JP4836042B2 - 剥離装置 - Google Patents

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本発明は、シートに接着された接着体を剥離させる剥離装置に関し、特に、半導体装置を粘着シートから剥離させる装置に関する。
従来、粘着シートに接着された半導体装置を剥離させる方法として、下方からの吸着や上方からの押さえにより粘着シートを固定しながら、半導体装置の上面を吸着ノズル等で吸着保持し、さらに、半導体装置を下方から粘着シートごと突き上げる方法が用いられている。
この種の剥離装置として、例えば、特許文献1には、図12に示すように、突き上げ用のピン61を収納するペパーポット62と、ペパーポット62の上面に配置され、同心円状に形成された複数の溝63を有するカバー板64と、半導体装置(チップ)65を吸着するノズル66とを備えたチップの突き上げ装置が記載されている。
上記突き上げ装置において、半導体装置65を剥離させるにあたっては、先ず、カバー板64の溝63を通じて粘着シート67の裏面を吸着しつつ、半導体装置65の上面をノズル66で押さえ付ける。その状態で、ピン61を上昇させて半導体装置65を突き上げ、真空力と突き上げ力によって半導体装置65から粘着シート67を引き剥がす。
特開平11−265927号公報
半導体装置65と粘着シート67の貼り付けに際しては、図13に示すように、接着剤68が盛り上がって半導体装置65の側面に付着し、結果的に半導体装置65の保持力が高まることがある。しかし、特許文献1に記載の突き上げ装置のように、粘着シート67ごと下方から突き上げる剥離方法では、半導体装置65と粘着シート67を分離させる力が比較的に弱いため、半導体装置65の保持力が剥離力に勝るようになる。このため、半導体装置65から粘着シート67が剥がれ難くなり、剥離作業の作業性や確実性の面で劣るという問題が生じる。
仮に、カバー板64の溝63による吸着力(下方からの吸着力)を増強し、ピン61による押し上げ力との合力が、粘着シート67上での半導体装置65の保持力に勝ったとしても、この場合は、吸着処理に相当の時間を要し、作業の高速化が妨げられることになる。
すなわち、複数の半導体装置65を順次にピックアップする場合、通常、先の半導体装置65をピックアップした後、粘着シート67を水平移動させて、次の半導体装置65をペパーポット62の中心(ピン61の真上)に位置させる。しかし、ペパーポット62による吸着力を強化すると、粘着シート67を円滑に移動させることが困難となるため、一旦、吸着を解除して粘着シート67を所定の位置まで移動させ、その後、改めて吸着する必要が生じる。この場合、吸着力が必要量まで達するのに時間を要するようになり、また、粘着シート67の移動の都度、吸着力が立ち上がるまでの待ち時間が発生することにもなる。
また、近年、携帯電話やOA端末等の薄型、小型化に伴い、それらに搭載される半導体装置の薄型、小型化も進められている。そのため、半導体装置の剛性が失われつつあり、半導体装置への負荷軽減が求められている。
しかし、特許文献1に記載の装置においては、ノズル66とピン61によって、半導体装置65を上下から挟むことになるため、少なからず半導体装置に負荷を与えることになり、低剛性の半導体装置の取り扱いには不向きである。
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、シートと接着体を容易に分離したり、剥離時の接着体への負荷を軽減することが可能な剥離装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、シートと、該シート上に接着された接着体とを分離する剥離装置であって、前記接着体を上方から吸着保持する吸着手段と、前記接着体の縁部近傍において、該接着体が接着された状態の前記シートに対し、板状部材を上方から鋭角に押し当てるとともに、該板状部材を軸回転させる剥取手段とを備えることを特徴とする。
そして、本発明によれば、接着体の縁部近傍において、シートに板状部材を鋭角に押し当てながら、板状部材を軸線回りに回転させることで、接着体からシートを引き剥がすため、接着体の側面に接着剤が付着する場合でも、容易にシートを引き剥がすことができる。これにより、接着体への負荷を軽減しつつ、シートと接着体を速やかに分離することが可能になる。
前記剥離装置において、前記剥取手段が、回転方向の反転を繰り返しながら前記板状部材を回転させることができる。これによれば、接着体の側面に付着した接着剤を接着体から引き剥がすことができ、また、接着体の裏面に付着するシートについても、接着体の縁部から中心部に向けて引き剥がすことができる。
前記剥離装置において、前記剥取手段は、一端に前記板状部材が連結されたシャフトと、該シャフトを軸線回りに回転させる駆動部とを備えることができる。
前記剥離装置において、前記剥取手段は、前記板状部材の該シートへの押し込み量を増大させ、該板状部材を前記接着体の中心線に向けて移動させる押込部を備えることができる。これによれば、シートを下方に引き下げる力を増強し、接着体の裏面からシートを剥がし易くすることができる。このため、短時間で接着体とシートを分離することが可能になり、作業時間の短縮化を図ることができる。
前記剥離装置において、前記接着体が接着された状態のシートを載置するための台座を備え、該台座の少なくとも上部に中空部を有することができる。これによれば、接着体を上下から挟み込むことがないため、接着体への負荷を更に軽減することが可能になる。
前記剥離装置において、前記台座の上面の外径より大きい内径を有し、前記シートに接着される枠体と、該枠体を下降させる下降手段とを備えることができる。これによれば、シートに張りを与えた状態で剥離作業を行うことができ、作業性を向上させることが可能になる。
前記剥離装置において、前記接着体を半導体装置とすることができ、これによれば、低剛性の半導体装置を剥離させるのに適した剥離装置を構成することができる。
以上のように、本発明によれば、シートと接着体を容易に分離したり、剥離時の接着体への負荷を軽減することが可能になる。
本発明にかかる剥離装置の第1の実施形態を示す全体構成図である。 図1のリング、押下手段、粘着シート及び筒状台座の上面図である。 図1の剥取手段を示す図であり、(a)は、上面図であり、(b)は、側面図((a)のA矢視図)であり、(c)は、背面図である。 剥離手順を説明するための拡大正面図である。 剥離手順を説明するための正面図である。 剥離手順を説明するための拡大正面図である。 剥離手順を説明するための拡大上面図である。 本発明にかかる剥離装置の第2の実施形態を示す全体構成図である。 図8の剥取手段を示す図であり、(a)は、上面図であり、(b)は、側面図((a)のC矢視図)である。 剥離手順を説明するための正面図である。 剥離手順を説明するための拡大正面図である。 従来のチップの突き上げ装置を示す正面図である。 半導体装置の接着状態の一例を示す図であり、(a)は、正面図であり、(b)は上面図である。
次に、発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる剥離装置の第1の実施形態を示し、この剥離装置1は、半導体装置(チップ)2が接着された粘着シート3を載置するための筒状台座4と、半導体装置2を上方から吸着保持する吸着手段5と、斜め上方から粘着シート3を押し下げて半導体装置2を剥ぎ取る剥取手段6a、6bと、粘着シート3を張った状態で粘着シート3の縁部に貼り付けられる枠体7と、駆動機構(不図示)を通じて枠体7を押し下げる押下手段8等から構成される。尚、吸着手段5及び剥取手段6a、6bは、本体基板9に固定され、本体基板9を昇降させることで、一体的に昇降し得るように構成される。
筒状台座4は、半導体装置2が接着された粘着シート3の下方に位置するように配置され、中空部4aを有する無蓋の円筒状に形成される。図2に示すように、筒状台座4の外径L1は、枠体7の内径L2に比して小さくなるように形成される。
図1に戻り、吸着手段5は、粘着シート3に接着された半導体装置2の上方に位置するように配置され、半導体装置2の上面を吸着して半導体装置2を保持する吸着ノズル10と、吸着ノズル10を昇降させる駆動カム11a及び従動カム11bとを備える。
剥取手段6a、6bは、吸着手段5を挟んで相対向する位置に配置され、図3に示すように、円柱状のシャフト13と、シャフト13の一端に付設された板状部材12とを備えたヘラ部14を有する。板状部材12は、半導体装置2の裏面から粘着シート3を剥ぎ取るためのものであり、上面視先細り状(図3(a)参照)で側面視扇形(図3(b)参照)に形成される。
シャフト13は、図3(b)に示すように、支持ブロック15に穿設された貫通孔16に挿通され、シャフト13の周面と貫通孔16の壁面との間には、シャフト13の軸回転を補助する回転ガイド17が介設される。また、シャフト13の他端には、円板状部材18が付設され、円板状部材18の周面には、球体状のジョイント部19を先端に備えた連結ロッド20が植設される。
連結ロッド20は、図3(c)に示すように、ジョイント部19を介して、駆動部21から突き出た駆動軸22の先端部と連結される。ジョイント部19と長孔22aの壁面との間には、ジョイント部19のかじりを防止するため、隙間23が設けられる。
支持ブロック15は、図3(b)に示すように、ガイドレール26を介して側面視L字型のベース板25上に載置され、その側面には、駆動部21を固定するための壁板28が連結される。また、ベース板25は、本体基板9(図1参照)上に固定され、その端部には、所定の張力(例えば、500gf程度)で支持ブロック15を引き寄せるばね27が付設される。
次に、上記構成を有する剥離装置1を用いた剥離方法について、図1〜図7を参照しながら説明する。
先ず、図2に示すように、半導体装置2が接着された粘着シート3の縁部に枠体7を貼り付け、その状態で、粘着シート3を筒状台座4上に載置し、粘着シート3の裏面(非接着面)を筒状台座4の上面と接触させる。次いで、押下手段8を下降させて枠体7を押し下げ、粘着シート3を筒状台座4に押し付ける。これにより、粘着シート3を外側に引っ張り、粘着シート3の張りを増強させる。
次に、図1に示すように、本体基板9を下降させ、吸着手段5及び剥取手段6a、6bを下降させる。これにより、図4に示すように、半導体装置2が接着された状態の粘着シート3に対し、板状部材12を上方から鋭角に押し当てる。このとき、板状部材12を半導体装置2と接触させることなく、板状部材12の先端を粘着シート3や粘着シート3上の接着剤3aに軽くめり込ませる(1mm程度が望ましい)。
次いで、図5に示すように、駆動カム11aを駆動させて吸着ノズル10を下降させ、半導体装置2の上面に接触させる。その後、吸着駆動を開始し、吸着ノズル10によって半導体装置2を吸着保持する。
次に、図5〜図7に示すように、剥取手段6a、6bの各々において、駆動部21(図3参照)を駆動させ、ヘラ部14を軸回転(シャフト13の軸線B回りに回転)させる。このとき、駆動軸22(図3参照)を往復移動させることで、回転方向の反転を繰り返しながらヘラ部14を軸回転させる。その際、図6に示すように、板状部材12と半導体装置2が接触しない状態を保ち、半導体装置2に傷が付くのを回避する。
上記の動作により、半導体装置2の側面に付着した接着剤3aを半導体装置2の四隅から徐々に引き剥がすことができ、また、半導体装置2の裏面側の粘着シート3についても、半導体装置2の縁部から中心部に向けて徐々に引き剥がすことができる。
そして、半導体装置2の裏面から粘着シート3がある程度剥離した段階、又は、粘着シート3が完全に剥離した段階で、吸着ノズル10を上昇させて半導体装置2を引き上げ、粘着シート3から分離させて回収する。
以上のように、本実施の形態によれば、半導体装置2の縁部近傍において、粘着シート3に板状部材12を鋭角に押し当てながら、板状部材12を軸線回りに回転させることで、半導体装置2から粘着シート3を引き剥がすため、半導体装置2の側面に接着剤が付着する場合でも、容易に粘着シート3を引き剥がすことができる。これにより、半導体装置2への負荷を軽減しつつ、粘着シート3と半導体装置2を速やかに分離することができ、作業性を大幅に向上させることが可能になる。
また、本実施の形態によれば、中空部4aを有する筒状台座4上に粘着シート3を載置するため、剥離に際して半導体装置2を上下から挟むことがなく、半導体装置2への負荷を更に軽減することができ、低剛性の半導体装置2でも適切に剥離させることが可能になる。
次に、本発明にかかる剥離装置の第2の実施形態について、図8〜図11を参照しながら説明する。尚、これらの図において、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すように、本実施の形態にかかる剥離装置30は、剥取手段31a、31bにおいて、板状部材12を前後移動させる機構をさらに備える。これら剥取手段31a、31bは、図9に示すように、板状部材12をベース板25ごと前後移動させるための機構として、ベース板25に設置された従動カム32と、本体基板9に設置された駆動カム33と、駆動カム33を回転させる回転駆動部34と、ベース板25を引き寄せるばね35とを備える。尚、ベース板25は、本体基板9に固定されたガイドレール36上に載置され、ガイドレール36に案内されながら前後方向(図9(b)の左右方向)に移動自在とされる。
粘着シート3からの半導体装置2の剥離にあたっては、図10に示すように、先ず、第一の実施形態と同様、吸着手段5及び剥取手段31a、31bを下降させ、図9に示すヘラ部14の板状部材12の先端を粘着シート3に軽く押し込む。次いで、剥取手段31a、31bのヘラ部14を軸回転させながら、駆動カム33を回転させてヘラ部14を前方に移動させる。
こうして、図11に示すように、ヘラ部14を斜め下方に深く押し込み、板状部材12の先端を半導体装置2の中心線2aに近付ける。この際、板状部材12の先端と粘着シート3との接点41、42が中心線2aに近付くほど、粘着シート3を下方に引き下げる力が強くなるため、半導体装置2の裏面から粘着シート3が剥がれ易くなる。これにより、短時間で半導体装置2と粘着シート3を分離することが可能になり、作業時間の短縮化を図ることができる。
尚、上記実施の形態においては、板状部材12として図3(a)、(b)に示す形状の部材を例示したが、板状部材12の形状は、これに限られるものではなく、半導体装置2を傷付けることなく、粘着シート3や接着剤3aを剥がし得るものであれば、他の形状とすることもできる。
また、上記実施の形態においては、シャフト13を通じて板状部材12を軸回転させるが、必ずしもシャフト13を用いる必要はなく、板状部材12を軸回転し得るものであれば、他の構成を採ることもできる。
さらに、上記実施の形態においては、粘着シート3を載置する台座として筒状台座4を例示したが、必ずしも台座の全体を通して中空部4aを設ける必要はなく、少なくとも台座の上部において、板状部材12の押し込み空間を確保するための中空部(凹部)を有すればよい。
また、上記実施の形態においては、粘着シート3に張りを与える部材として、枠体7と押下手段8を例示したが、枠体7に関しては、必ずしも円環状の部材を用いる必要はなく、一方、押下手段8に関しては、押下手段8に代えて、枠体7を引き下げて下降させる手段を用いることができる。
1 剥離装置
2 半導体装置
2a 中心線
3 粘着シート
3a 接着剤
4 筒状台座
4a 中空部
5 吸着手段
6(6a、6b) 剥取手段
7 枠体
8 押下手段
9 本体基板
9a 駆動軸
10 吸着ノズル
11a 駆動カム
11b 従動カム
12 板状部材
13 シャフト
14 ヘラ部
15 支持ブロック
16 貫通孔
17 回転ガイド
18 円板状部材
19 ジョイント部
20 連結ロッド
21 駆動部
22 駆動軸
22a 長孔
23 隙間
25 ベース板
26 ガイドレール
27 ばね
28 壁板
30 剥離装置
31(31a、31b) 剥取手段
32 従動カム
33 駆動カム
34 回転駆動部
35 ばね
36 ガイドレール
41、42 接点

Claims (7)

  1. シートと、該シート上に接着された接着体とを分離する剥離装置であって、
    前記接着体を上方から吸着保持する吸着手段と、
    前記接着体の縁部近傍において、該接着体が接着された状態の前記シートに対し、板状部材を上方から鋭角に押し当てるとともに、該板状部材を軸回転させる剥取手段とを備えることを特徴とする剥離装置。
  2. 前記剥取手段は、回転方向の反転を繰り返しながら前記板状部材を回転させることを特徴とする請求項1に記載の剥離装置。
  3. 前記剥取手段は、一端に前記板状部材が連結されたシャフトと、該シャフトを軸線回りに回転させる駆動部とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の剥離装置。
  4. 前記剥取手段は、前記板状部材の該シートへの押し込み量を増大させ、該板状部材を前記接着体の中心線に向けて移動させる押込部を備えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の剥離装置。
  5. 前記接着体が接着された状態のシートを載置するための台座を備え、該台座の少なくとも上部に中空部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の剥離装置。
  6. 前記台座の上面の外径より大きい内径を有し、前記シートに接着される枠体と、
    該枠体を下降させる下降手段とを備えることを特徴とする請求項5に記載の剥離装置。
  7. 前記接着体が半導体装置であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の剥離装置。
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