JP4231226B2 - 圧延h形鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築構造物用部材として用いられるH形鋼に関し、特に、このH形鋼において均一なミクロ組織および均一な機械特性を有する圧延H形鋼とその製造方法に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
熱間圧延で製造される形鋼、例えばH形鋼は製品サイズにより断面寸法が大きく異なり圧延時の各部位の圧下量、圧延中および圧延後の温度履歴が大きく異なる場合が発生する。特に、H形鋼においては、フランジ部の中でフランジとウエブが結合する1/2フランジ部(以下フィレット部という。)は、他のフランジ部と比較して圧延加工による歪量は小さい上に高温域での加工を強いられるという特徴を持っている。その結果、同一部材内でフランジ部の中の断面各部位においてミクロ組織格差が生じてしまう。このミクロ組織格差は、強度・靱性等の機械的特性に影響を及ぼし、具体的には、フィレット部の強度・靱性の低下が生じる主原因となる。この断面内における材質格差は、大型サイズ、厚肉サイズで顕著になり、このようなH形鋼を使用する重構造建造物において顕著になる傾向がある。
【0003】
上述したような問題に対し、従来は最弱部であるフィレット部の強度・靱性の低下分を合金添加量の増加等の方法により補うことで規格の強度・靱性等の機械的特性値を保証している。この場合、フィレット部以外の部位の機械的特性はフィレット部のそれよりも優れており、規格値を十分に満足するレベルで分布するものの、フランジ断面部以内で生じる材質格差のため、より厳密な鋼構造設計に用いられる部材に適さない場合が生じてしまう。すなわち、突発的な大荷重の負荷がかかるような場合にはフィレット部より亀裂が発生するという問題がある。例えば、耐震設計を施した構造物において部材に従来のH形鋼を使用する場合、断面部材以内で生じる材質格差に起因して大地震発生時に設計段階では予測しえない倒壊パターンが生じる危険性を有することになる。
【0004】
一方、最弱部であるフィレット部の機械的特性を保証する合金・プロセス等の製造条件を採用するために、他の断面部位では機械特性の規格下限値を越えて過大に保証していることは非効率的であり、不要な鋼材価格の上昇を伴い不経済であるという問題を抱えている。また、フランジ部とウエブ部とでは各々圧下率および圧延温度履歴が異なるためにミクロ組織に差が生じているという問題を抱えている。従って、同一の規格のH形鋼をより経済的に製造するには、この断面内における材質格差を縮小することが必須となる。
【0005】
上述した問題点を踏まえながらより均一な機械特性を有するH形鋼を製造する技術としては、例えば特許文献1に示される制御圧延とフランジ外側面の水冷による加速冷却を組み合わせた製造法が考えられるが、この技術によりフランジ外側面の幅方向の水量を調節、すなわち、フィレットに相当するフランジ幅中央近傍を集中的に水冷することにより、1/4フランジとフィレットの圧延温度履歴を近づけて、フランジ部断面の機械特性を均一化することは可能であるが、ウェブを含めた全断面にわたって水冷開始前および水冷中の温度分布を水冷単独で制御してミクロ組織を均一化し強度の偏差を充分に抑制させることは難しい。
【0006】
また、圧延加工段階において大圧下圧延による加工歪の導入、後続する回復および再結晶現象を利用したミクロ組織制御方法が考えられるが、H形鋼を圧延する場合、従来は以下に示す製造上の制約があり、ミクロ組織を均一化することができなかった。
【0007】
H形鋼の製造は、加熱鋼片をH形の粗形状(以下粗形鋼片と称す)まで圧延するブレークダウン工程と製品サイズまで厚み、幅および高さ等の寸法まで成形する中間および仕上げ圧延工程から構成される。従来の製造法ではブレークダウン工程で仕上げられる粗形鋼片のフランジ厚とウェブ厚の比が、製品のフランジ厚とウェブ厚の比に近い値まで成形されていた。これは、後続の中間および仕上げ圧延工程において、特にユニバーサル圧延と呼ばれるフランジ、ウェブの同時圧下プロセスにおいて、フランジ厚とウェブ厚の圧下バランスが1から大きく外れる場合に発生するウェブ波(ウェブの座屈)、フランジ裂け(端部の延伸差)等の鋼材長手方向の形状不良、厚み・幅・高さ等の寸法不良を防止するためである。
【0008】
殆どのH形鋼のサイズにおいてウェブ厚はフランジ厚よりも薄いため、上述の圧延方法では圧延中のウェブの温度低下が顕著となり、H断面内の温度偏差が大きくなる傾向にあった。このときの温度分布はフィレットで最大、ウェブ中央で最小となり、その温度差は場合により150から200℃にまで及ぶこともある。
【0009】
このH断面内の温度偏差が存在しているなかでミクロ組織の均一微細化を目的とした回復再結晶を利用した圧延制御を実施する場合、フランジ、フィレットおよびウェブ各々において別々のタイミングで大圧下圧延が必要となる。先述したように、フランジ厚とウェブ厚の圧下バランスを1に近い値で圧延することを前提とすると、幅広い温度範囲で大圧下圧延を行なわなければならないことになる。
【0010】
これを実現するにはブレークダウン工程で仕上げられる粗形鋼片の断面サイズを大きくすることが必須であるが、素材である鋼片のサイズ拡大およびブレークダウン工程での大断面の粗形鋼片を製造する新造形技術が必要とされる。これらは、鋳造作業効率の低下等による経済的問題および未実現である大断面粗形鋼片製造方法の開発等の技術的問題を抱え、その実現は困難であった。
【0011】
従って現状のプロセスでは、950〜1100℃の間において1パスあたりのフランジ、ウェブ圧下率にして高々15〜18%程度でユニバーサル圧延が行なわれていた。
【0012】
圧延および水冷制御に代替するミクロ組織微細化方法として、特許文献2、特許文献3に示されるように粒内フェライト変態核をオーステナイト中に分散させ低圧下条件でもミクロ組織を微細かつ均一にする製造方法があるが、これは製鋼段階における溶存酸素量および粒内フェライト変態核となる酸化物の分散生成等の制御を必要とし、大量生産に対応するには二次精錬工程能力の増強等のコストアップ要因が加わる。したがって、この製造方法では大量生産が前提となる汎用鋼の製造には適合しない。
【0013】
更に、上述した問題点を踏まえながら大型サイズ或いは厚肉サイズH形鋼を製造する技術としては、例えば、特許文献4、特許文献5および特許文献6において、VNの析出を利用してミクロ組織を細粒化させる技術が提案されている。しかしながら、これらの技術でH形鋼を製造した場合、H形鋼断面部位内のミクロ組織格差は幾分緩和されることは可能であるが、均一なミクロ組織および/または機械特性を得られるほど十分な対策というには至っていない。また、V添加による製造原価の上昇が懸念され、経済性の観点からも問題があるのが現状である。
【0014】
更に、上述した問題を解決するために、鋼板を溶接して製造する所謂、溶接H形鋼があるが、圧延H形鋼と比較して製造工程を多く抱えていることに加え、生産効率は低いためにH形鋼市場で経済性および市場供給能力に問題がある。また、溶接条件によっては溶接部機械特性が母材のそれと異なる場合が生じ、必ずしもH形鋼断面内で均一なミクロ組織および/または機械特性を得られるまでには至らない。
【0015】
【特許文献1】
特開平6−228634号公報
【特許文献2】
特開平4−279247号公報
【特許文献3】
特開平4−279248号公報
【特許文献4】
特公昭62−50548号公報
【特許文献5】
特公昭62−54862号公報
【特許文献6】
特開平10−60576号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述した各種問題点を解決し、熱間圧延で製造する各種サイズのH形鋼、特に大型サイズ、厚肉サイズのH形鋼の各部位においてミクロ組織偏差を小さくし、H形鋼断面内で均一な機械特性を有する圧延H形鋼の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、その要旨は次の通りである。
【0018】
(1)炭素当量式 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14で0.15〜0.40質量%の化学成分を有するJIS規格においてSN400、SS400、SM400、SN490、SM490で示される一般構造用圧延H形鋼、溶接構造用圧延H形鋼および建築構造用圧延H形鋼用の鋼片を、ユニバーサル圧延機によりリバース圧延して、H形鋼を製造するにあたり、
圧延仕上げ時の表面温度で示される仕上げ圧延温度が1/4フランジ部、フィレット部および1/2ウエブ部の3点間で50℃以内である仕上げ圧延を施すとともに、
1)1100〜1300℃の温度域に加熱後に圧延を開始し、フランジ、ウエブ各部位に おける板厚平均温度が950〜1100℃の間で1パスあたりのフランジ、ウエブの 圧下率が20%以上となる圧延を各々1回以上実施するか、
2)1/4フランジ部、フィレット部および1/2ウエブ部3点の仕上げ圧延温度がいず れも650℃以上860℃以下である仕上げ圧延を施すか、
いずれか1種の圧延法またはこれら両者の組み合わせによる圧延を施すことにより、前記H形鋼断面において1/4フランジ部を基準としてミクロ組織が下記の全てを満足することを特徴とする圧延H形鋼の製造方法。
1)ミクロ組織中のフェライト粒径平均値が1/2フランジ部およびフィレット部で±1 5%以内であること。
2)ミクロ組織中のフェライト粒径平均値が1/2ウエブ部で±15%以内であること。
3)ミクロ組織中のパーライト分率平均値が1/2フランジ部およびフィレット部で±8 %以内であること。
4)ミクロ組織中のパーライト分率平均値が1/2ウエブ部で±8%以内であること。
【0019】
(2)(1)記載の圧延H形鋼の製造方法において、更に、
1)中間圧延工程のリバース圧延のパス間でフランジを水冷し、表層部の温度を750℃ 以下に冷却し、かつ前記リバース圧延のパス間で復熱過程で圧延する工程を1回以上 実施する。
2)仕上げ圧延工程の圧延終了後に500℃までの平均冷却速度が0.5〜10℃/sで 水冷による加速冷却を実施する。
のいずれか、または複数のプロセスを組み合わせて製造することを特徴とする圧延H形鋼の製造方法。(ただし、2)を含まない場合は圧延終了後500℃まで自然放冷する)
【0020】
前述したように、H形鋼においては、フランジ部の中でフランジとウエブが結合する1/2フランジ部(フィレット部)は、他のフランジ部と比較して圧延加工による歪量は小さい上に高温域での加工を強いられるために同一部材内でフランジ部の中の断面各部位においてミクロ組織格差が生じ、このミクロ組織格差はフィレット部の強度・靱性の低下が生じる。すなわち、ウエブ部はフランジ部と比較して肉厚の薄いH形鋼を従来の熱間圧延工程で製造する場合には、ウエブ部が比較的低温大圧下の製造条件となるために、ウエブ部はフランジ部に比較してミクロ組織が細粒化する傾向にある。また、これと同時にウエブ部はフランジ部よりも焼き入れ性が低下し、パーライト分率が低下する傾向になる。
【0021】
このミクロ組織格差は、強度・靱性に多大な影響を及ぼし、具体的にはウエブ部の降伏比が上昇する原因となる。また、このミクロ組織格差および材質格差は、ウエブ、フランジ間の厚み比が大きいサイズ、およびウエブ部の薄肉サイズで顕著となる特徴がある。従来はウエブ部の低温大圧下条件を緩和させ、フランジ部の圧延温度履歴に近づけるために圧延製造までの所要時間を短縮させる方法、具体的には鋼材の伸び長さ制限、すなわち鋼片重量の軽量化や圧延・搬送の高速化も図られてきたが、断面各部位で均一なミクロ組織が得られるほど十分な対策が講じられていない状況にある。このように、従来の製造プロセスで製造されるH形鋼は、ウエブ、フランジ間で材質格差が存在し、条件によっては厳密な鋼構造設計に用いられる部材に適合しない場合が発生することもある。例えば、耐震設計を施した構造物において、部材に従来のH形鋼を使用する場合、断面部以内で生じる材質格差に起因して、大地震発生時には設計段階では予測しえない倒壊パターンが生じる危険性を有することになる。
【0022】
そこで、本発明においては上述したミクロ組織格差を解消するために種々検討した結果、H形鋼断面において、1/4フランジ部を基準としてミクロ組織中のフェライト粒径平均値或いはパーライト分率平均値を制御すること、および/または1/2フランジ部、ウエブ部およびフィレット部での降伏強度、引張強度等の機械特性を制御することが重要な要素を占めることを見いだした。これについて詳細に説明する。
【0023】
ミクロ組織が主としてフェライト相とパーライト相から構成される鋼材の機械特性はフェライトの粒径およびパーライト分率から予測することが可能である。この鋼材に変形が加えられた場合、パーライト相よりも軟質であるフェライト相の塑性変形が開始することにより降伏する。一般の鋼材に見られる多結晶体においては、機械特性はこのフェライトの結晶粒径に依存することが一般に知られている。すなわち、降伏強度はフェライト粒径依存性を有し、具体的には、フェライト粒径のー1/2乗と線形的な関係を有することが理論的にも実験的にも示されている。特に同一成分の鋼材の場合、フェライト粒径のー1/2乗と降伏強度とは1本の直線的な関係で結ばれる。これは同一成分の鋼材のミクロ組織中のフェライト粒径平均値がほぼ均一であれば降伏強度はほぼ同一になることを示している。
【0024】
一方、引張強度は軟質相であるフェライトのみならず硬質相であるパーライトの強度にも依存する。これは引張強度を示す引張試験での破断限界がフェライト、パーライト双方の塑性変形に起因するためである。複合組織の引張強度は構成各相の引張強度の加重平均と一般に考えられるから、構成各相における強度と組織分率の積の総和が引張強度の予測式として成立する。主としてフェライト相とパーライト相から構成される鋼材においては、フェライト相の強度とフェライト分率の積に、パーライト相の強度とパーライト分率の積を加えた値が引張強度と線形が関係する。このとき、主構成相は2相であることから、フェライト分率は1からパーライト分率を引いた値に等しいこと、パーライトの塑性変形はフェライトの塑性変形と比較して極く微小であることからパーライト粒径依存性は無視できることの2つの理由から、引張強度はフェライト粒径およびパーライト分率に依存する量となる。例えば、鋼材の引張強度は Pickeringによると下記(1)式の実験式で示され、圧延鋼の強度レベルは合金設計された化学成分値、パーライト分率、フェライト粒径でほぼ決定される。
【0025】
引張強さ(MPa)=15.4(19.1+1.8〔Mn〕
+5.4〔Si〕+0.25〔%
パーライト〕+0.5d -1/2 (1)
ただし、d:フェライト粒径(mm)
これは、同一成分の鋼材ミクロ組織中のフェライト粒径平均値およびパーライト分率平均値がほぼ均一であれば引張強度はほぼ同一となることを示している。従って、H型鋼断面において均一な強度を保つためには、断面内各部位で圧延と冷却のプロセス制御が不可欠となる。
【0026】
フェライト結晶粒径は、オーステナイトからフェライトへの変態においてフェライト変態サイト数とそのフェライト結晶の成長速度により決定され、1)フェライト変態直前のオーステナイト粒径、2)加速冷却型制御圧延(TMCP)に代表される加工熱処理の加工温度と歪量、変態域の冷却速度等、の条件に主に支配される。また、パーライト割合は主にパーライト変態温度により決定される。
【0027】
本発明は、上記の原理を基本とし、圧延により造形するH型鋼のウエブ、フランジとフィレットのミクロ組織差を以下に示す方法により縮小させることで、H型鋼断面内のミクロ組織と機械特性の均一化を実現するものである。1/4フランジ部と1/2フランジ部およびフィレット部との間のミクロ組織差を解消すると共に機械特性を均一化させる方法として以下の対策が挙げられる。
i)例えば、圧下率で20%以上の大圧下圧延を行うことにより、1/4フランジ部のみ ならず1/2フランジ部およびフィレット部を再結晶後のオーステナイト組織を十分細 粒化させることにより最終的なミクロ組織を微細化する。
ii)再結晶温度域(例えば950℃以上)の中で比較的低い温度域で圧延することにより 、1/4フランジ部のみならず1/2フランジ部およびフィレット部において再結晶後 のオーステナイト組織を十分細粒化させることにより最終的なミクロ組織を微細化する 。この比較的低い温度域での圧延を実現するために、圧延パス間でフランジを水冷する 方法が考えられる。
iii)圧延終了後水冷による加速冷却によりフェライトの粒成長を抑制し、パーライト組 織比率を増加させる。
【0028】
また、1/4フランジ部と1/2ウエブ部との間のミクロ組織差を解消する方法には以下の対策が挙げられる。
【0029】
i)ブレークダウン工程での平パス圧延と称する孔型によるウエブの単独圧延パスを廃止し、圧延中のウエブの温度低下を抑制する。なお、このプロセスを実現するためにはブレークダウン工程に後続するユニバーサル圧延工程でのウエブの単独圧延パスを行う。所謂ユニバーサルブレークダウン圧延プロセスが必須となる。
【0030】
ii)圧延に要する時間を短縮し、H型鋼断面部位間の温度格差の拡大を抑制する。
【0031】
iii)大圧下圧延を行なうことにより1/4フランジ部のみならずフィレット部を再結晶後のオーステナイト組織を充分に細粒化させることにより最終的なミクロ組織を微細化する。
【0032】
iv)再結晶温度域(例えば950℃以上)のなかで比較的低い温度域で圧延することにより1/4フランジ部のみならずフィレット部において再結晶後のオーステナイト組織を細粒化し最終的なミクロ組織を微細化する。この比較的低い温度域での圧延を実現させるために、圧延パス間で鋼材を水冷する方法が考えられる。
【0033】
v)未再結晶温度域での圧延温度履歴をフランジとフィレット、ウェブの3点間で近接化させる。具体的方法として以下の項目を制御すれば良い。
・未再結晶温度域での総圧下率の部位間差を抑制する
未再結晶温度域上限(例えば本発明の成分のうちNb含有鋼において鋼材表面温度で950℃程度)における板厚から製品厚までの総圧下率が60%以上確保できれば、圧延加工による導入歪量の部位間差は減少する。
・仕上げ温度の部位間差を抑制する
フランジとフィレット、ウェブの3点間の仕上げ圧延における鋼材表面温度(以降仕上げ温度と称す)がいずれも860℃以下であれば、ミクロ組織は充分に細粒化されるが、650℃を下回ると、ミクロ組織の一部がフェライト変態して圧延で加工フェライトを生成することになり、機械特性特に靱性を低下させることになるので、仕上げ温度の下限値を650℃とする。さらに、3点の仕上げ温度の部位間差が50℃以内に抑制できればミクロ組織の部位間差が減少する。
【0034】
vi)圧延終了後、冷却速度:0.5〜10.0℃/sの加速冷却によりフェライトの粒成長を抑制し、パーライトおよびベイナイト組織比率を増加させる。
【0035】
本発明においては、前述したフェライト粒径平均値或いはパーライト分率平均値が1/4フランジ部を基準としてミクロ組織中のフェライト粒径平均値が1/2フランジ部およびフィレット部で±15%以内であること、或いはミクロ組織中のパーライト分率平均値が1/2フランジ部およびフィレット部で±8%以内である必要がある。ここで、均一なミクロ組織の範囲をフェライト粒径平均値で±15%以内、パーライト分率平均値を±8%以内と限定した理由は、この範囲内であれば強度・靱性などの機械的特性のバラツキが約±5%以内に制御できること、すなわち、フェライト粒径平均値およびパーライト分率平均値が前述した範囲内にある場合にほぼ均質な機械的特性が得られることが実験の結果から明らかになったものである。
【0036】
しかしながら、工業生産する場合はある程度の許容範囲が必要である。引張強度・降伏強度に関しては、そのばらつきの範囲が降伏強度および引張強度のばらつきで5%以内、降伏比のばらつきで3%以内であれば、均一であると判断できるとして、例えば、下記のいずれか1つ以上の条件を満たしていればH形鋼断面内で機械特性が均一であると判定するが、本発明における製造方法を採用することにより、これを十分満足するH形鋼を得ることができる。
1/4フランジ部を基準として
1)1/2フランジ部およびフィレット部で降伏強度が±5%以内である均一な機械特性を有する圧延H形鋼
2)1/2フランジ部およびフィレット部で降伏比(降伏強度/引張強度)が±3%以内である。
【0037】
3)1/2フランジ部およびフィレット部で降伏強度が±5%以内であり、かつ引張強度が±5%以内である。
【0038】
4)1/2フランジ部およびフィレット部で降伏比(降伏強度/引張強度)が±3%以内であり、かつ引張強度が±5%以内である。
【0039】
5)1/2ウェブ部で降伏強度が±5%以内である。
【0040】
6)1/2ウェブ部で降伏比が±3%以内である。
【0041】
7)1/2ウェブ部で降伏強度が±5%以内であり、かつ引張強度が±5%以内である。
【0042】
8)1/2ウェブ部で降伏比が3%以内であり、かつ引張強度が±5%以内である。
【0043】
次に本発明鋼の炭素当量範囲を0.15〜0.40質量%に限定した理由について説明する。本発明における炭素当量は、炭素当量式Ceq.=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14、で求められ、その範囲は0.15〜0.40質量%である。この成分範囲はJIS規格においてSN400,SS400,SM400,SN490,SM490等で示される一般構造用圧延鋼材、溶接構造用圧延鋼材および建築構造用圧延鋼材等の化学成分に相当する。引張強度で400MPaから610MPaを示し、かつ高靱性および高い溶接性能を達成する成分範囲である。またこの炭素当量範囲であれば、該成分鋼のミクロ組織はフェライト相とパーライト相を主体として構成され、上述したようにミクロ組織が機械特性へおよぼす影響の機構が成立する。なお、請求項に示された炭素当量式はJIS規格にも記載されており、低値であるほど溶接性能が優れていることを示す。また、靱性に関しては炭素当量式で低値な程、良好な値が得られることが経験的に知られている。
【0044】
また、本発明においては、上記炭素当量式の限定範囲に加えて、Nb量を0.005〜0.035質量%を強度、靱性向上を図るために添加する。このNbの添加は鋼の再結晶抑制に作用することが知られており、例えば、Nb添加の最小量である0.005質量%の場合でも本発明範囲内の炭素当量であるなら、例えば950℃程度の温度域まで未再結晶温度域を上昇させることが可能である。また、Nb添加濃度が0.035質量%を超える場合、粗大なNb系の炭化物が分散し、母材靱性および溶接性を阻害することがあるので上限を0.035質量%とした。
【0045】
次に本発明の特徴である制御圧延、制御冷却条件の限定理由について述べる。
【0046】
H形鋼を圧延開始するに際し、鋼片の再加熱温度を1100〜1300℃の温度域に限定したのは、熱間圧延により形鋼を製造するには塑性変形を容易にするために1100℃以上の加熱が必要であり、またその上限を1300℃にしたのは加熱炉の性能、経済性からである。
【0047】
次に加熱された鋼材は粗圧延、中間圧延、仕上げ圧延の各工程により圧延造形されるが、本発明法の圧延工程における特徴として、中間圧延工程において1パスあたりの圧下率で20%以上の大圧下圧延が挙げられる。1パスあたりの圧下率で20%以上の大圧下圧延を950〜1100℃の温度域で実施するように限定したのは、この温度域での再結晶によるオーステナイト組織の細粒化効果を最大限に発揮させるためである。圧延で加えられる歪が大きい程、再結晶後のオーステナイト組織は細粒化される。従来実施されている圧下率20%未満の圧延加工では、ウェブおよびフランジの再結晶組織は充分に細粒化されていたが、フィレット部は導入される加工歪が比較的小さいことから再結晶組織は充分に細粒化されなかった。ところが、上記温度域での圧下率20%以上の圧延により、フィレットの再結晶組織の細粒化が十分に進行し、ウェブ、フランジ部とほぼ同等の細粒なオーステナイト組織を得ることが可能となった。
【0048】
また、図2に示すように、この圧下率は20%以上の大圧下圧延加工の回数は多いほどオーステナイト組織の細粒化は進むものの、再結晶後のオーステナイト平均粒径は加工条件に依存する値に収斂するため、回数が多い場合再結晶による1パスあたりの細粒化効果は次第に小さくなる傾向にあるが、この場合の加工歪の一部はオーステナイト粒に蓄積されオーステナイト粒内でフェライト変態核として作用し、最終的にミクロ組織細粒化に機能する。
【0049】
また、大圧下圧延加工を製造プロセスに加えることにより、圧延パス回数が減少し鋼片の再加熱後所定のH形鋼サイズへの圧延までの所要時間が短縮され、H形鋼断面各部位の温度の格差が減少する。すなわち圧延パス時の各部位の温度差が減少することにより、各部位の温度履歴のばらつきが減少する。
【0050】
この大圧下の圧延条件に加えて圧延パス間および圧延終了後にフランジ部に水冷を実施することにより、断面各部位におけるミクロ組織の均一化、機械特性の均一化がさらに促進される。
【0051】
圧延パス間でラウンジ部に水冷を実施することにより、フィレット温度はウェブ温度あるいはフランジ温度により漸近し、断面部以内のミクロ組織偏差はさらに縮小される。なお、圧延パス間に実施されるフランジ水冷は、フランジ部の表面温度が水冷直後で750℃以下に冷却し、鋼材表面が復熱する過程で圧延する方法がミクロ組織の細粒化に効果的であり、この方法を少なくとも1回のみならず複数回実施するとさらに細粒化効果が発揮される。加えて、この水冷によりフランジ表層部から内部にかけて温度勾配が付与され、水冷のない場合と比較して圧延による内部への加工浸透が増し、板厚内部の細粒化を補助する効果も付与される。
【0052】
この水冷と復熱圧延の繰り返し数は被圧延材の厚み、例えばフランジ厚みに応じ、厚みの大きい場合には複数回行なう。ここでフランジ表層部の温度を750℃以下に限定し冷却する理由は単に被圧延材の温度を低下させるだけでなく、表層部の焼入れ硬化を抑制する作用を発揮させる効果を取り入れるために行なう。すなわち、水冷により一旦オーステナイト→フェライト変態温度(Ar3 温度)以下にしてフェライト変態させ、オーステナイト+フェライトの二相域圧延プロセス、および次の圧延パスまでに復熱昇温し変態したフェライトを再びオーステナイトへの逆変態プロセスを経ることにより、表層部ミクロ組織が細粒化し、焼入れ性を著しく低減でき、圧延後に加速冷却した場合でも表層部の焼入れ硬化を防止できる。
【0053】
また、圧延終了後に引き続きフランジ部を0.5〜10℃/sの冷却速度で冷却し終了するとしたのは、加速冷却によりフェライトの粒成長を抑制させ断面各部位でミクロ組織を細粒のまま均一にするためと、パーライト組織比率を増加させ低合金で目標の強度を得るためである。
【実施例】
【0054】
以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
<実施例1>
試作鋼は転炉で溶製し、連続鋳造法により240〜300mm厚スラブ鋳片に鋳造した鋼片を加熱後、H形鋼に圧延した。
【0055】
熱間圧延条件としては、基本的に孔型圧延によるブレークダウン工程、エッジャー圧延機とユニバーサル圧延機から構成される中間ユニバーサル圧延機群による中間圧延工程、ユニバーサル圧延機による仕上げ圧延工程により構成されるH形鋼製造方法を採用する。なお、この方法の中にはH型鋼のウエブ高を制御するスキューロール圧延工程が加えられた場合も含まれている。
【0056】
この圧延製造方法において、ブレークダウン工程で孔底中央に突起を有し、孔底幅の異なる孔型を複数配置した圧延ロールで鋼片の幅方向に圧延加工することにより適正なフランジ幅およびウエブ高さまで成形する。続いて、中間圧延工程においてエッジャー圧延機でフランジ幅をユニバーサル圧延機でウエブ厚、フランジ厚の成形を行う。更に仕上げ圧延機で所定のH形鋼サイズに成形する。
【0057】
これに対し従来は、ブレークダウン工程において前述の圧延加工の後、平パス圧延と称する孔型によるウエブの単独圧延工程を経ていたが、ウエブの単独圧延に伴うウエブ厚みの早い段階での減少により、以降の工程でのウエブ温度降下が顕著となり、他の部位と比較して低温域での圧延加工を余儀なくされていた。また、中間圧延工程ではユニバーサル圧延機での1パス当たりの圧下率が比較的小さいために圧延製造に要する時間が延び、その分だけ部位による温度偏差が拡大することにより圧延温度履歴に差異が生じる原因となっていた。
【0058】
本実施例では、ブレークダウン工程における平パス圧延の廃止、中間圧延工程での大圧下圧延による圧延製造所要時間の短縮によりミクロ組織の均一化および引張強度、降伏強度等の機械特性の均一化を実現した。例えば、ウエブ厚:9mm、フランジ厚:12mm、ウエブ高さ:500mm、フランジ幅:200mmのH形鋼から、ウエブ厚:40mm、フランジ厚:60mm、ウエブ高さ:500mm、フランジ幅:500mmの大型H形鋼を上述のプロセスで製造した場合、表1に示すミクロ組織が得られた。なお、断面内で強度が均一化する本発明の機械特性は、上述したサイズのみならず、例えば、ウエブ厚:40mm、フランジ厚:60mm、ウエブ高さ:500mm、フランジ幅:500mm等の厚肉H形鋼や、ウエブ厚:19mm、フランジ厚:37mm、ウエブ高さ:300mm、フランジ幅:900mm等の大型H形鋼においても同様にして得られる。
【0059】
このようにして製造されたH形鋼の機械的特性は、図1に示すフランジ2の板厚t2の中心部(1/2t2 )でフランジ幅全長(B)の1/4、1/2幅(1/4B、1/2B)およびウエブ3の板厚中心部でウエブ高さの1/2Hから試験片を採取して求めた。なお、1/4Bは1/4フランジ部、1/2Bはフィレット部或いは1/2フランジ部、1/2Hは1/2ウエブ部と称する部位に相当する。これらの各部位の特性を求めたのは、フランジ1/4部(1/4B)とフィレット部(1/2B)はH形鋼フランジ部の特性を代表できるとしたためである。なお、測定は何れもC断面で行った。
【0060】
表1〜表5(表1のつづきの4)は、試作鋼のフランジ1/4部、フィレット部、1/2ウエブ部のミクロ組織中のフェライト粒径平均値、パーライト分率平均値の測定結果およびフランジ1/4部、フィレット部2部位間、およびフランジ1/4部、1/2ウエブ部2部位間の比率を示す。製造段階において本発明鋼のフェライト粒径平均値、パーライト分率平均値が本発明で規定した範囲内で分布する一方、従来鋼(比較鋼)では、本発明鋼で規定した範囲を満足せず、そのため所望の強度、靱性に達していない。なお、ミクロ組織観察からのフェライト粒径平均値、パーライト分率平均値の測定方法はとくに限定しないが、少なくとも光学顕微鏡で観察可能であり、平均値を求めるに当たり観察部位において局所的なバラツキが十分に小さいと判断される視野:約0.4mm×約0.4mm以上の領域から測定することが望ましい。
<実施例2>
実施例1において記載した圧延方法において、中間圧延工程での大圧下圧延の圧延率を20%以上とし、更に下記の圧延温度条件および圧延パス間・圧延後冷却条件を表1〜表5(表1のつづきの4)に示すように適宜組み合わせることにより、1/4フランジ部、フィレット部および1/2ウエブ部の3点において均一なミクロ組織を有するH形鋼を製造することが可能であることが明らかとなった。
・圧延仕上温度が1/4フランジ部、フィレット部および1/2ウエブ部の3点間で50℃以内
・1/4F部、フィレット部および1/2W部3点の圧延仕上温度が650℃以上860℃以下
・950℃以下での総圧下率がフランジ部、ウエブ部いずれも60%以上(ただし、Nbが添加された場合のみに限定)
・パス間でフランジを水冷し表層部の温度を750℃以下に冷却し、パス間の復熱過程で圧延
・圧延終了後に500℃までの水冷による加速冷却で平均冷却速度が0.5〜10℃/s
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明はH形鋼の各部位においてミクロ組織格差が小さく、H形鋼断面内で均一な機械的特性を有するH形鋼の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】 H形鋼の部位と試験片採取位置を示す図。
【図2】 圧延温度履歴による再結晶後オーステナイト平均粒径の変化を示す図。
Claims (2)
- 炭素当量式 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14で0.15〜0.40質量%の化学成分を有するJIS規格においてSN400、SS400、SM400、SN490、SM490で示される一般構造用圧延H形鋼、溶接構造用圧延H形鋼および建築構造用圧延H形鋼用の鋼片を、ユニバーサル圧延機によりリバース圧延して、H形鋼を製造するにあたり、
圧延仕上げ時の表面温度で示される仕上げ圧延温度が1/4フランジ部、フィレット部および1/2ウエブ部の3点間で50℃以内である仕上げ圧延を施すとともに、
1)1100〜1300℃の温度域に加熱後に圧延を開始し、フランジ、ウエブ各部位に おける板厚平均温度が950〜1100℃の間で1パスあたりのフランジ、ウエブの 圧下率が20%以上となる圧延を各々1回以上実施するか、
2)1/4フランジ部、フィレット部および1/2ウエブ部3点の仕上げ圧延温度がいず れも650℃以上860℃以下である仕上げ圧延を施すか、
いずれか1種の圧延法またはこれら両者の組み合わせによる圧延を施すことにより、前記H形鋼断面において1/4フランジ部を基準としてミクロ組織が下記の全てを満足することを特徴とする圧延H形鋼の製造方法。
1)ミクロ組織中のフェライト粒径平均値が1/2フランジ部およびフィレット部で±1 5%以内であること。
2)ミクロ組織中のフェライト粒径平均値が1/2ウエブ部で±15%以内であること。
3)ミクロ組織中のパーライト分率平均値が1/2フランジ部およびフィレット部で±8 %以内であること。
4)ミクロ組織中のパーライト分率平均値が1/2ウエブ部で±8%以内であること。 - 請求項1記載の圧延H形鋼の製造方法において、更に、
1)中間圧延工程のリバース圧延のパス間でフランジを水冷し、表層部の温度を750℃ 以下に冷却し、かつ前記リバース圧延のパス間で復熱過程で圧延する工程を1回以上 実施する。
2)仕上げ圧延工程の圧延終了後に500℃までの平均冷却速度が0.5〜10℃/sで 水冷による加速冷却を実施する。
のいずれか、または複数のプロセスを組み合わせて製造することを特徴とする圧延H形鋼の製造方法。(ただし、2)を含まない場合は圧延終了後500℃まで自然放冷する)
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