JP4830219B2 - ファンモータの駆動回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はファンモータの駆動回路に関し、より詳細には、給湯器のファンモータ駆動回路に適した可変電圧出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の給湯器用のファンモーター駆動回路の回路構成を図2に示す。この種のファンモーター駆動回路(可変電圧出力装置)は、従来、商用電源に対して絶縁側であるスイッチングトランスの二次側に配置されており、図示のように、ファンモーターaと、図示しないスイッチングトランスの二次側に接続されて該ファンモーターaに可変電圧出力を供給するDC−DCコンバータ(安定化電源装置)bと、該DC−DCコンバータbの出力電圧を制御するファン制御IC(制御回路)cとを主要部として備えている。
【0003】
ファン制御ICcは、給湯器の制御中枢を構成するマイクロコンピュータ(図示せず)と接続されており、該マイクロコンピュータから入力されるファン制御信号(制御信号)に基づいてDC−DCコンバータbの出力電圧を制御する。
【0004】
具体的には、たとえば上記ファンモータaとして、直流10V未満では停止し、直流10V〜50Vの範囲で動作する直流ファンモーターが用いられたような場合、ファン制御ICcに対して上記マイクロコンピュータから0Vおよび1V〜5Vの範囲でファン制御信号が与えられる。すなわち、ファン制御ICcは、ファン制御信号が0Vの時はDC−DCコンバータbの出力電圧が0Vとなるように制御してファンモータaを停止させる一方、ファン制御信号が1V〜5Vの範囲では、ファン制御信号が1Vなら出力電圧が10V、ファン制御信号が5Vなら出力電圧が50Vとなるように制御してファンモータaを動作させている。
【0005】
なお、従来のファンモーター駆動回路では、ファン制御信号が1V以上のときにファンモータaが動作するように構成されるので、この場合、ファン制御信号において負荷の動作を開始させる電圧(負荷動作開始電圧)は1Vである。
【0006】
また、その一方で、ファン制御ICcの内部には、演算増幅器で構成されるエラーアンプdが設けられている。このエラーアンプdの反転入力端子には上記ファン制御信号が入力される一方、非反転入力端子にはDC−DCコンバータbの出力電圧(ファン出力電圧)がフィードバック入力され、これによってDC−DCコンバータbの出力電圧がフィードバック制御されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来の構成よりなるファンモータ駆動回路では、商用電源と上記DC−DCコンバータとの間には別途電源が設けられるが、近時における電源部分の省スペース化や高出力化の要望により、かかるファンモータ駆動回路をスイッチングトランスの一次側に配置する構成が採用されるに至っている。
【0008】
しかしながら、このような従来の構成のファンモータ駆動回路をスイッチングトランスの一次側に配置すると、マイクロコンピュータからファン制御信号として0Vの信号をファン制御ICcに送っても、回路のリーク電流によって電圧が発生し、その結果、DC−DCコンバータbから0V出力を行うのが困難であった。
【0009】
しかも、従来のようにファンモータ駆動回路をスイッチングトランスの二次側に配する構成では、商用電源と上記DC−DCコンバータとの間に別途設けられる電源に保護回路を設けることによって電源投入時や瞬時停電時などの電源立ち上がり時(過渡時)におけるDC−DCコンバータの破損防止が図られていたが、スイッチングトランスの一次側にファンモータ駆動回路を設ける構成では、このような保護回路を配することができず、ファンモータ駆動回路が商用電源から直に電源の供給を受けるため、入力電圧が低い過渡時においては上述したリーク電流によってファン制御信号が電圧を持つこと、ならびに電源のシーケンスの設定とによってDC−DCコンバータの出力電圧が最大となり、DC−DCコンバータを破損する原因となっていた。
【0010】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、スイッチングトランスの一次側に配しても安定して0V出力ができ、しかも入力過渡時に安定化電源装置が破損するおそれのない可変電圧出力装置で構成されたファンモータの駆動回路を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るファンモータの駆動回路は、安定化電源装置と、制御信号に基づいてこの安定化電源装置の出力電圧を制御する制御回路とを備えた可変電圧出力装置で構成されたファンモータの駆動回路であって、上記制御回路が安定化電源装置の出力電圧と上記制御信号とを比較してフィードバック制御を行うエラーアンプを備えたものにおいて、上記エラーアンプにおける上記出力電圧の入力端子の電圧を、回路のリーク電流により持ち上がる電圧より高く、かつ、上記制御信号において上記ファンモータを回転させるのに必要とされる負荷動作開始電圧未満の範囲に設定するプルアップ抵抗が設けられていることを特徴とする。
【0012】
そして、その好適な実施態様として、上記所定電圧が上記制御信号における負荷動作開始電圧未満に設定される。また、上記電圧設定手段としてはプルアップ抵抗が用いられる。
【0013】
ここで、制御信号の負荷動作開始電圧とは、制御信号として、たとえば0Vおよび1〜5Vの範囲の電圧が用いられ、1V以上の制御信号で負荷が動作を開始するような場合、1Vが負荷動作開始電圧とされる。
【0014】
すなわち、本発明においては、電圧設定手段によってエラーアンプにおけるフィードバック入力側の入力端子(安定化電源装置の出力電圧の入力端子)の電圧を、制御信号の入力端子の電圧より高く設定することによって、制御信号が0Vおよび制御電圧領域外の時に、制御信号の入力端子の電圧より高く設定することによって、電源投入時や瞬時停電時等のような入力過渡時におけるリーク電流による制御回路の誤動作を防止し、これによって安定化電源装置の破損を防止する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る可変電圧出力装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明に係る可変電圧出力装置を給湯器用ファンモータの駆動回路として用いた場合の回路構成を示している。この可変電圧出力装置は、図示しない商用電源に対して非絶縁側であるスイッチングトランスの一次側に配置されるファンモーター駆動回路として用いられており、図示のように、ファンモーター1と、該ファンモーター1に可変電圧出力を供給するDC−DCコンバータ(安定化電源装置)2と、該DC−DCコンバータ2の出力電圧を制御する制御回路3とを主要部として備えている。
【0017】
ファンモーター1は、図示しない給湯器の送風ファンを駆動するためのモーターであって、このファンモーター1としては、周知の形態よりなる直流ファンモーターが採用される。すなわち、本実施形態ではこのファンモータ1として、直流10V未満では停止し、直流10V〜50Vの範囲で動作する直流ファンモーターが用いられている。
【0018】
DC−DCコンバータ2は、上記ファンモーター1に駆動用の直流電圧を供給するための電源であって、商用電源(AC100V)を入力源とする周知の形態のスイッチングレギュレーターで構成される。
【0019】
このDC−DCコンバータ2の出力電圧は、制御回路3によって制御されている。制御回路3は、図外の給湯器の制御部に設けられるマイクロコンピュータと接続されており、該マイクロコンピュータから入力されるファン制御信号(制御信号)に基づいてDC−DCコンバータ2の出力電圧を制御するものとされ、本実施形態では、この制御回路3として、集積化されたIC(具体的にはファン制御IC)が採用されている。
【0020】
具体的には、本実施形態では、上記ファンモータ1として、直流10V未満では停止し、直流10V〜50Vの範囲で動作する直流ファンモーターが用いられているので、制御回路3に対して上記マイクロコンピュータから0Vおよび1V〜5Vのファン制御信号が与えられる。すなわち、制御回路3は、ファン制御信号が0Vの時はDC−DCコンバータ2の出力電圧が0Vとなるように制御してファンモータ1を停止させる一方、ファン制御信号が1V〜5Vの範囲では、ファン制御信号が1Vなら出力電圧が10V、ファン制御信号が5Vなら出力電圧が50Vとなるように制御してファンモータ1を動作させるように構成されている。
【0021】
さらに、この制御回路(ファン制御IC)3には、演算増幅器で構成されたエラーアンプ4が内蔵されている。このエラーアンプ4には、DC−DCコンバータ2の出力電圧を抵抗により分圧した電圧と、上記マイクロコンピュータからのファン制御信号とが入力される。
【0022】
つまり、エラーアンプ4の非反転入力端子にDC−DCコンバータ2の出力電圧(ファン出力電圧)を抵抗により分圧した電圧がフィードバック入力されるとともに、反転入力端子に上記ファン制御信号が入力され、エラーアンプ4においてこれらが比較され、その結果に基づいてDC−DCコンバータ2の出力電圧がフィードバック制御されている。
【0023】
そして、本実施形態に示す可変電圧出力装置においては、上述した構成に加えて、さらに上記エラーアンプ4におけるファン出力電圧の入力側、つまり、DC−DCコンバータ2の出力電圧を抵抗により分圧した電圧が入力される端子(非反転入力端子)の入力電圧を所定電圧以上に確定させる電圧設定手段が設けられている。
【0024】
具体的には、この電圧設定手段としては、図示のように、制御回路3の駆動電圧源Vccとエラーアンプ4の非反転入力端子との間に挿入されたプルアップ抵抗5が用いられている。このプルアップ抵抗5は、制御回路3の駆動電圧源Vccを分圧することによってエラーアンプ4の非反転入力端子の電圧を引き上げるための抵抗であって、このプルアップ抵抗5の挿入によって、ファン制御信号がファン制御電圧領域外(本実施形態では制御信号が0Vを超えかつ1V未満)の時には、エラーアンプ4の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧より常時高くなるように設定される。もちろん、ファン制御信号が0Vの場合であっても、エラーアンプ4の非反転入力端子の電圧が反転入力端子の電圧より高くなるように設定される。
【0025】
さらに、このプルアップ抵抗5の挿入によって、上記ファン制御信号がファン制御電圧領域外(本実施形態では制御信号が0Vを超えかつ1V未満)の時には、非反転入力端子の電圧が上記ファン制御信号のファン制御電圧領域外に設定される。もちろんファン制御信号が0Vの場合であっても、非反転入力端子の電圧が上記ファン制御信号のファン制御電圧領域外に設定される。
【0026】
すなわち、このプルアップ抵抗5は、電源投入時や瞬時停電時にDC−DCコンバータ2の出力が0Vである場合、ファン制御信号は本来なら0Vであるべきところ、たとえばファン制御信号がリーク電流によって数10mVに持ち上がったような場合であっても、非反転入力端子の電位を反転入力端子の電位より高く(つまりこの例では10mVより高く)することを目的として挿入される。なお、このとき制御回路3の電圧が正常時の12Vよりも低いことが考えられるが、その場合でもプルアップ抵抗5があることにより、回路のシーケンス上、非反転入力端子の電位が反転入力端子の電位(数10mV)よりも高くなる。
【0027】
一方、本実施形態では、上述したようにファン制御信号は0Vおよび1V〜5Vの範囲で出力可能とされるが、この0V出力はファンを停止させるものであって、実際にファンを回転させるのに必要なファン制御信号(負荷動作開始電圧)は1V以上である。したがって、プルアップ抵抗5により設定される非反転入力端子の電位は、制御回路3の電源が12VでかつDC−DCコンバータ2の出力が0Vのときは、上記負荷動作開始電圧に到達しない電圧、つまり、1V未満でなければならない。
【0028】
以上より、上記プルアップ抵抗5により設定される非反転入力端子の電位は、DC−DCコンバータ2の出力が0Vのとき、つまり、ファンを停止状態とするためにファン制御信号として0Vが出力されたとき(実際にはリーク電流で数10mVが反転入力端子に入力されたときも含む)、上記負荷動作開始電圧(1V)未満で、かつリーク電流によって持ち上がった電位(数10mV)より高くなければならないことから、本実施形態に示す可変電圧出力装置では、非反転入力端子の電圧はファン制御電圧領域外における、数10mVを十分に超えかつ1V未満の領域内に設定される。
【0029】
これにより、電源投入時や瞬時停電時などのように入力電圧過渡時であって制御回路3の駆動電圧源Vccの電圧が低いときでも、非反転入力端子の電圧が幾らか引き上げられ反転入力端子の電圧より高くなるので、リーク電流によってファン制御信号の電圧が持ち上がっても、制御回路3が誤動作することなく動作することが可能となる。つまり、プルアップ抵抗5の挿入によって、電源起動時や瞬時停電時などにおいても、DC−DCコンバータ2から安定して0V出力を行うことが可能とされる。
【0030】
このように、本発明に係る可変電圧出力装置によれば、給湯器用ファンモータの駆動回路を商用電源に対して非絶縁側であるスイッチングトランスの一次側に設けても、リーク電流によって制御回路3が誤動作することがないので、電源投入時や瞬時停電時などのように入力電圧過渡時においても、ファンモータ1に対して0V出力を実現することが可能とされる。また、これにともない、入力過渡時においてDC−DCコンバータ2を破損するおそれも解消される。
【0031】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなくその発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0032】
すなわち、上述した実施形態では、本発明の可変電圧出力装置を給湯器用ファンモータの駆動回路に適用した場合を示したが、本発明に係る可変電圧出力装置は、可変電圧出力を必要とする回路であれば他の目的・用途に用いられる回路にも適用可能である。たとえば、ペルチェ素子を使ったクーラーボックスのように可変電圧出力の電源を必要とするものにも適用可能である。
【0033】
また、上述した実施形態では、制御信号(ファン制御信号)が0Vおよび1V〜5Vの範囲に設定され、DC−DCコンバータ2の出力電圧として0Vおよび10V〜50Vの場合を示したが、これらの数値は適宜設定変更可能であることはもちろんである。
【0034】
また、上述した実施形態では、安定化電源装置としてDC−DCコンバータ2を用いる構成を示したが、本発明は制御信号に基づいて出力電圧の制御が可能であれば、たとえばAC−DCコンバータや3端子レギュレータなど他の形態の安定化電源装置を用いることも可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るファンモータの駆動回路では、安定化電源装置と、制御信号に基づいてこの安定化電源装置の出力電圧を制御する制御回路とを備えた可変電圧出力装置で構成されたファンモータの駆動回路であって、上記制御回路が安定化電源装置の出力電圧と上記制御信号とを比較してフィードバック制御を行うエラーアンプを備えたものにおいて、上記エラーアンプにおける上記出力電圧の入力端子の電圧を、回路のリーク電流により持ち上がる電圧より高く、かつ、上記制御信号において上記ファンモータを回転させるのに必要とされる負荷動作開始電圧未満の範囲に設定するプルアップ抵抗が設けられていることから、ファンモータの駆動回路の出力電圧として安定して0V出力を得ることができる。また、入力過渡時において、電源のシーケンスによってファンモータの駆動回路の安定化電源装置が破損するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可変電圧出力装置の概略構成を示す回路構成図である。
【図2】従来の可変電圧出力装置の概略構成を示す回路構成図である。
【符号の説明】
1 ファンモータ
2 DC−DCコンバータ(安定化電源装置)
3 制御回路(ファン制御IC)
4 エラーアンプ
5 プルアップ抵抗(電圧設定手段)

Claims (1)

  1. 安定化電源装置と、制御信号に基づいてこの安定化電源装置の出力電圧を制御する制御回路とを備えた可変電圧出力装置で構成されたファンモータの駆動回路であって、前記制御回路が安定化電源装置の出力電圧と前記制御信号とを比較してフィードバック制御を行うエラーアンプを備えたものにおいて、
    前記エラーアンプにおける前記出力電圧の入力端子の電圧を、回路のリーク電流により持ち上がる電圧より高く、かつ、前記制御信号において前記ファンモータを回転させるのに必要とされる負荷動作開始電圧未満の範囲に設定するプルアップ抵抗が設けられていることを特徴とするファンモータの駆動回路
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