JPH07238318A - 強度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の製造方法 - Google Patents
強度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の製造方法Info
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- JPH07238318A JPH07238318A JP2848994A JP2848994A JPH07238318A JP H07238318 A JPH07238318 A JP H07238318A JP 2848994 A JP2848994 A JP 2848994A JP 2848994 A JP2848994 A JP 2848994A JP H07238318 A JPH07238318 A JP H07238318A
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Abstract
性の優れたフランジを有する形鋼を経済的に製造する。 【構成】 製鋼工程で特定成分に調整した後、特定の溶
存酸素量に対し、特定量のAlを添加して脱酸を行い、
製造した連続鋳造鋳片を、形鋼圧延工程で粗圧延・中間
圧延・仕上圧延を経た後、必要に応じて中間圧延工程の
パス間で鋼材表層部の温度をAr3 −20℃以下、Ar
3 −100℃以上に水冷し、その復熱過程で少なくとも
1回以上圧延し、750〜1050℃の温度範囲で中間
圧延を終了させ、その後、仕上圧延前に鋼材のAr3 −
20℃以下Ar1 以上の温度域まで放冷し、仕上圧延を
経るか、あるいは仕上圧延後に上述の温度域まで放冷
し、700℃から400℃までを0.5〜3.0℃/s
で加速冷却することにより、強度、靱性、溶接性に優れ
たフランジを有する形鋼の製造を可能にする。
Description
て用いられるフランジを有する形鋼の製造方法に係わる
ものである。
どから、柱、梁用に用いられるフランジを有する形鋼、
例えばH形鋼には一層の高強度化、高靱性化、低降伏点
化、良溶接性が求められている。特に、厚肉フランジを
有するH形鋼では、強度を確保するために多量の合金元
素を添加することが1つの方策であるが、この場合は同
時に靱性の低下、溶接性の悪化をもたらし、一方、靱
性、溶接性を確保するためには、低合金成分であること
が必要条件であるために、アズロールでは強度を確保で
きない。低合金成分で且つ強度を満足させる方法とし
て、圧延終了後の鋼材の加速冷却法(TMCP法)が周
知であるが、厚肉フランジを有するH形鋼の場合、仕上
圧延直後の鋼材温度がAr3 点以上のγ域からの冷却で
は必要強度を確保するまでの加速冷却を行うとベイナイ
ト相あるいはマルテンサイト相の組織分率が上昇し、靱
性を著しく損なう。また、厚鋼板分野ではVNの析出効
果を利用し高強度・高靱性鋼を製造する、例えば特公昭
62−50548号公報、特公昭62−54862号公
報の技術が提案されている。しかしながら、この従来法
では、V添加による製造原価の上昇、Nの成分コントロ
ールが困難なため、安価で安定した製造ができなかっ
た。また、一方では、強度、靱性、溶接性を同時に確保
させるために、従来は圧延−冷却終了後に焼準処理など
の熱処理を施すことも行われた。しかし、熱処理の付加
は熱処理コストと生産効率の低下など大幅なコスト上昇
を招き、経済性に問題があった。
を解決するために、製鋼、圧延および冷却までの工程を
総合的に対象とした新規な製造方法により、強度・靱性
・溶接性の優れたフランジを有する形鋼を低コストで提
供することを目的とする。
解決するためになされたものであり、その特徴点は製鋼
過程において適正な脱酸処理を行い、溶鋼の清浄化、溶
存酸素濃度調整、合金元素のうちAlの添加順序の変更
等により、Al添加量の制御を行い、鋼中に多数の微細
な複合酸化物を分散させることにより粒内フェライトを
生成させたうえで、加速冷却を行い、ベイナイト相ある
いはマルテンサイト相の組織分率の上昇を防止し、細粒
なフェライト組織とし、強度とともに、靱性、溶接性を
も確保することにある。さらに必要に応じて中間圧延工
程のパス間で鋼材表層部の温度をAr3 −20℃以下、
Ar3 −100℃以上に水冷し、その復熱過程で少なく
とも1回以上圧延し、さらにミクロ組織の細粒化を行
い、特にH形鋼において、高温圧延、低冷却速度となる
フィレット部の靱性を向上させる。即ち、本発明は格別
な設備を必要とせず経済的で効率良く強度、靱性、溶接
性の優れた高品質の鋼材の製造方法を提供するものであ
る。
とおりである。 (1)重量%でC:0.05〜0.15%,Si:0.
05〜0.50%,Mn:0.8〜2.0%,N:0.
003〜0.015%,Ti:0.005〜0.025
%を含み、残部がFe、及び不可避不純物からなる溶鋼
を予備脱酸処理によって溶存酸素を重量%で0.003
〜0.015%に調整後、さらに金属アルミもしくはフ
ェロアルミの添加により脱酸し、該Al含有量が重量%
で0.005〜0.015%で、かつ溶鋼の溶存酸素
〔O%)に対し、−0.004≦〔Al%〕−1.1
〔O%〕≦0.006の関係を満たす鋳片に連続鋳造で
鋳造し、該鋳片を1100〜1300℃の温度域に再加
熱後に圧延を開始し、750〜1050℃の温度範囲で
中間圧延を終了させ、仕上圧延前に鋼材表面がAr3 −
20℃以下、Ar1 以上の温度域まで放冷したのち仕上
圧延を行うか、あるいは仕上圧延後、鋼材表面がAr3
−20℃以下、Ar1 以上の温度域まで放冷し、その後
ただちに700℃から400℃までの鋼材の平均冷却速
度を0.5℃/s〜3.0℃/sの範囲内で加速冷却す
る強度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形
鋼の製造方法。
%,Si:0.05〜0.50%,Mn:0.8〜2.
0%,N:0.003〜0.015%,Ti:0.00
5〜0.025%を含み、残部がFe、及び不可避不純
物からなる溶鋼を予備脱酸処理によって溶存酸素を重量
%で0.003〜0.015%に調整後、さらに金属ア
ルミもしくはフェロアルミの添加により脱酸し、該Al
含有量が重量%で0.005〜0.015%で、かつ溶
鋼の溶存酸素〔O%)に対し、−0.004≦〔Al
%〕−1.1〔O%〕≦0.006の関係を満たす鋳片
に連続鋳造で鋳造し、該鋳片を1100〜1300℃の
温度域に再加熱後に圧延を開始し、中間圧延工程のパス
間で鋼材表層部の温度をAr3 −20℃以下、Ar3 −
100℃以上に水冷し、その復熱過程で少なくとも1回
以上圧延して750〜1050℃の温度範囲で中間圧延
を終了させ、仕上圧延前に鋼材表面がAr3 −20℃以
下、Ar1 以上の温度域まで放冷したのち仕上圧延を行
うか、あるいは仕上圧延後、鋼材表面がAr3 −20℃
以下、Ar1 以上の温度域まで放冷し、その後ただちに
700℃から400℃までの鋼材の平均冷却速度を0.
5℃/s〜3.0℃/sの範囲内で加速冷却する強度・
靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の製造
方法。
%,Si:0.05〜0.50%,Mn:0.8〜2.
0%,N:0.003〜0.015%,Ti:0.00
5〜0.025%を含み、加えてV≦0.20%,Cr
≦0.7%,Nb≦0.05%,Ni≦1.0%,Cu
≦1.0%,Mo≦0.3%、の1種または2種以上を
含み、残部がFe、及び不可避不純物からなる溶鋼を予
備脱酸処理によって溶存酸素を重量%で0.003〜
0.015%に調整後、さらに金属アルミもしくはフェ
ロアルミの添加により脱酸し、該Al含有量が重量%で
0.005〜0.015%で、かつ溶鋼の溶存酸素〔O
%)に対し、−0.004≦〔Al%〕−1.1〔O
%〕≦0.006の関係を満たす鋳片に連続鋳造で鋳造
し、該鋳片を1100〜1300℃の温度域に再加熱後
に圧延を開始し、750〜1050℃の温度範囲で中間
圧延を終了させ、仕上圧延前に鋼材表面がAr3 −20
℃以下、Ar1 以上の温度域まで放冷したのち仕上圧延
を行うか、あるいは仕上圧延後、鋼材表面がAr3 −2
0℃以下、Ar1 以上の温度域まで放冷し、その後ただ
ちに700℃から400℃までの鋼材の平均冷却速度を
0.5℃/s〜3.0℃/sの範囲内で加速冷却する強
度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の
製造方法。
%,Si:0.05〜0.50%,Mn:0.8〜2.
0%,N:0.003〜0.015%,Ti:0.00
5〜0.025%を含み、加えてV≦0.20%,Cr
≦0.7%,Nb≦0.05%,Ni≦1.0%,Cu
≦1.0%,Mo≦0.3%、の1種または2種以上を
含み、残部がFe、及び不可避不純物からなる溶鋼を予
備脱酸処理によって溶存酸素を重量%で0.003〜
0.015%に調整後、さらに金属アルミもしくはフェ
ロアルミの添加により脱酸し、該Al含有量が重量%で
0.005〜0.015%で、かつ溶鋼の溶存酸素〔O
%)に対し、−0.004≦〔Al%〕−1.1〔O
%〕≦0.006の関係を満たす鋳片に連続鋳造で鋳造
し、該鋳片を1100〜1300℃の温度域に再加熱後
に圧延を開始し、中間圧延工程のパス間で鋼材表層部の
温度をAr3 −20℃以下、Ar3 −100℃以上に水
冷し、その復熱過程で少なくとも1回以上圧延し、75
0〜1050℃の温度範囲で中間圧延を終了させ、仕上
圧延前に鋼材表面がAr3 −20℃以下、Ar1 以上の
温度域まで放冷したのち仕上圧延を行うか、あるいは仕
上圧延後、鋼材表面がAr 3 −20℃以下、Ar1 以上
の温度域まで放冷し、その後ただちに700℃から40
0℃までの鋼材の平均冷却速度を0.5℃/s〜3.0
℃/sの範囲内で加速冷却する強度・靱性および溶接性
の優れたフランジを有する形鋼の製造方法。
明する。鋼材の靱性は、合成成分、結晶粒径による依存
性を有する。即ち、組織中に固溶する成分が少ないほ
ど、あるいは、組織中のフェライト粒が細粒であるほ
ど、靱性は向上する。連続鋳造スラブを素材としてユニ
バーサル熱間圧延により、フランジを有する形鋼、例え
ばH形鋼を製造する場合、フィレット部において素材の
中心偏析が集積され、偏析成分が著しく濃化する。ま
た、同時にフィレット部は他の部位と比較して圧延温度
が高いため、熱間圧延を行っても、例えばフランジ部や
ウェブ部よりもフェライト粒は粗粒化する。
は、以下の強化機構を利用することが知られている。 フェライト結晶粒径の微細化 合金元素による固溶体強化 微細析出物による析出強化
が最も一般的であるが、例えば、代表的な固溶体強化元
素であるMnの添加は著しく鋼材の焼入れ性を高め、フ
ェライト+パーライト組織をベイナイト組織に変化させ
る。ベイナイト組織を生成し易い成分系鋼を圧延H形鋼
に適用した場合は、特に圧延工程で素材である連続鋳造
スラブの中心偏析部が集積されるように加工されるフィ
レット部において上記Mnが偏析成分として濃化し、ベ
イナイトおよび島状マルテンサイト組織分率が著しく高
くなる。その結果として特に靱性が低下し、場合によっ
ては割れが発生し、UT欠陥等が出現する。また、の
微細析出物による析出強化も靱性を低下させる。従っ
て、靱性を確保しつつ強度を上昇させることが可能なの
はのフェライト結晶粒径の微細化のみである。
義された溶接性評価式(以下WES式と略称する)によ
れば以下に示すようになり、C,Mn等の合金元素の増
加とともに溶接性が損なわれる。良溶接性を確保するた
めには、少なくともWES式を0.04以下とすること
が必要である。本発明の特徴は例えば、厚肉フランジを
有するH形鋼の熱間圧延での製造時に仕上圧延前あるい
は後に空冷して一部にフェライトを出現させたのち、加
速冷却して、ベイナイト相あるいは、フェライト相の組
織分率の上昇を防止し、細粒なフェライト組織とし、強
度、靱性、溶接性の全てを満足させるところにある。
限定理由について述べる。まず、Cは鋼の強度を向上さ
せる有効な成分として添加するもので0.05%未満で
は、構造用鋼として必要な強度が得られず、また0.1
5%を超える過剰の添加は、母材靱性、耐溶接割れ性、
溶接熱影響部靱性等を著しく低下させるので、下限を
0.05%、上限を0.15%とした。
に必要であるが0.50%を超えると溶接熱影響部内に
硬化組織の高炭素マルテンサイトを生成し、溶接継手部
靱性を著しく低下させる。また、0.05%未満では必
要な溶鋼の予備脱酸ができないため、Si含有量を0.
05%〜0.50%の範囲に限定した。Mnは母材の強
度、靱性の確保には0.8%以上の添加が必要である
が、溶接部の靱性、割れ性等の許容できる範囲内で上限
を2.0%とした。
素であり、過剰に固溶すると靱性を低下させる元素であ
るため、できるだけ低減することが望ましいが、0.0
03%未満とすると、脱Nのためのコストがかかり、製
造原価が高くなるので、下限を0.003%とした。他
方0.015%を超えると母材靱性が劣化し、連続鋳造
時に鋳片に表面割れが生じるため0.015%を上限と
した。
内フェライトの生成を促進させ、あるいは微細なTiN
を析出させ、オーステナイトの細粒化と粒内フェライト
の生成を促進し、母材及び溶接部の靱性を向上させる効
果があるが、0.005%未満では酸化物中のTi含有
量が不足し、粒内フェライト生成核としての作用が低下
し、他方0.025%を超えると過剰なTiはTiCを
生成し、析出硬化を生じ靱性を著しく低下させるため
0.005〜0.025%に制限した。
量について特に限定しないが、凝固時のマクロ偏析によ
り溶接割れや靱性の低下が生じるので、極力低減すべき
であり、また、本発明でP,S量が、目的とする量まで
低減できるのは、それぞれ0.02%未満である。以上
が本発明の対象となる鋼の基本成分であるが、母材強度
の上昇及び靱性向上の目的で、V,Cr,Ni,Nb,
Cu,Moの1種または2種以上を含有することができ
る。
の生成とその細粒化、高温強度の確保のために極めて重
要であるが、0.20%超では析出物が過剰になり、母
材靱性や溶接熱影響部靱性が劣化するため上限を0.2
0%に制限した。Niは、母材の強靱性を高める極めて
有効な元素であるが、1.0%超の添加は合金コストを
増加させ経済的でないので上限を1.0%とした。
高温強化に有効である。しかし、0.7%を超える過剰
の添加は、靱性及び硬化性の観点から有害となるため上
限を0.7%とした。Nbは母材の強靱化には有効であ
るが、0.05%を超える過剰の添加は靱性及び硬化性
の観点から有害となるため上限を0.05%とした。
あるが、応力除去焼鈍による焼戻し脆性、溶接割れ、熱
間加工割れなどを考慮して、上限を1.0%とした。M
oは母材の強化に有効な元素であるが、溶接割れ、熱間
加工割れなどを考慮して、上限を0.3%とした。溶鉄
の予備脱酸処理を行い、溶存酸素を重量%で0.003
〜0.015%に制御するのは、溶鉄を高清浄化すると
同時に鋳片内に微細な酸化物を分散させるために極めて
重要だからである。予備脱酸後の〔O〕濃度が0.00
3%未満では粒内フェライト変態を促進する粒内フェラ
イト生成核の複合酸化物が減少し、細粒化できないため
靱性は向上できない。一方、0.015%を超える場合
は、他の条件を満たしていても、酸化物が粗粒化し、脆
性破壊の発生起点となり、靱性を低下させる。以上の理
由により、予備脱酸後の〔O〕濃度を0.003〜0.
015%に限定した。
Si,Zr,Ca,Mg脱酸の1種あるいは2種以上の
組合せで行った。その理由は真空脱ガス処理は直接溶鋼
中の酸素をガス及びCOガスとして除去し、Al,S
i,Zr,Ca,Mg等の強脱酸により生成する酸化物
系介在物は浮上し除去しやすいため、溶鋼の清浄化に極
めて効果的だからである。
5%超の含有は粒内フェライト変態を促進する複合酸化
物が形成されず、靱性の低下がもたらされ、一方、0.
005%未満では目的の複合酸化物が生成できないた
め、0.005〜0.015%に制限した。さらに溶鋼
のAl含有量〔Al%〕を溶鋼の溶存酸素〔O%〕に対
し−0.004≦〔Al%〕−1.1〔O%〕≦0.0
06%の関係を満たすように制限したのは、この関係に
おいて重量%でAlが〔O〕濃度に対し過剰である場合
は複合酸化物の生成数が減少し、粒内フェライト生成核
としては無効なAl2 O3 を多数生成して組織の細粒化
ができず靱性が低下し、重量%でAlが〔O〕濃度に対
し過小である場合は粒内フェライト核となる複合酸化物
が著しく減少するため組織の細粒化ができず靱性が低下
するためである。Alの添加順序を最後とするのは製鋼
の初期段階で添加した場合にはAlは脱酸力が強く、粒
内フェライト生成核としては無効なAl2 O3 を生成
し、浮上し易いため、低融点の複合酸化物ができにくい
ためである。
機により鋳片に製造した後、1100〜1300℃の温
度域に再加熱する。この温度域に再加熱温度を限定した
のは、熱間加工による形鋼の製造には塑性変形を容易に
するため1100℃以上の加熱が必要であり、また、加
熱炉の性能、経済性から上限を1300℃とした。加熱
した鋼材は、粗圧延、中間圧延、仕上圧延の各工程によ
って圧延成形を行う。圧延終了温度を750〜1050
℃としたのは、低温圧延ほど靱性は向上するが、形鋼の
造形上750℃未満での加工は困難であり、また105
0℃を超えての加工は粗粒組織を生成して靱性が低下す
るためである。
て鋼材表層部の温度をAr3 −20℃以下、Ar3 −1
00℃以上に水冷し、その復熱過程で少なくとも1回以
上圧延し、750〜1050℃の温度範囲で圧延を終了
させるのは、低温圧延で表層部を極細粒な組織とし、そ
の後の復熱により、フェライトからオーステナイトへ再
変態させ、加工歪を除去するためである。この水冷と圧
延パス、復熱の組み合わせにより、鋼材表層部は歪のな
い極細粒なフェライト+パーライト組織となり、靱性が
向上する。
表面温度をAr3 −20℃以下、Ar1 以上まで放冷す
るのは表面から約20mm程度の厚みまでフェライト変態
を進行させるためであり、このフェライトの生成によ
り、ベイナイト相あるいはマルテンサイト相の生成が抑
制されるためである。この温度域よりも高温域で放冷を
停止し加速冷却を行うとベイナイト相あるいはマルテン
サイト相の組織分率が顕著に上昇し、靱性が低下する。
また、この温度域よりも低温域まで放冷すると、加速冷
却によるフェライト細粒化の効果がみられなくなり、強
度が低下する。また、上述の最適な温度域までの放冷
は、仕上圧延前あるいは後のいずれでも構わない。その
理由は、仕上圧延での圧下量は小さく、仕上圧延の有無
による材質変動は無視できるためである。
仕上圧延後に放冷した鋼材はただちに加速冷却を行う。
700℃から400℃までの平均冷却速度を0.5℃/
s〜3.0℃/sの範囲内で冷却して製造するとしたの
は、この冷却速度範囲よりも高冷却速度で加速冷却する
と、ベイナイト相やマルテンサイト相の組織分率が上昇
し、靱性が低下する。また、この冷却速度範囲よりも低
冷却速度で加速冷却しても、加速冷却によるフェライト
細粒化の効果がみられなくなり、強度が低下する。従っ
て、上述の冷却速度の範囲を最適な冷却速度範囲とす
る。
造により240mm〜300mm厚鋳片に鋳造した後、図1
に示すレイアウトの加熱炉1で加熱し、粗圧延機2で粗
圧延した後、引き続いて、第1中間圧延機3、第2中間
圧延機4で所定の寸法のH形鋼となるまで成形を行う。
このとき、必要に応じて第2中間圧延機4での圧延パス
間で、鋼材表層部の温度をAr3 −20℃以下、Ar3
−100℃以上に水冷し、その復熱過程で少なくとも1
回以上圧延し、750〜1050℃の温度範囲で中間圧
延を終了させる。その後、仕上圧延機5による仕上圧延
前に第2中間圧延機4と仕上圧延機5との間の任意の場
所において所定の温度域、即ち鋼材表面がAr3 −20
℃以下、Ar1 以上の温度域まで放冷させる。その後、
仕上圧延を経て、仕上圧延機5の下流側に設置された水
冷による鋼材の加速冷却装置6により、所定の冷却速
度、即ち700℃から400℃までの冷却速度を0.5
℃/s〜3.0℃/sの範囲内に確保できるように加速
冷却を行う。冷却後は冷却床7で次工程の矯正まで放冷
される。
ジ9の板厚t2 の中心部(1/2t 2 )でフランジ幅全
長(B)の1/4幅(1/4B)から試験片を採取して
求めた。なお、この箇所の特性を求めたのは、フランジ
1/4B部は母材の平均的な機械特性を示すので、この
部位でH形鋼の機械試験特性を代表できるとしたためで
ある。
示し、表3は圧延と冷却条件に対する機械試験特性を示
す。なお、加熱温度を1280℃に揃えたのは、一般的
に加熱温度の低減は、機械特性を向上させることは周知
であり、高温加熱条件は機械特性の最低値を示すと推定
され、この値がそれ以下の加熱温度での特性を代表でき
ると判断したためである。
てはAr3 点は860℃から800℃の間、Ar1 点は
700℃から650℃の間にあるため、放冷停止温度を
Ar 1 点以上、Ar3 点−20℃以下とするには、少な
くとも700℃以上780℃以下とする必要がある。表
3に示すように本発明による鋼1〜6は、母材を代表す
る部位であるフランジ1/4B部、で目標の母材強度
(前記JISG3106,SM490)と0℃でのシャ
ルピー衝撃吸収エネルギーの目標値(前記JISG31
06,SM490C)である45(J)以上を充分に満
足する。
成分、放冷停止温度、700℃から400℃までの冷却
速度は本発明における条件に適合しているが、AlとO
の濃度のバランスが、〔Al%〕−1.1〔O〕が0.
0072で、本発明での条件である、−0.004以
上、0.006以下の範囲を逸脱するため、強度は目標
値よりも、低い値となっている。鋼8では放冷停止温
度、400℃までの冷却速度は本発明における製造条件
の範囲内であるが、Mnの濃度が2.03%であり、0
℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーの目標値を満足し
ない。鋼9では成分、700℃から400℃までの冷却
速度はともに本発明の製造条件を満足するものの、放冷
停止温度が600℃であり、Ar1 点よりも低い温度で
あるため、強度は目標値を下回る。鋼10では成分、放
冷後700℃から400℃までの冷却速度はともに本発
明の製造条件を満足するものの、放冷停止温度が850
℃でAr3 点−20℃以上となり、0℃でのシャルピー
衝撃吸収エネルギーが著しく低く目標値以下となる。鋼
11では成分、放冷停止温度はともに本発明における製
造条件を満たすものの、700℃から400℃までの冷
却速度が0.4℃/sであり、本発明における冷却速度
の下限値0.5℃/sを下回るため、強度は目標値より
も、低い値となる。鋼12は、成分、放冷停止温度はと
もに本発明における製造条件を満たすものの、700℃
から400℃までの冷却速度が3.5℃/sであり、本
発明における冷却速度の上限値3.0℃/sを上回るた
め、0℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーが低く、目
標値を満足しない。
て0.40以下であれば優れた溶接性を確保することが
可能であり、鋼1〜6はその条件を満足しているので良
溶接性を有していると判断できる。即ち、本発明の要件
が全て満たされた時に、表3に示される鋼1〜6のよう
に、母材強度、靱性、溶接性の優れた厚肉フランジH形
鋼の熱間圧延による製造が可能になる。なお、本発明が
対象とする圧延形鋼は、上述のH形鋼のみならず、I形
鋼、山形鋼、溝形鋼、不等辺不等厚山形鋼等のフランジ
を有する形鋼にも適用できることは勿論である。
の製造を前提にしているが、予備脱酸処理がより行い易
い電気炉、もしくはそれらとその補助的溶融処理炉との
組合せ工程を採用して本発明の溶存酸素に調整してもよ
い。また、圧延パス間の復熱過程はリバース圧延もしく
は連続圧延の当該圧延開始より終了までのパス間で実施
するが、この復熱を強制的に急速加熱手段によってもよ
い。
の優れた厚肉フランジH形鋼の熱間圧延よる製造が可能
となり、大型建造物の信頼性向上、安全性確保、経済性
の向上等の産業上の効果は極めて顕著なものがある。
ある。
試験片の採取位置を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.05〜0.15%、 Si:0.05〜0.50%、 Mn:0.8〜2.0%、 N:0.003〜0.015%、 Ti:0.005〜0.025% を含み、残部がFe、及び不可避不純物からなる溶鋼を
予備脱酸処理によって溶存酸素を重量%で0.003〜
0.015%に調整後、さらに金属アルミもしくはフェ
ロアルミの添加により脱酸し、該Al含有量が重量%で
0.005〜0.015%で、かつ溶鋼の溶存酸素〔O
%)に対し、−0.004≦〔Al%〕−1.1〔O
%〕≦0.006の関係を満たす鋳片に連続鋳造で鋳造
し、該鋳片を1100〜1300℃の温度域に再加熱後
に圧延を開始し、750〜1050℃の温度範囲で中間
圧延を終了させ、仕上圧延前に鋼材表面がAr3 −20
℃以下、Ar1 以上の温度域まで放冷したのち仕上圧延
を行うか、あるいは仕上圧延後、鋼材表面がAr3 −2
0℃以下、Ar1 以上の温度域まで放冷し、その後ただ
ちに700℃から400℃までの鋼材平均冷却速度を
0.5℃/s〜3.0℃/sの範囲内で加速冷却するこ
とを特徴とする強度・靱性および溶接性の優れたフラン
ジを有する形鋼の製造方法。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.05〜0.15%、 Si:0.05〜0.50%、 Mn:0.8〜2.0%、 N:0.003〜0.015%、 Ti:0.005〜0.025% を含み、残部がFe、及び不可避不純物からなる溶鋼を
予備脱酸処理によって溶存酸素を重量%で0.003〜
0.015%に調整後、さらに金属アルミもしくはフェ
ロアルミの添加により脱酸し、該Al含有量が重量%で
0.005〜0.015%で、かつ溶鋼の溶存酸素〔O
%)に対し、−0.004≦〔Al%〕−1.1〔O
%〕≦0.006の関係を満たす鋳片に連続鋳造で鋳造
し、該鋳片を1100〜1300℃の温度域に再加熱後
に圧延を開始し、中間圧延工程のパス間で鋼材表層部の
温度をAr3 −20℃以下、Ar3 −100℃以上に水
冷し、その復熱過程で少なくとも1回以上圧延して75
0〜1050℃の温度範囲で中間圧延を終了させ、仕上
圧延前に鋼材表面がAr3 −20℃以下、Ar1 以上の
温度域まで放冷したのち仕上圧延を行うか、あるいは仕
上圧延後、鋼材表面がAr3 −20℃以下、Ar1 以上
の温度域まで放冷し、その後ただちに700℃から40
0℃までの鋼材の平均冷却速度を0.5℃/s〜3.0
℃/sの範囲内で加速冷却することを特徴とする強度・
靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の製造
方法。 - 【請求項3】 重量%で、 C:0.05〜0.15%、 Si:0.05〜0.50%、 Mn:0.8〜2.0%、 N:0.003〜0.015%、 Ti:0.005〜0.025% を含み、加えてV≦0.20%,Cr≦0.7%,Nb
≦0.05%,Ni≦1.0%,Cu≦1.0%,Mo
≦0.3%、の1種または2種以上を含み、残部がF
e、及び不可避不純物からなる溶鋼を予備脱酸処理によ
って溶存酸素を重量%で0.003〜0.015%に調
整後、さらに金属アルミもしくはフェロアルミの添加に
より脱酸し、該Al含有量が重量%で0.005〜0.
015%で、かつ溶鋼の溶存酸素〔O%)に対し、−
0.004≦〔Al%〕−1.1〔O%〕≦0.006
の関係を満たす鋳片に連続鋳造で鋳造し、該鋳片を11
00〜1300℃の温度域に再加熱後に圧延を開始し、
750〜1050℃の温度範囲で中間圧延を終了させ、
仕上圧延前に鋼材表面がAr3 −20℃以下、Ar1 以
上の温度域まで放冷したのち仕上圧延を行うか、あるい
は仕上圧延後、鋼材表面がAr3 −20℃以下、Ar1
以上の温度域まで放冷し、その後ただちに700℃から
400℃までの鋼材の平均冷却速度を0.5℃/s〜
3.0℃/sの範囲内で加速冷却することを特徴とする
強度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼
の製造方法。 - 【請求項4】 重量%で、 C:0.05〜0.15%、 Si:0.05〜0.50%、 Mn:0.8〜2.0%、 N:0.003〜0.015%、 Ti:0.005〜0.025% を含み、加えてV≦0.20%,Cr≦0.7%,Nb
≦0.05%,Ni≦1.0%,Cu≦1.0%,Mo
≦0.3%、の1種または2種以上を含み、残部がF
e、及び不可避不純物からなる溶鋼を予備脱酸処理によ
って溶存酸素を重量%で0.003〜0.015%に調
整後、さらに金属アルミもしくはフェロアルミの添加に
より脱酸し、該Al含有量が重量%で0.005〜0.
015%で、かつ溶鋼の溶存酸素〔O%)に対し、−
0.004≦〔Al%〕−1.1〔O%〕≦0.006
の関係を満たす鋳片に連続鋳造で鋳造し、該鋳片を11
00〜1300℃の温度域に再加熱後に圧延を開始し、
中間圧延工程のパス間で鋼材表層部の温度をAr3 −2
0℃以下、Ar3 −100℃以上に水冷し、その復熱過
程で少なくとも1回以上圧延し、750〜1050℃の
温度範囲で中間圧延を終了させ、仕上圧延前に鋼材表面
がAr3 −20℃以下、Ar1 以上の温度域まで放冷し
たのち仕上圧延を行うか、あるいは仕上圧延後、鋼材表
面がAr3 −20℃以下、Ar1 以上の温度域まで放冷
し、その後ただちに700℃から400℃までの鋼材の
平均冷却速度を0.5℃/s〜3.0℃/sの範囲内で
加速冷却することを特徴とする強度・靱性および溶接性
の優れたフランジを有する形鋼の製造方法。
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---|---|---|---|
JP06028489A JP3107697B2 (ja) | 1994-02-25 | 1994-02-25 | 強度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP06028489A JP3107697B2 (ja) | 1994-02-25 | 1994-02-25 | 強度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH07238318A true JPH07238318A (ja) | 1995-09-12 |
JP3107697B2 JP3107697B2 (ja) | 2000-11-13 |
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ID=12250085
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JP06028489A Expired - Fee Related JP3107697B2 (ja) | 1994-02-25 | 1994-02-25 | 強度・靱性および溶接性の優れたフランジを有する形鋼の製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3107697B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE3212799C1 (de) * | 1982-04-06 | 1983-11-03 | Giulini Chemie Gmbh, 6700 Ludwigshafen | Verfahren zur Herstellung von Dihydroxialuminiumnatriumcarbonat |
CN114395736A (zh) * | 2022-01-16 | 2022-04-26 | 新疆八一钢铁股份有限公司 | 一种q355b型钢钒微合金化生产方法 |
CN115821154A (zh) * | 2022-09-07 | 2023-03-21 | 马鞍山钢铁股份有限公司 | 一种具有良好z向性能的超厚热轧h型钢及其生产方法 |
-
1994
- 1994-02-25 JP JP06028489A patent/JP3107697B2/ja not_active Expired - Fee Related
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DE3212799C1 (de) * | 1982-04-06 | 1983-11-03 | Giulini Chemie Gmbh, 6700 Ludwigshafen | Verfahren zur Herstellung von Dihydroxialuminiumnatriumcarbonat |
CN114395736A (zh) * | 2022-01-16 | 2022-04-26 | 新疆八一钢铁股份有限公司 | 一种q355b型钢钒微合金化生产方法 |
CN115821154A (zh) * | 2022-09-07 | 2023-03-21 | 马鞍山钢铁股份有限公司 | 一种具有良好z向性能的超厚热轧h型钢及其生产方法 |
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