JP4826669B2 - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents
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Description
図10(a)に示す放電ランプは、バルブ101、電極102、103、封止部104、金属箔105を備える。106は水素ゲッター、107は石英棒、108は石英筒である。水素ゲッター106は、図10(b)に示すように、円筒状のイットリウムからなる水素ゲッター材109が、タンタル等の金属からなる有底円筒110と蓋111とからなる金属外皮112の内部に密封されている。有底円筒110の鍔部110Aと蓋111とが抵抗溶接されることによって金属外皮112の内部が密封される。水素ゲッター106は、図10(a)に示すように、水素ゲッター106を収納した石英筒108がバルブ101に固定され、石英筒108に設けられた石英棒107の他端をバルブ101に溶着することによりバルブ101に固定している。バルブ101内の水素は、タンタル等の水素透過性を有する有底円筒110を通して内部に侵入し、水素ゲッター材109によって吸着される。水素ゲッター材109は、有底円筒110と蓋111とからなる金属外皮112の内部に密封されているので、水素ゲッター材109が発光空間内の他の物質と反応することが防止され、水素を効率良く吸着することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記ケーシングは、水素ガスを該ケーシング内に流通させるための開口を有することを特徴とするショートアーク型放電ランプである。
請求項3記載の発明は、請求項1において、前記ケーシングが、コイル状に形成されていることを特徴とするショートアーク型放電ランプである。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1つの請求項の記載において、前記中空容器は、略C字状に形成され、前記軸部に巻装されていることを特徴とするショートアーク型放電ランプである。
請求項5記載の発明は、請求項4の記載において、前記軸部の直径をD2(mm)、前記略C字状の中空容器の内径をD1(mm)としたとき、下記の式(1)の関係を満たすことを特徴とするショートアーク型放電ランプ。
式(1)D1−D2>0.005(mm)
図1は、本実施形態に係る、発光管の内部が一部開示されたショートアーク型放電ランプ1の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、ショートアーク型放電ランプ1は、発光管11とその両端に連続する封止管部12Aと12Bを備える。発光管11の内部には、陰極13の本体部13Aと陽極14の本体部14Aとが、互いに向き合って配置されるとともに、放電空間Sに発光物質が封入されている。発光物質として少なくとも水銀が封入され、バッファガスとしてキセノン、アルゴン、クリプトンの少なくとも1種類が封入されている。また、発光物質としてキセノン、アルゴン、クリプトンの少なくとも1種類以上を封入しても良い。陰極13は、軸部13Bとこれより大径の本体部13Aとにより構成される。軸部13Bには、水素を透過する中空容器内に水素を吸収するゲッター材をを密閉してなる水素ゲッターがケーシング15内に載置されている。また、陽極14は、軸部14Bとこれより大径の本体部14Aとにより構成される。
同図に示すように、ケーシング15内には、例えば、略C字形状を有する中空容器16からなる水素ゲッター23が不図示の軸部13Bの周囲に載置されている。なお、ケーシング15を取付ける場所は、電極部(本体部と軸部)であれば良く、陰極側の軸部に限定されるものではない。
これらの図に示すように、両端の封止部18A、18Bは、中空容器18を構成する直管部18Cの両端を圧接加工することにより、又は溶着もしくは溶接することによって機密に密閉されている。これにより、中空容器18内のゲッター材17を放電空間と隔離して、放電空間内のガスと直接的に触れることを防止するとともに、ゲッター材17が中空容器18の外部に漏れることのないようにしている。なお、中空容器18は、必ずしもその両端に封止部を形成する必要は無く、例えば、有底筒状の部材を用いて一端側のみを封止した構造とすることもできる。
図2に示した略C字形状を有する中空容器16は、図3(b)に示した中空容器18の両端を紙面の上側又は下側に折り曲げ加工することによってC字形状に形成したものである。
同図に示すように、ケーシング15は、上下に電極軸部13Bを挿入するための開口151A、151Bが形成された、円筒状の容器であり、例えば、タングステン、モリブデン、タンタル等の材料によって構成される。ケーシング15には、軸部13Bに巻装されたコイル状のワイヤーからなる一対の落下防止部材19A、19Bがケーシング15を上下に挟むように配置され、軸部13Bに固定されている。ケーシング15は、上方側の開口151Aの直径が軸部13Bの直径よりも大きくなっており、開口151Aを通じて発光管11内に放出された水素ガスがケーシング15内に導かれる。中空容器16からなる水素ゲッター23は軸部13Bに溶接されることなく、軸部13Bの周囲に巻装された状態でケーシング15内に載置されており、ケーシング15の底板152によって落下することが防止されている。
式(1) D1−D2>0.005(mm)
すなわち、軸部13Bの直径D2と中空容器16の内径D1とが上記の式(1)の関係を満たす場合は、軸部13Bと中空容器16との間には隙間が介在する。したがって、この隙間によって、ショートアーク型放電ランプ1の点灯時に軸部13Bが高温化した場合において、軸部13Bから中空容器16への熱の流入が阻害される。その結果、ゲッター材17が高温化することが抑制され、ゲッター材17の水素吸収機能を損なうことがない。
ここで、実験に使用したショートアーク型放電ランプは以下の仕様のものである。発光管内容積は、1×10−3m3、キセノン封入量は、8×104Pa、水銀封入量は、35mg/cc、電極間距離は1×10−2m、陰極側軸部外径は約8mmである。
また、実験に使用した水素ゲッター23に係る仕様は以下のものである。水素吸蔵物質としてのイットリウムからなるゲッター材17を密封する略C形状のタンタル中空容器16を内包するケーシング15よりなり、ゲッター材17であるイットリウムの量は1.0gであり、タンタル中空容器16の寸法は、肉厚0.15mm、略C形状のタンタル中空容器16の内径は約8mm、外径は13.5mm、高さは12mmであり、ケーシング15の寸法は、内径14mm、外径16mm、内高さ14mm、外高さ16mmであり、材質はφ1の純タングステンによりカバー形状にしたものである。
同表に示すように、中空容器16の内径D1はφ7.950〜φ8.305mm、軸部13Bの直径D2の直径はφ7.945〜φ8.050mmである。
また、実験によって算出された照度変動率(照度安定度)の算出は方法は以下の通りである。まず、ショートアーク型放電ランプを露光装置に取り付け、そのレチクル(マスク)面に照度計を設置し、次にショートアーク型放電ランプの照度が安定となるまで点灯した後、一定時間(例えば1秒間に100点測定する)の間照度を測定した。測定した照度の最大値と最小値の差を平均値で除して、さらに100を乗ずることによって、照度変動率(%)を算出した。
同表の実験結果に示すように、中空容器16の内径D1が軸部13Bの直径D2より大きい場合は、その差が0.005であっても変動率は低く抑えられることが分かった。つまり、密着していないことにより、ゲッター材17の温度が下がり、水素吸収量が増加するからである。なお、中空容器16の内径D1が軸部13Bの直径D2より小さい場合の差は0.050以下とした。D1−D2が負になる場合においては、中空容器16が有する弾性により軸部に取付けられる。D1−D2の値が0.050より大きいと、弾性の限界を超えてしまい軸部13Bに中空容器16を入れることができないためである。
図6は、図1に示した陰極13の軸部13Bの周囲に、ケーシング15に代えて、ゲッター材17を密閉するとともに、水素を透過する中空容器16からなる水素ゲッター23が載置されたケーシング20を取り付けた構成を示す断面図である。
図6に示すように、ケーシング20は、上壁部201A、下壁部201Bのそれぞれに開口202A、202Bが形成され、下壁部201Bの開口202Bの開口端が軸部13Bに溶接されることによって軸部13Bに固定されている。上壁部201Aに設けられた開口202Aの直径は、発光管11内に放出された水素が通過できるように、軸部13Bの直径よりも大きくなっている。ゲッター材17が密閉された中空容器16からなる水素ゲッター23は軸部13Bに溶接されることなく、軸部13Bの周囲に巻装された状態でケーシング20内に載置されている。発光管11内に放出された水素ガスは、ケーシング20の上壁部201Aの開口202Aを通してケーシング20内に導かれ、中空容器16を透過して、ゲッター材17に吸収される。
図7は、図1に示した陰極13の軸部13Bの周囲に、ケーシング15に代えて、ゲッター材17を密閉するとともに、水素を透過する中空容器16からなる水素ゲッター23が載置されたケーシング21を取り付けた構成を示す断面図である。
図7に示すように、ケーシング21は、上壁部211A、下壁部211Bにそれぞれ設けられた開口212A、212Bの開口端が軸部13Bに溶接されることによって、軸部13Bに固定されている。下壁部211Bには、発光管11内に放出された水素ガスをケーシング21内に導くための環状の開口213が形成されている。ゲッター材17が密閉された中空容器16からなる水素ゲッター23は軸部13Bに溶接されることなく、軸部13Bの周囲に巻装された状態でケーシング21内に載置されている。発光管11内に放出された水素ガスは、ケーシング21の下壁部211Bの開口213を通してケーシング21内に導かれ、中空容器16を透過して、ゲッター材17に吸収される。
図8(a)は、図1に示した陰極13の軸部13Bの周囲に、ケーシング15に代えて、ゲッター材17を密閉するとともに、水素を透過する中空容器16からなる水素ゲッター23が載置されたケーシング22を取り付けた構成を示す斜視図、図7(b)は、ケーシング22の一部を開示した斜視図である。
図8(a)、(b)に示すように、ケーシング22は、ワイヤーを軸部13Bを包囲するように互いに密に巻き回すことによってコイル状に形成され、上端部221Aおよび下端部221Bを軸部13Bに溶接することによって軸部13Bに固定されている。このケーシング22の内部に、ゲッター材17が密閉された中空容器16からなる水素ゲッター23が軸部13Bの周囲に巻装された状態で載置されている。発光管11内に放出された水素ガスは、ケーシング22を構成するワイヤーの隙間を通してケーシング22内に導かれ、中空容器16を透過して、ゲッター材17に吸収される。
図9は、図1に示した陰極13の軸部13Bの周囲に、各中空容器が図3に示したものと同様であって、複数個の直管状の中空容器16(1)・・・16(n)からなる水素ゲッター23が載置されたケーシング15が取り付けられた構成であって、ケーシング15の一部が開示された斜視図である。
図9に示すように、図4に示したようなケーシング15内に、軸部13Bの周囲に複数個の直管状の中空容器16(1)・・・16(n)からなる水素ゲッター23が載置されている。発光管11内に放出された水素ガスは、ケーシング15の開口151Aを通してケーシング15内に導かれ、中空容器16(1)・・・16(n)を透過して、各中空容器内のゲッター材17に吸収される。なお、ケーシングは図4に示した形状のケーシングに限定されず、図6〜図8に示したケーシングを用いることもできる。
11 発光管
12A、12B 封止管部
13 陰極
13A 本体部
13B 軸部
14 陽極
14A 本体部
14B 軸部
15 ケーシング
151A、151B 開口
152 底板
16 中空容器
16(1)・・・16(n) 中空容器
17 ゲッター材
18 中空容器
18A、18B 封止部
18C 直管部
19A、19B 落下防止部材
20 ケーシング
201A 上壁部
201B 下壁部
202A、202B 開口
21 ケーシング
211A 上壁部
211B 下壁部
212A、212B 開口
213 開口
22 ケーシング
221A 上端部
221B 下端部
23 水素ゲッター
Claims (5)
- 発光管内に、本体部とそれに連設された軸部とで構成される一対の電極を互いに対向配置し、水素を透過する中空容器内に水素を吸収するゲッター材を封入してなる水素ゲッターを設けたショートアーク型放電ランプにおいて、
前記軸部に、前記水素ゲッターが載置されるケーシングを取り付けたことを特徴とするショートアーク型放電ランプ。 - 前記ケーシングは、水素ガスを該ケーシング内に流通させるための開口を有することを特徴とする請求項1記載のショートアーク型放電ランプ。
- 前記ケーシングが、コイル状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のショートアーク型放電ランプ。
- 前記中空容器は、略C字状に形成され、前記軸部に巻装されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つの請求項記載のショートアーク型放電ランプ。
- 前記軸部の直径をD2(mm)、前記略C字状の中空容器の内径をD1(mm)としたとき、下記の式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項4記載のショートアーク型放電ランプ。
式(1) D1−D2>0.005(mm)
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