JP4837245B2 - 電子装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばイオンやオゾンを発生させる電極が蓋体としてケーシングの開口に取り付けられ、開口が蓋体によって閉塞された電子装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の電子装置では、ケーシングの開口から所定距離内側に、開口とほぼ同じ形状の基板が取り付けられ、この開口を閉塞する蓋体を開口に取り付けると、蓋体と基板との間に空間が形成される。この空間内に絶縁性の樹脂を充填することにより電子装置に信頼性を向上させている。
【0003】
蓋体には樹脂を充填する必要があるため、注入口が形成されており、蓋体をケーシングの開口にセットした状態で注入口から内部の空間へと樹脂を注入している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−45611号公報(図1、段落0055)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記空間に充填する樹脂は比較的粘性を有しており、蓋体が水平になるような姿勢で注入口から樹脂を注入すると、蓋体の内側に空気が残存して空間内に樹脂を完全に充填することができない。そして、このように空間内に充填された樹脂に空気が気泡となって残存すると、その気泡内に湿気等が侵入して電子装置の信頼性が損なわれる。
【0006】
なお、樹脂を注入する際に注入口が上方に位置するようにケーシングを保持して注入口から樹脂を注入すると、注入された樹脂は空間内の下方へと重力によって流れ、順次空間内の空気を排除しなが充填されていくので、樹脂中に空気が気泡となって残存しない。
【0007】
ところが、最初に注入し最下部に流れた樹脂の上にはその後に注入された樹脂が重なり、樹脂の最下部では上に重なった樹脂による圧力が作用する。そのため、最下部では蓋体とケーシング開口との間から未硬化の樹脂が外部へと漏出するという不具合が生じる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、気泡が樹脂中に残存しないように樹脂を充填しても樹脂が漏出することのない電子装置およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明による電子装置は、長方形の開口を有するケーシング内に、この開口から所定距離内側に、開口とほぼ同じ形状の基板が取り付けられると共に、1個の注入口を有し、この注入口を除いた部分で上記開口に取り付けられてこの開口を閉塞する蓋体を備え、蓋体に形成された注入口から、基板と蓋体との間に形成される空間内に絶縁性の樹脂が充填される電子装置において、上記開口を閉塞する蓋体は注入口を有する点を除き開口と同じ形状であって、注入口を蓋体の長手方向の一端に寄せて形成すると共に、蓋体の他端から所定の範囲に、開口周縁と蓋体との間から上記樹脂が漏出することを防止する漏出防止手段を蓋体に一体に形成し、上記樹脂を蓋体の内面の全面に接するように充填したことを特徴とする。
【0010】
上記注入口が上方に位置するようにケーシングを保持して樹脂を注入した場合、上記他端側に樹脂が流れて、この他端側の樹脂の圧力が高くなる。圧力が高くなると樹脂は漏出しやすくなるが、漏出防止手段が設けられているので、樹脂が硬化するまで樹脂の漏出を防止することができる。
【0011】
なお、上記漏出防止手段は、蓋体をケーシングの開口に取り付けた状態で開口の内周壁に対向する壁部とすることができる。
【0012】
また、本発明による電子装置の製造方法は、長方形の開口を有するケーシング内に、この開口から所定距離内側に、開口とほぼ同じ形状の基板が取り付けられると共に、1個の注入口を有し、この注入口を除いた部分で上記開口に取り付けられてこの開口を閉塞する蓋体を備え、蓋体に形成された注入口から、基板と蓋体との間に形成される空間内に絶縁性の樹脂を充填する電子装置の製造方法において、上記開口を閉塞する蓋体は注入口を有する点を除き開口と同じ形状であって、上記蓋体の長手方向の一端に寄せて注入口が形成されており、他端から所定の範囲には開口周縁と蓋体との間から上記樹脂が漏出することを防止する漏出防止手段が蓋体に一体に形成されており、漏出防止手段が注入口より下方に位置するようにケーシングを傾けて保持し、上記空間内に未硬化の樹脂を注入し、その注入された樹脂が自らの圧力によって開口周縁と蓋体の一部である漏出防止手段との間から外部へ漏出するに至らない量である所定量の樹脂を注入したあと、蓋体が水平になるようにケーシングの姿勢を変更し、残りの樹脂を注入口から注入して、樹脂が蓋体の内面の全面に接するように充填するようにしたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1および図2を参照して、1は本発明にかかる電子装置であるイオン発生器のケーシングである。このケーシング1の開口11から所定の距離内側に位置して、開口11とほぼ同じ形状の基板5が取り付けられている。また、開口11には蓋体であるブラケット板2が取り付けられている。このブラケット板2にはイオン発生用の電極である電極板3が取り付けられている。この電極板3はブラケット板2の中央からオフセットした位置に取り付けられており、このブラケット板2の一端側には注入口21が形成されている。
【0014】
図3をあわせて参照して、電極板3の背面には4個のターミナル31が形成されており、基板5の上面に形成されたターミナル51と各々リード線を介して接続される。電極板3をブラケット板2に取り付け、両ターミナル31,51を相互にリード線を介して接続したあと、ブラケット板2を電極板3と共に開口11に取り付け、この開口11を閉塞する。
【0015】
ところで、このブラケット板2には上述のように一端に注入口21が形成されており、他端には漏出防止手段である壁部22が形成されている。この壁部22はブラケット板2の他端部を囲むようにコ字状に形成されている。従って、ブラケット板2を開口11に取り付けた状態で注入口21から樹脂4を注入した際に、注入された樹脂4の圧力が高くなっても、この壁部22が設けられている部分から樹脂4は漏出しにくくなる。
【0016】
ところで、ブラケット板2の裏面にはこの壁部22のほかに、突状のフック23が多数形成されている。このフック23は、ターミナル31とターミナル51とを各々接続するリード線をからげて、リード線を保持することによってリード線が相互にショートしないようにするためのものである。
【0017】
図5を参照して、本実施の形態では、ブラケット板2を開口11に取り付けた後、注入口21が上方に位置するようにケーシング1を立てた状態で保持する。そして、注入ノズル6aを注入口21内に挿入してブラケット板2と基板5との間の空間に樹脂4を所定量注入する。
【0018】
このとき、最初に注入された樹脂4は続けて注入される樹脂4の自重によって押さえられ、圧力が高くなる。ところが、壁部22が開口11の内周面に対向しているので、壁部22と開口11の内周面との間の隙間を通って樹脂4が外部へと漏出しようとしても、この隙間を通る際の樹脂4に対する抵抗が大きくなり、樹脂4がこの壁部22が設けられている部分から漏出するには至らない。
【0019】
このようにケーシング1を立てた状態で所定量の樹脂4を注入すると、次にブラケット板2の水平になるようにケーシング1の姿勢を変更し、さらに注入ノズル6bから樹脂4を注入し、注入口21が樹脂4で塞がれるようにした。
【0020】
ところで本実施の形態では、図4に示すように壁部22をブラケット板2の他端部のみに形成した。壁部22をブラケット板2の全周に設けた場合、樹脂4の漏出を防止するという点では望ましい。ところが、ターミナル31にリード線をハンダ付けする作業や、フック23にリード線をからげる作業をする際には壁部22が邪魔になる場合が生じる。そこで、本実施の形態では、壁部22を他端部のみに形成した。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、漏出防止手段を設けたので、注入口を上方に位置させた姿勢で樹脂をケーシング内に注入しても、蓋体と開口との隙間から樹脂が漏出することがない。そのため樹脂中に空気が気泡となって残存することなく樹脂を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】イオン発生器の断面図
【図3】電極板の取付工程を示す分解斜視図
【図4】樹脂を充填するための治具を示す図
【図5】他の実施の形態におけるイオン発生器を示す図
【符号の説明】
1 ケーシング
2 ブラケット板
3 電極板
4 樹脂
5 基板
21 注入口
22 壁部
Claims (3)
- 長方形の開口を有するケーシング内に、この開口から所定距離内側に、開口とほぼ同じ形状の基板が取り付けられると共に、1個の注入口を有し、この注入口を除いた部分で上記開口に取り付けられてこの開口を閉塞する蓋体を備え、蓋体に形成された注入口から、基板と蓋体との間に形成される空間内に絶縁性の樹脂が充填される電子装置において、上記開口を閉塞する蓋体は注入口を有する点を除き開口と同じ形状であって、注入口を蓋体の長手方向の一端に寄せて形成すると共に、蓋体の他端から所定の範囲に、開口周縁と蓋体との間から上記樹脂が漏出することを防止する漏出防止手段を蓋体に一体に形成し、上記樹脂を蓋体の内面の全面に接するように充填したことを特徴とする電子装置。
- 上記漏出防止手段は、蓋体をケーシングの開口に取り付けた状態で開口の内周壁に対向する壁部であることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
- 長方形の開口を有するケーシング内に、この開口から所定距離内側に、開口とほぼ同じ形状の基板が取り付けられると共に、1個の注入口を有し、この注入口を除いた部分で上記開口に取り付けられてこの開口を閉塞する蓋体を備え、蓋体に形成された注入口から、基板と蓋体との間に形成される空間内に絶縁性の樹脂を充填する電子装置の製造方法において、上記開口を閉塞する蓋体は注入口を有する点を除き開口と同じ形状であって、上記蓋体の長手方向の一端に寄せて注入口が形成されており、他端から所定の範囲には開口周縁と蓋体との間から上記樹脂が漏出することを防止する漏出防止手段が蓋体に一体に形成されており、漏出防止手段が注入口より下方に位置するようにケーシングを傾けて保持し、上記空間内に未硬化の樹脂を注入し、その注入された樹脂が自らの圧力によって開口周縁と蓋体の一部である漏出防止手段との間から外部へ漏出するに至らない量である所定量の樹脂を注入したあと、蓋体が水平になるようにケーシングの姿勢を変更し、残りの樹脂を注入口から注入して、樹脂が蓋体の内面の全面に接するように充填するようにしたことを特徴とする電子装置の製造方法。
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