JP4836000B2 - 排気系センサ出力の定常判定装置 - Google Patents

排気系センサ出力の定常判定装置 Download PDF

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Description

本発明は排気系センサ出力の定常判定装置に係り、特に、内燃機関の排気系に設けられたセンサの出力が定常状態にあるか否かを判定する装置に関する。
近年の内燃機関では排気エミッションを向上すべく、排気系に適用される様々な種類のセンサが開発されている。この種のセンサとして排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサがある。例えば、三元触媒を利用した排ガス浄化システムの場合だと、触媒による排気ガスの有害成分の浄化を効率的に行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、空燃比センサで検出された実際の空燃比を所定の目標空燃比に近づけるフィードバック制御を実施している。
ところで空燃比センサが故障すると排ガスエミッションが悪化するので、空燃比センサの故障診断を行う装置が提案されている。空燃比センサの故障診断を行う場合、空燃比センサの出力が定常状態になったとき、即ち空燃比センサの出力値がほぼ一定になったときから診断を開始するのが一般的である。例えばこの空燃比センサ出力の定常状態から空燃比が強制的に変化され、その時の空燃比センサの応答性によって空燃比センサの故障が判定される。
そして、空燃比センサの出力が定常状態になったか否かを判断する際、従来は、機関運転状態が定常、例えば機関回転速度及び機関負荷等が一定になった後(例えば特許文献1参照)、所定の待ち時間が経過してから空燃比センサ出力が定常状態になったとみなすこととしていた。これは、機関運転状態の変化に対して空燃比センサの出力が遅れることから、機関運転状態が定常になっても、空燃比センサが定常状態になるまでに一定時間を要するからである。
特開2002−38929号公報
しかしながら、機関運転状態が定常になってから所定の待ち時間の経過を待つ方法だと、設定した待ち時間が短すぎれば空燃比センサ出力が定常になる前から診断が開始されてしまい、設定した待ち時間が長すぎれば診断開始が遅れるという欠点がある。つまり空燃比センサ出力が定常状態になるまでの時間は、機関運転状態がどのような過程を経て定常になったかに応じてまちまちであり、一律の待ち時間を設定するのは困難である。例えば、排気空燃比の変化に対して空燃比センサに必要な応答速度は対数的に増加するため、排気空燃比が定常になる前の変化幅が大きいと空燃比センサ出力の定常までに長時間を要する。このため設定した待ち時間が短すぎになる可能性がある。また、ディーゼル燃焼の場合には基本的に混合気の空燃比制御を行わないので排気空燃比の変化幅が大きく、このことも待ち時間の一律な設定を極めて困難とする。また、空燃比センサの応答速度がリーン側に向かうときとリッチ側に向かうときとで異なるので、このことも一律の待ち時間では対応できなくなる原因をもたらす。
これらの欠点は、機関運転状態が定常になってから所定の待ち時間経過後に空燃比センサ出力を定常とみなすという、機関運転状態を考慮した或いは前提とした定常判定方法を採用したことに起因するものと思料される。即ち、機関運転状態を考慮せずに、空燃比センサの出力自体でセンサ出力の定常が判断できれば至極便利である。
そこで、本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、機関運転状態を考慮することなくセンサの出力自体でセンサ出力の定常判定を行うことができる排気系センサ出力の定常判定装置を提供することにある。
本発明の第1の形態によれば、
内燃機関の排気系に設けられたセンサの出力が定常状態にあるか否かを判定する装置であって、
前記センサの出力値に基づいて当該センサ出力値よりも緩慢に変化する処理後出力値を算出する手段と、
前記処理後出力値の振動における増加ピークと減少ピークの間の期間の前記処理後出力値の変化量を、その変化量がプラスとなるプラス期間とマイナスとなるマイナス期間とで交互に順次算出する手段と、
相隣接する前記プラス期間と前記マイナス期間における前記プラス変化量と前記マイナス変化量に基づいて前記センサの出力が定常状態にあるか否かを判定する手段と
を備えたことを特徴とする排気系センサ出力の定常判定装置が提供される。
この本発明の第1の形態によれば、機関運転状態を考慮することなく、センサの出力自体で直接的にセンサ出力の定常が判定される。よって従来装置のように待ち時間を設定する必要が無く、この待ち時間が実態にそぐわないことによる不具合を回避できる。
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、
前記センサの出力が定常状態にあるか否かを判定する手段が、前記プラス変化量と前記マイナス変化量の和に基づいて前記センサの出力が定常状態にあるか否かを判定する
ことを特徴とする。
また、本発明の第3の形態は、前記第2の形態において、
前記センサの出力が定常状態にあるか否かを判定する手段が、前記和が実質的にゼロであるときに前記センサの出力が定常状態にあると判定する
ことを特徴とする。
センサの出力値が巨視的にほぼ一定であればセンサ出力を定常状態とみなすことができるが、センサの出力値は微視的に見ると絶えず振動しており、センサ出力値自体からそれがほぼ一定であるか否かを判断するのは一般的には容易でない。しかしながら、センサ出力値が巨視的に見てほぼ一定である場合、プラス変化量とマイナス変化量とがバランスされ、これらの和は実質的にゼロとなる。よって本発明の第2及び第3の形態のように、プラス変化量とマイナス変化量との和を考慮し、この和をゼロと比較することで、センサ出力が定常状態にあるか否かを判定することができる。
本発明の第4の形態は、前記第1乃至第3のいずれかの形態において、
前記処理後出力値の変化量を算出する手段が、前記処理後出力値の微分値を算出すると共に、前記微分値がプラスとなる期間中で当該プラス微分値を積算して前記プラス変化量を算出し、前記微分値がマイナスとなる期間中で当該マイナス微分値を積算して前記マイナス変化量を算出する
ことを特徴とする。
これによりプラス変化量とマイナス変化量を好適に算出することができる。
本発明の第5の形態は、前記第1乃至第4のいずれかの形態において、
前記処理後出力値を算出する手段が、前記センサ出力値に対しなまし処理を行ってその結果を前記処理後出力値として算出する
ことを特徴とする。
これによりセンサ出力値の細かい変動成分を除去ないし抑制し、定常判定を容易にすることができる。
本発明の第6の形態は、前記第1乃至第4のいずれかの形態において、
前記処理後出力値を算出する手段が、前記センサ出力値に対しなまし処理を行い、さらにそのなまし値に対し移動平均処理を行ってその結果を前記処理後出力値として算出する
ことを特徴とする。
これによればセンサ出力値の細かい変動成分をさらに除去ないし抑制し、定常判定をさらに容易にすることができる。
本発明の第7の形態は、前記第1乃至第6のいずれかの形態において、
前記センサが、排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサである
ことを特徴とする。
本発明によれば、機関運転状態を考慮することなくセンサの出力自体でセンサ出力の定常判定を行うことができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明の好適一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
本実施形態の内燃機関の構成を図1を参照して説明する。本実施形態の内燃機関10は車両用の圧縮着火式内燃機関即ちディーゼルエンジンであるが、本発明は他の用途や形式の内燃機関、例えば火花点火式内燃機関、具体的にはガソリンエンジンにも適用可能である。
内燃機関10の吸気通路11にはエアクリーナ14を通じて空気が吸入される。そしてその吸入空気量を検出すべく、吸気通路11にはエアフローメータ16が設けられている。吸気通路11から機関本体12に送られた吸入空気は、機関本体12の各気筒(本実施形態では全4気筒)のシリンダ内で圧縮される。そして気筒毎に、圧縮上死点付近でインジェクタ(燃料噴射弁)17から燃料が噴射され、燃料と空気との混合気が着火、燃焼させられる。
燃焼後の排気ガスは排気通路13に送られる。排気通路13には、排気ガス中の有害成分(例えばNOx)を浄化する触媒18が設けられ、その上流側に排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ19が設けられている。空燃比センサ19は触媒18を有効に機能させるために設けられている。この空燃比センサ19が、本発明にいう排気系に設けられたセンサをなす。なお排気系とは、機関本体12内の排気ポート入口から排気ガス流れ方向下流側の系をいう。
内燃機関10の制御全体を司る制御手段としての電子制御ユニット(以下「ECU」という)22が設けられる。ECU22には、上記エアフローメータ16や空燃比センサ19の他、アクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ21、機関回転速度を検出するための回転速度センサ23、その他の図示しない各種センサ類の検出信号が入力されている。これらセンサ類の検出信号より把握される内燃機関10や車両の運転状況に応じて上記インジェクタ17等が駆動制御される。
なお、ディーゼルエンジンである内燃機関10の構成については図示されるものに限定されない。例えばEGR装置やスロットルバルブを設けることも可能である。
空燃比センサ19は所謂広域空燃比センサからなり、理論空燃比に対しリッチ側からリーン側までの比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能で、検出空燃比に比例した電流信号を出力する。空燃比が大、即ちリーン側になるほど出力電流は大きくなり、逆に空燃比が小、即ちリッチ側になるほど出力電流は小さくなる。なお空燃比センサ19は、より詳細には、これを通過する排気ガスの酸素濃度に応じた信号をECU22に出力する。空燃比センサ19にはセンサ素子を加熱するためのヒータが設けられ、ECU22によってヒータへの供給電力ひいては素子温度が制御される。
そして空燃比センサ19の故障診断を実行する手段が具備され、例えば、排気空燃比が定常状態からリッチ側或いはリーン側に強制的に大きく変化させられ、このときの空燃比センサ19の応答速度が検出され、この応答速度の大小により空燃比センサ19が故障か否かが判断される。なお故障診断の方法はこのようなものに限られない。この故障診断は、空燃比センサ19の出力が定常状態になったとき、即ち空燃比センサ19の出力値がほぼ一定になったとき、言い換えれば空燃比センサ19を通過する排気ガスの酸素濃度がほぼ一定になったときから、開始される。そして空燃比センサ19の出力が定常状態になったか否かは、本実施形態の場合、機関運転状態ではなく、空燃比センサ19の出力自体から判定される。以下、本実施形態の空燃比センサ出力の定常判定装置について説明する。
エンジンの回転運動(レシプロ運動)に伴う吸入空気量の変動等に伴い、例えば燃料噴射量が一定であっても、排気空燃比は絶えず振動しており、よって空燃比センサ19の出力値も常に振動している。空燃比センサ19の出力値が巨視的に見てほぼ一定であれば空燃比センサ19を定常状態とみなすことができるが、空燃比センサ19の出力値は微視的には振動しており、センサ出力値の単位時間当たりの変化量が連続的にゼロになる期間は殆ど存在しない。こうした中でセンサ出力がほぼ一定になっているか否かを判断するために、以下のような手法が採られる。
まず、空燃比センサ19の出力値即ちセンサ出力値Iに基づいて、センサ出力値Iよりも緩慢に変化する処理後出力値がECU22により算出される。処理後出力値は好ましくは、センサ出力値Iに対しなまし処理を行って得られる値即ちなまし値AIであり、より好ましくは、このなまし値AIに対しさらに移動平均処理を行って得られる値即ち移動平均値BIである。本実施形態では処理後出力値として移動平均値BIを用いる。
前述したように、センサ出力値Iは微視的に見ると絶えず変動しているので、この変動をならして緩慢化する処理が行われる。これによって細かい変動成分を除去ないし抑制し、センサ出力値Iの変動をできるだけ巨視的なものに変換して、定常判定を容易にすることができる。
本実施形態では、センサ出力値Iを取得する時間周期即ちサンプル周期が比較的短い関係で、なまし処理と移動平均処理との両方を行ってセンサ出力値Iを二段階で緩慢化しているが、センサ出力値Iのサンプル周期が比較的長い場合にはなまし処理のみで緩慢化してもよい。
図2にはなまし値の算出方法を示している。白丸がセンサ出力値Iの実測値を示し、白四角がなまし値AIを示す。なまし値AIは各サンプル周期毎に逐次的に算出され、今回のサンプル周期におけるなまし値AInは次式により得られる。
AIn=(In−AIn-1)/K+AIn-1
nは今回のサンプル周期におけるセンサ出力実測値、AIn-1は前回のサンプル周期におけるなまし値、Kは所定のなまし定数で、1<Kとなるように設定される。
図3には移動平均値の算出方法を示している。黒菱形がなまし値AIを示し、四角が移動平均値BIを示す。移動平均値BIは、所定数のサンプル周期毎に、今回のなまし値AIから所定数回前までのなまし値AIの平均値を逐次的に算出して得られる。例えば、5サンプル周期毎に今回から4回前までの5サンプルのなまし値AIの平均値を算出し、これを今回の移動平均値BIとすることができる。或いは、3サンプル周期毎に今回から3回前までの4サンプルのなまし値AIの平均値を算出し、これを今回の移動平均値BIとすることができる。このように移動平均値BIの算出タイミングを規定するサンプル周期数と、移動平均値BIの算出に用いられるサンプル数とは、同じでもよいし、異なってもよい。移動平均値BIは好ましくは複数のサンプル周期毎に算出され、これにより図3に示されるようにデータ数を間引きし、センサ出力値Iの変化をより緩慢化することができる。
こうして得られた移動平均値BIも図3に示す如く振動している。そこで次に、移動平均値BIの振動における増加ピークBIP+と減少ピークBIP-の間の期間の移動平均値BIの変化量ΔBIPが、その変化量がプラスとなるプラス期間T+とマイナスとなるマイナス期間T+とで交互に順次算出される。増加ピークBIP+とは、移動平均値BIの増加時に最終的に到達する極大値のことをいい、減少ピークBIP-とは、移動平均値BIの減少時に最終的に到達する極小値のことをいう。移動平均値変化量ΔBIPとは、増加ピークBIP+及び減少ピークBIP-の一方から他方への変化量のことをいい、ΔBIP=BIP+−BIP-で表される。増加ピークBIP+と減少ピークBIP-の間の期間において、ΔBIP>0となる期間がプラス期間T+、ΔBIP<0となる期間がマイナス期間T-である。プラス期間T+における移動平均値変化量がプラス変化量ΔBIP+、マイナス期間T-における移動平均値変化量がマイナス変化量ΔBIP-である。
後に理解されるが、センサ出力値Iが巨視的に見て一定である場合、相隣接するプラス期間T+とマイナス期間T-について、プラス変化量ΔBIP+とマイナス変化量ΔBIP-とは絶対値においてほぼ等しくなり、両者の和はほぼゼロとなる。つまり両者はバランス状態となる。一方、センサ出力値Iが巨視的に見て増加中或いは減少中である場合、両者の関係はアンバランス状態となり、両者の和はゼロとならない。この性質を利用して本実施形態ではセンサ出力の定常状態が判定される。
本実施形態では、移動平均値変化量ΔBIPの算出が次のようにして行われる。まず、移動平均値BIの微分値CIがECU22により逐次的に算出される。図3に示されるように、移動平均値算出周期Δtの間の移動平均値BIの変化量をΔBIとすると、微分値CIは次式により求められる。
CI=ΔBI/Δt
本実施形態では計算を容易にするため、Δt=1とし、CI=ΔBIとしている。移動平均値BIが増加しているとき微分値CIは正の値となり、移動平均値BIが減少しているとき微分値CIは負の値となる。
次に、この微分値CIがECU22により積算される。微分値CIがプラスとなっているとき、この期間(プラス期間T+)中で微分値(プラス微分値CI+)が積算される。同様に、微分値CIがマイナスとなっているとき、この期間(マイナス期間T-)中で微分値(マイナス微分値CI-)が積算される。微分値CIがプラスからマイナスに反転した時にプラス微分値の積算が終了され、反対に微分値CIがマイナスからプラスに反転した時にマイナス微分値の積算が終了される。
図4(A)に試験結果としての微分値CIを示し、図4(B)にこの微分値CIを積算して得られる積算微分値DIを概略的に示す。図示されるように、微分値CIがプラスとマイナスとの間で反転する度に、最終的な積算プラス微分値DI+と積算マイナス微分値DI-とが交互に算出される。これら積算プラス微分値DI+と積算マイナス微分値DI-とが前記プラス変化量ΔBIP+と前記マイナス変化量ΔBIP - とにそれぞれ等しい値となる。
次に、相隣接するプラス期間とマイナス期間についての積算プラス微分値DI+と積算マイナス微分値DI-との和が安定化指数EとしてECU22により算出される。そしてこの安定化指数Eに基づいてECU22により空燃比センサ19の出力が定常状態にあるか否かが判定される。
図5(A)にセンサ出力値Iの変化の例を示し、図5(B)にそのセンサ出力値Iの変化に対応した微分値CIの変化を概略的に示す。図中(I)、(III)の区間に示されるように、センサ出力値Iが、微視的には振動しているものの巨視的に見てほぼ一定である場合、空燃比センサ19の出力は定常状態にあるとみなすことができる。この場合、相隣接するプラス期間とマイナス期間についての積算プラス微分値DI+と積算マイナス微分値DI-との和である安定化指数Eは実質的にゼロ、即ちゼロ近傍の値となる。その理由は、単純な正弦波の場合を考えてみれば分かるように、積算プラス微分値DI+と積算マイナス微分値DI-とがバランスされているからである。他方、図中(II)の区間に示されるように、センサ出力値Iが微視的に振動しつつ巨視的に増加している場合、空燃比はリーン側に向かって変化しており、空燃比センサ19の出力は非定常状態にあるとみなすことができる。この場合、安定化指数Eは実質的にゼロとならず、ゼロ近傍の値より大きい値となる。その理由は、プラス期間がマイナス期間より長かったり、プラス微分値CI+の絶対値がマイナス微分値CI-の絶対値より大きかったりするからである。図示しないが、センサ出力値Iが微視的に振動しつつ巨視的に減少して空燃比がリッチ側に向かって変化している場合、安定化指数Eはゼロ近傍の値より小さくなることが容易に理解されよう。
よって、安定化指数Eが実質的にゼロであるとき、空燃比センサ19の出力が定常状態にあると判定され、そうでないとき空燃比センサ19の出力は定常状態になく、非定常状態にあると判定される。より具体的には、−α<E<+α(αは正の小さな所定値)が満たされたとき空燃比センサ19の出力が定常状態と判定され、そうでないとき空燃比センサ19の出力は非定常状態と判定される。
なお、空燃比センサ19の出力が定常状態にあるということはすなわち、その検出対象である排気ガスの空燃比、酸素濃度ひいてはガス成分が定常状態にあることを意味する。よって本発明に係る定常判定装置は、センサを通過する排気ガスのガス成分の定常を判定する装置であるということも言える。
ところで、安定化指数Eの算出方法について、図5の例では実線楕円で示すように、一つのプラス期間T1と一つのマイナス期間T2の対で一つの安定化指数E1を算出し、次のプラス期間T3と次のマイナス期間T4の対で次の安定化指数E2を算出するようにしているが、この方法の他に、一つのプラス期間T1と一つのマイナス期間T2の対で一つの安定化指数E1を算出し、破線楕円で示すように、その一つのマイナス期間T2と次のプラス期間T3の対で次の安定化指数E2を算出するようにしてもよい。
図6には、なまし値AIの変化とこれに対応した安定化指数Eの変化とを調べた試験結果を示す。図示されるように、この例では排気空燃比がリーン側に大きく変化された結果、センサ出力値Iが初期に過渡的に増加し、その後ほぼ一定となっている。他方、安定化指数Eは、初期にはゼロより大きな値となる傾向にあるが、センサ出力値Iがほぼ一定になり始めた頃からゼロ近傍となっている。安定化指数Eがゼロ近傍になり始める時点tcは、センサ出力値Iの増加開始時から約0.7秒後であり、比較的短時間であった。本実施形態によれば安定化指数Eがゼロ近傍になり始めた時点tcで即定常と判定できる。
このように本発明に係る定常判定装置によれば、機関運転状態を考慮することなく、空燃比センサ19の出力自体で直接的に空燃比センサ19の出力の定常を判定する。よって従来装置のように待ち時間を設定する必要が無く、この待ち時間が実態にそぐわないことによる不具合を回避できる。また、故障診断の対象である空燃比センサ19の出力自体で空燃比センサ19の出力の定常を判定するので、故障診断開始タイミングを正確に規定することができる。空燃比センサ19の出力が実際に定常状態になったら即定常と判定できるので、タイムロスなく故障診断を開始でき、これは即ち診断効率や診断頻度の向上にもつながる。定常判定結果は空燃比センサ19の故障診断のみならず、他の様々な目的や用途に利用できる。例えば触媒やセンサ等の排気系部品の故障診断を行うに際して、機関運転状態が定常か否かを調べるときにこの定常判定結果を利用できる。
図7に上記の手順をまとめて示す。まずステップS101では各サンプル周期毎にセンサ出力値Iに基づいてなまし値AIが算出される。次にステップS102では所定数のサンプル周期毎に移動平均値BIが算出される。ステップS103では、移動平均値算出周期毎に、移動平均値BIの微分値CIが算出される。なお、ステップS102を省略する場合、ステップS103では、各サンプル周期毎になまし値AIの微分値が算出される。
ステップS104では、プラス微分値CI+及びマイナス微分値CI-の一方が積算され、その結果積算プラス微分値DI+及び積算マイナス微分値DI-の一方が算出される。ステップS105では、プラス微分値CI+及びマイナス微分値CI-の他方が積算され、その結果積算プラス微分値DI+及び積算マイナス微分値DI-の他方が算出される。ステップS106では相隣接するプラス期間とマイナス期間についての積算プラス微分値DI+と積算マイナス微分値DI-との和、即ち安定化指数Eが算出される。そしてステップS107において安定化指数Eが実質的にゼロであるか否かが判定され、安定化指数Eが実質的にゼロであるときには空燃比センサ19の出力が定常状態にあり、そうでないときには空燃比センサ19の出力は定常状態にないと判定される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は他の実施形態を採ることも可能である。例えば、前記実施形態では本発明にいうセンサとして空燃比センサを用いたが、センサは内燃機関の排気系に設けられたセンサであればいかようなセンサであってもよい。例えば、排気ガス中のNOx濃度を検出するNOxセンサ、排気ガス中のHC濃度を検出するHCセンサ、排気温を検出する排気温センサ、排気圧を検出する排気圧センサ、排気流量を検出する排気流量センサ、ディーゼルパティキュレートフィルタのPM堆積量を検知するのに用いられる差圧センサ等を用いることが可能である。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本実施形態の内燃機関の構成を示す概略図である。 なまし値の算出方法を説明するための図である。 移動平均値及びその変化量の算出方法を説明するための図である。 (A)は試験結果としての微分値を示し、(B)は微分値を積算して得られる積算微分値を概略的に示す。 (A)はセンサ出力値の変化を示し、(B)はそのセンサ出力値の変化に対応した微分値の変化を概略的に示す。 なまし値の変化とこれに対応した安定化指数の変化とを調べた試験結果を示す。 本実施形態の定常判定の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 内燃機関
13 排気通路
19 空燃比センサ
22 電子制御ユニット(ECU)
I センサ出力値
AI なまし値
BI 移動平均値
BIP+ 移動平均値の増加ピーク
BIP- 移動平均値の減少ピーク
ΔBIP 移動平均値の変化量
ΔBIP+ 移動平均値のプラス変化量
ΔBIP- 移動平均値のマイナス変化量
+ プラス期間
- マイナス期間
CI 微分値
CI+ プラス微分値
CI- マイナス微分値
DI 積算微分値
DI+ 積算プラス微分値
DI- 積算マイナス微分値
E 安定化指数

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気系に設けられたセンサの出力が定常状態にあるか否かを判定する装置であって、
    前記内燃機関のレシプロ運動に起因して振動する前記センサの出力値に基づいて当該センサ出力値よりも緩慢に変化する処理後出力値を算出する手段と、
    前記処理後出力値の振動における増加ピークと減少ピークの間の期間の前記処理後出力値の変化量を、その変化量がプラスとなるプラス期間とマイナスとなるマイナス期間とで交互に順次算出する手段と、
    相隣接する前記プラス期間と前記マイナス期間における前記プラス変化量と前記マイナス変化量の和に基づいて前記センサの出力が定常状態にあるか否かを判定する手段と
    を備えたことを特徴とする排気系センサ出力の定常判定装置。
  2. 前記センサの出力が定常状態にあるか否かを判定する手段が、前記和が実質的にゼロであるときに前記センサの出力が定常状態にあると判定する
    ことを特徴とする請求項1記載の排気系センサ出力の定常判定装置。
  3. 前記処理後出力値の変化量を算出する手段が、前記処理後出力値の微分値を算出すると共に、前記微分値がプラスとなる期間中で当該プラス微分値を積算して前記プラス変化量を算出し、前記微分値がマイナスとなる期間中で当該マイナス微分値を積算して前記マイナス変化量を算出する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の排気系センサ出力の定常判定装置。
  4. 前記処理後出力値を算出する手段が、前記センサ出力値に対しなまし処理を行ってその結果を前記処理後出力値として算出する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排気系センサ出力の定常判定装置。
  5. 前記処理後出力値を算出する手段が、前記センサ出力値に対しなまし処理を行い、さらにそのなまし値に対し移動平均処理を行ってその結果を前記処理後出力値として算出する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排気系センサ出力の定常判定装置。
  6. 前記センサが、排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサである
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の排気系センサ出力の定常判定装置。
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