JP4837171B2 - 低降伏比高靭性耐火h形鋼の製造方法 - Google Patents

低降伏比高靭性耐火h形鋼の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築構造用部材として用いられる低降伏点比かつ靭性の優れた耐火H形鋼の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昭和62年3月制定の「新耐火設計法」に基づき、高温設計強度を確保し、建築構造物に使用される鋼材の耐火被覆の不要化または低減を可能とする耐火鋼材が提供されている。このような動向に対応して、これまでに特開平4−83821号公報、特開平4−107240号公報、特開平4−279247号公報、特開平5−105947号公報、特開平6−100924号公報等に開示された先行技術により耐火H形鋼の製造を可能としてきた。
【0003】
耐火機能を備えたH形鋼を製造する際のポイントは鋼材断面内での機械特性の部位間の変動を低減させることである。しかし、H形鋼をブレークダウン工程での孔型圧延により粗形鋼片形状に造形した後、ユニバーサル圧延機およびエッジャ圧延機による熱間圧延で製造する従来のプロセスの場合、ウェブと1/4フランジ、フィレット間での圧延温度が大きく異なる傾向にある。
【0004】
具体的には従来プロセスではブレークダウン工程において、平パス圧延と称する孔型によるウェブの単独圧延工程を経ていたが、ウェブの単独圧延に伴なうウェブ厚みの早い段階での減少により、以降の工程でのウェブ温度降下が顕著となり、ウェブが他の部位と比較して低温域での圧延加工を余儀なくされていた。
また、フランジ部のなかでフランジとウェブが結合するフィレット部は、他のフランジ部と比較して圧延加工による歪量は小さい上に高温域での加工を強いらされる。以上によりH断面部位はフィレット、1/4フランジ、ウェブの3点間で仕上げ温度差にして150℃程度の差異が発生する場合がある。
【0005】
この圧延温度履歴の差は断面各部位における機械特性を発生させる原因となる。例えば、図1中の「Cr−Mo系におけるばらつき」の範囲に示されるように、フィレット(図中の1/2Fに相当)、1/4フランジ(同1/4Fに相当)、ウェブ(同1/2Wに相当)の各圧延仕上げ温度範囲で多大な機械特性差が発生する。
【0006】
この断面部位間の圧延温度履歴差に起因する機械特性の違いを解消させるために、これまでに上述した先行技術を適用して解決してきた。すなわち、これらの先行技術の特徴は、Tiオキサイド等のフェライト粒内変態核を分散させ、粒内変態を促進させることによる熱間圧延におけるミクロ組織形成の仕上げ温度依存性を低減し、ミクロ組織微細均一化および機械特性の均質化を実現した点にある。この方法はオキサイドメタラジーと称され、図1に示すように、圧延仕上げ温度の違いに関わらず比較的安定した機械特性を得ることが可能となったものの、断面内の材質偏差を完全に解消するまでには至っていない。
【0007】
一方、H断面部位間の材質特性差を解消するために、鋼板を溶接して製造する所謂、溶接H形鋼があるが、圧延H形鋼と比較して製造工程を多く抱えており生産効率が低いこと、および、溶接施工時の溶接欠陥等不良が発生する危険性があること、溶接部の機械特性が低下すること等の理由により、必ずしも圧延H形鋼よりも材質信頼性が高いとは云いきれない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した各種問題点を解決し、熱間圧延で製造する低降伏点比高靭性耐火H形鋼を従来と比較して二次脱酸工程での溶存酸素濃度およびTi濃度調整を不要とした省プロセスで効率良く製造できる方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するためになされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)質量%で、C:0.05〜0.20%,Si:0.05〜0.50%,Mn:0.4〜2.0%,Mo:0.3〜0.7%,V:0.05〜0.20%,N:0.004〜0.012%,Nb:0.005〜0.035%,Al:0.005%以下を含み残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を予備脱酸処理によって、溶存酸素濃度[0%]を0.003〜0.015%に調整後、さらにTi添加し、該Ti濃度[Ti%]が0.005〜0.025%で、かつ溶鋼の溶存酸素濃度[0%]に対し、−0.006≦[Ti%]−2[0%]≦0.008の関係を満たす鋼片を1100〜1300℃に再加熱後、熱間圧延を開始し、鋼材表面温度が950℃以下での総圧下率がフランジ、ウェブいずれも60%以上であることに加えて、1/4フランジ、フィレット、1/2ウェブ、3点間の、ユニバーサルブレークダウン圧延プロセスの中間ユニバーサル圧延でのラストパス温度である圧延仕上げ温度の最大温度差が50℃以内で仕上げ圧延することを特徴とする低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法。
)更に、1/4フランジ、フィレット、1/2ウェブの前記圧延仕上げ温度をいずれも800〜860℃の範囲とすること、仕上げ圧延工程の圧延終了後に500℃までの平均冷却速度がフランジ厚さに応じて0.5〜20℃/sで水冷による加速冷却を行なうこと、のいずれかまたは双方を適用して製造することを特徴とする上記(1)に記載の低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法
(3)前記鋼片が、質量%で、さらにCr≦0.7%,Ni≦1.0%,Cu≦1.0%の1種または2種以上を含むことを特徴とする上記()記載の低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
H断面部位内において圧延仕上げ温度等の圧延温度履歴が大きく異なる場合、部位間で機械特性差が生じる原因となる。この機械特性差はミクロ組織形成と密接な相関性があることに起因している。すなわち、ウェブが比較的低温大圧下の製造条件となるために、フランジと比較してオーステナイト組織が細粒化することによりフェライト変態サイトが増加し、フェライトの細粒化、パーライト分率の低下等の傾向を有する。一方、高温域での圧延履歴を経るフィレットでは、ウェブとは対照的にフェライト変態サイトの減少とそれに伴なう焼き入れ性の上昇により、フェライトが粗粒化し一部ベイナイト組織が生成する。
【0011】
このミクロ組織差は、強度・靭性に多大な影響を及ぼす。具体的にはウェブの降伏強度上昇、フィレットの靭性低下等、材質格差の原因となる。また、このミクロ組織格差および材質格差は、ウェブ、フランジ間の厚み比が大きいサイズ、およびウェブ部の薄肉サイズで顕著となる特徴がある。
このH形鋼断面内のミクロ組織差を解消させるためには、圧延・温度条件がミクロ組織形成に及ぼす影響を軽減すること、および圧延・温度条件を断面内で可能な限り均一化させることの2方法のアプローチが考えられる。前者のアプローチとして代表されるのは先述したオキサイドメタラジーである。この技術を適用することにより圧延加工条件に比較的影響されずにフェライト変態が促進されるので比較的均質なミクロ組織が形成される。また、後者に関しては、後述するユニバーサルブレークダウン圧延プロセスを採用することにより、従来のH形鋼製造プロセスよりもウェブの温度制御範囲が拡大し、ウェブ、フランジ間の圧延・温度条件の格差を僅少化させることが可能となる。
【0012】
以上、2つの対策を同時に適用することにより、H形鋼断面のミクロ組織偏差は解消され、それに伴ない材質格差も解消する。この結果、フィレット部の靭性低下は解消され、かつウェブの降伏比(YR)は低下することにより、低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造が可能となる。
H断面各部位における圧延温度履歴を近接化させ、部位間のミクロ組織の格差を減少させる具体的方法として以下に示す方法が挙げられる。下記1)〜6)のうち、特に1),5)が断面内での圧延温度履歴の近接化に極めて重要なプロセスであることが今回判明したとともに、低降伏点比高靭性耐火H形を製造するためにその制御範囲の定量性が明らかになった。さらに1),5)に加え6)に示す加速冷却を実施した場合、断面内で均質のまま機械特性を向上させること、およびYRを更に低下させることが可能となる。この場合の冷却速度は仕上げ圧延後から鋼材平均温度で500℃までの平均冷却速度で0.5〜20℃/sである。
1)ブレークダウン工程での平パス圧延と称する孔型によるウェブの単独圧延パスを廃止し、圧延初期段階でのウェブの温度低下を抑制する。なお、このプロセスを実現するためにはブレークダウン工程に後続するユニバーサル圧延工程でのウェブの単独圧延パスを行なう、所謂ユニバーサルブレークダウン圧延プロセスが必須となる。
2)圧延に所要する時間を短縮し、H断面部位間の温度格差の拡大を抑制する。
なお、このプロセスを実現するには、例えば圧延の高速化、大圧下圧延による圧延パス回数の軽減等の対策が挙げられる。
3)大圧下圧延を行なうことにより、1/4フランジ部のみならずフィレット部を再結晶後のオーステナイト組織を充分に細粒化させることにより最終的なミクロ組織を微細化する。
4)再結晶温度域(例えば950℃以上)のなかで比較的低い温度域で圧延することにより、1/4フランジ部のみならずフィレット部において再結晶後のオーステナイト組織を細粒化し最終的なミクロ組織を微細化する。この比較的低い温度域での圧延を実現させるために、圧延パス間で鋼材を水冷する方法が考えられる。
5)未再結晶温度域での圧延温度履歴をフランジとフィレット、ウェブの3点間で近接化させる。具体的方法として以下のa),b)の項目を制御すれば良い。
a)未再結晶温度域での総圧下率の部位間差を抑制する。すなわち、未再結晶温度域上限(例えば本発明の成分のうちNb含有鋼において鋼材表面温度で950℃程度)における板厚から製品厚までの総圧下率が60%以上確保できれば、圧延加工による導入歪量の部位間差は減少する。
b)仕上げ温度の部位間差を抑制する。すなわち、フランジとフィレット、ウェブ3点間の圧延仕上げ温度の部位間差が50℃以内に抑制できれば、ミクロ組織の部位間差が減少する。さらに仕上げ圧延における鋼材表面温度(以降仕上げ温度と称す)がいずれも860℃以下であれば、ミクロ組織は充分に細粒化されるが、本発明の成分範囲において800℃を下回ると、ミクロ組織の一部がフェライト変態して圧延で加工フェライトを生成することになり、特に靭性を低下させることになるので、800〜860℃の範囲内に圧延仕上げ温度を制御することが重要である。
6)圧延終了後水冷により加速冷却によりフェライトの粒成長を抑制し、パーライト組織比率を増加させる。
【0013】
本発明においては、前述したフェライト粒径平均値或いはパーライト分率平均値が、1/4フランジ部を基準としてミクロ組織中のフェライト粒径平均値がフィレット部で±15%以内であること、或いはミクロ組織中のパーライト分率平均値がフィレット部で±8%以内である必要がある。ここで均一なミクロ組織の範囲をフェライト粒径平均値で±15%以内、パーライト分率平均値±8%以内と限定した理由は、この範囲内であれば強度・靭性などの機械特性のばらつきが約±5%以内に制御できること、すなわち、フェライト粒径平均値、パーライト分率平均値が前述した範囲内にある場合にほぼ均質な機械的特性が得られることを実験の結果から明らかにしたものである。
【0014】
次ぎに本発明において化学成分を限定した理由について述べる。なお、濃度に関しては全て質量%を%で略記する。
Cは、鋼の強度を向上させる有効な成分として添加するもので、0.05%未満では構造用鋼として必要な強度が得られず、0.20%を超える過剰の添加は母材靭性、耐溶接割れ性、溶接熱影響部(HAZ)靭性等を著しく低下させる。したがってC濃度の限定範囲を0.05〜0.20%とした。
【0015】
Siは、脱酸元素として機能することに加えて、母材の強度確保に必要な成分であるが、0.05%未満では殆ど強度向上に効果は見られず、0.50%以上ではHAZにおいて硬化組織である高炭素島状マルテンサイトを生成し、靭性を著しく損なう。したがってSi濃度の限定範囲を0.05〜0.50%とした。
Mnは、母材の強度、靭性の確保のために0.4%以上の添加が必要であり、2.0%を超える添加はHAZ靭性、耐割れ性を損なう。したがってMn濃度の限定範囲を0.40〜2.00%とした。
【0016】
Moは、母材強度および高温強度の確保に有効な成分であり、0.3%未満では、充分な高温強度が確保できず、0.7%では焼き入れ性が上昇しすぎて母材靭性およびHAZ靭性を損なう。したがってMo濃度の限定範囲を0.30〜0.70%とした。
Nは、VNおよびNb(C,N)の析出に重要な成分であり、0.0040%未満ではVNの析出量が不充分であり、0.012%超では母材靭性を著しく低下させる。したがってN濃度の限定範囲を0.004〜0.012%とした。
【0017】
Alは、強力な脱酸元素であるが、0.005%以上含有する場合、Nと化合してAlNを析出させ本発明対象鋼の特徴であるVNの析出量を低減させる。したがって、Al濃度の限定範囲を0.005%未満とした。
更に、本発明においては、Nb濃度を0.005〜0.035%添加することが有効である。Nbの添加は鋼の再結晶抑制に作用することが知られており、例えば限定範囲の中で最小量である0.005%のNb添加の場合でも本発明での炭素当量範囲であるならば、例えば950℃程度の温度域まで未再結晶温度域を上昇することが可能であるためである。Nb濃度が0.035%を超える場合、粗大なNb(C,N)が分散し、母材靭性および溶接性を阻害する場合が生じることがあるので上限を0.035%とした。また、Nb濃度を0.035%まで選択的に添加可能としているのは母材強度向上のためである。
【0018】
また、本発明においては、上述のNb以外に選択的にCr,Ni,Cu,Vの1種または2種以上の添加が可能な成分として挙げているがそれぞれの成分を添加する理由は以下の通りである。
Crは、焼き入れ性の向上と析出硬化により母材の常温強度および高温強度上昇に有効な成分であるのみならず、鋼表面の粒界酸化を抑制させることによる表面性状(平滑性)の改善にも機能する。ただし0.7%超の添加は母材靭性およびHAZ靭性に悪影響を及ぼす。したがって、Cr濃度の限定範囲を0.7%未満とした。
【0019】
Niは、母材の靭性を高めるのに有効な成分である。ただし、過度のNi添加は成分コストを著しく上昇させるため、上限を1.0%とした。
Cuは、母材の強化に有効な成分であるが、同時に焼き入れ性を上昇させ、母材靭性およびHAZ靭性を損なうことから、Cu濃度の上限を1.0%とした。
Vは、VNとして鋼中に析出させて粒内フェライト変態核として機能させ、フェライト粒の細粒化させることにより強度・靭性の向上に寄与する。0.05%未満ではVNの析出量が不充分であり、0.20%超ではVNの析出量が過剰となり、母材靭性およびHAZ靭性を損なう。したがってV濃度の限定範囲を0.05〜0.20%とした。
【0020】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて説明する。試作鋼は転炉溶製し、連続鋳造により240〜300mm厚スラブ鋳片に鋳造した鋼片を加熱し、H形鋼に圧延した。
熱間圧延条件としては、基本的に孔型圧延によるブレークダウン工程、エッジャー圧延機とユニバーサル圧延機から構成される中間ユニバーサル圧延機群による中間圧延工程、ユニバーサル圧延機による仕上げ圧延工程により構成されるH形鋼製造方法を採用する。なお、この方法の中にはH形鋼のウェブ高を制御するスキューロール圧延工程が加えられた場合も含まれている。
【0021】
この圧延製造方法において、ブレークダウン工程で孔底中央に突起を有し、孔底幅の異なる孔型を複数配置した圧延ロールで鋼片の幅方向に圧延加工することにより適正なフランジ幅およびウェブ高さまで成形する。続いて、中間圧延工程においてエッジャー圧延機でフランジ幅を、ユニバーサル圧延機でウェブ厚、フランジ厚の成形を行なう。さらに仕上げの圧延機で所定のH形鋼サイズに成形する。
【0022】
これに対し、従来はブレークダウン工程において前記の圧延加工の後、平パス圧延と称する孔型によるウェブの単独圧延工程を経ていたが、ウェブの単独圧延にともなうウェブ厚みの早い段階での減少により、以降の工程でのウェブ温度降下が顕著となり、他の部位と比較して低温域での圧延加工を余儀なくされていた。また、中間圧延工程ではユニバーサル圧延機での1パスあたりの圧下率が比較的小さいために圧延製造に要する時間が延び、その分だけ部位による温度偏差が拡大することにより、圧延温度履歴に差異が生じる原因となっていた。
【0023】
本実施例では、ブレークダウン工程における平パス圧延の廃止、中間圧延工程での大圧下圧延による圧延製造所要時間の短縮によりミクロ組織の均一化を実現した。例えばウェブ厚9mm、フランジ厚12mm、ウェブ高さ500mm、フランジ幅200mmのH形鋼から、ウェブ厚40mm、フランジ厚60mm、ウェブ高さ500mm、フランジ幅500mmの大型H形鋼を上述のプロセスで製造した場合、ミクロ組織が得られている。
【0024】
このようにして製造されたH形鋼の機械特性は、図2に示すフランジ2の板厚t2の中心部(1/2t2 )でフランジ幅全長(B)の1/4,1/2幅(1/4B,1/2B)およびウェブ3の板厚中心部でウェブ高さの1/2Hから試験片を採集し求めた。なお、1/4Bは1/4フランジ部、1/2Bはフィレット部、1/2Hは1/2ウェブ部と称する部位に相当する。これらの箇所の特性を求めたのはフランジ1/4部(1/4B)とフィレット部(1/2B)はH形鋼フランジ部の特性が代表できるとしたためである。なお、測定はC断面で行なった。
【0025】
表1は試作鋼の成分分析値を示す。表2は各成分鋼における950℃以下総圧下率のH断面内最低値、仕上げ温度H断面内平均値、H断面内最大仕上げ温度差、圧延後500℃までの平均冷却速度、常温での降伏強度および引張強度、600℃での降伏強度、0℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギー平均値(測定3点)、該当する請求鋼を示す。比較鋼に示す条件では、本発明鋼の請求項に規定した範囲を満足せず、そのため所望の機械特性(靭性)に到達していない。
【0026】
【表1】
Figure 0004837171
【0027】
【表2】
Figure 0004837171
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は特定の成分範囲を有する鋼を用い、H形鋼断面内の仕上げ温度差を50℃以内に制御することに加えて、仕上げ温度を800〜860℃以内とすること、950℃以下の総圧下率で60%以上とすること、および圧延後に最大で20℃/sまでの加速冷却を行なうこと、いずれかの組み合わせにより、H形鋼断面内で均質な低降伏比高靭性耐火H形鋼の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引張強度、降伏強度の仕上温度による変化を示す図。
【図2】H形鋼のフランジ2における板厚t2の中心部(1/2t2)でフランジ幅全長(B)の1/4,1/2幅(それぞれ1/4B,1/2B)およびウェブ3における板厚中心部でウェブ高さの1/2Hからミクロ組織および機械的特性を求めるための試験片採取位置を示す図。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.20%,Si:0.05〜0.50%,Mn:0.4〜2.0%,Mo:0.3〜0.7%,V:0.05〜0.20%,N:0.004〜0.012%,Nb:0.005〜0.035%,Al:0.005%以下を含み残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を予備脱酸処理によって、溶存酸素濃度[0%]を0.003〜0.015%に調整後、さらにTi添加し、該Ti濃度[Ti%]が0.005〜0.025%で、かつ溶鋼の溶存酸素濃度[0%]に対し、−0.006≦[Ti%]−2[0%]≦0.008の関係を満たす鋼片を1100〜1300℃に再加熱後、熱間圧延を開始し、鋼材表面温度が950℃以下での総圧下率がフランジ、ウェブいずれも60%以上であることに加えて、1/4フランジ、フィレット、1/2ウェブ、3点間の、ユニバーサルブレークダウン圧延プロセスの中間ユニバーサル圧延でのラストパス温度である圧延仕上げ温度の最大温度差が50℃以内で仕上げ圧延することを特徴とする低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法。
  2. 更に、1/4フランジ、フィレット、1/2ウェブの前記圧延仕上げ温度をいずれも800〜860℃の範囲とすること、仕上げ圧延工程の圧延終了後に500℃までの平均冷却速度がフランジ厚さに応じて0.5〜20℃/sで水冷による加速冷却を行なうこと、のいずれかまたは双方を適用して製造することを特徴とする請求項1に記載の低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法。
  3. 前記鋼片が、質量%で、さらにCr≦0.7%,Ni≦1.0%,Cu≦1.0%の1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項記載の低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法。
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