JP3502850B2 - 靭性の優れた鋼材の高効率製造方法 - Google Patents
靭性の優れた鋼材の高効率製造方法Info
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Description
層建築物、海洋構造物などに使用される靭性の優れた鋼
材の効率的な製造方法に関するものである。
などの大型化に伴い、使用される鋼材の厚手化とともに
靭性に対する要望も厳しさを増している。
(Thermo−Mechanical Contro
l Process)が良く知られている。これは適切
な加熱、圧延、冷却、熱処理工程の組み合わせにより鋼
材の組織微細化を達成し、強靭化する方法である。
組織がフェライト(α)、パーライト(P)であり、靭
性は主にα粒径に支配される。α粒径の微細化方法とし
ては、従来から種々の方法が提案されている。代表的な
方法としては、例えば特公昭49−7291号公報に示
されているように、オーステナイト(γ)の未再結晶温
度域において制御圧延を行い、引き続いて加速冷却を行
うことによるγからαへの変態時にαを微細化する方法
がある。さらに、制御圧延の温度域をγ/α二相域にま
で拡大した、いわゆる二相域圧延による強度・靭性改善
技術も提案されている。例えば、特公昭58−5967
号公報に示されるように、成分や圧延条件の工夫等によ
り、靭性向上を図る方法が提案されている。
格化するのにともない、低温での大圧下圧延や急速冷却
が必要となる結果、温度待ちによる生産性の低下、形状
不安定による精整工程への負荷増大等の問題が生じるこ
とがあった。そこで、効率的に強靭鋼を製造するために
は変態前のγ粒微細化が必須であるが、従来の技術では
以下の欠点がある。例えば、鋳片の低温加熱によるγ粗
大化抑制は、偏析起因の材質劣化を招く可能性があり、
γ高温域での大圧下圧延による再結晶γ微細化は、おの
ずと圧延機の能力の制約を受ける。
によってα粒径の微細化を図る方法も示されている。例
えば、[鉄と鋼、第77年、第1号、1991、171
〜178頁]に示されているように、V、Nを通常より
も多量に添加することによりγの微細化を図るととも
に、焼きならし処理で微細なα組織とする方法が開発さ
れている。しかし、この方法で微細なα組織を得るため
には、Vを0.1%以上、Nも0.01%以上添加する
必要があり、溶接性、溶接熱影響部靭性の劣化は避けら
れない。
は、ベイナイト(B)、マルテンサイト(M)主体の組
織となる。このような鋼の母材靭性を支配する基本組織
単位は、旧γ粒径ではなく、パケットやブロックと呼ば
れる領域のサイズであるが、このパケット、ブロックの
微細化のためには、γ粒微細化が最も有効な方法であ
る。
調質型プロセスであり、γ粒径の微細化のために圧延温
度域と圧下量を工夫するとともに、焼入れ性の確保のた
めに強度レベルに応じて合金添加量を調整する方法が代
表的である。例えば、特開昭49−37814号公報で
は、低C−Ti−B添加を特徴とした強度600N/m
m2級高張力鋼が提案されている。しかし、Bを活用し
た高強度化は成分や製造条件の変動による特性不安定が
懸念されるとともに、HAZ硬さ上昇が著しいという欠
点がある。
086号公報に示されているが、実施例からこの技術の
適用板厚範囲としては30mm程度である。また、特開
昭53−119219号公報は、再加熱焼入れ焼戻しプ
ロセスにより厚手高張力鋼を提供しようとするものであ
る。これは0.02%を超えるNb添加により再加熱時
に未固溶Nb炭窒化物を残存せしめ、結晶粒の粗大化を
防止して母材靭性を改善しようとするものである。この
技術では固溶Nbによる圧延組織微細化、焼入れ性向上
効果、析出強化を十分活用できないため、Nb、Vに加
えてさらにNi、Mo添加が実質的に必須となり、合金
コストと溶接性の点で不利になってしまう。
質型高張力鋼の従来技術は、その大部分がB添加による
焼入れ性確保によって達成されており、B無添加の場合
は薄手材に限定される。
延方法に関する技術として、特開平6−93332号公
報がある。これはC、Si、Mn、Nb、Ti、Bを含
み、sol.Al、Nの規制された素材鋼を制御圧延
後、直ちに所定の温度範囲まで加速冷却し、ついでその
温度範囲に一定時間等温保持、またはその温度範囲を一
定時間徐冷することで微細なベイナイト組織とする方法
が開示されているが、温度調整のための待ち時間が極め
て長くなり、圧延効率の低下、等温保持および徐冷に伴
うコスト上昇を招き、生産性の低下は著しい。また、特
開平6−128638号公報では、Nb、Vを添加した
鋳片をAc3点以上に加熱し、Ar3点以上で冷却を実施
しながら熱間圧延し、引き続き放冷もしくは5℃/s以
上の冷却速度で650℃以下の温度に加速冷却すること
を特徴とする高強度高靭性厚鋼板の製造方法が開示され
ている。これによると低温靭性を改善するために、熱間
圧延を終了する温度をAr3点近傍(700〜800
℃)という低温にすることが示されている。その結果、
被圧延鋼の変形抵抗が大きくなり、圧延機には多大な負
荷が加わる。
MCPは種々提案されているが、温度や圧下率等の制約
から通常生産効率の低下を引き起こすとともに、精整工
程の負荷も増大する。
ギーを消費しているスラブ加熱時の省エネルギー化を図
るため、連鋳スラブの熱片装入圧延(HCR)が拡大し
つつあり、その究極的なプロセスである連鋳−熱間圧延
を直結した直送圧延(DR)も稼動し始めている。冶金
的な観点からみたこれらの省プロセスは、従来の凝固か
らスラブ加熱過程で繰り返されていたγ/α→α/γ変
態を完全には経由しないことを特徴とする。その結果、
凝固ままの粗大γが初期粒として存在し、上述のTMC
Pを用いても組織の微細化・均一化が完全には達成でき
ず、スラブを一旦変態点以下まで冷却した場合と比べて
強度・靭性が劣化することは避けられない。このため現
状では強度・靭性が求められる鋼材に関しては、γ域か
らのHCRはほとんど行われていない。
同等以上の特性を得るためには、凝固組織を微細化して
おくか、圧延過程で微細化することが必要である。とこ
ろが、凝固組織の微細化に関しては現状では有効なシー
ズがなく、冷却再加熱材と同等の特性を得るのは困難で
ある。また、特開昭60−75518号公報のように加
熱後の圧延段階において温度域と圧下率を制御して組織
を微細化する手段も提案されているが、この方法は凝固
時の粗大な鋳造組織を微細化するには十分ではなく、さ
らに圧延パス数を多くする必要があり、生産効率の低下
を招くという問題点があった。
劣化の原因となる合金の過度の添加や、生産性の良くな
い複雑な熱間加工または熱処理工程を必要とせずに、D
RやHCRを前提として、優れた強度・靭性を有する鋼
材を効率的に製造する方法を提供するものである。
想とは異なり、Ca、Al、Mgからなる特定の大きさ
の酸化物を分散させることにより、効率的かつ安価な方
法で組織微細化を達成し、靭性の優れた鋼材を実現した
点にある。その要旨とするところは以下の通りである。
18%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.4〜
2.0%、P :≦0.02%、S :≦0.02%、
Al:0.005〜0.04%、Ti:0.005〜
0.03%、Ca:0.0005〜0.003%、N
:0.0005〜0.006%を含有し、残部はFe
および不可避不純物からなる成分を有し、さらに少なく
ともCa、Al、Oの元素を含み、Oを除いた元素が質
量比で、Ca:5%以上を含有し、残部がAlおよびそ
の他不可避不純物からなる酸化物を含有し、その酸化物
粒子径0.005〜1μm未満の粒子が100〜100
0個/mm2、かつ粒子径1〜5μmの粒子が50〜1
00個/mm2である凝固ままの鋳片を、Ar1変態点以
下に冷却することなく、900〜1100℃の温度域の
おいて累積圧下率15%以上で圧延してオーステナイト
の粒径を200μm以下とした後、引き続き800〜1
100℃で累積圧下率40%以上の圧延を行うことによ
りオーステナイト粒径を40μm以下とすることを特徴
とする靭性の優れた鋼材の高効率製造方法。
延してオ−ステナイトの粒径を200μm以下とした
後、Ar 1 変態点以下に冷却することなく1000〜1
300℃の温度域に再加熱して、引き続き、前記800
〜1100℃で累積圧下率40%以上の圧延を行うこと
によりオ−ステナイト粒径を40μm以下とすることを
特徴とする上記(1)記載の靭性の優れた鋼材の高効率
製造方法。
から冷却速度1℃/s以上で600℃以下の温度まで冷
却することを特徴とする上記(1)または(2)に記載
の靭性の優れた鋼材の高効率製造方法。
0℃以下の温度で焼戻しを行うことを特徴とする上記
(1)〜(3)のいずれかに記載の靭性の優れた鋼材の
高効率製造方法。
Mg:0.0001〜0.0017を含有し、前記酸化
物組成が、少なくともCa、Al、Mg、Oの元素を含
み、Oを除いた元素が質量比で、Ca:5%以上、M
g:1%以上を含有し、残部がAlおよびその他不可避
不純物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のい
ずれかに記載の靭性の優れた鋼材の高効率製造方法。
i:≦2.0%、Nb:≦0.05%、V :≦0.1
%、Cr:≦0.6%、Mo:≦0.6%、B :0.
0002〜0.002%の1種または2種以上を含有す
ることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記
載の靭性の優れた鋼材の高効率製造方法。
する。本発明者らは靭性を向上させる金属組織的要因と
して初期γ粒径に着目し、酸化物を利用してγの整細粒
化を達成することを検討した。これは初期γ組織が、圧
延以降の工程における材質造り込みの原点であるとの認
識に基づくものである。すなわち、凝固ままの鋳片を用
いてDRやγ域HCRを行う場合、粗大なγが混在して
しまうと、いくら再結晶温度域で圧延条件を調整してγ
粒を微細化しようとも、再加熱時から整細粒であった場
合のγ粒径には到達しないからである。
用したα細粒化に有利となることはもちろん、BやMを
利用した高張力鋼の靭性向上にも寄与する。一般的にγ
が細粒化すると焼入れ性は低下することが知られている
が、一方でパケット、ブロックが微細化されることに加
えて、一部生成してくる微細なαが有効結晶粒を分割す
る効果があるため、靭性は顕著に向上するのである。α
生成に伴う強度の低下については、αの成長・粗大化が
生じない限り顕著には現れない。
効果的に再結晶させて細粒化するとともに、HCRの場
合には再加熱過程においてγの粒成長を抑制することが
必要である。そのための最も有効な手段として、分散粒
子を再結晶の核生成サイトにすると同時に、再加熱過程
でγ粒界をピンニングし、粒成長を抑制する方法が挙げ
られる。そのような作用をする分散粒子の一つとして
は、従来、TiやAlの窒化物が有効であると考えられ
ていた。しかしながら、これらの窒化物は再結晶の核生
成サイトにするにはサイズが小さすぎ、また高温での安
定性が酸化物に比べて劣るため、特に1200℃超では
窒化物の溶解が始まり、一部粗大粒が生成してしまう。
これに対し、高温で安定な酸化物を活用することによ
り、凝固γの再結晶促進、γ粒の粗大化が抑制され、圧
延後の工程に負荷をかけずに最終組織の微細化が可能と
なる。
促進効果、および結晶粒界のピンニング効果は、分散粒
子の体積率が大きいほど、一個の粒子径が大きいほど大
きい。ただし、分散粒子の体積率は鋼中に含まれる粒子
を構成する元素の濃度によって上限があり、また再結晶
促進とピンニングでは最適な分布状態(すなわち、粒子
径と個数)が異なる。そこで、本発明者らは酸化物の体
積分率を大きく、かつ適正な分布状態となるよう、種々
の検討を行った。
として、酸素量を増大させることがあるが、酸素量の増
大は材質に有害な粗大介在物をも多数生成する原因とな
るため、有効な手段ではない。そこで本発明者らは、酸
素を最大限に利用するため、酸素との溶解度積が小さい
元素を活用することを検討した。酸素との溶解度積が小
さい、すなわち強脱酸元素として、一般的にはAlが用
いられる。しかしながら、Alだけでは酸素を十分利用
することはできないため、Alよりも強い脱酸元素であ
るCaを活用することが必要で、さらにMgの活用も有
効である。脱酸元素としてCa、Mgを用いた実験を行
った結果、鋼中に生成する酸化物粒子の組成として、C
aが5%以上、Mgが1%以上含まれることで、酸化物
の体積分率すなわち酸化物量を大きくすることが可能と
なることを知見した。この結果をもとに、鋼中に含まれ
る粒子の組成を、少なくともCa、Al、Oを含み、O
を除いた元素が質量比でCa5%以上とし、さらにC
a、Al、OのほかにMgを含む場合には、Ca5%以
上、Mg1%以上とした。
分布状態について述べる。いわゆる粒子誘起核生成を起
こさせるためには、ある程度粒子径が大きいことが必要
である。これは、変形しにくい粒子が存在することによ
って、加工時粒子の近傍に生じる不均一変形領域の大き
さが、粒子径と密接な関係にあるためである。粒子が小
さい場合には不均一変形領域も狭く、再結晶を誘起する
ほど大きなエネルギーが蓄積されない。逆に粒子径が大
きすぎると、破壊発生の起点となり靭性を劣化させる。
また、粒子数の減少につながることから、発生する再結
晶粒が減少し、最終的なγ粒径が粗大化してしまう。最
適な粒子径と個数を求めるために、酸化物粒子径を種々
変化させた実験を実施した。その結果、粒子径1〜5μ
mの粒子が50〜100個/mm2存在する場合に、最
も有効に凝固γを再結晶させ、γ粒径200μm以下の
整粒組織が得られることを見出した。その後の圧延によ
って到達するγ粒径は、初期γ粒径と密接に関わってい
る。すなわち、初期γ粒径の差は、圧延によって相対的
に小さくなるものの、再結晶γ粒径の差として残存する
のである。さらに、初期γ粒径が200μm以下である
と、その後極端な大圧下圧延や低温圧延を行うことな
く、最終的な組織微細化を図る上で有利となるγ粒径4
0μm以下が達成され、強度・靭性向上が可能となる。
酸化物粒子径が1μm未満であると再結晶が起こらない
ため凝固γが残存し、5μm超であると介在物起因の破
壊が生じ、いずれにしても靭性が劣化する。また、個数
が50個/mm2未満であると再結晶核が少なすぎてγ
粒径が200μm超となり、100個/mm2超である
と清浄度が低下することにより、やはり靭性は劣化す
る。
ついて述べる。前述したように、分散粒子による結晶粒
界のピンニング効果は、分散粒子の体積率が大きいほ
ど、一個の粒子径が大きいほど大きい。粒子の体積率が
一定とすると、一個の粒子の大きさが小さい方が粒子数
は多くなり、ピンニング効果が大きくなるが、あまり粒
子が小さくなると粒界に存在する粒子の割合が小さくな
るため、その効果は低減すると考えた。そこで、酸化物
粒子の大きさを種々変化させた試験片を用いて、凝固γ
を再結晶させた後、再加熱したときのオーステナイト粒
径を詳細に調査した結果、ピンニングには0.005〜
1μm未満の大きさの粒子が効果的であることをつきと
めた。また0.005μmより小さい酸化物粒子はほと
んど観察されなかった。この結果より、必要な粒子径を
0.005〜1μm未満とした。さらにγ粒成長抑制に
必要なピンニング粒子の個数について検討した結果、再
結晶完了後の再加熱過程でγ粒径を200μm以下に抑
えるためには100個/mm 2以上必要であることが判
明した。ただし、粒子数が多くなるほど、その靭性向上
効果は飽和し、必要以上に粒子個数を多くすることは靭
性に有害な粗大な粒子が生成する可能性が高くなり、ま
た現在の工業技術では限界もあることを考えると、粒子
数の上限は1000個/mm2が適切である。
えば以下の要領で行う。鋼材から抽出レプリカを作製
し、それを電子顕微鏡にて10000倍で20視野以
上、観察面積にして1000μm2以上を観察すること
で該酸化物の大きさおよび個数を測定する。このとき鋼
材の表層部から中心部までどの部位から採取した抽出レ
プリカでもよい。また、粒子が適正に観察可能であれ
ば、観察倍率を低くしてもかまわない。
る。これを一次酸化物と称する。さらには鋳造、凝固中
に溶鋼温度の低下とともにTi−Al−Ca酸化物は生
成する。これを二次酸化物と称する。本発明では、一次
酸化物と二次酸化物とのどちらを用いてもかまわない。
いて述べる。
て下限を0.03%とし、また過剰の添加は、鋼材の溶
接性やHAZ靭性などを著しく低下させるので、上限を
0.18%とした。
適量添加するとマトリクスを固溶強化するため、0.0
1%以上添加する。一方、0.5%超添加すると、HA
Zの硬化により靭性が低下するため、上限を0.5%と
した。
分として0.4%以上の添加が必要であるが、溶接部の
靭性、割れ性などの許容できる範囲で上限を2.0%と
した。
を工業的に低減させるためには多大なコストがかかるこ
とから、0.02%を上限とした。
を工業的に低減させるためには多大なコストがかかるこ
とから、0.02%を上限とした。
0.005%とした。また、Alが多量に存在すると、
鋳片の表面品位が劣化するため、上限を0.04%とし
た。
してTi窒化物を形成することで加熱γとHAZの細粒
化に一定の効果を及ぼすために0.005%以上添加す
る。しかし、固溶Ti量が増加するとHAZ靭性が低下
するため、0.03%を上限とした。
0.0005%以上の添加が必要である。しかしなが
ら、過剰の添加は粗大介在物を生成させるため、0.0
03%を上限とした。
性の向上効果があるため、下限を0.0005%とし
た。しかしながら固溶Nが増大するとHAZ靭性の低下
を招くことから0.006%を上限とした。
であるが、1.5%を超えるとHAZ靭性を低下させる
ことから、1.5%を上限とした。
ために有効であるが、Ni量の増加は製造コストを上昇
させるので、2.0%を上限とした。
材の強度および靭性を向上させるために有効な元素であ
るが、HAZ部においては過剰な添加は靭性を著しく低
下させるため0.05%を上限とした。
果を有することから、それぞれ0.1%、0.6%、
0.6%を上限とした。
フェライトサイドプレートの成長抑制と、BNの析出に
よるHAZの固溶Nの固定から0.0002%以上0.
002%以下とした。
する。上述した成分組成および酸化物組成・個数を有す
る凝固まま鋳片を900〜1100℃の温度域で累積圧
下率15%以上の圧延を行うことによって、γを再結晶
させて粒径200μm以下とする。圧延温度が900℃
未満では再結晶が十分進行せずに凝固γが残存する。一
方1100℃超であると再結晶完了後速やかに粒成長し
てしまい、最終的な鋼材の靭性が劣化する懸念がある。
した後は、さらに圧延を続けてもよい(DR)が、Ar
1変態点以下に冷却することなく、1000〜1300
℃の温度域に再加熱後、圧延を行ってもよい(HC
R)。Ar1以下に冷却してしまうと、HCRの利点で
ある省エネルギーの効果が小さくなる。加熱温度が10
00℃未満では合金元素の均質化が図れず、材質不安定
の原因となる。一方、1300℃超では酸化物粒子によ
るピンニング効果のため加熱γの粗大化は起こらないも
のの、加熱原単位の上昇に加え、圧延温度を適切にする
ために温度待ちが生じる。
の温度域で累積圧下率40%以上の圧延を施すことによ
り、再結晶γを40μm以下程度に細粒化する。800
℃未満の圧延では脆化の原因となる加工αが生成する可
能性があり、生産性も著しく低下する。1100℃超の
圧延では再結晶γ粒が粗大化する懸念がある。圧下率が
40%未満であると、γ粒が40μm以下にまで細粒化
されず、最終組織の微細化・靭性向上も達成されない。
の微細化のために、700℃以上の温度から冷却速度1
℃/s以上で600℃以下の温度まで水冷してもよい。
冷却開始が700℃よりも低くなると、冷却前にαが生
成・粗大化する可能性がある。冷却速度が1℃/s未
満、あるいは冷却停止温度が600℃超であると、十分
な強度が確保できない可能性がある。
戻しを実施してもよい。650℃超の焼戻しは顕著な強
度低下をもたらすために避ける必要がある。
有する鋳片を用いて、所定の条件で製造することによ
り、組織微細化が達成され、図1、2に示すように顕著
な靭性向上が可能となる。
号1〜8が本発明例、9〜16が比較例である。試作鋼
は転炉溶製し、RHにて真空脱ガス処理時に脱酸を行っ
ている。Ti投入前に溶鋼の溶存酸素をSiで調整し、
その後Ti、Al、Ca、もしくは、Ti、Al、M
g、Caを添加して脱酸を行った。それから連続鋳造を
行い、一次圧延を実施した。その後は、直接二次圧延
(DR)、または再加熱後二次圧延(HCR)を行い、
冷却等の工程を経て、種々の板厚の鋼板とした。
005〜1μm未満、および1〜5μmの粒子各10個
の全体の平均値)、粒子径0.005〜1μm未満、お
よび1〜5μmの粒子の個数、鋼板の製造条件を示す。
表3には、母材の組織、機械的性質を示す。各鋼板の降
伏強度(YPまたはYS)、引張強度(TS)について
は、JIS4号引張試験片を用いて評価し、破面遷移温
度(vTrs)はJIS4号衝撃試験片を用いて、2m
mVノッチシャルピー試験から求めた。なお、試験片は
板厚中心部から圧延方向と直角な方向に採取した。
例は、所定の大きさ、組成の粒子が、所定の個数範囲に
あるため、一次圧延後の再結晶γおよび再加熱後のγが
微細化しており、最終的に得られた鋼板の板厚中心部の
靭性が極めて優れている。
温度−40℃以上で靭性が劣っている。これらの原因
は、9、10、12、16は本発明の所定の酸化物組成
になっていなかった等の理由で所定の大きさの酸化物が
少なかったため、凝固γの再結晶が不完全で混粒化した
り、再加熱後に粗大化して、最終組織の微細化が達成で
きなかったことによる。また、13、14、15は一次
圧延の温度や圧下率が適切でなかったために、凝固γの
不完全再結晶、再結晶γの粒成長で、やはり組織の微細
化が達成されなかった。11は1〜5μmの酸化物粒子
数が多すぎたために、組織は微細化したものの、靭性が
顕著に劣化している。
海洋構造物などに適用される、厳しい靭性要求を満足す
る鋼材の効率的な製造方法であり、この種の産業分野に
もたらす効果は極めて大きく、さらに構造物の安全性の
観点から社会に対する貢献も非常に大きい。
未満の酸化物個数と破面遷移温度との関係を示す図であ
る。
個数と破面遷移温度との関係を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 質量%で、C :0.03〜0.18
%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.4〜2.0
%、P :≦0.02%、S :≦0.02%、Al:
0.005〜0.04%、Ti:0.005〜0.03
%、Ca:0.0005〜0.003%、N :0.0
005〜0.006%を含有し、残部はFeおよび不可
避不純物からなる成分を有し、さらに少なくともCa、
Al、Oの元素を含み、Oを除いた元素が質量比で、C
a:5%以上を含有し、残部がAlおよびその他不可避
不純物からなる酸化物を含有し、その酸化物粒子径0.
005〜1μm未満の粒子が100〜1000個/mm
2、かつ粒子径1〜5μmの粒子が50〜100個/m
m2である凝固ままの鋳片を、Ar1変態点以下に冷却す
ることなく、900〜1100℃の温度域のおいて累積
圧下率15%以上で圧延してオーステナイトの粒径を2
00μm以下とした後、引き続き800〜1100℃で
累積圧下率40%以上の圧延を行うことによりオーステ
ナイト粒径を40μm以下とすることを特徴とする靭性
の優れた鋼材の高効率製造方法。 - 【請求項2】 前記累積圧下率15%以上で圧延してオ
−ステナイトの粒径を200μm以下とした後、Ar 1
変態点以下に冷却することなく1000〜1300℃の
温度域に再加熱して、引き続き、前記800〜1100
℃で累積圧下率40%以上の圧延を行うことによりオ−
ステナイト粒径を40μm以下とすることを特徴とする
請求項1記載の靭性の優れた鋼材の高効率製造方法。 - 【請求項3】 前記圧延後、700℃以上の温度から冷
却速度1℃/s以上で600℃以下の温度まで冷却する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の靭性の優れ
た鋼材の高効率製造方法。 - 【請求項4】 前記冷却を行った後、さらに650℃以
下の温度で焼戻しを行うことを特徴とする請求項1〜3
のいずれかに記載の靭性の優れた鋼材の高効率製造方
法。 - 【請求項5】 前記鋳片が、更に、質量%で、Mg:
0.0001〜0.0017を含有し、前記酸化物組成
が、少なくともCa、Al、Mg、Oの元素を含み、O
を除いた元素が質量比で、Ca:5%以上、Mg:1%
以上を含有し、残部がAlおよびその他不可避不純物で
あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
靭性の優れた鋼材の高効率製造方法。 - 【請求項6】 質量%で、Cu:≦1.5%、Ni:≦
2.0%、Nb:≦0.05%、V :≦0.1%、C
r:≦0.6%、Mo:≦0.6%、B :0.000
2〜0.002%の1種または2種以上を含有すること
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の靭性の優
れた鋼材の高効率製造方法。
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