デッドボルトの切断位置を示す目印を設けている玄関ドアは、ドアとドア枠の隙間を目隠ししているカバープレート部の表面に、隙間の位置を示す目印部を設けている。この玄関ドアは、エンジンカッターなどを使用して、目印に沿ってカバープレート部を切断して、デッドボルトを隙間から切断して、ドアを開く状態にできる。特許文献1の公報に記載される玄関ドアは、カバープレート部の表面に、上下に延びる溝を設けて目印としている。カバープレート部に溝の目印を設けるドアは、溝に沿って切断できるので、溝を刃物のガイドとして、切断位置に沿ってずれないように確実に切断できる特徴がある。しかしながら、この構造は、デッドボルトを目隠しするために設けているカバープレート部の曲げ強度を低下させて、この部分が変形しやすくなる欠点がある。カバープレート部は、保安の目的でデッドボルトを目隠しするので、カバープレート部の強度低下は防犯上決して好ましいことではない。
さらに、この構造の玄関ドアは、目印に沿ってカバープレート部を切断しても、全てのドアを開くことができない。それは、玄関ドアには、防犯のために、ほとんど例外なくドアガードを設けているからである。ドアガードは、ドアを締めてデッドボルトをロックする状態で、ドア枠に連結される。ドアガードは脱着できる構造でドア枠の連結具に連結され、ドアを開くときには、ドア枠の連結具から外し、ドアをロックするときには、ドア枠の連結具に連結される。このため、デッドボルトをドアとドア枠の隙間で切断しても、ドアガードがドア枠に連結されているとドアを開くことができない。ドアガードは、ドアを半開きにした状態では連結具から外すことができない構造としている。デッドボルトを切断してドアを完全に開くには、ドアを半開きにする状態でドアガードを切断する必要がある。しかしながら、この状態で、ドアガードをエンジンカッターなどで屋外から切断するのは極めて難しく、特別な切断機を使用する必要がある。それは、ドアを半開きする状態では、ドアの開かれた隙間が狭く、この狭い隙間からエンジンカッターなどの刃物を奥まで挿入して、ドアの屋内側に設けているドアガードを切断するからである。エンジンカッターの刃物は、突出させて切断できる量に制限があり、ドアの室内にあるドアガードに届かないと切断できない。
このため、従来の玄関ドアは、目印に沿ってデッドボルトを切断しても、ドアガードでロックされているドアを開くことができない欠点があった。
また、従来の玄関ドアは、目印に沿ってドアとドア枠の隙間に刃物を挿入して、カバープレート部とデッドボルトのみを切断することが難しく、ドア枠の戸当たり部を一緒に切断してしまう欠点がある。このため、カバープレート部とデッドボルトとを切断してドアを開いた後は、ドアとドア枠の両方を交換する補修を必要とする。ドア枠は建物に固定しているので、ドアのように簡単には交換できない。このため、デッドボルトを切断してドアを開いた後の補修に極めて手間がかかる欠点もあった。
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、非常時に、屋外側の目印に沿ってドアを切断することで、デッドボルトとドアガードの両方でロックしているドアを簡単かつ容易に、しかも確実に開くことができる玄関ドアを提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、デッドボルトを切断して開いたドアの補修を簡単にすることも可能である玄関ドアを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の玄関ドアは、ドア枠2に設けている鍵受け部32に向かって突出してドア1をロックするデッドボルト31と、ドア枠2に固定している連結具6に脱着自在に連結されるドアガード5を有し、ドア1を閉めた状態で、デッドボルト31を目隠しするカバープレート部15を屋外側の表面に設けている。さらに、玄関ドアは、ドア1の屋外側の表面であって、戸先面1Xよりもドア1の中央に位置する部分に、屋外側から屋内側に切断されて、ドアガード5と連結具6の連結状態を解除し、かつ、デッドボルト31をドアの内部で切断する切断位置を示す目印8を設けている。
以上の玄関ドアは、非常時に、屋外側の表面に設けている目印に沿ってドアを切断することで、デッドボルトとドアガードの両方でロックしているドアを簡単かつ容易に、しかも確実に開くことができる特徴がある。それは、この目印に沿ってドアを切断して、デッドボルトのみでなく、ドアガードまたは連結具も切断位置で切断して、ドアのロック状態を解除できるからである。
さらに、以上の玄関ドアは、デッドボルトを切断して開いたドアの補修を簡単にできる特徴も実現する。それは、従来のように、ドアとドア枠の隙間に沿って切断するのではなく、隙間よりも内側に位置するドアの一部を切断して、デッドボルトとドアガードの両方のロック状態を解除するからである。
本発明の玄関ドアは、目印8を、ドアガード5と連結具6との連結状態を解除する位置から下方に延びるように設けることができる。
以上の玄関ドアは、目印に沿って下方に切断することで、ドアガードとデッドボルトの両方を切断位置で切断して、ロック状態を解除できる。
本発明の玄関ドアは、目印8を、連結具6の切断位置に設けることができる。
以上のドアは、連結具を切断してドアガードの連結状態を解除するので、ドアガードと連結具の連結状態を簡単かつ確実に解除できる。
本発明の玄関ドアは、ドアガード5を、傾動自在にドア1の屋内側に固定することができる。
以上の玄関ドアは、傾動自在にドアに連結しているドアガードでもって、連結具との連結状態を強固にでき、しかも切断位置を切断して連結状態を解除できる。
本発明の玄関ドアは、屋外側と屋内側に位置する表面板と、屋外側と屋内側の表面板の間に固定してなる縦枠11と、この縦枠11の内側にあって、デッドボルト31を設けてなる鍵機構3を固定してなる固定プレート70とを有し、この固定プレート70と縦枠11との間であって、目印8の内側に、切断具90を案内するガイド溝73を設けて、このガイド溝73の表面に屋外側の表面板13を固定することができる。
以上の玄関ドアは、表面板の目印の内側にガイド溝を設けているので、表面板を切断する状態で、切断具の刃物をガイド溝に案内して、確実に安定して目印に沿って切断できる特徴がある。また、ガイド溝をドアに設けている縦枠と固定プレートを利用して設けるので、専用のパーツを追加することなく、切断具でもって確実に切断位置を切断できる特徴がある。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための玄関ドアを例示するものであって、本発明は玄関ドアを以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図1ないし図5に示す玄関ドアは、建物に固定されるドア枠2と、このドア枠2に蝶番9を介して開閉自在に連結しているドア1とを備えている。ドア枠2は、鍵受け部32を有し、ドア1は、この鍵受け部32に向かって突出してドア1をロックするデッドボルト31を備える。さらに、ドア枠2には連結具6を固定して、この連結具6に脱着自在に連結されるドアガード5をドア1に連結している。さらに、ドア1は、閉めた状態で、デッドボルト31を目隠しするカバープレート部15を屋外側の表面に設けている。図のドア1は、一方の側縁を蝶番9を介してドア枠2に連結しており、これと反対側の側縁に、デッドボルト31とドアガード5とカバープレート部15とを設けている。
ドア1は、図3と図4に示すように、縦枠11と横枠12を四角形に連結しているフレーム10と、このフレーム10の両面に固定している屋外側の表面板13と屋内側の表面板14とを備える。
フレーム10は、ドア1の両側に位置する縦枠11の上下に、ドア1の上下に位置する横枠12を連結して四角形のフレーム10としている。縦枠11と横枠12は、例えば、厚さを約1.6mmとする鋼板で製作される。ただし、縦枠と横枠は、厚さを1〜2mmとする鋼板で製作することもできる。
縦枠11は、ドア1の戸先側に内蔵している断面形状を溝形とする戸先側の縦枠11Aと、ドアの戸尻側に内蔵している断面形状を溝形とする戸尻側の縦枠11Bとからなる。フレーム10は、戸先側の縦枠11Aと戸尻側の縦枠11Bの上下に、水平姿勢の横枠12を連結して四角形の枠体としている。
戸先側の縦枠11Aは、底板11Xの両側に側壁11Yを設けて溝形とするチャンネル材である。戸先側の縦枠11Aは、溝形の開口部11Zをドアの外側に向ける姿勢として屋外側の表面板13と屋内側の表面板14の間に配設している。図3に示す戸先側の縦枠11Aは、一方の側壁11Yaを他方の側壁11Ybから突出するように幅を広くして、突出部11Tをカバープレート部15としている。図3において、戸先側の縦枠11Aは、上側の側壁11Yaの幅を下側の側壁11Ybよりも広くして、突出部11Tをカバープレート部15としている。玄関ドアは、このカバープレート部15によって、ドア1の戸先面1Xとドア枠2の内側面24との間にできる隙間を目隠ししている。
戸尻側の縦枠11Bは、底板11Xの両側に側壁11Yを設けて溝形としているチャンネル材である。この戸尻側の縦枠11Bは、溝形の開口部11Zをドアの外側に向ける姿勢として、屋外側の表面板13と屋内側の表面板14との間に配設している。図3のドアは、戸尻側の縦枠11Bを溝形のチャンネル材とするが、戸尻側の縦枠には、四角筒状の金属ロッドも使用できる。
横枠12は、縦枠11の上端に固定される上枠12Aと、縦枠11の下端に固定される下枠12Bとからなる。上枠12Aと下枠12Bは、図4の断面図に示すように、金属板を溝形とするチャンネル材である。チャンネル材の上枠12Aは、溝の開口部を上向きとし、下枠12Bは溝の開口部を下向きとして、縦枠11の上下の端部に固定している。ただ、チャンネル材である横枠は、上枠の溝の開口部を下向きとし、下枠の溝の開口部を上向きとして縦枠の上下に固定することもできる。また、横枠には、四角筒状の金属ロッドも使用できる。
屋外側の表面板13と屋内側の表面板14は金属板である。表面板の金属板は、たとえば、厚さ0.4mm〜0.8mmとする鉄又は鉄合金からなる金属板である。金属板は、表面をプリントし、あるいは化粧シートを接着して綺麗に表面処理している。屋外側の表面板13と屋内側の表面板14は、ドアの外側表面の全面を覆う四角形で、両側縁を縦枠11に連結すると共に、上下端を横枠12に連結している。
屋外側の表面板13は、戸先側の側縁を戸先側の縦枠11Aの側壁11Yaに沿って折り返すように折曲して、カバープレート部15となる突出部11Tを被覆している。また、屋外側の表面板13は、戸尻側の側縁を戸尻側の縦枠11Bの側壁11Yに沿って折り返すように折曲して、側壁11Yを被覆している。屋外側の表面板13は、両側縁を縦枠11の側壁11Yに沿って折曲しており、この折曲部を介して縦枠11に連結している。
屋内側の表面板14は、戸先側の側縁を戸先側の縦枠11Aの側壁11Yに沿って折り返すように折曲して、側壁11Yを被覆している。また、屋内側の表面板14は、戸尻側の側縁を戸尻側の縦枠11Bの側壁11Yに沿って折り返すように折曲して、側壁11Yを被覆している。屋内側の表面板14は、両側縁を縦枠11の側壁11Yに沿って折曲しており、この折曲部を介して縦枠11に連結している。
さらに、屋外側の表面板13と屋内側の表面板14は、図4の断面図に示すように、上下の外周縁を、チャンネル材である横枠12の側壁の表面に沿うように内側に折曲して側壁を被覆している。屋外側の表面板13と屋内側の表面板14は、上下の両端縁を横枠12の側壁に沿って折曲しており、この折曲部を介して横枠12に連結している。ただ、屋外側の表面板と屋内側の表面板の上下の外周縁は、横枠に沿って内側に折曲して互いの折曲部を積層し、この積層部を結合して固定することもできる。屋外側の表面板と屋内側の表面板の積層部は、スポット溶接し、あるいはリベットで連結し、あるいはまた接着して結合することができる。
さらに、図3と図4に示すドア1は、屋外側の表面板13と屋内側の表面板14の外周縁が連結された戸先側の縦枠11Aの開口部11Zに、金属板をコ字状に折曲してなる側面プレート16を嵌入している。さらに、戸尻側の縦枠11Bの開口部11Zと横枠12の開口部には、金属板をコ字状に折曲してなるエッジ17を嵌入している。このドア1は、フレーム10の外周面を側面プレート16とエッジ17で被覆して外観良くできる。
さらに、ドア1は、図2、図3、及び図5に示すように、戸先側の屋内側にドアガード5を固定している。このドアガード5は、ドア枠2に固定された連結具6に連結されて、後述する鍵機構3とラッチ機構4が解除された状態で、ドア1が外部から開かれるのを制限する。ドアガード5は、ドア1に傾動自在に固定された金具で、ドア枠2に固定された連結具6を連結状態でスライドさせて、ドア1の開閉を制限する。ドアガード5は、水平面内で傾動できるように台座52に連結しており、この台座52を止ネジ54を介してドア1の屋内側に固定している。ドアガード5は、ドア1の表面と平行な姿勢から垂直な姿勢に傾動されて、ドア枠2に固定された連結具6との連結位置に配置される。図2と図5のドア1は、屋内側であって取っ手7の上方にドアガード5を水平な姿勢で配置している。
図5と図6に示すドアガード5は、連結具6を抜けないようにスライドさせるスリット50を有しており、連結具6との連結状態において、このスリット50内で連結具6をスライドさせて、所定の範内囲でドア1を開閉できるようにしている。図のドアガード5は、金属ロッドをU字状に湾曲して中央部にスリット50を設けており、ロッドの両端を回転軸53を介して、傾動自在に台座52に連結している。さらに、このドアガード5と対向するドア枠2の内周面28には、ドアガード5を連結する連結具6を固定している。図に示す連結具6は、台座62から突出する軸部60の先端に頭部61を設けた形状として、台座62をドア枠2に固定している。この連結具6は、頭部61をスリット50に通過させる状態で、軸部60をスリット50内でスライドさせて、連結具6を抜けないようにドアガード5に連結する構造としている。
ドアガード5のスリット50は、連結具6の軸部60を通過させるが、先端の頭部61を通過させない内幅としており、連結具6を抜けないようにスリット50の内側に沿ってスライドできるようにしている。スリット50内で連結具6をスライドさせるドアガード5は、連結具6をスリット50の先端に当接させてドア1の開閉を阻止する構造としている。さらに、ドアガード5は、スリット50の後端の内幅を連結具6の頭部61を通過できる幅として幅広部51を設けている。このドアガード5は、図3の実線と図6に示すように、ドア1の表面と平行な姿勢として、ドア1を閉位置とする状態で、この幅広部51に連結具6の頭部61が案内される。さらに、この状態で、図3の鎖線と図5に示すように、ドアガード5がドア1の表面と垂直な姿勢に傾動されると、スリット50の延長方向がドア1の開閉方向と一致する姿勢に配置されて連結状態となる。この連結状態において、ドア1が開閉されると、連結具6の軸部60がドアガード5のスリット50に沿って移動して、スリット50の長さの範囲内でドア1が開閉される。
このドアガード5は、通常は、図3の実線と図6に示すようにドア1の表面と平行な姿勢とするが、防犯目的でドア1をロックする状態では、図3の鎖線と図5に示すように、ドア1の表面と垂直内な姿勢として連結具6の軸部60をスリット50に案内できる連結状態とする。この状態において、ドア1の開閉はドアガード5と連結具6により制限される。このため、非常時等において、外部からドア1を開くためには、ドア1のデッドボルト31を切断するだけでなく、ドアガード5と連結具6の連結状態を解除する必要がある。ドアガード5と連結具6の連結状態は、連結具6を切断して解除され、あるいは、ドアガード5を切断して解除され、あるいはまた、ドアガード5がドア1から分離されて解除される。したがって、ドア1を外部から切断する状態においては、切断具90で連結具6を切断し、あるいはドアガード5を切断し、あるいはまた、ドアガード5の台座52や回転軸53を切断して破損や破壊することでドアガード5をドア1から分離させて、ドアガード5と連結具6の連結状態を解除する。
ただ、ドアガードと連結具は、以上の構造の特定しない。ドアガードと連結具は、互いに連結状態でドアの開閉方向に所定の範囲内でスライドできる他の全ての構造とすることができる。例えば、ドアガードは、先端に頭部を有するロッドとし、このドアガードを連結する連結具は、ドアガードのロッドを通過させるが、頭部を通過させない凹部や溝を有する形状とすることもできる。
さらに、ドア1は、屋外側の表面に、屋外側から屋内側に向かって切断して、ドアガード5と連結具6の連結状態を解除し、かつ、デッドボルト31の切断位置を示す目印8を設けている。本発明の玄関ドアは、従来の玄関ドアのようにドアとドア枠の隙間に沿って切断して、デッドボルトを切断するのではない。切断位置は、ドアとドア枠との隙間になく、ドアの表面にあって、ドアを表面から内側に向かって切断して、ドアガードのロック状態を解除できる位置としている。ドアとドア枠との隙間から切断して、ドアガードのロック状態を解除できないからである。切断位置は、表面板に設けられるが、取っ手の側縁を切断位置とすることもできる。
図1に示すドアは、取っ手7の戸先側に位置して、上下に延びる直線状の目印8を切断位置としてドア1の表面に設けている。このドア1は、屋外側の表面に設けた目印8に沿って切断具90で切断することで、ドアガード5と連結具6の連結状態を解除し、また、デッドボルト31をドア1の内部で切断してドア1のロック状態を解除する。したがって、切断位置を示す目印8は、ドアガード5と連結具6の連結状態を解除できると共に、デッドボルト31を切断できる位置に設けている。
図1、図2、及び図6に示すドア1は、切断位置を示す目印8を、連結具6の切断位置として、ここからドア1を表面から切断することで、連結具6を切断して、ドアガード5の連結状態を解除する。すなわち、このドア1は、図3及び図5の鎖線で示すように、目印8において屋外側から屋内側に切断されて、ドア枠2に固定された連結具6が頭部61よりも付け根部で切断される。このように、連結具6を切断する位置に目印8を設ける構造は、切断具90でドア1を切断する時に、ドア枠2を損傷させることなく、ドアガード5と連結具6の連結状態を確実に解除できる。したがって、ドアの補修を簡単にできる特徴がある。ただ、切断位置を示す目印は、ドアを屋外側から屋内側に向かって切断する状態で、ドアガードと連結具との連結状態を解除できる他の位置とすることもできる。前述のように、ドアガードと連結具の連結状態は、ドアガードを切断し、あるいはドアガードとドアとの連結部を切断したり破損することによっても解除できる。したがって、切断位置を示す目印は、ドアガードと連結具との連結状態を解除できる他の位置としてもよい。
さらに、図1と図2に示すドア1は、切断位置を示す目印8を、ドアガード5と連結具6との連結状態を解除する位置、図においては、連結具6を切断する位置から下方に延びるように設けている。図のドア1は、デッドボルト31よりも上方に位置してドアガード5を配置している。したがって、このドア1は、ドアガード5と連結具6との連結状態を解除する位置から下方に延びる目印8に沿って切断具90を移動(図5の鎖線の矢印参照)させることで、デッドボルト31をドア1の内部で切断して、能率良くドアのロック状態を解除できる。ただ、上下に延びる目印は、必ずしもドアガードと連結具との連結状態を解除する位置から下方のデッドボルトまで延長して、すなわち、切断する長さ全体にわたって設ける必要はなく、ドアガードと連結具との連結状態を解除する位置にのみ設けることも、ドアガードと連結具との連結状態を解除する位置から切断する長さ全体の一部分に対向して設けることもできる。このドアは、この目印において切断具で切断してドアガードと連結具との連結状態を解除し、その後は、その位置からほぼ真下に向かって切断具を移動させてデッドボルトを切断する。
図3に示すドア1は、目印8を溝8Aとしている。このドア1は、屋外側の表面板13の表面に上下に延びる溝8Aを設けて、切断位置を示す目印8としている。溝8Aである目印8は、この溝8Aに切断具90の刃先を位置決めしながら押し当てて、正確な位置で簡単に切断できる特徴がある。切断具90であるエンジンカッターの刃には、一般に、直径が約30cmで、厚さが3.5mm〜4.0mmのものが使用される。したがって、溝8Aである目印8は、溝幅を4mm〜8mm、好ましくは5mm〜7mmとし、深さを2mm〜5mm、好ましくは3mm〜4mmとして、切断具90の刃先を溝内に挿入して確実に位置決めできる。また、この溝8Aである目印8は、溝幅を広く、深さを深くすることで、切断位置となる目印8の存在を明確に表示できる特徴もある。ただ、溝である目印は、必ずしも切断具の刃先を挿入できる幅と深さにする必要はなく、切断具の刃先を押し当てる状態で位置決めできればよいので、前述の溝幅と深さよりも小さくすることもできる。図3に示す溝8Aは、断面形状を円弧状としている。この溝8Aは、例えば、断面形状を半径2.5mm〜3.5mmとする半円形として、溝幅を5mm〜7mm、深さを2.5mm〜3.5mmとすることができる。また、断面形状を円弧状とすることで、刃先をスムーズに案内できる特徴もある。ただ、溝である目印は、その断面形状をV字状やコ字状、あるいは多角形状とすることもできる。
さらに、ドアの表面に設ける目印は、表示ラインとすることもできる。表示ラインは、ドアの表面にプリントして簡単に設けることができる。また、表示ラインは、塗料を塗布して表示することもできる。さらに、目印は、シールやモール等の別部材として、ドアの表面に貼着や接着して設けることもできる。さらに、ドアの表面に設ける目印は、表面の摩擦抵抗を大きくして、切断具の刃先を位置ずれしないように押し当てることもできる。
さらに、切断位置を示す目印は、ドアのデザインを表すライン等を併用することもできる。このドアは、たとえば、ドアの戸先側の上下にわたって、あるいは、ドア全体にわたって特定のデザインとなる溝や表示ライン等を設けて切断位置の目印に併用することができる。このドアは、デザインを構成する溝や表示ラインの一部分であって、ドアガードと連結具の連結位置とデッドボルトの位置とを結ぶ部分を切断位置を示す目印として切断具で切断される。ここで、デッドボルトの位置とドアガードの位置は、ドアの屋外側の表面に設けた鍵穴33の位置から推測することができる。
さらに、図1、図2、図5、及び図6の玄関ドアは、開閉されるドア1を閉位置に係止するラッチ機構4と、ドア1を閉位置に閉じた状態にロックする鍵機構3とを備えている。
ラッチ機構4は、ドア1の戸先面1Xに出入り自在に配置されたラッチボルト41と、ドア枠2の内側面24に設けられて、ラッチボルト41が挿入される係止穴42と、ラッチボルト41をドア枠2の係止穴42に向かって突出させて、ドア1を閉位置に係止するシリンダーケース40と、ラッチボルト41と係止穴42の係止状態を解除する取っ手7とを備えている。
ラッチボルト41は、シリンダーケース40に出入り自在に配置されており、ドア枠2の係止穴42に対向して配置されている。リンダーケース40は、ドア1内に水平姿勢に内蔵されて、戸先面1Xからラッチボルト41を水平方向に突出させる。ラッチボルト41は、バネなどの弾性体(図示せず)で弾性的に突出する方向に付勢されている。弾性的に突出されるラッチボルト41は、ドア1を閉める状態で、ドア枠2の係止穴42に挿入されて、ドア1を開かない係止状態とする。ラッチボルト41は、ドア1に設けている取っ手7を操作して係止穴42との係止状態が解除される。シリンダーケースは、図示しないが、両面に傾斜面を設けたラッチボルトの先端部を、シリンダーケースの外側開口部で回動させて、係止穴との係止状態を制御する構造とすることができる。このシリンダーケースは、ラッチボルトの先端部の回動を制御するロック機構を内蔵して、このロック機構を取っ手で操作して、ラッチボルトの先端部のロック状態を制御し、ラッチボルトと係止穴との係止状態を制御することができる。ただ、シリンダーケースは、ラッチボルトをドア内に引き込んで、ドアの係止状態を解除する構造とすることもできる。このシリンダーケースは、取っ手を操作してロッド状のラッチボルトを引き込み方向に移動させて、係止穴とラッチボルトとの係止状態を解除する。
取っ手7は、ドア1の戸先側の側縁部の中央部であって、屋外側と屋内側の両面に配置している。取っ手7は、玄関ドアを開閉するときに手で操作されて、ラッチボルト41と係止穴42との係止状態を解除する。この取っ手7には、レバーを引いたり押したりすることでレバーを傾動させて操作するタイプのものや、レバーや握り部を回動させて操作するタイプのもの等、種々のが使用できる。図に示す取っ手7は垂直方向に伸びるレバーで、このレバーを引いたり押したりすることで、ラッチボルト41と係止穴42との係止状態を解除する構造としている。
図の取っ手7は、ドア1の屋外側に配置している屋外側取っ手7Aと、屋内側に配置している屋内側取っ手7Bとからなる。屋外側取っ手7Aは、レバーを引くことでラッチボルト41の係止状態を解除する構造とし、屋内側取っ手7Bは、レバーを押すことでラッチボルト41の係止状態を解除する構造とすることができる。これらの取っ手7は、レバーを引いたり、または押したりすることで、このレバーを垂直面内又は水平面内で傾動させて、これに連結されたラッチボルト41の係止状態を解除する。
鍵機構3は、ドア1の戸先面1Xに出入り自在に配置されたデッドボルト31と、ドア枠2の内側面24に設けられて、デッドボルト31が挿入される鍵受け部32と、デッドボルト31をドア枠2の鍵受け部32に向かって突出させて、ドア1を閉位置に閉じた状態にロックするシリンダーケース30とを備えている。
デッドボルト31は、シリンダーケース30に出入り自在に配置されており、ドア枠2の鍵受け部32に対向して配置されている。リンダーケース30は、ドア1内に水平姿勢に内蔵されて、戸先面1Xからデッドボルト31を出し入れさせる。デッドボルト31は、金属製のロッドまたは金属板を連結したもので、水平方向に往復運動されて、鍵受け部32に挿入され、また、鍵受け部32から引き出される。ただ、デッドボルトは、フック形状の鎌錠とすることもできる。このデッドボルトは、回動されて鍵受け部に出し入れされる。
シリンダーケース30は、デッドボルト31を出し入れさせるために、対向する両面に鍵穴33とサムターン34とを連結している。鍵穴33はドア1の屋外側に配置されており、差し込まれたキーで回動されて、デットボルト31をロック状態と非ロック状態とに移動させる。サムターン34はドア1の屋内側に配置されており、ツマミが回動されてデットボルト31をロック状態と非ロック状態とに移動させる。図1、図2、及び図5に示すドア1は、鍵機構3を上下の2箇所に設けている。したがって、上下に2個のシリンダーケース30を配置している。上下のシリンダーケース30は、鍵穴33とサムターン34が取っ手7の上下に位置するように配置している。ただ、ドアに設ける鍵機構は、1つとすることもできる。また、図において上側に位置するシリンダーケース30は、ラッチ機構4のシリンダーケース40と一体構造としている。ただ、鍵機構のシリンダーケースとラッチ機構のシリンダーケースは別に設けることもできる。
鍵機構3のシリンダーケース30は、図3、図7、及び図8に示すように、戸先側の縦枠11Aの内側に固定された固定プレート70の内側に配置される。固定プレート70は、図3と図8に示すように、金属板をコ字状に折曲加工したもので両側の側壁70Aの先端を戸先側の縦枠11Aの内側面に固定している。図に示す固定プレート70は、鍵機構3のシリンダーケース30を収納すると共に、上端部にはドアガード5を固定する構造としている。したがって、図の固定プレート70は、上端部をドアガード5の固定位置まで延長する形状としている。固定プレート70は、戸先側の縦枠11Aに連結するために、側壁70Aの先端縁に、上下方向に離して複数の係止フック71を設けている。戸先側の縦枠11Aは、係止フック71が挿入されるスリット72を、係止フック71に対向して設けている。各々のスリット72は、上下に延びる係止フック71を挿入できるように、上下方向に開口して設けている。この固定プレート70は、係止フック71をスリット72に挿入すると共に、係止フック71の係止溝71Aに縦枠11の底板11Xを嵌入して定位置に固定される。図に示す固定プレート70は、一対の側壁70Aの先端縁の上下と中間に、それぞれ3個の係止フック71を設けている。この固定プレート70は、側壁70Aの先端の上下と中間を戸先側の縦枠11Aに連結するので、強固に固定できる特徴がある。ただ、固定プレートは、一対の側壁の上下の2箇所を戸先側の縦枠に連結することも、4箇所以上を連結することもできる。以上の固定プレートは、係止フックとスリットを介して係止構造で戸先側の縦枠に連結するので、簡単かつ速やかに縦枠の定位置に固定できる特徴がある。ただ、固定プレートは、ネジ止め等の方法で縦枠の定位置に固定することもできる。
さらに、図3と図7に示すドア1は、固定プレート70と縦枠11の間であって、屋外側の表面板13に設けた目印8の内側に、切断具90を案内するガイド溝73を設けている。図に示す固定プレート70は、側壁70Aの先端面であって、縦枠11の底板11Xとの対向部分に縦枠11に沿う凹部74を設けており、この凹部74と縦枠11とでスリット状のガイド溝73を設けている。このように、ガイド溝73をスリット状とする構造は、切断具90で切断する場合に、係止フック71との連結部75のみを切断するので、簡単かつ短時間で切断できる特徴がある。さらに、図3と図8に示す固定プレート70は、縦枠11に連結する係止フック71との連結部75を内側に折曲加工して、外側に配置される屋外側の表面板13の目印8である溝8Aを案内する位置決め凹部76を設けている。この構造は、目印8である溝8Aの内側突出部を、正確に位置決めしながら屋外側の表面板13をフレーム10に固定できる。
固定プレート70は、屋外側の表面板13と屋内側の表面板14を裏面から補強する。したがって、固定プレート70は、屋外側の表面板13と屋内側の表面板14の内面に密着する幅、すなわちフレーム10の幅に等しく、屋外側の表面板13と屋内側の表面板14の内面に接着して固定される。固定プレート70は、広い面積で屋外側の表面板13と屋内側の表面板14の裏面に接着されて強固に固定される。固定プレート70は、溶接などの方法で戸先側の縦枠11Aに固定されてドア1の内部に固定される。固定プレート70は、ドア1の表面に配置される鍵穴33とサムターン34をシリンダーケース30に連結するための貫通孔77を設けている。さらに、図に示す固定プレート70は、側壁70Aの上端部に、ドアガード5をドア1に固定する止ネジ54をねじ込むネジ孔78を設けている。ドアガード5の台座52と屋内側の表面板14を貫通してねじ込まれた止ネジ54が固定プレート70のネジ孔78にねじ込まれて、ドアガード5はドア1に強固に固定される。以上の固定プレート70は、鍵機構3のシリンダーケース30の収納部とドアガード5の固定部とを一体的に構成している。ただ、固定プレートは、鍵機構のシリンダーケースを収納する固定プレートと、ドアガードを固定する固定プレートとに分割して、各々の固定プレートを縦枠に固定することもできる。
以上のドア1は、鍵機構3のシリンダーケース30とドアガード5を、上下に離してドア1に固定している。図のドア1は、上側のシリンダーケース30の上方に所定の間隔でドアガード5を固定している。このドア1は、ドアガード5と連結具6の連結状態を解除する位置から下方に向かってドア1を切断してデッドボルト31も切断する。ただ、ドアは、図示しないが、シリンダーケースとドアガードを互いに接近して、たとえば、シリンダーケースとドアガードを一体的にドアに固定することもできる。このドアは、ドアガードと連結具の連結位置をデッドボルトの位置に接近できるので、切断具で切断する距離を短くして短時間でドアを切断でき、デッドボルトとドアガードの両方のロック状態を速やかに解除できる。
ドア枠2は、図3に示すように、蝶番9を介してドア1を開閉自在に連結している。図のドア枠2は、ドア1の戸先側に位置する戸先側の垂直枠20Aと、蝶番9側に位置する蝶番側の垂直枠20Bと、両方の垂直枠20を上端で連結している上側水平枠21と、垂直枠20を下端で連結している下側水平枠22とからなる。両側の垂直枠20と上側水平枠21と下側水平枠22は、鋼板等の金属板を折曲加工して製作される。上側水平枠21は、両端を一対の垂直枠20の上端に連結している。下側水平枠22は、両端を一対の垂直枠20の下端に連結している。このドア枠2は、一対の垂直枠20と上側水平枠21と下側水平枠22とを長方形に連結している。この構造は、ドア枠2を製造工場で長方形に連結して、施工現場に運搬できる。ただ、ドア枠は、必ずしも下側水平枠を必要としない。縦枠と上側水平枠をコンクリートや壁等の建物躯体に連結して、縦枠の下端を床や土間に固定できるからである。
ドア枠2は、鋼板で製作される。鋼板製のドア枠2は、安価で強靭な構造にできる特長がある。ただ、ドア枠は、必ずしも鋼板で製作する必要はない。ドア枠は、ステンレス等の金属板を折曲加工して製作することもできる。ステンレス製のドア枠は、錆びない特長がある。
ドア枠2に連結されるドア1は、その戸先側に、防犯、及び目隠し用のカバープレート部15を設けており、このカバープレート部15の先端部をドア1の先端面よりも突出する形状としている。このため、戸先側の垂直枠20Aは、カバープレート部15に対向する内側に段差面23を設けている。さらに、戸先側の垂直枠20Aは、段差面23の内側を直角に折曲して、ドア1の外周面に沿う内側面24としている。ドア枠2の内側面24は、ドア1の表面に向かって屋内側に突出する段差形状としている。段差部25は、パッキン溝26を設ける形状に金属板を折曲加工している。パッキン溝26は、弾性変形するエアータイトパッキン27を定位置に固定している。エアータイトパッキン27は、閉じられたドア1の屋内側の表面に密着される。さらに、戸先側の垂直枠20Aは、屋内側の内周面28に、ドアガードが連結される連結具6を固定している。
蝶番側の垂直枠20Bは、内側を、ドア1の外周面に沿う内側面24として、この内側面24の屋内側を段差形状として、段差部25にパッキン溝26を設けている。パッキン溝26にはエアータイトパッキン27を固定して、閉められたドア1の屋内側の表面にエアータイトパッキン27を密着させる形状としている。
さらに、上側水平枠21と下側水平枠22も、図4の断面図に示すように、蝶番側の垂直枠20Bと同じように、内側を、ドア1の外周面に沿う内側面24として、この内側面24の屋内側を段差形状として、段差部25にパッキン溝26を設けている。パッキン溝26には、エアータイトパッキン27を固定している。