JP4838238B2 - 組換え走化抗原遺伝子ワクチン - Google Patents

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Description

本発明は、新規な組換え遺伝子の配列、それにより発現される融合蛋白、及び前記遺伝子により作製されるワクチンに関し、組換え遺伝子配列中の抗原遺伝子を置換することにより異なる遺伝子ワクチンを形成し、または組換え遺伝子配列の発現産物を融合ポリペプチドワクチンとすることに関する。
ヒト二次リンパ組織ケモカイン(secondary lymphoid tissue chemokine、SLC)は、発見されて以来、徐々に重視されている。SLCは細胞因子の分泌を調節し、腫瘍微小環境の免疫抑制状態を変え、Th1の発達を促進し、抗腫瘍免疫に有利である。SLCはリンパ球と樹状細胞(DC)に対し、強い走化作用がある。腫瘍内に注射すると、腫瘍局所と宿主の抗腫瘍応答を誘導できる。SLCはまた腫瘍の血管形成を調節、抑制することができる。したがって、SLCは腫瘍免疫治療において、広い応用が期待できる。しかしながら、SLC蛋白を単独で使用する方法または遺伝子を組換える方法を抗腫瘍免疫に用いても、その効果は理想的ではなかった。Si-Yi Chenらは、IgGのFc断片遺伝子と腫瘍抗原遺伝子を逆転写ウィルスベクター上に組み換えてDCをトランスフェクトした結果、免疫マウスはよい抗腫瘍免疫効果を得た。その原理は、DCが分泌発現した融合体が再びFc受容体(FcR)を通じてDCに捕獲され、MHC II型分子を介してTヘルパー細胞(Th)に提示され、あるいはMHC I型分子を介して細胞障害性Tリンパ細胞(CTL)に交差提示され、これによって抗腫瘍の体液免疫と細胞免疫が全面的に誘起されるものである。Serre Kらは、DCがFcRを仲介とする飲食作用により抗原を捕獲する能力は、飲作用を通じて捕獲するより10,000倍強いと報告している。しかし、DCの分離、増幅、遺伝子組み換えなどはワクチン調製の複雑性を増加させ、且つ人による調製しかできないので、質のコントロールが難しく、産業的に生産することができない。
従来技術の不足を克服するために、本発明は、新規な組換え遺伝子配列を提供することを目的とする。
本発明のもうひとつの目的は、当該組換え遺伝子配列が発現した融合蛋白を提供することである。
本発明のさらにもうひとつの目的は、本発明の組換え遺伝子配列を通じて発現される融合蛋白を含む遺伝子ワクチンを提供することである。
さらに、本発明の目的は、遺伝子組換え腫瘍走化抗原遺伝子ワクチンを提供することである。
本発明の目的を達成するために、以下の技術的手段が採用される。
本発明は組換え遺伝子の配列に関するもので、前記配列はヒトSLC遺伝子と、抗原遺伝子と、IgG1のFc断片遺伝子とを含む。前記配列中、抗原遺伝子の上流にSLCを連結し、抗原遺伝子の下流にIgG1のFc断片を連結する。前記抗原遺伝子には、Her2/neu、P53、PSA、PAP、PSM、MAGE1、MAGE2、MAGE3、BAGE、GAGE1、GAGE 2、CAG3、RAGE、NY-ESO-1、Tyrosinase、CEA、Ig idiotype、gp100、melanA、gp75、TRP-1、TRP-2、CDK4、CASP-8、ras、bcr/abl、MUC-1、及びHCV、HIVウィルスと病原微生物に関連する蛋白遺伝子が含まれる。
本発明の組換え遺伝子配列において、SLC遺伝子と抗原遺伝子の間には、EcoRI制限酵素部位と3つのグリシンがあり、抗原遺伝子とIgG1のFc断片遺伝子の間には、EcoRV制限酵素部位と5つのグリシンがある。
本発明の組換え遺伝子配列は、配列番号1と配列番号12を含む。
また本発明は、本発明の組換え遺伝子配列が発現するアミノ酸配列に関するもので、前記アミノ酸配列は配列番号2を含む。
さらに本発明は、配列番号12の配列が発現するアミノ酸配列に関するもので、前記アミノ酸配列は配列番号13を含む。
また、本発明は遺伝子ワクチンに関するもので、前記遺伝子ワクチンは遺伝子配列番号1または配列番号12及びそれに対応するアミノ酸配列を含むのが好ましい。
すなわち、本発明は組換え遺伝子配列に関するもので、前記配列は、ヒトSLC遺伝子と、抗原遺伝子と、IgG1のFc断片遺伝子とを含有している。そのうち、抗原遺伝子の上流にSLCを連結し、抗原遺伝子の下流にIgG1のFc断片を連結する。前記抗原遺伝子には、Her2/neu、P53、PSA、PAP、PSM、MAGE1、MAGE2、MAGE3、BAGE、GAGE1、GAGE 2、CAG3、RAGE、NY-ESO-1、Tyrosinase、CEA、Ig idiotype、gp100、melanA、gp75、TRP-1、TRP-2、CDK4、CASP-8、ras、bcr/abl、MUC-1、及びHCV、HIVウィルスと病原微生物に関連する蛋白遺伝子が含まれている。本発明のSLC遺伝子と抗原遺伝子の間には、EcoRI制限酵素部位と3つのグリシンがあり、抗原遺伝子とIgG1のFc断片遺伝子の間には、EcoRV制限酵素部位と5つのグリシンがある。
本発明はまた、本発明の組換え遺伝子配列を使用する遺伝子ワクチンの調製に関する。すなわち、この遺伝子ワクチンには、本発明の遺伝子配列が含まれ、特に配列番号1または配列番号12、及びそれに対応する蛋白配列の配列番号2と配列番号13が含まれている。
換言すると、本発明は、組換え遺伝子配列に関するもので、前記配列はヒトSLC遺伝子と、抗原遺伝子と、IgG1のFc断片遺伝子とを含有している(図13を参照)。抗原遺伝子の上流にSLC遺伝子を連結し、さらにEcoRI制限酵素部位と3つのグリシンを導入する。抗原遺伝子の下流にはIgG1のFc断片遺伝子を連結し、さらにEcoRV制限酵素部位と5つのグリシンを導入する。
本発明においては、前記の遺伝子の中の制限酵素部位を通じて異なる抗原遺伝子に置換して、各種の走化抗原融合遺伝子を形成することができる。
本発明は、具体的には、配列番号1のヌクレオチド配列を有する組換え遺伝子に関するものである。配列番号1の前記ヌクレオチドは、人工的に連結されたSLC-Her2/P53-Fcの遺伝子配列である。そのうち、SLC遺伝子は第1〜402位のヌクレオチドに位置し、Her2連結遺伝子は418〜711位のヌクレオチドに位置し、そのうち、組換え遺伝子位置418〜444位はHer2/neu読み枠の1105〜1131位であり、組換え遺伝子位置445〜546位はHer2/neu読み枠の244〜345位(第250位の「G」は突然変異して「C」になる)であり、組換え遺伝子位置547〜711位はHer2/neu読み枠の1333〜1497位である。P53部分遺伝子は第712〜1113位に位置するP53読み枠475〜876位である。IgG Fc遺伝子(イントロンを有する)は第1147〜2057位のヌクレオチドに位置し、そのうち、イントロンは1189〜1309及び1640〜1739位に位置している。第1147〜1189位のヌクレオチド位置はC-region hingeであり、第1310〜1639位のヌクレオチドの位置はCH2であり、第1740〜2057位のヌクレオチド位置はCH3である。Her2/P53上流連結部位には、3つのグリシンとEcoRI制限酵素部位配列を導入し、下流には5つのグリシンとEcoRV制限酵素部位配列を導入する。本発明は、抗原遺伝子の上下流連結部位に3〜5つのグリシン遺伝子を設けることにより、発現された上下流因子が正常に生物学的機能を発揮するようにし、組換え抗原がその空間構造を妨害するのを防ぐ効果が得られる。
また、本発明は、具体的には、配列番号1のヌクレオチド配列が発現する配列番号2のアミノ酸配列に関するものである。そのうち、配列番号1、すなわち人工的に連結されたSLC-Her/P53-Fc遺伝子に対応するアミノ酸配列(612aa、mat589aa)においては、SLCは第1〜134位のアミノ酸位置に位置し、3つのグリシンは第135〜137位のアミノ酸位置に位置し、Her2部分ポリペプチドは140〜237位に位置する。そのうち、融合蛋白の第140〜148位はHer2/neuの第369〜377位のアミノ酸であり、融合蛋白の第149〜182位のアミノ酸の位置はHer2/neu第82〜115位のアミノ酸である(そのうちの84位の「V」は突然変異して「L」になる)。融合蛋白第183〜237位のアミノ酸の位置はHer2/neu第445〜499位アミノ酸であり、P53部分ポリペプチド配列は融合蛋白の第238〜371位のアミノ酸位置(P53の159〜292位アミノ酸に相当する)に位置し、5つのグリシンは第374〜378位のアミノ酸の位置に位置する。IgG Fcは第383〜612位のアミノ酸の位置に位置し、そのうち第383〜396位のアミノ酸の位置はC-region hingeであり、第397〜506位のアミノ酸の位置はCH2であり、第507〜612位のアミノ酸の位置はCH3である。
また、本発明は、具体的には、前立腺癌ワクチンをコードする他の組換え遺伝子に関するもので、前記遺伝子は配列番号12のヌクレオチド配列を有している。配列番号12の前記ヌクレオチド配列は、人工的に連結されたSLC-PSM-mPAP-PSA-Fc(SLC-3P-Fcと略記する)の遺伝子配列であり、そのうち、PSM(ヒト前立腺特異的膜抗原)、mPAP(マウス前立腺酸性フォスファターゼ)、PSA(ヒト前立腺特異的抗原)はいずれも部分配列である。SLC遺伝子は、融合遺伝子第1〜402位のヌクレオチドの位置に位置し、PSM部分遺伝子は、融合遺伝子第418〜603位のヌクレオチド位置に位置し(PSM読み枠の1987〜2172位である)、mPAP遺伝子は、融合遺伝子604〜759位に位置し(mPAP読み枠の328〜484位である)、PSA部分遺伝子は、融合遺伝子760〜981位に位置する(PSA読み枠の151〜372位である)。IgG Fc遺伝子(イントロンを有する)は第1003〜1925位のヌクレオチドの位置に位置し、そのうちイントロンは1057〜1177位及び1508〜1607位に位置する。3P上流連結部位には、3つのグリシンとEcoRI制限酵素部位配列を導入し、下流には5つのグリシンとEcoRV制限酵素部位配列を導入する。
また、本発明は、具体的には、配列番号12のヌクレオチドが発現する配列番号13のアミノ酸配列に関するもので、すなわち、人工的に連結されたSLC-3P-Fcの遺伝子に対応するアミノ酸配列(568aa)に関するものである。SLCは融合蛋白第1-134位のアミノ酸の位置に位置し、3つのグリシンは第135〜137位のアミノ酸の位置に位置し、PSM部分ポリペプチドは融合蛋白140〜201位に位置する。mPAP部分ポリペプチドは融合蛋白第202〜253位に位置し、PSA部分ポリペプチドは融合蛋白第254〜327位のアミノ酸の位置に位置し、5つのグリシンは第374〜378位のアミノ酸の位置に位置し、IgG1-Fcは融合蛋白第335〜568位のアミノ酸の位置に位置する。
また、本発明は、配列番号1を含む本発明の組換え遺伝子配列をワクチン調製に使用することに関する。
上述のように、本発明の走化抗原の戦略は、抗原の上流に走化因子SLCを組換え、下流にIgGのFcを組換えることである。これにより、融合された三連結遺伝子を直接に健康組織または腫瘍組織に導入して分泌発現を行い、Fcヒンジ領域を介して二結合体を形成する。前記組換え蛋白は生体内でSLCの走化作用を通じて、主動的にDCとT細胞を引き寄せる。DCは、飲作用を通じて、特にFc受容体とSLC受容体CCR7を通じて、効率的に融合蛋白を捕獲するとともに、抗原を細胞内に運ぶ。加工処理の後、MHC-II型分子の提示またはMHC-I型分子の交差提示を通じて、抗原はThとCTLに提示され、最終的に特異的抗腫瘍細胞免疫反応と体液免疫反応が全面的に誘起される。加えて、Fc断片とDCのFc受容体との結合はDCを活性化することができる。なお、SLCは主動的にDCとTリンパ球を走化することができるほか、IL-12、IFN-γ、インターフェロン誘導蛋白(IP-10)などの因子の分泌を促進し、Th1の発達を促進することができ、TGF-βとVEGFの産生を減少させることができるので、抗腫瘍免疫に有利である。したがって、この組み合わせはより良い協調作用を生み、強い抗腫瘍免疫効果を産生する(図1を参照)。
本発明において、非限定的に異なる組換え遺伝子を使用して比較試験を行った結果、この種類の組換え走化抗原は、プラスミド遺伝子の調製であろうと融合蛋白の調製であろうと、いずれも産業的に生産できることが分かった。なお、使用中にDCの調製を省略したにもかかわらず、生体内ではDCに対して効果的な標的指向性を有した。さらに、組換え遺伝子配列において、抗原遺伝子の両端に制限酵素部位を導入すれば、異なる抗原を置換することができ、腫瘍又は非腫瘍に対する種々の走化抗原ワクチンを形成することができる。組換え遺伝子の例として、前立腺癌の関連抗原を用いてSLC-HP-Fcの中のHP抗原を置換することにより、新たな走化抗原ワクチンを形成することができる。
前記組換え遺伝子は、各種の真核発現ベクターにおいて構築することができ、プラスミドを用いて直接体内又は腫瘍内に注入することができる。また遺伝子銃を用いて電気インパルスなどの方法で、導入率と発現効率を高めることもできる。構築された組換えウィルス、例えば、逆転写ウィルス、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス、ワクチンウィルス、単純ヘルペスウイルスなどは、ワクチンとして直接生体内に注入することができる。また、発現プラスミドをCHOなどの真核細胞に導入し、体外培養し、分泌発現を行うことができる。融合蛋白のFc断片を用いて、アフィニティークロマトグラフィーなどの方法を通じて、簡単且つ効果的に融合蛋白を分離し精製して、蛋白ワクチンにすることができる。
以下に、図を用いて、本発明の具体的実施方法について詳細に説明する。但し、実施例は本発明の目的を説明するためのもので、本発明の保護範囲を限定するためのものではない。
実施例1:ヒトSLC遺伝子のクローニング
腫瘍のある患者のリンパ節からmRNAを採取し、本領域技術者の周知の方法で、SLCの上流プライマー5’-cggtaccacagacatggctcagtcac-3’をKpn1制限酵素部位に導入し、下流プライマー5’-tgaattctcctcctcctggccctttagg-3’を3つのグリシンをコードする配列とEcoR1の制限酵素部位に導入し、次にRT-PCRによりSLC遺伝子を獲得し、精製SLC遺伝子を配列決定のためのpUCmTベクター(pUC-SLC)に挿入した。配列決定結果は予測された配列と完全に一致した(アンダーラインを引いた部分)。
本発明では、配列決定は四色蛍光検出法(four-colored fluorescence terminator sequencing method)を採用し、SANGERのジデオキシヌクレオチド/チェインターミネーション法に基づいて配列決定を行った。配列決定機器としてABI社の377シーケンサーを用いて得られた配列決定結果を使用している(詳しくは配列番号3を参照)。配列番号3の36〜464位は本発明のクローン配列である。
実施例2:Her-2/neu遺伝子の獲得と連結
まず、PCR法でHer-2/neu遺伝子配列から2つ断片を切り取り、第一断片においては、上流プライマーとしては、EcoRIの制限酵素部位を有する5’-agaattcaagatctttgggagcctggcatttctgggctacctgctcatcgctca c-3’を用い、下流プライマーとしては、5’-gatgcccagcccttgcagggccagggcatagttgtc-3’を用いた。neu遺伝子の細胞外のプラスミドを鋳型にして、そのアミノ酸配列の第82〜115位に対応する遺伝子を増幅し、そのうち第103位のVはLによって置換した。第二断片においては、上流プライマーは5’-ctgcaagggctgggcatc-3’を用い、下流プライマーはNcoI制限酵素部位を導入した5’-tccatggcccggttggcagtgtggag-3’を用いて、そのアミノ酸配列の第445〜499位に対応する遺伝子を増幅した。
上記の2つのPCR産物を回収し、同一のPCRシステムに置いて一回のPCRを行って連結し、鋳型として用いた。その後に第一断片の上流プライマーと第二断片の下流プライマーを入れてPCRを行い、294bpサイズの融合遺伝子を増幅して、pUCmTベクター(pUC-Her2p)に挿入した。配列決定結果は、予測された配列と完全に一致した(アンダーラインを引いた部分)。
配列決定結果は、配列番号4に示される。うち、121〜465位は本発明のクローン配列である。
実施例3:p53部分遺伝子クローニング
全長p53プラスミドを鋳型として、上流プライマー5’-acc atg gcc atc tac aag cag tca cag cac atg ac-3’は1つのNcoI制限酵素部位を含むようにし、下流プライマー5’-tga tat ctt tct tgc gga gat tct ctt c-3’はEcoRV制限酵素部位を導入した。p53の402bp断片を増幅し、p53のアミノ酸配列の第156〜289位をコードし、pUCmTベクター(pUC-p53P)に挿入した。配列決定結果は、予測された配列と完全に一致した(アンダーラインを引いた部分)。
配列決定結果は、配列番号5に示される。うち、39〜445位は本発明のクローン配列である。
実施例4:Her2/neuとp53断片の連結
図3のように、pUC-Her2PをEcoRI、NcoIで切断した小断片、pUC-p53PをNcoI、EcoRVで切断した小断片を、pcDNA3zをEcoRI とEcoRV で切断した大断片と連結してプラスミドpcDNA-Her2/p53を得て、これをpcDNA-HP(HPはHer2/neuとp53断片の連結遺伝子である)と略記した。人工的に連結したHer2/neu-p53断片遺伝子には、複数種類のHLA-I型分子結合ペプチド遺伝子と少量のHLA-II型分子結合ペプチド遺伝子が含まれていた。
実施例5:PcDNA-Fcの構築
まず、人工的にマルチクローニングサイトを合成し、pcDNA3.1の複数制限酵素部位を置換するために用いた(得られたプラスミドはpcDNAfと称した)。構築工程は以下の如くである。人工的に2つのオリゴヌクレオチドを合成した。すなわち、上流は、
5’-GCTAGCGAAGCTTTGGTACCGTAGGATCCACGAATTCAGTCCAGGATATCGGCGGTGG-3’
下流は、
5’-GGTTTAAACGTTAACCCCGGGCCCTCGAGCTCTAGAGCCTCCTCCACCGCCGATATC-3’
であった。
3’の末端では、15の塩基が互いに相補している。1:1で混ぜた後、TaqDNAポリメラーゼとdNTPを45℃で復元、伸長、精製した後、pUCmTベクターに挿入し、配列決定を行った。配列決定結果は原デザインと一致した。アンダーラインを引いた部分は、人工的に合成したマルチクローニングサイトである。これにより形成された制限酵素部位は、「NheI-HindIII-Kpn1-BamH1-EcoR1-EcoRV- Glysine×5- XbaI- Xho1- Apa1-Sma1-Hpa1-Pme1」である。そのうち、EcoRVとXbaIの間に5つのグリシンをコードする遺伝子配列(GGCGGTGGAGGAGGC)を挿入した。クローニングしたプラスミドをNhel、Pmelで切断した後、約100bpの小断片を採取し、NheI、Pme1で切断したpcDNA3.1の大断片に連結し、新しいベクターを形成した。この新しいベクターはpcDNAfと称した。
人工的に合成したマルチクローニングサイトの配列決定結果は、配列番号6に示す通りである。うち、3〜100位は本発明のクローン配列である。
次はPcDNA-Fcの構築工程である。
IgGlのFc断片遺伝子を含有しているプラスミドをXbaI、ApaIで切断し、Fc遺伝子断片を採取し、同様に切断されたpcDNAfベクターに挿入し、PcDNA-Fcと称した。配列決定をした結果、IgG1のFc遺伝子断片であることが証明された。
最後はFc断片遺伝子配列決定工程である。
上流プライマー5’-gaattcggagttaacgagcccaaatcttg-3’と下流プライマー5’-gggccctcatttacccggagac-3’を用いて、IgG1 Fc遺伝子を含有しているプラスミドを鋳型として増幅した約900bpの断片をpUCmTベクターに挿入して配列決定した結果、IgG1のヒンジ領域、CH2とCH3領域遺伝子(すなわちFc断片遺伝子である。アンダーラインを引いた部分)であった。配列決定結果は配列番号7(双方向配列決定後連結した配列)に示した通りである。うち、78〜991位は本発明のクローン配列である。
実施例6:SLC-Her2/neu-Fc遺伝子の連結
図3のように、pcDNA-HPをKpnl、EcoR1で切断した大断片とpUC-SLCをKpnl、EcoR1で切断した小断片を連結(pcDNA-SLC-HP)してから、Kpnl、EcoRVで切断した小断片とpcDNA-FcをKpnlとEcoRVで切断した大断片をpcDNA-SLC-HP-Fcに連結した(pSLC-HP-Fcと略記した)。
構築された対照グループプラスミドの模式図を図2に示す。
実施例7:遺伝子ワクチン形質導入細胞における細胞内及び分泌発現した組換え蛋白のWestern Blot法による検出
組換えプラスミドpSLC-HP-Fcをリポソーム法でB16-F10細胞にトランスフェクトし、G418を用いて抗G418陽性トランスフェクションクローンを選出し、培養上清(収集前に無血清1640を24時間培養し、収集した後は濃縮を行った)を収集して、Western Blot法で融合蛋白の発現を検出した。第一抗体はウサギ抗ヒトp53ポリクローナル抗体を使用し、第二抗体はHRP結合ヤギ抗ウサギ抗体を使用した。次に、ECL-Plus chemiluminescent detection kit(Amersham Pharmacia Biotech.)で検出し、最後に圧片し、X線フィルムに放射して現像した。結果が示したように、pSLC-HP-FcがトランスフェクトしたB16-F10細胞の培養上清と細胞可溶性液から、融合蛋白の発現が検出され、分子量は予測された大きさと完全に一致した(図4を参照)。なお、獲得した融合蛋白は配列番号2のアミノ酸配列であることが証明された。
実施例8:ヒトPSM(前立腺特異的膜抗原)遺伝子クローニング
ヒトの前立腺癌細胞LNCaPから総RNAを抽出し、上流プライマー5’-ACTCGAGATGAAGACATACAGTGTATC-3’と下流プライマー5’-TGATATCTTAGGCTACTTCACTCAAAG-3’を用いて、RT-PCRと電気泳動を行い、hPSM390bpバンドを切り取った。目的断片をグラスミルク法で精製回収し、pUCm-Tベクターと連結してpUCm-hPSMを形成した。陽性クローンを選んで配列決定を行い、その結果は正確であった。配列番号8に示すように、獲得した遺伝子は、ヒトPSM読み枠の1864〜2253に相当した。前記配列の229〜618位は本発明のクローン配列である。
実施例9:ヒトPSA(前立腺特異的抗原)遺伝子クローニング
ヒトの前立腺癌細胞LNCaPから総RNAを抽出し、上流プライマー5’-TCTCGAGGGCGGTGTTCTGGTGCA-3’、下流プライマー5’-AGATATCATGTCCAGCGTCCAGCAC-3’を用いて、RT-PCR、アガロース電気泳動を行い、約600bpバンドを切り取り、目的断片をグラスミルク法で精製回収し、pUCm-Tベクターと連結してpUCm-PSAを形成した。陽性クローンを選んで配列決定を行い、その結果は正確であった。配列番号9に示すように、獲得した遺伝子は、ヒトPSA読み枠の151〜609位に相当した。当該配列の45〜503位は本発明のクローン配列である。
実施例10:マウスPAP(前立腺特異的抗原、mPAP)遺伝子クローニング
マウスの前立腺組織から総RNAを抽出し、上流プライマー5’-TCTAGATGAGAGCTGTTCCTCTG-3’、下流プライマー5’-GGGCCCTTAATTCCGTCCTTGGTG-3’を用いて、RT-PCR、電気泳動を行い、mPAP 1146bpバンドを切り取り、目的断片をグラスミルク法で精製回収し、pUCm-Tベクターと連結してpUCm- mPAPを形成した。陽性クローンを選んで配列決定を行った。詳しい結果は配列番号10に示すとおりである。前記配列の48〜1193位は本発明のクローン配列である。
実施例11:PSM、mPAP とPSA部分遺伝子の連結(3P)
5’-AGAATTCATGATGAATGATCAACTCATG-3’(hPSM読み枠の1987〜2007位であり、かつEcoRIの制限酵素部位を導入した)を上流プライマーとし、5’-AGCACTCATCAAAGTCCTGGCCTTGGAAGGG TCCAC-3’(アンダーラインを引いた部分はmPAP読み枠の328〜345位であり、その他の部分はnPSM読み枠の2155〜2172位である)を下流プライマーとし、pUCm-hPSMを鋳型としてPCR、電気泳動を行った後、hPSM目的バンドを切り取り、グラスミルク法で精製回収し、用意した。また、5’-AGGACTTTGATGAGTGCTATG-3’(mPAP読み枠の328〜348位である)を上流プライマーとし、5’-AGGGCAGTCTCTGAAAGGCAG-3’(mPAP読み枠の463〜483位である)を下流プライマーとし、pUCm-hPMPを鋳型としてPCR、電気泳動を行った後hPMP目的バンドを切り取り、グラスミルク法で精製回収し、用意した。また、S2-CCTTTCAGAGACTGCCCTGGCGGTGTTCTGGTGCAC-3’(アンダーラインを引いた部分はmPAP読み枠の466-483位である、その他はhPSA読み枠の151〜168位である)を上流プライマーとし、5’-AGATATCGAGCAGCATGAGGTCGT-3’を下流プライマーとし、pUCm-hPSAを鋳型としてPCR、電気泳動を行い、hPSA目的バンドを切り取り、グラスミルク法で精製回収し、用意した。
hPSMを鋳型、5’-AGAATTCATGATGAATGATCAACTCATG-3’(前記と同じ)をプライマーとし、PAPを鋳型、5’-AGGGCAGTCTCTGAAAGGCAG-3’ (前記と同じ)をプライマーとして、25μl系において、10サイクルの単一方向PCRを行った。次に、両者の産物を50μl系において合併し、18サイクルのPCR、電気泳動を行い、hPSM-mPAP352bp目的バンドを切り取り、グラスミルク法で精製回収し、用意した。
mPAPを鋳型、5’-AGGACTTTGATGAGTGCTATG(mPAP読み枠の328〜348位である)をプライマーとし、hPSAを鋳型、5’-AGATATCGAGCAGCATGAGGTCGTG-3’(PSA読み枠の355〜372位)をプライマーとして、25μl系において10サイクルの単一方向のPCRを行い、その後に両者の産物を50μl系において合併し、18サイクルのPCR、電気泳動を行い、mPAP-hPSA378bp目的バンドを切り取り、グラスミルク法で精製回収し、用意した。
hPSM-mPAPを鋳型、5’-AGAATTCATGATGAATGATCAACTCA TG-3’をプライマーとし、mPAP-hPSA鋳型、5’-AGATATCGAGCAGCATGA GGTCGTG-3’をプライマーとし、それぞれ25μl系において10サイクルの単一方向のPCRを行い、その後に、両者の産物を50μl系において合併し、18サイクルのPCR、電気泳動を行い、hPSM-mPAP-hPSA564bp目的バンドを切り取り、グラスミルク法で精製回収し、pUCm-TVと連結した。陽性クローンを選んで配列決定を行い、その結果は正確であった。詳しくは配列番号11に示すとおり、双方向連結である。前記配列の54〜629位は本発明のクローン配列である。
実施例12:SLC-3P-Fc走化抗原遺伝子の組換え
配列決定後の正しい3P遺伝子(3PはPSM-PAP-PSA部分連結遺伝子で、564bpサイズで、188個のアミノ酸をコードする)のプラスミドを用い、EcoRIとEcoRVで3P遺伝子の小断片を切り取り、同じように切断されたpSLC-HP-Fcの大断片ベクターと連結してpSLC-3P-Fc(図12を参照)を形成した。SLC-3P-Fc遺伝子組換え配列は配列番号12に示され、それに対応するアミノ酸配列は配列番号13に示される。
試験例1:ボイデンチャンバーによる融合蛋白の免疫細胞走化活性の測定
ヒトSLCの体外(in vitro)走化活性:
A.プラスミドpcDNA3z-SLC-HP-Fc及び対照プラスミドをB16-F10メラノーマ細胞でトランスフェクトし、48時間後に細胞培養上清(トランスフェクトしていない細胞培養上清は陰性として対照した)を収集し、PEG20000に濃縮しておいた。
B.健康なヒトの末梢血を5ml採取し、希釈した後リンパ球分離媒体で単一の核細胞を分離し、生理食塩水で2回洗浄してから、無血清1640培養液に細胞を再懸濁し、末梢血単核球の数を記録し、細胞濃度を1×106/mlにしておいた。
C.ボイデンチャンバーの準備:ボイデンチャンバーはNeuro Probeから購入した。下室に27μlの細胞上清濃縮液を入れてから、マルチウェルを設置し、ウェルには、5μm孔径のポリカーボネートフィルターを覆い、その上に上室を装着した。各室には、濃度1×106/ml のヒト末梢血単核細胞懸濁液50μlを入れてから、37℃、5%CO2インキュベーターにおいて4時間作用させた。
D.フィルターを取り外し、上室面の細胞を掻爬して、固定、染色し、顕微鏡において、下室に遷移した細胞の数を記録し、走化指数(CI=試験孔での5個HPFの細胞数/対照孔での5個HPFの細胞数)を計算した。陰性対照グループのCIの値は1である。HPF(high power field)は×200とした。
[結果]:pSLC-HP-Fc形質導入細胞の無血清培養上清は顕著な走化活性を有していることから、前記プラスミドの導入は発現だけでなく、活性も有していることがわかる。そのレベルが単純pSLC形質導入細胞により産生する走化活性に一致することは、融合蛋白はSLCの活性に影響がないことを示している。
試験例2:ヒト走化抗原遺伝子ワクチンのマウス体内での抗腫瘍免疫効果
遺伝子導入方法については、プラスミド(裸の遺伝子)を金粉顆粒にまぶして、プラスチック管の中に附着させ、且つ適当な大きさに切断し、遺伝子銃の弾丸として用意した。個々の弾丸には1μgDNAが含有されている(詳しくはBioRad社のパンフレットを参照)。試験では、対照グループとしてコントロールベクター、pSLC-Fc、SLCシグナルペプチドを含むHP発現プラスミドpsig-HP、pSLC-Fc、及びPsig-HP-Fcを設けた。
試験例3:腫瘍予防免疫効果実験
pSLC-HP-Fc及びその対照グループを接種前14日と7日に遺伝子銃で動物の腹部に2回接種した。第0日目にはマウスの脇下にB16F10-HP(B16F10メラノーマ細胞をHP遺伝子にトランスフェクトし、且つG418を経て選出する)腫瘍細胞5×104/0.2ml/匹を接種した。その後は、毎週腫瘍の大きさを2〜3回測定した。長さ(cm)×幅(cm2)の式で腫瘍の大きさを測定した。
[結果]:pSLC-HP-Fc三連結ワクチンは、2回接種しただけで、顕著な腫瘍抑制効果を現し(図5,6を参照)、平均生存期間は明らかに伸び、二連結ワクチンに比べても明らかな差異があった(P<0.05)。これは、SLCとFcは協同して免疫強化効果を現すことを示している。
試験例4:腫瘍治療の免疫実験
第0日に動物の脇下に5×104/0.2ml/匹のB16F10-HP腫瘍細胞を接種した。第6、12、18日には遺伝子銃で3回接種した。その後は、毎週2,3回腫瘍の大きさを測定した。計算方法は前記と同じである。
[結果]:図7、8のように、三連結pSLC-HP-Fcワクチンの腫瘍抑制効果が最も顕著であり、また第28日にはpSLC-HP-Fcグループは二連結psig-HP-Fcグループに比べても明らかな差異(P<0.05)があり、平均生存期間も明らかに伸びた。B16(pSLC-HP-Fc)グループのマウスが接種されたのは、野生型B16であり、三回pSLC-HP-Fcを接種された後は、腫瘍抑制効果がみられない。このことから、当該ワクチンが誘導したのはHP抗原に対する特異的免疫反応であることが分かる。
試験例5:腫瘍走化抗原遺伝子ワクチンが誘導したCTL活性
腫瘍を有するマウスに三回遺伝子銃による免疫を受けさせてから2週間後に殺し、脾臓細胞を採取し、CTL細胞障害性活性測定を行った。Promega社のLDH測定キットを使用して行った。脾臓細胞と標的細胞B16F10-HPを異なる割合(40:1、20:1、10:1)にして細胞障害性測定を行った。
[結果]:走化抗原遺伝子ワクチンを免疫した後のリンパ球は、B16F10-HPに対し、顕著な殺傷作用(図9を参照)がある。E:Tの値が40:1と20:1の場合において、三連結ワクチンは二連結ワクチンに比べ、依然として明らかな差異(P<0.05)があった。これは、三連結ワクチンがより強いCTL活性を誘導できることを示している。
試験例6:免疫後血清中の抗体価(滴定量)の測定
動物が遺伝子銃による接種(pSLC-HP-Fc)を受けた後、2週目と4週目に血清を採取し、抗体反応を測定した(ELISA法)。組換えp53蛋白はマイクロタイタープレートによりオーバーナイト培養し、20%牛血清に封じ込んだ。その後、第一抗体(希釈濃度が異なるマウス血清)、第二抗体(ヤギ抗マウスIgG/西洋わさびペルオキシダーゼ結合)に順番に入れて、中間洗浄、OPD(オルトフェニレンジアミン)で描出し、490nmでODを測定した。P53単一クローン抗体は陽性とし、正常マウスの血清を陰性として対照した。
[結果]:SLC-HP-Fcワクチンがマウスにp53抗体を免疫させる効果が最も高く、二連結ワクチンより優れているのは明らかである(図10を参照)。
試験例7:pSLC-HP-Fcワクチンによる生体外での抗Her2/neu又は抗p53ヒト特異的CTLの誘導
HLA-A2を持つ健常人の血液を採取し、リンパ球分離液で単核細胞(MNC)を遠心分離した。部分細胞はリポソーム法でpSLC-HP-Fcプラスミドを導入し、未処理のMNCと1:1の割合で混合培養した後、37℃、5%CO2条件下で培養した。第6日目に活細胞の数を数えた後、培養液に再び混入懸濁し、エフェクター細胞:標的細胞(E:T)の割合を変えて、96ウェル培養プレートに入れ、異なる標的細胞と一緒に培養した。細胞障害測定はLDH法(Promega社キット)を使用した。
[結果]:pSLC-HP-Fcプラスミドを導入したMNCは、リンパ球に混入培養された後にCTLを特異的に誘導し、誘導されたCTL は、MHCの制限を受けながら、Her2/neuの発現率が高い又はp53堆積された腫瘍細胞を特異的に殺傷する(図11)。すなわち、ヒト特異的CTL は、Her2/neu高発現又はp53堆積されたHLA-A2の腫瘍細胞に対し顕著な殺傷効果がある。これは、走化抗原遺伝子ワクチンがヒト腫瘍抗原に特異的なCTLを誘導可能であることを示している。
試験例8:前立腺癌pSLC-3P-Fc走化抗原遺伝子ワクチンのマウス体内での抗腫瘍効果
5×104B16-3P腫瘍細胞(pcDNA-3P発現プラスミドがトランスフェクトしたB16細胞、G418選出)をC57BL/6マウス(各グループには8匹のマウスがいる)の側腹壁に接種し、腫瘍接種後3日目、8日目、13日目に遺伝子銃で三回免疫させた。設定したコントロールベクター、pSLC-Fc、psig-3P(3P遺伝子の上流はSLC分泌ペプチド遺伝子の発現プラスミドが含まれている)を対照グループとして、腫瘍の大きさとマウスの生存期間を観察した。
[結果]:図13、14のように、三連結走化抗原遺伝子ワクチン(pSLC-3P-Fc)グループの腫瘍の生長は明らかに抑制され(対照グループに対してP<0.05)、且つ生存期間を明らかに伸ばした(対照グループに対してP<0.05)。これは、前記走化抗原ワクチン構造において、抗原遺伝子を中間で置換することにより、異なる標的抗原に対するワクチンを産生することができることを示している。
図1は、本発明の走化抗原遺伝子ワクチンのメカニズムの模式図である。 図2は、構築された発現プラスミドの模式図である。うち、HPはHer2/neu-p53連結遺伝子を示し、sigはSLC分泌ペプチド遺伝子を示す。 図3は、本発明のSLC-Her2/neu-Fc遺伝子の組換え模式図である。 図4は、Western Blotを用いた、pSLC-HP-Fc遺伝子ワクチンの形質導入細胞における細胞内分泌発現された組換え蛋白トランスフェクション細胞の検出を示す。AはpSLC-HP-Fcトランスフェクション細胞の細胞可溶化液を示し、Bはトランスフェクション細胞の培養上清を示し、CはpcDNAトランスフェクション細胞の培養上清を示す。 図5は、予防接種した腫瘍走化抗原遺伝子ワクチン(pSLC-HP-Fc)の生体内での腫瘍抑制効果を示す。 図6は、腫瘍走化抗原遺伝子ワクチン(pSLC-HP-Fc)を予防接種した腫瘍を有するマウスの生存期間を示す。 図7は、腫瘍走化抗原遺伝子ワクチン(pSLC-HP-Fc)が腫瘍を治療する生体内腫瘍抑制効果を示す。 図8は、腫瘍走化抗原遺伝子ワクチン(pSLC-HP-Fc)が腫瘍を治療する生存期間を示す。 図9は、腫瘍走化抗原遺伝子ワクチン(pSLC-HP-Fc)の免疫を得た後のCTL活性を示す。 図10は、動物が免疫を得た後、2週目と4週目の血清の中の特異的抗HP抗体の検出結果を示す。マウスの血清を1:100で希釈して、ELISA法で検出する。 図11は、pSLC-HP-Fcワクチンが生体外で、抗Her2/neu、抗p53ヒト特異的CTLを誘導することを示す。 図12は、pSLC-3P-Fcの発現プラスミド構築模式図である。 図13は、pSLC-3P-Fc遺伝子ワクチンが腫瘍を治療する生体内腫瘍抑制効果を示す。 図14は、pSLC-3P-Fc遺伝子ワクチン腫瘍を治療する生存期間を示す。 図15は、本発明の組換え遺伝子が融合遺伝子を発現する特徴的構造を示す。

Claims (10)

  1. ヒトSLC遺伝子と、抗原遺伝子と、IgG1のFc断片遺伝子とを含む組換え遺伝子であって、前記抗原遺伝子の上流に前記SLC遺伝子が連結され、前記抗原遺伝子の下流に前記IgG1のFc断片遺伝子が連結される組換え遺伝子。
  2. 前記抗原遺伝子は、Her2/neu、P53、PSA、PAP、PSM、MAGE1、MAGE2、MAGE3、BAGE、GAGE1、GAGE 2、CAG3、RAGE、NY-ESO-1、Tyrosinase、CEA、Ig idiotype、gp100、melan A、gp75、TRP-1、TRP-2、CDK4、CASP-8、ras、bcr/abl、及びMUC-1を含む請求項1に記載の組換え遺伝子。
  3. SLC遺伝子と抗原遺伝子との間に、EcoRI制限酵素部位と3つのグリシンを有し、抗原遺伝子とIgG1のFc断片遺伝子との間に、EcoRV制限酵素部位と5つのグリシンを有する請求項1または2に記載の組換え遺伝子。
  4. 前記組換え遺伝子は配列番号1の配列を有する請求項1に記載の組換え遺伝子。
  5. 前記組換え遺伝子は配列番号12の配列を有する請求項1に記載の組換え遺伝子。
  6. 請求項1に記載の組換え遺伝子によって発現するポリペプチド
  7. 前記ポリペプチドは配列番号2の配列を有する請求項6に記載のポリペプチド
  8. 請求項5に記載の配列番号12の組換え遺伝子によって発現するポリペプチドであって、前記ポリペプチドは配列番号13の配列を有するポリペプチド
  9. 請求項1に記載の組換え遺伝子配列を含み、抗原遺伝子がHer2/neu、P53、PSA、PAP及びPSMからなる群より選択される、遺伝子ワクチン。
  10. 前記遺伝子ワクチンの遺伝子は、配列番号1または配列番号12の配列を有する請求項9に記載の遺伝子ワクチン。
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