JP4838187B2 - ガラスアンテナ用回路モジュール及びその組み立て方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窓ガラス板に設けられた双極アンテナの電極に対向して窓ガラス板に設けられる、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートを備えたガラスアンテナ用回路モジュール及びその組み立て方法に関する。
従来より、車両のフロントガラスやリアガラス等の自動車用窓ガラス板にアンテナ素子及びアンテナの電極を備えた車両用ガラスアンテナが知られている。アンテナ素子として、例えば双極アンテナ素子が用いられる。この車両用ガラスアンテナには、窓ガラス板に回路モジュールが設けられる。この回路モジュールは、交換することが殆どない車両用窓ガラス板に取り付けるので、回路モジュールの交換は、窓ガラス板を交換することなく取り外しが容易にできることが必要となっている。
又、車両のフロントガラスやリアガラス等の自動車用窓ガラス板は、ガラスが破損したときの損傷を最小限に抑えるために合せ窓ガラスとなっている。この場合、アンテナの耐久性の点から、アンテナ素子は合せ窓ガラス板の合せ面側に通常設けられる。一方、回路モジュールは交換の必要から合せ窓ガラス板の合せ面側に設けることはできず、合せ窓ガラス板の外側の面、例えば車内側の面に設けられる。回路モジュールとアンテナ素子間の信号の伝送は、窓ガラス板を挟んだ電極間で電磁結合及び容量結合の少なくとも一方の結合により行われる。このため、信号の伝送を適切に行うためには、電極面積を調整、変更することが必要である。
下記特許文献1には、車両ガラスアンテナ用回路モジュールが記載されている。この回路モジュールでは、図2に示されるようにセラミック製の箱部201内に回路基板を収納し、回路基板に信号端子202,203が接続されている。一方、箱部201を保持する脚部204a,204bは窓ガラス板の面上に設けられている導体層と半田付け等により接続されて、窓ガラス板と接合される。
上記構成により、当該回路モジュールは、アンテナ素子の給電点からの信号を回路基板に容易に伝送でき、窓ガラス板上に設けることで、アンテナを含めた回路が複雑であっても、容易にコンパクト化できる、とされている。
下記特許文献2には、車載用アンテナ装置が記載されている。車載用アンテナ装置では、窓ガラス板の一方の面に設けられたパッチ状のアンテナ導体と、このガラス板の他方の面に、アンテナ導体と対向するように設けられた電気回路のグラウンド導体とを有する。電気回路には、ベースプレートが設けられ、ベースプレートが窓ガラス板と湿度硬化性樹脂等の接着剤にて接着固定されている。この構成により、放射利得の高い車載用アンテナ装置の小型化が可能であるとされている。
特開平10−093318号公報 特開2006−13959号公報
しかし、特許文献1に記載される回路モジュールは、上述した電磁結合及び容量結合の少なくとも一方の結合による伝送のために、電極の面積を所定の大きさに変更することが難しいといった問題がある。
また、脚部204a,204bを窓ガラス板と、導体層を介して半田付け等により接合して箱部201を窓ガラス板上に固定するので、回路部品を交換する際、脚部204a,204bの接合部分を窓ガラス板上に設けられた導体層から取り外す必要がある。このとき窓ガラス板上の導体層は窓ガラス板から部分的に剥がれ損傷するので、回路モジュールを窓ガラス板に再度接合し固定するとき、損傷した導体層の再形成のために窓ガラス板を車両から取り外す煩雑な作業が必要となる。
一方、特許文献2に記載される車載用アンテナ装置では、パッチ状のアンテナ素子に限定され、電極としてベースプレートが設けられた構成であるため、双極アンテナの装置構成には適さない。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、窓ガラス板に設けられた双極用アンテナに対して窓ガラス板に設けられる、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートを備えたガラスアンテナ用回路モジュールであって、回路モジュール側の電極の面積を変更できて、回路基板の交換のために容易に着脱可能に構成されたガラスアンテナ用回路モジュールを提供するとともに、当該回路モジュールの組み立て方法を提供することを目的とする。
本発明は、自動車の窓ガラス板の一方の側に設けられた双極アンテナの2つの電極に対して該窓ガラス板を挟んで反対側の面に設けられる、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートを備えた回路モジュールであって、アンテナの2つの電極と対向するように窓ガラス板に接合される給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートと、双極アンテナからの信号を処理するアンテナ周辺回路を有し、かつ、同軸ケーブルに接続されている回路基板と、該回路基板を支持固定して収納するための収納空間を有するシャーシと、該シャーシの収納空間を覆うケースと、を有し、回路基板をシャーシの収納空間に収納してモジュール本体が構成され、シャーシは、窓ガラス板に接合されるアース側ベースプレートから見て窓ガラス板とは反対側に、アース側ベースプレートと当接されるように配され、さらに、モジュール本体の給電側端子は給電側ベースプレートに、該モジュール本体のアース側端子はアース側ベースプレートにそれぞれ螺子止めにより接合され、ケースはシャーシに係止手段により装着されていることを特徴とするガラスアンテナ用回路モジュールを提供する。
その際、前記給電側ベースプレートの前記窓ガラス板との接合部分には、該窓ガラス板側に向けて膨出する複数の膨出部が設けられ、さらに、給電側ベースプレートの、窓ガラス板との接合部分とは反対側の面には、給電側ベースプレートの一部が棚状に該反対側に飛び出した段差部があり、該段差部に、前記シャーシと接合するための螺子孔が設けられ、
前記アース側ベースプレートの窓ガラス板との接合部分には、該窓ガラス板側に向けて突出する突出部が設けられ、さらに、アース側ベースプレートの、該接合部分とは反対側の面には、アース側ベースプレートの一部が棚状に該反対側に飛び出した段差部があり、該段差部に、シャーシと接合されるための螺子孔が設けられていることが好ましい。
さらに、前記シャーシの収納空間は、平面上の底部と該平面の縁部の一部分から立設する壁面とで形成されており、収納空間内のシャーシの底部の面には、前記アース側ベースプレートの段差部に対応するように、該底部の面から収納空間内に棚状に飛び出した段差部があり、該段差部にシャーシの底部を貫通する貫通孔が設けられており、さらに、シャーシの壁面には、前記ケースを係止するための係止孔が設けられていることが好ましい。
又、前記アンテナ周辺回路がアンプ回路であり、前記回路基板は、前記シャーシの壁面に設けられた収納空間内に突設する突設部に支持され、かつ、該壁面の端に縁部の周方向に延在した爪部を該収納空間側に曲げて、支持された回路基板を該爪部により、回路基板の、シャーシの底部とは反対側の該回路基板の面を押さえることにより、該回路基板は該収納空間に支持固定されることが好ましい。
さらに、前記モジュール本体は、前記収納空間を有する前記シャーシの他に、前記回路基板に設けられている前記アンテナ周辺回路の入力端と電気的に接続され、シャーシの収納空間から外に延びる金属プレートを備え、該金属プレートの、該収納空間とは反対側に位置する端又は領域は、前記給電側ベースプレートと接合されることが好ましい。前記ケースは、前記シャーシの係止孔と係合する係止爪が設けられていることが好ましい。
又、前記モジュール本体は、前記収納空間を有する前記シャーシの他に、前記回路基板に設けられている前記アンテナ周辺回路の入力端と電気的に接続され、シャーシの収納空間から外に延びる金属プレートをモジュール本体の給電側端子として備え、該金属プレートの、該収納空間とは反対側に位置する端又は領域には、貫通孔が設けられ、該貫通孔を貫通した螺子を前記給電側ベースプレートの前記螺子孔で螺子止めすることによりモジュール本体と給電側ベースプレートとを接合し、さらに、収納空間内のシャーシの底部は、前記アース側ベースプレートの段差部に対応するように、該底部の面から該収納空間内に棚状に飛び出した段差部をモジュール本体のアース側端子として備え、該段差部にシャーシの底部を貫通する貫通孔が設けられており、該貫通孔を貫通した螺子をアース側ベースプレートの該螺子孔で螺子止めすることによりシャーシとアース側ベースプレートとが接合されることが好ましい。
さらに、本発明は、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートを備えた回路モジュールを自動車の窓ガラス板に設けるガラスアンテナ用回路モジュールの組み立て方法であって、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートを、アンテナの電極に対向する窓ガラス板上の対向位置に接着する工程と、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートの接着後、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートを半田付けにより、窓ガラス板上に設けられた2つの導体層とそれぞれ接続して、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートを窓ガラス板に接合する工程と、窓ガラス板と接合した給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートに、回路基板をシャーシに収納したモジュール本体を力学的手段により接合する工程と、を有するガラスアンテナ用回路モジュールの組み立て方法を提供する。
前記ガラスアンテナ用回路モジュールを組み立てる際に、前記アース側ベースプレートを、両面テープ及び接着剤を用いて前記窓ガラス板に接着することが好ましい。さらに、前記アース側ベースプレートが、両面テープ及び接着剤を用いて前記窓ガラス板に接着された後、前記窓ガラス板上に設けられた金属層と半田付けにより接続されることが好ましい。
本発明では、回路基板をシャーシに収納したモジュール本体が、窓ガラス板に接合するアース側ベースプレート及び給電側ベースプレートと力学的手段により接合され、さらに、ケースは、シャーシに係止手段により装着されているので、窓ガラス板に接合したアース側ベースプレート及び給電側ベースプレートから、モジュール本体を容易に取り外すことができ、回路基板の交換のために容易に着脱できる。
又、アース側ベースプレート及び給電側ベースプレートは、モジュール本体と力学的手段により接合する構成であるので、アンテナ側の電極の大きさやガラス板等の厚さに応じて、アース側ベースプレート及び給電側ベースプレートの大きさを自在に設定することができる。さらに、車両の窓ガラス板に合せガラス板を用いる場合、回路モジュールを車内側に設けることにより、実装上便宜であり、小スペース化を図ることができる。
以下、添付の図面に示す実施形態に基づいて、本発明のガラスアンテナ用回路モジュールを詳細に説明する。
図1は、本発明のガラスアンテナ用回路モジュールの一形態である回路モジュール10を示す分解斜視図である。図1に示す回路モジュール10は、給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30を備えている。合せ窓ガラス板は、車内側ガラス板6aと車外側ガラス板6b(図3(a)参照)の2枚のガラス板を、例えば、ポリビニールブチラール等の合成樹脂製の中間膜2により接着して構成されている。
図1に示す例では、給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30は、中間膜2と車内側ガラス板6aとの間に設けられたアンテナ素子4の、アンテナ素子側給電電極(以降、給電電極という)4a及びアンテナ素子側アース電極(以降、アース電極という)4bにそれぞれ対向して車内側ガラス板6aの車内側の面に設けられる。
回路モジュール10は、給電側ベースプレート20、アース側ベースプレート30、シャーシ40、回路基板60、金属プレート70及びケース90を主に有する。本発明におけるモジュール本体140は、シャーシ40、回路基板60及び金属プレート70にて構成される。
図3(a)は、車内側ガラス板(以降、ガラス板という)6aに接合した給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30の断面を模式的に説明する図であり、図3(b)は給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30を上方から見た図である。図4は、図1に示す回路モジュール10の斜視図である。
回路モジュール10は、合せ窓ガラス板6のガラス板6aの車内側のガラス面に設けられる。ガラス板6aの中間膜2の面側にはアンテナ素子4の給電電極4a及びアース電極4bが設けられ、給電電極4a及びアース電極4bと反対側のガラス面上に給電電極4a,アース電極4bと対向するように給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30が設けられている。回路モジュール10は、例えば470〜770MHz帯域(地上波デジタルテレビ放送用帯域)の電波を受信するアンテナの回路モジュールとして好適に用いられるが、本発明において、周波数帯域は特に制限されない。
給電側ベースプレート20は、アンテナ素子4の給電側の給電電極4aにガラス板6aを挟んで対向するようにガラス板6aに接合され、回路モジュール10の給電側プレートとして機能する部品である。アース側ベースプレート30は、アンテナ素子4のアース電極4bにガラス板6aを挟んで対向するようにガラス板6aに接合され、回路モジュール10のアース側プレートとして機能する部品である。
さらに、給電側ベースプレート20、アース側ベースプレート30がガラス板6aと接合されるガラス板6aの面には銀ペーストで形成された導体層8a,8bが設けられている。
アンテナ素子4の給電電極4a及びアース電極4bと、回路モジュール10側に設けられる導体層8a及び8bは、ガラス板6aを挟んで対向するように設けられるので、これらの対向する電極と導体層との間は、電磁結合及び容量結合の少なくとも一方の結合により接続される構成となっている。すなわち、アンテナ素子4で励起された受信信号は、電極4aに伝送され、給電電極4aと導体層8aとの間の電磁結合及び容量結合の少なくとも一方の結合により、受信信号は導体層8aに伝送され、この受信信号が回路基板60にて増幅される。すなわち、導体層8aは、給電電極4aに対向する給電側対向電極となっており、導体層8bは、アース電極4bに対向するアース側対向電極となっている。
図3(a)に示すように、アンテナ素子4側の給電電極4a及びアース電極4bは、銅箔等の導電性金属箔で構成されており、接着層4c,4dを介してガラス板6aに接合されている。又、本発明のガラスアンテナ用回路モジュールは前述の合せガラスを用いるほか、強化ガラスのような単板ガラスを用いてもよい。この場合、単板ガラス面にアンテナ素子並びに給電電極を銀ペーストで形成した導電層の上にガラスアンテナ用回路モジュールを接着、半田付けして構成するとよい。
回路基板60は、アンテナ素子4で受信した信号を増幅するアンプ回路(図1中の斜線部)を備えた基板であり、増幅された信号は同軸ケーブル84を介して図示されない受信機へ伝送される。アンプ回路は、受信した信号を処理するアンテナ周辺回路である。
シャーシ40は、回路基板60を支持固定して収納するための収納空間を有する部品である。ケース90は、回路基板60を収納したシャーシ40の収納空間を覆う部品である。
なお、回路基板60はシャーシ40に支持固定される。シャーシ40に回路基板60が収納され、さらに金属プレート70が設けられたモジュール本体140(図1参照)は、ガラス板6aに接合している給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30に対して螺子82により力学的に接合される。ケース90は、シャーシ40に対して、係止孔48(図6(a)参照)と係止爪92(図8参照)との係合により装着される。
以下、各部品の構成をより具体的に説明する。
回路モジュール10が接合するガラス板6aは、厚さが0.3〜1.2mmの透明性を有する中間膜2を挟んで接合された合せ窓ガラス板6の車内側ガラス板である。この合せ窓ガラス板6の中間膜2とガラス板6aとの間には、例えば銅箔で構成されるアンテナ素子4と、給電電極4a及びアース電極4bが設けられている。車内側ガラス板6aの車内側の面で、車内側ガラス板6aの周縁部近傍の面には、黒色のセラミック層等の隠蔽層7が設けられている。
図1に示すように、ガラス板6aの縁部に設けられた隠蔽層7の一部分には、上記アンテナ素子4側の矩形形状の給電電極4a及びアース電極4bに対向する位置に銀ペーストで形成された矩形形状の導体層8a,8bがそれぞれ別々に設けられている。導体層8a,8bはそれぞれ、回路モジュール10側の給電側対向電極、アース側対向電極として機能する。
給電側ベースプレート20は、半田110a(図3(a)参照)によりガラス板6aに設けられた導体層8aと接合される。給電側ベースプレート20の、ガラス板6aとの接合部分には、図5に示されるように、ガラス板6a側に向けて膨出する3つの膨出部22が設けられている。これらの膨出部22は、ガラス板6a上の導体層8aと給電側ベースプレート20との間に半田溜まりの隙間を作り、半田110aが所定の厚さを有するように機能する。
なお、図5は、給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30の斜視図である。
さらに、給電側ベースプレート20の、ガラス板6aとの接合部分の反対側の面には、図5に示されるように、プレート20の一部が棚状に飛び出して段差を成す段差部24があり、この段差部24に、モジュール本体140と接合するための螺子孔26が設けられている。この螺子孔26は、後述する回路基板60から延びる金属プレート70の貫通孔を貫通した螺子82を螺子止めするために用いられる。
給電側ベースプレート20の材料は特に制限されず、例えば亜鉛メッキ鋼板が用いられる。また、給電側ベースプレート20は、導体層8aに接続される。アンテナ素子4の給電電極4aから効率よく信号が伝送されるために、導体層8a及び給電電極4aの面積は、49〜2500mm2であることが好ましい。
アース側ベースプレート30は、半田110b(図3(b)参照)によりガラス板6aに設けられた導体層8bと接合される。アース側ベースプレート30の、ガラス板6aと接合する接合部分には、ガラス板6aと接触するためにガラス板側に向けて突出する突出部32(図5参照)が設けられている。この突出部32がガラス板6aに設けられた導体層8bと接続される。
突出部32の形状は、正方形又は略正方形である。突出部32は、正方形又は略正方形の3辺がアース側ベースプレート30のプレートから切り離されて分離しており、残りの一辺がアース側ベースプレート30と繋がっている。この繋がっている部分がガラス板6a側に折り曲げられて突出部32が構成されている。
さらに、アース側ベースプレート30の、ガラス板6aとの接合部分の反対側の面には、アース側ベースプレート30の一部が棚状にシャーシ40側に飛び出して段差を成す段差部34,35があり、この段差部34,35に、シャーシ40と接合するための螺子孔36,37が設けられている。この螺子孔36,37は、後述するシャーシ40に設けられる貫通孔46,47(図6参照)を貫通した螺子82を螺子止めするために用いられる。アース側ベースプレート30の材料も、給電側ベースプレート20と同様に特に制限されず、例えば亜鉛メッキ鋼板が用いられる。
さらに、アース側ベースプレート30のガラス板6aとの接合側には、ガラス板6a側に向けて膨出する膨出部38が合計4箇所設けられ、接着剤の層、半田層が所定の厚さを有するように、ガラス板6aとアース側ベースプレート30の面の間に隙間を作る。特に、突出部32に設けられた膨出部38は、ガラス板6a上の導体膜8aとアース側ベースプレート30との間に半田溜まりの隙間を作り、半田110bが所定の厚さを有するように機能する。
アース側ベースプレート30は、半田110bによりガラス板6a上に設けられた銀ペーストから形成される導体層8bに接続されてガラス板6aと接合されるが、半田110bによる接続の前に、両面テープ及び接着剤を用いてガラス板6aに接合される。例えば図10に示すように、コの字状の両面テープ120a,120bと、コの字の内側の領域に塗布した接着剤122a,122bとを用いて、ガラス板6aと2箇所で接合される。最初に、両面テープ120a、120bでガラス板6aに仮固定した後、塗布した接着剤122a,122bを硬化させてガラス板6aと強固に接合する。両面テープ120a,120bは接着剤122a,122bが硬化するまでの仮固定手段である。接着剤122a,122bは、例えば、湿度硬化性のウレタン系接着剤、2液混合のウレタン系接着剤等が用いられる。上述した突出部32の膨出部38を除く3箇所の膨出部38は、アース側ベースプレート30とガラス板6aとの間に接着剤溜まりの隙間を作り、接着剤122a,122bが所定の厚さを有するように機能する。
なお、本実施形態では、アンテナ素子4及び給電電極4a及びアース電極4bは、中間膜2の車内側の面に設けられるが、中間膜2の、車内側と反対側の面に設けてもよい。
シャーシ40は、平面上の底部41と該平面の縁部から立設する壁面42とで形成された収納空間43を有する。図6は、シャーシ40の斜視図である。シャーシ40の収納空間43内の底部41の面には、アース側ベースプレート30の段差部34,35に対応するように、底部41の面から収納空間43内に棚状に飛び出した2つの段差部44,45が設けられる。図6に示すように、この段差部44,45にシャーシ40を貫通する貫通孔46,47が設けられている。この貫通孔46,47に、螺子82を通して、アース側ベースプレート30に設けられた螺子孔36,37と螺合して、アース側ベースプレート30にシャーシ40が接合するように構成される。すなわち、段差部44,45はモジュール本体140のアース側端子として機能する。
さらに、シャーシ40の壁面42には、後述するケース90を係止するための係止孔48が2箇所に設けられる。シャーシ40の材料は特に制限されず、例えば錫メッキ鋼板から作られる。
シャーシ40の収納空間43内の壁面42には、図6に示すように、収納空間43内に突設する突設部51がシャーシ40の壁面42の縁部に4箇所設けられる。突設部51は、壁面42の異なる高さに一対の平行な切り込みが設けられ、この切り込みの間の壁面の部分をプレス加工により延ばしつつ、収納空間側にくの字状に折り曲げることにより作られる。これらの突設部51は回路基板60を下側から支持する。さらに、支持された回路基板60を固定するために、壁面42の端から周方向に沿って延びる爪52が2箇所設けられている。この爪52を収納空間43の内側方向(図6中の矢印方向D)に折り曲げることにより、回路基板60が動かないように固定する。すなわち、上記爪52は、爪52を収納空間43の内側に折り曲げることにより、シャーシ40の底部41とは反対側の回路基板60の面を押さえて固定する。このため、爪52の設けられる壁面の高さ方向の位置が回路基板60の厚さに応じて設定されている。折り曲げられた爪52は、回路基板60に設けられたアンプ回路のアース端(図示されない)と半田付けにより接続され、シャーシ40がアースと同電位となる。
図7は、回路基板60をシャーシ40に収納したモジュール本体140が、螺子82で給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30と接合した状態を示す斜視図である。モジュール本体140には、シャーシ40の収納空間43から外に延びる金属プレート70が設けられている。この金属プレート70は、図1に示されるように、一端が屈曲しており、この屈曲部が回路基板60に設けられたスルーホール状の2つの孔を図7中の下側から貫通して上側の基板面に至り、この基板面上でアンプ回路の入力端62と電気的に接続される。金属プレート70の、入力端62と反対側の端又は反対側の領域には、図1に示すように、給電側ベースプレート20と接合するために螺子82を通す貫通孔72が設けられている。この貫通孔72に、螺子82を通して、給電側ベースプレート20に設けられた螺子孔26と螺合して、図7に示されるように、給電側ベースプレート20にモジュール本体140が接合するように構成される。すなわち、金属プレート70はモジュール本体140の給電側端子として機能する。金属プレート70の材料は特に制限されず、例えば錫メッキ鋼板から作られる。
図7に示すように、金属プレート70の設けられる側と反対側のシャーシ40の端又は反対側の領域には、回路モジュール10から図示されない受信機に信号を送信する同軸ケーブル84(図1参照)に合せて切り欠かれた切り欠き部が設けられている。
回路基板60には、基板上に受信信号を増幅するアンプ回路(図1では斜線部)が設けられている。回路基板60は、シャーシ40とアース側ベースプレート30とを接合するために螺子82を工具を用いて締結するスペースを確保するために、部分64,66(図1参照)が切り欠かれている。
螺子82による接合は、スプリングワッシャーを挟み、シャーシ40の貫通孔46,47を通した螺子82を、アース側ベースプレート30の螺子孔36,37と螺合して螺子止めすることにより、アース側ベースプレート30とモジュール本体140が接合される。又、スプリングワッシャーを挟み、金属プレート70の貫通孔72を通した螺子82を、給電側ベースプレート20の螺子孔26と螺合して螺子止めすることにより、シャーシ40の収納空間43から延びる金属プレート70と給電側ベースプレート20が接合される。これにより、給電側ベースプレート20とモジュール本体140とは接合される。
ケース90は、回路基板60を支持固定したシャーシ40の収納空間43を図1中の上方から覆う。ケース90は、図8に示すように、シャーシ40に設けられた係止孔48(図6参照)に係合するように係止爪92が2箇所設けられている。
ケース90には、収納空間43を図1中の上方から覆う天井部96と、天井部96の縁部から図1中下方に延びる(図7では上方に延びる)壁部98が設けられている。この壁部98には、天井部96の面に対して垂直方向に、平行な切込みが2箇所設けられている。この平行な切り込みの間に係止爪92が壁部98の内側の面から内側に向けて突出するように設けられている。したがって、シャーシ40の収納空間43を図1中の上方から覆う際、係止爪92は、シャーシ40の外壁をスライドしつつ、シャーシ40の外壁の壁面を内側方向に押すので、係止爪92がシャーシ40の係止孔48と係合するとき、この力によって係止孔48にぴったりと係止される。しかも、係止するとき作業者はクリック感を感じるので、ケース90をシャーシ40に確実に装着することができる。
ケース90の材料は、例えばポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂が用いられるが、本発明においては絶縁性材料であれば、特に制限されない。
このように、回路モジュール10は、給電側ベースプレート20とアース側ベースプレート30とを有するので、双極アンテナ用回路モジュールに好適に用いることができる。特に合せ窓ガラス板に用いる場合、車内側のガラス板6aの車内側の面に回路モジュール10を設けることができるので、実装上便宜で省スペース化が可能である。又、給電側ベースプレート20の電極面積及びアース側ベースプレート30の電極面積を、アンテナ素子の電極に合せて設定できるので、製造しやすくかつ伝送効率のよいモジュールを実現できる。
ガラス板6aに接合した給電側ベースプレート20とアース側ベースプレート30とに対して、回路基板60をシャーシ40に収納したモジュール本体140を螺子止めにより接合するので、回路基板60をシャーシ40に収納するモジュール本体140を、給電側ベースプレート20とアース側ベースプレート30をガラス板6aから取り外す必要なく、取り外すことができる。つまり、回路基板60の交換のために、回路基板60をシャーシ40に収納したモジュール本体140を、給電側ベースプレート20とアース側ベースプレート30から容易に着脱することができる。
(実施例)
回路モジュール10の各寸法等の仕様を、下記表のとおりとしたガラスアンテナ用回路モジュールを製作した。図9(a),(b)に定める給電側ベースプレート20とアース側ベースプレート30の寸法L1〜L6、図8に定める寸法L7〜L9及びアンテナ素子4側の給電電極4aの矩形形状の寸法(縦方向長さ×横方向長さ)及び給電側ベースプレート20と接続される導体層8aの矩形形状の寸法(縦方向長さ×横方向長さ)等を下記表に示す。なお、L1は、回路モジュール10に配置されるときの給電側ベースプレート20とアース側ベースプレート30の両端間の距離である。アンテナ素子4及び給電電極4a,アース電極4bは銅箔で構成し、導体層8aは銀ペーストでプリントした。給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30の接着剤及び半田の位置は図10に示す位置とした。
Figure 0004838187
上記仕様の回路モジュール10を用いたアンテナの利得を調べた。
給電電極4aの対向位置に正確に導体層(対向電極)8aが配置される(給電電極4aの矩形形状の中心位置と導体層8aの矩形形状の中心位置が一致する)とき、したがって、給電側ベースプレート20及びアース側ベースプレート30の各接続が目標通りに行われるとき、静電容量は15.8pFである。このとき、給電電極4aと導体層8aとが対向して重なる面積(ラップ面積という)は500mm2(=20mm×25mm)である。
一方、導体層8aの位置が給電電極4aに対して縦方向及び横方向に4mmずれている場合、ラップ面積は414mm2(=18mm×23mm)である。このときの静電容量は13.2pFである。図11は、ガラス板6aを挟んで対向する電極間のラップ面積と回路モジュール10を用いたときのアンテナの利得との関係を示す図である。データは、周波数470〜770MHzのデータである。ここで、利得は、周波数帯域470〜770MHzの利得の平均値である。これによると、上述したように縦方向及び横方向に4mmずれて、ラップ面積414mm2であるときの利得は、目標通りに配置してラップ面積が500mm2であるときの利得と実質的に変化しないことがわかる。これより、アンテナ素子4と回路モジュール10を用いた場合、電極間で位置ずれが生じても、利得が低下しにくいことがわかる。
以上より、本発明のガラスアンテナ用回路モジュールは、双極アンテナと組み合わせることで、電極の位置ずれに対して利得が変化せず、伝送効率が維持される。
以上、本発明のガラスアンテナ用回路モジュール及びその組み立て方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明のガラスアンテナ用回路モジュールの一形態である回路モジュールを示す分解斜視図である。 従来技術である車両ガラスアンテナ用回路モジュールの斜視図である。 (a)は、ガラス板に接合した給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートの断面を模式的に説明する図であり、(b)は給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートを上方から見た図である。 図1に示す回路モジュールをガラス面上に載置した状態を示す斜視図である。 図1に示す回路モジュールの部品である給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートの斜視図である。 図1に示す回路モジュールの部品であるシャーシの斜視図である。 図1に示す回路基板を収納したシャーシの斜視図である。 図1に示す回路モジュールの部品であるケースの斜視図である。 (a),(b)は、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートの各寸法L1〜L6を示す図である。 図1に示す回路モジュールの、接合前の給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートの接着剤及び半田の位置を示す図である。 図1に示すガラスを挟んで互いに対向する電極のラップ面積とアンテナ利得との関係を示す図である。
符号の説明
2 中間膜
4 アンテナ素子
4a 給電電極
4b アース電極
4c,4d 接着層
6 合せ窓ガラス板
6a 車内側ガラス板
6b 車外側ガラス板
7 隠蔽層
8a,8b 導体層
10 ガラスアンテナ用回路モジュール
20 給電側ベースプレート
22,38 膨出部
24,34,35,44,45 段差部
26,36,37 螺子孔
30 アース側ベースプレート
32 突出部
40 シャーシ
41 底部
42 壁面
43 収納空間
46,47,72,94 貫通孔
48 係止孔
51 突設部
52 爪
60 回路基板
70 金属プレート
80 コネクタ
82 螺子
90 ケース
92 係止爪
96 天井部
98 壁部
110a,110b 半田
120a,120b 両面テープ
122a,122b 接着剤
140 モジュール本体

Claims (9)

  1. 自動車の窓ガラス板の一方の側に設けられた双極アンテナの2つの電極に対して該窓ガラス板を挟んで反対側の面に設けられる、給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートを備えた回路モジュールであって、
    アンテナの2つの電極と対向するように窓ガラス板に接合される給電側ベースプレート及びアース側ベースプレートと、
    双極アンテナからの信号を処理するアンテナ周辺回路を有し、かつ、同軸ケーブルに接続されている回路基板と、
    該回路基板を支持固定して収納するための収納空間を有するシャーシと、
    該シャーシの収納空間を覆うケースと、を有し
    回路基板をシャーシの収納空間に収納してモジュール本体が構成され、
    シャーシは、窓ガラス板に接合されるアース側ベースプレートから見て窓ガラス板とは反対側に、アース側ベースプレートと当接されるように配され、さらに、モジュール本体の給電側端子は給電側ベースプレートに、該モジュール本体のアース側端子はアース側ベースプレートにそれぞれ螺子止めにより接合され、
    ケースはシャーシに係止手段により装着されていることを特徴とするガラスアンテナ用回路モジュール。
  2. 前記給電側ベースプレートの前記窓ガラス板との接合部分には、該窓ガラス板側に向けて膨出する複数の膨出部が設けられ、さらに、給電側ベースプレートの、窓ガラス板との接合部分とは反対側の面には、給電側ベースプレートの一部が棚状に該反対側に飛び出した段差部があり、該段差部に、前記シャーシと接合するための螺子孔が設けられ、
    前記アース側ベースプレートの窓ガラス板との接合部分には、該窓ガラス板側に向けて突出する突出部が設けられ、さらに、アース側ベースプレートの、該接合部分とは反対側の面には、アース側ベースプレートの一部が棚状に該反対側に飛び出した段差部があり、該段差部に、シャーシと接合されるための螺子孔が設けられている請求項1に記載のガラスアンテナ用回路モジュール。
  3. 前記シャーシの収納空間は、平面上の底部と該平面の縁部の一部分から立設する壁面とで形成されており、
    収納空間内のシャーシの底部の面には、前記アース側ベースプレートの段差部に対応するように、該底部の面から収納空間内に棚状に飛び出した段差部があり、該段差部にシャーシの底部を貫通する貫通孔が設けられており、
    さらに、シャーシの壁面には、前記ケースを係止するための係止孔が設けられている請求項1又は2に記載のガラスアンテナ用回路モジュール。
  4. 前記アンテナ周辺回路がアンプ回路であり、
    前記回路基板は、前記シャーシの壁面に設けられた収納空間内に突設する突設部に支持され、かつ、該壁面の端に縁部の周方向に延在した爪部を該収納空間側に曲げて、支持された回路基板を該爪部により、回路基板の、シャーシの底部とは反対側の該回路基板の面を押さえることにより、該回路基板は該収納空間に支持固定される請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスアンテナ用回路モジュール。
  5. 前記モジュール本体は、前記収納空間を有する前記シャーシの他に、前記回路基板に設けられている前記アンテナ周辺回路の入力端と電気的に接続され、シャーシの収納空間から外に延びる金属プレートを備え、該金属プレートの、該収納空間とは反対側に位置する端又は領域は、前記給電側ベースプレートと接合される請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスアンテナ用回路モジュール。
  6. 前記ケースは、前記シャーシの係止孔と係合する係止爪が設けられている請求項3に記載のガラスアンテナ用回路モジュール。
  7. 前記モジュール本体は、前記収納空間を有する前記シャーシの他に、前記回路基板に設けられている前記アンテナ周辺回路の入力端と電気的に接続され、シャーシの収納空間から外に延びる金属プレートをモジュール本体の給電側端子として備え、該金属プレートの、該収納空間とは反対側に位置する端又は領域には、貫通孔が設けられ、該貫通孔を貫通した螺子を前記給電側ベースプレートの前記螺子孔で螺子止めすることによりモジュール本体と給電側ベースプレートとを接合し、
    さらに、収納空間内のシャーシの底部は、前記アース側ベースプレートの段差部に対応するように、該底部の面から該収納空間内に棚状に飛び出した段差部をモジュール本体のアース側端子として備え、該段差部にシャーシの底部を貫通する貫通孔が設けられており、該貫通孔を貫通した螺子をアース側ベースプレートの該螺子孔で螺子止めすることによりシャーシとアース側ベースプレートとが接合される請求項2に記載のガラスアンテナ用回路モジュール。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラスアンテナ用回路モジュールを組み立てる際に、
    前記アース側ベースプレートを、両面テープ及び接着剤を用いて前記窓ガラス板に接着することを特徴とするガラスアンテナ用回路モジュールの組み立て方法。
  9. 記アース側ベースプレートが、両面テープ及び接着剤を用いて前記窓ガラス板に接着された後、前記窓ガラス板上に設けられた金属層と半田付けにより接続される請求項8に記載のガラスアンテナ用回路モジュールの組み立て方法。
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