JP2002212632A - 低降伏比高靭性耐火h形鋼の製造方法 - Google Patents
低降伏比高靭性耐火h形鋼の製造方法Info
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Abstract
有する低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 未再結晶温度域での圧延温度履歴をフラ
ンジとフィレット、ウェブの3点間で近接化させるため
に、予備脱酸処理によって、溶存酸素濃度調整後さらに
Ti添加した鋼片を素材とし、未再結晶温度域での総圧
下率および仕上げ温度の部位間差、各部位における仕上
温度を制御すること等により、均一な機械的特性を有す
る低降伏点比高靭性耐火H形鋼を製造する。
Description
して用いられる低降伏点比かつ靭性の優れた耐火H形鋼
の製造方法に関するものである。
に基づき、高温設計強度を確保し、建築構造物に使用さ
れる鋼材の耐火被覆の不要化または低減を可能とする耐
火鋼材が提供されている。このような動向に対応して、
これまでに特開平4−83821号公報、特開平4−1
07240号公報、特開平4−279247号公報、特
開平5−105947号公報、特開平6−100924
号公報等に開示された先行技術により耐火H形鋼の製造
を可能としてきた。
イントは鋼材断面内での機械特性の部位間の変動を低減
させることである。しかし、H形鋼をブレークダウン工
程での孔型圧延により粗形鋼片形状に造形した後、ユニ
バーサル圧延機およびエッジャ圧延機による熱間圧延で
製造する従来のプロセスの場合、ウェブと1/4フラン
ジ、フィレット間での圧延温度が大きく異なる傾向にあ
る。
ン工程において、平パス圧延と称する孔型によるウェブ
の単独圧延工程を経ていたが、ウェブの単独圧延に伴な
うウェブ厚みの早い段階での減少により、以降の工程で
のウェブ温度降下が顕著となり、ウェブが他の部位と比
較して低温域での圧延加工を余儀なくされていた。ま
た、フランジ部のなかでフランジとウェブが結合するフ
ィレット部は、他のフランジ部と比較して圧延加工によ
る歪量は小さい上に高温域での加工を強いらされる。以
上によりH断面部位はフィレット、1/4フランジ、ウ
ェブの3点間で仕上げ温度差にして150℃程度の差異
が発生する場合がある。
る機械特性を発生させる原因となる。例えば、図1中の
「Cr−Mo系におけるばらつき」の範囲に示されるよ
うに、フィレット(図中の1/2Fに相当)、1/4フ
ランジ(同1/4Fに相当)、ウェブ(同1/2Wに相
当)の各圧延仕上げ温度範囲で多大な機械特性差が発生
する。
る機械特性の違いを解消させるために、これまでに上述
した先行技術を適用して解決してきた。すなわち、これ
らの先行技術の特徴は、Tiオキサイド等のフェライト
粒内変態核を分散させ、粒内変態を促進させることによ
る熱間圧延におけるミクロ組織形成の仕上げ温度依存性
を低減し、ミクロ組織微細均一化および機械特性の均質
化を実現した点にある。この方法はオキサイドメタラジ
ーと称され、図1に示すように、圧延仕上げ温度の違い
に関わらず比較的安定した機械特性を得ることが可能と
なったものの、断面内の材質偏差を完全に解消するまで
には至っていない。
るために、鋼板を溶接して製造する所謂、溶接H形鋼が
あるが、圧延H形鋼と比較して製造工程を多く抱えてお
り生産効率が低いこと、および、溶接施工時の溶接欠陥
等不良が発生する危険性があること、溶接部の機械特性
が低下すること等の理由により、必ずしも圧延H形鋼よ
りも材質信頼性が高いとは云いきれない。
問題点を解決し、熱間圧延で製造する低降伏点比高靭性
耐火H形鋼を従来と比較して二次脱酸工程での溶存酸素
濃度およびTi濃度調整を不要とした省プロセスで効率
良く製造できる方法を提供するものである。
決するためになされたものであり、その要旨は以下のと
おりである。 (1)質量%で、C:0.05〜0.20%,Si:
0.05〜0.50%,Mn:0.4〜2.0%,M
o:0.3〜0.7%,V:0.05〜0.20%,
N:0.004〜0.012%,Al:0.005%以
下を含み残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を
予備脱酸処理によって、溶存酸素濃度[0%]を0.0
03〜0.015%に調整後、さらにTi添加し、該T
i濃度[Ti%]が0.005〜0.025%で、かつ
溶鋼の溶存酸素濃度[0%]に対し、−0.006≦
[Ti%]−2[0%]≦0.008の関係を満たす鋼
片を1100〜1300℃に再加熱後、熱間圧延を行な
い、1/4フランジ、フィレット、1/2ウェブ、3点
間の圧延仕上げ温度の最大温度差が50℃以内で仕上げ
圧延することを特徴とする低降伏点比高靭性耐火H形鋼
の製造方法。 (2)質量%で、C:0.05〜0.20%,Si:
0.05〜0.50%,Mn:0.4〜2.0%,M
o:0.3〜0.7%,V:0.05〜0.20%,
N:0.004〜0.012%,Nb:0.005〜
0.035%,Al:0.005%以下を含み残部がF
eおよび不可避不純物からなる溶鋼を予備脱酸処理によ
って、溶存酸素濃度[0%]を0.003〜0.015
%に調整後、さらにTi添加し、該Ti濃度[Ti%]
が0.005〜0.025%で、かつ溶鋼の溶存酸素濃
度[0%]に対し、−0.006≦[Ti%]−2[0
%]≦0.008の関係を満たす鋼片を1100〜13
00℃に再加熱後、熱間圧延を開始し、鋼材表面温度が
950℃以下での総圧下率がフランジ、ウェブいずれも
60%以上であることに加えて、1/4フランジ、フィ
レット、1/2ウェブの圧延仕上げ温度の最大温度差が
50℃以内で仕上げ圧延することを特徴とする低降伏点
比高靭性耐火H形鋼の製造方法。 (3)更に、1/4フランジ、フィレット、1/2ウェ
ブの圧延仕上げ温度をいずれも800〜860℃の範囲
とすること、仕上げ圧延工程の圧延終了後に500℃ま
での平均冷却速度がフランジ厚さに応じて0.5〜20
℃/sで水冷による加速冷却を行なうこと、のいずれか
または双方を適用して製造することを特徴とする上記
(1)または(2)に記載の低降伏点比高靭性耐火H形
鋼の製造方法。 (4)前記鋼片が、質量%で、さらにCr≦0.7%,
Ni≦1.0%,Cu≦1.0%,Nb≦0.035%
の1種または2種以上を含むことを特徴とする上記
(1)記載の低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法。 (5)前記鋼片が、質量%で、さらにCr≦0.7%,
Ni≦1.0%,Cu≦1.0%の1種または2種以上
を含むことを特徴とする上記(2)記載の低降伏点比高
靭性耐火H形鋼の製造方法。
温度等の圧延温度履歴が大きく異なる場合、部位間で機
械特性差が生じる原因となる。この機械特性差はミクロ
組織形成と密接な相関性があることに起因している。す
なわち、ウェブが比較的低温大圧下の製造条件となるた
めに、フランジと比較してオーステナイト組織が細粒化
することによりフェライト変態サイトが増加し、フェラ
イトの細粒化、パーライト分率の低下等の傾向を有す
る。一方、高温域での圧延履歴を経るフィレットでは、
ウェブとは対照的にフェライト変態サイトの減少とそれ
に伴なう焼き入れ性の上昇により、フェライトが粗粒化
し一部ベイナイト組織が生成する。
影響を及ぼす。具体的にはウェブの降伏強度上昇、フィ
レットの靭性低下等、材質格差の原因となる。また、こ
のミクロ組織格差および材質格差は、ウェブ、フランジ
間の厚み比が大きいサイズ、およびウェブ部の薄肉サイ
ズで顕著となる特徴がある。このH形鋼断面内のミクロ
組織差を解消させるためには、圧延・温度条件がミクロ
組織形成に及ぼす影響を軽減すること、および圧延・温
度条件を断面内で可能な限り均一化させることの2方法
のアプローチが考えられる。前者のアプローチとして代
表されるのは先述したオキサイドメタラジーである。こ
の技術を適用することにより圧延加工条件に比較的影響
されずにフェライト変態が促進されるので比較的均質な
ミクロ組織が形成される。また、後者に関しては、後述
するユニバーサルブレークダウン圧延プロセスを採用す
ることにより、従来のH形鋼製造プロセスよりもウェブ
の温度制御範囲が拡大し、ウェブ、フランジ間の圧延・
温度条件の格差を僅少化させることが可能となる。
より、H形鋼断面のミクロ組織偏差は解消され、それに
伴ない材質格差も解消する。この結果、フィレット部の
靭性低下は解消され、かつウェブの降伏比(YR)は低
下することにより、低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造
が可能となる。H断面各部位における圧延温度履歴を近
接化させ、部位間のミクロ組織の格差を減少させる具体
的方法として以下に示す方法が挙げられる。下記1)〜
6)のうち、特に1),5)が断面内での圧延温度履歴
の近接化に極めて重要なプロセスであることが今回判明
したとともに、低降伏点比高靭性耐火H形を製造するた
めにその制御範囲の定量性が明らかになった。さらに
1),5)に加え6)に示す加速冷却を実施した場合、
断面内で均質のまま機械特性を向上させること、および
YRを更に低下させることが可能となる。この場合の冷
却速度は仕上げ圧延後から鋼材平均温度で500℃まで
の平均冷却速度で0.5〜20℃/sである。 1)ブレークダウン工程での平パス圧延と称する孔型に
よるウェブの単独圧延パスを廃止し、圧延初期段階での
ウェブの温度低下を抑制する。なお、このプロセスを実
現するためにはブレークダウン工程に後続するユニバー
サル圧延工程でのウェブの単独圧延パスを行なう、所謂
ユニバーサルブレークダウン圧延プロセスが必須とな
る。 2)圧延に所要する時間を短縮し、H断面部位間の温度
格差の拡大を抑制する。なお、このプロセスを実現する
には、例えば圧延の高速化、大圧下圧延による圧延パス
回数の軽減等の対策が挙げられる。 3)大圧下圧延を行なうことにより、1/4フランジ部
のみならずフィレット部を再結晶後のオーステナイト組
織を充分に細粒化させることにより最終的なミクロ組織
を微細化する。 4)再結晶温度域(例えば950℃以上)のなかで比較
的低い温度域で圧延することにより、1/4フランジ部
のみならずフィレット部において再結晶後のオーステナ
イト組織を細粒化し最終的なミクロ組織を微細化する。
この比較的低い温度域での圧延を実現させるために、圧
延パス間で鋼材を水冷する方法が考えられる。 5)未再結晶温度域での圧延温度履歴をフランジとフィ
レット、ウェブの3点間で近接化させる。具体的方法と
して以下のa),b)の項目を制御すれば良い。 a)未再結晶温度域での総圧下率の部位間差を抑制す
る。すなわち、未再結晶温度域上限(例えば本発明の成
分のうちNb含有鋼において鋼材表面温度で950℃程
度)における板厚から製品厚までの総圧下率が60%以
上確保できれば、圧延加工による導入歪量の部位間差は
減少する。 b)仕上げ温度の部位間差を抑制する。すなわち、フラ
ンジとフィレット、ウェブ3点間の圧延仕上げ温度の部
位間差が50℃以内に抑制できれば、ミクロ組織の部位
間差が減少する。さらに仕上げ圧延における鋼材表面温
度(以降仕上げ温度と称す)がいずれも860℃以下で
あれば、ミクロ組織は充分に細粒化されるが、本発明の
成分範囲において800℃を下回ると、ミクロ組織の一
部がフェライト変態して圧延で加工フェライトを生成す
ることになり、特に靭性を低下させることになるので、
800〜860℃の範囲内に圧延仕上げ温度を制御する
ことが重要である。 6)圧延終了後水冷により加速冷却によりフェライトの
粒成長を抑制し、パーライト組織比率を増加させる。
径平均値或いはパーライト分率平均値が、1/4フラン
ジ部を基準としてミクロ組織中のフェライト粒径平均値
がフィレット部で±15%以内であること、或いはミク
ロ組織中のパーライト分率平均値がフィレット部で±8
%以内である必要がある。ここで均一なミクロ組織の範
囲をフェライト粒径平均値で±15%以内、パーライト
分率平均値±8%以内と限定した理由は、この範囲内で
あれば強度・靭性などの機械特性のばらつきが約±5%
以内に制御できること、すなわち、フェライト粒径平均
値、パーライト分率平均値が前述した範囲内にある場合
にほぼ均質な機械的特性が得られることを実験の結果か
ら明らかにしたものである。
理由について述べる。なお、濃度に関しては全て質量%
を%で略記する。Cは、鋼の強度を向上させる有効な成
分として添加するもので、0.05%未満では構造用鋼
として必要な強度が得られず、0.20%を超える過剰
の添加は母材靭性、耐溶接割れ性、溶接熱影響部(HA
Z)靭性等を著しく低下させる。したがってC濃度の限
定範囲を0.05〜0.20%とした。
えて、母材の強度確保に必要な成分であるが、0.05
%未満では殆ど強度向上に効果は見られず、0.50%
以上ではHAZにおいて硬化組織である高炭素島状マル
テンサイトを生成し、靭性を著しく損なう。したがって
Si濃度の限定範囲を0.05〜0.50%とした。M
nは、母材の強度、靭性の確保のために0.4%以上の
添加が必要であり、2.0%を超える添加はHAZ靭
性、耐割れ性を損なう。したがってMn濃度の限定範囲
を0.40〜2.00%とした。
有効な成分であり、0.3%未満では、充分な高温強度
が確保できず、0.7%では焼き入れ性が上昇しすぎて
母材靭性およびHAZ靭性を損なう。したがってMo濃
度の限定範囲を0.30〜0.70%とした。Nは、V
NおよびNb(C,N)の析出に重要な成分であり、
0.0040%未満ではVNの析出量が不充分であり、
0.012%超では母材靭性を著しく低下させる。した
がってN濃度の限定範囲を0.004〜0.012%と
した。
05%以上含有する場合、Nと化合してAlNを析出さ
せ本発明対象鋼の特徴であるVNの析出量を低減させ
る。したがって、Al濃度の限定範囲を0.005%未
満とした。更に、本発明においては、Nb濃度を0.0
05〜0.035%添加することが有効である。Nbの
添加は鋼の再結晶抑制に作用することが知られており、
例えば限定範囲の中で最小量である0.005%のNb
添加の場合でも本発明での炭素当量範囲であるならば、
例えば950℃程度の温度域まで未再結晶温度域を上昇
することが可能であるためである。Nb濃度が0.03
5%を超える場合、粗大なNb(C,N)が分散し、母
材靭性および溶接性を阻害する場合が生じることがある
ので上限を0.035%とした。また、Nb濃度を0.
035%まで選択的に添加可能としているのは母材強度
向上のためである。
に選択的にCr,Ni,Cu,Vの1種または2種以上
の添加が可能な成分として挙げているがそれぞれの成分
を添加する理由は以下の通りである。Crは、焼き入れ
性の向上と析出硬化により母材の常温強度および高温強
度上昇に有効な成分であるのみならず、鋼表面の粒界酸
化を抑制させることによる表面性状(平滑性)の改善に
も機能する。ただし0.7%超の添加は母材靭性および
HAZ靭性に悪影響を及ぼす。したがって、Cr濃度の
限定範囲を0.7%未満とした。
分である。ただし、過度のNi添加は成分コストを著し
く上昇させるため、上限を1.0%とした。Cuは、母
材の強化に有効な成分であるが、同時に焼き入れ性を上
昇させ、母材靭性およびHAZ靭性を損なうことから、
Cu濃度の上限を1.0%とした。Vは、VNとして鋼
中に析出させて粒内フェライト変態核として機能させ、
フェライト粒の細粒化させることにより強度・靭性の向
上に寄与する。0.05%未満ではVNの析出量が不充
分であり、0.20%超ではVNの析出量が過剰とな
り、母材靭性およびHAZ靭性を損なう。したがってV
濃度の限定範囲を0.05〜0.20%とした。
試作鋼は転炉溶製し、連続鋳造により240〜300mm
厚スラブ鋳片に鋳造した鋼片を加熱し、H形鋼に圧延し
た。熱間圧延条件としては、基本的に孔型圧延によるブ
レークダウン工程、エッジャー圧延機とユニバーサル圧
延機から構成される中間ユニバーサル圧延機群による中
間圧延工程、ユニバーサル圧延機による仕上げ圧延工程
により構成されるH形鋼製造方法を採用する。なお、こ
の方法の中にはH形鋼のウェブ高を制御するスキューロ
ール圧延工程が加えられた場合も含まれている。
ン工程で孔底中央に突起を有し、孔底幅の異なる孔型を
複数配置した圧延ロールで鋼片の幅方向に圧延加工する
ことにより適正なフランジ幅およびウェブ高さまで成形
する。続いて、中間圧延工程においてエッジャー圧延機
でフランジ幅を、ユニバーサル圧延機でウェブ厚、フラ
ンジ厚の成形を行なう。さらに仕上げの圧延機で所定の
H形鋼サイズに成形する。
おいて前記の圧延加工の後、平パス圧延と称する孔型に
よるウェブの単独圧延工程を経ていたが、ウェブの単独
圧延にともなうウェブ厚みの早い段階での減少により、
以降の工程でのウェブ温度降下が顕著となり、他の部位
と比較して低温域での圧延加工を余儀なくされていた。
また、中間圧延工程ではユニバーサル圧延機での1パス
あたりの圧下率が比較的小さいために圧延製造に要する
時間が延び、その分だけ部位による温度偏差が拡大する
ことにより、圧延温度履歴に差異が生じる原因となって
いた。
る平パス圧延の廃止、中間圧延工程での大圧下圧延によ
る圧延製造所要時間の短縮によりミクロ組織の均一化を
実現した。例えばウェブ厚9mm、フランジ厚12mm、ウ
ェブ高さ500mm、フランジ幅200mmのH形鋼から、
ウェブ厚40mm、フランジ厚60mm、ウェブ高さ500
mm、フランジ幅500mmの大型H形鋼を上述のプロセス
で製造した場合、表1に示すミクロ組織が得られてい
る。
性は、図2に示すフランジ2の板厚t2の中心部(1/
2t2 )でフランジ幅全長(B)の1/4,1/2幅
(1/4B,1/2B)およびウェブ3の板厚中心部で
ウェブ高さの1/2Hから試験片を採集し求めた。な
お、1/4Bは1/4フランジ部、1/2Bはフィレッ
ト部、1/2Hは1/2ウェブ部と称する部位に相当す
る。これらの箇所の特性を求めたのはフランジ1/4部
(1/4B)とフィレット部(1/2B)はH形鋼フラ
ンジ部の特性が代表できるとしたためである。なお、測
定はC断面で行なった。
各成分鋼における950℃以下総圧下率のH断面内最低
値、仕上げ温度H断面内平均値、H断面内最大仕上げ温
度差、圧延後500℃までの平均冷却速度、常温での降
伏強度および引張強度、600℃での降伏強度、0℃で
のシャルピー衝撃吸収エネルギー平均値(測定3点)、
該当する請求鋼を示す。比較鋼に示す条件では、本発明
鋼の請求項に規定した範囲を満足せず、そのため所望の
機械特性(靭性)に到達していない。
範囲を有する鋼を用い、H形鋼断面内の仕上げ温度差を
50℃以内に制御することに加えて、仕上げ温度を80
0〜860℃以内とすること、950℃以下の総圧下率
で60%以上とすること、および圧延後に最大で20℃
/sまでの加速冷却を行なうこと、いずれかの組み合わ
せにより、H形鋼断面内で均質な低降伏比高靭性耐火H
形鋼の製造が可能となる。
す図。
(1/2t2)でフランジ幅全長(B)の1/4,1/
2幅(それぞれ1/4B,1/2B)およびウェブ3に
おける板厚中心部でウェブ高さの1/2Hからミクロ組
織および機械的特性を求めるための試験片採取位置を示
す図。
Claims (5)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.05〜0.20%,
Si:0.05〜0.50%,Mn:0.4〜2.0
%,Mo:0.3〜0.7%,V:0.05〜0.20
%,N:0.004〜0.012%,Al:0.005
%以下を含み残部がFeおよび不可避不純物からなる溶
鋼を予備脱酸処理によって、溶存酸素濃度[0%]を
0.003〜0.015%に調整後、さらにTi添加
し、該Ti濃度[Ti%]が0.005〜0.025%
で、かつ溶鋼の溶存酸素濃度[0%]に対し、−0.0
06≦[Ti%]−2[0%]≦0.008の関係を満
たす鋼片を1100〜1300℃に再加熱後、熱間圧延
を行ない、1/4フランジ、フィレット、1/2ウェ
ブ、3点間の圧延仕上げ温度の最大温度差が50℃以内
で仕上げ圧延することを特徴とする低降伏点比高靭性耐
火H形鋼の製造方法。 - 【請求項2】 質量%で、C:0.05〜0.20%,
Si:0.05〜0.50%,Mn:0.4〜2.0
%,Mo:0.3〜0.7%,V:0.05〜0.20
%,N:0.004〜0.012%,Nb:0.005
〜0.035%,Al:0.005%以下を含み残部が
Feおよび不可避不純物からなる溶鋼を予備脱酸処理に
よって、溶存酸素濃度[0%]を0.003〜0.01
5%に調整後、さらにTi添加し、該Ti濃度[Ti
%]が0.005〜0.025%で、かつ溶鋼の溶存酸
素濃度[0%]に対し、−0.006≦[Ti%]−2
[0%]≦0.008の関係を満たす鋼片を1100〜
1300℃に再加熱後、熱間圧延を開始し、鋼材表面温
度が950℃以下での総圧下率がフランジ、ウェブいず
れも60%以上であることに加えて、1/4フランジ、
フィレット、1/2ウェブの圧延仕上げ温度の最大温度
差が50℃以内で仕上げ圧延することを特徴とする低降
伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法。 - 【請求項3】 更に、1/4フランジ、フィレット、1
/2ウェブの圧延仕上げ温度をいずれも800〜860
℃の範囲とすること、仕上げ圧延工程の圧延終了後に5
00℃までの平均冷却速度がフランジ厚さに応じて0.
5〜20℃/sで水冷による加速冷却を行なうこと、の
いずれかまたは双方を適用して製造することを特徴とす
る請求項1または2に記載の低降伏点比高靭性耐火H形
鋼の製造方法。 - 【請求項4】 前記鋼片が、質量%で、さらにCr≦
0.7%,Ni≦1.0%,Cu≦1.0%,Nb≦
0.035%の1種または2種以上を含むことを特徴と
する請求項1記載の低降伏点比高靭性耐火H形鋼の製造
方法。 - 【請求項5】 前記鋼片が、質量%で、さらにCr≦
0.7%,Ni≦1.0%,Cu≦1.0%の1種また
は2種以上を含むことを特徴とする請求項2記載の低降
伏点比高靭性耐火H形鋼の製造方法。
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