JP4826536B2 - 移相回路 - Google Patents
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Description
従って、多段接続移相器において、位相変化時に通過損失増加を抑圧する手法が必要である。
高周波信号入力端子1−3、高周波信号出力端子2−3、可変容量素子の端子間容量を変化させるための直流電圧を印加する直流電圧印加端子3−3、直流電圧遮断用コンデンサ4a及び4b、RFチョークコイル5a及び5b、可変容量素子の端子間容量変化により移相された高周波信号を同相合成し、且つ高周波信号入力端子1−3と高周波信号出力端子2−3をアイソレートするための90度3dBハイブリッド6、可変容量素子としてのバラクタダイオード7a及びバラクタダイオード7b、直流電圧遮断用コンデンサ8a及び直流電圧遮断用コンデンサ8b、抵抗9a及び抵抗9bから構成される。
そこで、本発明の目的は、移相時の移相器間のインピーダンス不整合に伴う通過損失の変動の抑制が十分な移相器を提供することにある。
本発明に係る移相回路は、大きな移相量を確保するために多段に接続した移相器回路において、移相時の移相器段間インピーダンス不整合に伴う通過損失の変動を抑圧するため、移相器へ供給する直流可変電圧を元とし、抵抗分圧回路により最適に降圧された直流可変電圧をPINダイオードに印加し、順バイアス電流を変化させることで抵抗値を変化させ、そのPINダイオードを一部とする可変抵抗減衰回路の減衰量を変化することを特徴とする回路である。抵抗、コンデンサ、コイル、PINダイオード等の安価で小型の部品だけで構成可能である。また、PINダイオードへ供給する直流可変電圧は、移相器に供給する直流可変電圧を使用するため、新たに直流電源を必要とすることは無い。また、移相器の段数によらず、追加する回路ブロックは1つだけですむ。
図1に本発明に係る移相回路の一実施の形態を示す。
移相時の移相器段間インピーダンス不整合に伴う通過損失変動を吸収するため、PINダイオード19から構成される可変抵抗減衰回路20を実装している(図では可変抵抗減衰回路20は初段に実装されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、移相器の段間もしくは終段に実装されていてもよい。)。なお、図1に示した反射型移相器は11a及び11bのように簡略記述する。
多段(図1の例では2段)移相器11a及び移相器11bの段間にはコンデンサ、コイル、及び分布定数回路から構成されるインピーダンス整合回路12がそれぞれ実装される。
インピーダンス整合回路12をコンデンサ、コイルを使用した集中定数回路で構成する場合は、コイルを直列、コンデンサを対GNDに並列に接続するもの(図2(a))、コンデンサを直列、コイルを対GNDに並列に接続するもの(図2(b))等、様々な組み合わせが存在し、且つこれらは従属に複数接続されうる。また、インピーダンス整合回路12を分布定数回路で構成する場合、その構成要素はオープンスタブ(図2(c))、ショートスタブ(図2(d))などとなる。オープンスタブやショートスタブは電子部品では無く、プリント配線基板上のパターンにて構成され、その縦横寸法により特性は異なる。これらも従属に複数接続されうる。
PINダイオード19は、順バイアス電圧を印加した場合、等価的に純抵抗とみなすことができ、また順方向バイアス電流を変化することでその抵抗値を変化することができる可変抵抗素子である。順バイアス電流を大きくすると抵抗値が小さくなる特性を示す。本実施の形態では、直流電圧印加端子3−1に印加する直流可変電圧は負電圧としている。
従って、PINダイオード19のアノード電極は接地、カソード電極に負電圧が印加、すなわち順バイアス電圧が印加されており、この負電圧を変化することにより、可変抵抗と見なすことができる。
仮に直流電圧印加端子3−1に印加する可変電圧の範囲を−10V〜−1Vとすると、インピーダンス整合回路12は、電圧印加端子3−1の電圧が−1Vの時に移相器11aと移相器11bとの間のインピーダンスが最も良く整合されるようにコンデンサ、コイル定数等を調整する。
〔構 成〕
移相時の移相器段間インピーダンス不整合に伴う通過損失変動を吸収するため、PINダイオードから構成される可変抵抗減衰回路20を実装している。多段(図1では2段であるが限定されない。)の移相回路を構成する移相器11a及び移相器11bの段間にはコンデンサ、コイル、分布定数回路から構成されるインピーダンス整合回路12が実装される。
図5は実際のコンデンサの等価回路である。
図6は実際のコンデンサの周波数−インピーダンス特性を示す図であり、横軸が周波数軸であり、縦軸がインピーダンス軸である。
ところが7.9pFのような半端な容量値のコンデンサは市販されていないので、高周波信号の周波数が2GHzの場合、8pF等のコンデンサを使用することになる。
図1を参照して実施例の動作を説明する。
移相器11a及び移相器11bには、直流電圧印加端子3−1から可変直流電圧が供給される。反射型移相器は、図8に示すようにバラクタダイオード7a及びバラクタダイオード7bに逆バイアスを印加し、その電圧を変化することで反射位相を変化させ、移相を実現する。
本実施例では、バラクタダイオードのカソード電極を接地し、アノード電極側に可変電圧に印加することを想定しているため、直流電圧印加端子3−1からは負の電圧が移相器に印加される。逆にバラクタダイオードのアノード電極を接地する場合は、直流電圧印加端子3−1からは正の電圧を移相器に印加することになる。移相器11a及び移相器11bの段間にはコンデンサ、コイル、分布定数回路からなるインピーダンス整合回路12が実装される。インピーダンス整合回路12のコンデンサ、コイル定数、分布定数回路構造を最適化することにより、移相器への印加電圧が固定値の場合は段間インピーダンス整合をとることができる。
第一の効果は、位相変化時に多段移相器の通過損失変動を抑圧できることである。
第二の効果は、通過損失変動の小さい多段移相器を低価格で実現できることである。
第三の効果は、通過損失変動の小さい多段移相器を少ない実装面積で実現できることである。
第四の効果は、移相器の段数を増やしても、移相器部以外の部品増加なく、移相器通過損失変動小の効果を維持できることである。
図1では本発明の一実施例として90度3dBハイブリッドを使用した反射型移相器への適用を挙げているが、図7に示すように90度3dBハイブリッド6の替わりにサーキュレータ22を使用した反射型移相器にも適用可能である。
図7に示す移相器は、サーキュレータ22と、サーキュレータ22の入力端子PA(図では左端)と出力端子PCとの間にそれぞれ挿入されたコンデンサ4a,4bと、サーキュレータ22の制御端子PBとグラウンドとの間に直列に挿入されたコンデンサ8及び抵抗9と、制御端子PBとグランドとの間にカソード電極が接地されるように接続されたバラクタダイオード7と、バラクタダイオード7のアノード電極と制御端子PBとの間に挿入された高周波チョークコイル5とを備えたものである。
すなわち図7に示した端子1−2−端子2−2間の回路を図1に示した移相器11a,11bと置き換えて移相回路を構成してもよい。
2−1,2−2,2−3,2−4 信号出力端子
3−1,3−2,3−3,3−4 直流電圧印加端子
11a,11b 移相器
12 インピーダンス整合回路
13,14,15,16 抵抗
17a,17b RFチョークコイル
18a,18b コンデンサ
19 PINダイオード
20 可変抵抗減衰回路
Claims (6)
- 多段接続された移相器と、直流可変電圧を分圧する分圧回路と、該分圧回路で分圧された電圧が印加されて前記移相器を通過する信号を減衰させるPINダイオードとを備え、前記分圧回路の前記直流可変電圧が前記移相器の電源電圧と共通であることを特徴とする移相回路。
- 多段接続された移相器と、直流可変電圧を分圧する分圧回路と、前記いずれかの移相器に接続され前記分圧回路で分圧された電圧がカソード電極に印加されると前記移相器を通過する信号を減衰させるPINダイオードとを備え、前記分圧回路の前記直流可変電圧が前記移相器の電源電圧と共通であることを特徴とする移相回路。
- 多段接続された移相器と、直流可変電圧を分圧する分圧回路と、前記移相器に信号を通過させる抵抗と、前記抵抗の両端にコンデンサを介してカソード電極とアノード電極とがそれぞれ接続され、前記分圧回路で分圧された電圧が前記カソード電極に印加されると入力信号を減衰させるPINダイオードとを備え、前記分圧回路の前記直流可変電圧が前記移相器の電源電圧と共通であることを特徴とする移相回路。
- 前記PINダイオードのアノード電極とグラウンドとの間と、前記PINダイオードのカソード電極と前記分圧回路との間にそれぞれ高周波チョークコイルを挿入したことを特徴とする請求項3記載の移相回路。
- 前記移相器は、可変容量素子により移相された信号を90度3dBハイブリッドで同相合成し、入力端と出力端とをアイソレートする反射型移相器であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の移相回路。
- 前記移相器は、可変容量素子により移相された信号をサーキュレータで同相合成し、入力端と出力端とをアイソレートする反射型移相器であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の移相回路。
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