以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の第1実施の形態におけるシートダンパ100の上面図であり、図1(b)は、シートダンパ100の側面図であり、図2は、シートダンパ100の底面図である。
図3(a)は、シートダンパ100を部分的に断面視した上面図であり、図3(b)は、図2のIIIb−IIIb線におけるシートダンパ100の断面図である。また、図4(a)は、図1のIVa−IVa線におけるシートダンパ100の断面図であり、図4(b)は、図3(b)のIVb部におけるシートダンパ100の部分拡大断面図である。
なお、図3(a)では、開口部26,27と突条ゴム部51,52との位置関係を明確とするために、対向板部25の図示を部分的に省略すると共に、開口部26,27を2点鎖線により仮想的に図示している。
シートダンパ100は、車両用のシートに取着され、そのシートの振動を抑制するためのダイナミックダンパである。ここで、図18を参照して、本実施の形態におけるシートダンパ100のシートS1,S2への取着状態について説明する。
図18(a)及び図18(b)は、それぞれシートS1,S2の側面図及び正面図である。なお、図中の矢印F−B,L−R,U−Dは、それぞれ車両前後方向、車両左右方向、車両上下方向に対応する。
本実施の形態におけるシートS1,S2は、自動車の後列シート(例えば、3列のシートを有する車両の2列目のシート)として構成され、2人着座用のシートS1と1人着座用のシートS2とに分割可能に構成されると共に、シートS2が折り畳み可能に構成されている。
シートダンパ100は、図18に示すように、シートS1,S2のシートバックB1,B2に取着され、後述するマス部材10や防振基体30などにより構成される振動系の共振作用によって、主に、シートS1,S2の車両前後方向(図18(a)矢印F−B方向)及び車両左右方向(図18(b)矢印L−R方向)の振動を低減させる。
図1から図4に戻って説明する。シートダンパ100は、質量体として機能するマス部材10と、シートS1,S2(シートバックB1,B2、図18参照)に取着されるブラケット部材20と、それらブラケット部材20とマス部材10とを連結すると共にゴム状弾性材から構成される防振基体30とを主に備えて構成されている。
マス部材10は、鋳鉄などの金属材料から構成され、図1から図4に示すように、正面視矩形状に形成される上面11と、その上面11と平行に対向すると共に上面11と同じ大きさの矩形状に形成される底面12と、それら上面11と底面12とを連結する4つの側面13〜16とから直方体形状に構成されている。
図1から図4に示すように、4つの側面13〜16は、側面13が側面14と、側面15が側面16と、それぞれ平行に対向している。また、側面13,14には、防振基体30が連結されており、この防振基体30を介して、マス部材10がブラケット部材20の一対の立設板部22間に弾性支持されている。
なお、本実施の形態におけるシートダンパ100は、シートS1,S2に取着された状態では、マス部材11の上面11及び底面12が車両前後方向(矢印F−B方向)と、側面13,14が車両上下方向(矢印U−D方向)と、側面15,16が車両左右方向(矢印L−R方向)と、それぞれ直交する状態となる(図18参照)。
ブラケット部材20は、金属材料に曲げ加工を施して構成された板状体であり、図1から図4に示すように、シートS1,S2に取着される一対の取着板部21,22と、それら一対の取着板部21,22からそれぞれ立ち上がり所定間隔を隔てつつ互いに平行に対向する一対の立設板部23,24と、それら一対の立設板部23,24の立ち上がり端同士を連結する対向板部25とを備えている。
図1又は図3に示すように、取着版部21,22には、取着穴21a,22aが穿設されており、この取着穴21a,22aに挿通されたボルト(図示せず)を介して、ブラケット部材20がシートS1,S2(シートバックB1,B2)に締結固定される(図18参照)。
図1から図3に示すように、立設板部23,24は、取着板部21,22と直行する方向へ向けて立ち上がり、マス部材10の側面13,14と平行に対向している。この立設板部23,24には、防振基体30が連結されており、この防振基体30を介して、マス部材10が立設板部23,24間に弾性支持されている。
対向板部25は、一対の立設板部23,24の立ち上がり端(図1(a)紙面手前側、図1(b)上側)同士を連結する部材であり、図1から図4に示すように、正面視矩形状に形成されると共に、マス部材10の上面11と所定間隔を隔てつつ平行に対向して配置されている。
図1又は図3に示すように、ブラケット部材20は、対向板部25をその板厚方向(図1(a)紙面垂直方向、図1(b)上下方向)に穿設することで開口形成された開口部26,27を備えている。マス部材10の変位がブラケット部材20により規制され、打音が発生する場合には、その打音の音色を、対向板部25に開口部26,27が開口形成されていることで、乗員の聴覚上の不快感を軽減することができる音色に変化させることができる。
ここで、打音の音色を変化させる手法としては、例えば、対向板部25の一端(例えば、図1(a)右側側)を立設板部23に連結する一方、対向板部25の他端を立設板部24に連結せずに構成し、かかる対向板部25の他端を自由端として構成する手法も考えられる。
しかしながら、この場合には、対向板部25(及び立設板部23,24)の曲げ強度及びねじれ強度の確保が困難となるため、その板厚を厚肉に構成する必要が生じ、その分、部品コストが上昇すると共に、製品の重量が嵩むという問題点がある。
また、対向板部25で一対の立設板部23,24の立ち上がり端を連結するが、その対向板部25の縁部を凹欠する(切欠きを設ける)構成であっても、打音の音色を変化させ得る。しかしながら、このおうに対向板部25の縁部が凹欠されていると、特に対向板部25の板面をねじる方向の剛性強度の確保が困難となり、上述した場合と同様に、部品コストや重量が嵩むという問題を招く。
これに対し、本実施の形態におけるシートダンパ100によれば、一対の立設板部23,24の立ち上がり端を対向板部25で連結すると共に、この対向板部25の幅方向(図1(a)上下方向)中央に開口部26,27を設ける構成であるので、開口部26,27を挟む位置(対向板部25の両縁部、図1(a)上側及び下側)に板面を存在させることができる。
これにより、打音を変化させるのに必要な開口面積を対向板部25に確保しつつも、その対向板部25の曲げ強度及びねじれ強度を両縁部に存在する板面により効果的に確保することができるので、ブラケット部材20の板厚を薄肉化して、その分、部品コストの削減と軽量化とを図ることができる。
更に、本実施の形態におけるシートダンパ100は、対向板部25の2箇所に開口部26,27を開口形成する構成であるので、開口部25を挟む位置(対向板部の両縁部、図1(a)上側及び下側)だけでなく、開口部26,27の間(図1(a)左右方向中央部)にも板面を存在させることができる。
これにより、開口面積が同一であっても、開口部が1箇所のみ開口形成される場合と比較して、打音をより不快感の少ない音色に変化させることができると共に、対向板部25の曲げ強度及びねじれ強度を効果的に確保することができる。その結果、乗員の聴覚上の不快感を低減することができると共に、ブラケット部材20の板厚を薄肉化して、部品コストの削減と軽量化とを図ることができる。
なお、本実施の形態では、図1又は図3に示すように、これら開口部26,27が互いに同径の円形にそれぞれ構成されると共に、ブラケット部材20の長手方向(図1(a)左右方向)に沿って配設されている。
即ち、開口部26,27は、その中心が対向板部25の幅方向(図1(a)上下方向)中央に位置し、これら開口部26,27の中心を通過する仮想線が一対の立設板部23,24に直交すると共に、図1(a)に示す上面視において、上記仮想線上に取着穴21a,22bの中心が位置している。
防振基体30は、マス部材10をブラケット部材20に対して弾性的に連結支持するための部材であり、ゴム状弾性材から構成されると共に、図1から図4に示すように、マス部材10の側面13,14とブラケット部材20の立設板部23,24との間に加硫接着されている。
この防振基体30は、図1から図4に示すように、第1連結基体31から第4連結基体34までの4つの連結部と、第1ストッパ部35及び第2ストッパ部36の2つのストッパ部とを備えており、マス部材10の側面13,14の両端部となる4箇所をブラケット部材20の連結板部623,624に連結して支持する。
第1連結基体31及び第2連結基体32は、図1から図4に示すように、マス部材10の側面13とブラケット部材20の立設板部23とを連結する部位であり、一方、第3連結基体33及び第4連結基体34は、マス部材10の側面14とブラケット部材20の立設板部24とを連結する部位である。
これら第1連結基体31から第4連結基体34は、図1から図3に示すように、それぞれ同形状に構成されるものであり、断面(矢印L−R及び矢印F−Bにより形成される平面で切断された断面)矩形状の直方体形状に構成されると共に、図中矢印U−D方向視において、第1連結基体31は第3連結基体33と、第2連結基体32は第4連結基体34と、それぞれ重なる位置に配設されている。
第1ストッパ部35は、図1から図4に示すように、第1連結基体31と第2連結基体32との間に位置し、ブラケット部材20の立設板部23からマス部材10の側面13へ向けて突設される部位であり、一方、第2ストッパ部36は、第3連結基体33と第4連結基体34との間に位置し、ブラケット部材20の立設板部24からマス部材10の側面14へ向けて突設される部位である。
第1ストッパ部35及び第2ストッパ部36は、図2に示すように、第1連結基体31等と連なって一体に構成されると共に、図1(b)又は図3(b)に示すように、立設板部23,24の立ち上がり方向(図1(b)上下方向)に沿ってその立設板部23,24の下端から上端まで延設されている。
このように、本実施の形態におけるシートダンパ100によれば、第1連結基体31と第2連結基体32との間に第1ストッパ部35を設けると共に、第3連結基体33と第4連結基体34との間に第2ストッパ部36を設ける構成であるので、マス部材610が各連結基体31〜34を圧縮させる方向(図2左右方向)へ変位した場合には、第1ストッパ部35又は第2ストッパ部36がマス部材10の変位を規制するストッパ作用を発揮する。これにより、各連結基体31〜34の変形量(圧縮歪み及び引張歪み)が過大となることを抑制することができ、その結果、各連結基体31〜34の寿命の向上を図ることができる。
このように、マス部材10が、防振基体30を介して、ブラケット部材20に連結支持された状態では、図1から図4に示すように、マス部材10の上面11とブラケット部材20の対向板部25とが所定間隔を隔てつつ平行に対向する。
また、同様に、この状態では、図1から図3に示すように、マス部材10の側面13,14とブラケット部材20の立設板部23,24とが所定間隔を隔てつつ平行に対向する。なお、側面13と立設板部23との間の対向間隔は、側面14と立設板部24との間の対向間隔と等しくされている。
ここで、シートダンパ100は、図1から図4に示すように、覆設ゴム部40と、突条ゴム部51,52と、緩衝部材61,62とを備えている。覆設ゴム部40は、マス部材10の外面を覆うための部材であり、ゴム状弾性材から構成されると共に、防振基体30に連なって一体に構成されている。
これにより、マス部材10の外面全体が露出されている場合と比較して、対向板部25にマス部材10が衝突した際(マス部材10の変位が対向板部25により規制された際)のマス部材10自体の振動を抑制することができる。その結果、衝突後のマス部材10自体の振動を早期に収束させることができるので、かかるマス部材10(及び防振基体30)を適正に変位させて、有害振動を低減させるダイナミックダンパとしての役割を安定して発揮させることができる。
この覆設ゴム部40は、図1から図3に示すように、マス部材10の側面13〜16同士が互いに接続される4隅部を露出させると共に、その露出部(四隅部)を除く残部を一定の厚みで覆っている。
これにより、マス部材10の外面を覆うことによる上述した効果を十分に確保しつつ、防振基体30(及び覆設ゴム部40、突条ゴム部51,52)を加硫成形する際には、マス部材10の四隅部を加硫型内において固定(4箇所を位置決め)することができるので、ブラケット部材20及び防振基体30に対するマス部材10の相対位置をより高精度に設定することができる。
これにより、製品毎の共振周波数のばらつきを抑制して、有害振動を低減させるダイナミックダンパとしての役割を安定して発揮させることができると共に、打音の音量及び音色のばらつきを抑制することができる。
突条ゴム部51,52は、マス部材10の変位がブラケット部材20により規制される際(マス部材10がブラケット部材20に衝突する際)の衝撃を抑制するための部材であり、ゴム状弾性材から突条状に構成されると共に、図1から図4に示すように、覆設ゴム部40に連なって一体に構成されている。
即ち、突条ゴム部51,52は、図3(a)に示すように、マス部材10の上面11において、ブラケット部材20の立設板部23,24を結ぶ方向と直交する方向(図3(a)上下方向)に延設されると共に、図4(b)に示すように、マス部材10の上面11からブラケット部材20の対向板部25へ向けて突出する断面先細の突条として構成されている。
このように、シートダンパ100は、図1から図4に示すように、マス部材10の上面に突条ゴム部51,52を備えているので、マス部材10の上面11側がブラケット部材20の対向板部25に衝突する際には、突条ゴム部51,52が変形して緩衝作用を奏することで、衝撃を吸収して、打音の音量を小さくすることができる。その結果、乗員の聴覚上の不快感を低減することができる。
また、突条ゴム部51,52は、図3(a)に示すように、立設板部23,24を結ぶ方向と直行する方向に延設される突条として構成されているので、突条ゴム部51,52の幅寸法(図3(a)左右方向寸法)を小さくして、かかる突条ゴム部51,52を変形し易くしつつも、対向板部25に当接される当接面積を確保することができるので、緩衝部としての機能をより効果的に発揮することができる。
即ち、突条ゴム部51,52を細幅とすることで、その変形性を確保して、衝撃を吸収するための緩衝作用を十分に発揮させることができるので、打音の音量を確実に低減させることができる。そして、対向板部25に当接される突条ゴム部51,52の当接面積を、立設板部23,24を結ぶ方向と直交する方向(図3(a)上下方向)に沿って確保することで、ブラケット部材20の対向板部25に入力される衝撃荷重を効率的に分散させ、衝突により発生する打音をより不快感の少ない音色に変化させることができる。
ここで、突条ゴム部51,52は、図3(a)に示すように、マス部材10の上面11を正面から望む正面視(マス部材10の上面視)において、開口部26,27と重ならず、かつ、突条ゴム部51は開口部26と立設板部23との間の領域に、突条ゴム部52は開口部27と立設板部24との間の領域に、それぞれ配設されている。
これにより、マス部材10の変位が対向板部25により規制される(マス部材10が対向板部25に衝突する際)には、開口部26,27よりも外側(立設板部23,24側)となる位置において、対向板部25に突条ゴム部51,52を衝突させることができるので、打音をより不快感の少ない音色に変化させることができる。
なお、突条ゴム部51,52は、覆設ゴム部40と一体に構成されているので、かかる突条ゴム部51,52を対向板部25の下面(図1(b)下側面)に設ける場合と比較して、防振基体30(及び覆設ゴム部40、突条ゴム部51,52)を加硫成形するための型構造を簡素化して、製造コストの削減と歩留まりの向上とを図ることができる。
更に、突条ゴム部51,52を覆設ゴム部40と一体に構成する、即ち、突条ゴム部51,52をマス部材10の上面11側に設けることで、突条ゴム部51,52を対向板部25の下面に設ける場合と比較して、打音をより不快感の少ない音色に変化させることができる。
即ち、マス部材10に突条ゴム部51,52を設ける場合と、対向板部25に突条ゴム部51,52を設ける場合とを比較すると、前者と後者とで突条ゴム部51,52の突設高さが同じであっても、突条ゴム部51,52が覆設ゴム部40と一体に構成されている場合(即ち、マス部材10に設ける場合)には、突条ゴム部51,52の基部のゴムボリュームを覆設ゴム部40と一体であることで確保する一方、突条ゴム部51,52の先端部を先細の形状としてゴムボリュームを少なくすることができるので、緩衝効果を効果的に発揮して、打音の音量の低減とその音色の変化とを図ることができる。
緩衝部材61,62は、マス部材10の変位がブラケット部材20により規制される際(マス部材10の上面11側が対向板部25に衝突する際)の衝撃を抑制するための部材であり、弾性材料からシート状に構成されると共に、図1から図4に示すように、マス部材10の上面11を覆う覆設ゴム部40に貼着されている。
なお、本実施の形態では、緩衝部材61,62がウレタン製のシート材料から構成されると共に、そのシート材料の裏面には、接着シート層が積層されており、その接着シート層を介して、緩衝部材61,62が覆設ゴム部40に貼着されている。
緩衝部材61,62は、図3(a)に示すように、横長の帯状に構成され、突条ゴム部51,52の対向間にそれぞれ配設されると共に、その突条ゴム部51,52の延設方向端部側(図3(a)上側及び下側)となる上面11の縁部に長辺側を沿わせた状態で配設されている。
このように、シートダンパ100は、緩衝部材61,62を、マス部材10の上面11であって、突条ゴム部51,52の延設方向端部側となる縁部に貼着して構成されているので、打音の発生の抑制とその音色の変化を図りつつ、突条ゴム部51,52の寿命の向上を図ることができる。
即ち、突条ゴム部51,52は、図3(a)又は図4(a)に示すように、立設板部23,24を結ぶ方向と直行する方向(図3(a)上下方向)に延設される構成であるので、マス部材10が回転方向へ変位する場合(例えば、図4(a)において、側面15側が対向板部25に近づく一方、側面16側が対向板部25から離れる方向へマス部材10が変位する場合)には、その回転方向の変位を突条ゴム部51,52の延設端部(図4(a)左右方向端部)のみで受けることになる。
そのため、受圧面積が小さくなり、緩衝効果を十分に発揮することができなくなるため、打音の音量が大きくなると共に、かかる突条ゴム部51,52の負担が大きくなり、その端部の破損等により寿命の低下を招く。
これに対し、本実施の形態におけるシートダンパ100によれば、緩衝部材61,62を突条ゴム部51,52の延設方向端部側となる上面11の縁部に貼着したので、マス部材10が上述のように回転方向へ変位した場合でも、その回転方向の変位を突条ゴム部51,52の端部のみでなく、緩衝部材61,62によっても受けることができるので、受圧面積を確保して、緩衝効果を十分に発揮させることができるので、打音の音量を小さくすることができると共に、突条ゴム部51,52の負担を軽減して、その破損等を抑制することができる。
また、緩衝部材を貼着により取り付ける構成であると共に、その取り付け位置(貼着位置)が突条ゴム部の延設方向端部側となる縁部であるので、緩衝部材の取り付け作業を容易に行うことができる。その結果、組み立てコストを削減して、シートダンパ全体としての製品コストを削減することができるという効果がある。
なお、緩衝部材61,62の厚み寸法(図3(b)上下方向寸法)は、図3(b)又は図4(a)に示すように、突条ゴム部51,52の高さ寸法(図3(b)上下方向寸法)よりも小さくされており、緩衝部材61,62と対向板部25との間の対向間隔が、突条ゴム部51,52と対向板部25との間の対向間隔よりも大きくなるように構成されている。
そのため、マス部材10が上述のように回転方向へ変位した場合には、その回転方向の変位を、まず、突条ゴム部51,52が受け止めた後、次いで、緩衝部材61,62が受け止めることとなるので、かかる変位をより滑らかに受け止めることができる。その結果、緩衝効果をより効果的に発揮させ、打音の音量を小さくすることができると共に、その音色をより不快感の少ない音色に変化させることができる。
次いで、図5及び図6を参照して、第2実施の形態について説明する。図5は、第2実施の形態におけるシートダンパ200の上面図であり、図6は、図5のVI−VI線におけるシートダンパ200の断面図である。
なお、図5では、理解を容易とするために、突条ゴム部251,252及び緩衝部材61,62の一部が破線により図示されている。また、図6(a)ではマス部材10の変位が対向板部25により規制される前の状態が、図6(b)ではマス部材10の変位が対向板部25により規制されている状態が、それぞれ図示されている。
第1実施の形態では、上面視において、突条ゴム部51,52が開口部26,27と重ならない位置に配置される場合を説明したが(図3参照)、第2実施の形態では、上面視において、突条ゴム部251,252が開口部26,27と重なる位置に配置されている。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図5に示すように、第2実施の形態における突条ゴム部251,252は、マス部材10の上面視において、その延設方向(図5上下方向)中間部の一部が開口部26,27の縁部に分断される位置に配設されている。これにより、突条ゴム部251,252全体としての寿命を確保しつつ、打音の音量を低減することができる。
即ち、衝突時の緩衝効果を効果的に発揮するためには、対向板部25に当接される突条ゴム部252,252の当接面積が広すぎることは適正でない。しかしながら、突条ゴム部251,252は、加硫金型の型構造上、延設方向(図5上下方向)に連続する突条として形成する必要があり、延設方向の中間部(図5上下方向中央部)が省略された形状に突条ゴム部251,252を形成することはできない。
また、突条ゴム部251,252は、マス部材10が上述したように回転方向へ変位して対向板部25に衝突する際にも緩衝効果を発揮する必要があるため、マス部材10の上面11の縁部まで延設されている必要がある。一方、上記当接面積を狭くするべく、突条ゴム部251,252の幅寸法を小さくしたのでは、衝突時の突条ゴム部251,252の負担(歪み量)が過大となり、その耐久性の低下を招く。
これに対し、本実施の形態におけるシートダンパ200によれば、図5に示すように、マス部材10の上面視において、突条ゴム部251,252の一部が開口部26,27の縁部に分断されるように構成したので、その分断分だけ、対向板部25に当接される突条ゴム部251,252の当接面積を狭くすることができる。
これにより、突条ゴム部251,252の幅寸法を大きくして、その耐久性を確保しつつ、当接面積が過大となることを回避して、緩衝効果を適正に発揮させることができるので、打音の音量の低減を図ることができる。また、当接面積を適正とすることで、対向板部25に入力される衝撃荷重を効果的に分散させ、衝突により発生する打音をより不快感の少ない音色に変化させることができる。更に、突条ゴム部251,252の延設方向端部(図5上側及び下側)が分断されることがないので、マス部材10が回転方向へ変位して対向板部25に衝突する場合の緩衝効果が阻害されることがない。
次いで、図7を参照して、第3実施の形態について説明する。図7は、第3実施の形態におけるシートダンパ300の上面図である。なお、図7では、理解を容易とするために、突条ゴム部351,352および緩衝部材61,62の一部が破線により図示されている。
第1実施の形態では、上面視において、突条ゴム部51,52が開口部26,27と重ならない位置に配置される場合を説明したが(図3参照)、第3実施の形態では、上面視において、突条ゴム部351,352が開口部26,27と重なる位置に配置されている。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図7に示すように、第3実施の形態における突条ゴム部351,352は、マス部材10の上面視において、その延設方向(図5上下方向)中間部の一部が開口部26,27の縁部に分断される位置に配設されている。
なお、上記第2実施の形態では、開口部26,27による分断される部位が突条ゴム部251,252の幅方向(図5及び図6の左右方向)中央部までであったが(図5及び図6参照)、第3実施の形態では、図7に示すように、開口部26,27の縁部が突条ゴム部351,352を幅方向(図7左右方向)へ越える位置まで達し、突条ゴム部351,352の延設方向中間部(図7上下方向中央)が開口部26,27により完全に分断されている。
この第3実施の形態におけるシートダンパ300によっても、上述した第2実施の形態の場合と同様に、突条ゴム部251,252全体としての寿命を確保しつつ、打音の音量を低減することができる。
次いで、図8及び図9を参照して、第4実施の形態について説明する。図8は、第4実施の形態におけるシートダンパ400の上面図である。また、図9(a)は、図8のIXa−IXa線におけるシートダンパ400の断面図であり、図9(b)は、図8のIXb−IXb線におけるシートダンパ400の断面図である。
なお、図8では、理解を容易とするために、突条ゴム部51,52、突条ゴム部453及び緩衝部材461a〜462bの一部が破線により図示されている。
第1実施の形態では、一対の突条ゴム部51,52をマス部材10の上面11に設ける場合を説明したが(図3参照)、第4実施の形態では、一対の突条ゴム部51,52と突条ゴム部453との3本がマス部材10の上面11に配置されている。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図8に示すように、第4実施の形態におけるシートダンパ400は、開口部26と開口部27との間に配設される突条ゴム部453と、その突条ゴム部453を挟んで位置する緩衝部材461a〜462bとを備えて構成されている。なお、緩衝部材461a〜462bは、上述した緩衝部材61,62を分割して構成され、緩衝部材61,62と同一の作用効果を奏するものであるので、その説明は省略する。
突条ゴム部453は、突条ゴム部51,52と共に作用することで、打音の低減と音色の変化とを図るための部材であり、突条ゴム部51,52と平行に延設されマス部材10の上面11から突設される突条として、ゴム状弾性材から構成されている。
この突条ゴム部453は、図8に示すように、その幅寸法w2が突条ゴム部51,52の幅寸法w1よりも細幅に構成されると共に(w2<w1)、図9(b)に示すように、頂部(図9上側)が延設方向(図9(b)左右方向)中央部から端部へ向けて直線状に下降傾斜して構成されている。
即ち、突条ゴム部453は、図9(b)に示すように、延設方向中央部(図9(b)左右方向中央)において、マス部材10の上面11からの突設高さが最も高くなると共に、延設方向端部(図9(b)左側及び右側)において、マス部材10の上面11からの突設高さが最も低くなるように構成されている。
なお、図9(a)及び図9(b)に示すように、突条ゴム部453は、最大高さ寸法h2が突条ゴム部51,52の高さ寸法h1よりも大きな値に設定されると共に(h1<h2)、その最低高さ寸法h3が突条ゴム部51,52の高さ寸法h1よりも小さな値に設定されている(h3<h1)。
その結果、図9に示す断面視において、突条ゴム部453の延設方向端部及びその近傍では、突条ゴム部51,52の頂部が突条ゴム部453の頂部よりも上方(図9(b)上側)に位置し、対向板部25に近接している。同様に、緩衝部材461a〜462bの上面も突条ゴム部453の頂部より上方に位置されている。
この第4実施の形態におけるシートダンパ400によれば、マス部材10が車両前後方向(矢印F−B方向)に変位されると共に、その変位が対向板部25により規制される場合には、まず、突条ゴム部453の延設方向中央部(図9(b)左右方向中央)が対向板部25に当接され、次いで、突条ゴム部51,52の全体が対向板部25に当接されることで、突条ゴム部453,51,52を徐々に変形させて、マス部材10の変位を滑らかに受け止めることができる。
その結果、突条ゴム部453,51,52による緩衝効果をより効果的に発揮させ、打音の音量を小さくすることができると共に、その音色をより不快感の少ない音色に変化させることができる。特に、本実施の形態におけるシートダンパ400によれば、突条ゴム部453の幅寸法w2が突条ゴム部51,52の幅寸法w1よりも細幅に構成されているので、緩衝部としての機能をより効果的に発揮させることができる。
一方、マス部材10が回転方向へ変位した場合(例えば、図9(b)において、側面15側が対向板部25に近づく方向へ変位し、側面16側が対向板部25から離れる方向へ変位する場合)でも、その回転方向の変位を突条ゴム部51,52の端部のみでなく、緩衝部材61,62によっても受け止め、更に、その後、突条ゴム部453によっても受け止めるので、緩衝効果をより効果的に発揮させることができ、打音の音量の軽減と音色の変化とを図ることができると共に、突条ゴム部51,52の負担を軽減して、その破損等を抑制することができる。
更に、本実施の形態におけるシートダンパ400では、図9(b)に示すように、突条ゴム部453が延設方向に沿って下降傾斜されているので、マス部材10が上述したように回転方向へ変位される場合には、突条ゴム部453の頂部(図9(b)上側)の全域において、対向板部25に当接して、マス部材10の変位を受け止めることができる。この構成によっても、緩衝効果をより効果的に発揮させることができるので、打音の音量の軽減と音色の変化とを図ることができると共に、突条ゴム部51,52の負担を軽減して、その破損等を抑制することができる。
次いで、図10を参照して、第5実施の形態について説明する。図10は、第5実施の形態におけるシートダンパ500の上面図である。なお、図10では、理解を容易とするために、突条ゴム部51,52及び緩衝部材61,62の一部が破線により図示されている。
第1実施の形態では、開口部26,27が円形に構成される場合を説明したが(図1参照)、第5実施の形態では、開口部526,527が矩形状に構成されている。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図10に示すように、第5実施の形態におけるシートダンパ400は、開口部526,527が矩形状に構成されており、図10の上面視において、矩形状に形成された開口部526,527の一の辺が突条ゴム部51,52の幅方向(図10左右方向)中央に重なっている。
次いで、図11から図16を参照して、第6実施の形態について説明する。図11(a)は、第6実施の形態におけるシートダンパ600の上面図であり、図11(b)は、シートダンパ600の側面図であり、図12は、シートダンパ600の底面図である。
図13(a)は、シートダンパ600を部分的に断面視した上面図であり、図13(b)は、図12のXIIIb−XIIIb線におけるシートダンパ600の断面図である。また、図14は、図11のXIVa−XIVa線におけるシートダンパ600の断面図である。
図15(a)は、シートダンパ600の側面図であり、図15(b)は、シートダンパ600の周波数応答を示すグラフである。また、図16(a)は、シートダンパ600に対して防振基体630の連結位置を変更したシートダンパの側面図であり、図16(b)は、その連結位置を変更したシートダンパの周波数応答を示すグラフである。
なお、図13(a)では、開口部626と突条ゴム部651,652との位置関係を明確とするために、対向板部625の図示を部分的に省略すると共に、開口部626を2点鎖線により仮想的に図示している。また、図15(a)は、図11(b)に対応する側面図であり、理解を容易とするために、突条ゴム部651,652の図示を省略するなどにより、簡略化して図示している。
第1実施の形態では、側面視において、マス部材10の厚み方向中央に防振基体30を連結する場合を説明したが、第6実施の形態では、マス部材610の厚み方向中央からオフセットされた位置に防振基体630が連結されている。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第6実施の形態におけるシートダンパ600は、第1実施の形態におけるシートダンパ100と同様に、車両用のシートに取着され、そのシートの振動を抑制するためのダイナミックダンパである。ここで、図18を参照して、本実施の形態におけるシートダンパ600のシートS1,S2への取着状態について説明する。
シートダンパ600は、図18に示すように、上述した第1実施の形態におけるシートダンパ100と共に、シートS1のシートバックB1に取着され、後述するマス部材610や防振基体630などにより構成される振動系の共振作用によって、主に、シートS1の車両前後方向(図18(a)矢印F−B方向)及び車両左右方向(図18(b)矢印L−R方向)の振動を低減させる。
なお、図18(b)に示すように、シートS1は、シートS2と比較して、幅広に構成されているため、幅方向端部(図18(b)右側)に第1実施の形態におけるシートダンパ100が取着されると共に、幅方向中央部(図19(b)左右方向中央)に第6実施の形態におけるシートダンパ600が取着されている。
図11から図14に戻って説明する。シートダンパ600は、質量体として機能するマス部材610と、シートS1(シートバックB1、図18参照)に取着されるブラケット部材620と、それらブラケット部材620とマス部材610とを連結すると共にゴム状弾性材から構成される防振基体630とを主に備えて構成されている。
マス部材610は、鋳鉄などの金属材料から構成され、図11から図14に示すように、正面視矩形状に形成される上面611と、その上面611と平行に対向すると共に上面611と同じ大きさの矩形状に形成される底面612と、それら上面611と底面612とを連結する4つの側面613〜616とから直方体形状に構成されている。
図11から図14に示すように、4つの側面613〜616は、側面613が側面614と、側面615が側面616と、それぞれ平行に対向している。また、側面613,614には、防振基体630が連結されており、この防振基体630を介して、マス部材610がブラケット部材620の一対の立設板部622間に弾性支持されている。
なお、本実施の形態におけるシートダンパ600は、シートS1に取着された状態では、マス部材611の上面611及び底面612が車両前後方向(矢印F−B方向)と、側面613,614が車両上下方向(矢印U−D方向)と、側面615,616が車両左右方向(矢印L−R方向)と、それぞれ直交する状態となる(図18参照)。
ブラケット部材620は、金属材料に曲げ加工を施して構成された板状体であり、図11から図14に示すように、シートS1に取着される一対の取着板部621,622と、それら一対の取着板部621,622からそれぞれ立ち上がり所定間隔を隔てつつ互いに平行に対向する一対の立設板部623,624と、それら一対の立設板部623,624の立ち上がり端同士を連結する対向板部625とを備えている。
図11又は図13に示すように、取着版部621,622には、取着穴21a,22aが穿設されており、この取着穴21a,22aに挿通されたボルト(図示せず)を介して、ブラケット部材620がシートS1(シートバックB1)に締結固定される(図18参照)。
図11から図13に示すように、立設板部623,624は、取着板部621,622と直行する方向へ向けて立ち上がり、マス部材610の側面613,614と平行に対向している。この立設板部623,624には、防振基体630が連結されており、この防振基体630を介して、マス部材610が立設板部623,624間に弾性支持されている。
対向板部525は、一対の立設板部623,624の立ち上がり端(図11(a)紙面手前側、図11(b)上側)同士を連結する部材であり、図11から図14に示すように、正面視矩形状に形成されると共に、マス部材610の上面611と所定間隔を隔てつつ平行に対向して配置されている。
図11又は図13に示すように、ブラケット部材620は、対向板部525をその板厚方向(図11(a)紙面垂直方向、図11(b)上下方向)に穿設することで開口形成された円形の開口部626を備えている。マス部材610の変位がブラケット部材620により規制され、打音が発生する場合には、その打音の音色を、対向板部525に開口部626が開口形成されていることで、乗員の聴覚上の不快感を軽減することができる音色に変化させることができる。
ここで、打音の音色を変化させる手法としては、例えば、対向板部525の一端(例えば、図11(a)右側側)を立設板部23に連結する一方、対向板部525の他端を立設板部24に連結せずに構成し、かかる対向板部525の他端を自由端として構成する手法も考えられる。
しかしながら、この場合には、対向板部525(及び立設板部623,624)の曲げ強度及びねじれ強度の確保が困難となるため、その板厚を厚肉に構成する必要が生じ、その分、部品コストが上昇すると共に、製品の重量が嵩むという問題点がある。
また、対向板部525で一対の立設板部623,624の立ち上がり端を連結するが、その対向板部525の縁部を凹欠する(切欠きを設ける)構成であっても、打音の音色を変化させ得る。しかしながら、このおうに対向板部525の縁部が凹欠されていると、特に対向板部525の板面をねじる方向の剛性強度の確保が困難となり、上述した場合と同様に、部品コストや重量が嵩むという問題を招く。
これに対し、本実施の形態におけるシートダンパ600によれば、一対の立設板部623,624の立ち上がり端を対向板部525で連結すると共に、この対向板部525の幅方向(図11(a)上下方向)中央に開口部626を設ける構成であるので、開口部626を挟む位置(対向板部525の両縁部、図11(a)上側及び下側)に板面を存在させることができる。
これにより、打音を変化させるのに必要な開口面積を対向板部525に確保しつつも、その対向板部525の曲げ強度及びねじれ強度を両縁部に存在する板面により効果的に確保することができるので、ブラケット部材620の板厚を薄肉化して、その分、部品コストの削減と軽量化とを図ることができる。
なお、開口部626は、円形に形成されると共に、その中心が対向板部525の幅方向(図11(a)上下方向)中央に位置し、開口部626の中心を通過する仮想線が一対の立設板部623,624に直交すると共に、図11(a)に示す上面視において、上記仮想線上に取着穴21a,22bの中心が位置している。
防振基体630は、マス部材610をブラケット部材620に対して弾性的に連結支持するための部材であり、ゴム状弾性材から構成されると共に、図11から図14に示すように、マス部材610の側面613,614とブラケット部材620の立設板部623,624との間に加硫接着されている。
この防振基体630は、図11から図14に示すように、第1連結基体31から第4連結基体34までの4つの連結部と、第1ストッパ部35及び第2ストッパ部36の2つのストッパ部とを備えており、マス部材610の側面613,614の両端部となる4箇所をブラケット部材620の連結板部623,624に連結して支持する。
第1連結基体631及び第2連結基体632は、図11から図14に示すように、マス部材610の側面613とブラケット部材620の立設板部23とを連結する部位であり、一方、第3連結基体633及び第4連結基体634は、マス部材610の側面614とブラケット部材620の立設板部624とを連結する部位である。
これら第1連結基体631から第4連結基体634は、図11から図13に示すように、それぞれ同形状に構成されるものであり、断面(矢印L−R及び矢印F−Bにより形成される平面で切断された断面)矩形状の直方体形状に構成されると共に、図中矢印U−D方向視において、第1連結基体631は第3連結基体633と、第2連結基体632は第4連結基体634と、それぞれ重なる位置に配設されている。
第1ストッパ部635は、図11から図14に示すように、第1連結基体631と第2連結基体632との間に位置し、ブラケット部材620の立設板部623からマス部材610の側面613へ向けて突設される部位であり、一方、第2ストッパ部636は、第3連結基体633と第4連結基体634との間に位置し、ブラケット部材620の立設板部624からマス部材610の側面614へ向けて突設される部位である。
第1ストッパ部635及び第2ストッパ部636は、図12に示すように、第1連結基体631等と連なって一体に構成されると共に、図11(b)又は図13(b)に示すように、立設板部623,624の立ち上がり方向(図11(b)上下方向)に沿ってその立設板部623,624の下端から上端まで延設されている。
このように、マス部材610が、防振基体630を介して、ブラケット部材620に連結支持された状態では、図11から図14に示すように、マス部材610の上面611とブラケット部材620の対向板部525とが所定間隔を隔てつつ平行に対向する。
また、同様に、この状態では、図11から図13に示すように、マス部材610の側面613,614とブラケット部材620の立設板部623,624とが所定間隔を隔てつつ平行に対向する。なお、側面613と立設板部623との間の対向間隔は、側面614と立設板部624との間の対向間隔と等しくされている。
ここで、シートダンパ600は、図11から図14に示すように、覆設ゴム部40と、突条ゴム部651,652と、緩衝部材661,662とを備えている。覆設ゴム部640は、マス部材610の外面を覆うための部材であり、ゴム状弾性材から構成されると共に、防振基体630に連なって一体に構成されている。
これにより、マス部材610の外面全体が露出されている場合と比較して、対向板部525にマス部材610が衝突した際(マス部材610の変位が対向板部525により規制された際)のマス部材610自体の振動を抑制することができる。その結果、衝突後のマス部材610自体の振動を早期に収束させることができるので、かかるマス部材610(及び防振基体630)を適正に変位させて、有害振動を低減させるダイナミックダンパとしての役割を安定して発揮させることができる。
この覆設ゴム部640は、図11から図13に示すように、マス部材610の側面613〜616同士が互いに接続される4隅部を露出させると共に、その露出部(四隅部)を除く残部を一定の厚みで覆っている。
これにより、マス部材610の外面を覆うことによる上述した効果を十分に確保しつつ、防振基体630(及び覆設ゴム部640、突条ゴム部651,652)を加硫成形する際には、マス部材610の四隅部を加硫型内において固定(4箇所を位置決め)することができるので、ブラケット部材620及び防振基体630に対するマス部材610の相対位置をより高精度に設定することができる。
これにより、製品毎の共振周波数のばらつきを抑制して、有害振動を低減させるダイナミックダンパとしての役割を安定して発揮させることができると共に、打音の音量及び音色のばらつきを抑制することができる。
突条ゴム部651,652は、マス部材610の変位がブラケット部材620により規制される際(マス部材610がブラケット部材620に衝突する際)の衝撃を抑制するための部材であり、ゴム状弾性材から突条状に構成されると共に、図11から図14に示すように、覆設ゴム部640に連なって一体に構成されている。
即ち、突条ゴム部651,652は、図13(a)に示すように、マス部材610の上面611において、ブラケット部材620の立設板部623,624を結ぶ方向と直交する方向(図13(a)上下方向)に延設されると共に、マス部材610の上面611からブラケット部材620の対向板部525へ向けて突出する断面先細の突条として構成されている(図4(b)参照)。
このように、シートダンパ600は、図11から図14に示すように、マス部材610の上面に突条ゴム部651,652を備えているので、マス部材610の上面611側がブラケット部材620の対向板部525に衝突する際には、突条ゴム部651,652が変形して緩衝作用を奏することで、衝撃を吸収して、打音の音量を小さくすることができる。その結果、乗員の聴覚上の不快感を低減することができる。
また、突条ゴム部651,652は、図13(a)に示すように、立設板部623,624を結ぶ方向と直行する方向に延設される突条として構成されているので、突条ゴム部651,652の幅寸法(図13(a)左右方向寸法)を小さくして、かかる突条ゴム部651,652を変形し易くしつつも、対向板部525に当接される当接面積を確保することができるので、緩衝部としての機能をより効果的に発揮することができる。
即ち、突条ゴム部651,652を細幅とすることで、その変形性を確保して、衝撃を吸収するための緩衝作用を十分に発揮させることができるので、打音の音量を確実に低減させることができる。そして、対向板部525に当接される突条ゴム部651,652の当接面積を、立設板部623,624を結ぶ方向と直交する方向(図13(a)上下方向)に沿って確保することで、ブラケット部材620の対向板部525に入力される衝撃荷重を効率的に分散させ、衝突により発生する打音をより不快感の少ない音色に変化させることができる。
ここで、突条ゴム部651,652は、図13(a)に示すように、マス部材610の上面611を正面から望む正面視(マス部材610の上面視)において、開口部626と重ならず、かつ、突条ゴム部51は開口部26と立設板部623との間の領域に、突条ゴム部52は開口部27と立設板部624との間の領域に、それぞれ配設されている。
これにより、マス部材610の変位が対向板部525により規制される(マス部材610が対向板部525に衝突する際)には、開口部626よりも外側(立設板部623,624側)となる位置において、対向板部525に突条ゴム部651,652を衝突させることができるので、打音をより不快感の少ない音色に変化させることができる。
なお、突条ゴム部651,652は、覆設ゴム部640と一体に構成されているので、かかる突条ゴム部651,652を対向板部525の下面(図11(b)下側面)に設ける場合と比較して、防振基体630(及び覆設ゴム部640、突条ゴム部651,652)を加硫成形するための型構造を簡素化して、製造コストの削減と歩留まりの向上とを図ることができる。
更に、突条ゴム部651,652を覆設ゴム部640と一体に構成する、即ち、突条ゴム部651,652をマス部材610の上面611側に設けることで、突条ゴム部651,652を対向板部525の下面に設ける場合と比較して、打音をより不快感の少ない音色に変化させることができる。
即ち、マス部材610に突条ゴム部651,652を設ける場合と、対向板部525に突条ゴム部651,652を設ける場合とを比較すると、前者と後者とで突条ゴム部651,652の突設高さが同じであっても、突条ゴム部651,652が覆設ゴム部640と一体に構成されている場合(即ち、マス部材610に設ける場合)には、突条ゴム部651,652の基部のゴムボリュームを覆設ゴム部640と一体であることで確保する一方、突条ゴム部651,652の先端部を先細の形状としてゴムボリュームを少なくすることができるので、緩衝効果を効果的に発揮して、打音の音量の低減とその音色の変化とを図ることができる。
緩衝部材661,662は、マス部材610の変位がブラケット部材620により規制される際(マス部材610の上面611側が対向板部525に衝突する際)の衝撃を抑制するための部材であり、弾性材料からシート状に構成されると共に、図11から図14に示すように、マス部材610の上面611を覆う覆設ゴム部640に貼着されている。
なお、本実施の形態では、緩衝部材661,662がウレタン製のシート材料から構成されると共に、そのシート材料の裏面には、接着シート層が積層されており、その接着シート層を介して、緩衝部材661,662が覆設ゴム部640に貼着されている。
緩衝部材661,662は、図13(a)に示すように、横長の帯状に構成され、突条ゴム部651,652の対向間にそれぞれ配設されると共に、その突条ゴム部651,652の延設方向端部側(図13(a)上側及び下側)となる上面611の縁部に長辺側を沿わせた状態で配設されている。
このように、シートダンパ600は、緩衝部材661,662を、マス部材610の上面611であって、突条ゴム部651,652の延設方向端部側となる縁部に貼着して構成されているので、打音の発生の抑制とその音色の変化を図りつつ、突条ゴム部651,652の寿命の向上を図ることができる。
即ち、突条ゴム部651,652は、図13(a)又は図14(a)に示すように、立設板部623,624を結ぶ方向と直行する方向(図13(a)上下方向)に延設される構成であるので、マス部材610が回転方向へ変位する場合(例えば、図14(a)において、側面15側が対向板部525に近づく一方、側面16側が対向板部525から離れる方向へマス部材610が変位する場合)には、その回転方向の変位を突条ゴム部651,652の延設端部(図14(a)左右方向端部)のみで受けることになる。
そのため、受圧面積が小さくなり、緩衝効果を十分に発揮することができなくなるため、打音の音量が大きくなると共に、かかる突条ゴム部651,652の負担が大きくなり、その端部の破損等により寿命の低下を招く。
これに対し、本実施の形態におけるシートダンパ600によれば、緩衝部材661,662を突条ゴム部651,652の延設方向端部側となる上面611の縁部に貼着したので、マス部材610が上述のように回転方向へ変位した場合でも、その回転方向の変位を突条ゴム部651,652の端部のみでなく、緩衝部材661,662によっても受けることができるので、受圧面積を確保して、緩衝効果を十分に発揮させることができるので、打音の音量を小さくすることができると共に、突条ゴム部651,652の負担を軽減して、その破損等を抑制することができる。
また、緩衝部材を貼着により取り付ける構成であると共に、その取り付け位置(貼着位置)が突条ゴム部の延設方向端部側となる縁部であるので、緩衝部材の取り付け作業を容易に行うことができる。その結果、組み立てコストを削減して、シートダンパ全体としての製品コストを削減することができるという効果がある。
なお、緩衝部材661,662の厚み寸法(図13(b)上下方向寸法)は、図13(b)又は図14(a)に示すように、突条ゴム部651,652の高さ寸法(図13(b)上下方向寸法)よりも小さくされており、緩衝部材661,662と対向板部525との間の対向間隔が、突条ゴム部651,652と対向板部525との間の対向間隔よりも大きくなるように構成されている。
そのため、マス部材610が上述のように回転方向へ変位した場合には、その回転方向の変位を、まず、突条ゴム部651,652が受け止めた後、次いで、緩衝部材661,662が受け止めることとなるので、かかる変位をより滑らかに受け止めることができる。その結果、緩衝効果をより効果的に発揮させ、打音の音量を小さくすることができると共に、その音色をより不快感の少ない音色に変化させることができる。
ここで、本実施の形態におけるシートダンパ600は、図15(a)に示すように、その側面視において、マス部材610の厚み方向中央(上面611と底面612との間の中間部)よりも上面611側へ距離sだけ位置ずれした状態で、防振基体630(第1から第4連結基体631〜634)がマス部材610の側面613,614にそれぞれ連結されている。
なお、図15(a)において、仮想線L1は、マス部材610の厚み方向中央を通過する仮想線であり、仮想線L2は、防振基体630(第1から第4連結基体631〜634)の厚み方向(図15(a)上下方向)中央を通過する仮想線である。これら仮想線L1,L2の間の距離sが防振基体630の位置ずれ量となる。
このように、本実施の形態におけるシートダンパ600によれば、防振基体630を位置ずれした状態でマス部材610に連結する構成であるので、シートS1の有害振動を抑制するための共振作用を広い周波数領域で得ることができる。
即ち、シートダンパの共振作用は、例えば、図16(b)に示すように、振動系の周波数が共振周波数から多少ずれると急激に減少する特性を有し、非常に狭い周波数領域でしか十分な効果を得ることができない。そのため、振動系の共振周波数を有害振動のピーク周波数に対して正確に一致させておく必要がある。
しかしながら、シートS1に発生する有害振動のピーク周波数は、例えば、シートS1を構成する各部材の寸法ばらつきや重量ばらつき等に起因して、車両毎にばらつきを有することが通常である。そのため、従来のシートダンパでは、その振動系の共振周波数を、問題となる有害振動のピーク周波数に正確に一致させることが困難で、有害振動を十分に低減させることができない。
これに対し、本実施の形態におけるシートダンパ600によれば、上述したように、防振基体630が、マス部材610の上面611と底面612との間の厚み方向中央よりも上面611側へ距離sだけ位置ずれした状態で、マス部材610に連結されている(即ち、マス部材610の重心位置から厚み方向(図16(a)上下方向)にオフセットされた位置を防振基体630が支持する)。
そのため、シートS1に有害振動が発生し、その有害振動に伴って、質量体としてのマス部材610が変位される場合には、かかるマス部材610を2つの振動モード(例えば、車両前後方向(矢印F−B方向)と回転方向との2方向、或いは、車両左右方向(矢印L−R方向)と回転方向との2方向の振動モード)で振動させることができる。
これにより、図15(b)に示すように、2つの振動モードそれぞれの共振ピークを得ることができ、それら各振動モードが重ね合わされることで、防振基体630の連結位置がオフセットされていない場合(図16(a)及び図16(b)参照)と比較して、より広い周波数領域で共振作用を得ることができる。
その結果、シートS1に発生する有害振動のピーク周波数が、構成部品の寸法ばらつきや重量ばらつきなどに起因して、予め設定される周波数値と一致していない場合であっても、シートダンパ600の共振作用を発揮させて、シートS1の有害振動を十分に低減することができる。
また、本実施の形態におけるシートダンパ600は、マス部材610が側面613の両端部と側面614の両端部との4箇所で防振基体630(第1から第4連結基体631〜634)により立設板部623,624に連結される構成であるので(図12参照)、かかるマス部材610を2つの振動モードで振動させ易くすることができると共に、これら2つの振動モードの共振周波数を適正な周波数値に設定することができる。
即ち、マス部材610が、例えば、側面613と側面614との合計2箇所のみで防振基体により立設板部623,624に連結される構成であると、2つの振動モードの共振周波数がそれぞれ大きく異なる周波数値となり、両振動モードを重ね合わせる効果が得られ難くなるが、上述のように、各側面613,614の両端部を合計4箇所で連結することで、図15(b)に示すように、2つの振動モードをバランス良く発現させることができる。
ここで、第1連結基体631と第2連結基体632との間の対向間隔(各連結基体631,632の幅方向(図12上下方向)中央の図2上下方向における間隔)は、マス部材610の幅寸法(側面15,16間の寸法)の40%以上かつ80%以下の寸法に設定されることが好ましい。かかる幅寸法が上記範囲を越える場合には、2つの共振モードの共振周波数の差が過大となりやすく、上記した重ね合わせによる効果を得られにくくなるからである。
なお、本実施の形態では、上述した第1連結基体631と第2連結基体32との間の対向間隔がマス部材10の幅寸法の50%の寸法に設定されている。第3連結基体33及び第4連結基体34における間隔も同じ寸法値に設定されるので、その説明は省略する。
次いで、図17を参照して、第7実施の形態について説明する。図17は、第7実施の形態におけるシートダンパ700の上面図である。なお、図17では、理解を容易とするために、突条ゴム部651,652及び突条ゴム部751,752の一部が破線により図示されている。
第1実施の形態では、一対の突条ゴム部51,52をマス部材10の上面11に設ける場合を説明したが(図3参照)、第7実施の形態では、一対の突条ゴム部651,652の外方に更に一対の突条ゴム部751,752が配置され、合計4本がマス部材610の上面611に配置されている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図17に示すように、第7実施の形態におけるシートダンパ700は、一対の突条ゴム部751,752を突条ゴム部651,652の外方(立設板部623,624側)に設けて構成されている。この突条ゴム部751,752は、図17に示すように、延設方向(図17上下方向)端部が省略して構成され、突条ゴム部651,652よりも短く構成されている。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、緩衝部材61,62,661a〜662bをマス部材10,610(覆設ゴム部40,640)に貼着する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、対向板部25,625に貼着することは当然可能である。或いは、マス部材10,610と対向板部25,625との両方に貼着しても良い。
上記各実施の形態では、本発明のシートダンパ100〜600が適用されるシートS1,S2を有する車両として、自動車を例に説明したが、必ずしも自動車に限られるものではなく、他の車両を採用することは当然可能である。例えば、他の車両としては、電車などが例示される。
上記各実施の形態における技術的思想を他の実施の形態に適用する、或いは、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせることは当然可能である。例えば、第2実施の形態や第3実施の形態で説明したように、開口部26,27と突条ゴム部251〜352とが上面視において重なるように構成する技術的思想を第6又は第7実施の形態に適用しても良い。
また、例えば、第4実施の形態で説明したように、一対の突条ゴム部51,52の間に更に突条ゴム部453を設けて構成する技術的思想を第1から第3実施の形態又は第5から第7実施の形態に適用しても良い。
また、例えば、第4実施の形態で説明したように、突条ゴム部453の突設高さが延設方向に変化させる技術的思想を第1から第3実施の形態又は第5から第7実施の形態におけるいずれか又はすべての突条ゴム部51等に適用しても良い。
また、例えば、第6実施の形態で説明したように、マス部材610に対する防振基体630の連結位置をオフセットして構成する技術的思想を第1から第5実施の形態又は第7実施の形態に適用しても良い。
また、例えば、第7実施の形態で説明したように、一対の突条ゴム部651,652の外方に更に一対の突条ゴム部751,752を設ける技術的思想、及び、突条ゴム部751,752の延設方向端部の形成を省略する技術的思想を第1から第6実施の形態に適用しても良い。
上記第1から第4実施の形態では、開口部26,27が互いに同じ直径の円形に構成される場合を説明したが、必ずしも同径である必要はなく、異なる直径とすることは当然可能である。開口部26,27を互いに異なる直径で構成することで、異なる固有振動数を持たせることができるので、打音の音色をより不快感の少ない音色に変化させることができる。
上記第4実施の形態では、突条ゴム部453の頂部が中央から端部へ向けて直線状に下降傾斜される場合を説明したが(図9(b)参照)、必ずしも直線状に限られるわけではなく、他の形状とすることは当然可能である。
例えば、他の形状としては、対向板部25へ向けて凸の曲線状に湾曲する構成が例示される。これにより、マス部材が回転方向に変位する場合には、突条ゴム部453の頂部を対向板部25へ徐々に当接させることができ、緩衝部材としての機能をより効果的に発揮させることができる。
上記第6実施の形態では、マス部材610に対する防振基体630の位置ずれ方向が、マス部材610の厚み方向(図15(a)上下方向)に付与される場合を説明したが、必ずしもこれに限れるものではなく、他の方向に付与することは当然可能である。例えば、マス部材610の幅方向(図15(a)紙面垂直方向)に付与しても良い。また、この位置ずれ方向は、車両前後方向に一致する必要はなく、他の方向(例えば、車両左右方向など)に対応していても良い。