JP5321425B2 - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents
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Description
また、キセノンを封入したショートアーク型放電ランプは、映写機などの画像投影装置において可視光光源として用いられている。
照度安定度はアークが揺らぐことによって光学系への光の入射量や入射角度分布が変化することによって生じる。照度安定度が低下すると、露光装置においては露光ムラという問題を引き起こし、画像投影装置においては画像のチラツキという問題を生じさせることになる。
陰極8は、先端部が円錐状に形成されている。この先端部を除く平行部分には、この平行部分の直径よりも小さい直径を有する細径部82が形成されている。平行部分の周囲には、トリウムタングステンのコイル84が一定の径で巻きつけられており、このコイル84と細径部82のあいだに空間が形成されている。
細径部82の周囲には、ジルコニウム箔からなる筒状のゲッター83が、溶接によって固定されている。
上記文献には、ゲッター83の周囲がエミッタを含有したコイル84で覆われているために、アークがゲッター83に移動することがなく、ジルコニウムからなるゲッター83がアークの高温にさらされて蒸発することを防ぐ効果があると記載されている。
そこで、水素吸蔵能力に優れたゲッター材として知られるイットリウムを用いることが検討されている。イットリウムは水銀と反応してアマルガムとなってしまうために、水銀ランプの発光管内で直接水銀蒸気に露出させることはできない。そのため、この問題を解決する手段として、イットリウムをタンタルなどの水素透過性金属で覆うことが知られている(特許文献2)。
この点について解決するために、本発明者らは、タンタルなどの水素透過性金属からなる密閉容器の内部に水素ゲッター材を封入した水素ゲッターを用いて、これを電極軸に固定することを検討している。
水素ゲッター2は、水素透過性金属によって構成される直管状の密閉容器21と、この密閉容器21の内部に密閉された水素ゲッター材22とにより構成される。23は両端封止部であり、密閉容器21を構成する直管部分の両端を気密に密閉している。
これにより、密閉容器21内のゲッター材22を放電空間と隔離して、放電空間内のガスに直接曝されることを防止するとともに、ゲッター材22が密閉容器21の外部に漏れることのないようにしている。
したがって、特許文献1に示されたゲッターの様な、金属箔といった単純な構成ではないために、密閉容器を破損させずに電極に取り付けることが困難であった。
該保持コイルの一端は該電極軸に巻きつけられた固定部であり、他端は開口した収容部であり、該収容部は互いに向き合って配置されており、該収容部が前記密閉容器を包囲して保持していることを特徴とする。
また、保持コイルの巻線と巻線の間を水素が透過するので、水素ゲッターの水素吸蔵を妨げない。
さらには、点灯始動時にアークが水素ゲッターに移行することを防ぐことができる。
この図において、ショートアーク型放電ランプ1は、略球状に形成された発光管10および発光管10の両端のそれぞれに連続する直管状の封止管部12、12を備える。
発光管10の内部には、陰極本体部13Cと陽極本体部13Aとが互いに向き合って配置され、発光物質が封入されている。
発光物質は水銀または希ガスである。水銀を主とする場合には、発光管内容積あたり1mg/cc以上封入され、補助ガスとして、キセノンガス、アルゴンガス、クリプトンのうちの何れか1種以上を0.01〜1Mpa(室温)封入してもよい。
希ガスを主とする場合には、例えば、0.5MPa(室温)以上のキセノンガスが封入されている。
同様に、陽極本体部13Aは、ロッド状の電極軸14により保持される。
したがって、発光管10の内面にOH基を含む石英ガラスを使用することにより、発光管10の内部放電空間に水素が不可避的に生成される。この水素を事後的に除去するために、発光管10内に水素ゲッター2が設けられる。
両端封止部23、23は、密閉容器21を構成する直管の両端を圧接加工することにより、または溶着、もしくは溶接することによって気密に密閉される。
これにより、密閉容器21内のゲッター材22を放電空間と隔離して、放電空間内のガスに直接曝されることを防止するとともに、ゲッター材22が密閉容器の外部に漏れることのないようにしている。
そして、密閉容器が水素透過性金属であることにより、水素は密閉容器21の内部に容易に導入され、ゲッター材22に吸蔵される。
なお、密閉容器21はタンタルの他にニオブでもよく、水素透過性があれば、タンタルやニオブと他の物質との化合物でもよい。また、密閉容器は管状部材以外にも、タンタル箔や薄いタンタルシートから製作しても良い。
ゲッター材22についても、イットリウムの他に、ジルコニウムを用いることもでき、イットリウム、またはジルコニウムと他の物質との化合物であってもよい。
この密閉容器31は、断面が幅広の略矩形状であり、扁平な形状のものである。このような形状は、長手方向をC字状に湾曲させることで、電極軸14の周囲に沿うように配置することができる。このとき、密閉容器31の厚みが小さいので、湾曲させ易く、湾曲させても破損しにくいという特徴がある。
そして、内部にゲッター材32を封入する容量を確保するためにある程度の幅を有しており、扁平な形状になっている。
この密閉容器31においても、直管状のものと同様に、周方向の両端に封止部33が形成されている。
図4(a)において、水素ゲッター3は、電極軸14の周囲に沿うように配置され、上下を2つの保持コイル4A、4Bによって2方向から包囲されて保持されている。この保持コイル4Aは、コイル径の小さい固定部41Aと、コイル径の大きい収容部42Aを備えている。
これらの保持コイルは、タングステン、モリブデン、タンタル、もしくはニオブ等の高融点金属を材料として用いることが好ましい。あるいは、これらの金属を含む合金を材料としてもよい。
図4(b)に示すように、陰極の先端側に配置される保持コイル4Aは、固定部41Aが先端側、収容部42Aが基端側となるように配置される。一方、水素ゲッター3を挟んで基端側に配置される保持コイル4Bは、収容部42Bが先端側、固定部42Aが基端側となるように配置される。
それぞれの保持コイル4A、4Bの固定部41A、41Bは、直接電極軸14の外周に巻き付けられた状態で、溶接されるか、加締めてコイルばねの弾性力で保持することによって固定される。
例えば、単一のコイルでゲッターを包囲しようとすると、両端を保持する必要があるために、溶接や加締めによる固定手段が採用される。これらの固定手段では、水素ゲッターの密閉容器が破損するおそれがあるのに加えて、コイルによって密閉容器が覆われてしまうので、破損したかどうかはランプを長時間点灯して不具合が起こらないとわからないという問題がある。
その点、本発明の保持コイルは、水素ゲッターの密閉容器自体に負荷を加えることがないので、破損のおそれがない。また、製造時の作業的にも簡便であり、安価で製造することができる。
水素ゲッターの密閉容器は、電極軸と完全に密着するわけではなく、コイル内である程度移動可能な状態で置かれている。そのため、直接固定する場合に比べて、電極軸との接触面積は少なく、温度上昇を抑制することができる。
その点ついて、図5を用いて説明する。図5は、本発明にかかる保持コイルについて説明する、電極軸近傍の斜視図である。
この図において、密閉容器3の封止部33の部分は、製造時に鋭角な部分33cが形成されているため、ランプ点灯始動時にアークが移行しやすい。そこで、保持コイル4A、4Bがこの部分を覆うことにより、アークが移行するのを防止することができる。
すなわち、密閉容器の形状に関係なく、2つの保持コイル内に収容できる、形状、寸法であればよい。
この通気窓45の幅は、水素ゲッター3が2つの保持コイルの外に飛び出すような寸法で無ければよい。
なお、水素はコイルの巻線と巻線の間を容易に透過できるので、通気窓45は設けずともよい。その他に、コイルを疎に巻くことで、巻線と巻線の間の隙間が広がって、流入する水素の量を増やすこともできる。
図6(a)は、電極軸に加工を施して、保持コイルを固定する例を示す。
電極軸14の一部には、周方向に沿った輪状の凹部141A、141Bが形成されている。
この凹部141A、141Bに保持コイル4A、4Bの一部である固定部41A、41Bを巻き付けることにより、より確実に保持コイルを電極軸14に固定することができる。
電極軸14の周囲には、固定部に相当するコイル41A、41Bが配置され、例えば加締められて固定されている。このコイル41A、41Bの外周に収容部に相当するコイル42A、42Bの一部が加締められて固定されている。
このように、保持コイルは、複数のコイルの複合体によって構成することができ、一定の径のコイルを重ね合わせて構成することもできる。この場合は、途中で径が拡張するコイルをわざわざ製造する手間が要らないという利点がある。
また、コイルを幾重にも巻き付けて嵩上げすることにより、ゲッター収容空間の広さを簡便に調節することができる。
ここで、保持コイル4Aの下側の一端部44Aは、巻線の周回から外れて、収容部42Aのコイル径よりも外方に突出している。
その形状を利用して、点灯始動時に一時的にアークをこの端部44Aに移行させる。その後、時間経過とともにランプ内の温度が上昇して水銀蒸気圧が高まると、陰極の先端にアークが移行して正常点灯となる。
これにより、アークが水素ゲッター3に移行することを防ぐことができる。すなわち、避雷針の様に積極的にアークを誘引し、水素ゲッターをアークから守るという効果がある。
なお、このコイル端部44Aにアークを一時的に保持することについては、点灯プロセスが正常であれば、その後速やかにアークは陰極先端に移行するので問題ない。
図1に示した放電ランプは、発光管外径が例えばφ100mmであり、内部にキセノンが約0.1MPa(常温)、水銀が発光管内容積あたり35mg/cm3封入されている。
この放電ランプは、8kWの定電力電源(不図示)を用いて点灯される。
水素ゲッターについて、図3に示した形状の寸法は、径方向の厚みが3mm、電極軸の周囲に沿って湾曲させたときの内直径が6.3mm、電極軸方向の幅が6mmである。
密閉容器は、タンタルの管状部材を加工することで形成されており、その管壁の厚みは0.1mmである。密閉容器の内部には1gのイットリウムが封入されている。
保持コイルは、直径φ1mmのタングステン線を用いて適宜のマンドレル等に巻き回して形成され、一端側の内径がφ5.8mm、他端側の内径φ14mmとされる。この保持コイルは、上下保持用に2個作製され、それぞれの収容部が向き合うようにして、電極軸の外周に挿通される。
そして、この収容部で水素ゲッターの密閉容器を包囲したのち、固定部で電極軸に固定される。これにより、密閉容器が保持される。
12 封止管部
13A 陽極本体部
13C 陰極本体部
14 電極軸
141A 凹部
141B 凹部
2 水素ゲッター
21 密閉容器
22 ゲッター材
23 封止部
3 水素ゲッター
31 密閉容器
32 水素ゲッター
33 封止部
33c 鋭角な部分
4A 保持コイル
4B 保持コイル
41A 固定部
41B 固定部
42A 収容部
42B 収容部
44 コイル端部
45 通気窓
S 放電空間
8 陰極
82 細径部
83 ゲッター
84 コイル
Claims (5)
- 発光管内に、電極本体を支持する電極軸と、水素を吸着するゲッター材を有する水素透過性金属よりなる密閉容器とを有するショートアーク型放電ランプにおいて、
前記電極軸の外周には2つの保持コイルが固定されており、
該保持コイルの一端は該電極軸に巻きつけられた固定部であり、他端は開口した収容部であり、
該収容部は互いに向き合って配置されており、
該収容部が前記密閉容器を包囲して保持していることを特徴とするショートアーク型放電ランプ。 - 前記保持コイルのいずれか一端部が、前記収容部のコイル径よりも径方向の外側へ突出していることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。
- 前記固定部が、前記電極軸の周方向に形成された凹部に巻き付けられて固定されていることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。
- 前記ゲッター材はイットリウム、またはジルコニウムよりなり、
前記発光管内には水銀が封入されていることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。 - 前記保持コイルは、コイル径が一定である複数のコイルによって構成されたコイル複合体であることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。
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