JP4836350B2 - 油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば図5に示すように、フォークリフト101は、車体の前部にチルトシリンダ103により傾動するマスト113を備え、このマスト113に沿ってリフトシリンダ105により昇降するフォーク114を備え、フォーク114を荷物の下部にさし込み,荷物を持ち上げたり運搬する。
【0003】
図6はフォークリフト101に設けられる油圧回路を示したもので、図において、104はこのチルトシリンダ103に対する作動油の給排を制御するチルトコントロールバルブ、106はこのリフトシリンダ105に対する作動油の給排を制御するリフトコントロールバルブである。
【0004】
この油圧回路には、油圧ポンプPの吐出側に接続した供給通路110と、タンクTに接続した戻し通路109との間に、リフトコントロールバルブ106とチルトシリンダ103およびリリーフ弁108が並列に設けられる。
【0005】
チルトコントロールバルブ104はチルトシリンダ103の伸縮作動を止める停止ポジションcと、チルトシリンダ103を伸張作動させて作業機を後継させる後傾ポジションaと、チルトシリンダ103を収縮作動させて作業機を前傾させる前傾ポジションbとを有する。
【0006】
供給通路110の途中にはチルトコントロールバルブ104の手前にロードチェック弁102が介装される。このロードチェック弁102によって油圧ポンプPの停止等に伴って作動油が供給通路110を逆流することが止められ、チルトシリンダ103の逸走が防止される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の油圧制御装置にあっては、チルトコントロールバルブ104がチルトシリンダ103の伸縮作動を止める停止ポジションcにあっても、チルトコントロールバルブ104内に生じる作動油の洩れがあると、長時間経過するのに伴ってチルトシリンダ103が伸張方向に逸走してしまい、マスト113が前傾する可能性がある。
【0008】
この対策として、チルトコントロールバルブ104とチルトシリンダ103を結ぶ油路にオペレートチェック弁を介装してチルトシリンダ103が伸張方向に逸走することを防止するものがある。しかしながら、この場合、チルトコントロールバルブ104の前後でロードチェック弁102とオペレートチェック弁が直列に介装されるため、チルトコントロールバルブ104を後傾ポジションaに切り換えてチルトシリンダ103を収縮作動させるときに、作動油がロードチェック弁102とオペレートチェック弁の両方を通過し、この作動油の流れに付与される圧力損失が増大するという問題点があった。
【0009】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、圧力損失を増大させることなく油圧シリンダの逸走を防止する油圧制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、第一、第二油室を有する油圧シリンダと、第一、第二油室に対する作動油の給排を切換えるコントロールバルブとを備えて油圧シリンダを伸縮作動させる油圧制御装置に適用する。
【0011】
そして、コントロールバルブと第一油室を結ぶ油路にオペレートチェック弁を介装して油圧シリンダが一方向へ逸走することを防止し、油圧源とコントロールバルブを並列に結ぶ第一、第二供給油路を設け、第二供給油路にロードチェック弁を介装して油圧シリンダが他方向へ逸走することを防止し、油圧源から第一油室へと向かう作動油が第一供給油路を通りロードチェック弁を迂回して流れ、油圧源から第二油室へと向かう作動油が第二供給油路を通りロードチェック弁を介して流れる構成としたことを特徴とするものとした。
【0012】
第2の発明は、ロッド側、ボトム側油室を有するチルトシリンダと、ロッド側、ボトム側油室に対する作動油の給排を切換えるコントロールバルブとを備えてチルトシリンダを伸縮作動させ、ロッド側油室に作動油を供給してチルトシリンダを収縮作動させることによってマストを後傾させるフォークリフトの油圧制御装置に適用する。
【0013】
そして、コントロールバルブとロッド側油室を結ぶ油路にオペレートチェック弁を介装してチルトシリンダが伸張方向へ逸走することを防止し、油圧源とコントロールバルブを並列に結ぶ第一、第二供給油路を設け、第二供給油路にロードチェック弁を介装してチルトシリンダが収縮方向へ逸走することを防止し、油圧源からロッド側油室へと向かう作動油が第一供給油路を通りロードチェック弁を迂回して流れ、油圧源からボトム側油室へと向かう作動油が第二供給油路を通りロードチェック弁を介して流れる構成としたことを特徴とするものとした。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、オペレートチェック弁の背圧室とタンク側を結ぶ信号圧油路と、この信号圧通路を開閉するソレノイドバルブとを備えたことを特徴とするものとした。
【0015】
【発明の作用および効果】
第1の発明によると、コントロールバルブが作動油の流れを止めるポジションにある場合、オペレートチェック弁が閉弁してコントロールバルブの隙間に生じる作動油の洩れが止められ、油圧シリンダが一方向に逸走することを防止する。
【0016】
コントロールバルブを切り換えて油圧シリンダを伸張作動させるときに、油圧源から第一油室へと向かう作動油が第一供給油路を通りロードチェック弁を迂回して流れる。したがって、作動油がロードチェック弁とオペレートチェック弁の両方を通過することがなく、この作動油の流れに付与される圧力損失を小さく抑えられる。
【0017】
第2の発明によると、チルトコントロールバルブが作動油の流れを止めるポジションにある場合、オペレートチェック弁が閉弁してチルトコントロールバルブの隙間に生じる作動油の洩れが止められ、チルトシリンダが伸張方向に逸走することを防止し、マストが勝手に前傾することが回避される。
【0018】
チルトコントロールバルブを切り換えてチルトシリンダを収縮作動させるときに、油圧源からロッド側油室へと向かう作動油が第一供給油路を通りロードチェック弁を迂回して流れる。したがって、作動油がロードチェック弁とオペレートチェック弁の両方を通過することがなく、この作動油の流れに付与される圧力損失を小さく抑えられ、フォークリフトの性能向上、燃費の低減がはかれる。
【0019】
第3の発明によると、ソレノイドバルブをスイッチ操作することよって、マストの前傾停止等を容易に行えるとともに、この自動制御が可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1はフォークリフトの作業機に設けられる油圧回路を示したもので、図においてPはエンジンによって駆動される油圧ポンプ、Tはタンク、3は作業機のマスト13を傾倒させる2本のチルトシリンダ、4はこのチルトシリンダ3に対する作動油の給排を制御するチルトコントロールバルブ、5はマスト13に沿ってフォーク14を昇降させる2本のリフトシリンダ、6はこのリフトシリンダ5に対する作動油の給排を制御するリフトコントロールバルブである。
【0022】
油圧ポンプPの吐出側に接続した供給通路10と、タンクTに接続した戻し通路9との間に、リフトコントロールバルブ6とチルトシリンダ3およびリリーフ弁8が並列に設けられる。
【0023】
チルトシリンダ3はロッド側油室(第一油室)21とボトム側油室(第二油室)22を有し、ロッド側油室21が拡張することにより収縮作動してマスト13を後傾させる一方、ボトム側油室22が拡張することにより伸張作動してマスト13を前傾させる。
【0024】
図2の(a)図、(b)図はチルトコントロールバルブ4の断面を示したもので、チルトコントロールバルブ4は、ボディ19のスプール孔18にスプール20が摺動可能に介装され、スプール20の摺動位置に応じて停止ポジションcと後傾ポジションaおよび前傾ポジションbに切り換えられる。
【0025】
スプール20はセンターリングスプリング28の付勢力によって図示したように停止ポジションcに保持される。この停止ポジションcにおいて、タンク油路31が供給油路32,33に連通して油圧ポンプPからの作動油がタンクTに戻される一方、ロッド側油室21につながるロッド側油路41とボトム側油室22につながるボトム側油路42がそれぞれ閉塞され、チルトシリンダ3の伸縮作動が停止される。
【0026】
スプール20が引っ張られて図2の(a)図において右方向に摺動すると、後傾ポジションaに切り換えられ、チルトシリンダ3が収縮作動してマスト13を後継させる。この後傾ポジションaにおいて、タンク油路31と供給油路32,33の連通が遮断されるとともに、第一供給油路11とロッド側油路41が連通し、ボトム側油路42とタンク油路37が連通し、チルトシリンダ3が収縮作動する。このチルトシリンダ3の収縮作動時に油圧ポンプPから吐出する作動油は、第一供給油路11→ロッド側油路41→オペレートチェック弁1の順に流れてロッド側油室21に供給される。一方、ボトム側油室22の作動油は、ボトム側油路42→タンク油路37の順に流れてタンクTへと戻される。
【0027】
スプール20が押し込まれて図2の(a)図において左方向に摺動すると、前傾ポジションbに切り換えられ、チルトシリンダ3が伸張作動してマスト13を前傾させる。この前傾ポジションbにおいて、ポンプ油路32,33とタンク油路31の連通が遮断されるとともに、第二供給油路12とボトム側油路42が連通し、ロッド側油路41とタンク油路39がカウンタバランス弁17を介して連通し、チルトシリンダ3が伸張作動する。このチルトシリンダ3の伸張作動時に油圧ポンプPから吐出する作動油は、第二供給油路12→ロードチェック弁2→ボトム側油路42の順に流れてボトム側油室22に供給される。一方、ロッド側油室21の作動油は、ロッド側油路41→オペレートチェック弁1→カウンタバランス弁17→オリフィス38→タンク油路39の順に流れてタンクTへと戻される。
【0028】
カウンタバランス弁17はその弁体61がスプール20内の軸孔に摺動可能に介装され、この弁体61が油圧ポンプPの吐出圧に応じてスプリング62に抗して図2の(a)図において左方向に摺動し、ロッド側油室21からタンクTへと戻される作動油量を調節する。
【0029】
ボトム側油路42と戻し通路9の間にはリリーフ弁15とチェック弁16が介装されている。
【0030】
図2の(a)図に示すように、ボディ19にはロッド側油路41の途中にオペレートチェック弁1が介装されている。このオペレートチェック弁1は、停止ポジションcにおいて、スプリング45の付勢力によって弁体46がシート部に着座し、ロッド側油路41を遮断する。これにより、スプール20とスプール孔18の隙間に生じる作動油の洩れが止められ、チルトシリンダ3が伸張方向に逸走することを防止し、マスト13が勝手に前傾することが回避される。
【0031】
オペレートチェック弁1は、後傾ポジションaにおいて、スプリング45に抗して弁体46がリフトし、ロッド側油路41を開通させる。このオペレートチェック弁1の閉弁作動によって、油圧ポンプPの停止等に伴う作動油の逆流を止められ、チルトシリンダ3が伸張方向に逸走することが回避される。
【0032】
オペレートチェック弁1は、前傾ポジションbにおいて、背圧室47が信号圧油路40を介してタンク油路39に連通され、ロッド側油室21の圧力が高まるのに伴ってスプリング45に抗して弁体46がリフトし、ロッド側油路41を開通させる。
【0033】
図2の(b)図に示すように、ボディ19には第一供給油路11と第二供給油路12が分岐して形成され、第二供給油路12の途中にロードチェック弁2が介装されている。このロードチェック弁2によって油圧ポンプPの停止等に伴って作動油が逆流することを止められ、チルトシリンダ3が収縮方向に逸走することが回避される。
【0034】
ボディ19に第一供給油路11と第二供給油路12が分岐して形成されることにより、チルトコントロールバルブ4を後傾ポジションaに切り換えてチルトシリンダ3を伸張作動させるときに、油圧ポンプPからロッド側油室21へと向かう作動油が第一供給油路11を通りロードチェック弁2を迂回して流れる。したがって、作動油がロードチェック弁2とオペレートチェック弁1の両方を通過することがなく、この作動油の流れに付与される圧力損失を小さく抑えられ、フォークリフトの性能向上、燃費の低減がはかれる。
【0035】
次に図3に示す他の実施の形態について説明する。前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
オペレートチェック弁1の背圧室47とタンク油路39を結ぶ信号圧油路40を開閉するソレノイドバルブ51が設けられる。図4に示すように、ソレノイドバルブ51は、ボディ19にオペレートチェック弁1と並んで取り付けられる。
【0037】
前傾ポジションbにおいて、ソレノイドバルブ51が開弁されると、背圧室47が信号圧油路40を介してタンク油路39に連通され、オペレートチェック弁1が開弁し、チルトシリンダ3が伸張作動し、マストが前傾する。
【0038】
前傾ポジションbにおいて、ソレノイドバルブ51が閉弁されると、背圧室47とタンク油路39の連通が遮断され、オペレートチェック弁1が閉弁し、チルトシリンダ3の伸張作動が停止し、マストの前傾が停止される。
【0039】
このようにして、ソレノイドバルブ51をスイッチ操作することよって、マストの前傾停止を容易に行えるとともに、この自動制御が可能となる。
【0040】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す油圧回路図。
【図2】同じくチルトコントロールバルブの断面図。
【図3】他の実施の形態を示す油圧回路図。
【図4】同じくチルトコントロールバルブの断面図。
【図5】従来例を示すフォークリフトの側面図。
【図6】同じく油圧回路図。
【符号の説明】
1 オペレートチェック弁
2 ロードチェック弁
3 チルトシリンダ
4 チルトコントロールバルブ
11 第一供給油路
12 第二供給油路
21 ロッド側油室
22 ボトム側油室
40 信号圧通路
41 ロッド側油路
42 ボトム側油路
51 ソレノイドバルブ
Claims (3)
- 第一、第二油室を有する油圧シリンダと、前記第一、第二油室に対する作動油の給排を切換えるコントロールバルブとを備えて前記油圧シリンダを伸縮作動させる油圧制御装置において、
前記コントロールバルブと前記第一油室を結ぶ油路にオペレートチェック弁を介装して前記油圧シリンダが一方向へ逸走することを防止し、
油圧源と前記コントロールバルブを並列に結ぶ第一、第二供給油路を設け、
前記第二供給油路にロードチェック弁を介装して前記油圧シリンダが他方向へ逸走することを防止し、
前記油圧源から前記第一油室へと向かう作動油が前記第一供給油路を通り前記ロードチェック弁を迂回して流れ、
前記油圧源から前記第二油室へと向かう作動油が前記第二供給油路を通り前記ロードチェック弁を介して流れる構成としたことを特徴とする油圧制御装置。 - ロッド側、ボトム側油室を有するチルトシリンダと、
前記ロッド側、ボトム側油室に対する作動油の給排を切換えるコントロールバルブとを備えて前記チルトシリンダを伸縮作動させ、
前記ロッド側油室に作動油を供給して前記チルトシリンダを収縮作動させることによってマストを後傾させるフォークリフトの油圧制御装置において、
前記コントロールバルブと前記ロッド側油室を結ぶ油路にオペレートチェック弁を介装して前記チルトシリンダが伸張方向へ逸走することを防止し、
油圧源と前記コントロールバルブを並列に結ぶ第一、第二供給油路を設け、
前記第二供給油路にロードチェック弁を介装して前記チルトシリンダが収縮方向へ逸走することを防止し、
前記油圧源から前記ロッド側油室へと向かう作動油が前記第一供給油路を通り前記ロードチェック弁を迂回して流れ、
前記油圧源から前記ボトム側油室へと向かう作動油が前記第二供給油路を通り前記ロードチェック弁を介して流れる構成としたことを特徴とする油圧制御装置。 - 前記オペレートチェック弁の背圧室とタンク側を結ぶ信号圧油路と、
この信号圧通路を開閉するソレノイドバルブとを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の油圧制御装置。
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