JP4832261B2 - チャネル推定装置 - Google Patents
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Description
一方、近年、高い周波数利用効率が特徴的であるOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplex)を用いた通信システムが多くなってきている。OFDM(OFDMA含む)は、マルチキャリア伝送技術であり、複数の直交したサブキャリアを用いて、このサブキャリアに送信データをマッピングして伝送する手法である。また、通常、パイロット信号もデータ同様に複数のサブキャリアにマッピングされる。同期検波は前述したように、このパイロット信号を用いて各サブキャリアのチャネル推定値を求め、該チャネル推定値を用いてデータを復調する。
N個のデータをN個のサブキャリアf1〜fNの成分としてNポイントのIFFT処理を行なうと、周波数スペクトラムは図23の(A)に示すようになる。OFDMではIFFT処理した信号をアナログに変換し、該アナログ信号よりローパスフィルタによりf1〜fNのべースバンド信号成分を抽出し、無線周波数にアップコンバートして送信する。このf1〜fNのべースバンド信号成分を選択するには、図23(A)より明らかなように急峻な遮断特性を有するローパスフィルタが必要になるが、そのようなフィルタの作成は難しい。そこで、図23の(B)に示すようにN個のサブキャリアf1〜fNの両側のキャリアをデータ伝送に使用せず、すなわち、Nc個 (Nc<N)のサブキャリアをデータ伝送に使用する。
図24は上記第1の手法のチャネル推定方法を実現するチャネル推定装置の構成図であり、2つのチャネル推定部21、22を直列に接続して構成されている。第1のチャネル推定部21は図22で説明した従来技術の構成を備えたチャネル推定部で、一定周期で受信するパイロットシンボルと既知のパイロットパターンとの相関を計算することで、サブキャリア毎のチャネル推定を行なう。第2のチャネル推定部22は、第1チャネル推定部21が出力するチャネル推定値を時間領域に変換し、時間領域において雑音抑圧処理を行い、その後、周波数領域に戻して各サブキャリアのチャネル推定値を出力する。すなわち、IFFT部22aは第1チャネル推定部21が出力する周波数領域のチャネル推定値をIFFTにより時間領域に変換し、雑音抑圧部22bは該時間領域のチャネル推定値から設定レベル以下の雑音を除去し、FFT部22cは雑音抑圧された時間領域のチャネル推定値を周波数領域に戻して周波数領域のチャネル推定値(各サブキャリアのチャネル推定値)を出力する。なお、IFFTやFFTは、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)やDFT、IDCT(Inverse Discrete Cosine Transform)やDCTを用いて構成することも可能である。
伊達木 隆ら、 "仮想的な波形を用いたOFDMチャネル推定方法、" 2006年電子情報通信学会総合大会、 B-5-94 J.J Beek, et al, "On Channel Estimation in OFDM systems" Proc. 45th IEEE Vehicular Technology Conference, Chicago, IL, USA, July 1995, pp. 815-819. 川合ら、 "QRM-MLDを用いるOFDCDM MIMO多重における直交パイロットチャネルを用いたマルチスロット・サブキャリア平均化チャネル推定の効果、" 信学技報 RCS2004-68、 May 2004。
図26(A)に示す時間領域の方形波を考える。このような方形波をフーリエ変換するとsinc関数が得られる。このsinc関数は無限区間を有する関数であるので、周波数成分は無限まで存在する。すなわち,無限の周波数を用いた正弦波で時間領域の方形波を表現することができる。ところで、図26(B)に示すようにsinc関数をある周波数以上を0とする(有限の周波数成分だけにする)ことを考える。このような近似を行った後に逆フーリエ変換して時間領域に戻すと、方形波を正確に表現できなくなる。特に、方形波の急峻に変化する点(0から1,1から0に変化する点)近傍を正確に表現することができなくなる。
従来の第1のチャネル推定法では,時間領域の信号はsinc関数となっており,雑音抑圧をするためにある閾値以下を0にする。この操作により上記の現象が起こり、通信帯域両側のサブキャリアにおいて歪みが発生するため、MSEが劣化する。なお、第1のチャネル推定法の場合、時間領域でsincであるが、図26のtとfが入れ替わっているだけで得られる結果は同じである。
従来の第2手法のチャネル推定方法によれば、雑音の影響を無くしてS/N比を向上できるが、雑音抑圧効果が低い問題がある。
以上からは、本発明の目的は、複数のチャネル推定部を備え、各チャネル推定部でチャネルを推定し、サブキャリア毎に精度の良いチャネル推定値を選択してデータの誤り率を改善するチャネル推定装置を提供することである。
本発明の別の目的は、雑音抑圧効果を大きくでき、しかも、両端サブキャリアにおけるチャネル推定値を改善してデータの誤り率を改善できるチャネル推定装置を提供することである。
本発明の別の目的は、パイロットシンボルが全サブキャリアにマッピングされていなくても、全サブキャリアのチャネル推定値を求めることができ、しかも、雑音を抑圧して精度の高いチャネル推定値を得ることができるチャネル推定装置を提供することである。
本発明の別の目的は、両端サブキャリアの数をマルチパスの遅延分散、受信SIR、端末移動速度などの特性値に応じて適応的に制御し、両端サブキャリアにおけるチャネル推定値を改善してデータの誤り率を改善できるチャネル推定装置を提供することである。
本発明の第1のチャネル推定装置は、各サブキャリアにマッピングされたパイロット信号に基づいて各サブキャリアのチャネルを推定する第1のチャネル推定部、第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を用いて、各サブキャリアのチャネルをさらに推定する第2のチャネル推定部、前記第1、第2のチャネル推定部で推定した第1、第2のチャネル推定値をサブキャリアに応じて選択して出力するチャネル選択部を備えている。
上記第1のチャネル推定装置において、前記第1のチャネル推定部が所定サブキャリア数おきのサブキャリアのチャネルを推定する場合、前記第2のチャネル推定部は、第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換する第1の変換部、時間領域のチャネル推定値の中央付近に所定数のゼロを挿入する零挿入部、前記ゼロを挿入された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換する第2の変換部を備えている。
上記第1のチャネル推定装置において、前記第1のチャネル推定部が所定サブキャリア数おきのサブキャリアのチャネルを推定する場合、前記第2のチャネル推定部は、第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換する第1の変換部、時間領域のチャネル推定値に含まれる雑音を抑圧する雑音抑圧部、雑音抑圧された時間領域のチャネル推定値の中央付近に所定数のゼロを挿入する零挿入部、前記ゼロを挿入された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換する第2の変換部を備えている。
上記第1のチャネル推定装置において、前記チャネル選択部は、有効帯域の両端におけるサブキャリアのチャネル推定値として前記第1のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択し、該両端におけるサブキャリア以外のサブキャリアのチャネル推定値として前記第2のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択して出力する。この場合、チャネル選択部は、前記両端におけるサブキャリアの数を一定数とする。
また、チャネル選択部は、所定の特性値を推定し、該推定した特性値に基づいて有効帯域の両端におけるサブキャリア数を決定し、該決定した数の有効帯域の両端におけるサブキャリアのチャネル推定値として前記第1のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択し、該両端におけるサブキャリア以外のサブキャリアのチャネル推定値として前記第2のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択して出力する。
本発明によれば、第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換し、時間領域のチャネル推定値に含まれる雑音を抑圧し、雑音抑圧された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換するようにしたから、雑音抑圧効果を大きくでき、この結果、チャネル推定値を改善してデータの誤り率を改善することができる。
本発明によれば、第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換し、時間領域のチャネル推定値の中央付近に所定数のゼロを挿入し、前記ゼロを挿入された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換するようにしたから、パイロットシンボルが全サブキャリアにマッピングされていなくても、雑音抑圧効果を大きくでき、この結果、チャネル推定値を改善してデータの誤り率を改善することができる。
本発明によれば、第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換し、時間領域のチャネル推定値に含まれる雑音を抑圧し、雑音抑圧された時間領域のチャネル推定値の中央付近に所定数のゼロを挿入し、ゼロを挿入された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換するようにしたから、パイロットシンボルが全サブキャリアにマッピングされていなくても、雑音抑圧効果を大きくでき、この結果、チャネル推定値を改善してデータの誤り率を改善することができる。
本発明によれば、チャネル選択部は、有効帯域の両端におけるサブキャリアのチャネル推定値として前記第1のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択し、該両端におけるサブキャリア以外のサブキャリアのチャネル推定値として前記第2のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択して出力するようにしたから、両端サブキャリアにおけるチャネル推定値を改善してデータの誤り率を改善することができる。
本発明によれば、両端サブキャリアの数をマルチパスの遅延分散、受信SIR、端末移動速度などの特性値に応じて適応的に制御するため、両端サブキャリアにおけるチャネル推定値を改善してデータの誤り率を改善することができる。
図24の時間領域で雑音抑圧を行うチャネル推定方法では、両端サブキャリアにおけるMSEが大きくなってチャネル推定値の精度が劣化する。ところで、雑音除去前のMSE、すなわち、図24の第1チャネル推定部21のMSEは図1の点線で示すようになり、雑音抑圧した第2チャネル推定部22のMSEより、サブキャリアの両端において小さくなる。
そこで、本発明は、両端サブキャリアのチャネル推定値として雑音除去前のチャネル推定値を使用し、両端サブキャリア以外のチャネル推定値として雑音除去後のチャネル推定値を使用する。このようにすれば、雑音抑圧効果を大きくでき、しかも、両端サブキャリアにおけるMSE、すなわち、チャネル推定値を改善してデータの誤り率を改善することができる。
また、本発明は、複数のチャネル推定部を設け、各サブキャリアにおいてMSEが小さいチャネル推定部から出力するチャネル推定値を選択することで、精度の高いチャネル推定を可能にする。
図2は本発明の第1実施例のチャネル推定装置の構成図である。
第1チャネル推定部51はNc個のサブキャリアに応じたパイロット信号が所定タイミングで入力され、サブキャリア毎のチャネル推定値
を推定して出力する。第2チャネル推定部52はサブキャリア毎のNc個のこれらチャネル推定値が入力され、Nc個のチャネル推定値
を推定して出力する。
チャネル推定値置き換え部53は、基本的に第2チャネル推定部52から出力されるチャネル推定値を選択するが、所定のサブキャリアに関して該第2チャネル推定部52から出力されるチャネル推定値を第1チャネル推定部51から出力されるチャネル推定値で置き換える。すなわち、所定サブキャリアにおいて第2チャネル推定部52のMSEより第1チャネル推定部51のMSEが小さいとき、チャネル推定値置き換え部53は、該サブキャリアに関して第2チャネル推定部52から出力されるチャネル推定値を第1チャネル推定部51から出力されるチャネル推定値で置き換える。
チャネル推定値置き換え部53は、置き換えるサブキャリア番号をiとすると
なお、チャネル推定値置き換え部53は、上記あるサブキャリアで第1チャネル推定部51から出力するチャネル推定値を選択し、該サブキャリア以外のサブキャリアでは第2チャネル推定部52から出力するチャネル推定値を選択して出力するように構成することもできる。
第1実施例によれば、第1、第2の2つのチャネル推定部のうち、サブキャリアにおけるMSEが小さいほうのチャネル推定部から出力するチャネル推定値を選択することで、精度の高いチャネル推定が可能になる。
チャネル推定における雑音抑圧処理には種々の手法がある。例えば、非特許文献1,2のように時間領域で雑音抑圧処理を行う手法や、非特許文献3のような周波数領域で雑音抑圧処理を行う手法などがある。第1実施例における第2チャネル推定部52は、時間領域で雑音抑圧処理する手法、周波数領域で雑音抑圧処理する手法の何れの手法を採用して構成してもよい。
図2の第1実施例では、第1チャネル推定部51と第2チャネル推定部52の2つのチャネル推定部を持つ構成としているが、図3に示すように、第3のチャネル推定部54を更に設けて複数のチャネル推定部を持つ構成とすることができる。この場合、チャネル推定値置き換え部53は、各サブキャリアにおいてMSEが最小となるチャネル推定部から出力するチャネル推定値を選択して出力する。例えば、第1〜第3チャネル推定部51,52,54のそれぞれにおいて、サブキャリア毎のMSEが図4の特性A,B,Cであるとすれば、
1) M1以下のサブキャリア番号では第1チャネル推定部51の出力を使用
2) M1からM2までのサブキャリア番号では第2チャネル推定部52の出力を使用
3) M2からM3までのサブキャリア番号では第3チャネル推定部53の出力を使用
4) M3からM4までのサブキャリア番号では第2チャネル推定部52の出力を使用
5) M4以上のサブキャリア番号では第1チャネル推定部51の出力を使用
するようにMSEが小さなチャネル推定部の出力を使用する。
なお、図2の第1実施例の場合には、
1) M1以下のサブキャリア番号では第1チャネル推定部51の出力を使用
2) M1からM4までのサブキャリア番号では第2チャネル推定部52の出力を使用
3) M4以上のサブキャリア番号では第1チャネル推定部51の出力を使用
するようにMSEが小さなチャネル推定部の出力を使用する。
・第2変形例
第1変形例では第2チャネル推定部52と第3チャネル推定部54を直列接続したが、図5に示すように並列接続するように構成することもできる。
図6は本発明の第2実施例のチャネル推定装置の構成図であり、雑音抑圧処理手法として時間領域で雑音抑圧処理する手法を採用して第1実施例の第2チャネル推定部52を構成した例である。図6において図2の第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
第1チャネル推定部51は、有効サブキャリア数Nc、FFT窓幅Nfftの周波数領域のチャネル推定値を推定して第2チャネル推定部52に入力する。
第2チャネル推定部52のIFFT部52aは入力された周波数領域のチャネル推定値AにIFFT処理を施して時間領域の信号Bに変換する。なお、有効サブキャリア数NcとFFT窓幅Nfftが異なると、周波数軸上で矩形窓が乗算されたことと等しくなり、IFFTの出力である時間信号BはNcとNfftに基づいて決まるsinc関数が畳込まれた信号となる。
ついで、雑音抑圧部52bは、IFFTの出力である時間信号Bにおいて、予め定めた閾値TH以下の信号を0にして雑音を抑圧する。閾値THは雑音レベルにより決定される。最後に、FFT部52cは雑音抑圧後の信号CにFFT処理を施して周波数領域のチャネル推定値Dを発生してチャネル推定値置き換え部53に入力する。
第2チャネル推定部52から出力されるチャネル推定値は図1に示したようにサブキャリア毎にチャネル推定値の精度が異なる。このため、チャネル推定値置き換え部53は、第2チャネル推定部52から出力されるチャネル推定値の精度が悪いと想定されるサブキャリアについては、第1実施例と同様に第1チャネル推定部51のチャネル推定値で置き換える。すなわち、チャネル推定値置き換え部53は、サブキャリア毎にMSEが小さい方のチャネル推定部から出力するチャネル推定値を選択して出力する。これにより、精度の高いチャネル推定が可能になる。
第2チャネル推定部52のMSEは、図1の実線で示すように両端サブキャリアにおいて大きくなってチャネル推定値の精度が劣化する。一方、第1チャネル推定部51のMSEは、点線で示すようになり、両端サブキャリアにおいて第2チャネル推定部22のMSEより小さくなる。そこで、第2実施例において、チャネル推定値置き換え部53は、両端サブキャリア以外では第2チャネル推定部52が推定したチャネル推定値を出力し、両端サブキャリアのみ第1チャネル推定部51が推定したチャネル推定値を出力する。この場合、両端サブキャリアのサブキャリア数Nを予め固定値として決定しておくことができる。サブキャリア数Nは予め、第1チャネル推定部51のMSEが第2チャネル推定部22のMSEより小さくなるサブキャリアを求めることで決定することができる。
また、予め、第1チャネル推定部51のMSEが第2チャネル推定部22のMSEより小さくなるサブキャリアを求めて記憶しておき、該サブキャリアにおいて第1チャネル推定部51が出力するチャネル推定値を選択し、該サブキャリア以外のチャネル推定値として第2チャネル推定部52から出力するチャネル推定値を選択するように構成することができる。以上のチャネル推定値決定法は他の実施例でも同様に採用することができる。
図7は計算機シミュレーションを用いて、第2実施例の誤り率特性を測定した結果を示すもので、横軸はSNR、縦軸は1ブロック当たりのエラー数であるBLER(Block Error Rate)を示している。なお、シミュレーションでは両端サブキャリア数を3とした。また、送受信方式は、2×2MIMO(2×2 Multiple Input Multiple Output)、64QAM、Coding Rate(符号化率)=3/4、伝播環境は6-ray Typical Urban Modelであるとした。この図7から、BLER=0.1における所要SNRは約2dB、BLER=0.02における所要SNRは約5dBの改善効果があることがわかる。
図8は本発明の第3実施例のチャネル推定装置の構成図であり、図2の第1実施例と同一部分には同一符号を付している。第3実施例は、パイロットシンボルがマッピングされるサブキャリア数が少ない場合に適用できる例であり、FFT補間することを特徴とする。
以下、有効サブキャリア数がNcであり、2サブキャリアに1度の割合でパイロット信号がマッピングされているものとして第3実施例を説明する。
2サブキャリアに1個の割合でパイロット信号がマッピングされているとすれば、パイロット信号はNc/2個である。第1チャネル推定部51は1個おきのトータルNc/2個のサブキャリアのチャネル値を推定して第2チャネル推定部52に入力する。
第2チャネル推定部52のIFFT部52aは、Nc/2個のチャネル推定値Aに対してNfft'の窓幅でIFFT処理を施し、時間領域の信号Bを出力する。なお、Nfft'はNc/2より大きい値のうち最小の2のべき乗値であり,Nfft'< Nfftである。
FFT補間部52dは、信号BのFFT窓幅をNfft'からNfftに広げ、間に0を挿入し、これにより時間幅Nfftの信号Cを出力する。例えば最小位置検出部52d-1は信号Bが最小となる時間位置を検出し、零挿入部52d-2は該位置を中心に両側に(Nfft−Nfft')/2個づつ、トータル(Nfft−Nfft')個の零を挿入して時間幅Nfftの信号Cを発生する。なお、信号Bが最小となる時間位置は、通信環境にもよるがほぼ窓幅Nfft'の中央付近である。したがって、FFT補間部52dは、簡易な方法として、窓幅Nfft'の中央位置の両側に(Nfft−Nfft')/2個づつ、トータル(Nfft−Nfft')個の零を挿入するように構成することもできる。
FFT部52cはNfftポイント数のFFT処理を補間後の信号Cに施す。これにより、Nfft/Nfft'倍の解像度が得られ、Nfft/Nfft'=2であれば、パイロットシンボルがマッピングされていなかったサブキャリアにおけるチャネル推定値を生成することが可能となる。
ここで、補間処理において0を挿入したため、第2実施例と同様にサブキャリア毎にチャネル推定値の精度が異なる。そこで、チャネル推定値置き換え部53は、第2チャネル推定部52から出力されるチャネル推定値の精度が悪いと想定されるサブキャリアについては、第1チャネル推定部51のチャネル推定値で置き換える。すなわち、チャネル推定値置き換え部53は、サブキャリア毎にMSEが小さい方のチャネル推定部から出力するチャネル推定値を選択して出力する。これにより、精度の高いチャネル推定が可能になる。
第3実施例によればパイロットシンボルが全サブキャリアにマッピングされていなくても、補間により全サブキャリアのチャネル推定値を求めることができ、しかも、雑音を抑圧して精度の高いチャネル推定値を得ることができる。
図9は本発明の第4実施例のチャネル推定装置の構成図であり、第2実施例と第3実施例を組み合わせた例であり、これら実施例と同一部分には同一符号を付している。第3実施例と異なる点、IFFT部52aから出力する時間領域の信号Bの雑音を抑圧してからFFT補間部52dでFFT補間している点である。なお、FFT補間部52dは雑音抑圧により零レベルとなった部分の中心位置の両側に(Nfft−Nfft')/2個づつ、トータル(Nfft−Nfft')個の零を挿入して時間幅Nfftの信号Cを発生する。
この第4実施例によれば、第3実施例と同様の効果を得ることができる。
以上の実施例において、チャネル推定値置き換え部53は、両端サブキャリア以外では第2チャネル推定部52が推定したチャネル推定値を出力し、両端サブキャリアのみ第1チャネル推定部51が推定したチャネル推定値を出力する。この場合、予め側テして両端サブキャリアのサブキャリア数Nを固定値とすることができる。
第5実施例ではサブキャリア数Nを遅延分散に基づいて適応的に制御する。図10は第5実施例のチャネル推定装置の構成図であり、第1〜第4実施例と同一部分には同一符号を付している。
第1チャネル推定部51は、受信パイロットの位相と既知パイロットの位相とを比較してチャネル推定しているため、そのMSE特性100は遅延分散に依存しない。一方、第2チャネル推定部52から出力されるチャネル推定値のMSE特性は遅延分散に依存し、遅延分散が小さい場合にはMSE特性101となり、遅延分散が大きいとMSE特性102となる。
第1チャネル推定部51が出力するチャネル推定値のMSE特性100と第2チャネル推定部52が出力するチャネル推定値のMSE特性101,102は異なる。このため、遅延分散が小さければ、チャネル推定値置き換え数制御部62はMSE特性101とMSE特性100の交点C1を求め、該交点以下のサブキャリア(サブキャリア番号0〜3)の数N(=4)をチャネル推定値置き換え部53に入力する。また、遅延分散が大きければ、チャネル推定値置き換え数制御部62はMSE特性102とMSE特性100の交点C2を求め、該交点以下のサブキャリア(サブキャリア番号0〜2)の数N(=3)をチャネル推定値置き換え部53に入力する。実際は、チャネル推定値置き換え数制御部62が遅延分散の大小と両端サブキャリア数Nの対応を予め記憶しておき、遅延分散の大小にしたがって所定のNを出力する。
チャネル推定値置き換え部53は、両端の各N個のサブキャリア以外では第2チャネル推定部52が推定したチャネル推定値を出力し、両端各N個のサブキャリアでは第1チャネル推定部51が推定したチャネル推定値を出力する。
以上では遅延分散を大小2つの範囲に分けた場合であるが3以上の範囲にわけ、それぞれに両端サブキャリア数Nを対応させることもできる。
第5実施例では遅延分散に基づいて、両端のサブキャリア数Nを適応的に決定したが、受信装置のSIRを推定し、該SIRに基づいてサブキャリア数Nを第5実施例と同様に決定することができる。図12はかかるチャネル推定装置の構成図であり、図10の遅延分散推定部61に替えてSIR推定部63を設けている。
・第2変形例
第5実施例では遅延分散に基づいて、両端のサブキャリア数Nを適応的に決定したが、受信装置の移動速度Vを推定し、該SIRに基づいてサブキャリア数Nを第5実施例と同様に決定することができる。図14はかかるチャネル推定装置の構成図であり、図10の遅延分散推定部61に替えて移動速度推定部64を設けている。移動速度推定部64は周知であるため(例えば特開平10−79701号参照)、詳述しない。
以上の実施例では、第1チャネル推定部51に第2チャネル推定部52を直列に接続した構成であるが、異なるチャネル推定方法でそれぞれチャンネルを推定する2つのチャネル推定部を並列に設け、サブキャリアに応じて一方のチャネル推定部から出力するチャネル推定値を選択して出力するように構成することもできる。
図15はかかる第6実施例のチャネル推定装置の構成図であり、第1のチャネル推定部71は非特許文献1または2に示されたチャネル推定方法を採用したもので、例えば、図24に示す構成を備えたチャネル推定部である。この第1チャネル推定部71は、周波数領域のチャネル推定値を時間領域に変換し、時間領域において雑音抑圧処理を行い、その後、周波数領域に戻してチャネル推定を行なう。第2のチャネル推定部72は非特許文献3に示されたチャネル推定方法を採用したもので、パイロットをサブキャリア方向及び時間軸方向に平均して各サブキャリアのチャネルを推定する。
第1チャネル推定部71のMSE特性は図17の実線で示すようになり、第2チャネル推定部72のMSE特性は図17の点線で示すようになるから、チャネル推定値選択部73は両端のサブキャリア以外は第1チャネル推定部71から出力するチャネル推定値を選択して出力し、両端のサブキャリアでは第2チャネル推定部72から出力するチャネル推定値を選択して出力する。
以上の実施例では、パイロット信号がある1つの帯域にまとめてマッピングされている場合であるが、図19に示すように、周波数が離れた複数(図では2つ)の帯域に第1のパイロット信号群と第2のパイロット信号群がマッピングされる場合がある。また、2以上の帯域にパイロット信号が異なる方法でマッピングされる場合がある。例えば、第1の帯域において連続して各サブキャリアにパイロット信号をマッピングし、第2の帯域では1つおきにサブキャリアにパイロット信号をマッピングする場合である。
かかる場合には、帯域毎にチャネル推定装置を設け、全帯域のチャネルを推定する。図20はかかる第7実施例のチャネル推定装置の構成図であり、パイロット信号分離部81は全帯域のパイロット信号を第1、第2の2つの帯域のグループに分離し、第1のチャネル推定装置82は例えば図6に示す第2実施例の構成を備え、第1の帯域のパイロット信号を用いて第1帯域のサブキャリアのチャネルを推定し、第2のチャネル推定装置83も例えば図6に示す第2実施例の構成を備え、第2の帯域のパイロット信号を用いて第2帯域のサブキャリアのチャネルを推定して出力する。
以上では、OFDMにより無線通信する際のチャネル推定について説明したが、本発明はOFDMに限らず、マルチキャリアを用いて無線通信する際のチャネル推定に一般に適用できるものである。
(付記1)
複数のサブキャリアを用いて通信する無線通信におけるチャネル推定装置において、
各サブキャリアにマッピングされたパイロット信号に基づいて各サブキャリアのチャネルを推定する第1のチャネル推定部、
第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を用いて、各サブキャリアのチャネルをさらに推定する第2のチャネル推定部、
前記第1、第2のチャネル推定部で推定した第1、第2のチャネル推定値をサブキャリアに応じて選択して出力するチャネル選択部、
を備えたことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記2)
付記1記載のチャネル推定装置において、前記第2のチャネル推定部は、
第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換する第1の変換部、
時間領域のチャネル推定値に含まれる雑音を抑圧する雑音抑圧部、
雑音抑圧された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換する第2の変換部、
を備えたことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記3)
付記1記載のチャネル推定装置において、前記第1のチャネル推定部が所定サブキャリア数おきのサブキャリアのチャネルを推定する場合、前記第2のチャネル推定部は、
第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換する第1の変換部、
時間領域のチャネル推定値の中央付近に所定数のゼロを挿入する零挿入部、
前記ゼロを挿入された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換する第2の変換部、
を備えたことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記4)
付記1記載のチャネル推定装置において、前記第1のチャネル推定部が所定サブキャリア数おきのサブキャリアのチャネルを推定する場合、前記第2のチャネル推定部は、
第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換する第1の変換部、
時間領域のチャネル推定値に含まれる雑音を抑圧する雑音抑圧部、
雑音抑圧された時間領域のチャネル推定値の中央付近に所定数のゼロを挿入する零挿入部、
前記ゼロを挿入された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換する第2の変換部、
を備えたことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記5)
付記1乃至4記載のチャネル推定装置において、
前記チャネル選択部は、有効帯域の両端におけるサブキャリアのチャネル推定値として前記第1のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択し、該両端におけるサブキャリア以外のサブキャリアのチャネル推定値として前記第2のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択して出力する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記6)
付記5記載のチャネル推定装置において、
前記チャネル選択部は、前記両端におけるサブキャリアの数を一定数とする、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記7)
付記1乃至4記載のチャネル推定装置において、
前記チャネル選択部は、所定の特性値を推定し、該推定した特性値に基づいて有効帯域の両端におけるサブキャリア数を決定し、該決定した数の有効帯域の両端におけるサブキャリアのチャネル推定値として前記第1のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択し、該両端におけるサブキャリア以外のサブキャリアのチャネル推定値として前記第2のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択して出力する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記8)
付記7記載のチャネル推定装置において、
前記特性値は受信SIRであり、該推定した受信SIRに基づいて前記両端におけるサブキャリア数を決定する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記9)
付記7記載のチャネル推定装置において、
前記特性値はマルチパスの遅延分散であり、該推定した遅延分散に基づいて前記両端におけるサブキャリア数を決定する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記10)
付記7記載のチャネル推定装置において、
前記特性値は移動端末の移動速度であり、該推定した移動速度に基づいて前記両端におけるサブキャリア数を決定する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記11)
複数のサブキャリアを用いて通信する無線通信におけるチャネル推定装置において、
各サブキャリアにマッピングされたパイロット信号を用いて第1のチャネル推定方法に基づいて各サブキャリアのチャネルを推定する第1のチャネル推定部、
各サブキャリアにマッピングされたパイロット信号を用いて前記第1のチャネル推定方法と異なる第2のチャネル推定方法に基づいて各サブキャリアのチャネルを推定する第2のチャネル推定部、
前記第1、第2のチャネル推定部で推定した第1、第2のチャネル推定値をサブキャリアに応じて選択して出力するチャネル選択部、
を備えたことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記12)
付記11記載のチャネル推定装置において、
前記チャネル選択部は、有効帯域の両端における一定数のサブキャリアのチャネル推定値として前記第1のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択し、該両端におけるサブキャリア以外のサブキャリアのチャネル推定値として前記第2のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択して出力する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記13)
付記11記載のチャネル推定装置において、
前記チャネル選択部は、所定の特性値を推定し、該推定した特性値に基づいて有効帯域の両端におけるサブキャリアの数を決定し、該決定した数の有効帯域の両端におけるサブキャリアのチャネル推定値として前記第1のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択し、該両端におけるサブキャリア以外のサブキャリアのチャネル推定値として前記第2のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択して出力する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記14)
付記13記載のチャネル推定装置において、
前記特性値は受信SNRであり、該推定した受信SIRに基づいて前記両端におけるサブキャリア数を決定する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記15)
付記13記載のチャネル推定装置において、
前記特性値はマルチパスの遅延分散であり、該推定した遅延分散に基づいて前記両端におけるサブキャリア数を決定する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記16)
付記13記載のチャネル推定装置において、
前記特性値は移動端末の移動速度であり、該推定した移動速度に基づいて前記両端におけるサブキャリア数を決定する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
(付記17)
複数の帯域の帯域毎にパイロット信号がサブキャリアにマッピングされて送信されている場合、それぞれの帯域毎に前記チャネル推定装置を設ける、
ことを特徴とする付記1または付記11記載のチャネル推定装置。
52 第2チャネル推定部
53 チャネル推定値置き換え部
Claims (5)
- 複数のサブキャリアを用いて通信する無線通信におけるチャネル推定装置において、
各サブキャリアにマッピングされたパイロット信号に基づいて各サブキャリアのチャネルを推定する第1のチャネル推定部、
第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を用いて、各サブキャリアのチャネルをさらに推定する第2のチャネル推定部、
前記第1、第2のチャネル推定部で推定した第1、第2のチャネル推定値をサブキャリアに応じて選択して出力するチャネル選択部、
を備え、前記第1のチャネル推定部が所定サブキャリア数おきのサブキャリアのチャネルを推定する場合、前記第2のチャネル推定部は、
第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換する第1の変換部、
時間領域のチャネル推定値の中央付近に所定数のゼロを挿入する零挿入部、
前記ゼロを挿入された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換する第2の変換部、
を備えたことを特徴とするチャネル推定装置。 - 複数のサブキャリアを用いて通信する無線通信におけるチャネル推定装置において、
各サブキャリアにマッピングされたパイロット信号に基づいて各サブキャリアのチャネルを推定する第1のチャネル推定部、
第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を用いて、各サブキャリアのチャネルをさらに推定する第2のチャネル推定部、
前記第1、第2のチャネル推定部で推定した第1、第2のチャネル推定値をサブキャリアに応じて選択して出力するチャネル選択部、
を備え、前記第1のチャネル推定部が所定サブキャリア数おきのサブキャリアのチャネルを推定する場合、前記第2のチャネル推定部は、
第1のチャネル推定部で推定したチャネル推定値を時間領域のチャネル推定値に変換する第1の変換部、
時間領域のチャネル推定値に含まれる雑音を抑圧する雑音抑圧部、
雑音抑圧された時間領域のチャネル推定値の中央付近に所定数のゼロを挿入する零挿入部、
前記ゼロを挿入された時間領域のチャネル推定値を周波数領域のチャネル推定値に変換する第2の変換部、
を備えたことを特徴とするチャネル推定装置。 - 前記請求項1乃至2記載のチャネル推定装置において、
前記チャネル選択部は、有効帯域の両端におけるサブキャリアのチャネル推定値として前記第1のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択し、該両端におけるサブキャリア以外のサブキャリアのチャネル推定値として前記第2のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択して出力する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。 - 前記請求項3記載のチャネル推定装置において、
前記チャネル選択部は、前記両端におけるサブキャリアの数を一定数とする、
ことを特徴とするチャネル推定装置。 - 前記請求項1乃至2記載のチャネル推定装置において、
前記チャネル選択部は、所定の特性値を推定し、該推定した特性値に基づいて有効帯域の両端におけるサブキャリア数を決定し、該決定した数の有効帯域の両端におけるサブキャリアのチャネル推定値として前記第1のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択し、該両端におけるサブキャリア以外のサブキャリアのチャネル推定値として前記第2のチャネル推定部が推定したチャネル推定値を選択して出力する、
ことを特徴とするチャネル推定装置。
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