JP4824875B2 - 底緩衝機能付き収納函 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、予め、薬液を充填した使い捨て注射器や細長い棒状物を収納する底緩衝機能付き収納函に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用薬品が最終需要者に渡る段階の包装形態は下記の形であることが多い。液体薬品は、ガラスや合成樹脂等の成形容器に収納されている。固体薬品は、ガラスや合成樹脂等の成形容器の他に、粉体用の合成樹脂を被覆したアルミ箔による袋包装、錠剤用の合成樹脂とアルミ箔による包装等がある。
【0003】
医療用液体薬品を使用する医療用機材に注射器がある。注射器の用法には二種類あり、一つは多目的用の注射器で使用の都度、容器から薬液を移し替え、用済み後に殺菌処理を施す。他はワクチン接種のように特定目的に使用する場合で、予め、薬液を充填した使い捨て形のディスポタイプと呼ぶ注射器を使う。
【0004】
ディスポタイプの注射器包装には、合成樹脂シートと板状台紙で合成した袋を使用し、抽気後にインパルスで熱接着した袋詰めを使用する。また、本願出願人がP2001−2168Aに開示するディスポタイプ注射器用底緩衝機能付き収納函もある。該収納函は注射器両端と中間を支持する構造である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ディスポタイプの注射器は、使用者には薬液の移し替えや殺菌処理の手間が省け、作業コストの低減に役立つ。製造者には注射器と薬液の個別包装の手間が省け、製造コストの低減に役立つ。従って、コスト競争も激しく対象も包装物から函に及ぶ。函では、小型化・軽量化・簡易化の技術開発が欠かせない。
【0006】
小型化した収納函は衝撃が伝わり易く、薬液を充填した注射器では液漏れ防止の緩衝能力が課題になる。また、収納函を小型化すると包装物の装填適性が損なわれ易いという課題も生ずる。本願発明は、課題を解決し緩衝機能と包装機適性に優れた小型収納函の提供を目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、底板を中心にして、上下方向の函本体材と、左右方向の内部区画材とを交差配置し、各材間に所要の折線を加え、
函本体材が、底板の一辺に前内側板を、他辺に後側板と蓋板および前外側板を各連接し、
内部区画材が、底板の左右各辺に上下袖フラップ付き左右側板と孔を共有する左右天井板と左右中仕切板および緩衝フラップ付き左右内底板を連接し、
緩衝フラップの一つを孔付きとし、
左右の内底板を底板内面に固定して左右側板を起こすと、底板の左右に内部区画材による区画を自動形成せしめ、
函本体材の折曲げが進むにつれて緩衝フラップが自動で起き上がる構成とした底緩衝機能付き収納函である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、ディスポタイプ注射器用の板紙製折畳式ワンピースタイプの収納函で、長細く傷付き易い棒状物のようなものであれば使用することが可能である。該収納函は、長さと幅と高さの三方向に対する揺動規制と緩衝機能を保持し、自動化包装ラインの使用を考慮した構造を備える。
【0009】
収納函は極力面積を縮小して小型化した。また、注射器両端を固定・半固定して中間二箇所を緩衝フラップで浮かせて支持する構造とし、該緩衝フラップの一つに注射器の函内での動きを規制する孔を設けた。本構造で、充分な緩衝機能と包装適性を備えた低コストの小型収納函を得た。
【0010】
組立前収納函の展開形状を、底板を中心に上下方向の函本体材と左右方向の内部区画材を交差配置し、各材間に所要の折線を加えた。函本体材の構成を、糊代を兼ねた側板・底板・側板・蓋板・側板を連接し、組立最終段階で収納函は両端の側板同士が接着して二重構造となるように構成した。
【0011】
左右方向の内部区画材の構成を示す。区画の一方を底板に側板・天井板と中仕切板・緩衝フラップ付き内底板を連接し、注射器先端をV字状の孔で固定し、緩衝フラップで中間を支持する構成とした。他方は前記固定材に近い構成として、横向き孔で注射器後端を支持し、孔付き緩衝フラップで中間を支持した。
【0012】
収納函両端に形成する区画は、左右側板を起こすと自然起立する構成とした。また、成形後に原形復帰や変形を起さぬように、折線付き左右の上袖フラップを区画内に押し込み、補強材の役目を果たす構造とした。該構造で上袖フラップと函本体材の接着の必要をなくした。
【0013】
特に右区画は、注射器の装填を円滑に進め、緩衝フラップの働きを損なわないため、区画を形成する天井板と中仕切板と内底板の各間に設けた折線を、孔の両側でずらして段を設けた。該段で区画が起立すると孔が横を向き、収納函への装填は注射器の後端形状の相違にも対応して容易になった。
【0014】
展開材を自動化ラインに装着後、製函と装填が連続して行われ、函詰め作業が終わる。成形後の収納函は蓋板に設けたジッパーを使用して開封する以外に、包装対象物が取り出せない構造である。収納函は紙製で用済み後の再利用と廃棄処理が容易である。
【0015】
【作用】
本発明の底緩衝機能付き収納函は、内部の孔付き緩衝フラップが、包装対象物に対して揺動を規制し緩衝効果を付与する。また、両区画が袖フラップで強化され、支持部の横向き孔が装填をし易くした。
【0016】
【実施例】
図1は収納函を展開した平面図である。図2〜5に展開材を製函機にかけて、包装対象物を装填可能な状態にする過程を平面図と斜視図で示した。図6は収納函に注射器を装填した斜視図、図7は包装を完了した函の斜視図である。連接部には山折・谷折でリード・押し等の罫線の何れか組合せの折線を配置する。図8(A,B)はジッパーの拡大平面図である。
【0017】
図1のように、展開材1は底板3周辺に函本体材を上下方向に折線aを介して並べ、内部区画材を左右方向に折線b,c,d,eを介して並べた。底板下辺に前内側板2を連接し底板上辺に後側板4・蓋板5・前外側板6を連接した。底板左右に上下袖フラップ9,10,11,12付き左右側板7,8を連接した。
【0018】
左側板7に左天井板13・左中仕切板14・孔15・左内底板16・左緩衝フラップ17を連接した。右側板8に右天井板18・右中仕切板19・孔21・右内底板22・孔25付き右緩衝フラップ23・支持板24を連接した。孔25を挟む折線eを上下でずらして、右天井板と右中仕切板に段20を付け、孔25の横向き使用を可能とした。
【0019】
図2〜5は展開材1を組み立てて装填可能状態に至るまでを示し、本図により組立手順を以下に説明する。展開材の内部区画材を折線dから折曲げ、次いで、底板3に左右内底板16,22を糊代40を利用して接着する。左右側板7,8を起こすと、内部区画材は自然に起立して区画26,27を形成する。
【0020】
左区画26は、底板3・左側板7・左天井板13・左中仕切板14・左内底板16からなり、孔15のV字部が注射器の移動を規制する固定部として働く。段20付き右区画27は、底板・右側板8・右天井板18・右中仕切板19・右内底板21からなり、横向き孔21は注射器後部の支持部として働く。
【0021】
左右の上下袖フラップ9,10,11,12を折線bから折曲げ、上袖フラップを折線cから曲げて区画26,27内に挿入して補強材とする。袖フラップの縦辺に切り込み9A,10A,11A,12Aを入れ、先端を丸めて底板3との接触を減らし区画を形成し易くした。折線cは袖フラップの高さの約1/3に置くと区画内に挿入させ易い。本構造は糊付け部分を減らす効果がある。
【0022】
左右の上袖フラップ9,11の挿入処理が終わると、前内側板2を起こし下袖フラップ10,12と糊代40で接着する。左緩衝フラップ17の自由端は前内側板の曲げに追従して起立する。同様に、図5のように、後側板4を起こすと右緩衝フラップ23の自由端が後側板の曲がりに追従して起立する。両フラップは底から前後の側板にかけて斜めに懸かり緩衝部を形成する。
【0023】
図5の状態で、注視器50を装填すると図6になる。装填状態では左右緩衝フラップ17,23が注射器胴体を支え緩衝材として機能する。右緩衝フラップの孔25は注射器の鍔52を受け函内での遊びを規制する。図6に示す蓋板5を折曲げ、蓋板と左右天井板13,18を糊代40を介して接着する。
【0024】
前内側板2に前外側板6を糊代41で接着すると図7の収納函30になる。前内側板表裏面の点線はプレスした糊代用溜め溝である。函の開封は蓋5に付けたジッパー29に沿い、引手28を後方に引いて行う。前述の横向き孔21付き支持部は、注射器後端形状が多少相違しても装填に支障なく対応する。
【0025】
底緩衝機能付き収納函30をディスポタイプの注射器に適用したことで、移動に伴う液漏れや損傷の事故が少なくなった。収納函は、注射器後端の支持部に段を設け、横向き孔として注射器装填を容易にした。然も、注射器の針を覆うキャップ後端51を緩衝フラップ17の右端で支え、鍔52を緩衝フラップ23の孔25で保持したので函の中で移動することはない。
【0026】
横長の蓋板5に需要者が使用する引手28付きジッパー29を使用した。ジッパーの切り目形状は、函の局部開封が目的の場合、図8(A)の直線形の切り目で支障はない。然し、函の構造・形状・板紙表面の艶出し加工・パルプからの抄紙方向等の要因が絡むと、直線の切り目の間が問題になり、開封が円滑に進まないことがある。
【0027】
開封が円滑に進まないのは、開封操作の途中で板紙がジッパーの切り目の間から外れ、別方向に破れるからである。例えば、パルプから抄き出した紙は繊維が長く絡むため、引き裂き強さに方向性があり、繊維の短かい再生紙に比べて破れ難い。本発明の函では、既述の要因の絡みを考慮して、切り目が途切れる部分をカバーするために、図8(B)の「へ」の字形の鍵形切り目のジッパーを使用した。その結果、開封に支障を来たすことがなくなった。
【0028】
【発明の効果】
本発明の底緩衝機能付き包装函により下記の効果を得た。
▲1▼接着剤使用の少ない部材構成でありながら、良好な包装適性の維持と緩衝機能の強化ができた。
▲2▼ディスポタイプ注射器の包装で起り易い液漏れや破損の事故を防止した。
▲3▼板紙使用で用済み後の再使用と公害を伴わない廃棄処理を可能にした。
▲4▼小形化による板紙消費量の減少に加え、製函工程に於ける糊付け・組立・装填等を処理し易くして、生産コストの低減に寄与した。
▲5▼輸送や保管等の効率を向上し間接経費の削減に寄与した。
▲6▼鍵付きジッパーの使用で円滑な開封ができた。
▲7▼注射器に限らず壊れやすい棒状物に適用すると同等効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】収納函を展開した裏の平面図である。
【図2】左右方向に展開した区画材を折曲げた最初の組立状態の平面図である。
【図3】図2から左右の側板を起立し両端に区画を形成した状態の斜視図である。
【図4】図3から左右の上下袖フラップを折曲げ、上袖フラップを区画内に挿入した状態の斜視図である。
【図5】図4から前内側板と後側板を起立した状態の斜視図である。
【図6】注射器を装填した状態の斜視図である。
【図7】完成した包装函の斜視図である。
【図8】ジッパーの切り目の拡大平面図で、(A)は直線形、(B)は鍵形の拡大平面図である。
【符号の説明】
1 展開材
2 前内側板
3 底板
4 後側板
5 蓋板
6 前外側板
7,8 左右の側板
9,10,11,12 左右の上下袖フラップ
9A,10A,11A,12A 切り込み
13,18 左右の天井板
14,19 左右の中仕切板
15,21,25 孔
16,22 左右の内底板
17,23 左右の緩衝フラップ
20 段
24 支持板
26,27 左右の区画
28 引手
29 ジッパー
30 収納函
40,41 糊代
50 注射器
Claims (3)
- 底板(3)を中心にして、上下方向の函本体材と、左右方向の内部区画材とを交差配置し、各材間に所要の折線を加え、
前記函本体材が、前記底板(3)の一辺に前内側板(2) を、他辺に後側板(4) と蓋板(5) および前外側板(6)を各連接し、
前記内部区画材が、前記底板(3)の左右各辺に上下袖フラップ(9,10,11,12)付き左右側板(7,8)と第1孔(15,21)を共有する左右天井板(13,18)と左右中仕切板(14,19) および緩衝フラップ(17,23)付き左右内底板(16,22) を連接し、
前記緩衝フラップの一つ(23)を第2孔(25)付きとし、
前記左右内底板(16,22)を前記底板(3)内面に固定して前記左右側板(7,8)を起こすと、前記底板(3)の左右に内部区画材による区画(26,27) を自動形成せしめ、函本体材の折曲げが進むにつれて前記緩衝フラップ(17,23)が自動で起き上がる構成としたことを特徴とする
底緩衝機能付き収納函。 - 前記底板(3)の左右各辺に連接した前記左右側板(7,8) の上袖フラップ(9,11)を、該側板を起立して形成した前記左右区画(26,27)内に挿入し、該区画(26,27)の補強材とした請求項1に記載の底緩衝機能付き収納函。
- 前記右天井板(18)と前記右中仕切板(19) と前記右内底板(22)の各間の折線を、前記第1孔(21)を挟む両側でずらして段(20)を設け、該段(20)により区画(27)の前記第1孔(21)を横向きとしてなる請求項1か2の何れかに記載の底緩衝機能付き収納函。
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