JP4824968B2 - ホスホン酸誘導体及びその酸付加塩、並びにそれを用いた農園芸用病害防除剤 - Google Patents

ホスホン酸誘導体及びその酸付加塩、並びにそれを用いた農園芸用病害防除剤 Download PDF

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Description

本発明は、ホスホン酸誘導体及びその酸付加塩、並びにそれを用いた農園芸用病害防除剤に関する。
従来から、植物病害を防除する用途に用いられる種々の農園芸用病害防除剤が研究されてきた。そして、このような農園芸用病害防除剤としては、種々のイソニコチン酸誘導体が開示されている。例えば、特開平1−283270号公報(特許文献1)においては、2,6−ジハロゲン化イソニコチン酸エステル誘導体が開示されている。また、特開平8−208615号公報(特許文献2)においては、2,6−ジクロロイソニコチン酸ベンジルアミド誘導体が開示されている。
しかしながら、このような従来の化合物やそれを含有する農園芸用病害防除剤は、人畜に対する毒性に対して十分な安全性を確保しつつ植物病害に対して優れた防除効果を得るという点で必ずしも十分なものではなかった。そのため、人畜に対する安全性が十分に高く、且つ、多種の有害生物に対してより強力な殺菌活性を有する化合物の開発が求められている。
特開平1−283270号公報 特開平8−208615号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、農園芸用病害防除剤、殺菌剤等への使用に適し、広汎な植物病害に対して優れた防除効果を発揮でき、しかも人畜に対する毒性が低く取扱い上の安全性が十分に高いホスホン酸誘導体及びその酸付加塩、並びに、それを有効成分として含有する農園芸用病害防除剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するホスホン酸誘導体及びその酸付加塩が広汎な植物病害に対して優れた防除効果を示し、しかも人畜に対する毒性が低く取扱い上の安全性が十分に高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩は、下記一般式(I)で表されることを特徴とするホスホン酸誘導体及びその酸付加塩である。
Figure 0004824968
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、環上に置換基(a)を有していてもよいベンゼン環及び環上に置換基(a)を有していてもよい5又は6員環から構成されるヘテロ環からなる群から選択されるいずれかを表し、置換基(a)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のフルオロアルコシキ基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1種であり;Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;nは0〜2の整数を表す。]
また、本発明の農園芸用病害防除剤は、下記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を有効成分として含有することを特徴とするものである。
Figure 0004824968
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、環上に置換基(a)を有していてもよいベンゼン環及び環上に置換基(a)を有していてもよい5又は6員環から構成されるヘテロ環からなる群から選択されるいずれかを表し、置換基(a)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のフルオロアルコシキ基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1種であり;Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;nは0〜2の整数を表す。]
本発明によれば、農園芸用病害防除剤、殺菌剤等への使用に適し、広汎な植物病害に対して優れた防除効果を発揮でき、しかも人畜に対する毒性が低く取扱い上の安全性が十分に高いホスホン酸誘導体及びその酸付加塩、並びに、それを有効成分として含有する農園芸用病害防除剤を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩について説明する。すなわち、本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩は、下記一般式(I):
Figure 0004824968
で表される化合物及びその酸付加塩である。
このような一般式(I)中のRは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、環上に置換基(a)を有していてもよいベンゼン環及び環上に置換基(a)を有していてもよい5又は6員環から構成されるヘテロ環からなる群から選択されるいずれかを表す。
前記炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基を挙げることができる。また、このような炭素数1〜6アルキル基の中でも防除効果の観点から、炭素数3〜4のアルキル基が好ましい。
前記炭素数3〜6のシクロアルキル基及び炭素数3〜6のシクロアルケニル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。このような炭素数3〜6のシクロアルキル基及び前記炭素数3〜6のシクロアルケニル基の中でも、防除効果の観点から、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
また、置換基(a)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のフルオロアルコシキ基、フェニル基及びシアノ基が挙げられる。
また、環上に前記置換基(a)を有していてもよいベンゼン環としては、例えばフェニル、4−クロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−エトキシフェニルが挙げられ、防除効果の観点からフェニル、4−クロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニルが好ましい。
環上に前記置換基(a)を有していてもよい5又は6員環から構成されるヘテロ環としては、例えばチオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、防除効果の観点から、ピリジン環が好ましい。
また、上記一般式(I)中のRは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。このような炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。また、Rとしては、防除効果の観点から、メチル基、エチル基が好ましい
さらに、上記一般式(I)中のRは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。このような炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状、分岐状及び環状のアルキル基のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
また、上記一般式(I)中のnは0〜2の整数であり、0〜1の整数であることが好ましい。
前述のような一般式(I)で表される本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩は広汎な植物病害に対して優れた防除効果を発揮できるものである。このような本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩の好適な例としては、一般式(I)中のR1、R、R及びnが表1に示す構造を有する化合物I−1〜32が挙げられる。
Figure 0004824968
次に、本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩を製造するための好適な方法について説明する。
本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩を製造するための方法は特に制限されないが、その好適な方法としては、例えば下記反応式(A):
Figure 0004824968
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、環上に置換基(a)を有していてもよいベンゼン環及び環上に置換基(a)を有していてもよい5又は6員環から構成されるヘテロ環からなる群から選択されるいずれかを表し、置換基(a)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のフルオロアルコシキ基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1種であり;Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;nは0〜2の整数を表す。]
で表される方法(A法)、下記反応式(B):
Figure 0004824968
[式(B)中、R、R、R、nはそれぞれ上記反応式(A)中のR、R、R、nと同義である。]
で表される方法(B法)、及び下記反応式(C):
Figure 0004824968
[式(C)中、R、R、R、nはそれぞれ上記反応式(A)中のR、R、R、nと同義である。]
で表される方法(C法)を挙げることができる。
<A法>
先ず、上記反応式(A)を採用して一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩を製造する方法(A法)について説明する。すなわち、A法においては、先ず、一般式(I−a)で表されるホスホン酸誘導体(一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体のRがHである化合物)を製造し、次に、得られた一般式(I−a)で表されるホスホン酸誘導体を用いて一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体を得る。
このような式(I−a)で表されるホスホン酸誘導体の製造方法としては、還元的アミノ化反応を利用して、還元剤の存在下で、一般式(II)で表されるアミン誘導体と一般式(III)で表される2,6−ジクロロ−4−ピリジンカルバルデヒドとを反応させて製造する方法(A−1法)や、一般式(IV)で表される2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチル化剤で、一般式(II)で表されるアミン誘導体をアルキル化して製造する方法(A−2法)等を挙げることができる。
また、一般式(I−a)で表されるホスホン酸誘導体を用いて一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体を得る方法としては、還元的アミノ化反応を利用して還元剤の存在下で、一般式(V)で示されるアルデヒド誘導体[R=H,炭素数1〜3のアルキル基を表す]と反応させて式(I)で示されるホスホン酸誘導体を製造する方法(A−3法)や、一般式(I−a)で表されるホスホン酸誘導体を、一般式(VI)で示されるアルキル化剤でアルキル化してホスホン酸誘導体(I)を製造する方法(A−4法)が挙げられる。
<B法>
次に、上記反応式(B)を採用して一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩を製造する方法(B法)について説明する。すなわち、B法においては、先ず、一般式(I−a)で表されるホスホン酸誘導体(一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体のRがHである化合物)を製造し、次に、得られた一般式(I−a)で表されるホスホン酸誘導体を用いて、一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体を得る。
このような式(I−a)で表されるホスホン酸誘導体の製造方法としては、還元的アミノ化反応を利用して、還元剤の存在下で、一般式(VII)で示されるケトン誘導体と一般式(VIII)で示される2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミンとを反応させて、式(I−a)で示されるホスホン酸誘導体を製造する方法を挙げることができる。なお、得られた一般式(I−a)で表されるホスホン酸誘導体を用いて、一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体を得る方法は、前述のA−3法やA−4法と同様の方法を採用することができる。
<C法>
次に、上記反応式(C)を採用して一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩を製造する方法(C法)について説明する。上記反応式(C)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩を製造する方法(C法)としては、例えばSynthesis,(3) 263−3 (1992)に記載された方法を採用することができる。すなわち、C法においては、先ず、一般式(IX)で表されるアルデヒド誘導体と一般式(VIII)で表される2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミンとを脱水反応させて一般式(X)で表されるイミン誘導体を製造し、三塩化りんの存在下、得られた一般式(X)で表されるイミン誘導体を一般式(XI)で表されるアルコール誘導体と反応させて一般式(I−b)で表されるホスホン酸誘導体(一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体のRがHであり、且つnが0である化合物)を製造する。
そして、このようにして得られた一般式(I−b)で表されるホスホン酸誘導体は、前述のA−3法やA−4法と同様の方法を採用することにより、一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体へ誘導できる。
また、一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体のうちRがHとなる化合物については、一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体のうちRが炭素数1〜4のアルキル基である化合物に対して酸を用いて加水分解することにより誘導することができる。
次に、上記A〜C法において採用されている還元的アミノ化反応とアルキル化反応とについて説明する。
(還元的アミノ化反応)
先ず、上記A〜C法において採用されている還元的アミノ化反応について説明する。このような還元的アミノ化反応としては、例えばJ.Am.Chem.Soc.,93,2897(1971);Synthesis,135(1975);Org.React.,4,174(1948);J.Org.Chem.,61,3849(1996);Tetrahedron Letters,31,5595(1990)等の文献に記載されている方法を挙げることができる。
このような還元的アミノ化反応に用いることができる還元剤としては特に制限されないが、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム等の複合水素化合物が好ましい。また、このような複合水素化合物以外にも、例えば水素ガスとパラジウム/木炭やラネーニッケル、ギ酸等の水素化触媒の組み合わせも好適に使用することが可能である。
また、前記還元的アミノ化反応は、溶媒中又は無溶媒条件下において行うことができる。更に、溶媒中で還元的アミノ化反応を行う際に用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;水;アセトニトリルを挙げることができる。このような溶媒は単独で使用することもでき、また、これらの溶媒のうちの少なくとも1種類を含む混合溶媒を使用することもできる。
さらに、前記還元的アミノ化反応を行う際の反応条件としては特に制限されないが、例えば、前記還元剤の使用量としては、一般式(III)で表される2,6−ジクロロ−4−ピリジンカルバルデヒド、一般式(VII)で表されるケトン誘導体又は一般式(V)で表されるアルデヒド誘導体に対して1.0〜20.0倍モル用いることが好ましく、1.0〜3.0倍モル用いることがより好ましい。
また、一般式(III)、(V)、(VII)及び(IX)で表される化合物、及び一般式(IV)及び(VI)で表されるアルキル化剤使用量としても特に制限されないが、アミン誘導体(II)、一般式(I−a)で表される化合物、及び一般式(VIII)で表される2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミンに対して、それぞれ1.0〜20.0倍モル用いることが好ましく、1.0〜3.0倍モル用いることがより好ましい。さらに、前記還元的アミノ化反応における温度条件についても特に制限されず、一般的な室温から沸点までの温度範囲としてもよく、20℃〜50℃の温度範囲とすることが好ましい。
(アルキル化反応)
次に、上記A〜C法において採用されているアルキル化反応について説明する。このようなアルキル化反応としては、通常のアルキル化反応の反応条件を利用することができる。また、このようなアルキル化反応は、溶媒中で行ってもよく、無溶媒条件下で行ってもよい。このような溶媒中でのアルキル化反応において使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;その他、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
また、このようなアルキル化反応は、塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基の存在下でアルキル化反応を行うと反応が促進される傾向にある。このような塩基の存在下で行うアルキル化反応に用いられる塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化合物;リチウムジイソプロピルアミド、n−ブチルリチウム等のアルカリ金属の有機金属化合物;トリエチルアミン、ピリジン、N、N−ジメチルアニリン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン)等の有機3級アミン類等が挙げられる。更に、このような塩基の使用量としては、アミン誘導体(II)あるいは(I−a)に対して1.0〜10.0倍モルであることが好ましく、1.0〜2.0倍モルであることがより好ましい。また、アルキル化剤(IV)及び(VI)の使用量は、それぞれ化合物(II)および化合物(I−a)に対して1.0〜20.0倍モルであることが好ましく、1.0〜4.0倍モルであることがより好ましい。
さらに、このようなアルキル化反応における反応温度は、用いる溶媒や塩基等により異なるものではあるが、通常0〜100℃の温度範囲であることが好ましく、20〜80℃の温度範囲であることが特に好ましい。また、前記アルキル化反応における反応時間は、反応温度や、用いる溶媒、塩基等によっても異なるものではあるが、通常0.1〜10時間であり、0.5〜5時間であることが好ましい。
以上、還元的アミノ化反応とアルキル化反応とを説明したが、以下において、上記A〜C法を採用して得られる一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体について説明する。
このようにして上記A〜C法を採用して得られる一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体においては、式中のRが結合する炭素が不斉炭素を有する場合があるため他の置換基の不斉点の有無にかかわらず光学異性体が存在し得る。また、本発明の一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体としては、すべてが単独のホスホン酸誘導体からなるものであっても、種々の異性体が任意の比率で混合した混合物の形態のものであってもよい。
さらに、上記A〜C法を採用して得られる一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体は容易に酸付加塩を形成することができ、無機酸塩又は有機酸塩とすることができる。ここで、酸付加塩を形成する酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、酪酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、マレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、サッカリン等の有機酸等が挙げられる。
このようにして得られる上記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩は、農園芸用病害防除剤や殺菌剤等に使用することができる。そして、本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩は広汎な植物病害に対して優れた防除効果を発揮することができる。すなわち、本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩は、イネいもち病(Pyricularia grisea)、イネごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、イネ白葉枯病(Xanthomonas oryzae)、イネ紋枯病(Rhizoctonia solani)、イネ小黒菌核病(Helminthosporium sigmoideun)、イネばか苗病(Gibberella fujikuroi)、イネ苗立枯病(Pythium aphanidermatum)、リンゴうどんこ病(Podosphaera leucotricha)、リンゴ黒星病(Venturia inaequalis)、リンゴモリニア病(Monilinia mali)、リンゴ斑点落葉病(Alternaria alternata)、リンゴ腐乱病(Valsa mali)、ナシ黒斑病(Alternaria kikuchiana)、ナシうどんこ病(Phyllactinia pyri)、ナシ赤星病(Gymnosporangium asiaticum)、ナシ黒星病(Venturia nashicola)、ブドウうどんこ病(Uncinula necator)、ブドウべと病(Plasmopara viticola)、ブドウ晩腐病(Glomerella cingulata)、オオムギうどんこ病(Erysiphe graminis f.sp hordei)、オオムギ黒さび病(Puccinia graminis)、オオムギ黄さび病(Puccinia striiformis)、オオムギ斑葉病(Pyrenophora graminea)、オオムギ雲形病(Rhynchosporium secalis)、コムギうどんこ病(Erysiphe graminis f.sp tritici)、コムギ赤さび病(Puccinia recondita)、コムギ黄さび病(Puccinia striiformis)、コムギ眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、コムギ赤かび病(Microdochium nivale)、コムギふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、コムギ葉枯病(Septoria tritici)、ウリ類うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、ウリ類の炭疸病(Colletotrichum lagenarium)、キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、キュウリ灰色疫病(Phytophthora capsici)、トマトうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、トマト輪紋病(Alternaria solani)、ナスうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、イチゴうどんこ病(Sphaerotheca humuli)、タバコうどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、テンサイ褐斑病(Cercospora beticola)、トウモロコシ黒穂病(Ustillaga maydis)、核果類果樹の灰星病(Monilinia fructicola)、種々の作物をおかす灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)等の植物病害に対して優れた防除効果を呈することができる。
次に、本発明の農園芸用病害防除剤について説明する。すなわち、本発明の農園芸用病害防除剤は、上記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を有効成分として含有することを特徴とするものである。
また、本発明において、上記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を農園芸用病害防除剤の有効成分として使用する場合には、上記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体やその酸付加塩をそのまま使用することも可能であるが、必要に応じて製剤補助剤等と混合して粉剤、水和剤、粒剤、乳剤等の種々の形態に製剤して使用することができる。
このような本発明の農園芸用病害防除剤においては、上記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩を0.1〜95質量%含有することが好ましく、0.5〜90質量%含有することがより好ましく、2〜80質量%含有することが更に好ましい。上記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩の含有量が前記下限未満では、得られる農園芸用病害防除剤が植物病害に対して十分な防除効果を発揮することができなくなる傾向にあり、前記上限を超えると、製剤補助剤の量が不十分となり、その結果、農園芸用病害防除剤として十分な効果が得られなくなる傾向にある。
また、前記製剤補助剤としては、固体坦体、液体希釈剤、界面活性剤等が挙げられる。このような固体坦体としては、例えば、タルク、カオリン、ベンナイト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレー等が挙げられる。また、前記液体希釈剤としては、水、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アルコール等が挙げられる。
また、前記界面活性剤を用いる場合には、その界面活性剤が有する効果(乳化剤、分散剤、湿潤剤等としての効果)によって使い分けることが好ましい。このような界面活性剤において、例えば、乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等を挙げることができ、分散剤としてはリグニンスルホン酸塩、ジブチルナフタリンスルホン酸塩等を挙げることができ、湿潤剤としてはアルキルスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩等を挙げることができる。
本発明の農園芸用病害防除剤は、使用の際にそのまま使用してもよく、水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用してもよい。ここで、希釈剤で希釈して使用する時の上記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩の濃度は0.001〜1.0質量%の範囲が望ましい。また、上記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩の使用量は畑、田、果樹園、温室等の農園芸地1haあたり、20〜5000g、より好ましくは50〜1000gである。これらの使用濃度および使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所、対象作物等によっても異なるものであるため、必要に応じて上記の範囲から増減してもよい。さらに、上記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩は他の有効成分、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤と組み合わせて使用することもできる。
以下、実施例(製造例、製剤例、試験例)に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の製造例、製剤例、試験例に限定されるものではない。なお、本実施例における化合物I−1〜32はR1、R、R及びnが表1に示す構造を有する上記一般式(I)で表される化合物と同一である。
(製造例1)
2−[(2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチル)アミノ]−2−フェニルエチルホスホン酸ジエチル(化合物I−13)を合成した。
先ず、1−アミノ−1−フェニルメチルホスホン酸ジエチル(0.55g,2.16mmol)と2,6−ジクロロ−4−ピリジンカルバルデヒド(0.38g,2.16mmol)とをジクロロエタン(DCE)10mlに溶解した後、NaBH(OAc)(1.50g,5.4mmol)を加えて室温(20〜25℃)下において3日間攪拌して反応液を得た。
次に、得られた反応液を濃縮した後、クロロホルム(50ml)と飽和重曹水(30ml)を加えて分配し、反応物を水相からクロロホルム(50ml)で抽出した後、得られたクロロホルム相を飽和食塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、これを濃縮せしめて濃縮物を得た。得られた濃縮物をシリカゲルカラム(溶離液;ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜1/2)で精製して目的の化合物(I−13)を無色油状物として0.70g得た。収率は78%であった。得られた化合物のNMRデータを以下に示す。
得られた化合物のH NMR:δ(400MHz, CDCl):1.30(3H,t,J=7.2Hz),1.31(3H,t,J=7.0Hz),2.06(1H,ddd,J=18.8,15.2,3.2Hz),2.19(1H,app.dt,J=10.4,15.4Hz),2.83(1H,s),3.55(1H,d,J=15.6Hz),3.62(1H,d,J=15.6Hz),3.99(1H,app.dt,J=10.0,3.2Hz),4.02〜4.18(4H,m),7.22(2H,s),7.26〜7.38(5H,m)。
なお、NMR測定には、溶媒として重水素化クロロホルム(純度99.8%)を使用し、標準物質としてテトラメチルシランを使用した。また、NMRのデータ中の各記号は次の内容を示す。
s:一重線、 d:二重線、 t:三重線、 q:四重線、 qui:五重線、 m:多重線、 br:ブロードライン。
(製造例2)
2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−[(2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチル)アミノ]エチルホスホン酸ジエチル(化合物I−26)を合成した。
先ず、2−アミノ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルホスホン酸ジエチル(0.80g,3.0mmol)と2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルクロライド(0.58g,2.5mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)10mlに溶解した後、KCO(0.51g,0.00246x 1.5mol)を加え、70℃で3時間攪拌して反応液を得た。
次に、得られた反応液に水(30ml)と酢酸エチル(50ml)とを加えて分配し、反応物を水相から酢酸エチル(50ml)で抽出した後、得られた酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、これを濃縮して濃縮物を得た。得られた濃縮物をシリカゲルカラム(溶離液;ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製して目的の化合物(I−26)を無色油状物として0.55g得た。収率は46%であった。得られた化合物のNMRデータを以下に示す。
得られた化合物のH NMR:δ(400MHz,CDCl):1.30(3H,t,J=7.0Hz),1.31(3H,t,J=7.0Hz),2.03(1H,ddd,J=19.1,15.3,3.4Hz),2.19(1H,app.dt,J=10.1,15.5Hz),2.95(1H,s),3.54(1H,d,J=15.6Hz),3.61(1H,d,J=15.6Hz),4.02〜4.18(5H,m),7.22(2H,s),7.48(2H,d,J=8.1Hz),7.62(2H,d,J=8.1Hz)。
(製造例3)
2−[(2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチル)メチルアミノ]−2−フェニルエチルホスホン酸ジエチル(化合物I−14)を合成した。
先ず、2−[(2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチル)アミノ]−2−フェニルエチルホスホン酸ジエチル(化合物I−13:0.70g,1.7mmol)をジオキサン(12.5ml)/1M NaHPOaq.(12.5ml)に加え、更に60℃の温度条件下において37%ホルマリン水溶液(1.3ml,17mmol)を加えた後、同温(60℃)の条件で11時間攪拌して反応液を得た。
次に、得られた反応液に水酸化ナトリウムを投入して塩基性(pH>10)にした後、ジエチルエーテル(50ml)で3回抽出を行い、得られたジエチルエーテル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮して濃縮物を得た。得られた濃縮物をシリカゲルカラム(溶離液;ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製して目的の化合物(I−14)を無色油状物として0.67g得た。収率は94%であった。得られた化合物のNMRデータを以下に示す。
得られた化合物のH NMR:δ(400MHz,CDCl):1.19(3H,t,J=7.0Hz),1.23(3H,t,J=7.0Hz),2.08(3H,s),2.30(1H,ddd,J=18.4,15.2,7.6Hz),2.53(1H,ddd,J=19.2,15.2,6.8Hz),3.38(1H,d,J=14.8Hz),3.44(1H,d,J=14.8Hz),3.80〜4.22(4H,m),7.21〜7.26(2H,m),7.30(2H,s),7.30〜7.41(3H,m)。
(製造例4)
2−(4−クロロフェニル)−2−[(2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチル)イソブチルアミノ]エチルホスホン酸ジエチル(化合物I−21)を合成した。
先ず、2−(4−クロロフェニル)−2−[(2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチル)アミノ]エチルホスホン酸ジエチル(0.40g,0.89mmol)とイソブチルアルデヒド(0.13g,1.8mmol)をジクロロエタン(DCE)5mlに溶解した後、NaBH(OAc)(0.47g,2.2mmol)を加えて、室温(20〜25℃)下において3日間攪拌して反応液を得た。
次に、得られた反応液を濃縮した後、クロロホルム(50ml)と飽和重曹水(30ml)を加えて分配し、反応物を水相からクロロホルム(30ml)で抽出した後、得られたクロロホルム相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、これを濃縮して濃縮物を得た。そして、得られた濃縮物をシリカゲルカラム(溶離液;ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製して目的の化合物(I−21)を無色油状物として0.18g得た。収率は39%であった。得られた化合物のNMRデータを以下に示す。
得られた化合物のH NMR:δ(400MHz,CDCl):0.82(3H,d,J=6.4Hz),0.93(3H,d,J=6.4Hz),1.15(3H,t,J=7.2Hz),1.18(3H,t,J=7.2Hz),1.72〜1.86(1H,m),2.02(1H,dd,J=12.8,6.0Hz),2.13(1H,dd,J=12.8,8.4Hz),2.25〜2.45(2H,m),3.22(1H,d,J=15.6Hz),3.59(1H,d,J=15.6Hz),3.80〜4.02(4H,m),4.10〜4.22(1H,m),7.16(2H,d,J=8.4Hz),7.25(2H,s),7.34(2H,d,J=8.4Hz)。
(製造例5)
3−(4−クロロフェニル)−3−[(2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチル)アミノ]プロピルホスホン酸ジエチル(化合物I−22)を合成した。
先ず、3−(4−クロロフェニル)−3−オキソプロピルホスホン酸ジエチル(1.0g,3.3mmol)と2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン(0.58g,3.3mmol)をジクロロエタン(DCE)20mlに溶解した後、NaBH(OAc)(1.74g,8.3mmol)を加え、2日間室温(20〜25℃)で攪拌して反応液を得た。
次に、得られた反応液に、クロロホルム(50ml)と飽和重曹水(30ml)を加えて分配し、反応物を水相からクロロホルム(50ml)で抽出した後、得られたクロロホルム相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、これを濃縮して濃縮物を得た。そして、得られた濃縮物をシリカゲルカラム(溶離液;ジエチルエーテル/酢酸エチル=1/0〜0/1)で精製して目的の化合物(I−22)を白色固体として0.55g得た。収率は36%であり、融点(m.p.)は121℃であった。得られた化合物のNMRデータを以下に示す。
得られた化合物のH NMR:δ(400 MHz,CDCl):1.30(6H,t,J=7.1Hz),1.53〜1.80(3H,m),1.82〜2.08(2H,m),3.55(1H,d,J=15.2Hz),3.57〜3.67(2H,m),3.98〜4.15(4H,m),7.19(2H,s),7.20(2H,d,J=8.4Hz),7.34(2H,d,J=8.4Hz)。
(製造例6)
1−シクロプロピル−1−[(2,6−ジシクロ−4−ピリジルメチル)アミノ]メチルホスホン酸ジエチル(化合物I−3)を合成した。
先ず、シクロプロピルアルデヒド(0.15g,2.1mmol)と2,6−ジクロロ−4−ピリジルメチルアミン(0.37g,2.1mmol)をベンゼン20ml中に投入し、少量のモレキュラーシーブ(メルク社製の商品名「モレキュラーシーブ0.4nm」)を入れて約1時間加熱還流して反応液を得た。
次に、反応液からベンゼンを留去して得られた残留物Aに、乾燥ジクロロメタン20mlと、乾燥エタノール0.31g(6.6mmol)を加えて氷冷した。その後、氷冷下において攪拌しながら、三塩化リン(0.34g,2.5mmol)のジクロロメタン溶液5mlを滴下した。そして、氷冷下において2時間攪拌した後、除々に室温(20〜25℃)にしながら一晩(15時間)攪拌した。
次いで、反応溶媒を減圧留去して得られた残留物Bを水と酢酸エチルで分配し、得られた酢酸エチル相を水洗し、硫酸ナトリウム(無水)で乾燥した後、溶媒を濃縮して濃縮物を得た。そして、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し目的の化合物(I−3)を無色油状物として0.42g得た。収率は、55.2%であった。得られた化合物のNMRデータを以下に示す。
得られた化合物のH NMR:δ(400MHz,CDCl):0.22〜0.25(1H,m),0.40〜0.46(1H,m),0.64〜0.67(2H,m),0.93〜0.99(1H,m),1.37(3H X 2,t,J=8.0Hz),2.14(1H,dd,J=12.0Hz,12.0Hz),4.04(2H,s),4.18(2H,q,J=7.2Hz),4.22(2H,q,J=7.2Hz),7.30(2H,s)。
上記した製造例1〜6に準拠した方法により、表2〜表5に示す化合物I−1〜2、4〜12、15〜20及び23〜32を合成した。各化合物が製造例1〜6のいずれに準拠したものであるかを表2〜表5に示す。また、各化合物の状態及びNMRデータを表2〜表5に示す。
Figure 0004824968
Figure 0004824968
Figure 0004824968
Figure 0004824968
なお、以下の製剤例及び試験例においては、比較化合物(a)として下記一般式(a)):
Figure 0004824968
で表される2,6−ジハロゲン化イソニコチン酸エステル誘導体を用い、比較化合物(b)として下記一般式(b):
Figure 0004824968
で表される2,6−ジクロロイソニコチン酸ベンジルアミド誘導体を用いた。
(製剤例1:粉剤)
以下に示す各成分を粉砕混合して、粉剤とした。
〈成分〉 〈質量部〉
化合物(I−1) 3
クレー 40
タルク 57。
(製剤例2:水和剤)
以下に示す各成分を粉砕混合して、水和剤とし、水で希釈した。
〈成分〉 〈質量部〉
化合物(I−3) 50
リグニンスルホン酸塩 5
アルキルスルホン酸塩 3
珪藻土 42。
(製剤例3:粒剤)
以下に示す各成分を均一に混合した後、水を加えて練り合わせ、押し出し式造粒機で粒状に加工乾燥して粒剤とした。
〈成分〉 〈質量部〉
化合物(I−6) 5
ベンナイト 43
クレー 45
リグニンスルホン酸塩 7。
(製剤例4:乳剤)
以下に示す各成分を均一に混合溶解して乳剤とした。
〈成分〉 〈質量部〉
化合物(I−10) 20
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 10
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 3
キシレン 67。
上記の方法により得られた薬剤を用いて、以下に示す試験を行った。
(試験例1:イネいもち病防除効果試験(水面施用))
先ず、水田土を詰めた1/10000aワグネルポットに3葉期のイネ(品種:コシヒカリ)を移植し20〜35日後、製剤例3に準じて調整した粒剤を所定濃度(250g/10a)となるように水面施用した。
次に、粒剤を水面施用してから10〜20日後に、イネ罹病上で形成させたイネいもち病菌の胞子を水で懸濁した溶液を噴霧して接種し、ガラス温室内のビニールトンネル内で高湿度の条件(温度23〜27℃、相対湿度90〜100RH)下に保った。このようなイネいもち病菌の接種から10〜20日後に以下に示す調査基準(中国農試:葉いもち調査基準)に基づいて、一試験区あたり全苗について発病度を調査し、一ポット当たりの平均発病度を求め、下記計算式により防除価(%)を算出した。
<調査基準>
〈発病度〉 〈発病面積率(%)〉
0 0
1 0より大きく0.5未満
2 0.5以上1未満
3 1以上2未満
4 2以上5未満
5 5以上10未満
6 10以上25未満
7 25以上50未満
8 50以上80未満
9 80以上100未満
10 枯死。
<防除価の計算式>
防除価=(1−処理区発病度/無処理区発病度)×100
このようにして算出して得られた防除価を表6に示す。
Figure 0004824968
(試験例2:コムギうどんこ病防除効果(茎葉散布))
先ず、角型ポット(1.5cmx2.0cm)を用いて、温室内で栽培した分げつ期のコムギ(品種:農林61号)に、製剤例2に準じて調製した水和剤を、所定濃度(90g/ha)となるように水で希釈して懸濁し、1000L/haの割合で散布した。
次に、水和剤を散布してから10〜20日後に、コムギうどんこ病の胞子をふりかけて接種し、ガラス温室内(温度23〜25℃、相対湿度70〜80RH)で発病させた。接種後10〜20日目に発病面積率(%)を達観で調査し、下記の調査基準に基づいて一ポット当たりの平均発病度を求め、下記計算式により防除価(%)を算出した。
(調査基準)
〈発病度〉 〈発病面積率(%)〉
0 0
1 0より大きく10未満
2 10以上20未満
3 20以上30未満
4 30以上70未満
5 70以上。
<防除価の計算式>
防除価=(1−処理区発病度/無処理区発病度)×100
このようにして算出して得られた防除価を表7に示す。
Figure 0004824968
表6及び表7に示す結果からも明らかなように、本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩は、各種植物病害に対する高い防除効果が得られることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、広汎な植物病害に対して優れた防除効果を発揮でき、しかも人畜に対する毒性が低く取扱い上の安全性が十分に高いホスホン酸誘導体及びその酸付加塩、並びに、それを有効成分として含有する農園芸用病害防除剤を提供することが可能となる。従って、本発明のホスホン酸誘導体及びその酸付加塩は、特に農園芸用病害防除剤や殺菌剤等として有用なものである。

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で表されることを特徴とするホスホン酸誘導体及びその酸付加塩。
    Figure 0004824968
    [式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、環上に置換基(a)を有していてもよいベンゼン環及び環上に置換基(a)を有していてもよい5又は6員環から構成されるヘテロ環からなる群から選択されるいずれかを表し、置換基(a)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のフルオロアルコシキ基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1種であり;Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;nは0〜2の整数を表す。]
  2. 下記一般式(I)で表されるホスホン酸誘導体及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を有効成分として含有することを特徴とする農園芸用病害防除剤。
    Figure 0004824968
    [式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基、環上に置換基(a)を有していてもよいベンゼン環及び環上に置換基(a)を有していてもよい5又は6員環から構成されるヘテロ環からなる群から選択されるいずれかを表し、置換基(a)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のフルオロアルコシキ基、フェニル基及びシアノ基からなる群から選択される少なくとも1種であり;Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;Rは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し;nは0〜2の整数を表す。]
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