JP4835026B2 - ジフェニルキノキサリン骨格を有する化合物を含む導電性組成物 - Google Patents

ジフェニルキノキサリン骨格を有する化合物を含む導電性組成物 Download PDF

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Description

本発明は、導電性高分子物質に、2,3−ジフェニルキノキサリン(以下ジフェニルキノキサリンと略すこともある)構造を有する化合物を含む導電性組成物に関する。さらに詳しくは、導電性高分子のドーパントとしてジフェニルキノキサリン構造を有するスルホン酸置換化合物を含む導電性組成物であり、電気、電子工業の分野において加工性要求度の高い電極、センサー、エレクトロニクス表示素子、非線形光学素子、光電変換素子、帯電防止剤、コンデンサのほか、各種導電材料あるいは光学材料として有用な導電性組成物に関するものである。
近年、π電子共役系高分子は、従来の導電性を活かした帯電防止からより機能を要求される分野へと用途が拡大してきている。
その中でも、固体電解コンデンサの陰極材料に用いる場合には、高容量・低等価直列抵抗といったメリットを発揮することから広く用いられるようになってきている。固体電解コンデンサとして使用される導電性高分子にはこれまで低等価直列抵抗を実現するために高い導電性が強く要求されてきた。
近年、実装基板の鉛フリー化に伴い使用される半田の金属組成がSnPbからSnAg、SnAgCu等のPbを含まない金属組成への転換が図られている。それに伴って、実装時の半田の溶融温度は、従来の共晶半田の183℃から240〜245℃へと50℃以上上昇することとなった。さらに実装基板および搭載された部品の熱容量を考慮するとリフロー時の炉内の温度は、半田の溶融温度よりも5℃〜20℃高めに維持する必要があり、鉛フリー化を実現するため実装基板に搭載される部品の耐熱性に対する要求レベルは益々高くなってきている。
ところで、導電性高分子の耐熱性は、導電性高分子のπ電子共役系を構成する主鎖構造に由来するもののほかに使用されるドーパントの種類によってもその特性が大きく異なることが知られており、ドーパントとなる分子をハロゲンイオン、硫酸イオン等の低分子からより分子量が大きいベンゼンスルホン酸化合物を利用する技術(特許文献1)やメタニル酸誘導体をドーパント剤とする方法が開示されている(特許文献2)。
一方、ポリフェニルキノキサリンは、特にカーボン材料と複合化すると電極材料年有用であることが知られている(特許文献3)。また、ポリフェニルキノキサリンを可溶化するために発煙硫酸を用いたスルホン化反応により部分的にスルホン酸基が導入された高分子化合物が得られているが構造特定はされていない(非特許文献1)。
特開2000−204074号公報 特許2003−81936号公報 特開2003−68307号公報 N.M.Belomoina., Polymer Sciene, Ser. B,Vol. 38, Nos. 1−2,1996, pp98-100
本発明は、近年の固体電解コンデンサ等における鉛フリー化に伴う高耐熱性の要求に応じるため耐熱性に優れた導電性組成物を提供することを主たる目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた。その結果、ジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸化合物が耐熱性に優れており、さらに導電性高分子物質中にジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸化合物をドーパントとして含む導電性組成物が耐熱性に優れていることを見出し、本発明を完成させた。
(1) 導電性高分子物質に2,3−ジフェニルキノキサリン構造を有するスルホン酸置換化合物をドーパントとして含むことを特徴とする導電性組成物。
(2) スルホン酸置換化合物が、化学式(1)
Figure 0004835026

(式中、R〜R14 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル基、置換フェニル基を示し、R〜R14の少なくとも1つが−SOM又はSOMを有する炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基を示す。Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アンモニウム、または酸化性を有する遷移金属を示す。)で示される化合物あることを特徴とする上記(1)に記載の導電性組成物。
(3) スルホン酸置換化合物が、化学式(2)
Figure 0004835026

もしくは化学式(3)
Figure 0004835026

で示される化合物である上記(1)または(2)に記載の導電性組成物。
(4) スルホン酸置換化合物が、1,4−ビスフェニルキノキサリルベンゼンのスルホン酸置換化合物であることを特徴とする上記(1)に記載の導電性組成物。
(5) スルホン酸置換化合物が、化学式(4)
Figure 0004835026

(式中、R〜R18 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル基、置換フェニル基を示し、さらにR〜R18の少なくとも1つは、−SOM又はSOMを有する炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基を示す。Mは、水素 、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第4級アンモニウムまたは酸化性を有する遷移金属を表わす。)で示される化合物である上記(4)に記載の導電性組成物。
(6) スルホン酸置換化合物が、化学式(5)
Figure 0004835026

で示される上記(5)に記載の導電性組成物。
(7) 導電性高分子物質が、π電子共役構造を有するモノマーの重合体である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の導電性組成物。
(8) 重合体が、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物の群から選ばれる少なくとも一つの化合物の二価基を繰り返し単位として含む上記(7)に記載の導電性組成物。
(9) 重合体の重合度が2以上2000以下である上記(7)又は(8)に記載の導電性組成
(10) 上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の導電性組成物を固体電解質に含む固体電解コンデンサ。
本発明は、耐熱性の高いジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸置換化合物を導電性高分子のドーパントとして用いることにより、耐熱性の高い導電性組成物を得ることができる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。まず、本発明における導電性高分子のドーパントであるジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸置換化合物について説明する。ジフェニルキノキサリン骨格を化学構造の一部に含むスルホン酸化合物としては以下の化合物を挙げることができる。
先ず、化学式(1)
で表わされるジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸化合物である。
化学式(1)
Figure 0004835026
化学式(1)の化合物の中でRのスルホン置換基が一つであり、他のRがすべて水素である化合物が化学式(2)に示される。
化学式(2)
Figure 0004835026
また化学式(1)の中でRのスルホン置換基が二つであり、他のRがすべて水素である化合物が化学式(3)で示めされる。
化学式(3)
Figure 0004835026
さらに、本発明におけるジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸置換化合物は、化学式(1)の化合物を部分構造に含む1,4−ビス(フェニルキノキサリル)ベンゼンのスルホン酸置換化合物であってもよい。
この化合物として化学式(4)で表される化合物を挙げることができる。
化学式(4)
Figure 0004835026
化学式(4)の中でスルホン置換基が二つであり、他のRがすべて水素である化合物が化学式(5)で表される化合物である。
化学式(5)
Figure 0004835026
化学式(1)中のR〜R14、化学式(4)中のR〜R18は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基や炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基等の炭化水素基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニルオキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル基、置換フェニル基、−SOM基を表わす。
式中、R〜R18の中には、少なくとも1つが−SO 又はSOMを有する炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基(例えば−CH−CH−SO等))で置換されたジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸置換化合物であり、より詳しくは、1〜3箇所で−SOM基が置換されていることがより好ましい。
ここで、前記R〜R18の特に好ましい例としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、フェニルおよび置換フェニル基、スルホン酸基が挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エトキシエチル、メトキシエチル、メトキシエトキシエチル、アセトニル、フェナシル等が挙げられ、アルケニル基の具体例としては、アリル、1ーブテニル、アルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ等が挙げられ、置換フェニル基の具体例としてはフロロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基等が挙げられる。
は、水素イオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、4級アンモニウムイオン、または酸化性を有する遷移金属のカチオン等を示す。より具体的には、Mは、水素イオン、Na、LiまたはK等のアルカリ金属イオン、Mg2+、Ca2+またはBa2+等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等の4級アンモニウムイオン、Fe2+、Cu等の酸化性を有する遷移金属のカチオン等が挙げられる。Mは前記カチオンを一種類以上含む混合物であってもよい。
本発明に於ける化学式(1)として具体的には、2,3−ジフェニルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−メチル−キノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−メチルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−エチルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−エチルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−プロピルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−プロピルエチルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−ブチルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−ブチルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−ペンチルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−ペンチルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−ヘキシルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−ヘキシルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−オクチルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−オクチルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−デシルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−デシルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−ドデシルキノキサリン−5−スルホン酸、
2,3−ジフェニル−5−ドデシルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−クロロキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−クロロキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−ブロモキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−ブロモキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−フルオロキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−フルオロキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−トリフルオロメチルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−トリフルオロメチルキノキサリン−6−スルホン酸、2,3−ジフェニル−6−シアノキノキサリン−5−スルホン酸、2,3−ジフェニル−5−シアノキノキサリン−6−スルホン酸、2’−(3’−フェニルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−メチルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−エチルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−エチルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、
2’−(3’−フェニル−5’−プロピルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ブチルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ヘキシルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−オクチルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−デシルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ドデシルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−フルオロキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−クロロキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ブロモキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−シアノキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−トリフルオロメチルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−メチルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−エチルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−プロピルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、
2’−(3’−フェニル−5’−ブチルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ヘキシルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−オクチルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−デシルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ドデシルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−フルオロキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−クロロキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ブロモキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−シアノキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−トリフルオロメチルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、
2’−(3’−フェニルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−エチルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−エチルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−プロピルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ブチルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ヘキシルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−オクチルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−デシルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ドデシルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−フルオロキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−クロロキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−ブロモキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニル−5’−シアノキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、
2’−(3’−フェニル−5’−トリフルオロメチルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’,3’−キノキサリル−ビス(2−ベンゼンスルホン酸)、2’,3’−(5’−スルホキノキサリル)−ビス(2−ベンゼンスルホン酸)、2’,3’−(6’−スルホキノキサリル)−ビス(2−ベンゼンスルホン酸)、2’,3’-キノキサリル−ビス(3−ベンゼンスルホン酸)、2’,3’−(5’−スルホキノキサリル)−ビス(3−ベンゼンスルホン酸)、2’,3’−(6’−スルホキノキサリル)−ビス(3−ベンゼンスルホン酸)、2’,3’−(5’−スルホキノキサリル)−ビス(4−ベンゼンスルホン酸)、2’,3’−(6’−スルホキノキサリル)−ビス(4−ベンゼンスルホン酸)、2’,3’-(5’,6’-ジスルホキノキサリル)−ビス(4−ベンゼンスルホン酸)およびそのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、鉄(II)塩、銅(II)塩等が挙げられ、より好ましくは、2,3−ジフェニルキノキサリン−5−スルホン酸、2,3―ジフェニルキノキサリン―6−スルホン酸、2’−(3’−フェニルキノキサリル)−2−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニルキノキサリル)−3−ベンゼンスルホン酸、2’−(3’−フェニルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸、2’,3’-キノキサリル−ビス(3−ベンゼンスルホン酸)、2’,3’-キノキサリル−ビス(4−ベンゼンスルホン酸)およびそのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、鉄(II)塩、銅(II)塩等が挙げられる。
本発明に於ける化学式(4)としてより具体的には、1,4−ビス[3’−{2’−(2’’−スルホフェニル)}キノキサリル]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)}キノキサリル]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(4’’−スルホフェニル)}キノキサリル]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−メチルキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−エチルキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−プロピルキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−ブチルキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−ヘキシルキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−デシルキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−ドデシルキノキサリル}]ベンゼン、
1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−トリフルオロメチルキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−クロロキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−フルオロキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−ブロモキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−5’−シアノキノキサリル}]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)−6’−メチルキノキサリル}]ベンゼンおよびそのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、鉄(II)塩、銅(II)塩等が挙げられ、より好ましくは、1,4−ビス[3’−{2’−(2’’−スルホフェニル)}キノキサリル]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(3’’−スルホフェニル)}キノキサリル]ベンゼン、1,4−ビス[3’−{2’−(4’’−スルホフェニル)}キノキサリル]ベンゼンおよびそのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、鉄(II)塩、銅(II)塩等が挙げられる。
本発明に於けるジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸置換化合物は、ジフェニルキノキサリンもしくはその誘導体を直接スルホン化することにより製造することができる。さらに、スルホン化された1,2-ジケトン構造を有する芳香族ジケトン化合物またはスルホン化された1,2−ジケトン構造を有する芳香族テトラケトン化合物と芳香族1,2-ジアミン構造を有するジアミン化合物と反応させることにより製造することができ、1,2-ジケトン構造を有する芳香族ジケトン化合物または1,2−ジケトン構造を有する芳香族テトラケトン化合物とスルホン化された芳香族1,2-ジアミン構造を有するジアミン化合物と反応させることにより製造することができる。さらには、スルホン化された1,2-ジケトン構造を有する芳香族ジケトン化合物またはスルホン化された1,2−ジケトン構造を有する芳香族テトラケトン化合物とスルホン化された芳香族1,2-ジアミン構造を有するジアミン化合物と反応させることによっても製造することができる。
ジフェニルキノキサリンおよびその誘導体、1,2−ジケトン構造を有する芳香族テトラケトン化合物、および芳香族1,2-ジアミン構造を有するジアミン化合物のスルホン化には、発煙硫酸もしくは三酸化硫黄、もしくは三酸化硫黄のピリジンやジメチルホルムアミドやトリメチルアミンなどとの付加物を用いることができる。本発明のスルホン化反応に溶剤を用いても良く、スルホン化剤と反応しない溶媒が使用できる。より具体的には、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶剤が使用することができる。大過剰の三酸化硫黄を含む発煙硫酸を用いてスルホン化反応を行う場合には、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル溶剤を共存させることによりスルホンの形成を抑制し効率的にスルホン化物を製造することができる。
本発明におけるスルホン化反応において、反応温度については特に限定しないが、0℃〜100℃で行うことが望ましく、0℃〜50℃の範囲で行うことがより好ましい。0℃以下ではスルホン化反応が遅い、もしくは、1,2−ジケトン構造を有する芳香族ジケトン化合物もしくは1,2−ジケトン構造を有する芳香族テトラケトン化合物の溶剤に対する溶解性が低下することから合理的でなく、100℃を超えるとスルホン等の副生物が生成することから好ましくない。
本発明に於けるスルホン化された1,2−ジケトン構造を有する芳香族ジケトン化合物もしくはスルホン化された1,2−ジケトン構造を有する芳香族テトラケトン化合物と1,2−ジアミン構造を有するジアミン化合物との脱水反応は、接触を容易にするために溶媒を使用することができる。溶媒としては、テトラケトンやテトラアミンと反応せず、水分含有量の少ない溶媒であればよく、具体的には、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサンなどを使用することができる。特に、スルホン化された1,2−ジケトン構造を有する芳香族テトラケトン化合物を合成する工程においては、使用する発煙硫酸をそのまま溶媒として用いても良い。
本発明のスルホン化された1,2−ジケトン構造を有する芳香族ジケトン化合物、もしくはスルホン化された1,2−ジケトン構造を有する芳香族テトラケトン化合物と、芳香族1,2−ジアミン構造を有するテトラアミン化合物を反応させることにより、ジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸置換化合物を合成する工程において、使用するテトラケトン化合物とテトラアミン化合物のモル比は、特に限定しないが、そのモル比が1:1に近くなるようにすることが好ましい。具体的には、テトラケトン化合物とテトラアミン化合物のモル比が0.9:1ないし1:0.9が好ましく、0.99:1ないし1:0.99がさらに好ましい。
次に本発明の導電性組成物について説明する。
本発明は、ジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸置換化合物をドーパントに含む導電性組成物であり、耐熱性・耐湿性に優れた導電性組成物である。
本発明に於けるジフェニルキノキサリン骨格を有するスルホン酸置換化合物は、電気化学的に可逆な酸化還元反応を安定に維持できることから当該化合物を含む導電性組成物は導電性が安定に保持される。
本発明の導電性組成物に好適に用いられる導電性高分子は、π電子共役構造を有する有機重合体モノマーの重合体であり、重合度2以上2000以下、より好ましくは3以上1000以下、さらに好ましくは5以上200以下である。具体例としては、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体が挙げられる。
チオフェン骨格を有するモノマーとしては、例えば、3−メチルチオフェン、3−エチルオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−フルオロチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−シアノチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3,4−ブチレンチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、一般には市販されている化合物または公知の方法(例えばSynthetic Metals誌, 1986年, 15巻, 169頁)で準備できる。
多環状スルフィド骨格を有するモノマーの具体例としては、1,3−ジヒドロ多環状スルフィド(別名、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェン)骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が使用できる。さらには1,3−ジヒドロアントラ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフタセノ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物を挙げることができる。これらは公知の方法、例えば特開平8-3156号公報記載の方法により準備することができる。
また、1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チオフェン骨格を有する化合物が、1,3−ジヒドロフェナントラ[2,3−c]チオフェン誘導体や、1,3−ジヒドロトリフェニロ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が、1,3−ジヒドロベンゾ[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェン誘導体なども使用できる。
縮合環に窒素またはN−オキシドを任意に含んでいる化合物も使用でき、例えば、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンや、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4−オキシド、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4,9−ジオキシド等を挙げることができる。
ピロール骨格を有するモノマーとしては、例えば、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オクチルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロール、3−フルオロピロール、3−クロロピロール、3−ブロモピロール、3−シアノピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ブチレンピロール、3,4−メチレンジオキシピロール、3,4−エチレンジオキシピロール等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
フラン骨格を有するモノマーとしては、例えば、3−メチルフラン、3−エチルフラン、3−プロピルフラン、3−ブチルフラン、3−ペンチルフラン、3−ヘキシルフラン、3−ヘプチルフラン、3−オクチルフラン、3−ノニルフラン、3−デシルフラン、3−フルオロフラン、3−クロロフラン、3−ブロモフラン、3−シアノフラン、3,4−ジメチルフラン、3,4−ジエチルフラン、3,4−ブチレンフラン、3,4−メチレンジオキシフラン、3,4−エチレンジオキシフラン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は市販品または公知の方法で準備できる。
アニリン骨格を有するモノマーとしては、例えば、2−メチルアニリン、2−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、2−ブチルアニリン、2−ペンチルアニリン、2−ヘキシルアニリン、2−ヘプチルアニリン、2−オクチルアニリン、2−ノニルアニリン、2−デシルアニリン、2−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、2−シアノアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2,3−ブチレンアニリン、2,3−メチレンジオキシアニリン、2,3−エチレンジオキシアニリン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
これらの中でも、チオフェン骨格または多環状スルフィド骨格を有する化合物が好ましく、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)、1,3−ジヒドロイソチアナフテンが特に好ましい。
上記化合物群から選ばれる化合物の重合条件等には特に制限はなく、簡単な実験により予め好ましい条件を確認した上で容易に実施することができる。
また、上記モノマー群から選ばれる化合物を併用し、共重合体として固体電解質を形成させても良い。その時の重合性単量体の組成比などは重合条件等に依存するものであり、好ましい組成比、重合条件は簡単なテストにより確認できる。
本発明において好ましく使用される3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)は、上記の一価アルコールによく溶けるが、水とはなじみが良くないため高濃度の酸化剤水溶液と接触させたときには、EDTはその界面において重合が良好に進行して、フィブリル構造あるいはラメラ(薄い層状)構造の導電性重合体固体電解質層が形成される。
本発明(II)に於ける導電性組成物に含まれる本発明(I)の水溶性化合物は、導電性高分子を構成するモノマーユニットに対して0.1モル%〜50モル%が好ましく、より好ましくは5モル%〜25モル%である。
以下、実施例及び比較例を挙げ本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により何らの限定を受けるものではない。
本発明に於ける化学物質の化学構造は、核磁気共鳴分析(以下NMRと略す):ブルカー社製 AMX−400、質量分析(以下FAB−MSと略す):日本電子(株)製 JMS SX−102Aを使用した。さらに、熱重量分析(以下TGと略す):理学電気(株)製 TG−8120を使用して耐熱性を確認した。
導電性組成物の導電率は、得られた粉末を300kg/cmの圧力でペレットとしマイクロメーターで膜厚を測定した後、三菱化学(株)製 Loresta IP(MCP−T250)にてシート抵抗を測定し体積導電率を算出した。
[実施例1]2’-(3’−フェニルキノキサリル)−4−ベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下QBSと略す)の合成
2,3-ジフェニルキノキサリン(東京化成工業(株)製)8.1g(28.6mmol)を20%発煙硫酸40ml(ヨツハタ化学(株)製)に内温20℃以下を維持しながら添加し一晩室温で攪拌した。反応液を氷水に投入し希釈した後、粉末の炭酸水素ナトリウム145gを少量ずつ添加して中和し析出した沈殿物を濾別した。本沈殿物を水から再結晶してスポンジ状の無色の結晶8.6g(収率:78%)を得た。
このようにして得られた無色のスポンジ状結晶の質量分析を行ったところ、m/zが384に検出された。また、H-NMRを測定したところ、1置換フェニル基の特徴を示すピークが7.1(d)、7.2(t)、7.3(d)に認められ、1、3置換フェニル基の特徴を示すピークが7.1(d)、7.25(t)、7.9(s)、7.92(d)に認められキノキサリン骨格に基づくピークが7.4ppm(t)、7.5(t)、7.6(d)、7.7(d)に検出された。さらに、13C-NMRを測定したところ、芳香族4級炭素が7種類、芳香族CHが13種類検出されたことからその化学構造を同定した。
[実施例2]2’,3’-キノキサリル−ビス(4−ベンゼンスルホン酸ナトリウム)(以下QBBSと略す)の合成
ベンジル(東京化成工業(株)製) 1.3g(6.2mmol)を1,4-ジオキサン(純正化学(株)製)6.4mlに溶解し、冷却しながら20%発煙硫酸19ml(ヨツハタ化学(株)製)を攪拌しながら室温を維持するように滴下し一晩攪拌した。反応液を氷水中に投入し希釈した後、粉末の炭酸水素ナトリウム67gを少量ずつ添加して中和し析出した無色結晶を濾別した。ろ液を減圧下、水分を留去して淡緑色の固形分30g得た。本固形分にN,N−ジメチルホルムアミド90mlを添加し一晩攪拌した。懸濁液中の固形分を濾別して得られた濾液にオルトフェニレンジアミン0.66g(6.1mmol)を加えて120℃で10時間加熱した。反応液を450mlのアセトンに投入し析出した固形分を濾取し、更に50mlのアセトンで2回繰り返して 洗浄した後、水から再結晶して淡黄色針状結晶0.30g(回収率:10%)を得た。
このようにして得られた黄色の粉末の質量分析を行ったところ、m/zが463と441に検出された。また、H-NMRを測定したところ、1,4置換フェニル基の特徴を示すピークが7.48ppm(d)、7.63(d)に認められ、キノキサリン骨格に基づくピークが7.89ppm(dd)、8.15(dd)に検出された。さらに、13C-NMRを測定したところ、芳香族3級炭素が8種類、芳香族3級炭素が4種類検出されたことからその化学構造を同定した。
[実施例3] 1,4−ビス(3’−スルホ−フェニルグリオキシル)ベンゼンのナトリウム塩の合成
攪拌機と温度計とジムロート冷却管を備えた300ミリリットルの三口フラスコに、調製例1で合成した1,4−ビス(フェニルグリオキシル)ベンゼン(10.00g)と1,4−ジオキサン(50ml)を入れて溶解した。反応混合物を水冷しながら、反応温度を30ないし40℃となるように発煙硫酸(150ml)を滴下した。滴下終了後、室温でしばらく攪拌すると、オレンジ色の溶液となった。この溶液を、800gの氷に投入すると、黄色の溶液が得られ、そこに塩化ナトリウム(198g)を投入すると、黄色の沈殿が得られた。この沈殿を濾別し、200ミリリットルの水に溶解させ、その溶液に炭酸水素ナトリウム(7.0g)を入れて中和した。中和後、塩化ナトリウム(40g)を投入して析出した黄色の固体を濾別、乾燥して黄色の粉末を得た。(収量5.2g)
このようにして得られた黄色の粉末の質量分析を行ったところ、m/zが501と523に検出された。また、13C-NMRを測定したところ、芳香族3級炭素が5種類、芳香族4級炭素が3種類、カルボニル炭素が2種類検出されたことからその化学構造を同定した。なお、本物質は445℃まで顕著な重量減少は認められず安定であった。
[実施例4]
1,4−ビス{3’−(4’’-スルホ)フェニル)キノキサリル)}ベンゼンのナトリウム塩(以下BSPQB−Naと略す)の合成
実勢例3で合成した1,4−ビス(3’−スルホ−フェニルグリオキシル)ベンゼンのナトリウム塩 500mg、オルトフェニレンジアミン(東京化成工業(株)製) 200mg、およびN,N−ジメチルホルムアミド2.5mlを2口ナスフラスコに投入し11時間130℃で加熱した。加熱終了後、反応液に蒸留水 20ml、食塩 1.0gを添加することにより析出した沈殿物を濾取した。沈殿物をジエチルエーテルにて洗浄したのち真空乾燥し淡褐色の粉末90mg(収率14%)を得た。
このようにして得られた黄色の粉末の質量分析を行ったところ、m/zが669と691に検出された。また、H−NMRを測定したところ、7.22(d)、7.35(t)、7.52(s)、7.70(d)、7.89(t)、8.15(s)、8.18(dd)に認められた。さらに、13C-NMRを測定したところ、芳香族4級炭素が7種類、芳香族3級炭素が8種類(10個分)検出されたことからその化学構造を同定した。
なお、本物質は500℃まで顕著な重量減少は認められず安定であった。
[実施例5]
QBSをドーパントに含む導電性組成物の合成
サンプル管に過硫酸アンモニウム 1.37g(6.0mmol)とQBS 0.14g(0.4mmol)を秤量し、次に蒸留水 9mlを注ぎいれ攪拌して溶解した。溶液は懸濁液となった。サンプル管を40℃の温浴につけ3,4-エチレンジオキシチオフェン 0.29g(2mmol)を静かに注ぎいれ重合を開始した。2.5時間後に加熱を止め、得られた固形分を濾取しアセトン10mlで洗浄した後、真空乾燥して黒色粉末を0.17g得た。本粉末をペレットに成形し測定した導電率は、19S/cmであり、熱重量分析により242℃までは発熱を伴う重量減少が認められなかった。
[実施例6]
BSPQBをドーパントに含む導電性組成物の合成
サンプル管に過硫酸アンモニウム 1.37g(6.0mmol)とBSPQB−Na0.28g(0.4mmol)を秤量し、次に蒸留水 9mlを注ぎいれ攪拌して溶解した。溶液は懸濁液となった。サンプル管を40℃の温浴につけ3,4-エチレンジオキシチオフェン 0.29g(2mmol)を静かに注ぎいれ重合を開始した。2.5時間後に加熱を止め、得られた固形分を濾取しアセトン10mlで洗浄した後、真空乾燥して黒色粉末を0.15g得た。本粉末をペレットに成形し測定した導電率は、11S/cmであり、熱重量分析により242℃までは発熱を伴う重量減少が認められなかった。
[比較例1]
ドデシルベンゼンスルホン酸をドーパントに含む導電性組成物の合成
サンプル管に過硫酸アンモニウム 1.37g(6.0mmol)とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.14g(0.4mmol)を秤量し、次に蒸留水 9mlを注ぎいれ攪拌して溶解した。溶液は懸濁液となった。サンプル管を40℃の温浴につけ3,4-エチレンジオキシチオフェン 0.29g(2mmol)を静かに注ぎいれ重合を開始した。2.5時間後に加熱を止め、得られた固形分を濾取しアセトン10mlで洗浄した後、真空乾燥して黒色粉末を0.17g得た。本粉末をペレットに成形し測定した導電率は、4.5S/cmであり、熱重量分析により200℃で発熱を伴う重量減少が認められた。
本発明の導電性組成物は耐熱性、耐湿性に優れたものであり、固体電解コンデンサ等の電極、センサー、エレクトロニクス表示素子、非線形光学素子、光電変換素子、帯電防止剤、コンデンサのほか、各種導電材料あるいは光学材料に利用することができる。

Claims (10)

  1. 導電性高分子物質に2,3−ジフェニルキノキサリン構造を有するスルホン酸置換化合物をドーパントとして含むことを特徴とする導電性組成物。
  2. スルホン酸置換化合物が、化学式(1)
    Figure 0004835026

    (式中、R〜R14 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル基、置換フェニル基を示し、R〜R14の少なくとも1つが−SOM又はSOMを有する炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基を示す。Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アンモニウム、または酸化性を有する遷移金属を示す。)で示される化合物あることを特徴とする請求項1に記載の導電性組成物。
  3. スルホン酸置換化合物が、化学式(2)
    Figure 0004835026

    もしくは化学式(3)
    Figure 0004835026

    で示される化合物である請求項1または2に記載の導電性組成物。
  4. スルホン酸置換化合物が、1,4−ビスフェニルキノキサリルベンゼンのスルホン酸置換化合物であることを特徴とする請求項1に記載の導電性組成物。
  5. スルホン酸置換化合物が、化学式(4)
    Figure 0004835026

    (式中、R〜R18 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリハロメチル基、フェニル基、置換フェニル基を示し、さらにR〜R18の少なくとも1つは、−SOM又はSOMを有する炭素数1乃至20の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基を示す。Mは、水素 、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第4級アンモニウムまたは酸化性を有する遷移金属を表わす。)で示される化合物である請求項4に記載の導電性組成物。
  6. スルホン酸置換化合物が、化学式(5)
    Figure 0004835026

    で示される請求項5に記載の導電性組成物。
  7. 導電性高分子物質が、π電子共役構造を有するモノマーの重合体である請求項1〜6のいずれかに記載の導電性組成物。
  8. 重合体が、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物の群から選ばれる少なくとも一つの化合物の二価基を繰り返し単位として含む請求項7に記載の導電性組成物。
  9. 重合体の重合度が2以上2000以下である請求項7又は8に記載の導電性組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性組成物を固体電解質に含む固体電解コンデンサ。
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