JP4827308B2 - 高温強度が大きく、かつ耐食性および耐磨耗性に優れた排気弁用鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の排気弁、特に理論空燃比(λ=1)燃焼により上昇する高温排気用の排気弁として好適な、高温強度が大きく、かつ耐食性および耐磨耗性に優れた排気弁用鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の排気弁用鋼としては、適度の高温強度、耐食性および耐酸化性を有する JIS SUH35系の高Cr−高Mn・Fe基合金が使用されてきた。
しかしながら、近年、エンジンの種類によっては、高出力・高性能化に伴う燃焼温度の上昇に対応できるような高強度でかつ耐食性および耐摩耗性に優れた弁用鋼が求められるようになってきたが、これらの要請に対し、従来の SUH35系鋼では十分に応えることができなくなってきた。
【0003】
このため、SUH35 系弁用鋼に替わるものとして、JIS NCF751などの高ニッケル合金や SUH35系鋼にMo, W, NbおよびVなどの強化成分を添加して固溶強化や析出強化を図り、高温強度や耐磨耗性を改善した鋼種が提案されている(例えば、特許第 1407918号公報、特許第 2543417号公報、特開平9−310154号公報)。
しかしながら、これらの鋼種でも、まだ高温強度と耐磨特性の両者を兼備するまでには至っておらず、特に高温強度が不足していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、上記した特許第 2543417号公報に開示された弁用鋼の優れた耐食性、耐酸化性および耐クリープ特性は維持したまま、空燃比リーン化など燃焼温度の上昇に対応できる耐熱性の向上、特に熱間疲労強度と耐磨耗性の向上を図り、しかもガソリン・ディーゼルエンジン両用の排気弁としての使用が可能な、高温強度が大きく、かつ耐食性および耐磨耗性に優れた排気弁用鋼を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、鋼中の(C+N)量を調整した上で、Cuを添加し、さらにはMoとWを複合添加することが、所期した目的の達成に関し、極めて有効であることの知見を得た。
また、特に、鋼中に、粒径が3μm 以上の炭窒化物を4%以上の個数率で析出させることが、上記の目的を達成する上で一層有利であることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0006】
すなわち、本発明は、質量%で
C:0.45〜0.60%, Si:0.1 〜0.5 %,
Mn:6.0 〜8.0 %, Ni:8.0 〜11.0%,
Cr:22.0〜24.0%, Cu:0.4 〜1.0 %,
Nb:0.3 〜0.6 %, Mo:0.5 〜2.0 %,
N:0.35〜0.50%, W:0.5 〜2.0 %および
B:0.001 〜0.01%
を、
C+N:0.85〜1.00%,
Mo+W:2.0 〜3.0 %
を満足する範囲において含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、鋼中における粒径:3μm 以上の析出炭窒化物の個数率が4%以上であることを特徴とする、高温強度が大きく、かつ耐食性および耐磨耗性に優れた排気弁用鋼である。
【0008】
なお本発明で目標とする高温強度とは、 900℃における引張強度が245 N/mm2以上、また 800℃における高温疲労強度が 235 N/mm2以上のことである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、以下に示す成分組成の%表示はいずれも「質量%」である。
C:0.45〜0.60%
Cは、オーステナイト組織を安定化させるだけでなく、炭窒化物を形成・析出して、常温および高温強度を確保するために不可欠な元素である。また、本発明鋼では、基地にNbおよびW,Moに富む炭窒化物を析出させることによって、耐磨耗性の向上にも有効に寄与する。上記の効果を得るためには、0.45%以上の含有を必要とするが、0.60%を超えると耐酸化性や耐クリープ特性の低下をきたすので、Cは0.45〜0.60%の範囲に限定した。
【0010】
N:0.35〜0.50%
Nは、オーステナイトを生成し、組織の安定化を促すだけでなく、Cと作用して炭窒化物を形成、析出し、高温強度を向上させる有用元素である。かような効果は0.35%以上の含有で認められるが、0.50%を超えると耐クリープ特性の劣化につながり、また引抜き加工での加工硬化が著しくなるなど靱性低下にもつながるので、Nは0.35〜0.50%の範囲に限定した。
【0011】
C+N:0.85〜1.00%
上記したCおよびNはそれぞれ、単独で上記の範囲を満足するだけでは不十分で、合計量で0.85〜1.00%の範囲に制限する必要がある。
というのは、(C+N)合計量が0.85%に満たないと目標とする高温強度が得難く、また耐磨耗性の低下も懸念されるからであり、一方(C+N)量が1.00%を超えると高温強度の向上効果は飽和に達し、むしろ未固溶炭窒化物残留量が多くなって、結晶粒成長が阻害され、耐クリープ特性が劣化するからである。
【0012】
Si:0.1 〜0.5 %
Siは、溶鋼の脱酸剤として、また高温耐酸化性および耐硫化腐食性の向上に有用な元素であり、少なくとも 0.1%の含有を必要とするが、過度の添加は高Cr鋼ではσ相生成の助長および酸化鉛腐食の面で有害であり、特に 0.5%を超えるとこれらの弊害が著しくなるので、Siは 0.1〜0.5 %の範囲に限定した。
【0013】
Mn:6.0 〜8.0 %
Mnは、NiやC, Nと共にオーステナイト組織の安定化を促す有用元素である。また、硫化物系環境下における耐食性の改善元素および高価なNiの代替元素としても有用である。しかしながら、含有量が 6.0に満たないとその添加効果に乏しく、一方 8.0%を超えると本発明鋼では耐酸化性および耐クリープ特性の低下を招くので、Mnは 6.0〜8.0 %の範囲に限定した。
【0014】
Ni:8.0 〜11.0%
Niは、オーステナイト形成元素であり、常温における組織安定化のために重要な成分である。また、耐食性、耐熱性および耐酸化性の改善に不可欠な元素でもある。上記の目的のためには、少なくとも 8.0%の添加を必要とするが、11.0%を超えて含有させても耐食性および耐熱性の改善効果は小さく、むしろコスト高となるので、Niは 8.0〜11.0%の範囲に限定した。
【0015】
Cr:22.0〜24.0%
Crは、耐熱性、耐酸化性および耐食性を確保するための必須成分であり、本発明鋼のようにC、Nを多量に固溶させるためには、少なくとも22.0%の含有を必要とする。しかしながら、含有量が24.0%を超えるとシグマ相が生成し易くなり、靱性の低下をきたすので、Crは22.0〜24.0%の範囲に限定した。
【0016】
Cu:0.4 〜1.0 %
Cuは、ディーゼルエンジン対応の面で常温および高温における耐硫化腐食性の改善に効果があり、また微細なCu化合物の析出により高温強度の向上にも有効に寄与する。上記の効果を得るためには、少なくとも 0.4%の含有を必要とするが、1.0 %を超えて添加してもその効果は飽和に達し、むしろ熱間加工性や耐酸化性の面ではマイナスとなるので、Cuは 0.4〜1.0 %の範囲に限定した。
【0017】
Nb:0.3 〜0.6 %
Nbは、高温で安定な一次炭窒化物を形成することにより、高温固溶化熱処理における結晶粒の粗大化を抑制し、疲労強度の低下防止に有用なだけでなく、耐磨耗性の改善にも寄与する。そのためには少なくとも 0.3%の含有を必要とするが、0.6 %を超える添加は固溶C濃度を減少させ基地の強度低下を招くので、Nbは 0.3〜0.6 %の範囲に限定した。
【0018】
Mo:0.5 〜2.0 %
Moは、後述するWと共に、本発明では特に重要な元素である。
すなわち、Moは、基地に固溶して耐食性を改善するだけでなく、一部炭化物を形成し高温強度を向上させる効果がある。そのためには、少なくとも 0.5%の含有を必要とするが、Mo単独で 2.0%を超えて添加しても高温特性は大差なく、むしろ耐酸化性の低下やコスト高を招くので、Moは 0.5〜2.0 %の範囲に限定した。
【0019】
W:0.5 〜2.0 %
Wは、Moと同様、基地に固溶すると同時に、一部はMo・W複合炭窒化物を形成して、高温強度および耐磨耗性の向上に有効に寄与する。しかしながら、含有量が 0.5%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 2.0%を超えて添加しても高温強度の向上効果は飽和に達し、むしろ耐硫化腐食性の劣化やコスト高を招くので、Wは 0.5〜2.0 %の範囲に限定した。
【0020】
Mo+W:2.0 〜3.0 %
Mo, Wは、単独でも上記の効果を示すが、単にMoとWを上記の範囲で含有させただけでは、必ずしも十分な高温強度が得られるとは限らず、本発明で目標とする優れた高温強度を得るためには、両者の合計量を所定の範囲に規制することが重要である。
すなわち、MoとWを所定量複合含有させると、適正な大きさの複合炭窒化物が適正量析出し、これにより高温強度の有利な向上が達成されるからである。このためには、MoとWを合計で 2.0%以上含有させる必要があるが、3.0 %を超えるとその効果は飽和に達するので、(Mo+W)は合計で 2.0〜3.0 %の範囲で含有させるものとした。
【0021】
B:0.001 〜0.01%
Bは、オーステナイト結晶粒界を強化して、熱間加工性、高温強度および耐クリープ特性の改善に有効に寄与する。
上記の効果を得るためには、0.001 %以上の含有を必要とするが、過度の含有は粒界の溶融温度を低下させ熱間加工性を劣化させるので、上限は0.01%に限定した。
【0022】
以上、本発明に従う適正な成分組成範囲について説明したが、その他、組織の面からは、鋼中に、粒径:3μm 以上の炭窒化物を、4%以上の個数率で析出させることが必要である。
図1に、発明鋼として後掲する表1中のNo.1の鋼、また比較鋼としてSUH35 鋼(比較鋼1)、特許第 1407918号公報に開示の鋼(比較鋼2)、特許第 2543417号公報に開示の鋼(比較鋼3)および特開平9−310154号公報に開示の鋼(比較鋼4)を用い、それぞれ1150℃で 0.5hの固溶化熱処理後、750 ℃で4h時効処理を施した試料について、粒径:3μm 以上の炭窒化物の個数率と 900℃における引張強度および 800℃における高温疲労強度との関係について調べた結果を、比較して示す。
ここに、個数率は、熱処理条件毎に光学顕微鏡組織を調べたのち、電子顕微鏡・2次電子像を得、結晶粒内に析出している粒状の全炭窒化物を大きさ別に分類する画像処理とデータ解析を行って求めた。
【0023】
同図に示したとおり、本発明鋼は、粒径:3μm 以上の析出炭窒化物の個数率が6%と際立って高く、しかもかように高い個数率の場合には引張強度(900℃)≧245 N/mm2 でかつ高温疲労強度(800℃)≧235 N/mm2 という極めて優れた高温強度特性を得ることができた。
また、上記の要件を満足する場合には、高温強度特性だけでなく、耐磨耗性や耐クリープ特性も向上することが確認されている。
【0024】
そこで、発明者らは、上記のような極めて優れた高温強度特性を得ることができる析出炭窒化物の大きさと個数率について調べたところ、粒径:3μm 以上の析出炭窒化物の個数率が4%以上(好ましくは5%以上)であれば、目標とする高温強度特性が得られることが判明した。
【0025】
次に、かかる析出炭窒化物の成分について検討した。
図2に、上記した発明鋼のCr成分についての特性X線マッピング組織写真を示す。
図2中、赤く見えるのがCr化合物であるが、同図に示したとおり、発明鋼では、比較的大きなCr化合物が適度に分散していることが分かる。なお、図中、黒く見えるのはNb化合物である。
また、図3および図4には、同じ鋼組織におけるMoおよびW成分についての特性X線マッピング組織写真をそれぞれ示す。
図3,4から明らかなように、MoやWが検出された位置は、図2に示したCrが検出された位置と一致している。
従って、かかる析出炭窒化物は、Cr,MoおよびWの複合炭窒化物であることが確認された。
【0026】
なお、上記したような粒径が3μm 以上の複合炭窒化物を個数率で4%以上析出させるためには、1100〜1150℃の温度で固溶化熱処理した後、 700〜800 ℃程度の温度で時効熱処理を施すことが有利である。
【0027】
【実施例】
実施例1
表1に示す成分組成になる鋼を、誘導炉で大気溶解した後、8kgの鋼塊に鋳込み、1150℃に加熱後、20mm角の鍛造を経て、10mmφの丸棒に圧延し、ついで1050℃で焼鈍して製品棒とした。
なお、同表中、No.1〜3は発明鋼、No.4〜8は比較鋼、No.9は特許第2543417号公報に開示の従来鋼、No.10 は従来のJIS SUH35 鋼である。
【0028】
ついで、各鋼を、1100℃および1150℃の温度で30分保持後、水冷する固溶化熱処理を施したのち、750 ℃で4時間保持後、空冷する時効処理を施してから、高温強度試験(引張;平行部5mmφ、高温疲労;平行部6mmφ)、高温腐食試験(酸化鉛およびサルファーアタック;8mmφ×20mmL)および酸化増量(8mmφ×20mmL)用の試験片を作成し、各試験に供した。
得られた結果を、表2, 3に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
以下、各実験結果について具体的に説明する。
(1) 高温強度
発明鋼と比較鋼および従来鋼について、常温および 800℃、 900℃における引張強度を調べた。試験方法は、電気炉付帯の万能試験機で、平行部5mmφのJISZ 2201 14A号試験片を、各温度に10分加熱保持後、3mm/分の歪み速度で引張り強度および靱性を調査した。
表2に示したとおり、No.1〜3の発明鋼は、 800℃および 900℃における引張強度はそれぞれ 800℃:368 N/mm2 以上、 900℃:252 N/mm2 以上であり、No.9の特許第2543417 号より各々 15 N/mm2 以上、また No.10の JIS SUH35鋼の引張強度 800℃:343 N/mm2 および 900℃:220 N/mm2 より、各々 25 N/mm2 強の強度改善が認められた。
【0033】
次に、本発明鋼と比較鋼および従来鋼について、小野式回転曲げ試験機を用いて 800℃における疲労強度を調べた。
表2に示したとおり、発明鋼No.1〜3はいずれも、固溶化温度:1150℃処理の場合、疲労強度は 235 N/mm2以上であり、特許第2543417 号に開示の鋼やSUH35鋼よりも 35 N/mm2 以上も強度が向上している。
なお、No.6, 8の比較鋼も、 900℃における引張強度および 800℃における疲労強度については、発明鋼と同程度の値が得られたが、これらは、後述するように、耐食性および耐酸化性の面で劣っている。
【0034】
(2) 高温耐食性、耐酸化性
セラミック坩堝内の60%PbO+40%PbSO4 混合合成灰中で、920 ℃,1時間浸漬し、腐食減量について調査した。なお、この 6:4 PbO腐食減量が130 mg/cm2以下であれば、優れた高温耐食性を有しているといえる。
表3に示したとおり、発明鋼No.1〜3は、(C+N)が低い特許第2543417 号よりも劣った結果を呈したが、従来材の SUH35鋼とはほぼ同等の腐食減量を示し、開発目標を達成した。
また、耐酸化性は、試験片を坩堝に入れ、ブロアーで大気吸入(0.9 m3/min)可能なボックス内に設置した環状電気炉(900 ℃)中で連続 100時間加熱し、冷却時には坩堝蓋でスケール飛散防止を図り、重量増を調査した。この酸化増量が4.0 mg/cm2以下であれば、優れた耐酸化性を有しているといえる。
表3に示したとおり、発明鋼No.1〜3はいずれも、酸化増量が3.8 mg/cm2以下と優れた耐酸化性を有していた。なお、前述した比較鋼No.6, No.8は、高温耐食性および耐酸化性とも著しく劣っていた。
さらに、硫化腐食は、55%CaSO4 +30%BaSO4 +10%Na2SO4+5%C配合の合成灰入りセラミック坩堝中で、 870℃に80時間浸漬加熱して腐食減量を調べた。ただし、24時間毎新しい合成灰に取替えて加熱し、積算80時間とした。この腐食減量が 25 mg/cm2以下であれば、優れた耐硫化腐食性を有しているといえる。
表3に示したとおり、発明鋼No.1〜3はいずれも、No.9の特許第2543417 号に開示の鋼よりも腐食減量が増加したが、高C含有の SUH35鋼やMoを含有しない高C・W添加鋼の比較鋼No.7, No.8よりも腐食減量が少ない好結果を得た。
【0035】
実施例2
次に、発明鋼No.1, 2と従来鋼No.9, 10を素材とするエンジンバルブ粗形材に、所定の機械加工と熱処理を施して得たエンジンバルブ単体について高温磨耗試験を行った。
試験は、繰返し回転数:3250rpm 、試験時間:4h、加熱温度:600 ℃の条件で実施した。
得られた結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
同表から明らかなように、発明鋼を用いて作成したバルブは、従来鋼No.9〜10のバルブに比べて、明らかにバルブとシートの総磨耗量の減少が見られ、耐磨耗性に優れていることが分かる。
【0038】
【発明の効果】
かくして、本発明によれば、引張強度(900℃)≧245 N/mm2 かつ高温疲労強度(800℃)≧235 N/mm2 という高温強度特性に優れるだけでなく、高温での耐食性、耐酸化性および耐磨耗性に優れる排気弁用鋼を安定して得ることができる。
従って、本発明の弁用鋼は、空燃費リーン化など燃焼温度の上昇に対応した高温排ガス用の排気弁として極めて有効であり、またガソリン・ディーゼルエンジン両用の排気弁として使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明鋼と既存の比較鋼について、粒径:3μm 以上の炭窒化物の個数率と 900℃における引張強度および 800℃における高温疲労強度との関係を示した図である。
【図2】 発明鋼のCr成分についての特性X線マッピング組織写真である。
【図3】 発明鋼のMo成分についての特性X線マッピング組織写真である。
【図4】 発明鋼のW成分についての特性X線マッピング組織写真である。
Claims (1)
- 質量%で
C:0.45〜0.60%, Si:0.1 〜0.5 %,
Mn:6.0 〜8.0 %, Ni:8.0 〜11.0%,
Cr:22.0〜24.0%, Cu:0.4 〜1.0 %,
Nb:0.3 〜0.6 %, Mo:0.5 〜2.0 %,
N:0.35〜0.50%, W:0.5 〜2.0 %および
B:0.001 〜0.01%
を、
C+N:0.85〜1.00%,
Mo+W:2.0 〜3.0 %
を満足する範囲において含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、鋼中における粒径:3μm 以上の析出炭窒化物の個数率が4%以上であることを特徴とする、高温強度が大きく、かつ耐食性および耐磨耗性に優れた排気弁用鋼。
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