JP4830547B2 - パターン形成体の製造方法およびパターン形成体製造用装置 - Google Patents

パターン形成体の製造方法およびパターン形成体製造用装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えばカラーフィルタの製造等に用いられる、表面の特性がパターン状に変化したパターン形成体の製造方法、およびその製造方法に用いられるパターン形成体製造用装置に関するものである。
従来より、基材上に図案、画像、文字、回路等の種々のパターンを形成するパターン形成体の製造方法として、様々な方法が提案されており、例えば、平版印刷や、オフセット印刷、ヒートモード記録材料を用いた平版印刷原版を作製する印刷法等も用いられている。また、例えば、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターン露光を行い、露光後、フォトレジストを現像し、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィーによるパターン形成体の製造方法も知られている。
しかしながら、例えばカラーフィルタ等に用いられる、高精細なパターン形成体を製造する際には、上記印刷法では位置精度が低い等の問題があり、用いることが難しかった。また、上記フォトリソグラフィー法においては、フォトレジストを用いるとともに、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題があった。また、フォトレジストとして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題もあった。
そこで、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化するパターン形成用基板とを対向させて配置した後、所定の方向から露光することにより、パターン形成用基板表面の特性を変化させるパターン形成体の製造方法が提案されている(特許文献1)。この方法によれば、上記光触媒含有層にパターン状にエネルギーを照射することによって、上記パターン形成用基板の表面の特性をパターン状に変化させることができ、この特性の変化したパターンに沿って、容易に着色層等の機能性部を高精細に形成することが可能となるのである。このような光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、エネルギーの照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。
しかしながら、上記光触媒含有層側基板を用いて連続的にパターン形成体の製造を行った場合、パターン形成用基板上で生じた分解物等が、光触媒含有層上に付着してしまい、この付着物が上記活性酸素種の働きを阻害したり、また逆に付着物が特性変化に寄与してしまうこと等があり、パターン形成用基板上に、一定の線幅でパターンを形成することが難しいという問題があった。
特開2000−249821号公報
そこで、連続してパターン形成体の製造を行った場合であっても、目的とするパターンの形状に高精細に特性変化パターンを形成可能なパターン形成体の製造方法、およびその製造方法に用いられるパターン形成体製造用装置の提供が望まれている。
本発明は、基材、および上記基材上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板の上記光触媒含有層と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化するパターン形成用基板とを対向させて配置し、上記光触媒含有層にエネルギーを照射することにより、上記パターン形成用基板の表面に、特性が変化した特性変化パターンを形成してパターン形成体を形成するパターン形成工程を複数回行って、パターン形成体を複数製造するパターン形成体の製造方法であって、上記複数回行うパターン形成工程の間に、上記光触媒含有層に付着した付着物に正および/または負に帯電したイオンを照射するイオン照射工程と、上記イオンが照射された上記付着物を上記光触媒含有層から除去する付着物除去工程とを行うことを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記複数回行うパターン形成工程の間に、上記イオン照射工程を行うことによって光触媒含有層表面に付着した付着物を電気的に中和し、さらに上記付着物除去工程を行うことから、上記光触媒含有層に付着した付着物を容易に除去することが可能となる。したがって本発明によれば、上記パターン形成工程において、上記付着物の影響を受けることなく、目的とするパターン状に高精細にパターン形成用基板の特性を変化させることができ、高品質なパターン形成体を複数製造することが可能となる。
上記発明においては、上記イオン照射工程と、上記付着物除去工程とが同時に行われることが好ましい。これにより、効率よく付着物を除去することが可能となり、製造工程上有利となるからである。
上記発明においては、上記付着物除去工程を、上記イオンが照射された上記付着物を風圧により除去する工程としてもよく、また上記イオンが照射された上記付着物を吸引除去する工程としてもよい。さらに上記付着物除去工程を、上記イオンが照射された上記付着物を液体により洗浄する工程としてもよく、またさらに、上記イオンが照射された上記付着物を吸着板により吸着除去する工程としてもよい。これらの方法によれば、上記イオンが照射された付着物を上記光触媒含有層表面から効率よく離脱させることが可能となるからである。
また本発明は、基材、および上記基材上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板の上記光触媒含有層と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化するパターン形成用基板とを対向させて配置し、上記光触媒含有層にエネルギーを照射することにより、上記パターン形成用基板の表面に、特性が変化した特性変化パターンを形成してパターン形成体を形成するパターン形成工程を複数回行って、パターン形成体を複数製造する際に用いられるパターン形成体製造用装置であって、上記パターン形成用基板を支持するパターン形成用基板支持部と、上記光触媒含有層を上記パターン形成用基板と対向するように支持する光触媒含有層側基板支持部と、上記光触媒含有層側基板にエネルギーを照射するエネルギー照射部と、上記光触媒含有層に付着した付着物に正および/または負に帯電したイオンを照射するイオン照射手段と、上記イオンが照射された上記付着物を上記光触媒含有層から除去するための付着物除去手段とを有することを特徴とするパターン形成体製造用装置を提供する。
本発明においては、パターン形成体製造用装置が、上記イオン照射手段および上記付着物除去手段を有することから、パターン形成工程とパターン形成工程との間に、光触媒含有層側基板の表面に付着した付着物を電気的に中和して、容易に除去することが可能となる。したがって、本発明のパターン形成体製造用装置を用いることにより、上記光触媒含有層側基板を用いてパターン形成用基板の特性をパターン状に変化させ、連続的にパターン形成体を製造した場合であっても、光触媒含有層に付着した付着物等によって感度が変化してしまうことのないものとすることができ、目的とするパターン状に高精細に特性変化パターンが形成されたパターン形成体を製造することが可能となる。
上記発明においては、上記付着物除去手段が、上記イオンが照射された上記付着物を風圧により除去するガス吹き付け手段であってもよく、また上記イオンが照射された上記付着物を吸引する吸引手段であってもよい。さらに上記付着物除去手段が、上記光触媒含有層を液体により洗浄する洗浄手段であってもよく、またさらに、上記光触媒含有層に吸着板を接触させて上記イオンが照射された上記付着物を除去する吸着手段であってもよい。それぞれこのような手段を設けることにより、効率よく上記イオンが照射された付着物を光触媒含有層から除去することが可能となるからである。
本発明によれば、光触媒含有層表面に付着した付着物を電気的に中和し、容易に除去することが可能となる。これにより、表面に付着した付着物が除去された光触媒含有層側基板を用いてパターニングを行うことができ、目的とするパターン状に高精細に特性が変化したパターン形成体を製造することができるという効果を奏するものである。
本発明は、例えばカラーフィルタの製造等に用いられる、表面の特性がパターン状に変化したパターン形成体の製造方法、およびその製造方法に用いられるパターン形成体製造用装置に関するものである。以下、それぞれについてわけて説明する。
A.パターン形成体の製造方法
まず、本発明のパターン形成体の製造方法について説明する。本発明のパターン形成体の製造方法は、基材、および上記基材上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板の上記光触媒含有層と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化するパターン形成用基板とを対向させて配置し、上記光触媒含有層にエネルギーを照射することにより、上記パターン形成用基板の表面に、特性が変化した特性変化パターンを形成してパターン形成体を形成するパターン形成工程を複数回行って、パターン形成体を複数製造するパターン形成体の製造方法であって、上記複数回行うパターン形成工程の間に、上記光触媒含有層に付着した付着物に正および/または負に帯電したイオンを照射するイオン照射工程と、上記イオンが照射された上記付着物を上記光触媒含有層から除去する付着物除去工程とを行うことを特徴とするものである。
本発明のパターン形成体の製造方法は、例えば図1に示すように、基材1、およびその基材1上に形成された光触媒含有層2を有する光触媒含有層側基板3の光触媒含有層2と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化するパターン形成用基板4とを対向させて配置し、例えばフォトマスク5等を用いてエネルギー6を照射して(図1(a))、パターン形成用基板4の表面に、特性が変化した特性変化パターン7をパターン状に形成する(図1(b))パターン形成工程を複数回行うことによって、複数のパターン形成体を製造する方法であり、上記パターン形成工程とパターン形成工程との間に、上記光触媒含有層に付着した付着物に正および/または負に帯電したイオンを照射するイオン照射工程(図示せず)と、上記イオンが照射された上記付着物を上記光触媒含有層から除去する付着物除去工程(図示せず)とを行うものである。
ここで、上記光触媒含有層側基板を用いて、パターン形成用基板のパターニングを行った場合、パターン形成用基板上で生じた分解物等が気化し、対向して配置されている上記光触媒含有層に付着してしまう場合がある。これにより、続けて他のパターン形成用基板に対してパターニングを行った際、この光触媒含有層に付着した付着物がパターン形成用基板の特性変化に寄与してしまったり、また上記付着物が光触媒により発生した活性酸素種の働きを阻害する場合がある。そのため、複数回連続してパターン形成体を製造した場合、パターン形成体上に形成される特性変化パターンを、均一な幅で目的とするパターン状に形成することが難しい、という問題があった。
一方、本発明においては、上記光触媒含有層に付着した付着物に対して、上記イオン照射工程および上記付着物除去工程を行うことから、パターン形成工程時に上記光触媒含有層に付着した付着物が容易に除去される。すなわち、上記イオン照射工程において付着物に上記イオンを照射することにより、上記付着物が電気的に中和され、光触媒含有層表面から離脱しやすい状態となり、さらに付着物除去工程を行うことによって、上記イオンによって中和された付着物が光触媒含有層から容易に除去されるのである。したがって本発明によれば、連続してパターン形成体を製造する場合であっても、上記付着物の影響を受けることなく、目的とするパターン状に高精細に特性変化パターンを形成することができ、この特性変化パターンに沿って、種々の機能性部を形成可能なパターン形成体を安定して複数製造することができるのである。
なお、本発明においては、上記イオン照射工程の後に上記付着物除去工程が行われてもよく、また上記イオン照射工程と上記付着物除去工程とが同時に行われてもよいが、中でも上記イオン照射工程と上記付着物除去工程とが同時に行われることが好ましい。これにより、効率よく付着物を除去することが可能となり、製造工程上有利となるからである。
以下、本発明のパターン形成体の製造方法の各工程について説明する。
1.イオン照射工程
まず、本発明のイオン照射工程について説明する。本発明のイオン照射工程は、複数回行われるパターン形成工程の間に、後述する付着物除去工程の前、または付着物除去工程と同時に行われる工程であり、上記光触媒含有層に付着した付着物に正および/または負に帯電したイオンを照射する工程である。ここで、複数回行われるパターン形成工程の間とは、パターン形成工程とパターン形成工程との間であれば特に限定されるものではなく、例えばパターン形成工程を1回行うごとに本工程が行われてもよく、またパターン形成工程を複数回行うごとに本工程が行われてもよい。
以下、本工程において光触媒含有層に付着した付着物にイオンを照射する方法、および本工程においてイオンが照射される付着物が付着した光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板について詳しく説明する。
(付着物にイオンを照射する方法)
まず、本工程において上記光触媒含有層に付着した付着物に上記イオンを照射する方法について説明する。本工程において、上記付着物に照射するイオンとしては、付着物を電気的に中和することが可能なイオンとされ、付着物の種類等によって適宜選択される。例えば付着物が正に帯電している場合には、本工程を負のイオンを照射する工程等とすることができ、また付着物が負に帯電している場合には、本工程を正のイオンを照射する工程等とすることができる。なお、本工程において照射するイオンは、正に帯電したイオンまたは負に帯電したイオンの内のいずれか一方のみであってもよいが、正に帯電したイオンおよび負に帯電したイオンの両方であってもよい。また複数種類のイオンを組合わせて照射してもよい。
また、上記イオンの種類としては特に限定されるものではなく、一般的なイオン化物質をイオン化したもの等とすることができる。上記イオン化物質としては、例えば液体であってもよく、気体であってもよい。液体状のイオン化物質としては、例えば水、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸、硫酸、ジルコニアスラリー等が挙げられる。また気体状のイオン化物質としては、例えば酸素、窒素、水素、硫黄等が挙げられる。また上記イオン化物質をイオン化したものを、空気中の水の微粒子やホコリ等に付着させたもの等であってもよい。
また上記イオンを生成する方法としては特に限定されるものではく、例えば一般的なイオン発生装置(イオナイザー)を好適に用いることができる。一般的なイオン発生装置においては、通常、生成したイオンとともに、風が装置から排出される。したがって、上記イオン発生装置を用いることによって、イオン照射工程および後述する不純物除去工程を同時に行うことが可能となるという利点を有するからである。また、上記イオンの照射方法としては、上記イオン発生装置の種類等により適宜選択され、例えば上記イオンを、一時に光触媒含有層全面に照射する方法であってもよく、また光触媒含有層の一部ずつに照射する方法であってもよい。
また上記光触媒含有層に照射するイオンの量としては、光触媒含有層に付着した付着物の種類や量等によって、適宜調整されることとなり、上記イオン量は、本工程を行う前に予め行われるイオン照射量決定工程等によって決定することができる。
上記イオン照射量決定工程とは、上記イオン照射工程において光触媒含有層に付着した付着物に照射する上記イオンの量を決定するための工程であり、例えば以下の手順により行うことができる。まず、後述するパターン形成工程と同様の条件で、未使用の光触媒含有層を用いて、パターン形成用基板上に特性変化パターンを形成してパターン形成体を形成する。その後、光触媒含有層に上記イオンを照射する。続いて別のパターン形成用基板を、上記と同様の条件にてパターン形成体製造用装置内でパターニングし、パターン形成体を形成する。
その後、上記イオンの照射量を変更して複数回、同様の検査を行い、それぞれ1回目に形成されたパターン形成体の特性変化パターンと、2回目に形成されたパターン形成体の特性変化パターンとを比較する。まず、1回目に形成されたパターン形成体の特性変化パターンを各種方法により測定し、得られた値を基準値とする。その後、2回目に形成されたパターン形成体の特性変化パターンについても同様の測定を行い、2回目に形成されたパターン形成体の特性変化パターンの測定値が、上記基準値となるかによって判断する。なお、上記特性変化パターンの基準値を決定する測定方法としては、特性変化パターンの特性変化の種類等に応じて適宜選択される。例えば、上記パターン形成体の表面粗さを表面粗さ計等を用いて測定する方法であってもよく、また例えば上記特性変化パターンの形状を光学顕微鏡やX線光電子分光分析装置(XPS)等を用いて観察する方法であってもよい。また、上記特性変化パターンの接触角を接触角測定器等を用いて測定する方法等であってもよい。なお、上記接触角は、例えば接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて、マイクロシリンジから液滴を滴下して所定の時間後に測定した値から算出することができる。
上記の工程より、2回目に形成されるパターン形成体の特性変化パターンが1回目に形成されたパターン形成体の特性変化パターンと同様となるイオンの照射量を割り出し、上記イオン照射工程において光触媒含有層に照射するイオンの量を決定する。なお、上記イオン照射工程において光触媒含有層に照射するイオンの量は、上記方法により割り出された量と同じ、もしくはそれより多い量に設定されることとなる。
(光触媒含有層側基板)
次に、本工程に用いられる光触媒含有層側基板について説明する。本工程に用いられる光触媒含有層側基板は、光触媒を含有する光触媒含有層および基材を有するものであり、通常、基材と、その基材上に光触媒含有層が形成されているものである。以下、本工程に用いられる光触媒含有層側基板の各構成について説明する。
(1)光触媒含有層
まず、光触媒含有層側基板に用いられる光触媒含有層について説明する。本工程に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、対向して配置されるパターン形成用基板の特性を変化させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよく、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。また、その表面の特性は特に親液性であっても撥液性であってもよい。
本発明で使用される光触媒としては、半導体として知られる例えば酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができる。また半導体以外としては、金属錯体や銀なども用いることができる。本発明においては、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明においては、特に酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の酸化チタンが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
このようなアナターゼ型酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
また、上記酸化チタンとして可視光応答型のものを用いてもよい。可視光応答型の酸化チタンとは、可視光のエネルギーによっても励起されるものであり、このような可視光応答化の方法としては、酸化チタンを窒化処理する方法等が挙げられる。
ここで、本発明でいう酸化チタンの窒化処理とは、酸化チタン(TiO)の結晶の酸素サイトの一部を窒素原子での置換する処理や、酸化チタン(TiO)結晶の格子間に窒素原子をドーピングする処理、または酸化チタン(TiO)結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子を配する処理等をいう。
酸化チタン(TiO)の窒化処理方法は、特に限定されるものではなく、例えば、結晶性酸化チタンの微粒子をアンモニア雰囲気下で700℃の熱処理により、窒素をドーピングし、この窒素のドーピングされた微粒子と、無機バインダや溶媒等を用いて、分散液とする方法等が挙げられる。
また光触媒含有層中の光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下であることが好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
本発明における光触媒含有層は、上述したように光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これによりパターン形成用基板の特性を効率よく変化させることが可能となる。
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法の他の例としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
また、バインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例えばオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
このようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することができる。
また、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiXで表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、基材上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
バインダを用いた場合の光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
ここで本発明においては、上記光触媒含有層は、基材の全面に形成されていてもよいが、例えば特性変化パターンを形成する形状に、パターン状に形成されていてもよい。これにより、光触媒含有層全面にエネルギーが照射された場合であっても、パターン形成用基板のうち、目的とする領域のみに特性変化パターンを形成することができるからである。このような光触媒含有層のパターニング方法は、特に限定されるものではないが、例えばフォトリソグラフィー法等により行うことが可能である。
また本発明においては、上記光触媒含有層上に遮光部が形成されていてもよく、また光触媒含有層と基材との間に遮光部が形成されていてもよい。この場合、光触媒含有層全面にエネルギーが照射された場合であっても、フォトマスク等を用いる必要のないものとすることができるという利点を有する。なお、このような遮光部は、一般的なカラーフィルタにおける遮光部と同様の材料や形成方法により形成することができる。
(2)基材
次に、光触媒含有層側基板に用いられる基材について説明する。本発明においては、図1(a)に示すように、光触媒含有層側基板3は、少なくとも基材1とこの基材1上に形成された光触媒含有層2とを有するものである。
本発明に用いられる基材は、上記光触媒含有層を形成可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば可撓性を有する樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。
なお、基材表面と上記光触媒含有層との密着性を向上させるため、また光触媒の作用による基材の劣化を防ぐために基材上に中間層を形成するようにしてもよい。このような中間層としては、シラン系、チタン系のカップリング剤や、反応性スパッタ法やCVD法等により作製したシリカ膜等が挙げられる。
2.付着物除去工程
次に、本発明の付着物除去工程について説明する。本発明の付着物除去工程は、複数回行われるパターン形成工程の間に、上記イオン照射工程の後、または上記イオン照射工程と同時に行われる工程であり、イオンが照射された付着物を光触媒含有層から除去する工程である。
以下、本工程において光触媒含有層からイオンが照射された付着物を除去する方法について詳しく説明する。
(光触媒含有層からイオンが照射された付着物を除去する方法)
本発明において、上記光触媒含有層から上記付着物を除去する方法としては、上記付着物を除去することが可能な方法であれば、特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば気体を利用して上記光触媒含有層から上記付着物を除去する方法、液体を利用して上記光触媒含有層から上記付着物を除去する方法、または固体状物質を利用して上記光触媒含有層から上記付着物を除去する方法等が挙げられる。本工程は、上記いずれか1種類の方法を行うものであってもよく、また2種類以上の方法を組み合わせて行うものであってもよい。また、上記方法は、光触媒含有層に付着した付着物の種類等に合わせて適宜選択されることとなる。
以下、上記の各方法についてそれぞれ詳しく説明する。
(1)気体を利用して上記光触媒含有層からイオンが照射された付着物を除去する方法
まず、気体を利用して上記光触媒含有層からイオンが照射された付着物を除去する方法について説明する。気体を利用して上記光触媒含有層から上記付着物を除去する方法としては、例えば上記光触媒含有層に不活性のガスを吹き付けて、風圧により上記付着物を除去する方法や、上記光触媒含有層表面から、上記付着物を吸引して上記付着物を除去する方法、上記付着物を風圧により上記光触媒含有層から離脱させ、その付着物を吸引する方法等とすることができる。これらの方法によれば、特別な装置を必要とすることなく、効率よく付着物を除去することができる。
ここで、風圧により上記付着物を除去する場合、光触媒含有層に気体を吹きつける方法としては、装置の洗浄等に一般的に用いられるエアーブローノズルやファン等を用いる方法とすることができる。また上記光触媒含有層に吹き付ける不活性ガスとしては、光触媒含有層中の光触媒と反応性を有しないものであれば特に限定されるものではなく、例えばアルゴンガス、酸素ガス、窒素ガス、フッ素ガス、二酸化炭素ガスや、これらの混合気体等が挙げられる。また本発明においては、一時に光触媒含有層全面に気体を吹き付けてもよく、また光触媒含有層の一部ずつに気体を吹き付けてもよい。なお、上記気体を光触媒含有層に吹きつける時間や風圧等については、光触媒含有層に付着した付着物の種類や量等によって、適宜選択されることとなる。また、このような風圧による上記付着物の除去は、例えば上述したイオン照射装置を用いること等によって、上記イオン照射工程においてイオンを照射するのと同時に行うことも可能である。この場合、イオン照射工程と本工程とを同時に行うことができるため、効率よく光触媒含有層から付着物を除去することが可能となるという利点を有している。
また、上記光触媒含有層に付着した付着物を吸引する方法としては、例えば光触媒含有層側基板を、真空装置内に入れて付着物を吸引する方法等としてもよいが、本発明においては特に吸気ノズル等により、光触媒含有層表面に付着した付着物を吸引する方法であることが好ましい。これにより、効率よく光触媒含有層から付着物を除去することができるからである。上記吸気ノズルとしては、例えば一般的なクリーナーに用いられるノズル等と同様とすることができ、その形状としては一時に光触媒含有層全面から付着物を吸引するものであってもよく、また光触媒含有層の一部ずつから付着物を吸引するもの等であってもよい。なお、上記吸引時間や吸引圧力等については、光触媒含有層に付着した付着物の種類等によって、適宜選択されることとなる。
また、上記光触媒含有層表面に付着した上記付着物を風圧により離脱させ、その付着物を吸引する方法としては、例えば上記気体を吹き付けるノズルと、上記吸気ノズルとを組み合わせたもの等とすることができる。
(2)液体を利用して上記光触媒含有層からイオンが照射された付着物を除去する方法
次に、液体を利用して上記光触媒含有層からイオンが照射された付着物を除去する方法について説明する。本発明において液体を利用して上記付着物を除去する方法としては、例えば上記光触媒含有層を液体により洗浄する方法等とすることができる。具体的には、上記光触媒含有層側基板を液体中に浸漬させ、上記付着物の液体に対する溶解性等を利用して除去する方法や、上記光触媒含有層側基板にノズル等により、液体を吹き付けて、上記付着物の液体に対する溶解性、および液体の圧力を利用して付着物を除去する方法等が挙げられる。本発明においては、上記の中でも、ノズル等から液体を吹き付けて付着物を除去する方法であることが好ましい。これにより、効率よく付着物を除去することができるからである。
上記液体の吹き付けに用いられるノズル等としては、一般的にスプレー洗浄等に用いられるノズル等と同様とすることができる。また上記方法に用いられる液体としては、上記付着物の溶解性が高い液体であることが好ましく、上記溶液の種類は光触媒含有層に付着した付着物の種類等によって適宜選択される。このような溶液としては、例えば水や、各種有機溶剤等を用いることができる。また上記ノズルとしては、一時に光触媒含有層全面に溶液を吹き付け可能なものであってもよく、また光触媒含有層の一部ずつに溶液を吹き付け可能なものであってもよい。また上記溶液の吹き付け時間や吹き付け圧力等については、光触媒含有層に付着した付着物の種類等によって、適宜選択されることとなる。なおこの場合、上記方法により溶液の吹き付けを行った後、光触媒含有層側基板から溶液を拭き取る工程や、光触媒含有層側基板を乾燥させる工程等を適宜行ってもよい。
(3)固体状物質を接触させることにより、上記光触媒含有層からイオンが照射された付着物を除去する方法
次に、本工程において固体状物質を接触させることにより、上記光触媒含有層からイオンが照射された付着物を除去する方法について説明する。上記光触媒含有層に固体を接触させることにより、上記光触媒含有層から上記付着物を除去する方法としては、例えば上記光触媒含有層に、吸着性を有する吸着板を接触させて光触媒含有層側基板から付着物を吸着除去する方法や、ブラシを用いて光触媒含有層側基板から付着物を掃きとる方法等が挙げられる。
上記吸着性を有する吸着板としては、例えば粘着性を有する基板やシート等とすることができ、このような吸着板を用いた場合、上記吸着板を光触媒含有層表面と接触させた後、上記吸着板を光触媒含有層から剥離することにより、光触媒含有層に付着した付着物を吸着板側に転写させることができる。なお、吸着板の種類等としては、付着物との接着性を有し、かつ光触媒含有層から剥離することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、付着物の種類等により適宜選択され、例えば一般的な粘着層を基板上に形成したもの等とすることができる。
また、上記ブラシとしては、光触媒含有層を傷つけないものであれば特に限定されるものではなく、一般的な装置の洗浄に用いられているブラシ等と同様とすることができる。
3.パターン形成工程
次に、本発明におけるパターン形成工程について説明する。本発明におけるパターン形成工程は、基材、および上記基材上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板の上記光触媒含有層と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化するパターン形成用基板とを対向させて配置し、上記光触媒含有層にパターン状にエネルギーを照射することにより、上記パターン形成用基板の表面に、特性が変化した特性変化パターンを形成し、パターン形成体を形成する工程である。なお、本発明において上記パターン形成工程は、少なくとも2回以上行われればよく、その回数は特に限定されるものではない。
本発明においては、上記パターン形成工程とパターン形成工程との間に、上記イオン照射工程および上記付着物除去工程が行われることから、上記パターン形成工程時に光触媒含有層に付着した付着物を容易に除去することができる。これにより、上記パターン形成工程に用いられる光触媒含有層側基板の光触媒の感度が変化してしまうことを防ぐことができ、目的とするパターン状に高精細に特性変化パターンが形成されたパターン形成体を複数製造することが可能となるのである。以下、本工程に用いられるパターン形成用基板、およびエネルギーの照射方法についてそれぞれ説明する。
(パターン形成用基板)
まず本発明に用いられるパターン形成用基板について説明する。本発明に用いられるパターン形成用基板は、上述した光触媒含有層側基板と対向させてエネルギーを照射した際に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化するものであればよく、その構成については特に限定されるものではない。
例えば支持基板と、その支持基板上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化する特性変化層とを有するものであってもよく、またエネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層のみからなるものであってもよい。なお、本発明においては、上記特性変化層が有機物を含有する層であることが特に好ましい。特性変化層が有機物を含有する場合、上記光触媒含有層側基板を用いてパターニングした際に付着物が光触媒含有層に付着しやすいため、本発明の利点を特に活かすことが可能となるからである。
また、上記パターン形成用基板における特性変化層の特性変化の種類についても特に限定されるものではなく、例えばエネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の濡れ性が変化するものであってもよく、また例えばエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、特定の物質との接着性が変化するもの等であってもよい。本発明においては、特にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の濡れ性が変化するものが好ましく、中でもエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する濡れ性変化層であることが好ましい。これにより、本工程により濡れ性が変化した領域を親液性領域、本工程により濡れ性が変化していない領域を撥液性領域とすることができる。したがって本発明により製造されたパターン形成体上に例えば塗布法等により機能性部形成用塗工液を塗布した際、親液性領域である特性変化パターンにのみ機能性部形成用塗工液を付着させることができ、高精細なパターン状に機能性部を形成すること等が可能となるからである。
ここで、親液性領域とは、隣接する領域より液体との接触角が1°以上低い領域をいうこととし、液体との接触角が小さい領域であって、機能性部を形成する機能性部形成用塗工液に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、上記機能性部形成用塗工液に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
上記パターン形成用基板に用いられる濡れ性変化層は、濡れ性が変化していない状態では、表面張力40mN/mの液体との接触角が、10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の濡れ性を示すことが好ましい。これは、濡れ性が変化していない領域は、撥液性が要求される領域であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、例えば上記機能性部形成用塗工液を塗布した際に、撥液性領域上にも機能性部形成用塗工液が残存する可能性があり、好ましくないからである。
また、本工程により上記濡れ性変化層に光触媒の作用が及ぼされた場合、濡れ性が変化した部分の液体との接触角は、表面張力40mN/mの液体との接触角が、9°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となることが好ましい。濡れ性が変化した部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高い場合は、例えば、上記機能性部形成用塗工液を塗布した際に、親液性領域においても機能性部形成用塗工液をはじいてしまう可能性があり、親液性領域上に機能性部パターニングすることが難しくなる可能性があるからである。
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
このようなエネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層としては、例えばオルガノポリシロキサンを含有する層等とすることができ、具体的には特開2001−074928号公報に記載されているようなオルガノポリシロキサン等を含有する層とすることができる。
また、上記オルガノポリシロキサンの他に、界面活性剤や添加剤等を用いることができ、これらについても、例えば特開2001−074928号公報に記載されているようなものを用いることができる。
上記特性変化層の膜厚としては、特性変化層の種類や、パターン形成用基板の種類や用途等に応じて適宜選択されるものであるが、通常0.01μm〜1mm程度、中でも0.1μm〜0.1mm程度とすることができる。
また上記パターン形成用基板が支持基板を有する場合、支持基板は特性が変化する特性変化層を支持することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、パターン形成体の用途等に応じてその種類や可撓性や透明性等は適宜選択される。本発明において上記支持基板は、有機材料からなるものであってもよく、また無機材料からなるものであってもよい。具体的には、樹脂製フィルム、ガラス、セラミック、金属からなるもの等を用いることができ、板状のものであることが好ましい。
(エネルギー照射)
次に、本工程におけるエネルギー照射について説明する。本工程においては、パターン形成用基板と、上記光触媒含有層側基板の光触媒含有層とを、所定の間隙をおいて配置し、所定の方向から光触媒含有層にパターン状にエネルギーが照射される。
ここで、上記の配置とは、実質的に光触媒の作用がパターン形成用基板に及ぶような状態で配置された状態をいうこととし、上記光触媒含有層と上記パターン形成用基板が密着している状態の他、所定の間隔を隔てて上記光触媒含有層とパターン形成用基板とが配置された状態とする。この間隙は、200μm以下であることが好ましい。
本発明において上記間隙は、光触媒の感度も高く、特性変化パターンの形成効率が良好である点を考慮すると特に0.2μm〜50μmの範囲内、好ましくは1μm〜10μmの範囲内とすることが好ましい。このような間隙の範囲は、特に間隙を高い精度で制御することが可能である小面積のパターン形成用基板に対して特に有効である。
一方、例えば300mm×300mm以上といった大面積のパターン形成用基板に対して処理を行う場合は、上述したような微細な間隙を光触媒含有層側基板と上記パターン形成用基板との間に形成することは極めて困難である。したがって、パターン形成用基板が比較的大面積である場合は、上記間隙は、10〜100μmの範囲内、特に50〜75μmの範囲内とすることが好ましい。間隙をこのような範囲内とすることにより、パターンの精度の低下の問題や、光触媒の感度が悪化して特性変化パターンを形成する効率が悪化する等の問題が生じることなく、さらに特性変化パターンにムラが発生しないといった効果を有するからである。
このように比較的大面積のパターン形成用基板にエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒含有層側基板とパターン形成用基板との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。設定値をこのような範囲内とすることにより、光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく配置することが可能となるからである。
このように光触媒含有層とパターン形成用基板表面とを所定の間隔で離して配置することにより、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触媒含有層とパターン形成用基板との間隔を狭くした場合は、上記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に特性変化パターンを形成する速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。また、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生じた活性酸素種がパターン形成用基板に届き難くなり、この場合も特性変化パターンを形成する速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。
このような極めて狭い間隙を均一に形成して光触媒含有層とパターン形成用基板とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。そして、このようにスペーサを用いることにより、均一な間隙を形成することができるからである。また、このようなスペーサを用いることにより、光触媒の作用により生じた活性酸素種が拡散することなく、高濃度でパターン形成用基板表面に到達することから、効率よく特性変化パターンの形成を行うことができる。
なお、上記光触媒含有層が可撓性を有する樹脂フィルム等の可撓性を有する基材上に形成された光触媒含有層側基板を用いる場合においては、上述したような間隙を設けることが難しく、製造効率等の面から、上記光触媒含有層とパターン形成用基板とが接触するように配置されていることが好ましい。
本発明においては、このような光触媒含有層側基板の配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
なお、本発明でいうエネルギー照射(露光)とは、パターン形成用基板表面に特性が変化した特性変化パターンを形成することが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは150nm〜380nmの範囲から設定される。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。なおこの場合、例えばフォトマスク等を用いることによって、上記光触媒含有層にパターン状にエネルギーを照射することが可能となる。また、上述したような光源を用いてエネルギーを照射する方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
ここで、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、パターン形成用基板の表面に、特性が変化した特性変化パターンが形成されるのに必要な照射量とする。なお、本工程により形成される特性変化パターンの形状や面積等については、パターン形成体の種類や用途等に応じて適宜選択される。またこの際、光触媒含有層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的に特性変化パターンを形成できる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
4.その他
本発明のパターン形成体の製造方法は、上記イオン照射工程、上記付着物除去工程および上記パターン形成工程を有するものであれば特に限定されるものではなく、上記工程以外に、例えばパターン形成用基板を製造する工程等を有していてもよい。
なお、本発明により製造されたパターン形成体は、例えば上記特性変化パターン上に着色層が形成されたカラーフィルタの形成や、特性変化パターン上に有機EL層が形成された有機EL素子の形成、特性変化パターン上にレンズが形成されたマイクロレンズの形成等に用いられるものとすることができる。本発明によれば、上記特性変化パターンが、目的とするパターン状に高精細に形成されたものとすることができることから、例えば着色層や有機EL層等、各種機能性部が高精細に形成されたものとすることができるからである。またさらに本発明により製造されたパターン形成体は、細胞を培養するために用いられる細胞培養基板として用いられるものであってもよい。この場合、上記特性変化パターン上に、目的とするパターン状に高精細に細胞を培養することが可能となる。
B.パターン形成体製造用装置
次に、本発明のパターン形成体製造用装置について説明する。本発明のパターン形成体製造用装置は、基材、および上記基材上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板の上記光触媒含有層と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化するパターン形成用基板とを対向させて配置し、上記光触媒含有層にエネルギーを照射することにより、上記パターン形成用基板の表面に、特性が変化した特性変化パターンを形成してパターン形成体を形成するパターン形成工程を複数回行って、パターン形成体を複数製造する際に用いられるパターン形成体製造用装置であって、上記パターン形成用基板を支持するパターン形成用基板支持部と、上記光触媒含有層を上記パターン形成用基板と対向するように支持する光触媒含有層側基板支持部と、上記光触媒含有層側基板にエネルギーを照射するエネルギー照射部と、上記光触媒含有層に付着した付着物に正および/または負に帯電したイオンを照射するイオン照射手段と、上記イオンが照射された上記付着物を上記光触媒含有層から除去するための付着物除去手段とを有することを特徴とするものである。
本発明のパターン形成体製造用装置は、例えば図2(a)の断面図および図2(b)の斜視図に示すように、パターン形成用基板を支持するパターン形成用基板支持部11と、光触媒含有層側基板を支持する光触媒含有層側基板支持部12と、上記光触媒含有層側基板にエネルギーを照射するエネルギー照射部13とを有し、さらに上記光触媒含有層側基板の光触媒含有層に付着した付着物にイオンを照射するためのイオン照射手段およびイオンを照射された付着物を光触媒含有層から除去するための付着物除去手段(図中、イオン照射手段および付着物除去手段は一体に形成されているもの14として示す)を有するものである。
本発明のパターン形成体製造用装置は、上記パターン形成用基板支持部にパターン形成用基板を支持させ、上記光触媒含有層側基板支持部に光触媒含有層側基板を支持させてエネルギー照射部からエネルギーを照射することにより、パターン形成用基板に特性の変化した特性変化パターンを形成してパターン形成体を製造するパターン形成体の製造方法に用いられる。
ここで、上述したように、上記光触媒含有層側基板を用いて、パターン形成用基板のパターニングを行った場合、パターン形成用基板上で生じた分解物等が気化し、対向して配置されている上記光触媒含有層に付着してしまう場合がある。これにより、続けて他のパターン形成用基板に対してパターニングを行った際、この光触媒含有層に付着した付着物がラジカルとなってパターン形成用基板の特性変化に寄与してしまったり、また上記付着物が光触媒により発生した活性酸素種の働きを阻害する場合がある。そのため、複数回連続してパターン形成体を製造した場合、パターン形成体上に形成される特性変化パターンを、均一な幅で目的とするパターン状に形成することが難しい、という問題があった。
一方本発明においては、上記パターン形成体製造用装置が、上記イオン照射手段および上記付着物除去手段を有していることから、イオン照射手段によってパターン形成工程とパターン形成工程との間に、パターン形成工程時に光触媒含有層に付着した付着物を電気的に中和することができ、さらに上記付着物除去手段によって光触媒含有層表面から除去することが可能となる。したがって、本発明のパターン形成体製造用装置を用いることにより、上記光触媒含有層側基板を用いてパターン形成用基板の特性をパターン状に変化させ、連続的にパターン形成体を製造した場合であっても、光触媒含有層に付着した付着物等によって感度が変化してしまうことのないものとすることができ、目的とするパターン状に高精細に特性変化パターンが形成されたパターン形成体を製造することが可能となる。
以下、本発明のパターン形成体製造用装置について各構成ごとに詳しく説明する。
1.イオン照射手段
まず、本発明に用いられるイオン照射手段について説明する。本発明に用いられるイオン照射手段としては、パターン形成体の製造に用いられる光触媒含有層側基板の光触媒含有層に付着した付着物に正および/または負に帯電したイオンを照射することが可能な手段であれば、特に限定されるものではない。上記イオン照射手段は、パターン形成体製造用装置内で、2次元または3次元方向に移動するものとされていてもよく、また固定されているものであってもよい。また、イオン照射手段は、例えば光触媒含有層側基板を光触媒含有層支持部により支持した状態で、上記付着物に上記イオンを照射する手段であってもよいが、本発明においては、例えば光触媒含有層側基板支持部から光触媒含有層側基板を取り外した状態で、上記光触媒含有層に付着した付着物に上記イオンを照射する手段であってもよい。
このようなイオン照射手段としては、例えば上記イオンを発生させるイオン発生部と、発生させたイオンを光触媒含有層に付着した付着物に放出するイオン放出部とを有するもの等とすることができる。
上記イオン発生部としては、正および/または負に帯電したイオンを発生させることが可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば一般的なイオン発生装置に用いられているイオン発生部と同様とすることができ、イオン化物質に放電や、プラズマ照射、紫外線照射、放射線照射してイオンを発生させる機構を有するもの等とすることができる。なお、上記イオン発生部は、発生させるイオンの量を調節するイオン量調節手段を有するものとされていてもよい。
また上記イオン放出部としては、上記イオン発生部から発生したイオンを上記光触媒含有層に放出することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的なイオン発生装置に用いられているファン等と同様の構造を有するものとすることができる。また上記イオン放出部としては、フォトマスク全面にイオンを照射することが可能な形状とされていてもよく、またフォトマスクの一部のみにイオンを照射することが可能な形状とされていてもよい。
ここで、本発明においては、特に上記イオン放出部が、光触媒含有層にイオンを放出するとともに、上記付着物を風圧により除去可能な程度、風を吹き付けることが可能な送風機能も有していることが好ましい。これにより、上記イオン照射手段が、後述する付着物除去手段としての機能も兼ね備えるものとすることができ、別途付着物除去手段を設ける必要がないものとすることができるからである。なお、本発明におけるイオン照射手段から照射されるイオンの種類等については、上述した「A.パターン形成体の製造方法」で説明したものと同様とすることができる。
2.付着物除去手段
次に、本発明に用いられる付着物除去手段について説明する。本発明に用いられる付着物除去手段としては、上記イオン照射手段によりイオン照射された付着物を上記光触媒含有層から除去することが可能な手段であれば、特に限定されるものではない。上記付着物除去手段は、パターン形成体製造用装置内で、2次元または3次元方向に移動するものとされていてもよく、また固定されているものであってもよい。また、付着物除去手段は、例えば光触媒含有層側基板を光触媒含有層支持部により支持した状態で、上記付着物を除去する手段であってもよいが、本発明においては、例えば光触媒含有層側基板支持部から光触媒含有層側基板を取り外した状態で、上記光触媒含有層に付着した付着物を除去する手段であってもよい。
このような付着物除去手段としては、例えば、気体を利用して上記光触媒含有層から付着物を除去する手段、液体を利用して上記光触媒含有層から付着物を除去する手段、または固体状物質を利用して上記光触媒含有層から付着物を除去する手段等が挙げられる。また上記付着物除去手段には、上記いずれか1種類の手段が形成されていてもよく、また2種類以上の上記手段が形成されていてもよい。
以下、上記の各手段についてそれぞれ詳しく説明する。
(1)気体を利用して上記光触媒含有層から付着物を除去する手段
気体を利用して上記光触媒含有層から付着物を除去する手段について説明する。気体を利用して上記光触媒含有層から付着物を除去する手段としては、例えば上記光触媒含有層に不活性のガスを吹き付けて、風圧により付着物を除去するガス吹き付け手段や、上記光触媒含有層表面から、付着物を吸引して付着物を除去する吸引手段、または上記ガス吹きつけ手段と吸引手段とを組み合わせた手段等とすることができる。
上記ガス吹き付け手段としては、例えば、光触媒含有層側基板支持部に支持された光触媒含有層側基板の光触媒含有層に、ガスを吹き付けるためのガス吹き付け部と、上記ガス吹き付け部にガスを送るためのガス供給部とを有するもの等とすることができる。上記ガス吹き付け部としては、光触媒含有層全面にガスを吹き付けることが可能な形状とされていてもよく、また光触媒含有層の一部にガスを吹き付けることが可能な形状とされていてもよい。このようなガス吹き付け部としては、一般的な洗浄に用いられるエアーブロー用のノズルやファン等と同様の機構を有するものとすることができる。また通常、このガス吹き付け部は、後述するパターン形成用基板支持部からパターン形成用基板が取り外された後、上記光触媒含有層側基板支持部に支持されている光触媒含有層側基板の光触媒含有層の近傍まで移動するための移動機構を有するものとされる。また、上記ガス吹き付け部は、光触媒含有層表面に沿って2次元方向に移動する移動機構を有するものとされていてもよい。
また上記ガス供給部としては、上記ノズル部に気体を供給可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的なコンプレッサー等と同様とすることができる。なお、上記光触媒含有層に吹き付けるガスの種類等については、上述した「A.パターン形成体の製造方法」の項で説明したものと同様とすることができる。
また、上記光触媒含有層表面から、付着物を吸引して付着物を除去する吸引手段としては、例えば、光触媒含有層側基板支持部に支持された光触媒含有層側基板の光触媒含有層表面から、付着物を吸引するための吸気用ノズル部と、気体を吸引するための吸気部と、吸気用ノズル部によって吸引した付着物を貯める貯蔵部等を有するものとすることができる。
上記吸気用ノズル部としては、光触媒含有層全面から一時に付着物を吸引することが可能な形状とされていてもよく、また光触媒含有層の一部から付着物を吸引することが可能な形状とされていてもよい。このような吸気用ノズル部としては、一般的なクリーナーに用いられるノズルと同様の構造を有するものとすることができる。また通常、この吸気用ノズルは、後述するパターン形成用基板支持部からパターン形成用基板が取り外された後、上記光触媒含有層側基板支持部に支持されている光触媒含有層側基板の光触媒含有層の近傍まで移動する移動機構を有するものとされる。また、上記吸気用ノズルは、光触媒含有層表面に沿って2次元方向に移動する移動機構を有するものとされていてもよい。
また上記貯蔵部は、上記吸気用ノズル部と、吸気部との中間に配置されるものであり、上記吸気用ノズル部から吸引された付着物を貯蔵することが可能なものであれば、特に限定されるものではない。上記吸気用ノズル部と吸気部とが直接つながっている場合には、吸気用ノズル部から吸引された付着物が吸気部に詰まってしまい、故障等の原因となるからである。このような貯蔵部としては、一般的なクリーナーに設けられている貯蔵部と同様の構造を有するものとすることができる。
また、上記吸気部としては、所定の吸気圧力で吸気可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的なクリーナーに設けられている吸気部と同様とすることができる。
また上記ガス吹き付け手段と吸引手段とを組み合わせた手段としては、上記光触媒含有層にガスを吹き付けるための吹き付け用ノズル部と、ガスによって光触媒含有層から離脱した付着物を吸引するための吸気用ノズル部と、上記吸気用ノズル部から吸引された付着物を貯蔵する貯蔵部と、上記吸引用ノズル部から吸気した気体を、上記吹き付け用ノズル部に供給するための気体循環部等とを有するものとすることができる。上記吹き付け用ノズル部や、吸気用ノズル部、貯蔵部等については、上述したものと同様とすることができる。また、上記気体循環部は、一般的な装置に用いられている気体循環部等と同様とすることができる。
(2)液体を利用して上記光触媒含有層から付着物を除去する手段
次に、液体を利用して上記光触媒含有層から付着物を除去する手段について説明する。本発明において液体を利用して上記付着物を除去する手段としては、例えば上記光触媒含有層側基板を液体中に浸漬させて、上記付着物の液体に対する溶解性等を利用して除去する浸漬手段や、上記光触媒含有層側基板にノズル等により、液体を吹き付けて光触媒含有層を洗浄する洗浄手段等とすることができる。
上記浸漬手段としては、例えば上記付着物を溶解させることが可能な溶剤等を保持可能な溶液保持部を有するもの等とすることができる。上記溶液保持部としては、上記付着物を溶解可能な溶剤を保持し、かつ上記光触媒含有層側基板を浸漬可能なものであれば、特に限定されるものではない。上記溶液保持部に保持される溶液の種類等は、付着物の種類や量等に応じて適宜選択されることとなる。
また上記洗浄手段としては、例えば、液体を吐出し、光触媒含有層の表面を洗浄するための洗浄部と、上記洗浄部に液体を供給するための液体供給部と、光触媒含有層を乾燥させるための吸引乾燥部とを有するもの等とすることができる。上記洗浄部としては、上記光触媒含有層側表面に液体を吐出し、洗浄可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば光触媒含有層全面に液体を吐出可能なものであってもよく、また光触媒含有層の一部に液体を吐出可能なものであってもよい。このような洗浄部としては、一般的なスプレー洗浄装置に用いられるノズル等を備えた洗浄部と同様の構造を有するものとすることができる。なお、この洗浄部は、通常、後述するパターン形成用基板支持部からパターン形成用基板が取り外された後、上記光触媒含有層側基板支持部に支持されている光触媒含有層側基板の光触媒含有層の近傍まで移動する移動機構を有するものとされる。また、上記洗浄部は、光触媒含有層表面に沿って2次元方向に移動する移動機構を有するものとされていてもよい。
また、上記溶液供給部としては、上記溶液吐出部に所定の量、溶液を供給可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的なスプレー洗浄装置に設けられている溶液供給手段等と同様の構造を有するものとすることができる。また、上記吸引乾燥部としては、上記光触媒含有層を乾燥させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的な洗浄装置に用いられている吸引乾燥部と同様の構造を有するものとすることができる。
なお、上記洗浄手段には、光触媒含有層を熱乾燥させるための温度制御部や、洗浄部から吐出される溶液の圧力を調整するための圧力制御部等を有するものであってもよい。ここで、上記洗浄手段から吐出される溶液等については、上述した「A.パターン形成体の製造方法」で説明したものと同様とすることができる。
(3)固体状物質を接触させることにより、上記光触媒含有層から付着物を除去する手段
次に、本工程において固体状物質を接触させることにより、上記光触媒含有層から付着物を除去する手段について説明する。上記光触媒含有層に固体状物質を接触させることにより、上記光触媒含有層から付着物を除去する手段としては、例えば光触媒含有層に吸着性を有する吸着板を接触させて光触媒含有層側基板から付着物を除去する吸着手段や、ブラシを用いて光触媒含有層側基板から付着物を掃きとる手段等が挙げられる。
上記吸着手段としては、例えば、吸着性を有する吸着板を有するものとされ、この吸着板は光触媒含有層と密着した後、光触媒含有層から剥離するような移動機構を有するものとされる。上記吸着板の種類等としては、付着物との接着性を有し、かつ光触媒含有層から剥離することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば一般的な粘着層を基板上に形成したもの等とすることができ、付着物の種類等により適宜選択される。
また、上記ブラシを用いる手段としては、光触媒含有層表面の洗浄を行うブラシ部を有するものとされ、このブラシ部は光触媒含有層と接触後、光触媒含有層に沿って移動する機構を有するものとされる。このようなブラシ部としては、光触媒含有層を傷つけないものであれば特に限定されるものではなく、一般的な装置の洗浄等に用いられるものと同様とすることができる。
3.パターン形成用基板支持部
次に、本発明のパターン形成体製造用装置におけるパターン形成用基板支持部について説明する。本発明のパターン形成体製造用装置におけるパターン形成用基板支持部は、上記パターン形成用基板を、パターン形成体製造用装置内で安定して支持することが可能なものであれば特に限定されるものではない。その基板支持部の形状等は、本発明のパターン形成体製造用装置により露光されるパターン形成用基板の形状や用途等に合わせて適宜選択されることとなり、例えばパターン形成用基板の全面を支えるような構造であってもよく、またパターン形成用基板の一部を支持するような構造であってもよい。
このようなパターン形成用基板支持部は、パターン形成用基板を支持することが可能な強度を有するものであれば、その材料等は特に限定されるものではなく、例えば金属やセラミック等の無機材料や、プラスチック等の有機材料も用いることができる。なお、上記パターン形成用基板支持部により支持されるパターン形成用基板としては、上述した「A.パターン形成体の製造方法」で説明したパターン形成用基板と同様とすることができる。
4.光触媒含有層側基板支持部
次に、本発明のパターン形成体製造用装置における光触媒含有層側基板支持部について説明する。本発明のパターン形成体製造用装置における光触媒含有層側基板支持部は、上記光触媒含有層側基板を、上記パターン形成用基板支持部により支持されたパターン形成用基板と対向するように、パターン形成体製造用装置内で安定して光触媒含有層側基板を支持することが可能なものであれば特に限定されるものではない。その光触媒含有層側基板支持部の形状等は、光触媒含有層側基板の形状や用途等に合わせて適宜選択されることとなり、例えば光触媒含有層側基板の全面を支えるような構造であってもよく、また光触媒含有層側基板の一部を支持するような構造であってもよい。
このような光触媒含有層側基板支持部は、上述したパターン形成用基板支持部と同様とすることができる。また、上記光触媒含有層側基板支持部およびパターン形成用基板支持部は、光触媒含有層中に含有される光触媒のエネルギー照射に伴う作用が、パターン形成用基板に及ぶような距離にパターン形成用基板および光触媒含有層側基板が支持されるように形成される。なお、上記距離や、上記光触媒含有層側基板支持部により支持される光触媒含有層側基板としては、上述した「A.パターン形成体の製造方法」で説明したものと同様とすることができる。
5.エネルギー照射部
次に、本発明に用いられるエネルギー照射部について説明する。本発明に用いられるエネルギー照射部は、上記光触媒含有層側基板の光触媒含有層にエネルギーを照射可能なものであれば特に限定されるものではない。上記エネルギー照射部は、パターン形成体製造用装置において、例えば図2(a)に示すように、上記光触媒含有層側基板支持部12側に設けられているものであってもよく、また上記パターン形成用基板支持部側に設けられているものであってもよい。
このようなエネルギー照射部としては、光触媒含有層中の光触媒を励起可能なエネルギーを照射可能なランプを有するものであればよく、例えば水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を有するものとすることができる。またエキシマ、YAG等のレーザを有するもの等であってもよい。
6.パターン形成体製造用装置
本発明のパターン形成体製造用装置は、上記イオン照射手段、付着物除去手段、パターン形成用基板支持部、光触媒含有層側基板支持部、およびエネルギー照射部を有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて例えばフォトマスクを支持するフォトマスク支持手段や、パターン形成体製造用装置内の温度を制御する温度制御手段、パターン形成体製造用装置内の湿度を制御するための湿度制御手段等を有していてもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
<パターン形成用基板の作製>
フルオロアルキルシラン(TSL8233 GE東芝シリコーン製)1.5g、テトラメトキシシラン(TSL8114 GE東芝シリコーン製)5.0g、および0.1N塩酸3gを24時間常温にて攪拌してフッ素を有する撥液剤を作製した。この撥液剤1gにイソプロパノール99gを添加し、10分間常温にて攪拌した。この希釈液をガラス基板上にスピンコーター(700rpmで5秒)で塗布し、撥液性を有する濡れ性変化層が形成されたパターン形成用基板を得た。
<光触媒含有層側基板の作製>
チタニアゾル(STS−01 石原産業株式会社製)に水とイソプロパノールとを混合し、酸化チタン固形分が0.5wt%の希釈液を作製した。この希釈液を、線幅50μmのライン&スペースが交互に並んだパターンとなるように遮光部が形成されたフォトマスクの遮光部形成面上に、スピンコーター(700rpmで5秒)で塗布し、光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板を得た。
<パターン形成工程>
上記パターン形成用基板と上記光触媒含有層側基板とを間隙を10μm空けて対向させ、上記光触媒含有層側基板を介して上記パターン形成用基板に超高圧水銀ランプ(365nm 30mW/cm)を用いて紫外光を200秒間照射したところ、線幅50μmの親液性領域のラインパターンが形成できた。
<イオン照射工程、付着物除去工程およびパターン形成工程>
続いてイオン照射工程および付着物除去工程として、上記露光後の光触媒含有層側基板の光触媒含有層に、照射距離5cmの位置からイオンバランス±5V、イオン発生量10〜50万個/mlのマイナスイオンとプラスイオンを風速1.5m/sec.で3分間同時照射した。その後パターン形成工程として、上述したパターン形成用基板に対して、上記光触媒含有層側基板を用いて、上記と同様に200秒間紫外光による露光を行った。
さらに、上記イオン照射工程、付着物除去工程およびパターン形成工程を交互に繰り返し行い、100枚のパターン形成体を作製した。結果、100枚全てのパターン形成体における親液性領域のラインパターンを、50μmの線幅に形成できた。なお、上記親液性領域のラインパターンの線幅は、パターン形成体の表面を光学顕微鏡により観察することにより行った。
[実施例2]
<パターン形成用基板の作製>
実施例1と同様の手法で撥液性を有する濡れ性変化層が形成されたパターン形成用基板を作製した。
<光触媒含有層側基板の作製>
実施例1と同様の手法で、線幅10μmのライン&スペースが交互に並んだパターンとなるような遮光部を有するフォトマスクの遮光部側の面に光触媒含有層を形成し、光触媒含有層側基板を得た。
<パターン形成工程>
上記パターン形成用基板と上記光触媒含有層側基板とを間隙を1μm空けて対向させ、上記光触媒含有層側基板を介して上記パターン形成用基板に超高圧水銀ランプ(365nm 30mW/cm)を用いて紫外光を200秒間照射したところ、線幅が10μmの親液性領域のラインパターンを形成できた。
<イオン照射工程、付着物除去工程およびパターン形成工程>
続いてイオン照射工程として、上記露光後の光触媒含有層側基板の光触媒含有層に、照射距離5cmの位置からイオンバランス±10V、イオン発生量5〜20万個/mlのマイナスイオンとプラスイオンを風速0.5m/sec.で1分間同時照射した。続いて、付着物除去工程として、光触媒含有層を100mmHgで1分間吸引した。その後パターン形成工程として、上述したパターン形成用基板に対して、上記付着物除去工程後の光触媒含有層側基板を用いて、上記と同様に200秒間紫外光による露光を行った。
さらに、上記イオン照射工程、付着物除去工程およびパターン形成工程を交互に繰り返し行い、100枚のパターン形成体を作製した。結果、100枚全てのパターン形成体における親液性領域のラインパターンを、10μmの線幅に形成できた。なお、上記親液性領域のラインパターンの線幅は、パターン形成体の表面を光学顕微鏡により観察することにより行った。
[実施例3]
<パターン形成用基板の作製>
実施例1と同様の手法で撥液性を有する濡れ性変化層が形成されたパターン形成用基板を作製した。
<光触媒含有層側基板の作製>
実施例1と同様の手法で、線幅15μmのライン&スペースが交互に並んだパターンとなるような遮光部を有するフォトマスクの遮光部側の面に光触媒含有層を形成し、光触媒含有層側基板を得た。
<パターン形成工程>
上記パターン形成用基板と上記光触媒含有層側基板とを間隙を2μm空けて対向させ、上記光触媒含有層側基板を介して上記パターン形成用基板に超高圧水銀ランプ(365nm 30mW/cm)を用いて紫外光を200秒間照射したところ、線幅が15μmの親液性領域のラインパターンが形成できた。
<イオン照射工程、付着物除去工程およびパターン形成工程>
続いてイオン照射工程として、上記露光後の光触媒含有層側基板の光触媒含有層に、照射距離5cmの位置からイオンバランス±10V、イオン発生量5〜20万個/mlのマイナスイオンとプラスイオンを風速0.5m/sec.で1分間同時照射した。続いて付着物除去工程として、光触媒含有層側基板を蒸留水に30秒間浸漬させ、ワイプにより水分を除去した。その後パターン形成工程として、上述したパターン形成用基板に対して、上記付着物除去工程後の光触媒含有層側基板を用いて、上記と同様に200秒間紫外光による露光を行った。
上記イオン照射工程、付着物除去工程、およびパターン形成工程を交互に繰り返し行い、100枚のパターン形成体を作製した。結果、100枚全てのパターン形成体における親液性領域のラインパターンを、15μmの線幅に形成できた。なお、上記親液性領域のラインパターンの線幅は、パターン形成体の表面を光学顕微鏡により観察することにより行った。
[実施例4]
<パターン形成用基板の作製>
実施例1と同様の手法で撥液性を有する濡れ性変化層が形成されたパターン形成用基板を作製した。
<光触媒含有層側基板の作製>
実施例1と同様の手法で、線幅40μmのライン&スペースが交互に並んだパターンとなるような遮光部を有するフォトマスクの遮光部側の面に光触媒含有層を形成し、光触媒含有層側基板を得た。
<パターン形成工程>
上記パターン形成用基板と上記光触媒含有層側基板とを間隙を5μm空けて対向させ、上記光触媒含有層側基板を介して上記パターン形成用基板に超高圧水銀ランプ(365nm 30mW/cm)を用いて紫外光を200秒間照射したところ、線幅が40μmの親液性領域のラインパターンが形成できた。
<イオン照射工程、付着物除去工程およびパターン形成工程>
続いてイオン照射工程として、上記露光後の光触媒含有層側基板の光触媒含有層に、照射距離5cmの位置からイオンバランス±10V、イオン発生量5〜20万個/mlのマイナスイオンとプラスイオンを風速0.5m/sec.で2分間同時照射した。続いて、付着物除去工程として、光触媒含有層にシリコンゴム製の吸着板を密着圧1.2kg/cmで10秒間接触させた。その後パターン形成工程として、上述したパターン形成用基板に対して、上記付着物除去工程後の光触媒含有層側基板を用いて、上記と同様に200秒間紫外光による露光を行った。
上記イオン照射工程、付着物除去工程、およびパターン形成工程を交互に繰り返し行い、100枚のパターン形成体を作製した。結果、100枚全てのパターン形成体における親液性領域のラインパターンを、40μmの線幅に形成できた。なお、上記親液性領域のラインパターンの線幅は、パターン形成体の表面を光学顕微鏡により観察することにより行った。
[比較例1]
<パターン形成用基板の形成>
実施例1と同様の手法で撥液性を有する濡れ性変化層が形成されたパターン形成用基板を作製した。
<光触媒含有層側基板の作製>
実施例1と同様の手法で、線幅50μmのライン&スペースが交互に並んだパターンとなるような遮光部を有するフォトマスクの遮光部側の面に光触媒含有層を形成し、光触媒含有層側基板を得た。
<パターン形成工程>
上記パターン形成用基板と上記光触媒含有層側基板とを間隙を10μm空けて対向させ、上記光触媒含有層側基板を介して上記パターン形成用基板に超高圧水銀ランプ(365nm 30mW/cm)を用いて紫外光を200秒間照射したところ、線幅が50μmの親液性領域のラインパターンが形成できた。
続いてパターン形成工程として、上記露光直後に、上記光触媒含有層側基板を所定の位置に設置したまま、露光後のパターン形成用基板と未露光のパターン形成用基板とを入れ替え、上記と同様に200秒間紫外光による露光を行った。
上記パターン形成工程のみを連続して行い、100枚のパターン形成体を作製した。結果、100枚中最初の1枚は線幅が50μmの親液性領域のラインパターンが形成できたが、2枚目は53μmの親液性領域のラインパターンが形成でき、3枚目以降線幅が太くなる傾向が確認され、7枚目以降は全て全面親液性領域となってしまった。このパターン形成体にインクを塗布したところ、基板全面にインクが濡れ広がりパターンが塗り潰れてしまった。なお、上記親液性領域のラインパターンの線幅は、パターン形成体の表面を光学顕微鏡により観察することにより行った。
[比較例2]
<パターン形成用基板の作製>
実施例1と同様の手法で撥液性を有する濡れ性変化層が形成されたパターン形成用基板を作製した。
<光触媒含有層側基板の作製>
実施例1と同様の手法で、線幅40μmのライン&スペースが交互に並んだパターンとなるような遮光部を有するフォトマスクの遮光部側の面に光触媒含有層を形成し、光触媒含有層側基板を得た。
<パターン形成工程>
上記パターン形成用基板と上記光触媒含有層側基板とを間隙を5μm空けて対向させ、上記光触媒含有層側基板を介して上記パターン形成用基板に超高圧水銀ランプ(365nm 30mW/cm)を用いて紫外光を200秒間照射したところ、線幅が40μmの親液性領域のラインパターンが形成できた。
<イオン照射工程およびパターン形成工程>
続いてイオン照射工程として、上記露光後の光触媒含有層側基板の光触媒含有層に、照射距離5cmの位置からイオンバランス±10V、イオン発生量5〜20万個/mlのマイナスイオンとプラスイオンを風速0.5m/sec.で1分間同時照射した。その後パターン形成工程として、上述したパターン形成用基板に対して、上記付着物除去工程後の光触媒含有層側基板を用いて、上記と同様に200秒間紫外光による露光を行った。
上記イオン照射工程およびパターン形成工程を交互に繰り返し行い、100枚のパターン形成体を作製した。結果、100枚中最初の1枚は線幅が40μmの親液性領域のラインパターンが形成できたが、2枚目は41μm、3枚目は42μm、4枚目は45μm、5枚目は48μmの親液性領域のラインパターンが形成でき、6枚目以降も線幅が太くなる傾向が確認され、12枚目以降は全て全面親液性領域となってしまった。このパターン形成体にインクを塗布したところ、基板全面にインクが濡れ広がりパターンが塗り潰れてしまった。なお、上記親液性領域のラインパターンの線幅は、パターン形成体の表面を光学顕微鏡により観察することにより行った。
本発明のパターン形成体の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のパターン形成体製造用装置を説明するための説明図である。
符号の説明
1 …基材
2 …光触媒含有層
3 …光触媒含有層側基板
4 …パターン形成用基板
7 …特性変化パターン
11…パターン形成用基板支持部
12…光触媒含有層側基板支持部
13…エネルギー照射部

Claims (6)

  1. 基材、および前記基材上に形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板の前記光触媒含有層と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化するパターン形成用基板とを対向させて配置し、前記光触媒含有層にエネルギーを照射することにより、前記パターン形成用基板の表面に、特性が変化した特性変化パターンを形成してパターン形成体を形成するパターン形成工程を複数回行って、パターン形成体を複数製造するパターン形成体の製造方法であって、
    前記複数回行うパターン形成工程の間に、前記光触媒含有層に付着した付着物に正および/または負に帯電したイオンを照射するイオン照射工程と、前記イオンが照射された前記付着物を前記光触媒含有層から除去する付着物除去工程とを行い、
    前記パターン形成工程と同様の条件で未使用の光触媒含有層を用いて1回目に形成されたパターン形成体の特性変化パターンを測定した値を基準値とし、2回目以降に形成されたパターン形成体の特性変化パターンを測定した値が前記基準値と同様となるイオンの照射量を割り出し、前記イオン照射工程において前記光触媒含有層に照射するイオンの量を決定する、イオン照射量決定工程を前記イオン照射工程の前に予め行うことを特徴とするパターン形成体の製造方法。
  2. 前記イオン照射工程と、前記付着物除去工程とが同時に行われることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成体の製造方法。
  3. 前記付着物除去工程が、前記イオンが照射された前記付着物を、風圧により除去する工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体の製造方法。
  4. 前記付着物除去工程が、前記イオンが照射された前記付着物を、吸引除去する工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体の製造方法。
  5. 前記付着物除去工程が、前記イオンが照射された前記付着物を、液体により洗浄する工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体の製造方法。
  6. 前記付着物除去工程が、前記イオンが照射された前記付着物を、吸着板により吸着除去する工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体の製造方法。
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