Aの入口部材2、出口部材4並びにチューブ固定管板7を繊維強化プラスチック(FRP)製としたことである。FRPの具体的な例は不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等であり、ガラス繊維や炭素繊維等をマトリックス配置したもので、熱硬化型のものを用いる。
成型法は、ハンドレイアップ成型、スプレーアップ成型の手作業成型の他真空パック、加圧パック、オートクレープ成型、コールドプレス成型、レジントラレスアモールディング
等を用いることができる。シエル状にする為に成型法によっては、型を複数に分割して用い各部品ごとに成型し、最終的に全体的に結合する。
図1の斜視図に示した熱交換器はハンドレイアップ成型とした。即ちシエル成形の為の型に離型剤を塗り、常温中でその表面に顔料や充てん剤を加えたゲル状のコート層を形成し、その上に繊維強化材のマット、クロスあるいは液状樹脂を含浸させながら一定の厚さまで積層してシエル状の形にする。これらは一般的に手作業で行なう。そして樹脂の硬化後、離形することによってシエル又は入口、出口部材あるいはチューブ固定管板が最終成型されるものである。
前記第一の特徴によると、先ず伝導管チューブがCFRPであると、ステンレス鋼等金属製のチューブに比してチューブ表面にスケール等が堆積しにくい。
これは熱交換媒体が温泉プラントの温泉水や、薬品プラントの薬液、海水プラントの海水、食品プラントの各種液、廃水プラントの廃水等であったりすると各種のスケール生成成分が入っているのでチューブ表面にスケールが堆積しやすい。ところがカーボンチューブであると表面が平滑であってスケール等が付着しにくい。従って長期に亘って熱交換効率を維持できる。
又耐腐蝕性、耐熱性にも勝れている上に加工容易性、軽量、安価であるのでこの種のシエルアンドチューブ型熱交換器が製造し易く、メンテナンスが容易となる。
そしてシエルがFRP製であると、FRPは金属に比し、熱伝導率が金属の熱伝導率に比して1/3〜1/4である。従ってシエル表面からの熱放出が小に抑制され第二流体の熱損が少ない。この為に第一流体Aと第二流体Bの熱交換効率が良好に保たれる。
加えて耐蝕性、耐熱性も良好で、金属製のものに比して溶接部がないから耐薬品性、例えば耐塩素酸性を有する。又金属の1/5の重量であるのでシエルアンドチューブ型熱交換器全体を軽量化でき、搬送、据付、メンテナンスが容易となり、製造価格の上昇を抑制できる。
続いて本考案の第二の特徴を述べる。
これは、チューブ固定管板7に対するチューブ10の固定手段に特徴を有し、図4、図5に従い説明する。図4はチューブ固定管板7に対してカーボン繊維補強合成樹脂製のチューブ10を取付けた途中状態を示したもので、チューブ固定管板7は、繊維補強合成樹脂製の管板本体7aを有し、この管板本体7aは、当初は、周縁凸部7cを残して、その周縁内が凹部7dとして形成されている。そしてチューブ10の取付け穴7bは、予め内径がチューブの外径に対してテーパー状に拡大せしめられている。この状態で第5図に示すようにチューブ10の各々の先端を固定管板本体7aの取付け穴7bに挿入し、次にテーパー状に拡径せしめられた取付け穴7bにFRPのシール7eを充てんする。これによりチューブ固定管板とチューブは、表側に於いてシールが図られる。他方凹部7dにもFRPのシール7fを充てんする。これによりチューブ固定管板とチューブは裏側に於いてシールが図られる。
これらの結果入口部材2の入口3から流入し、各チューブ10の中を通って出口部材4の出口5から流出する第一流体Aと、入口12から入って各チューブ10の間を通り出口14から流出していく第二流体Bとが互いに完全にシールされるので、熱交換器の信頼性が向上する。
上記実施例によれば、第一流体Aを入口3から流入せしめ、各チューブ10の中を通して出口5から流出させる一方、第二流体Bを入口12から流入せしめ、各チューブ10間を通して出口14から流出させると、その間に熱交換が行なわれる。例えば、入口3に於ける第一流体の温度を、35℃とし、入口12に於ける第二流体の温度を60℃とすると、出口5に於ける第一流体の温度を50℃とすることができる。勿論この熱交換の様子は種々様々である。ところでこの熱交換動作に於いて伝熱管チューブ10がカーボン繊維補強合成樹脂製なので、チューブ10表面にスケールが堆積することがないから熱交換効率が良いことは勿論のこと、シエル1がFRP製なので外部へ漏れる熱損が少なく、熱交換効率が良くなる。加えて耐蝕性、耐熱性、耐薬品性も有し、軽量であって搬送、据付、メンテナンスが容易である。
特に、チューブ固定管板7にチューブ10を固定するには、管板本体7aの取付け穴7bを、チューブ10の径より管板本体7bの表側に於けるテーパー状に拡径としておいて、次にチューブ10を挿入してからそのテーパー状拡径部をFRPで充てんするので、チューブ10と管板本体7aの取付け穴7bの間に取付け隙間が生じない。又管板本体7aの裏面側は当初周縁凸部7cを残して凹部7dとして形成せしめられ、チューブ10を取付け穴7bに挿入してから、前記凹部7dをFRPで充てんするので、ここもしっかりとシールされる。
従ってチューブ固定管板とチューブの取付け箇所のシール性能がよいものである。
本考案の実施例に係るシエルアンドチューブ型熱交換器の斜視図。 図1のX−X線に沿う断面図。 図1のY−Y線に沿う断面図。 チューブ固定管板に対してカーボン繊維補強合成樹脂製のチューブを取付ける途中工程を示す部分断面図。 チューブ固定管板に対してカーボン繊維補強合成樹脂製のチューブを完全に取付けた状態を示す部分断面図。
符号の説明
1 シエル
1a 左側のシエル
1b 右側のシエル
2 第一流体の入口部材
3 第一流体の入口
4 第一流体の出口部材
5 第1流体の出口
6 ボルト、ナット
7 チューブ固定管板
7a 管板本体
7b 取付け穴
7c 周縁凸部
7d 凹部
7e FRPのシール
7f FRPのシール
8 管板取付け部材
9 ボルト、ナット
10 カーボン繊維補強合成樹脂製のチューブ
11 第二流体の入口部材
12 第二流体の入口
13 第二流体の出口部材
14 第二流体の出口
15,16 取付けフランジ
17 ボルト、ナット
18 バッフル
19 通路
20 脚
A 第一流体
B 第二流体

Claims (2)

  1. 入口部材(11)と出口部材(13)が設けられたシエル(1)と、前記シエル(1)中に於いてチューブ固定管板(7)によって取付けられた多数の伝熱管チューブ(10)より成り、前記シエル(1)の入口部材(2)の入口(3)から入り、出口部材(4)の出口(5)から流出する第一流体(A)と、前記入口部材(11)の入口(12)から入り、出口部材(13)の出口(14)から流出する第二流体(B)とを熱交換せしめるシエル・チューブ型熱交換器に於いて、
    前記伝熱管チューブ(10)をカーボン繊維補強合成樹脂製とすると共に、前記シエル(1)を繊維補強合成樹脂製と成し、而も前記チューブ固定管板(7)にチューブ(10)を挿入固定する際は、繊維補強合成樹脂製の管板本体(7a)の取付け穴(7b)を管板本体(7a)の表側に於いてチューブ(10)の外径より拡径としておいて、その状態でチューブ(10)を挿入した後に前記拡径した隙間に繊維補強合成樹脂を充てんして、シール(7e)すると共に、管板本体(7a)の裏面側の周縁を凸部(7c)として残して、他を凹部(7d)としておき、前記チューブ(10)を取付け穴(7b)に取付けた後に前記凹部(7d)に繊維補強合成樹脂を充てんしてシール(7f)することを特徴とするシエル・チューブ型熱交換器。
  2. 前記入口部材(2)及び出口部材(3)も繊維補強合成樹脂製であることを特徴とする請求項1記載のシエル・チューブ型熱交換器。
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