JP4829928B2 - 多重循環式ボールねじ - Google Patents

Description

本発明は、ボールねじに関し、特に、複数本のねじ軸螺旋を有し、玉の循環が内部循環方式を採用する多重循環式ボールねじに関するものである。

ボールねじは、ねじ軸と、ナットと、から構成され、摩擦力を低減するために、ねじ軸とナットの間に複数の玉が設けられており、ナットの内部に設けられた循環システムによって、玉がナットの内部で循環に転がることができる。また、循環システムの形態が多いが、一般に、外部循環式と、内部循環式と、に大雑把に分けられる。

循環システムが外部循環式を採用する場合には、その構造が複雑であり、玉をリードアウトする経路が大きいので、ナットの外径も大きくなり、そして生産コストが増加する欠点があった。

循環システムが内部循環式を採用する場合には、このような循環システムは、隣接している螺旋の間に移動可能であり、複数本の螺旋を有するねじ軸に適用することができない。なお、このような循環システムを複数本の螺旋を有するねじ軸に適用すると、玉が予期しない螺旋に進入して、循環システムが塞ぎ止められるようになる。一方、本願の出願者は複数本の螺旋を有するねじ軸に適用可能な循環システムを提案したが、回流システムに使用される回流蓋の数量が数倍になり、且つ回流蓋をねじ軸の両側、更に、周面の四側に対称に設けることが必要であるので、加工が面倒になる欠点があった。

そこで、本発明の主な目的は、玉が重複に循環可能であり、複数本の螺旋を有するねじ軸に適用することができる多重循環式ボールねじを提供することにある。

また、本発明の次の目的は、玉は、予期するねじ軸螺旋及びナット螺旋の内部で転がり、予期しないねじ軸螺旋及びナット螺旋に進入することがない多重循環式ボールねじを提供することにある。

さらに、本発明の別の目的は、玉の循環経路の密度を増加することにより、ボールねじの強度が更に高くなり、又はナットの長さを短縮することにより、ナットの作製の困難度が降下し、且つナットの作製コストが低減する多重循環式ボールねじを提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明の請求項１に記載の多重循環式ボールねじによると、ねじ軸と、ナットと、複数の玉と、複数の回流蓋と、を含む多重循環式ボールねじにおいて、前記ねじ軸は、外周面に断面形状が半円を呈するねじ軸螺旋が少なくとも二つ開設されており、前記ナットは、前記ねじ軸螺旋に対応しており断面形状が半円を呈するナット螺旋が開設されており、前記ねじ軸に螺設されており、前記複数の玉は、その半径が前記ねじ軸螺旋及び前記ナット螺旋の断面の曲率半径とほぼ同様であり、前記ねじ軸螺旋と前記ナット螺旋の間に設けられており、前記複数の回流蓋は、一表面が前記ねじ軸の外周面に隣接されており、前記表面に沿って循環溝が開設されており、前記循環溝は、その両端にそれぞれ設けられている開口と、前記二つの開口を連通する連通部と、を有し、そのうちの一つの回流蓋の循環溝の二つの開口は、それぞれねじ軸螺旋の両端と連接しており、これにより、玉循環経路が構成され、前記連通部は、前記ねじ軸の外周面に隣接されており、別のねじ軸螺旋を跨り越えており、前記回流蓋の循環溝の深さは玉の直径とほぼ同様であり、前記回流蓋の循環溝の連通部の前記ねじ軸に隣接している表面には切り欠が狭く開設されており、前記切り欠の幅は前記玉の直径よりも小さく、前記ナット螺旋は、数量が二つあり、何れかの隣接している二つの前記回流蓋に開設された循環溝が相違なナット螺旋に連接されており、且つ隣接している二つの前記回流蓋によって連通している玉循環経路は、実際に、互いに平行しており、互いに交差しないことを特徴とする、多重循環式ボールねじである。

本発明の請求項２に記載の多重循環式ボールねじによると、前記玉の直径をＤとすれば、前記回流蓋の循環溝の深さは、１．２５Ｄよりも小さくて、１Ｄよりも大きい。

本発明の多重循環式ボールねじによれば、次のような効果がある。
（１）ねじ軸１０とナット２０との表面には、少なくとも、ねじ軸螺旋１２，１３と、ナット螺旋２１，２２と、が設けられているが、ねじ軸螺旋１２，１３と、ナット螺旋２１，２２とに適正数量の回流蓋４０を合せ、且つねじ軸螺旋１２及びナット螺旋２１の組合と、ねじ軸螺旋１３及びナット螺旋２２の組合と、に開口４３，４３をそれぞれ合せ、回流蓋４０がねじ軸螺旋１２とねじ軸螺旋１３を跨り越えることにより、玉３０は、ねじ軸螺旋１２及びナット螺旋２１の組合、又はねじ軸螺旋１３及びナット螺旋２２の組合の内部に重複に循環可能であり、そして本発明は複数本の螺旋を有するねじ軸１０に適用することもできる。

（２）玉３０が回流蓋４０を通過しているときには、循環溝４２の連通部４４のねじ軸１０に隣接している表面４１には切り欠４５が狭く形成されており、切り欠４５の幅４５は玉３０の直径よりも小さく、且つ連通部４４がねじ軸１０の外面１１に隣接しているので、玉３０は、連通部４４の両端にある開口４３，４３以外の箇所から出ることがなくなり、予期するねじ軸螺旋及びナット螺旋の内部で転がることができ、予期しないねじ軸螺旋及びナット螺旋に進入することがない。

（３）ナットの各玉循環経路が緊密に隣接しており、玉循環経路の密度が増加することにより、ボールねじの強度が更に高くなり、又は同じ数量の循環経路を有する前提で、ナットの長さを短縮することにより、ナットの作製の困難度が降下し、且つナットの作製コストが低減する。

以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。

まず、図１乃至図４を参照する。本発明の実施例１に係る多重循環式ボールねじは、ねじ軸１０と、ナット２０と、複数の玉３０と、二つの回流蓋４０と、を含む。

ねじ軸１０は、外周面１１に断面形状が半円を呈するねじ軸螺旋１２，１３が二つ開設されている。ナット２０は、ねじ軸螺旋１２，１３に対応しており断面形状が半円を呈するナット螺旋２１，２２が開設されており、ねじ軸１０に螺設されている。複数の玉３０は、その半径がねじ軸螺旋１２，１３及びナット螺旋２１，２２の断面の曲率半径とほぼ同様であり、ねじ軸螺旋１２，１３とナット螺旋２１，２２の間に設けられている。

二つの回流蓋４０は、一表面４１がねじ軸１０の外周面１１に隣接されており、外周面１１に沿って循環溝４２が開設されており、循環溝４２は、その深さが玉３０の直径とほぼ同様であり、その両端にそれぞれ設けられている開口４３，４３と、二つの開口４３，４３を連通する連通部４４と、を有し、回流蓋４０の循環溝４２の連通部４４のねじ軸１０に隣接している表面４１には切り欠４５が狭く開設されており、切り欠４５の幅は玉３０の直径よりも小さく、これにより、玉３０は切り欠４５から逃げることができなくなり、そのうちの一つの回流蓋４０の循環溝４２の二つの開口４３，４３は、それぞれねじ軸螺旋１２及びナット２１の組合の両端と連接しており、これにより、玉循環経路が構成され、連通部４４がねじ軸螺旋１３を跨り越えており、なお、別の回流蓋４０の循環溝４２の二つの開口４３，４３は、それぞれねじ軸螺旋１３及びナット２２の組合の両端と連接しており、これにより、玉循環経路が構成され、連通部４４がねじ軸螺旋１２を跨り越えている。

回流蓋４０の循環溝４２の連通部４４はねじ軸１０の外周面１１に隣接しており、且つ回流蓋４０の循環溝４２の深さは、玉３０の直径の１．２５倍よりも小さくて、玉３０の直径の１倍よりも大きく、そうすると、ナットの外径を小さくすることができる。

また、本発明に係る多重循環式ボールねじは、ナット螺旋２１とナット螺旋２２とには回流蓋４０がそれぞれ設けられており、且つ任意の隣接している二つの回流蓋４０の循環溝が相違なねじ軸螺旋と連接している。ねじ軸螺旋１２とナット螺旋２１から構成される通路は回流蓋４０に設けられた循環溝４２の開口４３と連接し、そして回流蓋４０に設けられた循環溝４２の他端の開口４３はねじ軸螺旋１２とナット螺旋２１から構成される通路と連接しており、なお、ねじ軸螺旋１３とナット螺旋２２から構成される通路は別の回流蓋４０に設けられた循環溝４２の開口４３と連接し、そして回流蓋４０に設けられた循環溝４２の他端の開口４３はねじ軸螺旋１３とナット螺旋２２から構成される通路と連接しており、隣接している二つの回流蓋によって連通している玉循環経路は、実際に、互いに平行しており、互いに交差しない。そうすると、ナットの各玉循環経路が緊密に隣接しており、玉循環経路の密度が増加することにより、ボールねじの強度が更に高くなり、又は同じ数量の循環経路を有する前提で、ナットの長さを短縮することにより、ナットの作製の困難度が降下し、且つナットの作製コストが低減する。

次に、図４及び図５を参照しながら本発明の使用状態を説明する。ねじ軸１０又はナット２０の回動によって、ねじ軸螺旋１２及びナット螺旋２１と、ねじ軸螺旋１３及びナット螺旋２２と、の内部に設けられた各玉３０が転がるようになり、ねじ軸螺旋１２とナット螺旋２１から構成された通路に設けられている玉３０が、回流蓋４０の循環溝４２の一端の開口４３に流入して、連通部４４を通過して、他端の開口４３から出て、ねじ軸螺旋１２とナット螺旋２１から構成された通路に戻り、なお、ねじ軸螺旋１３とナット螺旋２２から構成された通路に設けられている玉３０が、別の回流蓋４０の循環溝４２の一端の開口４３に流入して、連通部４４を通過して、他端の開口４３から出て、ねじ軸螺旋１３とナット螺旋２２から構成された通路に戻り、このように、２組の玉３０はそれぞれの玉循環経路内に循環することができる。ねじ軸１０には複数本のねじ軸螺旋１２，１３が設けられているが、玉３０が回流蓋４０に設けられた循環溝４２を転がっているときには、連通部４４がねじ軸１０の外周面１１に隣接して設けられており、回流蓋４０の循環溝４２の深さが玉３０の直径とほぼ同じであるので、玉３０が殆どねじ軸の外周面に沿って転がり、ナットの外径を小さくすることができる。

また、図６を参照する。本発明の実施例２に係る多重循環式ボールねじは、ねじ軸１０と、ナット２００と、複数の玉３０と、二つの回流蓋４０と、を含む。

ねじ軸１０は、外周面１１に断面形状が半円を呈するねじ軸螺旋１２，１３が二つ開設されている。ナット２００は、単一のナット螺旋２１０が開設されており、ナット螺旋２１０がねじ軸螺旋１２，１３のうちの一つ（すなわち、１２又は１３）に対応しており、ねじ軸１０に螺設されている。複数の玉３０は、その半径がねじ軸螺旋１２及びナット螺旋２１０の断面の曲率半径とほぼ同様であり、ねじ軸螺旋１２とナット螺旋２１０の間に設けられている。

二つの回流蓋４０は、一表面４１がねじ軸１０の外周面１１に隣接されており、外周面１１に沿って循環溝４２が開設されており、循環溝４２は、その両端にそれぞれ設けられている開口４３，４３と、二つの開口４３，４３を連通する連通部４４と、を有し、回流蓋４０の循環溝４２の連通部４４のねじ軸１０に隣接している表面４１には切り欠４５が狭く開設されており、切り欠４５の幅は玉３０の直径よりも小さく、何れかの回流蓋４０の循環溝４２の二つの開口４３，４３は、それぞれねじ軸螺旋１２及びナット２１０の組合の両端と連接しており、これにより、玉循環経路が構成され、連通部４４がねじ軸螺旋１３を跨り越えている。

上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。

本発明に係る多重循環式ボールねじの組合状態を示す正面図 本発明に係る回流蓋の正面図 図２におけるＡ-Ａ線の矢視図 本発明に係る多重循環式ボールねじにおける玉の循環状態を示す概略図 本発明に係る多重循環式ボールねじにおける玉の移動経路を示す断面図 本発明に係るナット螺旋が一つだけを有する場合の玉の循環状態を示す概略図

１０：ねじ軸、１１：外周面、１２：ねじ軸螺旋、１３：ねじ軸螺旋、２０：ナット、２１：ナット螺旋、２２：ナット螺旋、３０：玉、４０：回流蓋、４１：表面、４２：循環溝、４３：開口、４４：連通部、４５：切り欠、２００：ナット、２１０：ナット螺旋。

Claims (2)

1. ねじ軸と、ナットと、複数の玉と、複数の回流蓋と、を含む多重循環式ボールねじにおいて、
   前記ねじ軸は、外周面に断面形状が半円を呈するねじ軸螺旋が少なくとも二つ開設されており、
   前記ナットは、前記ねじ軸螺旋に対応しており断面形状が半円を呈するナット螺旋が開設されており、前記ねじ軸に螺設されており、
   前記複数の玉は、その半径が前記ねじ軸螺旋及び前記ナット螺旋の断面の曲率半径とほぼ同様であり、前記ねじ軸螺旋と前記ナット螺旋の間に設けられており、
   前記複数の回流蓋は、一表面が前記ねじ軸の外周面に隣接されており、前記表面に沿って循環溝が開設されており、前記循環溝は、その両端にそれぞれ設けられている開口と、前記二つの開口を連通する連通部と、を有し、そのうちの一つの回流蓋の循環溝の二つの開口は、それぞれねじ軸螺旋の両端と連接しており、これにより、玉循環経路が構成され、前記連通部は、前記ねじ軸の外周面に隣接されており、別のねじ軸螺旋を跨り越えており、
   前記回流蓋の循環溝の深さは玉の直径とほぼ同様であり、前記回流蓋の循環溝の連通部の前記ねじ軸に隣接している表面には切り欠が狭く開設されており、前記切り欠の幅は前記玉の直径よりも小さく、
   前記ナット螺旋は、数量が二つあり、何れかの隣接している二つの前記回流蓋に開設された循環溝が相違なナット螺旋に連接されており、且つ隣接している二つの前記回流蓋によって連通している玉循環経路は、実際に、互いに平行しており、互いに交差しないことを特徴とする、多重循環式ボールねじ。
2. 前記玉の直径をＤとすれば、前記回流蓋の循環溝の深さは、１．２５Ｄよりも小さくて、１Ｄよりも大きいことを特徴とする、請求項１に記載の多重循環式ボールねじ。

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