JP4837888B2 - コンホメーションが拘束された副甲状腺ホルモン(pth)類似体 - Google Patents

コンホメーションが拘束された副甲状腺ホルモン(pth)類似体 Download PDF

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、コンホメーションが拘束された副甲状腺ホルモン(PTH)類似体、ならびに該PTH類似体を製造および使用する方法に関する。
背景技術
副甲状腺ホルモン
副甲状腺ホルモン(PTH)は84個のアミノ酸のペプチドであり、人体におけるイオン化された血中カルシウムの主要なレギュレーターである(Kronenberg, H. M., et al., In Handbook of Experimental Pharmacology, Mundy, G.R. , and Martin, T.J., (eds), pp. 185-201, Springer-Verlag, Heidelberg (1993))。胃腸系、骨格系、神経系、神経筋系および心血管の正常な機能にはカルシウム濃度の調節が不可欠である。PTHの合成および放出は主として血清カルシウムレベルによって制御され、低レベルであればホルモンの合成と放出の双方が刺激され、高レベルであれば抑制される。そして、PTHは、消化管、骨および腎臓という3つのカルシウム交換部位においてカルシウムの血中流入を直接的または間接的に促進することによって、血清のカルシウムレベルを維持する。PTHは、腎臓での活性型ビタミンDの合成を有利にすることにより、カルシウムの正味の胃腸管吸収に寄与する。PTHは、骨を再吸収する細胞である破骨細胞の分化を刺激することにより、骨からのカルシウムの再吸収を間接的に促進する。また、これは、尿細管のカルシウム再吸収の刺激、リン酸塩クリアランスの増進および活性型ビタミンDの合成を完了させる酵素の増強促進という、腎臓に対する少なくとも3つの主な作用をも媒介する。PTHは、主として、受容体を媒介とするアデニル酸シクラーゼおよび/またはホスホリパーゼCの活性化により、これらの作用を発揮するものと考えられている。
カルシウムホメオスタシスの混乱は多くの臨床疾患(例えば、重篤な骨の疾病、貧血症、腎臓障害、潰瘍、筋疾患および神経障害)をもたらし、通常、これらは副甲状腺ホルモンのレベルの変化をもたらす病態に起因するものである。高カルシウム血症は、血清カルシウムレベルの上昇を特徴とする病態である。これは主に、副甲状腺の障害(例えば、腺腫、過形成または癌腫)の結果として過剰なPTH産生が起こる上皮小体機能亢進症を伴うことが多い。別のタイプの高カルシウム血症である悪性腫瘍の体液性高カルシウム血症(HHM)は、最もよくある不規則過形成症候群である。ほとんどの例において、それは、腫瘍(例えば、扁平上皮癌、腎臓癌、卵巣癌、または膀胱癌)によるPTHと相同なアミノ酸を有するタンパク質ホルモンクラスの産生に起因していると思われる。これらPTH関連タンパク質(PTHrP)は、PTHの有する所定の腎臓作用および骨格作用を模倣すると思われ、これらの組織におけるPTH受容体と相互作用すると考えられている。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は、高齢者人口のかなりの部分、妊婦、さらに若年層にさえ見られる、肢体が不自由になる可能性のある骨格系疾患である。骨粗鬆症とは異種の疾患群をさす。臨床的には、骨粗鬆症はI型とII型に分かれる。I型骨粗鬆症は主として中年の女性において起こり、更年期のエストロゲン低下と関連しており、II型骨粗鬆症は加齢と関連している。骨粗鬆症患者にとっては、骨折修復を促進するためにデザインされた新規な治療法、または疾病に関連する骨折を予防もしくは軽減するためにデザインされた治療法が有用であると考えられる。
この疾病は、骨量の低下、骨のミネラル濃度(BMD)の低下、骨強度の低下、および骨折リスクの上昇を特徴とする。これまでに、エステロゲン、カルシトニンおよびビスホスホネートによる骨粗鬆症の効果的な治癒は見出されておらず、この疾病の治療にはエチドロネートおよびアレンドロネートが用いられているが、成功の程度は様々である。これらの薬剤は骨再吸収を低下させる働きをする。副甲状腺ホルモンは血中カルシウムおよびリン酸塩レベルを調節し、間欠的に投与した場合、動物(Shen, V., et al., Calcif Tissue Int. 50:214-220 (1992); Whitefild, J. F., et al., Calcif Tissue Int. 56:227-231 (1995)およびWhitfield, J.F., et al., Calcif Tissue Int. 60:26-29 (1997))およびヒト(Slovik, D.M., et al., J. Bone Miner. Res. 1:377-381 (1986); Dempster, D.W., et al., Endocr. Rev. 14:690-709 (1993)およびDempster, D.W., et al., Endocr. Rev. 15:261 (1994))において骨格系に対する強い同化(骨形成)作用を有するので、PTHまたはPTH誘導体は、骨粗鬆症の新しい効果的な治療法のための有力な候補となる。
PTH誘導体
PTH誘導体としては、完全長分子に対してアミノ酸置換を有するか、または末端切断型であるポリペプチドが挙げられる。PTHの14アミノ酸および34アミノ酸の両アミノ末端切断型、ならびにC末端切断型が研究されている。さらに、これらの末端切断型ポリペプチド内のアミノ酸置換も検討されている。
合成PTH(1−34)はほとんどの細胞に基づくアッセイ系で完全な生物活性を示し、動物の骨量に強い同化作用を有し、最近では閉経後骨粗鬆症の女性において骨折のリスクを軽減することが示されている(Neer, R.M., et al., N.E.J.M. 344:1434-1441 (2001); Dempster, D.W., et al., Endocr Rev 14:690-709 (1993))。PTHは、PTH/PTHrP受容体(P1R)、アデニリルシクラーゼ/CAMPと共役するクラスIIGタンパク質共役7重らせん受容体およびホスホリパーゼ(phospolipase)C/リン酸イノシトール(IP)シグナル伝達経路に作用する(Rippner, H., et al., Science 254:1024-1026(1991))。欠失分析により、PTHのアミノ末端残基が、P1Rを刺激してcAMPおよびIPシグナル伝達経路に作用する上で重要な役割を果たしていることがわかっている(Tregear, G.W., et al., Endocrinology 93:1349-1353 (1973); Takasu, H., et al., Biochemistry 38:13453-13460 (1999))。架橋および受容体突然変異誘発研究では、PTHのアミノ末端部分が、その受容体の膜近傍領域に存在する7回膜貫通ヘリックスの細胞外ループおよび細胞外末端と相互作用することが示されている(Bergwitz, C., et al., J. Biol. Chem. 271:26469-26472 (1996); Hoare, S.R.J., et al., J. Biol. Chem 276:7741-7753 (2001); Behar, V., et al., J. Biol. Chem. 275:9-17 (1999); Shimizu, M., et al., J. Biol. Chem. 275:19456-19460 (2000); Luck, M.D., et al., Molecular Endocrinology 13:670-680 (1999))。
発明の概要
本発明によれば、そのポリペプチド内の選択された位置にアミノ酸置換を含む新規なPTHポリペプチド誘導体が提供される。これらの誘導体は、PTH−1受容体の完全またはほぼ完全なアゴニストとして機能する。それらの独特な特性のため、これらのポリペプチドは、骨粗鬆症などのヒトの骨格系疾患を治療するための薬物としての有用性を有する。
本発明によれば、PTH(1−21)、PTH(1−20)、PTH(1−19)、PTH(1−18)、PTH(1−17)、PTH(1−16)、PTH(1−15)、PTH(1−14)、PTH(1−13)、PTH(1−12)、PTH(1−11)およびPTH(1−10)ポリペプチドの誘導体が提供され、ここで各ポリペプチド中の少なくとも1つの残基は、ヘリックス、好ましくはαヘリックスを安定化する残基である。また、本発明によれば、このようなペプチドを製造する方法も提供される。さらに、本発明は、望ましくない骨欠損のリスクのある脊椎動物におけるこのような骨欠損の制限、望ましくない骨欠損を特徴とし、または骨増殖が必要であることを特徴とする病態の治療、例えば骨折または軟骨障害の治療、および必要と考えられる場合における細胞のcAMPレベルの上昇に用いられる組成物および方法を包含する。
本発明の一つの態様によれば、生物学的に活性なペプチドであって、本質的に、X01ValX02GluIleGlnLeuMetHisX0304050607(配列番号1)(ここで、X01はαヘリックス安定化残基、デスアミノGly、デスアミノSerまたはデスアミノAlaであり;X02はαヘリックス安定化残基、Ala、またはSerであり;X03はAla、GlnまたはAsnであり;X04はArg、HarまたはLeuであり;X05はαヘリックス安定化残基、AlaまたはGlyであり;X06はαヘリックス安定化残基またはLysであり;X07はαヘリックス安定化残基、TrpまたはHisであり;かつ、X01、X02、X03、X04、X05、X06またはX07の少なくとも1つはαヘリックス安定化残基である)からなるペプチドが提供される。
本発明の他の態様によれば、αヘリックス安定化アミノ酸がAib、ACPC(1−アミノシクロプロピルカルボン酸)、DEG(ジエチルグリシン)および1−アミノシクロペンタンカルボン酸からなる群から選択されるものである、配列番号1が提供される。本発明の他の態様によれば、αヘリックス安定化アミノ酸がAibである、配列番号1が提供される。
さらに、本発明によれば、配列番号1のペプチドの断片、特に、X01ValX02GluIleGlnLeuMetHisX03040506(配列番号12)、X01ValX02GluIleGlnLeuMetHisX030405(配列番号13)、X01ValX02GluIleGlnLeuMetHisX0304(配列番号14)およびX01ValX02GluIleGlnLeuMetHisX03(配列番号15)が提供される。本発明はさらに、上記のペプチドの医薬上許容される塩、および前記ペプチドのN誘導体またはC誘導体を包含する。本発明の好ましい実施態様によれば、C末端アミドを含む上述のいずれかのポリペプチドが提供される。
さらに、本発明によれば、生物学的に活性なポリペプチドであって、本質的に、AibValAibGluIleGlnLeuNleHisGlnHarAlaLysTrpLeuAlaSerValArgArgTyr(配列番号8);アミノ酸1−20、1−19、1−18、1−17、1−16または1−15を含むその断片;その医薬上許容される塩;またはそのN誘導体またはC誘導体、からなるポリペプチドが提供される。
さらに、本発明によれば、放射性ラベル、蛍光ラベル、生物発光ラベルまたは化学発光ラベルからなる群から選択されるラベルで標識されたいずれかの上記ポリペプチドが提供される。好ましい実施態様では、前記放射性ラベルは125Iまたは99mTcとされる。
生物学的に活性な上記ペプチドの好ましい実施態様としては、AibValSerGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHis(配列番号2);デスアミノAlaValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHis(配列番号3);デスアミノSerValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHis(配列番号4);デスアミノGlyValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHis(配列番号5);AibValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号6);AibValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHis(配列番号7);AibValAlaGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号9);AlaValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号10);SerValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号11);およびAibValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHar(配列番号16)が挙げられる。アミノ酸1−10、1−11、1−12または1−13を含む上記ペプチドの断片もまた、本発明の実施態様であると考えられる。本発明はさらに、上記ペプチドの医薬上許容される塩および前記ペプチドのN誘導体またはC誘導体を包含する。
Aibと置換される他の拘束アミノ酸としては、ACPC(1−アミノシクロプロピルカルボン酸)、DEG(ジエチルグリシン)および1−アミノシクロペンタンカルボン酸がある。
本発明のさらに別の態様によれば、PTH誘導体と、医薬上許容される賦形剤、および/または生理食塩水などの医薬上許容される溶液もしくは生理学的に緩衝化された溶液とを含んでなる医薬組成物が提供される。
また、本発明によれば、骨量の低下を特徴とする哺乳動物の病態を治療する方法であって、それを必要とする被験体に有効な骨量増進量の生物学的に活性なPTHポリペプチドを投与することを含んでなる方法が提供される。本発明の好ましい実施態様によれば、骨粗鬆症などの病態が対象となる。骨粗鬆症のタイプとしては、限定されるものではないが、老年性骨粗鬆症および閉経後骨粗鬆症が挙げられる。さらなる好ましい実施態様によれば、前記ポリペプチドの有効量約0.01μg/kg/日〜約1.0μg/kg/日が用いられ、前記ポリペプチドは非経口、皮下または鼻腔通気により投与される。
本発明のさらに別の態様によれば、骨再形成、骨再吸収および/または骨再構築の速度を調べる方法であって、患者に有効量の標識したPTHポリペプチド、例えば配列番号1またはその誘導体などを投与し、患者の骨への前記ペプチドの取り込みを調べることを含んでなる方法が提供される。このペプチドは、放射性ラベル、蛍光ラベル、生物発光ラベルまたは化学発光ラベルからなる群から選択されるラベルで標識されている。好適な放射性ラベルの例としては、99mTcがある。
さらに、本発明によれば、PTH−1受容体を有する哺乳動物細胞においてcAMPを増加させる方法であって、前記細胞にcAMPを増加させるのに十分な量の本発明によるポリペプチドを接触させることを含んでなる方法が提供される。
また、本発明によれば、AlaValSerGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuAlaSerValGluArgMetGlnTrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnPhe(配列番号30)で示されるラットPTH(1−34)(rPTH(1−34))の誘導体、およびSerValSerGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuAsnSerMetGluArgValGluTrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnPhe(配列番号31)で示されるヒトPTH(1−34)(hPTH(1−34))の誘導体が提供される。
本発明の他の態様によれば、生物学的に活性なペプチドであって、本質的に、式X01ValX02GluIleGlnLeuX03HisX0405060708LeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号19)(ここで、X01はαヘリックス安定化残基、デスアミノGly、デスアミノSerまたはデスアミノAlaであり;X02はαヘリックス安定化残基、AlaまたはSerであり;X03はMetまたはNleであり;X04はAla、GlnまたはAsnであり;X05はArg、HarまたはLeuであり;X06はαヘリックス安定化残基、AlaまたはGlyであり;X07はαヘリックス安定化残基またはLysであり;X08はαヘリックス安定化残基、TrpまたはHisであり;X09はAlaまたはAsnであり;X10はMetまたはValであり;X11はArgまたはGluであり;X12はMetまたはValであり;X13はGlnまたはGluであり;X14はTyrまたはPheであり;かつ、X01、X02、X06、X07またはX08の少なくとも1つはαヘリックス安定化残基である)からなるペプチドが提供される。また、本発明によれば、アミノ酸1−33、1−32、1−31、1−30、1−29、1−28、1−27、−26、1−25、1−24、1−23、1−22、1−21、1−20、1−19、1−18、1−17、1−16、1−15、1−14、1−13、1−12または1−11を含むその断片が提供される。また、本発明によれば、配列番号19または上記断片の医薬上許容される塩およびN誘導体またはC誘導体が提供される。
本発明の他の態様によれば、αヘリックス安定化アミノ酸がAib、ACPC(1−アミノシクロプロピルカルボン酸)、DEG(ジエチルグリシン)および1−アミノシクロペンタンカルボン酸からなる群から選択されるものである、配列番号19が提供される。本発明の他の態様によれば、αヘリックス安定化アミノ酸がAibである配列番号19が提供される。
本発明の他の態様によれば、具体的には、下記ペプチド:AibValSerGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号20);デスアミノAlaValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号21);デスアミノSerValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号22);デスアミノGlyValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号23);AibValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarGlyLysTrpLeuX09SerX1011ArgX2X13TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号24);AibValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号25);AibValAlaGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrpLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号26);AlaValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrpLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号27);およびSerValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrpLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号28)が提供される。X09、X10、X11、X12、X13およびX14は配列番号19に関して定義されたものと同じ意味を有する。また、本発明によれば、上記ペプチドの医薬上許容される塩、またはN誘導体もしくはC誘導体が提供される。
また、本発明によれば、生物学的に活性なペプチドであって、本質的に、式AibValAibGluIleGlnLeuNleHisGlnHarAlaLysTrpLeuAlaSerValArgArgX12X13TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号29)(ここで、X12はMetまたはValであり;X13はGlnまたはGluであり;かつ、X14はTyrまたはPheである)から選択される式からなるペプチドが提供される。また、本発明によれば、配列番号29の医薬上許容される塩、またはN誘導体もしくはC誘導体が提供される。また、本発明によれば、アミノ酸1−33、1−32、1−31、1−30、1−29、1−28、1−27、1−26、1−25、1−24、1−23、1−22、1−21、1−20、1−19、1−18、1−17、1−16、1−15、1−14、1−13、1−12、または1−11を含むその断片が提供される。
本発明の他の態様によれば、配列番号19、配列番号29または上記ペプチドのいずれかが標識されている。本発明の他の態様によれば、配列番号19、配列番号29または上記ペプチドのいずれかは、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、放射性ラベル、125Iまたは99mTcで標識されている。
本発明の他の態様によれば、生物学的に活性なペプチドである配列番号19、配列番号29または上記ペプチドのいずれかと、医薬上許容される担体とを含んでなる医薬組成物が提供される。
本発明の他の態様によれば、骨量の減少を特徴とする哺乳動物の病態を治療する方法であって、それを必要とする被験体に有効な骨量増進量の、配列番号19、配列番号29の生物学的に活性なペプチドまたは上記ペプチドのいずれかを投与することを含んでなる方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、骨量の減少を特徴とする哺乳動物の病態を治療する方法であって、それを必要とする被験体に有効な骨量増進量の、配列番号19、配列番号29の生物学的に活性なペプチドまたは上記ペプチドのいずれかと医薬上許容される担体とを含んでなる組成物を投与することを含んでなる方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、治療する病態は、骨粗鬆症、老年性骨粗鬆症または閉経後骨粗鬆症である。本発明の他の態様によれば、配列番号19、配列番号29または上記ペプチドのいずれかの骨量増進に有効な量は、約0.01μg/kg/日〜約1.0μg/kg/日である。本発明の他の態様によれば、投与方法は非経口、皮下または鼻腔通気とされる。
本発明の他の態様によれば、骨再形成、骨再吸収および/または骨再構築の速度を調べる方法であって、患者に有効量の配列番号19、配列番号29または上記ペプチドのいずれかを投与し、患者の骨への前記ペプチドの取り込みを調べることを含んでなる方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、ペプチドが固相合成によって合成される、配列番号19、配列番号29または上記ペプチドのいずれかを製造する方法が提供される。
本発明の他の態様によれば、ペプチドがFMOCによって保護される、配列番号19、配列番号29または上記ペプチドのいずれかを製造する方法が提供される。
発明の具体的説明
定義
アミノ酸配列:本願のアミノ酸配列には、アミノ酸の一文字または三文字のいずれかの表記を用いる。これらの表記法は当業者に周知ものであり、例えばCooper, G.M., The Cell 1997, ASM Press, Washington, D.C.またはAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, 1994などの容易に利用できる多くの参考文献において見出すことができる。例えば、Ser−3→Alaまたは[Ala]ペプチドなどのように配列における置換が言及されている場合、そのポリペプチドのN末端から3番目のセリンが別のアミノ酸、この場合にはアラニンで置換されていることを意味する。
本願では、[M]PTH(1−14)は[Ala3,12,Gln10,Har11,Trp14]PTH(1−14)アミドとして定義される。[M]PTH(1−21)は[Ala3,12,Nle,Gln10,Har11,Trp14,Arg19,Tyr21]PTH(1−21)アミドとして定義される。[M]PTH(1−11)は[Ala,Gln10,Har11]PTH(1−11)アミドとして定義される。
本願では、「Aib」はα−アミノイソ酪酸を意味し、「Har」はホモアルギニンを意味し、「Nle」はノルロイシンを意味し、その他のアミノ酸は通常の一文字または三文字表記である。
タンパク質の生物学的活性:この表現はポリペプチドのいずれの生物学的活性をもさす。これらの活性の例としては、限定されるものではないが、配列番号1または配列番号8の化合物またはその誘導体の代謝機能または生理機能が挙げられ、同等の活性または改良された活性、あるいは望ましくない副作用を低下させた活性を含む。また、上記化合物の抗原活性および免疫活性も含まれる。
誘導体または機能性誘導体:「誘導体」または「機能性誘導体」とは、前記PTH分子の「変異体」、「誘導体」または「化学誘導体」を含むものとする。例えば、配列番号1の化合物またはその誘導体などの「変異体」分子は、完全分子またはその断片と実質的に同等な分子をさすことを意味する。例えば、配列番号1の化合物またはその誘導体などの分子の「類似体」は、配列番号1の分子またはその断片と実質的に同等な非天然型分子をさすことを意味する。
PTH誘導体は、同じ大きさの天然型PTHポリペプチドに対するポリペプチドの変化を含む。天然型PTH(1−14)ポリペプチドの配列は、配列番号17(ヒトPTH(1−21))または配列番号18(ラットPTH(1−21))の最初の14個のアミノ酸である。両分子のアミノ酸配列が実質的に同じである場合、また、両分子が同じ生物学的活性を有する場合に、ある分子はもう一方の分子と「実質的に同等」といわれる。このように同等の活性を有する2つの分子は、たとえこれらの分子の一方が他方には見られない付加的なアミノ酸残基を含んでいても、あるいはアミノ酸配列が同一でなくとも、本明細書で用いる場合、変異体、誘導体または類似体であると考えられる。しかし、PTH誘導体は天然分子と実質的に同等な生物学的活性を必ずしも有する必要はない。PTH誘導体は、天然PTHとは実質的に異なる活性を有する場合もある。例えば、誘導体は、PTH受容体のアンタゴニストまたはアゴニストのいずれかでありうる。
本明細書において、ある分子が通常その分子の一部ではない付加的な化学部分を含んでいる場合、その分子は別の分子の「化学誘導体」であるといわれる。このような部分は、その分子の溶解度、吸収、生体半減期などを改良しうるものである。あるいは、このような部分は、分子の毒性を軽減したり、分子の望ましくない副作用を除去または緩和したりするものでありうる。このような作用を媒介しうる部分の例としては、Remington's Pharmaceutical Sciences (1980)に開示されており、当業者には明らかであろう。
断片:例えば配列番号1またはその誘導体などの分子の「断片」は、これらの分子のいずれかのポリペプチドサブセットをさすことを意味する。
融合タンパク質:「融合タンパク質」とは、例えば配列番号1またはその誘導体などの化合物を、そのN末端に連結された「選択的切断部位」(これは次に付加的なアミノ酸リーダーポリペプチド配列と連結される)とともに、またはそれを伴わずに含んでなる融合タンパク質をいう。
ポリペプチド:ポリペプチドおよびペプチドは互換的に用いられる。ポリペプチドとは、ペプチド結合または修飾ペプチド結合によって相互に連結している2以上のアミノ酸を含んでなる全てのポリペプチドまたはタンパク質、すなわちペプチド同配体(peptide isosteres)をいう。「ポリペプチド」とは、一般に、ペプチド、オリゴペプチドまたはオリゴマーと呼ばれる短鎖と、通常タンパク質と呼ばれる長鎖の双方をさす。ポリペプチドは、遺伝子にコードされている20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含んでもよく、翻訳後プロセシングなどの天然のプロセスによるか、または当技術分野で周知の化学修飾技術によって修飾されたアミノ酸を含んでいてもよい。このような修飾については、基礎的なテキストおよびより詳細な単行本、ならびに研究論文に記載されている。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含め、ポリペプチドのどの場所でも行うことができる。同じタイプの修飾をあるポリペプチドの数カ所で同じ程度または異なる程度で行ってもよいと考えられる。また、あるポリペプチドが多くのタイプの修飾を含んでいてもよい。
ポリペプチドは分枝していてもよく、分枝を伴った、または分枝を伴わない環状であってもよい。環状分枝および分枝環状ポリペプチドは、翻訳後修飾から得られることもあるし、合成法により作出することもできる。修飾としてはアセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホフホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化やユビキチン化などトランスファーRNAにより媒介されるタンパク質へのアミノ酸付加が挙げられる。例えば、Proteins-Structure and Molecular Properties, 2nd Ed. , T. E. Creighton, W. H. Freeman and Company, New York, 1993およびWold, F., Posttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects, pgs.1-12 in Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B. C. Johnson, Ed., Academic Press, New York, 1983; Seifter et al., "Analysis for protein modifications and nonprotein cofactors", Methods in Enzymol. 182:626-646 (1990)およびRattan et al., "Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging", Ann NY Acad Sci 663: 48-62 (1992)を参照されたい。
PTH類似体−構造および機能的特性
α−アミノイソ酪酸(Aib)を短いN末端PTHペプチド類似体へ導入した。種々の極性または非極性溶媒でPTH(1−34)類似体のNMR研究を何度も行ったところ、ほぼSer−17からVal−31まで伸びる安定なC末端ヘリックス、およびSer−3からLys−13まで様々な伸びを示す、より短く、安定度の低いアミノ末端ヘリックスの2つのドメインの二次構造が示され、この2つのドメインは屈曲または折り返し領域によって連結されていた(Marx, U.C., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 267:213-220 (2000); Chen, Z., et al., Biochemistry 39:12766-12777 (2000); Marx, U.C., et al., J. Biol. Chem. 270:15194-15202 (1995); Marx, U.C., et al., J. Biol. Chem. 273:4308-4316 (1998); Pellegrini, M., et al., Biochemistry 37:12737-12743 (1998); Gronwald, W., etal., Biol. Chem. Hoppe Seyler 377:175-186 (1996); Barden, J.A., and Kemp, B.E., Biochemistry 32:7126-7132 (1993))。最近のPTH(1−34)の結晶学的研究では、Ser−3からHis−32まで伸び、中間部にわずか15°の屈曲しか含まない連続したαヘリックスが示されている。しかし、NMRデータからは、このN末端αヘリックスが比較的弱いことが示されている。Aib残基の導入など、ヘリックスを安定化する修飾により、ペプチド特性という点で著しい利点が得られ、PTH(1−34)に匹敵する活性を有する短いペプチド(≦14アミノ酸)が得られる。
本明細書では、簡単な非注入的方法により送達できるよう、十分に小さい新規な「最小化した」PTH変異体が開示される。本発明による変異体は、ポリペプチドの最初の14個のアミノ酸内に置換を含む。新規なポリペプチドは、成熟PTHポリペプチドの1−21、1−20、1−19、1−18、1−17、1−16、1−15、1−14、1−13、1−12、1−11および1−10アミノ酸配列に相当する。より短い変異体(≦PTH1−14)は2,000ダルトン未満の分子量を有する。
天然型ヒトPTH(1−21)ペプチドの一次アミノ酸配列(N末端→C末端)はSerValSerGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuAsnSerMetGluArgVal(配列番号17)であり、天然型ラットPTH(1−21)はAlaValSerGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuAlaSerValGluArgMet(配列番号18)である。
タンパク質産物として本明細書に記載の化合物は、液相または固相ペプチド合成の技術による生産に従う。特に、固相ペプチド合成技術はヒトPTHの生産に好適に応用され、これらの化合物の生産のために使用できる(指針としては、Kimura et al., 上記,参照およびFairwell et al., Biochem. 22:2691 (1983)参照)。比較的大きなスケールでヒトPTHを好適に生産できたことが、Goud et al.によりJ. Bone Min. Res. 6(8):781 (1991)で報告されている。合成ペプチド合成アプローチは通常、自動合成装置と配列番号1の目的化合物またはその誘導体のC末端アミノ酸を結合させる固相として適当な樹脂の使用を必要とする。その後、合成が完了するまで、典型的にはFMOCまたはBOCいずれかに基づく化学プロトコールを用い、次の目的アミノ酸の適宜保護された形態を連続的に結合させることにより、N末端方向にペプチドの伸張を行う。次に、通常は樹脂からペプチドを切断すると同時にペプチドから保護基を切断した後、ペプチドを単離し、溶媒としてアセトニトリル、そしてイオン対合剤としてトリフルオロ酢酸を用い、逆相HPLCなどの通常の技術を用いて精製する。このような手法は一般に多くの刊行物に記載されており、例えば、Stewart and Young, "Solid Phase Peptide Synthesis, "2nd Edition, Pierce Chemical Company, Rockford, IL (1984)を参照すればよい。このペプチド合成アプローチは、例えば、配列番号1、およびAibなどの遺伝的にコードされていないアミノ酸を組み込んだその誘導体などの生産に必要となると考えられる。
本発明の他の態様によれば、当技術分野で公知の標準的な方法により、本発明による化合物のN末端アミノ酸の遊離アミンに置換基を結合させる。例えば、アルキル基、例えばC1−12アルキルを還元的アルキル化を用いて結合させる。また、ヒドロキシアルキル基、例えばC1−12ヒドロキシアルキルも還元的アルキル化を用いて結合させ、ここで水酸基はt−ブチルエステルで保護する。アシル基、例えばCOEは、遊離の酸、例えばECOOHをN末端アミノ酸の遊離のアミノと共役させることによって結合させる。さらに、ポリペプチドのC末端のありうる化学修飾も、本発明の範囲内に包含される。これらの修飾は受容体に対する結合親和性を改変しうる。
また、例えば、配列番号1、および二次または三次構造が変更されている、かつ/または安定性が変更されているがなお生物学的活性を保持するその誘導体などの化合物も、本発明の範囲内にあると考えられる。このような誘導体は、ラクタム環化、ジスルフィド結合または当業者に公知のその他の方法で達成されうる。
本発明による化合物の有用性および投与
本発明による化合物またはその誘導体は、多数の用途を有する。これらには、とりわけ、PTH受容体のアゴニストまたはアンタゴニスト、骨量の減少によって顕現する種々の哺乳動物の病態の予防および治療、診断プローブ、診断プローブとして用いるための抗体を調製するための抗原、および分子量マーカーとしての使用がある。PTHポリペプチドの1以上のアミノ酸を特異的に置換することができれば、特定の分子量のポリペプチドを構築することができる。
特に、本発明による化合物は、ヒトにおける骨粗鬆症およびオステオペニアの予防的または治療的処置において必要とされる。また、本発明による化合物は、他の骨疾患の予防的または治療的処置においても必要とされる。本発明による化合物はまた、上皮小体機能低下症の予防的または治療的処置においても必要とされる。最後に、本発明による化合物は、骨折修復のアゴニストとして、また、高カルシウム血症のアンタゴニストとして用いるためにも指示される。
一般に、本発明による化合物またはその塩は、約0.01〜1μg/kg体重/日、好ましくは約0.07〜約0.2μg/kg体重/日の間の量で投与される。50kgの女性被験者では、生物学的に活性な化合物の一日量は、約0.5〜約50μg、好ましくは約3.5〜約10μgである。ウマ、イヌおよびウシなどの他の哺乳動物では、それより高い用量が必要となる場合がある。この用量は、最も有効な結果を得るための条件に応じて、単回投与により、複数回投与により、または徐放を利用して、好ましくは1日1回以上の注射により、通常の医薬組成物として送達してもよい。例えば、この用量は、鼻腔通気により通常の医薬組成物として送達してもよい。
正確な用量および組成物および最適な送達法の選択は、とりわけ、選択された本発明による化合物の薬理特性、治療する病態の性質および重篤度、ならびにレシピエントの健康状態および精神力によって左右される。
代表的な好ましい送達法としては、限定されるものではないが、経口、非経口、皮下、経皮(transcutaneous)、筋肉内および静脈内、直腸、口内(舌下を含む)、経皮(transdermal)、および鼻腔通気が挙げられる。
医薬上許容される塩は、有毒な副作用がなく、本発明による化合物の目的の生物学的活性を保持している。このような塩の例としては、(a)例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などのような無機酸を伴って形成された酸付加塩;ならびに例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などのような有機酸を伴って形成された塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどの多価金属陽イオンを伴って、またはN,N’−ジベンジルエチレンジアミンまたはエチレンジアミンから形成された有機陽イオンを伴って形成された塩基付加塩;あるいは(c)前記(a)と(b)の組合せ、例えば亜鉛タンニン酸塩などが挙げられる。医薬上許容されるバッファーとしては、限定されるものではないが、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水が挙げられる。また、これらの溶液は、当業者に公知の許容される保存剤を含んでもよい。
本発明のさらなる態様によれば、有効成分として本発明による化合物または本発明によるその誘導体、あるいはその医薬上許容される塩を、医薬上許容される無毒な担体と混合して含んでなる医薬組成物が提供される。上記のように、このような組成物は非経口(皮下、経皮、筋肉内および静脈内)投与向けに、好ましくは液剤または懸濁剤の形態で;経口または口内投与向けに、特に錠剤またはカプセル剤の形態で;また、鼻腔内投与向けに、特に散剤、点鼻剤またはエアゾールの形態で調製することができる。
これらの組成物は、便宜には単位投与形で投与でき、例えば、引用することにより本明細書の一部とされるRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985)に記載されるような、製薬分野で周知の方法のいずれを用いて調製してもよい。非経口投与用製剤は、賦形剤として滅菌水または生理食塩水、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物起源のオイル、水素化ナフタレンなどを含んでいてもよい。経口投与用としては、製剤は、胆汁またはアシルカルニチンの添加によって増強することができる。鼻腔投与用製剤は固形であってもよく、例えばラクトースまたはデキストランなどの賦形剤を含んでいてもよく、あるいは点鼻剤または計量スプレーの形態で用いるための水溶液または油性溶液であってもよい。口内投与用としての典型的な賦形剤としては、糖類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルファー化デンプンなどが挙げられる。
最も好ましい投与経路である鼻腔投与向けに製剤化する場合、約0.2〜15重量%の間、好ましくは約0.5〜4重量%の間、最も好ましくは約2重量%の量の、例えばグリココール酸、コール酸、タウロコール酸、エトコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、グリコデオキシコール酸、シクロデキストリンなどのような界面活性の酸により鼻粘膜からの吸収を増強してもよい。
本発明による化合物の、長期、例えば1週間〜1年などにわたる被験体への送達は、所望の放出期間、十分な有効成分を含有する徐放系の単回投与によって達成しうる。モノリシック型またはリザーバー型マイクロカプセル、デポーインプラント、オスモティックポンプ、小胞、ミセル、リポソーム、経皮パッチ、イオン導入デバイス、および選択的注射投与形などの種々の徐放系がこの目的のために用いられる。有効成分の送達が望まれる部位へ局在させられることがいくつかの徐放性デバイスの付加的な特徴であり、特定の疾患の治療に有益であることがわかるであろう。
徐放性製剤の一つの形態は、Kent, Lewis, Sanders, and Tice,米国特許第4,675,189号明細書の先駆的研究に記載されているように、乳酸/グリコール酸共重合体など、分解が遅く、無毒で非抗原性のポリマーに分散または封入したポリペプチドまたはその塩を含む。また、これらの化合物または好ましくはそれらの比較的不溶性の塩を、コレステロールまたはその他の脂質マトリックスペレット、またはシラストマーマトリックスインプラント中に製剤化してもよい。その他の徐放性デポーインプラントまたは注射製剤も当業者には明らかである。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978、およびR.W. Baker, Controlled Release of Biologically Active Agents, John Wiley & Sons, New York, 1987を参照されたい。
PTHと同様に、PTH変異体も、ある臨床症状を治療する上で有用な他の薬剤と組み合わせて投与してもよい。例えば、骨粗鬆症およびその他の骨関連疾患を治療する場合、PTH変異体をダイエタリーカルシウムサプリメントまたはビタミンD類似体とともに投与してもよい(米国特許第4,698,328号明細書参照)。あるいは、PTH変異体は、例えば米国特許第4,761,406号明細書に記載のように、ビスホスホネートとともに、または限定されるものではないがカルシトシンおよびエストロゲンなどの1以上の骨治療薬とともに、好ましくは周期的治療法を用いて投与してもよい。
PTH類似体受容体シグナル伝達活性
ホルモン作用の発現における重要な工程は、ホルモンと標的細胞の原形質膜表面上の受容体との相互作用である。ホルモン−受容体複合体が形成されることにより、細胞に細胞外シグナルが伝達され、種々の生体応答が誘起される。
本明細書に記載のポリペプチドは、cAMP蓄積アッセイを用い、アゴニストまたはアンタゴニスト特性に関してスクリーニングすることができる。細胞表面でPTH−1受容体を発現する細胞は、2mMのIBMX(3−イソブチル−1−メチル−キサンチン,Sigma, St. Louis, MO)の存在下、37℃で5〜60分間、天然型PTH(1−84)とともにインキュベートする。サイクリックAMPの蓄積は、特異的ラジオイムノアッセイによって測定する。PTH−1受容体に対する結合に関して天然型PTH(1−84)またはPTH(1−34)と競合し、かつ、cAMP蓄積に対する天然型PTH(1−84)またはPTH(1−34)の作用を阻害する化合物が競合的アンタゴニストであると考えられる。このような化合物は高カルシウム血症を治療するのに有用である。
逆に、PTH−1受容体に対する結合に関して天然型PTH(1−84)またはPTH(1−34)と競合しないが、天然型PTH(1−84)またはPTH(1−34)のcAMP蓄積の活性化をなお妨げる(おそらく受容体活性化部位の遮断による)本明細書に記載のPTH類似体またはその誘導体は、非競合的アンタゴニストであると考えられる。このような化合物は高カルシウム血症を治療するのに有用である。
PTH−1受容体に対する結合に関して天然型PTH(1−84)またはPTH(1−34)と競合し、かつ、天然型PTH(1−84)またはPTH(1−34)の存在下または不在下でcAMPの蓄積を刺激する本明細書に記載の化合物は競合的アゴニストである。PTH−1受容体に対する結合に関して天然型PTH(1−84)またはPTH(1−34)と競合しないが、天然型PTH(1−84)またはPTH(1−34)の存在下または不在下でcAMPの蓄積をなお刺激しうるか、あるいは本発明による化合物またはその誘導体において見られるものより高いcAMP蓄積を刺激する化合物は、非競合的アゴニストであると考えられる。
PTH類似体の治療的使用
高カルシウム血症および低カルシウム血症のいくつかの形態は、PTHおよびPTHrPとPTH−1受容体との相互作用に関連している。高カルシウム血症は血清カルシウムレベルの異常な上昇がみられる病態であり、これは多くの場合、上皮小体機能亢進症、骨粗鬆症、乳癌、肺癌および前立腺癌、頭頸部および食道の類表皮癌、多発性黒色腫および副腎腫をはじめとするその他の疾病と関連する。低カルシウム血症は血清カルシウムレベルが異常に低い病態で、例えば甲状腺手術後の有効なPTHの欠損に起因するものである。
「アゴニスト」とは、PTH−1受容体によって媒介される細胞応答を増強または促進しうるリガンドを意味する。「アンタゴニスト」とは、PTH−1受容体によって媒介される細胞応答を阻害しうるリガンドを意味する。本発明による候補「アゴニスト」または「アンタゴニスト」がこのような細胞応答を増強するか阻害するかは、本願の他の部分に記載されているものをはじめ、当技術分野で公知のタンパク質リガンド/受容体細胞応答または結合アッセイを用いて判定することができる。
本発明のさらなる態様によれば、PTH−1受容体の変化したまたは過剰な作用に起因する医学的疾患を治療する方法であって、患者のPTH−1受容体の活性化を阻害するのに十分な治療上有効量の本発明による化合物またはその誘導体を患者に投与することを含んでなる方法が提供される。
この実施態様では、PTH−1受容体の変化した作用に起因する疾患を有するおそれのある患者を、PTH−1受容体の選択的アンタゴニストである本発明による化合物または本発明によるその誘導体を用いて治療することができる。このようなアンタゴニストとしては、PTH−1受容体によって媒介される細胞の活性化と相互作用すると判定された(上記のアッセイにより)本発明による化合物または本発明によるその誘導体、あるいは同様の特性を有するその他の誘導体が挙げられる。
アンタゴニストを投与するためには、本発明による適当な化合物またはその誘導体を、一般には、例えば生理食塩水などの適当な担体または賦形剤中に製剤化することにより、薬剤の製造に用い、好ましくは、本発明による化合物またはその誘導体の、PTH−1受容体との結合の十分な阻害をもたらす用量で、静脈内、筋肉内、皮下、経口または鼻腔内投与する。典型的な用量は、ペプチド1ng〜10mg/kg体重/日である。
本発明のさらなる態様によれば、患者のPTH−1受容体を活性化するのに十分な治療上有効量の本発明による化合物またはその誘導体を患者に投与することを含んでなる、骨粗鬆症の治療方法が提供される。PTH/PTHrPアンタゴニストに関して上記したものと同様の用量および投与が、例えば骨粗鬆症、その他の骨代謝障害、ならびに上皮小体機能低下症および関連疾患などの病態の治療を目的としたPTH/PTHrPアゴニストの投与にも使用できる。
当業者であれば、本発明が本発明またはそのいずれかの実施態様の精神または範囲から外れない限り、組成物の幅広い同等のパラメーター、濃度、投与様式および病態まで実施することができることがわかるであろう。
以上、本発明を詳しく説明してきたが、具体例を参照すればよりよく理解できよう。なお、これらの具体例は例示のために示すものであって、特に断りのない限り本発明を限定するものではない。
以下のプロトコールおよび実験の詳細は、次に続く実施例において参照されるものである。
ペプチド:本研究に用いるペプチドは、遊離アミノ酸末端を含み、かつ、C末端にカルボキサミドを含むものとした。ペプチドは、カップリング反応のためのFmoc主鎖保護基化学、HBTU/HOBt/DIEA(モル比1:1:2)を用い、さらにTFA媒介切断/側鎖脱保護(MGH Biopolymer Synthesis Facility, Boston, MA)を用いる自動ペプチド合成装置(model 430A PE, Applied Biosystems, Foster City, CAまたはModel 396 MBS Advanced Chem Tect, Louisville, KY)にて調製した。ペプチドは総てC18含有カートリッジに吸着させることによって脱塩し、さらにHPLCで精製した。乾燥ペプチド粉末を10mM酢酸で再構成し、−80℃で保存した。各ペプチドの純度、特性および原液濃度は、分析的HPLC、マトリックス・アシスト・レーザー・デソープション/イオン化(MALDI)質量分析およびアミノ酸分析によって確認した。[M]PTH(1−21)および[Aib1,3,M]PTH(1−21)の放射性標識は125I−Na(2,200Ci/mmol,NEN)およびクロラミン−Tを用いて行い、得られた放射性リガンドはHPLCによって精製した。
細胞培養:細胞系HKRK−B28(Takasu, H., et al., J. Bone Miner. Res. 14:11-20 (1999))は、ヒトP1RをコードするプラスミドDNAで安定的にトランスフェクトすることによってブタ腎細胞系LLC−PKから誘導したものであり、細胞当たり280,000もの受容体を発現する。これらの細胞ならびにCOS−7細胞およびSaOS−2−B10細胞を、27℃、5%COを含む加湿大気下、T−75フラスコ(75mm)にて、ウシ胎児血清(10%)、ペニシリンG(20単位/ml)、硫酸ストレプトマイシン(20μg/ml)およびアンフォテリシンB(0.05μg/ml)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。EGTA/トリプシンの原液および抗生物質はGIBCOから、ウシ胎児血清はHyclone Laboratories (Logan, UT)から入手した。24ウェルプレートで継代培養したCOS−7細胞を、塩化セシウム/臭化エチジウム密度勾配遠心分離により精製した、野生型ヒトP1Rまたは残基(24−181)を欠失した末端切断型ヒトP1R(Shimizu, M., et al., J. Biol. Chem. 275:21836-21843 (2000))をコードするプラスミドDNA(ウェル当たり200ng)、およびFuGENE6トランスフェクション試薬(Roche Indianapolis IN)により、該試薬の製造業者の奨励する手順に従ってトランスフェクトした。24ウェルプレートにて総ての細胞を新鮮培地で処理し、アッセイ前12〜24時間、温度を33℃に変更した。
cAMP刺激:ペプチド類似体による細胞の刺激は24ウェルプレート上で行った。細胞を0.5mLの結合バッファー(50mM Tris−HCl、100mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、5%熱不活性化ウマ血清、0.5%ウシ胎児血清、HClでpH7.5に調整)ですすぎ、200μLのcAMPアッセイバッファー(2mM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン、1mg/mLウシ血清アルブミン、35mM Hepes−NaOH、pH7.4を含有するダルベッコ改変イーグル培地)および種々の量のペプチド類似体を含有する100μLの結合バッファー(最終量=300μL)で処理した。室温で30〜60分間インキュベートした後に培地を除去し、細胞をドライアイス上で凍結させ、0.5mLの50mM HClで溶解し、再び凍結させた(−80℃)。希釈した溶解液のcAMP含量をラジオイムノアッセイによって測定した。EC50応答値を非線形回帰を用いて算出した(下記参照)。
競合結合:24ウェルプレートにてHKRK−B28細胞またはCOS−7細胞を用いて結合反応を行った。細胞を0.5mLの結合バッファーですすいだ後、100μLの結合バッファー、種々の量の非標識競合リガンドを含有する100μLの結合バッファー、および約100,000cpmの125I−[M]PTH(1−21)または125I−[Aib1,3,M]PTH(1−12)(約26fmol)を含有する100μLの結合バッファーで連続的に処理した(最終量=300μL)。4℃で4〜6時間インキュベートすると、ほぼ平衡状態に達した。その後、細胞を氷上に置き、結合培地を除去し、単層を0.5mLの冷結合バッファーで3回すすいだ。次に、この細胞を0.5mMの5N NaOHで溶解し、放射活性をカウントした。各実験、各トレーサーにつき、1μM濃度の同じ非標識ペプチドの存在下で結合した放射活性として非特異的結合を求めたところ、各トレーサーに対して加えた全放射活性の1%以下であった。最大特異的結合(B)は、競合リガンドの不在下で結合した全放射活性を非特異的結合に関して補正したものであり、各トレーサーで、加えた全放射活性の8%〜20%の範囲であった。非線形回帰を用いて結合IC50値を算出した(下記参照)。見かけの平衡解離定数(kDapp)およびリガンド結合部位の合計数(Bmax)の評価に26fmolの125I−[Aib1,3,M]PTH(1−12)を用いた実験から得られた同種競合結合データのスキャッチャード変換を用い、ある1つのクラスの結合部位とヨウ化および非ヨウ化リガンドの対等な親和性を推定した。
リン酸イノシトール産生の刺激:上記のようにP1R−WTでトランスフェクトしたCOS−7細胞を、アッセイ前16時間、0.1%ウシ血清アルブミンおよび[H]ミオイノシトール(NEN, Boston, MA)(2μCi/mL)を含有する、血清およびイノシトールを含まないDMEMで処理した。アッセイ時、細胞をLiCl(30mM)を含有する結合バッファーですすぎ、PTH類似体を含む、または含まない同バッファーで処理した。次に、細胞を37℃で40分間インキュベートし、その後、バッファーを除去し、0.5mLの氷冷5%トリクロロ酢酸溶液に置換した。氷上に3時間置いた後、溶解液を回収し、エチルエーテルで2回抽出した。次に、溶解液をイオン交換カラム(樹脂ベッド0.5mL)に適用し、全リン酸イノシトールを文献の記載に従って溶出させ(Berridge, M.J. et al., Biochem. J. 212:473-482 (1983))、液体シンチレーションカクテル中でカウントした。
マウス胚中足骨における軟骨細胞分化の阻害:胚発生日数(E)15.5日のマウス胚から中足骨を摘出し、37℃の加湿インキュベーター(5%CO)にて、24ウェルプレートの無血清αMEM培地中で培養した。16時間後、PTH類似体またはビヒクルを加え、サンプルを37℃でさらに48時間インキュベートした。なお、ペプチドおよびビヒクルは24時間の時点で再び加えた。64時間のインキュベーションが終わったところで、サンプルを10%ホルマリン/リン酸緩衝生理食塩水で固定した後、白色光を用い、解剖顕微鏡で直接可視化した。in situハイブリダイゼーション分析のため、成長プレートの肥厚性軟骨細胞でしか発現しない発達マーカー遺伝子であるX型コラーゲンmRNAに特異的な35S標識リボプローブを用いて切片を処理した。
円偏光二色性:円偏光二色性スペクトルはJascoモデル710分光偏光計で記録し、50mMリン酸ナトリウムバッファーpH7.4、または20%(v/v)の2,2,2−トリフルオロエタノールを含有する同バッファー中20μMの濃度でペプチドを分析した。分光スキャンは20℃、185〜255nMの間の波長で行い、1nM間隔でデータをとった。バンド幅は1.5nMとし、8回のスキャンを累積し、各サンプルに関して平均をとった。各波長において、平均残基楕円性[θ×100/l×C×n]{式中、θは生の楕円率の値(100分の1度の大きさ)、lはサンプルパス長であり、Cはペプチドのモル濃度であり、nはペプチドの残基の数である)。各ペプチドのヘリックス含量は、そのペプチドについて222nMで測定された[θ]を、モデルのヘリックスデカペプチドについて報告されている[θ]222測定値である−28,100(Bowen, W.P., and Jerman, J.C., Trends in Pharmacol. Sci. 16:413-417 (1995))で割ることによって割り出した。
データの計算:計算はMicrosoft(登録商標)Excelを用いて行った。結合およびcMAP用量−応答データの非線形回帰分析は4パラメーター方程式:y=Min+[(Max−Min)/(1+(IC50/x)slope)]を用いて行った。これまでに記載されているようにパラメーターの最適化にはExcel Solver関数を用いた(Carter, P.H., et al., Endocrinology 140:4972-4981 (1999); Bowen, W.P. and Jerman, J.C., Trends in Pharmacol. Sci. 16:413-417 (1995))。対となるデータ間の差は2つのセットの不等分散を推定するスチューデントの片側t検定を用いて統計学的に評価した。
実施例1:[M]PTH(1−14)におけるAibスキャン
足場ペプチドに[M]PTH(1−14)の各位置にそれぞれAib置換を導入する効果(Shimizu, M., et al., Endocrinology (2001)(In Press))を分析した。HKRK−B28細胞におけるcAMP刺激アッセイでは、親ペプチド[M]PTH(1−14)PTH(1−34)によって誘導された細胞内cAMPにおいてほぼ同じ(〜70倍)最大(Emax)増加を刺激したが、より短いペプチドの能力(EC50)はPTH(1−34)のもの(それぞれEC50=100±20および2.5±0.4nM)(図1および表1)よりも40倍低かった。ほとんどのAib置換は能力を低下させた。6番、8番および9番の位置でのAib置換ではいくらかの低下が見られ(総て>2,300倍)2番、4番、5番および11番の位置での置換では中程度の低下が見られ(総て170〜670倍)、7番、10番、12番、13番および14番の位置での置換では小さな低下が見られた(総て<3倍;表1)。1番および3番の位置のAibの置換の結果、「M」PTH(1−14)に対してそれぞれ10倍および8倍の効力を有するペプチドが得られた(P≦0.01)。これらのAibスキャンデータは従前のアラニンスキャンおよびPTH(1−14)類似体の置換分析を拡張し、ここでは残基3を除く(1−9)領域の残基が置換に耐えられないことがわかり、残基3および10〜14は比較的耐性であることがわかった(Luck, M.D., et al., Molecular Endocrinology 13:670-680 (1999); Shimizu, M., et al., J. Biol. Chem. 275:19456-19460 (2000); Pellegrini, M., et al., J. Biol. Chem. 273:10420-10427 (1998))。
これらの類似体のP1R結合特性はHKRK−B8細胞で行った競合研究でアッセイした。従前の研究では、PTH(1−14)結合は125I−PTH(1−34)および関連のN末端が完全な放射性リガンドと比較的修飾されていない放射性リガンドを用いても検出できなかった(Luck, M. D., et al., Molecular Endocrinology 13:670-680 (1999))。しかし、トレーサー放射性リガンドとして125I−PTH(1−34)を用いた場合には測定可能なPTH(1−14)結合が見られた(Hoare, S.R.J., et al., J. Biol. Chem 276:7741-7753 (2001); Shimizu, M., et al., Endocrinology (2001) (In Press))。受容体結合親和性は検討する[M]PTH(1−14)類似体と構造的に相同であったトレーサー放射性リガンドを用いて評価した。放射性標識ペプチド125I−[Ala3,12NleGln10,Har11,Trp14,Tyr15]PTH(1−15)アミドを評価したが、HKRK−B28細胞と検出可能には結合しなかった。21番の位置に延長され、Glu19→Argの親和性増強置換(Takasu, H., et al., Biochemistry 38:13453-13460 (1999); Kronenberg, H.M., et al., Recent Prog. Horm. Res. 53:283-301 (1998))を含んだ同様の置換も作製した。得られた放射性リガンド125I−PTH(1−21)はP1R発現完全HKRK−B28細胞と十分結合し、特異的に結合した放射活性の量(例えば非標識[M]PTH(1−21)ペプチドによって阻害できた量)としては加えた全放射活性の〜15%〜20%であり、非トランスフェクトLLC−PK1細胞と結合した量は加えた全量mの<2%であった。従って、このトレーサーリガンドは競合分析に適したものであった。
HKRK−B28細胞に対する125I−[M]PTH(1−21)の結合はPTH(1−34)によって完全に阻害され(IC50=18±3nM)、[M]PTH(1−14)によっては完全に近いが若干弱く阻害された(IC50=13,000±3,000nM,表1)。[M]PTH(1−14)の見かけの結合親和性と比較して、cAMPシグナル伝達能に対するこれに相当する作用によれば、ほとんどのAib置換は親和性を低下させた(表1)。有意に親和性が向上した唯一のAib置換は、1番および3番の位置のものであった(それぞれ13倍および8倍、10番の位置のAibは親和性に1.4倍の向上を生じる傾向があった、P=0.16)。4番、7番、8番および9番の位置におけるAib置換では親和性に著しい低下(>10倍)が起こったが、2番、5番、12番、13番および14番の位置におけるAib置換では緩やかな低下(<10倍)しか起こらなかった。ほとんどのAib置換はcAMPシグナル伝達能に対するそれらの作用にほぼ比例した受容体結合親和性に対する作用を示したが、2番および6番の位置のものはこの能力に対してではなく結合に対しての作用の低下を示した。従って、これら2つの置換は[M]PTH(1−14)に対して〜3倍親和性を低下させたが、それらはそれぞれ〜470倍および〜2,300倍能力を低下させた(表1)。
1番と3番の位置のAib置換を組み合わせたところ、[Aib1,3,M]PTH(1−14)はcAMPシグナル伝達経路に作用の形成刺激において[M]PTH(1−14)の場合より90倍能力が高く(それぞれEC50=1.1±0.1nM、100±20nM)、PTH(1−34)とは少なくとも同等であった(EC50=2.5±0.4nM,P=0.01,図2Aおよび表1)ことから、相加的作用であることが明らかであった。また、受容体結合親和性に対する1番および3番の位置の単独のAib置換の作用も、[Aib1,3,M]PTH(1−14)が[M]PTH(1−14)の場合より100倍高い見かけの親和性で結合したことから、相加的なものであった(図2Bおよび表1)。次に、この対となる置換がより短いペプチド配列の親和性を増強できるかどうかを調べるために[M]PTH(1−11)類似体の1番および3番の位置にAib置換を導入した。従前に、(1−14)よりも短い天然型PTHペプチドはcAMPシグナル伝達活性を欠いているが(Luck, M.D., et al., Molecular Endocrinology 13 :670-680 (1999))、[M]PTH(1−11)などの修飾型PTH(1−11)類似体は、能力はPTH(1−34)よりも1,000倍近く弱い(EC50=3μM)にもかかわらず、HKRK−B28細胞において完全なcAMP応答を誘導できた(Shimizu, M., et al., Endocrinology (2001) (In Press))ことが示されている。HKRK−B28細胞におけるcAMOシグナル伝達アッセイでは、[Aib1,3,M]PTH(1−11)は完全に有効であり、その能力(EC504.0±0.8nM)は[M]PTH(1−11)よりも1,000倍高かく(Shimizu, M., et al., Endocrinology (2001) (In Press))、PTH(1−34)とほぼ同等であった(図2A、表1)。[Aib1,3,Gln10]PTH(1−10)はこれまでに最も能力の高かったPTH(1−10)類似体[Ala,Gln10]PTH(1−10)よりも50倍高い能力であった(それぞれEC50=16±2μMおよび〜800μM)(Shimizu, M., et al., Endocrinology (2001) (In Press))ことから、Aib−1,3修飾もPTH(1−10)類似体の能力を向上させた(図2A、表1)。[Aib1,3,M]PTH(1−11)に比べて[Aib1,3,Gln10]PTH(1−10)で4000倍弱い能力が示されたことから、Aibを含有するペプチドの活性における11番残基(ホモアルギニン)の位置の重要性が示唆された。[Aib1,3]PTH(1−9)ではcAMP蓄積の刺激はほとんど、あるいは全く見られなかった(図2Aおよび表1)。競合結合アッセイでは、[Aib1,3,M]PTH(1−11)はHKRK−B8細胞に対する125I−[Aib1,3,M]PTH(1−21)の結合を効果的に阻害したが(IC50=970±300nM)、[Aib1,3,Gln10]PTH(1−10)および[Aib1,3]PTH(1−9)は分離可能な(detachebly)結合は生じなかった(図2Bおよび表1)。
Figure 0004837888
実施例2:COS−7細胞における類似体の活性
1番および3番の位置におけるAib置換の活性増強作用が受容体の膜近傍(J)領域によって媒介された可能性を、P1R−delNtで一次トランスフェクトしたCOS−7細胞で検討した。P1R−delNtは、アミノ末端細胞外ドメインの大部分を欠いた末端切断型P1Rである。この受容体構築物を用いた場合、PTH(1−34)は、P1R−WTを用いる場合よりもはるかに弱いアゴニストであったが、その他のPTH(1−14)類似体は、P1R−delNtを用いてもP1R−WTを用いる場合とほぼ同等の能力を示した(Kaul, R. , and Balaram, P., Bioorganic & Medicinal Chemistry 7:105-117 (1999))。このことに一致して、P1R−delNtに対する[Aib1,3,M]PTH(1−14)のcAMPシグナル伝達能(EC50=0.73±0.16nM)はP1R−WTを発現するCOS−7細胞に対するその能力(1.2±0.6nM)に匹敵するものであった(表2)。P1RdelNtに対して、[Aib1,3,M]PTH(1−14)は[M]PTH(1−14)(EC50=40±2nM,図3Aおよび表2)の場合よりも55倍能力が高かった。この結果は、Aib−1,3置換の能力増強作用が受容体のJドメインを介して発揮されたことを示唆するものであった。特に、[Aib1,3,M]PTH(1−14)は、PTH(1−34)がP1R−WTに対して発揮したものと同等の能力をP1R−delNtに対して発揮し(それぞれEC50=0.73±0.16nMおよび1.4±0.7nM,P=0.4,表2)、[Aib1,3,M]PTH(1−14)がP1R−delNtに対して誘導したEMaxは、PTH(1−34)がP1R−WTに対して誘導したものとほぼ等しかった(それぞれ250±20ピコモル/ウェルおよび240±50ピコモル/ウェル,P=0.7,表2)。予想されたように、PTH(1−34)はP1R−delNtに対してP1R−WTに対するよりも〜500倍弱かった(それぞれEC50=680±110nMおよび1.4±0.7nM;図3Aおよび表2)。
これまでのところ、[M]PTH(1−14)をはじめ、P1R−delNtを発現する細胞においていずれのPTH類似体に関してもPLC応答は証明できていなかった。しかし、予想されたようにPTH(1−34)および[M]PTH(1−14)は不活性であったが、類似体[Aib1,3,M]PTH(1−14)は、P1R−delNtを発現するCOS−7細胞において基本レベルのリン酸イノシトール(IP)に対してIP産生に約3倍の上昇を誘導した(図3B)。このように、末端切断型受容体は、Aib含有PTHペプチドで刺激した場合、PCLシグナル伝達経路と共役することができる。P1R−WTを用いた場合、[Aib1,3,M]PTH(1−14)および[M]PTH(1−14)はいずれも、この受容体に作用するPTH(1−34)で見られたIP形成と同じ4倍の増強を刺激し、この受容体を用いた場合、[Aib1,3,M]PTH(1−14)は[M]PTH(1−14)よりも66倍能力が高かった(それぞれEC50=71±9nMおよび4,700±2,000nM,表2)。このように、Aib−1,3置換は、P1R−delNtと同様に、P1R−WTによる、リガンドのPLC活性刺激能を増強する。
HKRK−B8細胞における上記結合研究で用いた放射性リガンド125I−[M]PTH(1−21)は、P1R−deINtとは検出可能には結合しなかった。このペプチドの親和性を向上させることができるかもしれないと考え、対となるAib−1,3修飾を導入して[Aib1,3,M]PTH(1−21)を作製した。相当する放射性ヨウ素化したペプチド125I−[Aib1,3,M]PTH(1−21)はP1R−WTを発現するCOS−7細胞に結合したことから、このトレーサーの特異的結合(例えば、過剰量の非標識[Aib1,3,M]PTH(1−21)ペプチドによって阻害できたもの)は各受容体についてそれぞれ加えた全放射活性の〜10%および〜15%であった。ベクターDNA単独でトランスフェクトしたCOS−7細胞で見られた全特異的結合は、加えた全放射活性の<2%であった。従って、この放射性リガンドにより、野生型および末端切断型双方のPTH−1受容体で競合結合実験を行うことが可能となった。トレーサー放射性リガンドとしての125I−[Aib1,3,M]PTH(1−21)および種々の量の非標識[Aib1,3,M]PTH(1−21)を用いて得られた同種競合結合データのスキャッチャード変換によれば、P1R−delNtにおけるリガンドの親和性はP1R−WTの場合よりも若干(<2倍)弱く(それぞれKDapp=29±3および17±2nM,P=0.01)、この2つの受容体に対応するBmax値に有意な差はない(それぞれ1.3±0.1×10受容体/細胞および1.9±0.8×10受容体/細胞,P=0.3)ことが示された。
末端切断型受容体、[Aib1,3,M]PTH(1−21)の他[Aib1,3,M]PTH(1−14)および[M]PTH(1−14)は125I−[Aib1,3,M]PTH(1−12)の結合を効果的に阻害したが、PTH(1−34)は阻害しなかった(図3C)。[Aib1,3,M]PTH(1−21)同様、[Aib1,3,M]PTH(1−14)および[M]PTH(1−14)がP1R−delNtにおいて示した見かけの結合親和性は野生型P1Rで見られた相当する親和性に匹敵するものであった(表2)。P1R−delNtにおいてもP1R−WTにおいても、[Aib1,3,M]PTH(1−14)の結合親和性は[M]PTH(1−14)について見られた相当する親和性よりも〜10倍高かった。従ってこれらのAib置換はP1RのJドメインに対するリガンドの結合親和性を増強するものであった。
Figure 0004837888
実施例3:骨細胞における活性
骨および腎臓におけるPTH標的細胞の表面で発現されるPTH−1受容体の数は明らかではないが、HKRK−B28細胞で見られるものよりかなり少ないものと思われる。従って、Aibを埋め込んだPTH類似体のいくつかはSaOS−2細胞を用いて評価した。これらの細胞はヒト骨肉腫由来であり、骨芽細胞様の特性を示し、比較的低レベルのPTH−1受容体(〜20,000受容体/細胞)を内在発現する(Marx, U.C., et al, J. Biol. Chem. 273:4308-4316 (1998))。これらの細胞では、[Aib,M]PTH(1−14)および[Aib,M]PTH(1−14)は、cAMP形成の刺激において、[M]PTH(1−14)の場合よりも15倍および8倍能力が高く、[Aib1,3,M]PTH(1−14)は、[M]PTH(1−14)よりも130倍能力が高かった(図4および表3)。このように、SaOS−2細胞では、[Aib1,3,M]PTH(1−14)はPTH(1−34)よりも13倍低い能力しかなく、10μMの用量でも活性が検出できなかった天然型PTH(1−14)よりは少なくとも5オーダー高い能力であった(図4)。
[Aib1,3,M]PTH(1−14)活性がより完全な骨系で検出できるかどうかを、エクスプラントアッセイにより検討した。エクスプラントアッセイでは、E15.5マウス胚から単離した後に血清フリー培地を含有するマルチウェルプレートで培養した軟骨性中足骨原基を用いた。PTHペプチド類似体またはビヒクル対照を、外植16時間後、さらに24時間後に再び培養物に加えた。24時間後にインキュベーションを終了し、64時間中、全部で48時間の処理とした。PTHの不在下では軟骨細胞の分化が見られ、実験の終了までに骨の中央断面において濃度の高い鉱化が見られた(図5A)。分化は、PTH(1−34)(0.1μM)または[Aib1,3,M]PTH(1−14)(1μM)の存在により阻害され、鉱化は見られなかった(図5BおよびC)。また、鉱化は、これらのアッセイでは[Aib1,3,M]PTH(1−14)によっても阻害されたが、天然型PTH(1−14)(2μM)では作用は全く検出されなかった(図5D)。3回の反復実験の各々で匹敵する結果が得られた。さらに、外植中足骨に対して行ったmRNAのin situハイブリダイゼーション分析では、PTH(1−34)および[Aib1,3,M]PTH(1−14)はいずれも骨発達マーカー遺伝子であるコラーゲンX遺伝子の発現を阻害した(データは示していない)。これらの阻害作用は、発達中の長骨の成長プレート軟骨において軟骨細胞の分化を遅延させるPTHrPの既知の能力(Pellegrini, M., et al., Biochemistry 37:12737-12743 (1998))と一致していた。
Figure 0004837888
実施例4:円偏光二色性
円偏光二色性(CD)分光法を利用して、ペプチドが液相に遊離している場合にペプチドの二次構造に対してAIb置換がおよぼす作用を分析した。サンプルは、リン酸水溶液バッファー、およびTHPペプチド断片を含むオリゴペプチドでヘリックス構造を促進する(Pellegrini, M., et al., J. Biol. Chem. 273:10420-10427 (1998); Gronwald, W., et al., Biol. Chem. Hoppe Seyler 377:175-186 (1996); Barden, J.A., and Kemp, B.E., Biochemistry 32:7126-7132 (1993))有機溶媒2,2,2−トリフルオロエタノールを含有するリン酸バッファーの両者において分析した。リン酸バッファーでは、各ペプチドのヘリックス含量は、222nMで見られる楕円性から見積もったところ、小さいものであった(≦16%)が、[Aib1,3,M]PTH(1−14)は[M]PTH(1−14)のほぼ2倍のヘッリクスを含み(それぞれ16%および8.1%)、[Aib1,3,M]PTH(1−11)もまた、[M]PTH(1−11)のほぼ2倍のヘッリクスを含んでいた(それぞれ13%および7.5%,表4)。2,2,2−トリフルオロエタノールでは、各ペプチドのヘリックス含量は増加し、[Aib1,3,M]PTH(1−14)および[Aib1,3,M]PTH(1−11)はいずれも最高レベルのヘリックス含量を示し(それぞれ56%および57%)、各々それらのAla−1,3を含有する、対応するペプチドよりもヘリックスが多かった(図6および表4)。これら2つのペプチドの高いヘリックス含量は、192nMおよび222nMの負の楕円率から明らかなだけでなく、192nMの正の楕円率からも明らかであった(図6)。非修飾型PTH(1−11)は最低量のヘリックス構造(30%)を示したが、[Aib1,3,M]PTH(1−10)は約47%のヘリックスであった(図6および表4)。これらの結果は、Aib−1,3修飾が遊離の液相でN末端PTHオリゴペプチドのヘリックス構造を増加させることを示唆している。
Figure 0004837888
実施例5:PTH類似体
第一の工程としては、[M]PTH(1−14)の各位置にAibを導入した。Aibスキャンデータは、ほとんどの位置での置換が活性を低下させることを示した。しかし、Aibスキャンデータにより、1番および3番の位置に置換を有する場合にcAMPシグナル伝達能が著しく向上する(8〜10倍)ことが明らかになり、HKRK−B28細胞においてEC50が〜1nMである[Aib1,3,M]PTH(1−14)が[M]PTH(1−14)よりも100倍能力が高く、PTH(1−34)と少なくとも同等の能力であることから、これらの作用は相加的なものであった。
125I−[M]PTH(1−21)を用いて行った競合結合実験では、ほとんどのAib置換は、少なくともある部分、PTH−1受容体結合親和性を変化させることにより能力に対するそれらの作用を発揮する(正または負)ことが示された。このように、Aib−1置換およびAib−3置換は各々、HKRK−B28細胞に対する[M]PTH(1−14)の見かけの親和性を約10倍高め、複合型のAib−1,3置換は親和性を約100倍高めた。同様に、その他のほとんどのAib置換によって生じるcAMPシグナル伝達能の上昇は、全体として結合親和性が一般に相当するcAMPシグナル伝達能よりも10〜100倍弱かったとしても、見かけの結合親和性の低下によって説明することができよう。これに対する例外が2番および6番の位置で置換されたペプチドであり、この位置においては、シグナル伝達能は相当する見かけの結合親和性に匹敵するものである(2番の位置)か、〜10倍弱いものであった。バリン−2またはグルタミン−6に対するAibの置換が、受容体結合親和性よりもシグナル伝達活性を損なったことは、結合親和性に比べて、PTH(1−34)類似体の3つの位置における置換によって生じるシグナル伝達能における不均衡な低下と一致し、実際にはPTH−1Rアンタゴニストとなる(Cohen, F.E., et al., J. Biol. Chem. 266:1997-2004(1991); Gardella, T.J.,et al., J. Biol. Chem. 266:13141-13146 (1991), Carter 1999 #1180)。
[M]PTH(1−14)に対するAib−1,3修飾によって得られたcAMP刺激能の100倍の増強は、PTH−1受容体の活性化にはPTHのN末端部分のαヘリックスが必要であるという仮説と一致するものと思われる。オリゴペプチドのαヘリックスを安定化させるAibの能力は、そのC°原子と対称的に結合した2つのメチル基によって課せられたAib残基のN−C°(Φ)およびC°−CO(Ψ)の周りの回転に対する立体的制限によるものである(Kaul, R., and Balaram, P., Bioorganic & Medicinal Chemistry 7:105-117 (1999); Burgess, A.W., and Leach, S. J., Biopolymers 12:2599-2605 (1973))。このC°原子の周りのねじれ角ΦおよびΨは、αヘリックスにおいて見られるものには強い制限があるが、Aibのジアルキル置換されたC°原子の対称性により、右手型または左手型いずれかのαヘリックスが考えられる。このような「逆」配置が、どちらかといえば右手型ヘリックスで見られれば、Aib残基は、おそらくは総てターンを導くので、へリックスは終結する(Kaul, R., and Balaram, P., Bioorganic & Medicinal Chemistry 7:105-117 (1999); Venkataram Prasad, B.V., et al., Biopolymers 18:1635-1646 (1979))。この逆配置は、右手型配置に比べ、ペプチド構造ではまれであるが(Kaul, R., and Balaram, P., Bioorganic & Medicinal Chemistry 7:105-117 (1999))、なお、PTH(1−14)のアミノ末端におけるAibがαヘリックスの安定化以外のいくつかの機構によって能力を高める可能性を残している。
また、PTH(1−34)類似体での構造研究では残基3のN末端構造は検出されなかったことから、1番および3番の位置におけるAib置換でペプチド能力/親和性に対する最も有益な作用が見られたことも注目に値する。1番の位置のAibはそのヘリックスに参加するそれ自体の中の「下流の」残基のヘリックス形成の核となる可能性がある。あるいは、この修飾は単に天然配列が極めて不安定でNMR分光光度法またはX線結晶学によって検出できないペプチドのまさにN末端のヘリックス構造を誘導または安定化する可能性がある。いずれにせよ、[Ala,Gln10,Har11]PTH(1−11)と比べて[Aib1,3,Gln10,Har11]PTH(1−11)により1000倍高いcAMPシグナル伝達能が示されたことで(それぞれEC50〜6nM対3μM,表1および(Shimizu, M., et al., Endocrinology (2001) (In Press))、Aib置換の作用が、例えばペプチドの最初の11のアミノ酸など、局部的に発揮されることが示される。
これらの類似体の、遊離ペプチドとしての、あるいは可能性としてはPTH−1受容体との複合体での直接的構造解析は、リガンドをPTH−1受容体に対するアゴニストとして働かせるリガンド構造に対する有益な考察を提供することができよう。これに関して、上記のデータから得られた情報はPTH−1受容体のペプチドミメティックスのデザインに用いることができる。天然型PTHペプチド配列の観点からこの問題の解決を図るのは、ペプチド主鎖のどの位置でもコンホメーションの多様性が存在しうることから、難しい。Aibなどの立体化学的に拘束されたアミノ酸をペプチド鎖に組み込めば、推定可能なペプチド構造の核となる働きをするので、この問題は軽減される。従って、このようなアプローチは、PTH−1受容体のペプチドまたは非ペプチドアゴニストの新たなデザインを促しうる。骨粗鬆症を治療する上で最近判明したPTH(1−34)の有用性(Neer, R.M., et al., N.E.J.M. 344:1434-1441 (2001))を考えれば、このようなアゴニストは重要な医学的インパクトを持つはずである。
分子レベルで、[Aib1,3,M]PTH類似体がいかにしてその受容体と相互作用するかは今のところわかっておらず、現在、天然型PTH類似体との相互作用のかなり特殊なコンピューターモデルが開発中であるが(Jin, L., et al., J. Biol. Chem. 275:27238-27244 (2000); Rolz, C., and Mierke, D.F., Biophysical Chemistry (2000) (In Press))、どのようなPTHリガンドについてもまだ知られていない。末端切断型PTH−1受容体であるP1R−delNtを用いた上記実験では、1番および3番の位置におけるAib置換の促進作用は、細胞外ループおよび膜貫通ドメインを含む受容体の膜近傍領域(Jドメイン)を介して媒介されることが示されたことから、いくつかの考察が得られる。この知見はPTH/PTH−1受容体相互作用における重複置換および突然変異データと一致し、このことは、PTHの(1−14)ドメインの残基が、そのアミノ末端細胞外ドメイン(Nドメイン)とは対照的に、もっぱらというわけではないが主として受容体のJドメインと相互作用することを示す(Bergwitz, C., et al., J. Biol. Chem. 271:26469-26472 (1996); Hoare, S.R.J., et al., J. Biol. Chem 276:7741-7753 (2001); Behar, V., et al., J. Biol. Chem. 275:9-17 (1999); Shimizu, M., et al., J. Biol. Chem. 275:19456-19460 (2000); Luck, M.D. et al., Molecular Endocrinology 13:670-680 (1999); Shimizu, M., et al., J. Biol. Chem. 275:21836-21843 (2000); Caeter, P.H., and Gardella, T.J., Biochem. Biophys. Acta 1538:290-304 (2001); Gardella, T.J., et al., Endocrinology 132:2024-2030 (1993); Bisello, A., et al., J. Biol. Chem. 273:22498-22505 (1998))。
[Aib1,3,M]PTH(1−14)がcAMPアッセイで低ナノモルの能力と完全な効力を示し、また、PLCアッセイでほぼ完全な効力を示したという、P1R−delNtを用いた本発明者らの研究から引き出されるもう1つの重要な結論は、Nドメインのほぼ総てを欠いた末端切断型受容体が小さなアゴニストリガンドに感受性の高い強い応答を付与することができるということである。P1R−delNtと結合する放射性リガンド125I−[Aib1,3,M]PTH(1−21)が利用できることにより、はじめてこの末端切断型受容体に対して結合研究が行えるようになった。本発明者らによる同種競合結合データのスキャッチャード解析から、P1R−WTで見られたものとは有意には異ならない、P1R−delNtのBmax値が得られた(それぞれ1.3±0.1受容体/細胞対1.9±0.8受容体/細胞、P=0.3)。従って、この末端切断型受容体はCOS−7細胞の表面でよく発現する。驚くことではないが、PTH(1−34)はP1R−delNtに対する125I−[Aib1,3,M]PTH(1−21)の結合を阻害できなかったが、この結果、ホルモン−受容体複合体全体を安定化させる上での、この受容体のNドメインと天然型ペプチドのC末端(15−34)ドメインの間の相互作用の重要性が強調される。また、この結果はPTHのアミノ末端部分と受容体のJドメインとの間の相互作用が親和性の極めて弱いものであるという見解(Hoare, S.R.J., et al., J. Biol. Chem 276:7741-7753 (2001))を支持している。P1R−delNtと結合した125I−[Aib1,3,M]PTH(1−14)との見かけの親和性(IC50〜1,500nM)は、トレーサーの結合を阻害できなかった天然型PTH(1−14)のものよりはるかに高かったことから、明らかにこの相互作用の親和性は著しく向上させることができる。P1R−delNtと結合した[Aib1,3,M]PTH(1−14)および[Aib1,3,M]PTH(1−21)との親和性において本発明者らが観測した50倍の差は、残基14のC末端の残基(例えば残基15−21)が受容体のJドメインとの結合相互作用に寄与していることを示す。関連の類似体における研究では、この作用の少なくとも一部は残基19を含むということを示唆している。
要するに、ペプチドのN末端においてコンホメーション的に拘束されたアミノ酸Aibを導入することによって能力の高いPTH(1−14)類似体が得られる。Aibがαヘリックス構造を安定化させる傾向、そして、それで修飾された類似体がP1R−delNtを活性化する高い能力は、PTHのN末端部分が、受容体の活性化ドメインと結合するとαヘリックスとなることを示す。これらの結果はまた、P1R−delNtで示されるようなPTH−1Rの活性化ドメインがアゴニストリガンドとの高い親和性と生産的相互作用を完全に媒介しうるということを確実なものとする。
実施例6:PTH(1−34)誘導体
本発明者らは、PTH(1−34)における1番および3番の位置のAib置換([Tyr34]hPTH(1−34)アミド)が、COS−7細胞で発現されるP1R−delNtに対するcAMP刺激能を、非修飾PTH(1−34)に比べて〜100倍高めることを見出した(表5および図7B参照)。Aib置換は、COS−7細胞において完全な野生型PTH−1受容体に対するPTH(1−34)の能力を検出可能には向上させず(表5および図7A)、この結果は、極めて高レベルの完全な受容体を発現するこれらの細胞における天然型PTH(1−34)によって媒介される、すでに最大の応答によるものでありうる。受容体のほとんど全部のアミノ末端細胞外ドメインが欠失しているdelNT受容体を伴うもの、またはおそらくは低レベルの内因性PTH受容体を発現する動物の骨細胞における場合など、感受性の低い細胞系では、PTH(1−34)の能力に対するAib−1,3置換の効果は著しい。その他、上記の修飾(例えば、Gln10,ホモArg11,Ala12,Trp14,Arg19)を伴ったペプチドも同様に、hP1R−delNtを発現するCOS−7細胞において、PTH(1−34)よりもはるかに高い能力を有する。例えば、[Aib1,3,Gln10,Har11,Ala12, Trp14, Arg19, Tyr34]hPHT(1−34)のP1R−delNtに対するEC50値は1.9±0.6nMである。上記の修飾はまた感受性の低いその他の天然骨細胞系でもPTH(1−34)よりもはるかに能力が高くなる。
Figure 0004837888
以上、理解を明確にする目的で例示および実施例で本発明を詳細に説明したが、当業者ならば幅広い同等の条件、方式およびその他のそのパラメーターで本発明を改変および変更することで同等のものが実施できること、また、そのような改変または変更も付属のクレームの範囲内に含まれるということが明らかであろう。
以上に記載された刊行物、特許および特許出願は総て、各々個々の刊行物、、特許および特許出願が具体的かつそれぞれに引用することにより本明細書の一部とされることが示されている場合と同等に引用することにより全開示内容が本明細書の一部とされる。
HKRK−B28細胞における修飾PTH(1−14)類似体のAibスキャン。ペプチド[Ala3,12,Gln10,Har11,Trp14]PTH(1−14)アミド{[M]PTH(1−14)}、および各残基の一つの位置に単一のAib置換を含むそのペプチドの誘導体の、HKRK−B28細胞において細胞内cAMPの蓄積を刺激する能力を評価した。1−7番に置換を有するペプチドがパネルAに示され、8−9番に置換を有するものがパネルBに示されている。3〜10回の二重の実験からのデータを合わせたもの(平均値±S.E.M.)を示している。記号は凡例で定義されている。 HKRK−B28細胞におけるPTH類似体のcAMPシグナル伝達および結合特性。HKRK−B28細胞において、ペプチドの、細胞内cAMP蓄積を刺激する能力(A)および125I−[M]PTH(1−21)の結合を阻害する能力(B)を評価した。3回または4回の二重の実験からのデータを合わせたもの(平均値±S.E.M.)を示している。ペプチドおよび対応する記号は凡例で示されている。 N末端切断型P1Rを発現するCOS−7細胞におけるPTH類似体のシグナル伝達および結合特性。COS−7細胞を、アミノ末端細胞外ドメインの大部分を欠いている末端切断型P1RであるPIR−deINtで一時的にトランスフェクトした後、示されたPTH類似体の、細胞内cAMP蓄積を刺激する能力(A);Hリン酸イノシトール(IP+IP+IP)の形成を刺激する能力(B);および125I−[Aib1,3,M]PTH(1−21)の結合を阻害する能力(C)を評価するために用いた。各曲線は、3〜6回の二重の実験からのデータを合わせたもの(平均値±S.E.M.)を示している。H−リン酸イノシトール(2,929±877cpm/ウェル)の平均基本レベルが波線で示されている。ペプチドおよび対応する記号は凡例で示されている。 SaOS−2細胞におけるPTH類似体のcAMPシグナル伝達特性。ヒト骨肉腫由来の細胞系SaOS−2において、ペプチドPTH(1−34)、天然型PTH(1−14)、[M]PTH(1−14)および[Aib1,3,M]PTH(1−14)の、細胞内cAMP蓄積を刺激する能力を評価した。3回または4回の二重の実験からのデータを合わせたもの(平均値±S.E.M.)を示している。記号は凡例で定義されている。 マウス胚中足骨における骨鉱化に対するPTH類似体の効果。E15.5マウス胚から軟骨性中足骨原基を摘出し、血清フリー培地を含む組織培養プレートに移した。48時間サンプルにビヒクル:(A);PTH(1−34)(0.1μM)(B);[Aib1,3,M]PTH(1−14)(1μM)(C)または天然型PTH(1−14)(2μM)(D)を加えた。サンプルを外植し、37℃で全部で64時間インキュベートした。なお、ペプチドまたはビヒクルは16時間目、さらに24時間目に加えた。インキュベートが終わったところで、サンプルを固定し、切片とし、解剖顕微鏡を用いて白色光下で直接可視化した。ビヒクルおよび天然型PTH(1−14)で処理したサンプルでは、鉱化が骨原基の中央に黒いものとして検出できる。PTH(1−34)および[Aib1,3,M]PTH(1−14)の両者は鉱化を阻害した。1回の実験からのデータを示しているが、他の3回の反復実験でも匹敵する結果が得られた。 円偏光二色性分光光度顕微鏡法。20%の2,2,2−トリフルオロエタノールを含有する50nMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.4)にて、各20μMの示されたN末端PTHオリゴペプチドのスペクトルを記録した。非Aib含有ペプチドに比べてAib含有PTH類似体でより明確な、〜209nMおよび〜222nMでの負のスペクトル極大、および〜192nMでの正の極大がヘリックス含有量の指標となる。 野生型P1R(hP1R−WT,図7A)およびN末端切断型P1R(hP1R−delNT,図7B)を発現するCOS−7細胞における、hPTH(1−34)類似体のシグナル伝達および結合特性。COS−7細胞を用いて、示されたPTH類似体の細胞内cAMP蓄積刺激能を評価した。hP1R−delNTを発現する細胞は上記と同様に調製した。ペプチドおよび対応する記号は凡例で示されている。

Claims (63)

  1. PTH−1受容体に結合するペプチドであって、
    (a)X01ValX02GluIleGlnLeuMetHisX0304050607(配列番号1)、
    (b)アミノ酸1−10、アミノ酸1−11、アミノ酸1−12またはアミノ酸1−13を含むその断片、ならびに
    (c)その医薬上許容される塩
    (ここで、
    01はAib、Ala、またはSerであり、
    02はAib、Ala、またはSerであり、
    03はAla、GlnまたはAsnであり、
    04はArg、HarまたはLeuであり、
    05はAib、AlaまたはGlyであり、
    06はAibまたはLysであり、
    07はAib、TrpまたはHisであり、かつ、
    01またはX02の少なくとも1つがAibであるか、あるいはX01およびX02の両方がAibである)
    から選択される式を含んでなり、21アミノ酸以下の鎖長を有する、ペプチド。
  2. (a)AibValSerGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHis(配列番号2)、
    (b)アミノ酸1−10、アミノ酸1−11、アミノ酸1−12またはアミノ酸1−13を含むその断片、ならびに
    (c)その医薬上許容される塩
    から選択される、請求項1に記載のペプチド。
  3. (a)AibValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarGlyLysTrp(配列番号6)、
    (b)アミノ酸1−10、アミノ酸1−11、アミノ酸1−12またはアミノ酸1−13を含むその断片、ならびに
    (c)その医薬上許容される塩
    から選択される、請求項1に記載のペプチド。
  4. (a)AibValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHis(配列番号7)、
    (b)アミノ酸1−10、アミノ酸1−11、アミノ酸1−12またはアミノ酸1−13を含むその断片、ならびに
    (c)その医薬上許容される塩
    から選択される、請求項1に記載のペプチド。
  5. (a)AibValAlaGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号9)、
    (b)アミノ酸1−10、アミノ酸1−11、アミノ酸1−12またはアミノ酸1−13を含むその断片、ならびに
    (c)その医薬上許容される塩
    から選択される、請求項1に記載のペプチド。
  6. (a)AlaValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号10)、
    (b)アミノ酸1−10、アミノ酸1−11、アミノ酸1−12またはアミノ酸1−13を含むその断片、ならびに
    (c)その医薬上許容される塩
    から選択される、請求項1に記載のペプチド。
  7. (a)SerValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号11)、
    (b)アミノ酸1−10、アミノ酸1−11、アミノ酸1−12またはアミノ酸1−13を含むその断片、ならびに
    (c)その医薬上許容される塩
    から選択される、請求項1に記載のペプチド。
  8. PTH−1受容体に結合するペプチドであって、
    (a)AibValAibGluIleGlnLeuNleHisGlnHarAlaLysTrpLeuAlaSerValArgArgTyr(配列番号8)、
    (b)アミノ酸1−20、アミノ酸1−19、アミノ酸1−18、アミノ酸1−17、アミノ酸1−16またはアミノ酸1−15を含むその断片、ならびに
    (c)その医薬上許容される塩
    から選択される式を含んでなる、ペプチド。
  9. AibValSerGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHis(配列番号2)である、請求項1に記載のペプチド。
  10. AibValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarGlyLysTrp(配列番号6)である、請求項1に記載のペプチド。
  11. AibValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHis(配列番号7)である、請求項1に記載のペプチド。
  12. AibValAibGluIleGlnLeuNleHisGlnHarGlyLysTrpLeuAlaSerValArgArgTyr(配列番号8)である、請求項8に記載のペプチド。
  13. AibValAlaGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号9)である、請求項1に記載のペプチド。
  14. AlaValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号10)である、請求項1に記載のペプチド。
  15. SerValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarAlaLysTrp(配列番号11)である、請求項1に記載のペプチド。
  16. 標識されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載のペプチド。
  17. 蛍光ラベルで標識されている、請求項16に記載のペプチド。
  18. 化学発光ラベルで標識されている、請求項16に記載のペプチド。
  19. 生物発光ラベルで標識されている、請求項16に記載のペプチド。
  20. 放射性ラベルで標識されている、請求項16に記載のペプチド。
  21. 125Iで標識されている、請求項20に記載のペプチド。
  22. 99mTcで標識されている、請求項20に記載のペプチド。
  23. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のペプチドと、医薬上許容される担体とを含んでなる、医薬組成物。
  24. 有効な骨量増進量の、請求項1〜15のいずれか一項に記載のペプチドを含んでなる、骨量の減少を特徴とする哺乳動物の病態を治療するための医薬組成物。
  25. 有効な骨量増進量の、請求項1〜15のいずれか一項に記載のペプチドと、医薬上許容される担体とを含んでなる、骨量の減少を特徴とする哺乳動物の病態を治療するための医薬組成物。
  26. 有効量の請求項1〜15のいずれか一項に記載のペプチドを含んでなる、骨再形成、骨再吸収および/または骨再構築の速度を調べるための医薬組成物。
  27. 治療する病態が骨粗鬆症である、請求項25に記載の医薬組成物。
  28. 治療する病態が老年性骨粗鬆症である、請求項25に記載の医薬組成物。
  29. 治療する病態が閉経後骨粗鬆症である、請求項25に記載の医薬組成物。
  30. 骨量増進に有効な前記ペプチドの量が約0.01μg/kg/日〜約1.0μg/kg/日である、請求項25に記載の医薬組成物。
  31. 非経口投与のための、請求項25に記載の医薬組成物。
  32. 皮下投与のための、請求項25に記載の医薬組成物。
  33. 鼻腔通気による投与のための、請求項25に記載の医薬組成物。
  34. ペプチドが固相合成により合成される、請求項1〜15のいずれか一項に記載のペプチドの製造方法。
  35. ペプチドがFMOCにより保護される、請求項34に記載のペプチドの製造方法。
  36. PTH−1受容体に結合するペプチドであって、
    (a)X01ValX02GluIleGlnLeuX03HisX0405060708LeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号19)、または
    (b)その医薬上許容される塩
    (ここで、
    01はAibであり、
    02はAibであり、
    03はMetまたはNleであり、
    04はAla、GlnまたはAsnであり、
    05はArg、HarまたはLeuであり、
    06はAib、AlaまたはGlyであり、
    07はAibまたはLysであり、
    08はAib、TrpまたはHisであり、
    09はAlaまたはAsnであり、
    10はMetまたはValであり、
    11はArgまたはGluであり、
    12はMetまたはValであり、
    13はGlnまたはGluであり、かつ、
    14はTyrまたはPheである)
    を含んでなる、ペプチド。
  37. (a)AibValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarGlyLysTrpLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号24)、または
    (b)その医薬上許容される塩
    である、請求項36に記載のペプチド。
  38. (a)AibValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号25)、または
    (b)その医薬上許容される塩
    である、請求項36に記載のペプチド。
  39. PTH−1受容体に結合するペプチドであって、
    (a)AibValAibGluIleGlnLeuNleHisGlnHarAlaLysTrpLeuAlaSerValArgArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号29)、または
    (b)その医薬上許容される塩
    (ここで、
    12はMetまたはValであり、
    13はGlnまたはGluであり、かつ、
    14はTyrまたはPheである)
    を含んでなる、ペプチド。
  40. AibValAibGluIleGlnLeuMetHisGlnHarGlyLysTrpLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号24)である、請求項36に記載のペプチド。
  41. AibValAibGluIleGlnLeuMetHisAsnLeuGlyLysHisLeuX09SerX1011ArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号25)である、請求項36に記載のペプチド。
  42. AibValAibGluIleGlnLeuNleHisGlnHarGlyLysTrpLeuAlaSerValArgArgX1213TrpLeuArgLysLysLeuGlnAspValHisAsnX14(配列番号29)である、請求項39に記載のペプチド。
  43. 標識されている、請求項36〜42のいずれか一項に記載のペプチド。
  44. 蛍光ラベルで標識されている、請求項43に記載のペプチド。
  45. 化学発光ラベルで標識されている、請求項43に記載のペプチド。
  46. 生物発光ラベルで標識されている、請求項43に記載のペプチド。
  47. 放射性ラベルで標識されている、請求項43に記載のペプチド。
  48. 125Iで標識されている、請求項47に記載のペプチド。
  49. 99mTcで標識されている、請求項47に記載のペプチド。
  50. 請求項36〜42のいずれか一項に記載のペプチドと、医薬上許容される担体とを含んでなる、医薬組成物。
  51. 有効な骨量増進量の、請求項36〜42のいずれか一項に記載のペプチドを含んでなる、骨量の減少を特徴とする哺乳動物の病態を治療するための医薬組成物。
  52. 有効な骨量増進量の、請求項36〜42のいずれか一項に記載のペプチドと、医薬上許容される担体とを含んでなる、骨量の減少を特徴とする哺乳動物の病態を治療するための医薬組成物。
  53. 有効量の請求項36〜42のいずれか一項に記載のペプチドを含んでなる、骨再形成、骨再吸収および/または骨再構築の速度を調べるための医薬組成物。
  54. 治療する病態が骨粗鬆症である、請求項52に記載の医薬組成物。
  55. 治療する病態が老年性骨粗鬆症である、請求項52に記載の医薬組成物。
  56. 治療する病態が閉経後骨粗鬆症である、請求項52に記載の医薬組成物。
  57. 骨量増進に有効な前記ペプチドの量が約0.01μg/kg/日〜約1.0μg/kg/日である、請求項52に記載の医薬組成物。
  58. 非経口投与のための、請求項52に記載の医薬組成物。
  59. 皮下投与のための、請求項52に記載の医薬組成物。
  60. 鼻腔通気による投与のための、請求項52に記載の医薬組成物。
  61. ペプチドが固相合成により合成される、請求項36〜42のいずれか一項に記載のペプチドの製造方法。
  62. ペプチドがFMOCにより保護される、請求項61に記載のペプチドの製造方法。
  63. カルボキシ末端がアミド化されている、請求項1〜15および36〜42のいずれか一項に記載のペプチド。
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