JP2965813B2 - 降伏点制御圧延形鋼 - Google Patents

降伏点制御圧延形鋼

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JP2965813B2 JP6831993A JP6831993A JP2965813B2 JP 2965813 B2 JP2965813 B2 JP 2965813B2 JP 6831993 A JP6831993 A JP 6831993A JP 6831993 A JP6831993 A JP 6831993A JP 2965813 B2 JP2965813 B2 JP 2965813B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建造物の構造部材とし
て用いられる形鋼の降伏点範囲を保証した耐震性能に優
れた降伏点制御圧延形鋼に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】建築物の超高層化、大スパン化とそれに
ともなう耐震性などの安全基準の厳格化から、梁用に用
いられる薄手サイズのH形鋼にも一層の高強度化、高靭
性化、低降伏比化が求められている。最近は、これらの
要求に加え、構造物部材の設計強度と実際に使用される
鋼材との強度の差を少なくし、より信頼性を高めるため
に、降伏点の上限を規定した狭幅YP鋼が求められてい
る。このような要求特性を満たすために、厚鋼板分野で
は鉄鋼協会講演集、CAMP−ISIJ Vol.4
(1991)758pに示されているように、圧延終了
後に焼準及び焼き戻しなどの熱処理を施すことが行われ
た。形鋼においても、同様な処理を施せば材質特性は満
たすことが可能であるが、熱処理の付加は熱処理コスト
と生産効率の低下、あるいはH形鋼のように、フランジ
とウェブの肉厚比が2〜3倍の形状を有する形材では、
後熱処理時にウェブとフランジ間の熱膨張差による応力
の発生によりウェブに変形を生じるなど、経済性と形状
性能の低下とに問題がある。
【0003】一般に、フランジを有する形鋼、例えばH
形鋼をユニバーサル圧延により製造すると、圧延造形上
の制約およびその形状の特異性からウェブ、フランジ、
フィレットの各部位で圧延仕上げ温度、圧下率、冷却速
度に差を生じる。その結果、部位間に強度、延性、靭性
のバラつきが発生し、例えば溶接構造用圧延鋼材(JI
SG3106)等の規準に満たない部位が生じる。ま
た、最近、ウェブ厚がフランジ厚に比し約1/3にウェ
ブを薄肉化し、軽量化した高断面性能を有する外法一定
H形鋼が開発された。この中で特にウェブ厚12mm以
下の薄手サイズの製造にはウェブとフランジ間の熱膨張
差からの応力によるウェブの変形を防止するため、フラ
ンジを強制冷却している。このような製造条件では必然
的に低温仕上げとなり、組織が細粒化し高降伏点にな
り、要求値の範囲のJISで規定されたYPの最低値+
80N/mm2 以内を満たせない難点があった。
【0004】これらの課題を解決するためには圧延まま
で高性能の材質特性を得られるように、新しい合金設計
による鋼の開発が必要となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来の薄手材形
鋼の製造条件から必然的に低温圧延となり、フェライト
が細粒化し、降伏点を上昇させるが、このようなプロセ
ス条件においても、フェライトの細粒化を抑制し、さら
にフェライト自身の降伏強度を下げる手段を開発する必
要がある。また、H形鋼のフランジとウェブの結合部の
フィレット部はCCスラブの中心偏析部と一致し、この
部位に存在するMnSは低温圧延条件下では著しく延伸
し、板厚方向の絞り値を低下させ、溶接時にラメラティ
アを生じる場合がある。本発明はこのような課題を解決
した降伏点制御圧延形鋼を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はAlの多量添加
による固溶Nの低減によりフェライト自身の降伏強度を
低減すると同時に凝固時と凝固後の緩冷却によりAl系
複酸化物を疎に析出させ、MnS、AlN、TiN等を
冷却途上で付着させるとともに粗大化させ、これらの分
散からの粒界のピンニング作用による細粒化効果を排除
し、降伏点を低減するものである。加えて、耐ラメラテ
ィア特性向上策として、MnSの生成を防止する目的で
S含有量に応じたCa、Mg、REMを添加するもので
ある。これらの手段により薄手形鋼特有の低温圧延+加
速冷却条件下においても、鋼の降伏点を低下させること
ができ、ラメラティア特性の優れた信頼性の高い降伏点
制御形鋼がオンラインで製造可能となる。
【0007】本発明の要旨は、 重量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01
〜0.30%、Mn:0.4〜2.0%、P:0.02
%以下、S:0.015%以下、N:0.005%以下
でAl:0.15〜0.30%を基本成分とし、かつ、 ΔS(%) =S (%)−0.8 ×Ca (%)−1.3 ×Mg (%)− 0.2
×REM (%) の式に示すΔSが−0.005%〜0.010%になる
ようにCa:0.005%以下、Mg:0.005%以
下、REM:0.01%以下のいずれかの1種または2
種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
る溶鋼を鋳造し、鋳片の凝固温度から900℃間を0.
05〜0.5℃/Sの冷却速度で冷却し、鋼中にAl系
複酸化物、MnS、Al系複酸化物とMnSとの複合析
出物の総数が20個/mm2 以下に分散させた該鋳片を
1100〜1300℃温度域に加熱後に圧延を開始し、
900℃以下で全圧下量で20%以上圧下して製造した
ことを特徴とする降伏点制御圧延形鋼。
【0008】重量%でC:0.04〜0.20%、S
i:0.01〜0.30%、Mn:0.4〜2.0%、
P:0.02%以下、S:0.015%以下、N:0.
005%以下、Al:0.15〜0.30%を基本成分
とし、かつ、 ΔS(%) =S (%)−0.8 ×Ca (%)−1.3 ×Mg (%)− 0.2
×REM (%) の式に示すΔSが−0.005%〜0.010%になる
ようにCa:0.005%以下、Mg:0.005%以
下、REM:0.01%以下のいずれかの1種または2
種以上を含有し、加えてNb:0.05%以下、V:
0.1%以下、Ti:0.03%以下 B:0.003
%以下のいずれかの1種または2種以上を含有し、残部
がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を鋳造し、鋳片
の凝固温度から900℃間を0.05〜0.5℃/Sの
冷却速度で冷却し、鋼中にAl系複酸化物、MnS、A
l系複酸化物とMnSとの複合析出物の総数が20個/
mm2以下に分散させた該鋳片を1100〜1300℃
温度域に加熱後に圧延を開始し、900℃以下で全圧下
量で20%以上圧下して製造したことを特徴とする降伏
点制御圧延形鋼。
【0009】重量%でC:0.04〜0.20%、S
i:0.01〜0.30%、Mn:0.4〜2.0%、
P:0.02%以下、S:0.015%以下、N:0.
005%以下でAl:0.15〜0.30%を基本成分
とし、かつ、 ΔS(%) =S (%)−0.8 ×Ca (%)−1.3 ×Mg (%)− 0.2
×REM (%) の式に示すΔSが−0.005%〜0.010%になる
ようにCa:0.005%以下、Mg:0.005%以
下、REM:0.01%以下のいずれかの1種または2
種以上を含有し、加えてCr:1.0%以下、Mo:
1.0%以下、Ni:3.0%以下、Cu:1.0%以
下のいずれかの1種または2種以上を含有し、残部がF
eおよび不可避不純物からなる溶鋼を鋳造し、鋳片の凝
固温度から900℃間を0.05〜0.5℃/Sの冷却
速度で冷却し、鋼中にAl系複酸化物、MnS、Al系
複酸化物とMnSとの複合析出物の総数が20個/mm
2 以下に分散させた該鋳片を1100〜1300℃温度
域に加熱後に圧延を開始し、900℃以下で全圧下量で
20%以上圧下して製造したことを特徴とする降伏点制
御圧延形鋼。
【0010】重量%でC:0.04〜0.20%、S
i:0.01〜0.30%、Mn:0.4〜2.0%、
P:0.02%以下、S:0.015%以下、N:0.
005%以下でAl:0.15〜0.30%を基本成分
とし、かつ、 ΔS(%) =S (%)−0.8 ×Ca (%)−1.3 ×Mg (%)− 0.2
×REM (%) の式に示すΔSが−0.005%〜0.010%になる
ようにCa:0.005%以下、Mg:0.005%以
下、REM:0.01%以下のいずれかの1種または2
種以上を含有し、加えてNb:0.05%以下、V:
0.1%以下、Ti:0.03%以下、B:0.003
%以下のいずれかの1種または2種以上を含有し、さら
にCr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ni:
3.0%以下、Cu:1.0%以下のいずれかの1種ま
たは2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物
からなる溶鋼を鋳造し、鋳片の凝固温度から900℃間
を0.05〜0.5℃/Sの冷却速度で冷却し、鋼中に
Al系複酸化物、MnS、Al系複酸化物とMnSとの
複合析出物の総数が20個/mm2 以下に分散させた該
鋳片を1100〜1300℃温度域に加熱後に圧延を開
始し、900℃以下で全圧下量で20%以上圧下して製
造したことを特徴とする降伏点制御圧延形鋼にある
【0011】。
【作用】以下、本発明の作用を詳細に説明する。
【0012】鋼材の降伏強度はPickeringによ
ると以下の実験式で示される。
【0013】降伏応力(MPA)=15.4[3.5+2.1(%Mn)+5.4
(%Si)+23(%N5)1/2+1.13d-1/2] この式で%N5 はフェライト中に固溶しているN量であ
り、dはフェライト粒径(mm)である。鋼材の強度レ
ベルを定めれば、C,Mn,Si等の主成分はほぼ規定
されるので、降伏強度を低くするにはフェライト中の固
溶Nの低減とフェライト粒径を大きくすることである。
このフェライト粒径は製造プロセスと析出物の分散に支
配される。そのために、複雑な形状を圧延により成形す
る形鋼圧延においては圧延制約が多く、圧延条件を変え
フェライト粒径を制御することは極めて困難である。し
たがって、このような圧延条件下においての低降伏点化
にはフェライト中の固溶Nの低減が有効である。その方
法としては実操業での極低N化が考えられるが、製鋼工
程における脱ガス、ガスシールなど設備能力から限界が
あることと、実現できたとしても著しいコスト上昇をま
ねき現実的ではない。また強窒化物形成元素のTi、T
a、Nb等による固溶Nの低減は有効な手段ではある
が、これらの元素の多くは炭化物をも同時に析出し、析
出強化を生じ降伏点を上昇させる。この課題を克服する
ために、鋼中で炭化物を形成しないで強力な窒化物を形
成する元素を探求したところAlが最も有効なことをつ
きとめた。しかしながら、フェライト中でのNの溶解度
積は大きく、従来のAlキルド程度のAl添加量では、
熱間圧延工程において固溶NをAlNとし析出、固定す
るには不十分であり、降伏点の低減には無効である。そ
こで、多量のAl添加することによって固溶Nを完全に
AlNとし固定することを創案した。さらに、フェライ
ト相を粗粒化する目的で、従来はあまり注目されていな
かった、MnS、AlN、TiNらの分散粒子がγの細
粒化やαの核生成サイトとして作用し、αの細粒化に寄
与していることが判明したので、これらの総個数の低減
を製鋼過程の制御による新しい概念の導入により検討し
た。
【0014】なお、結晶粒径と析出物粒子の分散度との
関係は以下の式で示される。
【0015】R=3/4・r/F R:結晶粒径 r:粒子半径 F:粒子の体積分率 析出物粒子の体積分率が一定であれば、結晶粒径は析出
物粒子半径に比例する。したがって、本発明の目的であ
る結晶粒径の粗粒化には粒子の体積分率(F)を下げる
ためには、MnS、AlN、TiNをできる限り低減す
ることと、加えて粒子を凝集、複合粗粒化(r)し析出
物の総個数を減じることである。
【0016】これら原理を実現化すべく、本発明の特徴
である、Alの多量添加による固溶Nの低減と凝固時と
凝固後の緩冷却によりAl系複酸化物を疎に析出させ、
MnS、AlN、TiN等を冷却途上で付着させるとと
もに粗大化させることを試みたところ、薄手形鋼特有の
低温圧延+加速冷却条件下においても、フェライトの降
伏点を低下させることができ、目的の降伏点制御圧延形
鋼がオンラインで製造可能になった。
【0017】次に本発明鋼の基本成分範囲の限定理由に
ついて述べる。
【0018】Cは鋼の強度を向上させる有効な成分とし
て、添加するもので、0.04%未満では構造用鋼とし
て必要な強度が得られず、また、0.20%を超える過
剰の含有は、母材靭性、溶接割れ性、HAZ靭性などを
著しく低下させるので、上限を0.20%とした。
【0019】Siは母材の強度確保、脱酸などに必要で
あるが、0.3%を超えると溶接熱影響部に硬化組織の
高炭素マルテンサイトを生成し、靭性を低下させる。ま
た、0.01%未満では脱酸不足となるためにSi含有
量を0.01〜0.30%に制限した。
【0020】Mnは母材の強度、靭性を確保するために
0.4%以上の含有を要するが、溶接部の靭性、割れ性
などの特性を満たす必要から上限を2.0%とした。
【0021】Pは固溶体強化し降伏点を上昇させるの
で、できるだけ低減する必要があるが0.02%以下に
すればその影響は少ないので上限を0.02%とした。
【0022】SはMnSを生成し、γの細粒化と粒内フ
ェライト核として作用しフェライトを細粒化し降伏点を
上昇する。さらに薄手材で必然的に低温圧延となること
からMnSは延伸し、UST欠陥、ラメラティアを生じ
るため、Ca、Mg、REMを添加し延伸しない硫化化
合物組成に改質する必要がある。しかし、Sが0.01
5%を超えると、この硫化物数が増加し、UST欠陥、
ラメラティアを改善することはできないので0.015
%以下とした。
【0023】NはAlN、TiNなどの窒化物を形成す
ることによるフェライトの細粒化と、フェライトへの固
溶体強化とにより降伏強度を高めるので、その上限を
0.005%とした。
【0024】次にAlはフェライト中の固溶NをAlN
として固定し、さらに、フェライト組織割合を増加させ
るために添加するものであり、これらの効果を発揮させ
るのには、全Alで0.15%以上を含有する必要があ
る。また0.30%を超えると、これらの効果が飽和す
ることと、粗大なAl23 を多数生成し、靭性の低下
を生じるために上限を0.30%とした。
【0025】以上の記述が本発明の成分組成の基本をな
すものであるが、低温圧延時に顕著となるMnSの延伸
に起因するUST欠陥の防止、耐ラメラティア特性の改
善を目的にCa、Mg、REMの1種または2種以上を
含有できる。Ca、Mg、REMの効果は、高温変形能
の小さいCa、REM、Mgの酸硫化物を生成させ、熱
間圧延時に延伸するMnSの生成を阻止し、圧延により
延伸しない介在物組成に変化させることで、UST欠陥
の防止、耐ラメラティア特性の改善をもたらすものであ
る。しかし、重量%でCaが0.005%を、Mgが
0.005%を、REMで0.01%を、超えると、生
成する酸硫化物は粗大介在物となり、母材及び、溶接部
の靭性悪化をもたらすので、これらの元素の含有量の上
限を各々、Ca:0.005%、Mg:0.005%、
REM:0.01%に制限した。加えて、Ca、Mg、
REMの含有量が含有S量に対し、 ΔS(%) =S (%)−0.8 ×Ca (%)−1.3 ×Mg (%)− 0.2
×REM (%) で示す式でΔSを−0.005%〜0.010%に制限
したのは、ΔSが−0.005%未満ではCa、Mg、
REMが過剰に酸硫化物を生成し、UST欠陥、ラメラ
ティア特性を悪化し、靭性低下をももたらすために下限
を−0.005%とし、ΔSが0.01%を超えるとC
a、Mg、REMが不足し、酸硫化物が十分に生成でき
ずMnSの生成を防止できないために上限を0.010
%とした。
【0026】さらに、上記の本発明の基本成分組成に、
制御圧延による圧延組織制御をおこない母材の強度、靭
性を得る目的から、マイクロアロイ元素のNb、V、T
i、Bの1種または2種以上を添加することができる。
【0027】Nb、V、Ti、Bは微量添加により圧延
組織を微細化できることから低合金化でき溶接特性を向
上できる。しかしながら、これらの元素の過剰な添加は
溶接部の硬化や、母材の高降伏点化をもたらすので、各
々の含有量の上限をNb:0.05%、V:0.1%、
Ti:0.03%、B:0.003%とした。
【0028】加えて、本発明鋼の基本成分組成に、母材
強度、靭性をえる目的で、Cr、Mo、Ni、Cuの1
種または2種以上を添加することができる。
【0029】Cr、Moは主に母材の高強度化のために
添加するものであるが、各々が1.0%を超えると溶接
熱影響部を硬化し溶接割れ性を高めるために上限を1.
0%とした。
【0030】Ni、Cuは強度を高めると同時に靭性を
高め、有効であるがNiが3%を超えるとベイナイトを
生成し明瞭な降伏点が得られなくなるために上限を3%
とした。Cuは1%を超えると熱間圧延時に表面傷を生
じ易くなるために上限を1%とした。
【0031】次に、これらの成分の溶鋼を鋳片の凝固温
度から900℃間を0.05〜0.5℃/Sの冷却速度
で冷却するとしたのは、鋼中のAl系複酸化物の個数を
20個/mm2 以下にすることと、先に生成させたAl
系複酸化物にMnS、TiNをこの範囲の冷却速度で緩
冷却することにより付着凝集させるためである。すなわ
ち、冷却速度が0.05℃/S未満では複合析出物を2
0個/mm2 以下に分散させるには十分な条件ではある
が、連続鋳造時の鋳片のブレイークアウトの危険など操
業上の困難さから0.05℃/S以上に限定した。ま
た、0.5℃/Sを超える冷却速度ではAl系複酸化物
が微細化し、個数が20個/mm2 を超えるため0.5
℃/S以下に限定した。
【0032】なお、鋼中のAl系複酸化物、MnS、A
l系複酸化物とMnSとの複合析出物の総数が20個/
mm2 以下に分散させるとしたのは、20個/mm2
超えると、粒内フェライトの生成と、γの細粒化が生
じ、目的の低降伏点化ができないためである。
【0033】上記の処理を経た鋳片は次に1100〜1
300℃の温度域に再加熱する。この温度域に再加熱温
度を限定したのは、熱間加工による形鋼の製造には塑性
変形を容易にするため1100℃以上の加熱が必要であ
り、その上限は加熱炉の性能、経済性から1300℃と
した。
【0034】加熱した鋼材は粗圧延、中間圧延、仕上げ
圧延の各工程により圧延造形され、中間圧延機におい
て、リバース圧延し、同時に圧延前後でフランジ部を水
冷し、ウェブとの温度差を縮小させるためと、制御圧延
による靭性向上のために、900℃以下で総圧下量20
%以上の圧延が必要であり、圧延条件にこのような制限
を与えた。なお、圧延終了後に必要に応じてフランジ水
冷を行う。
【0035】
【実施例】試作形鋼は転炉溶製し、成分調整後、連続鋳
造により250〜300mm厚鋳片に鋳造した後、12
80℃に加熱し、粗圧延工程の図示は省略しているが、
図1に示すユニバーサル圧延装置列でH形鋼に圧延し
た。なお、鋳造後の冷却速度はスラブの冷却帯の水量と
鋳片の引き抜き速度の選択により制御した。
【0036】ウェブの変形防止のためのフランジ外面水
冷は中間圧延機4の前後に水冷装置5aを設け、圧延パ
ス間でのスプレー冷却とリバース圧延の繰り返と仕上げ
ユニバーサル圧延機6で圧延を終了した後、仕上げユニ
バーサル圧延機の後面に設けた冷却装置5bでスプレー
冷却した。圧延後の水冷はフランジ1/4F部での平均
冷却速度で、H400×200×6/12サイズでは9
℃/s,H700×250×9/16では7℃/sにな
るように加速冷却した。
【0037】機械特性は図2に示すフランジ2の板厚t
2 の中心部(1/2t2 )でフランジ幅全長(B)の1
/4,1/2幅(1/4B,1/2B)から試験片を採
集し求めた。なお、これらの箇所の特性を求めたのはフ
ランジ1/4F部はH形鋼の平均的な機械特性を示し、
フランジ1/2F部は耐ラメラティア特性の指標となる
板厚方向の引張り試験での絞り値が最も低下するので、
これらの2箇所により本発明の目的とする機械試験特性
を代表できるとしたためである。
【0038】表1には、基本成分組成を有する試作鋼と
比較鋼の化学成分値を、表2にはこの基本成分組成に加
えNb、V等のマイクロアロイとCr、Mo等の合金元
素を含有させた試作鋼と比較鋼の化学成分値を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】これらのH形鋼の圧延仕上げ温度とH形鋼
の各部位の機械試験特性を各々表3、4に示す。なお、
圧延加熱温度を1280℃に揃えたのは、一般的に加熱
温度の低減は機械特性を向上させることは周知であり、
高温加熱条件は機械特性の最低値を示すと推定され、こ
の値がそれ以下の加熱温度での特性を代表できると判断
したためである。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】表3、4に示すように、本発明による鋼1
〜7、鋼D1〜D13は、目標のSM400ではYP=
245〜325N/mm2 ,SM490ではYP=32
4〜404N/mm2 ,SM570ではYP=461〜
541N/mm2 のJIS規格の下限値+80N/mm
2 の範囲内に制御され、しかも、降伏比(YP/TS)
も0.80以下の低YR値を満たし、抗張力(前記JI
SG3106)と−5℃でのシャルピー値47(J)以
上を十分に満たしている。また、耐ラメラティア特性の
基準値となる1/2Fの板厚方向の引張り試験の絞り値
も、目標の25%以上を満たしている。一方、比較鋼の
鋼8,9,11、NlはAl含有量が発明の範囲の下限
値より低く、固溶Nが低減できず、凝固時の冷却速度が
上限を超えるために目標のYPのJIS規格の下限値+
80N/mm2 の範囲を超え、満足しない。加えてC
a、Mg、REMが含有されておらず、MnSの生成を
低減できないために、1/2Fの板厚方向の引張り試験
の絞り値が目標の25%以下となりラメラティア特性を
改善できない。また、比較鋼の鋼10はΔSは発明の範
囲内にあるので1/2Fの板厚方向の引張り試験の絞り
値は目標の25%以下となりラメラティア特性は満たす
が、Al含有量は発明の範囲内にあるが凝固時の冷却速
度が上限を超えるために、SM490鋼の目標YPの上
限値40N/mm2 を超え達成できない。また、比較鋼
の鋼N2、N3はCaが添加されΔS%が本発明の範囲
にあるので、絞り値は25%以上にあるものの、Al含
有量と凝固時の冷却速度が発明の範囲をはずれるために
YPがSM570の上限値の541N/mm2 を超え、
目的のYP値を得られない。
【0045】即ち、本発明の要件が総て満たされた時
に、表3、4に示される形鋼1〜7、D1〜D13のよ
うに、薄手サイズの圧延形鋼の低温圧延による高降伏点
化を抑制し、優れた耐ラメラティア特性有する建材用構
造部材に適合した、圧延ままでの形鋼の製造が可能にな
る。なお、本発明が対象とする圧延形鋼は上記実施例の
H形鋼に限らずI形鋼、山形鋼、溝形鋼、不等辺不等厚
山形鋼等のフランジを有する形鋼、厚鋼板にも適用でき
ることは勿論である。
【0046】
【発明の効果】本発明の圧延形鋼は低温圧延条件下にお
いても降伏点をJIS規格の下限値+80N/mm2
範囲に制御でき、狭幅降伏点と耐ラメラティア特性を有
する建築用形鋼製造がオンラインで可能になり、大型構
造物の信頼性の向上、経済性等の産業上の効果は極めて
顕著なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明形鋼を製造する装置配置例の略図。
【図2】H形鋼の断面形状および機械試験片の採取位置
を示す図。
【符号の説明】 1…H形鋼 2…フランジ 3…ウェブ 4…中間圧延機 5a…中間圧延機前後面の水冷装置 5b…仕上げ圧延
機後面冷却装置 6…仕上げ圧延機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 8/00 B22D 11/00 C22C 38/00 301

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C:0.04〜0.20%、 Si:0.01〜0.30%、 Mn:0.4〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.015%以下、 N:0.005%以下、 Al:0.15〜0.30%を基本成分とし、かつ、 ΔS(%) =S (%)−0.8 ×Ca (%)−1.3 ×Mg (%)− 0.2
    ×REM (%) の式に示すΔSが−0.005%〜0.010%になる
    ようにCa:0.005%以下、Mg:0.005%以
    下、REM:0.01%以下のいずれかの1種または2
    種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る溶鋼を鋳造し、鋳片の凝固温度から900℃間を0.
    05〜0.5℃/Sの冷却速度で冷却し、鋼中にAl系
    複酸化物、MnS、Al系複酸化物とMnSとの複合析
    出物の総数が20個/mm2 以下に分散させた該鋳片を
    1100〜1300℃温度域に加熱後に圧延を開始し、
    900℃以下で全圧下量で20%以上圧下して製造した
    ことを特徴とする降伏点制御圧延形鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で C:0.04〜0.20%、 Si:0.01〜0.30%、 Mn:0.4〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.015%以下、 N:0.005%以下、 Al:0.15〜0.30%を基本成分とし、かつ、 ΔS(%) =S (%)−0.8 ×Ca (%)−1.3 ×Mg (%)− 0.2
    ×REM (%) の式に示すΔSが−0.005%〜0.010%になる
    ようにCa:0.005%以下、Mg:0.005%以
    下、REM:0.01%以下のいずれかの1種または2
    種以上を含有し、加えてNb:0.05%以下、V:
    0.1%以下、Ti:0.03%以下、B:0.003
    %以下のいずれかの1種または2種以上を含有し、 残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を鋳造し、
    鋳片の凝固温度から900℃間を0.05〜0.5℃/
    Sの冷却速度で冷却し、鋼中にAl系複酸化物、Mn
    S、Al系複酸化物とMnSとの複合析出物の総数が2
    0個/mm 以下に分散させた該鋳片を1100〜1
    300℃温度域に加熱後に圧延を開始し、900℃以下
    で全圧下量で20%以上圧下して製造したことを特徴と
    する降伏点制御圧延形鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で C:0.04〜0.20%、 Si:0.01〜0.30%、 Mn:0.4〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.015%以下、 N:0.005%以下、 Al:0.15〜0.30%を基本成分とし、かつ、 ΔS(%) =S (%)−0.8 ×Ca (%)−1.3 ×Mg (%)− 0.2
    ×REM (%) の式に示すΔSが−0.005%〜0.010%になる
    ようにCa:0.005%以下、Mg:0.005%以
    下、REM:0.01%以下のいずれかの1種または2
    種以上を含有し、加えてCr:1.0%以下、Mo:
    1.0%以下、Ni:3.0%以下、Cu:1.0%以
    下のいずれかの1種または2種以上を含有し、 残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を鋳造し、
    鋳片の凝固温度から900℃間を0.05〜0.5℃/
    Sの冷却速度で冷却し、鋼中にAl系複酸化物、Mn
    S、Al系複酸化物とMnSとの複合析出物の総数が2
    0個/mm2 以下に分散させた該鋳片を1100〜13
    00℃温度域に加熱後に圧延を開始し、900℃以下で
    全圧下量で20%以上圧下して製造したことを特徴とす
    る降伏点制御圧延形鋼。
  4. 【請求項4】 重量%で C:0.04〜0.20%、 Si:0.01〜0.30%、 Mn:0.4〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.015%以下、 N:0.005%以下、 Al:0.15〜0.30%を基本成分とし、かつ、 ΔS(%) =S (%)−0.8 ×Ca (%)−1.3 ×Mg (%)− 0.2
    ×REM (%) の式に示すΔSが−0.005%〜0.010%になる
    ようにCa:0.005%以下、Mg:0.005%以
    下、REM:0.01%以下のいずれかの1種または2
    種以上を含有し、加えてNb:0.05%以下、V:
    0.1%以下、Ti:0.03%以下、B:0.003
    %以下のいずれかの1種または2種以上を含有し、 さらにCr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、N
    i:3.0%以下、Cu:1.0%以下のいずれかの1
    種または2種以上を含有し、 残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を鋳造し、
    鋳片の凝固温度から900℃間を0.05〜0.5℃/
    Sの冷却速度で冷却し、鋼中にAl系複酸化物、Mn
    S、Al系複酸化物とMnSとの複合析出物の総数が2
    0個/mm2 以下に分散させた該鋳片を1100〜13
    00℃温度域に加熱後に圧延を開始し、900℃以下で
    全圧下量で20%以上圧下して製造したことを特徴とす
    る降伏点制御圧延形鋼。
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