JP4823899B2 - 3−(アミノ)−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシ−プロピオンアミドまたはその塩の調製のためのプロセスおよび中間体 - Google Patents

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Description

(優先権出願)
本特許出願は、2003年6月17日に出願された米国仮特許出願番号60/479,487からの優先権の利益を主張する。
(発明の分野)
本発明は、以下の構造(式I):
Figure 0004823899
を有する3−(アミノ)−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシ−プロピオンアミドまたはその塩の調製のためのプロセスおよび中間体に関する。
(発明の背景)
3−(アミノ)−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシ−プロピオンアミドは、2001年7月19日に出願された米国特許出願番号09/908,955、および2002年1月18日に出願された米国特許出願番号10/052,386に開示されており、これらの特許出願は、各々が本明細書中に参考として援用される。
式Iの化合物は、以下の構造:
Figure 0004823899
を有するC型肝炎ウイルス(「HCV」)プロテアーゼインヒビターの、(1R,2S,5S)−3−アザビシクロ[3,1,0]ヘキサン−2−カルボキサミド,N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−[(2S)−2−[[[1,1−ジメチルエチル]アミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−6,6−ジメチルの調製で使用される重要な中間体である。
上記の特許出願で開示された式Zの化合物は、C型肝炎ウイルスおよび関連する障害を処置するのに有用である。具体的には、式Zの化合物は、HCV NS3/NS4aセリンプロテアーゼのインヒビターである。
C型肝炎の1以上の症状の処置または予防または改善に有用な化合物を合成する方法に対する必要性が残っている。
C型肝炎ウイルス(「HCV」)プロテアーゼインヒビターの重要性を考えると、新たな、そのようなアンタゴニストを作製する新規の方法は、常に興味深い。
(発明の要旨)
1つの実施形態において、本出願は、式I:
Figure 0004823899
の化合物またはその塩を作製するプロセスに関する。
本発明はまた、式Iの化合物を作製するプロセス中で作製される特定の中間体化合物に関する。
式Iの化合物またはその塩を作製するプロセスは、以下:
(1)式IIの化合物をアルキル化し、そして脱保護して、式IIIの化合物を得る工程であって:
Figure 0004823899
ここで、Rは、アルキル基または置換されたアルキル基を表す、工程;
(2)式IIIの化合物を保護基(P)で保護して、式IVの化合物を得る工程:
Figure 0004823899
(3)式IVの化合物を還元して、式Vの化合物を得る工程:
Figure 0004823899
(4)式Vの化合物を酸化して、式VIの化合物を得る工程:
Figure 0004823899
(5)式VIの化合物を、以下:
Figure 0004823899
と反応させて、式VIIの化合物を得る工程:
Figure 0004823899
(6)式VIIの化合物を水和させて、式VIIIの化合物を得る工程:
Figure 0004823899
および
(7)式VIIIの化合物を脱保護して、式Iの化合物またはその塩を得る工程:
Figure 0004823899
を包含する。
式Iの化合物を作製するための本発明のプロセスは、以下のいくつかの利点を有する:このプロセスは、製造用にスケールアップするのに有用である、そしてこのプロセスは、費用効率がより高い。
(発明の説明)
上で、そして本明細書にわたって使用されるように、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。
「アルキル」とは、直鎖または分枝であり、その鎖中に約1〜約20個の炭素原子を含み得る脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、その鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、その鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝とは、1以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、アルキル直鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、直鎖または分枝であり得るその鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。用語「置換されたアルキル」とは、そのアルキル基が、同じかまたは異なり得る1以上の置換基によって置換され得ることを意味し、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、およびトリフルオロメチルが挙げられる。
「ハロ」とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基を意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがより好ましい。
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素または臭素が好ましく、フッ素および塩素がより好ましい。
「アルコシキ」とは、アルキル−O−基を意味し、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロピル、n−ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
「アルキルチオ」とは、アルキル−S−基を意味し、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオおよびヘプチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介する。
用語「必要に応じて置換された」とは、特定の基、ラジカルまたは部分による任意の置換を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」は、特定の量で特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量で特定の成分を組み合わせることによって、直接的もしくは間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
「溶媒和物」とは、本発明の化合物と1以上の溶媒分子との物理的会合体を意味する。この物理的会合体は、種々のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。ある事例では、溶媒和物は、例えば、1以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子中に取り込まれる場合に、単離可能である。「溶媒和物」は、液相溶媒和物および分離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
1つの実施形態において、本発明は、式Iの化合物を調製するためのプロセスに関する。本発明のプロセスは、以下のスキームIに模式的に記載され:
Figure 0004823899
Rは、アルキル基または置換されたアルキル基を表す。アルキル基の非限定的な例は、(C〜C12)アルキル、(C〜C)アルキル、および(C〜C)アルキルである。
Pは、保護基である。本発明の実施において適切なN−保護基の例としては、アルキル、メトキシメチル、ベンジルメチル、CYCO(Yは、ハロゲンである)、ベンジルオキシカルボニル、トリチル、ピバロイルオキシメチル、テトラヒドラニル、ベンジル、ジ(p−メトキシフェニル)メチル、トリフェニルメチル、(p−メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ジフェニルホスフィニル、ベンゼンスルフェニル、メチルカルバメート、2−トリメチルシリルエチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(「t−Boc」)、シクロブチルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、アダマンチルカルバメート、ビニルカルバメート、アリルカルバメート、シンナミルカルバメート、8−キノリルカルバメート、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、ベンジルカルバメート、9−アンスリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメートおよびS−ベンジルカルバメートが挙げられる。
好ましいN−保護基としては、メチルカルバメート、2−トリメチルシリルエチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(「t−Boc」)、シクロブチルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、アダマンチルカルバメート、ビニルカルバメート、アリルカルバメート、シンナミルカルバメート、8−キノリルカルバメート、ベンジルカルバメート、9−アンスリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、S−ベンジルカルバメートが挙げられ、t−Bocがより好ましい。
(工程1)
適切な溶媒中の式IIの化合物(35.0kg、131mol)の溶液に、約−20℃〜約70℃の範囲の温度、好ましくは約0℃〜約50℃の範囲の温度、より好ましくは約20℃〜約30℃の範囲の温度で、適切な塩基が添加される。使用され得る適切な塩基の非限定的な例としては、金属水素化物、アルキルリチウムおよび金属アルコキシドが挙げられる。好ましい塩基は、金属アルコキシドである。金属アルコキシドまたは金属水素化物のいずれかにおける金属は、ナトリウム、カリウムなどであり得る。アルコキシドは、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含み得る。好ましい金属アルコキシドの例としては、tert−ブトキシドカリウムが挙げられる。アルキルリチウム塩基の例としては、ジエチルプロピルアミドリチウムおよびブチルリチウムが挙げられる。適切な溶媒の非限定的な例としては、芳香族溶媒、炭化水素溶媒およびエーテル溶媒が挙げられる。芳香族溶媒の非限定的な例としては、ベンゼン、キシレンおよびトルエンが挙げられる。炭化水素溶媒の非限定的な例としては、ペンタン、ヘキサンおよびヘプタンが挙げられる。エーテル溶媒の非限定的な例としては、THF、TBMEおよびジエチルエーテルが挙げられる。好ましい溶媒は、THF、TBMEおよびジエチルエーテルのようなエーテル溶媒であり、より好ましくはTHFである。次いで、この混合物は、約1時間またはこの反応が完結するまで、約−45℃〜約40℃の範囲の温度、好ましくは約−25℃〜約20℃の範囲の温度、より好ましくは約−5℃〜約0℃の範囲の温度で攪拌される。次いで、(ハロメチル)シクロブタンまたは(スルホン酸メチル)シクロブタン、好ましくは(ハロメチル)シクロブタン、より好ましくは(ブロモメチル)シクロブタンが添加される。(ハロメチル)シクロブタンは、一般的に、式IIの化合物に対して約0.2モル当量〜約10モル当量、好ましくは約1モル当量〜約5モル当量、そしてより好ましくは約1モル当量〜約1.5モル当量で使用され得る。いくらか過剰の(ハロメチル)シクロブタンが使用され得る。次いで、この混合物は、24時間またはこの反応が完結するまで、約−20℃〜約65℃の範囲の温度、好ましくは約0℃〜約45℃の範囲の温度、より好ましくは約20℃〜約25℃の範囲の温度で攪拌される。この期間の後、酸性水溶液が添加される。添加され得る酸の非限定的な例としては、無機酸または有機酸(例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、HSO、HCl、HPO、クエン酸、塩化メシル、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸のピリジニウム塩、アルキルスルホン酸など、またはそれらの混合物)が挙げられる。好ましい酸は、HSO、HCl、HPOのような無機酸であり、好ましくは、HClである。得られた混合物は、2時間またはこの反応が完結するまで攪拌されて、式IIIの化合物が得られた。
(工程2)
適切な溶媒中のN−保護基(P)(24.9kg、131mol)が、工程1からの式IIIの化合物に添加される。N−保護基は、一般的に、式IIIの化合物に対して約0.2モル当量〜約10モル当量、好ましくは約1モル当量〜約5モル当量、そしてより好ましくは約1モル当量〜約1.5モル当量で使用され得る。工程2で使用され得る適切な溶媒の非限定的な例としては、芳香族溶媒、炭化水素溶媒およびエーテル溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、THF、TBMEおよびジエチルエーテルのようなエーテル溶媒であり、より好ましくはTHFである。
添加後、この反応混合物は、約−20℃〜約65℃の範囲の温度、好ましくは約0℃〜約45℃の範囲の温度、より好ましくは約20℃〜約25℃の範囲の温度に調整され、そして約4時間またはこの反応は完結するまで攪拌されて、式IVの化合物が得られる。
(工程3)
適切な溶媒中の還元剤の溶液が、工程2からの式IVの化合物に添加される。還元剤の非限定的な例としては、金属水素化物(例えば、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、水素化ホウ素リチウム(LiBH)または水素化ホウ素ナトリウム(NaBH))が挙げられる。還元剤は、一般的に、式IVの化合物に対して約0.1モル当量〜約10モル当量、好ましくは約0.25モル当量〜約5モル当量、そしてより好ましくは約1モル当量〜約2モル当量で使用され得る。いくらか過剰の還元剤が使用され得る。工程3で使用され得る適切な溶媒の非限定的な例としては、芳香族溶媒、炭化水素溶媒およびエーテル溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、THF、TBMEおよびジエチルエーテルのようなエーテル溶媒であり、より好ましくはTHFである。得られる混合物は、約6時間またはこの反応が完結するまで攪拌されて、式Vの化合物が得られる。
(工程4)
適切な溶媒中の工程3からの式Vの化合物に、式Vの化合物のアルコール基をアルデヒド基に酸化し得る酸化剤がゆっくりと添加される。好ましくは、1以上の触媒および塩基が、酸化剤の前に添加される。好ましい触媒、塩基そして酸化剤の組み合わせとしては、各々触媒として2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)および金属臭化物(金属臭化物中の金属は、Na、K、Liなどであり得る)、塩基として重炭酸ナトリウム、そして酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。酸化剤は、一般的に、式Vの化合物に対して約0.2モル当量〜約10モル当量、好ましくは約1モル当量〜約5モル当量、そしてより好ましくは約1モル当量〜1.5モル当量で使用され得る。適切な溶媒の非限定的な例としては、炭化水素溶媒、エステル溶媒、芳香族溶媒、THFなど、またはそれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒としては、エステル溶媒が挙げられ、より好ましくは酢酸イソプロピルまたは酢酸エチルが挙げられる。この反応混合物は、約30分間またはこの反応が完結するまで攪拌されて、式VIの化合物が得られる。
(工程5)
工程4からの式VIの化合物に、相間移動触媒およびシアン化触媒(例えば、シアン化カリウム、シアン化ナトリウムなど)が添加される。相間移動触媒の非限定的な例としては、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリカプリルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリブチルアンモニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、PEG−500デメチルエーテル、ブチルジグリムおよびジベンゾ−18−クラウン−6が挙げられる。アセトンシアノヒドリンが、約−25℃〜約60℃の範囲の温度、好ましくは約−5℃〜約40℃の範囲の温度、より好ましくは約15℃〜約20℃の範囲の温度で添加される。アセトンシアノヒドリンは、一般的に、式VIの化合物に対して約0.2モル当量〜約10モル当量、好ましくは約1モル当量〜約5モル当量、そしてより好ましくは約1モル当量〜約1.5モル当量で使用され得る。この混合物は、約2時間またはこの反応が完結するまで攪拌されて、式VIIの化合物が得られる。
(工程6)
適切な溶媒中の塩基およびDMSOが、工程5からの式VIIの化合物に添加される。適切な溶媒の例としては、アセトンが挙げられる。適切な塩基の非限定的な例としては、KCOまたはNaCOが挙げられる。この反応混合物は、約25℃〜約105℃の範囲の温度、好ましくは約45℃〜約85℃の範囲の温度、より好ましくは約60℃〜約70℃の範囲の温度に加熱される。次いで、過酸化水素が、この反応混合物にゆっくりと添加されて、式VIIIの化合物が得られる。MnOの使用、または水和を触媒する酵素のような他の水和方法が、式VIIの化合物を式VIIIの化合物に変換するために使用され得る。
(工程7)
適切な溶媒中の工程6からの式VIIIの化合物に、酸が添加される。添加され得る酸の非限定的な例としては、無機酸または有機酸(例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、トリフルオロ酢酸(TFA)、HSO、HCl、HPO、クエン酸、塩化メシル、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸のピリジニウ塩、アルキルスルホン酸など、またはそれらの混合物)が挙げられる。好ましい酸としては、TFA、HSO、HClおよびHPOが挙げられ、好ましくはTFAまたはHClが挙げられる。酸の添加後、この混合物は、約0℃〜約90℃の範囲の温度、好ましくは約20℃〜約70℃の範囲の温度、より好ましくは約40℃〜約50℃の範囲の温度に加熱され、そして約4時間またはこの反応が完結するまで攪拌されて、式Iの化合物またはその塩が得られる。式Iの化合物の好ましい塩は、以下:
Figure 0004823899
である。
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに例示するために提供される。本開示に対する多くの改変、バリエーションおよび変更が、材料、方法および反応条件のいずれに対しても行われ得ることは、当業者に明らかである。このような改変、バリエーションおよび変更のすべては、本発明の精神および範囲内にあることが意図される。
他に記述されない限り、以下の略語は、以下の実施例において記述された意味を有する:
MHz=メガヘルツ
NMR=核磁気共鳴分光法
mL=ミリリットル
g=グラム
THF=テトラヒドロフラン
TFA=トリフルオロ酢酸
TEMPO=2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ
DMSO=ジメチルスルホキシド
TBME=t−ブチルメチルエーテル
t−Boc=t−ブチルカーボネート
Figure 0004823899
(工程1)
THF(158L)中の(ジフェニルメチレン)グリシンエチルエステルII(35.0kg、131mol)の溶液に、−20℃〜−30℃で、THF(158L)中のtert−ブトキシドカリウム(17.9kg、160mol)の溶液を添加した。添加後、この混合物を、−5℃〜0℃に温め、1時間攪拌し、(ブロモメチル)シクロブタン(18L、162mol)を添加した。添加後、この混合物をさらに20℃〜25℃に温め、24時間攪拌した。この期間の後、HCl(35L、140Lの水中37%)の溶液を添加した。得られた混合物を、2時間攪拌し、次いで、静置し、分離した。有機層を、105Lの水で洗浄した。水層を合わせ、そして280LのTBMEで2回洗浄した。洗浄後、この水層に、175LのTMBEおよび水(105L)中の炭酸カリウム(52.5kg)溶液を添加した。得られた混合物を、30分間攪拌し、静置し、そして分離した。この水層を、175LのTBMEで抽出して、式IIIの化合物を含む有機層を得た。
(工程2)
工程1からの合わせた有機層を、140Lの体積に濃縮し、0℃〜5℃に冷却した。ジ−tert−ブチルジカルボネート(THF中75重量%溶液)(24.9kg、131mol)を添加した。添加後、この混合物を、20℃〜25℃に温め、4時間攪拌し、そして70Lの水で洗浄した。この有機層を共沸蒸留により乾燥させ、140Lの体積に濃縮し、そして30℃〜35℃に冷却して、式IVの化合物を得た。
(工程3)
THF中の水素化ホウ素リチウム溶液(2.0M)(58.5kg、131mol)を、工程2からの式IVの化合物に添加した。得られた混合物を、6時間攪拌し、そして15℃〜20℃に冷却した。この反応を、水(175L)中のリン酸二水素カリウム(17.5kg)溶液の添加によりクエンチした。分離後、水層を105LのTBMEで抽出した。合わせた有機層を、水および塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層中のTBMEを、蒸留によりヘプタンに置換し、この生成物を、ヘプタン溶液から結晶化した。濾過および乾燥後、式Vの化合物(13.0kg、43%)を得た。
Figure 0004823899
(工程4)
酢酸エチル(1.0L)中の、工程3からの式Vの化合物(100.0g、0.436mol)およびTEMPO(1.0g、6.4mmol)の溶液に、水(500ml)中の、臭化リチウム(3.0g、34.5mmol)および重炭酸ナトリウム(30g、0.375mol)の溶液を添加した。この混合物を、−5℃〜5℃に冷却した。次亜塩素酸ナトリウム溶液15%(197.3ml、0.436mol)を、2時間にわたって添加した。添加後、この反応混合物を、30分間攪拌した。反応終了の際に、チオ硫酸ナトリウム(20g、80.6mmol)を添加し、次いで、水層を分離して、式VIの化合物を含む酢酸エチル層を得た。
(工程5)
工程4からの酢酸エチル層に、水(50ml)中の、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(1.0g、2.7mmol)およびシアン化カリウム(4.0g、61.4mmol)を添加した。15℃〜25℃で、アセトンシアノヒドリン(51.0g、0.599mol)を添加した。この混合物を、2時間攪拌した。反応終了の際に、水層を分離した。次いで、有機層を、20%塩化ナトリウム溶液(350ml)で洗浄し、濃縮して、式VIIの化合物を含む酢酸エチル層を得た。
(工程6)
工程5における有機層中の酢酸エチルを、蒸留によりDMSO(250ml)に置換した。炭酸カリウム(40g、0.289mol)およびアセトン(700ml)を添加した。この混合物を、約65℃で加熱して還流した。還流時に、30%過酸化水素(100ml、0.979mol)を、2時間にわたって添加した。次いで、この反応混合物を、3時間還流して攪拌した。反応終了の際に、水(800ml)を、35℃〜45℃で添加した。生成物は、添加中に沈殿した。この混合物を、0℃〜5℃に冷却し、濾過して、生成物(「その1」と称した)を得た。これは、RR異性体またはSS異性体のいずれかが優勢であった。
Figure 0004823899
濾液中のアセトンを、減圧蒸留により除去した。酢酸エチル(1.2L)を添加して生成物を抽出した。この酢酸エチル抽出物を、順に、水で2回、そして塩化ナトリウム溶液で洗浄した。酢酸エチルを、減圧蒸留により除去した。残りの酢酸エチルを、減圧蒸留によりn−酢酸ブチルに置換した。生成物(「その2」)を酢酸ブチルから沈殿させ、濾過により回収した。この生成物は、RS異性体またはSR異性体のいずれかが優勢であった。
Figure 0004823899
その1とその2とを合わせて、全体で80g(67.4%)の式VIIIの化合物が得られた。
(工程7)
イソプロピルアルコール(135L)中の、工程6からの式VIIIの化合物(15.0kg、55.1mol)の混合物に、20℃〜25℃で、イソプロピルアルコール中の5〜6N HCl(30L)を添加した。添加後、この混合物を、40℃〜50℃に加熱し、4時間攪拌した。この期間の後、混合物を、0℃〜5℃に冷却し、濾過した。この湿った固まりを乾燥させて、式Iの化合物の塩酸塩(10.9kg、91%)を得た。
Figure 0004823899
種々の改変が、本明細書中に開示される実施形態および実施例に対してなされ得ることが理解される。従って、上の記載は、限定としてではなく、単に好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲および精神の内にある種々の改変を想定する。

Claims (22)

  1. 式I:
    Figure 0004823899
    の化合物またはその塩を作製する方法であって、以下:
    (1)式IIの化合物をアルキル化し、そして脱保護して、式IIIの化合物を得る工程であって:
    Figure 0004823899
    ここで、Rは、アルキル基または置換されたアルキル基を表す、工程;
    (2)該式IIIの化合物を保護基(P)で保護して、式IVの化合物を得る工程:
    Figure 0004823899
    (3)該式IVの化合物を還元して、式Vの化合物を得る工程:
    Figure 0004823899
    (4)該式Vの化合物を酸化して、式VIの化合物を得る工程:
    Figure 0004823899
    (5)該式VIの化合物を、以下:
    Figure 0004823899
    と反応させて、式VIIの化合物を得る工程:
    Figure 0004823899
    (6)該式VIIの化合物を水和させて、式VIIIの化合物を得る工程:
    Figure 0004823899
    および
    (7)該式VIIIの化合物を脱保護して、式Iの化合物またはその塩を得る工程:
    Figure 0004823899
    を包含する、方法
  2. 工程1において、塩基および(ハロメチル)シクロブタンが添加される、請求項1に記載の方法
  3. 前記塩基は、金属水素化物、アルキルリチウムおよび金属アルコキシドからなる群より選択され、ここで、該金属アルコキシドまたは該金属水素化物中の該金属は、ナトリウムまたはカリウムである、請求項2に記載の方法
  4. 前記塩基は、tert−ブトキシドカリウムである、請求項3に記載の方法
  5. 前記(ハロメチル)シクロブタンは、(ブロモメチル)シクロブタンである、請求項2に記載の方法
  6. 硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、HSO、HCl、HPO、クエン酸、塩化メシル、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸のピリジニウム塩およびアルキルスルホン酸からなる群より選択される酸を添加する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法
  7. 工程2における前記保護基は、アリル、メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、CYCOからなる群より選択され、ここで、Yは、ハロゲン、ベンジルオキシカルボニル、トリチル、ピバロイルオキシメチル、テトラヒドラニル、ベンジル、ジ(p−メチルオキシフェニル)メチル、トリフェニルメチル、(p−メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ジフェニルホスフィニル、ベンゼンスルフェニル、メチルカルバメート、2−トリメチルシリルエチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、t−ブチルカルメート(「t−Boc」)、シクロブチルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、アダマンチルカルバメート、ビニルカルバメート、アリルカルバメート、シンナミルカルンバメート、8−キノリルカルバメート、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、ベンジルカルバメート、9−アンスリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、およびS−ベンジルカルバメートである、請求項1に記載の方法
  8. 前記保護基は、t−Bocである、請求項7に記載の方法
  9. 工程3は、NaH、CaH、LiAlHおよび水素化ホウ素リチウム(LiBH)からなる群より選択される還元剤を添加する工程を包含する、請求項1に記載の方法
  10. 前記還元剤は、LiBHである、請求項9に記載の方法
  11. 工程4は、酸化剤を添加する工程を包含する、請求項1に記載の方法
  12. 前記酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウムである、請求項11に記載の方法
  13. 前記酸化剤を添加する工程の前に、1以上の触媒および塩基を添加する工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法
  14. 前記塩基は、重炭酸ナトリウムであり、前記触媒は、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシおよび金属臭化物であり、ここで、該金属は、Na、K、およびLiからなる群より選択される、請求項13に記載の方法
  15. 工程5は、シアン化物触媒、相間移動触媒およびアセトンシアノヒドリンを添加する工程を包含する、請求項1に記載の方法
  16. 前記シアン化物含有触媒は、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムである、請求項15に記載の方法
  17. 前記相間移動触媒は、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリカプリルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリブチルアンモニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、PEG−500デメチルエーテル、ブチルジグリムおよびジベンゾ−18−クラウン−6からなる群より選択される、請求項15に記載の方法
  18. 工程6は、水和触媒および過酸化水素を添加する工程を包含する、請求項1に記載の方法
  19. 前記水和触媒は、ジメチルスルホキシドまたはMnOである、請求項18に記載の方法
  20. 工程7は、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、トリフルオロ酢酸、HSO、HCl、HPO、クエン酸、塩化メシル、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸のピリジニウム塩およびアルキルスルホン酸からなる群より選択される酸を添加する工程を包含する、請求項1に記載の方法
  21. 工程における化合物Iの塩は、以下の構造:
    Figure 0004823899
    を有する塩酸塩である、請求項1に記載の方法
  22. 式:
    Figure 0004823899
    の化合物。
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