JP4836731B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Description
高記録密度化の要請はさらに強くなっており、このような要請に応えるべくガラス基板主表面を高精度で研磨する方法としてコロイダルシリカを含有する研磨スラリーを用いる方法が提案されている(たとえば特許文献1、2参照)。
特許文献2の方法は、特許文献1の方法を適用した主表面に微小な凸状の突起が形成されている問題を解決すべくなされたものとされており、研磨砥粒として有機ケイ素化合物を加水分解することで生成したコロイダルシリカを含む研磨砥粒を用いるものである。
本発明は、コロイダルシリカが有機ケイ素化合物を加水分解することで生成したものでなくともガラス基板主表面を高精度で研磨できるなど上述の問題を解決することが可能な方法の提供を目的とする。
図1は主表面外周部、チャンファー面(面取りされた面)および外周端面を含む部分の断面の概念図である。
aはチャンファー面、bは外周端面、cは主表面外周部であり、dはチャンファー面aと主表面外周部cの境界である。
主表面外周部cのうち境界dから主表面中心に向かって0.25mm以上5mm以下の部分はロールオフ測定領域eである。
ロールオフの大きさはロールオフ測定領域eにおける主表面外周部cの基準線gからの最大高さおよび最小高さの差である。なお、主表面外周部cが基準線gよりも上方にある場合は高さを正、下方にある場合は高さを負とする。
また、主表面のRaが0.16nm以下かつ主表面外周部のロールオフの大きさが50nm以下である磁気ディスク用ガラス基板が得られるようになる。
また、前記マスキングによる凸欠点を減少させることが可能になる。
ラッピングされた主表面は通常、30〜40μm研磨され、その後、本発明のスラリーを用いて研磨され、そのRaは典型的には0.16nm以下となる。
主表面の研磨においてはまず、平均粒径が0.9〜1.8μmである酸化セリウムを含有するスラリーとウレタン製研磨パッドとを用いて研磨する。
また、圧縮率(単位:%)は次のようにして測定される。すなわち、研磨パッドから適切な大きさに切り出した測定試料について、ショッパー型厚さ測定器を用いて無荷重状態から10kPaの応力の負荷を30秒間加圧した時の材料厚さt0を求め、次に厚さがt0の状態から直ちに110kPaの応力の負荷を5分間加圧した時の材料厚さt1を求め、t0およびt1の値から(t0−t1)×100/t0を算出し、これを圧縮率とする。
そこで、本発明者は研磨パッド試料1枚毎にその硬度を測定できるH・バーレイス社製ゴム用汎用自動硬度計デジテストとIRHDマイクロ検出器を用いて測定した硬度をもって研磨パッドの硬度とすることとした(以下、この硬度をパッド硬度という)。すなわち、パッド硬度の測定はISO48が規定する国際ゴム硬さ(IRHD)試験のM法(中硬さ用マイクロサイズ試験)によって一定の静荷重を用いて行われる。
スラリーのpHは8〜12であることが好ましい。8未満ではコロイダルシリカがケイ酸ソーダ法で製造されたものである場合等においてコロイダルシリカが凝集しやすくなる。より好ましくは9以上である。12超では取扱いがしにくくなる。
コロイダルシリカの種類は限定されないが、フジミインコーポレーテッド社製COMPOL−80などケイ酸ソーダ法で製造されたものが一般的である。
本発明のスラリー中のコロイダルシリカの含有量は典型的には5〜40%である。
これら水溶性高分子のスラリー中の含有量は0.001〜10%であることが好ましい。0.001%未満では前記Raが十分には小さくならないおそれがある。より好ましくは0.1%以上、特に好ましくは0.5%以上である。10%超では研磨速度が著しく低下するおそれがある。より好ましくは5%以下である。
アミノ基として2級アミノ基(−NH−)や3級アミノ基を有していてもよいが、本発明におけるポリエーテルポリアミンとしては、2個以上の1級アミノ基を有し、他のアミノ基を実質的に有しない化合物が好ましく、特に1級アミノ基のみを2個有するポリエーテルジアミンが好ましい。ポリエーテルポリアミンは、多価アルコールやポリエーテルポリオールの水酸基の水素原子をアミノアルキル基に置換した構造を有する化合物が好ましい。多価アルコールとしては2〜6価のアルコール、特に2価アルコールが好ましく、ポリエーテルポリオールとしては2〜6価のポリオキシアルキレンポリオール、特にポリオキシアルキレンジオールが好ましい。アミノアルキル基としては、2−アミノエチル基、2−アミノプロピル基、2−アミノ−1−メチルエチル基、3−アミノプロピル基、2−アミノ−1、1−ジメチルエチル基、4−アミノブチル基などの炭素数2〜6のアミノアルキル基が好ましい。
H2N−(R−X−)k−R−NH2 (1)
ただし、Rは炭素数2〜8のアルキレン基を表し、Xは酸素原子または−NH−を表し、kは、ポリエーテルジアミンの場合には2以上の整数を表し、ポリアルキレンポリアミンの場合には1以上の整数を表す。1分子中の複数のRは互いに異なっていてもよい。
H2N−R4−NH−(R3−NH−)n−R4−NH2 (3)
ただし、R1はエチレン基またはプロピレン基、R2は炭素数2から6のアルキレン基、R3は炭素数2から6のアルキレン基、R4は炭素数2〜8のアルキレン基、mは1以上の整数、nは1以上の整数を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよく、R3とR4は同一でも異なっていてもよい。
第4級アンモニウム塩基を有する水溶性有機高分子としては、第4級アンモニウム塩基がエチレンオキサイド付加型4級アンモニウム塩、ジ4級アンモニウム塩であるものが例示される。
Raとロールオフの大きさとはトレードオフの関係にあり、磁気ヘッドの浮上量を小さくしてもクラッシュ等の障害が起こらないようにし、かつ、磁気ヘッドの浮上姿勢を乱すことなく端部付近におけるクラッシュ等の障害を起こらないようにすることが困難であった。
本発明のガラス基板のRaおよびロールオフの大きさはそれぞれ0.13nm以下、20nm以下であることが好ましい。
フロート法で成形されたシリケートガラス板を、外径65mm、内径20mm、板厚0.635mmのガラス基板が得られるようなドーナツ状円形ガラス板(中央に円孔を有する円形ガラス板)に加工した。なお、内周面および外周面の研削加工はダイヤモンド砥石を用いて行い、ガラス板上下面のラッピングは酸化アルミニウム砥粒を用いて行った。
さらに、研磨剤として上記の酸化セリウムよりも平均粒径が小さい酸化セリウム(平均粒径:約0.2μm)を用い、研磨具としてウレタンパッドを用いて、両面研磨装置により上下主表面の研磨加工を行った。加工量は上下面の厚さ方向で計1.6μmであった。
このようにして作製された円形ガラス板の主表面をVeeco社製AFMを用いて測定したところその表面粗さRaは0.48nmであった。
フジミインコーポレーテッド社製COMPOL−80を蒸留水で希釈し、固形分濃度24質量%のコロイダルシリカと水を有するスラリー原液を2kg調製した。
また、200gの重量平均分子量230のBASF社製ポリオキシプロピレンジアミン(商品名:ポリエーテルアミンD230)を1.8kgの蒸留水に添加し、撹拌してポリエーテルアミン水溶液を調製した。この水溶液のポリエーテルアミンの含有量は10質量%である。
このようにして作製されたスラリー原液および水溶液を混合してスラリー(分散体)を得た。スラリーのpHは10.9であった。
なお、Raの測定前に次のような洗浄を行った。すなわち、純水シャワー洗浄、ベルクリンおよび水によるスクラブ洗浄、ベルクリンおよびアルカリ洗剤によるスクラブ洗浄、ベルクリンおよび水によるスクラブ洗浄、純水シャワー洗浄を順次行い、その後エアブローを行った。
スラリー原液と混合する水溶液を次のようにして作製した。すなわち、120gのポリエーテルアミンを1.88kgの蒸留水に添加し、撹拌してポリエーテルアミン水溶液を調製した。この水溶液のポリエーテルアミンの含有量は6質量%である。このポリエーテルアミン水溶液を例1と同じスラリー原液2kgと混合してpH10.8のスラリーを得た。
スラリーとしてこのスラリーを用いた以外は例1と同様にして20分間研磨を行い、主表面のRaが0.130nmであるガラス基板が得られた。除去量は0.18μmであった。
スラリー原液と混合する水溶液を次のようにして作製した。すなわち、40gのポリエーテルアミンを1.96kgの蒸留水に添加し、撹拌してポリエーテルアミン水溶液を調製した。この水溶液のポリエーテルアミンの含有量は2質量%である。このポリエーテルアミン水溶液を例1と同じスラリー原液2Lと混合してpH10.6のスラリーを得た。
スラリーとしてこのスラリーを用いた以外は例1と同様にして20分間研磨を行い、主表面のRaが0.146nmであるガラス基板が得られた。除去量は0.19μmであった。
研磨具としてパッド硬度が40.6、ショアA硬度が79°、圧縮率が0.5%かつ密度が0.54g/cm3である発泡ウレタン樹脂からなる研磨パッドを用い、研磨圧力を12kPa、キャリア周速を40m/min、研磨時間を50分間として両面研磨した以外は例1と同様にして研磨を行った。その結果、主表面のRaが0.125nm、ロールオフの大きさが15.2nmであるガラス基板が得られた。除去量は0.90μmであった。なお、ロールオフの大きさは前記Zygo社製NV200を用いて測定した。
前記COMPOL−80を蒸留水で希釈し、固形分濃度が12質量%であるスラリーを作製した。スラリーとしてこのスラリーを用いた以外は例1と同様にして研磨を行い、主表面のRaが0.176nmであるガラス基板が得られた。除去量は0.37μmであった。
スラリーとして前記COMPOL−80を蒸留水で希釈し、固形分濃度を12質量%としたものを用いて45分間研磨した以外は例4と同様にして研磨を行い、主表面のRaが0.132nm、ロールオフの大きさが112.3nmであるガラス基板が得られた。除去量は0.90μmであった。
一方、比較例2と同じスラリーを用いてその他は比較例2と類似した条件で研磨して得られたガラス基板の主表面に存在する微小欠点5個について例4で述べたと同様にして欠点の形状と成分の分析したところ3個はマスキングによる凸欠点であった。
b:外周端面
c:主表面外周部
d:チャンファー面aと主表面外周部cの境界
e:ロールオフ測定領域
g:ロールオフの大きさを定めるための基準線
Claims (7)
- 円形ガラス板を研磨して磁気ディスク用ガラス基板を製造する方法であって、水溶性ポリエーテルポリアミンおよびコロイダルシリカを含有するスラリーを用いて円形ガラス板の主表面を研磨する工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 水溶性ポリエーテルポリアミンが1級アミノ基を有するものである請求項1の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 水溶性ポリエーテルポリアミンがポリエーテルジアミンである請求項1の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- ポリエーテルジアミンが、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミンおよび4,7,10−トリオキサ−トリデカン−1,13−ジアミンからなる群から選ばれる1以上のものである請求項3の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記スラリーがアミン塩基を有する水溶性有機高分子および第4級アンモニウム塩基を有する水溶性有機高分子からなる群から選ばれる1以上の水溶性高分子を含有する請求項1〜4のいずれかの磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記スラリー中の前記水溶性高分子の質量百分率表示含有量が0.001〜10%である請求項1〜5のいずれかの磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記スラリーのpHが8〜12である請求項1〜6のいずれかの磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
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