図1は、本発明の実施例1に係るパチンコ遊技機1を示す正面模式図である。本実施例1に係るパチンコ遊技機1は、台枠に取り付けられた透明ガラス板でなる前面扉2と、台枠の内側に配置されて前面扉2によって覆われる遊技盤3と、遊技盤3の左右の斜め下方に配設された左右一対のスピーカ4a,4bと、遊技盤3の下方に設けられた玉供給皿5と、玉供給皿5の右方(図1で見て)に設けられた、玉の発射装置110(図6参照)を操作するハンドル6とを含んで構成されている。なお、図1中、符号106は、ランプ類(図6参照)を示す。
遊技盤3は、液晶表示装置等でなる液晶表示部10と、液晶表示部10の左方(図1で見て)に設けられた通過ゲート11と、液晶表示部10の下方に設けられた第1始動入賞口12と、第1始動入賞口12の下方に設けられた大入賞口13と、大入賞口13の下方に設けられた玉排出口14と、液晶表示部10の上方に設けられた貯留装置15と、貯留装置15の左斜め下(図1で見て)に設けられた、いわゆる電動チューリップ(以下、電チューと略記する)である第2始動入賞口16と、液晶表示部10の左斜め下(図1で見て)に設けられた普図表示部17および普図保留数表示部18と、液晶表示部10の右斜め下(図1で見て)に設けられた特図表示部19および特図保留数表示部20とを含んで構成されている。
液晶表示部10は、図2(a)〜(f)に示すように、特図(特別図柄)の抽出値の抽選結果により決定された3桁のアラビア数字等のキャラクタでなる特図をダミー表示する。液晶表示部10は、図柄変動を開始してから、その抽選結果が乱数カウンタの同一周期内から値を抽出したものであれば、「熱い!」と表示する(図2(c)参照)。
通過ゲート11は、賞球がないゲートであり、通過ゲート11に玉を通過させると、第2始動入賞口16が開閉動作を行う。
第1始動入賞口12は、いわゆるスタートと呼ばれる入賞口であり、玉が入賞すると所定数の賞球の払出が行われ、入賞検知処理(図10参照)が開始されるようになっている。
大入賞口13は、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞口であり、開口部と蓋部材とから構成され、蓋部材が移動することにより開口部の閉鎖状態と開放状態とを呈する。
貯留装置15は、図3(a)〜(d)に示すように、可動部材31と、可動部材31の一端(図3では右端)を遊技盤3に揺動自在に軸支する支軸32と、可動部材31の他端(図3では左端)に植設され遊技盤3に穿設された案内長穴34内に遊嵌された案内ピン33と、可動部材31の一端側の遊技盤3に植設された上下一対の釘35,36とから、その主要部が構成されている。なお、案内ピン33の内端は、後述する可動部材ソレノイド115(図6参照)に連結されている。
可動部材31は、案内ピン33が遊技盤3の案内溝34に沿って案内されることによって、支軸32を中心として上下に揺動する。上方の貯留位置では、図3(c)に示すように、他端が一端に比べて若干上位となり、可動部材31上には釘35,36に規制されて最大5つの玉が貯留されるようになっている。可動部材31は、図3(d)に示すように、電チューである第2始動入賞口16の開放動作と連動して移動するようになっており、揺動羽根16a,16aが開放されると、他端が一端に比べて大きく下位となるように傾斜した放出位置に移動する。この移動により、可動部材31上に貯留された玉(最大5つ)は、可動部材31を伝わって開放された可動羽根16a,16aから第2始動入賞口16に一気に流し込まれる。このため、乱数カウンタの同一周期内に複数の玉を入賞させることが容易になる。可動部材31は、可動羽根16a,16aの開放時間に関わらず、通常時も確変時も5秒間その傾斜状態を維持し、その後上方の貯留位置に復動する。
第2始動入賞口16は、図3(c)に示すように、開口部に一対の可動羽根16a,16aを有する、いわゆる電チューと呼ばれる可変入賞口でなり、可動羽根16a,16aの閉鎖時には、遊技盤3の、可動羽根16a,16a間の上位位置に植設された釘37によって玉が入賞しないようになっている。可動羽根16a,16aが開放して、第2始動入賞口16に玉が入賞すると、所定数の賞球の払出が行われ、入賞検知処理(図10参照)が開始されるようになっている。電チューである第2始動入賞口16は、通過ゲート11ヘの玉の通過を検知して99/100の確率で普図の抽選を行い、当選したならば、図3(d)に示すように、可動羽根16a,16aを開放する。可動羽根16a,16aの1回の開放時間は、通常時は0.5秒間、確変時は5秒間である。このため、特に確変時には、可動羽根16a,16aが開放された時、これに連動して、可動部材31が下方の放出位置に移動して、貯留されている玉(最大5つ)を第2始動入賞口16に一気に入賞させるようにする。
このように、電チューである第2始動入賞口16の上部に、5つほどの玉を貯留できる貯留装置15を設け、電チューである第2始動入賞口16の可動羽根16a,16aの開放動作に合わせて第2始動入賞口16へ向けて貯留された玉を一気に流し込むような構造にすることで、乱数カウンタの同一周期内に複数の玉を第2始動入賞口16に入賞させることが容易になる。
なお、貯留装置15の構造は、図3(a)〜(d)に例示したものに限定されるものではなく、種々の構造のものを採用することが可能である。
普図表示部17は、図4に示すように、1つの普図変動LEDp1で構成され、主回路120から直接制御されて普図の変動を表示する。普図の変動を開始すると、普図表示部17は、普図変動LEDp1を緑色と橙色とに切換表示し、当たりのときは緑色で点灯し、ハズレのときは橙色で点灯する。
普図保留数表示部18は、図4に示すように、4つの普図保留LEDp2〜p5で構成され、主回路120から直接制御されて普図の抽出値の保留数を表示する。普図保留数表示部18は、普図の抽出値の保留が発生する毎に、普図保留LEDp2から順に橙色に点灯する。先の普図の変動が終了すると、普図保留数表示部18は、普図保留LEDを1つ消灯する。
特図表示部19は、いわゆる7セグメントの数字表示器でなり、主回路120から直接制御されて特図(特別図柄)の抽出値の抽選結果を表示する。特図表示部19の図柄変動のタイミングは、液晶表示部10の特図の図柄変動の変動開始および変動停止のタイミングと一致する。
特図保留数表示部20は、図5に示すように、4つの特図保留LEDq1〜q4で構成されている。特図保留数表示部20は、特図の抽出値の保留が発生する毎に、特図保留LEDq1から順に橙色に点灯する。先の特図の図柄変動が終了すると、最新の特図保留LEDを消灯する。乱数カウンタの同一周期内から値を抽出したときは、特図保留数表示部20は、その保留分の特図保留LEDを緑色に点灯する。先の特図の図柄変動が終了する毎に、特図保留数表示部20は、特図保留LEDの各色をずらす。
図6を参照すると、パチンコ遊技機1は、主制御基板100と、普図表示部17と、普図保留数表示部18と、特図表示部19と、特図保留数表示部20と、液晶表示部10を制御する表示制御基板101と、スピーカ4a,4bを含むアンプ/スピーカ104を制御する音声制御基板103と、ランプ類106を制御するランプ制御基板105と、払出装置108を制御する払出制御基板107と、発射装置110を制御する発射制御基板109と、通過ゲート11に併設されたゲート通過検出器111と、第1始動入賞口12に併設された第1始動入賞検出器112と、第2始動入賞口16に併設された第2始動入賞検出器113と、大入賞口13に併設された大入賞検出器114と、貯留装置15の可動部材31を揺動させる可動部材ソレノイド115と、電チューである第2始動入賞口16の可動羽根16a,16aを開閉する電チューソレノイド116と、大入賞口13を開閉する大入賞ソレノイド117と、各基板に所定電圧を供給する電源回路部118とを含んで構成されている。
主制御基板100は、主回路120を搭載しており、主回路120は、CPU(Central Processing Unit)121,プログラム格納用のROM(Read Only Memory)122,ワークエリアや各種カウンタ等が割り当てられるRAM(Random Access Memory)123,I/O(Input/Output)124等を備える。
なお、その他の各基板も、個別にCPUやメモリを備える構成が一般的であるが、図6では省略している。
表示制御基板101は、主回路120より入力される表示制御信号に応じて、液晶表示部10に画像を表示させるための処理を実行する。音声制御基板103は、入力される音声制御信号に応じてスピーカ4a,4bを含むアンプ/スピーカ104より音声を出力させる。ランプ制御基板105は、入力されるランプ制御信号に応じてランプ類106の点灯/消灯を制御する。払出制御基板107は、入力される賞球払出信号に応じて払出装置108を制御する。これにより、遊技者に対して所定量の賞球が払い出される。発射制御基板109は、遊技者がハンドル6を操作することに応じて、該ハンドル6に対応して設けられた発射装置110を作動させる。ハンドル6の操作量に応じて、玉の打出し強さ(玉の飛距離)を調節することが可能となっている。
図7は、本実施例1に係るパチンコ遊技機1における通過検知処理を示すフローチャートである。通過検知処理では、主回路120は、通過ゲート11での玉の通過を契機として、普図用の乱数カウンタから値を抽出し、抽出値をRAM123上の普図用保留記憶領域(図示せず)に最大保留数4まで保留する。
なお、本実施例1が適用されるパチンコ遊技機は、STタイプのパチンコ遊技機であり、大当たり確率が、通常時に1/300、確変時に1/10であるものとする。確変の継続回数(回転数)は、10回転である。普図用の乱数カウンタ(図示せず)および特図用の通常時用乱数カウンタ(図示せず)は、0〜299の範囲の何れかの整数値を示すものであり、タイマ割り込み(4ms)が発生する毎に値を更新(+1)する。値299の次は、値0に戻る。特図用の確変時用乱数カウンタは、0〜9の範囲の何れかの整数値を示すものであり、タイマ割り込み(100ms)が発生する毎に値を更新(+1)する。値9の次は、値0に戻る。大当たり判定用テーブルは、値7である。
また、本実施例1が適用されるパチンコ遊技機は、大当たり終了後は、10個目の入賞までは確変時用乱数カウンタから値を抽出し、それ以降は通常時用乱数カウンタから値を抽出する。大当たりとなった場合は、その時点での特図の抽出値の保留を全てリセットし、大当たり終了後は特図の抽出値の保留数が0個の状態からスタートして必ず確変状態(10回転)となる。大当たりが発生した後で保留されている抽出値は全て消去されるので、大当たりが発生した時点で保留されている抽出値で大当たりとなることなどを考慮する必要はない。
図8は、本実施例1に係るパチンコ遊技機1における普図保留の読出処理を示すフローチャートである。普図保留の読出処理では、主回路120は、RAM123上の普図用保留記憶領域から最古の普図の抽出値を読み出し、普図の変動処理を開始する。
図9は、本実施例1に係るパチンコ遊技機1における普図の変動処理を示すフローチャートである。普図の変動処理では、主回路120は、普図の抽出値が当たりであるかどうかを判定し、当たりであるときに電チューである第2始動入賞口16を開閉動作させる。
図10は、本実施例1に係るパチンコ遊技機1における入賞検知処理を示すフローチャートである。入賞検知処理では、主回路120は、第1始動入賞口12および第2始動入賞口16からの玉の入賞検出信号が入力されたタイミングに応じて、特図用の通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタから値を抽出し、特図の抽出値をRAM123上の特図用保留記憶領域(図示せず)に記憶して保留する。
図11は、本実施例1に係るパチンコ遊技機1における特図保留の読出処理を示すフローチャートである。特図保留の読出処理では、主回路120は、RAM123上の特図用保留記憶領域から最古の特図の抽出値を読み出し、特図の変動処理を開始する。
図12は、本実施例1に係るパチンコ遊技機1における特図の変動処理を示すフローチャートである。特図の変動処理では、主回路120は、特図の抽出値が当たりであるかどうかを判定し、当たりであれば当たり図柄を停止表示し、当たりでなければハズレ図柄を停止表示する。
図13は、本実施例1に係るパチンコ遊技機1における大当たり処理を示すフローチャートである。大当たり処理では、主回路120は、大入賞口13を開放し、10個入賞または25秒経過で閉鎖する処理を1ラウンドとして、15ラウンド継続する処理を行う。
次に、このように構成された実施例1に係るパチンコ遊技機1の動作について、図1ないし図13を参照しながら説明する。
パチンコ遊技機1への電源投入後、玉供給皿5に準備された玉は、ハンドル6を含んで構成される発射装置110によって遊技盤3に向けて発射される。遊技盤3に達した玉は、遊技盤3の盤面上を流下する。
遊技盤3の盤面上を流下する玉が通過ゲート11を通過すると、これをゲート通過検出器111が検出して、通過検出信号が主回路120に送信される。
通過検知処理では、主回路120は、通過検出信号により通過ゲート11の玉の通過を検知しており(図7のS101)、玉が通過しない場合には(図7のS101:NO)、玉が通過するまで待機する。
通過ゲート11を玉が通過したことが検知されると(図7のS101:YES)、主回路120は、普図用の乱数カウンタから値を抽出し(図7のS102)、普図の抽出値の保留数が最大保留数である4つであるかどうかを判定する(図7のS103)。普図の抽出値の保留数が4つであれば(図7のS103:YES)、主回路120は、通過検知処理を終了する。すなわち、最大保留数である4つを越える普図の抽出値は保留することなしに破棄される。
普図の抽出値の保留数が4つでなければ(図7のS103:NO)、主回路120は、RAM123上の普図用保留記憶領域に抽出値を記憶して保留し(図7のS104)、普図保留数表示部18の新たな普図保留LEDを点灯して(図7のS105)、通過検知処理を終了する。
次に、普図保留の読出処理では、主回路120は、RAM123上の普図用保留記憶領域に普図の抽出値の保留があるかどうかを判定し(図8のS201)、RAM123上の普図用保留記憶領域に普図の抽出値の保留がなければ(図8のS201:NO)、普図保留の読出処理を終了する。
RAM123上の普図用保留記憶領域に普図の抽出値の保留があれば(図8のS201:YES)、主回路120は、普図表示部17において先の普図の変動表示中であるかどうかを判定する(図8のS202)。
先の普図の変動表示中であれば(図8のS202:YES)、主回路120は、普図保留の読出処理を終了する。
先の普図の変動表示中でなければ(図8のS202:NO)、主回路120は、電チューである第2始動入賞口16が開放中であるかどうかを判定する(図8のS203)。電チューである第2始動入賞口16が開放中であれば(図8のS203:YES)、主回路120は、普図保留の読出処理を終了する。
電チューである第2始動入賞口16が開放中でなければ(図8のS203:NO)、主回路120は、RAM123上の普図用保留記憶領域に保留されている最古の普図の抽出値を読み出し(図8のS204)、普図保留数表示部18の点灯している普図保留LEDを1つ消灯し(図8のS205)、普図の変動処理(図13参照)を開始する。
普図の変動処理では、主回路120は、普図保留の読出処理で読み出した抽出値を普図用判定テーブル(=7)と照合して当たり/ハズレの判定を行う(図9のS301)。
次に、主回路120は、確変中または時短中かそうでないかに応じて普図の変動時間を決定する(図9のS302)。例えば、確変中または時短中であれば1秒、確変中でも時短中でもなければ30秒と変動時間を決定する。
続いて、主回路120は、普図表示部17の普図変動LEDp1で普図の変動を開始する(図9のS303)。
次に、主回路120は、ステップS301での判定結果(抽選結果)が当たりでなければ(図9のS304:NO)、普図表示部17の普図変動LEDp1を橙色で点灯し(図9のS315)、普図の変動処理を終了する。
ステップS301での判定結果(抽選結果)が当たりであれば(図9のS304:YES)、主回路120は、普図表示部17の普図変動LEDp1を緑色で点灯し(図9のS305)、貯留装置15の可動部材31を下方の放出位置に揺動させ(図9のS306)、電チューである第2始動入賞口16を開放する(図9のS307)。これにより、貯留装置15に貯留された玉(最大5つ)が可動部材31を伝わって開放された揺動羽根16a,16aを通じて第2始動入賞口16に一気に流れ込もうとし、揺動羽根16a,16aの開放時間が5秒間である確変時には貯留されていた玉のほとんどが第2始動入賞口16に入賞する。
次に、主回路120は、確変中または時短中であるかどうかを判定し(図9のS308)、確変中または時短中であれば(図9のS308:YES)、5秒経過するのを待機した後(図9のS309)、電チューである第2始動入賞口16を閉鎖すると同時に(図9のS310)、可動部材31を上方の貯留位置に復動し(図9のS311)、普図の変動処理を終了する。これにより、揺動羽根16a,16aが閉鎖され、第2始動入賞口16への玉の入賞ができなくなるとともに、可動部材31の復動により貯留装置15に再び玉が貯留されるようになる。
一方、確変中または時短中でなければ(図9のS308:NO)、主回路120は、0.5秒が経過するのを待機した後(図9のS312)、電チューである第2始動入賞口16を閉鎖し(図9のS313)、さらに可動部材31を下方の放出位置に移動してから5秒が経過するのを待機した後(図9のS314)、可動部材31を上方の貯留位置に復動し(図9のS311)、普図の変動処理を終了する。
第1始動入賞口12または第2始動入賞口16に玉が入賞すると、第1始動入賞検出器112または第2始動入賞検出器113が、これを検出して、入賞検出信号を主回路120に送信する。
主回路120は、入賞検出信号により第1始動入賞口12または第2始動入賞口16での玉の通過を検知しており(図10のS401)、玉の通過が検知されない場合には(図10のS401:NO)、玉が通過するまで待機する。
第1始動入賞口12または第2始動入賞口16で玉の通過が検知されると(図10のS401:YES)、主回路120は、通常時であるか確変時であるかに応じて通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタより値を抽出する(図10のS402)。第1始動入賞口12または第2始動入賞口16への玉の入賞を検知したタイミングで、通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタからその時点の値を抽出するが、通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタの同一周期内から値を抽出する場合には、同じ値は抽出しないものとする。
次に、主回路120は、RAM123上の特図用保留記憶領域に保留されている特図の抽出値の数(特図の抽出値の保留数)が最大保留数である4つであるかどうかを判定する(図10のS403)。特図の抽出値の保留数が4つであれば(図10のS403:YES)、主回路120は、払出制御基板107を介して払出装置108に所定数の賞球の払出を指示して(図10のS410)、入賞検知処理を終了する。すなわち、最大保留数である4つを越える特図の抽出値は保留することなしに破棄される。
特図の抽出値の保留数が4つでなければ(図10のS403:NO)、主回路120は、RAM123上の特図用保留記憶領域に抽出値を記憶して保留し(図10のS404)、抽出値が直前の抽出値と通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタの同一周期内であるかどうかを判定する(図10のS405)。この判定は、通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタの同一周期内に複数の玉が入賞した場合、そのことが遊技者にわかるような表示演出を行うために行われる。
なお、通常時用乱数カウンタと確変時用乱数カウンタにおいて、値が0に戻る毎に値を更新(+1)する周期カウンタを設け、各乱数カウンタから値を抽出するときにその乱数カウンタに設けられた周期カウンタからも値を抽出し、両抽出値を一緒に特図用保留記憶領域に記憶して保留するようにしておけば、その前後に保留されている抽出値が同一周期内に入賞して抽出した抽出値であるか否かを判定することができるようになる。
抽出値が直前の抽出値と通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタの同一周期内でなければ(図10のS405:NO)、主回路120は、特図保留数表示部20の新たな特図保留LEDを橙色に点灯し(図10のS411)、払出制御基板107を介して払出装置108に所定数の賞球の払出を指示して(図10のS410)、入賞検知処理を終了する。
抽出値が直前の抽出値と通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタの同一周期内に抽出されたものであれば(図10のS405:YES)、主回路120は、特図保留数表示部20の新たな特図保留LEDを緑色に点灯し(図10のS406)、RAM123上の特図用保留記憶領域における特図の抽出値の保留数が1つであるかどうかを判定する(図10のS407)。
RAM123上の特図用保留記憶領域における特図の抽出値の保留数が1つであれば(図10のS407:YES)、主回路120は、払出制御基板107を介して払出装置108に所定数の賞球の払出を指示して(図10のS410)、入賞検知処理を終了する。
特図の抽出値の保留数が1つでなければ(図10のS407:NO)、主回路120は、直前に点灯した特図保留LEDの色が橙色であるかどうかを判定する(図10のS408)。
直前に点灯した特図保留LEDの色が橙色でなければ(図10のS408:NO)、主回路120は、払出制御基板107を介して払出装置108に所定数の賞球の払出を指示して(図10のS410)、入賞検知処理を終了する。
直前に点灯した特図保留LEDの色が橙色であれば(図10のS408:YES)、主回路120は、直前に点灯した特図保留LEDの色を緑色に点灯し(図10のS409)、払出制御基板107を介して払出装置108に所定数の賞球の払出を指示して(図10のS410)、入賞検知処理を終了する。
次に、特図保留の読出処理では、主回路120は、RAM123上の特図用保留記憶領域に特図の抽出値の保留があるかどうかを判定し(図11のS501)、RAM123上の特図用保留記憶領域に特図の抽出値の保留がなければ(図11のS501:NO)、特図保留の読出処理を終了する。
RAM123上の特図用保留記憶領域に特図の抽出値の保留があれば(図11のS501:YES)、主回路120は、特図表示部19および液晶表示部10において先の特図の変動表示中であるかどうかを判定する(図11のS502)。先の特図の変動表示中であれば(図11のS502:YES)、主回路120は、特図保留の読出処理を終了する。
先の特図の変動表示中でなければ(図11のS502:NO)、主回路120は、大当たり中であるかどうかを判定する(図11のS503)。大当たり中であれば(図11のS503:YES)、主回路120は、特図保留の読出処理を終了する。
大当たり中でなければ(図11のS503:NO)、主回路120は、RAM123上の特図用保留記憶領域から最古の特図の抽出値を読み出し(図11のS504)、特図保留数表示部20の特図保留LEDの点灯/消灯を1つずつずらし(図11のS505)、特図の変動処理(図9参照)を開始する。なお、特図保留LEDq1〜q4の点灯状態は橙色点灯、緑色点灯、消灯のいずれかの状態にあるので、最古の特図の抽出値を読み出したときは、特図保留LEDq2〜q4の点灯状態を特図保留LEDq1〜q3にずらして特図保留LEDq4を消灯することにより、特図保留LEDの点灯状態を1つずつずらしたことになる。
特図の変動処理では、主回路120は、特図保留の読出処理で読み出された特図の抽出値を大当たり判定用テーブル(=7)と照合して当たり/ハズレの判定を行う(図12のS601)。
いま、確変時であるとすると、第1始動入賞口12および第2始動入賞口16に5個の玉がバラバラに人賞し、何れかの玉で大当たりが発生する確率は、約4/10となる。詳しくは、1つ目の玉で当たる確率は1/10、2つ目の玉で当たる確率(1つ目の玉でハズレて2つ目の玉で当たる確率)は9/10×1/10、3つ目の玉で当たる確率は(9/10)2×1/10、4つ目の玉で当たる確率は(9/10)3×1/10、5つ目の玉で当たる確率は(9/10)4×1/10となるので、これらの積和をとると、40951/100000≒4.1/10となる。
また、確変時に、第1始動入賞口12および第2始動入賞口16に5個の玉が1.2秒(同一周期)以内に人賞し、何れかの玉で大当たりが発生する確率は、1/2となる。詳しくは、1つ目の玉で当たる確率は1/10、2つ目の玉で当たる確率は9/10×1/9=1/10(1つ目の玉でハズレて2つ目の玉で当たる)、3つ目の玉で当たる確率は9/10×8/9×1/8、4つ目の玉で当たる確率は9/10×8/9×7/8×1/7、5つ目の玉で当たる確率は9/10×8/9×7/8×6/7×1/6であるので、これらの積和をとると、5/10=1/2となる。
このように、通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタの同一周期内に複数の玉が入賞すると、そのうちの何れかの玉で大当たりが発生する確率は、バラバラに入賞した場合に比べて高くなる。確変時、第1始動入賞口12および第2始動入賞口16への玉の入賞タイミングがバラバラだと、毎回1/10の確率で大当たりになることを期待して遊技することになるが、保留がない状態で1.2秒以内に5個の玉が人賞したとすると、この5個の玉のうちの何れかの玉が大当たりである確率は1/2になり、バラバラに入賞した場合(約4/10)に比べて期待度は高くなる。
次に、主回路120は、当たりの判定結果(抽選結果)に基づいて特図の変動時間や表示する演出内容(キャラクタ表示やリーチ演出の有無など)を決定する(図12のS602)。
続いて、主回路120は、特図表示部19および液晶表示部10において特図の図柄変動を開始する(図12のS603)。液晶表示部10では、図2(a)に例示するように、特図が停止した状態から、図2(b)に例示するように、図柄変動を開始する。なお、特図の図柄変動の開始時に、液晶表示部10では、通常とは異なる背景色や背景画像としたり、特別なキャラクタや文字を表示したりするようにしてもよい。
次に、主回路120は、抽出値が通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタの同一周期内の抽出値であるかどうかを判定し(図12のS604)、同一周期内の抽出値であれば(図12のS604:YES)、図2(c)に例示するように、「熱い!」等を液晶表示部10に重ねて表示し(図12のS605)、同一周期内の抽出値でなければ(図12のS604:NO)、ステップS605をスキップする。
当たりの判定結果(抽選結果)が当たりでなければ(図12のS606:NO)、主回路120は、特図表示部19および液晶表示部10にハズレ図柄を停止表示して(図12のS609)、特図の変動処理を終了する。液晶表示部10では、図2(d)に例示するように、左キャラクタが停止し、図2(e)に例示するように、右キャラクタが停止して、図2(f)に例示するように、ハズレ図柄が停止表示される。
当たりの判定結果(抽選結果)が当たりであれば(図12のS606:YES)、主回路120は、特図表示部19および液晶表示部10に当たり図柄を停止表示し(図12のS607)、大当たりフラグをONして(図12のS608)、特図の変動処理を終了する。
次に、大当たり処理では、主回路120は、大当たりフラグがONであるかどうかを判定し(図13のS701)、大当たりフラグがONでなければ(図13のS701:NO)、大当たり処理を終了する。
大当たりフラグがONであれば(図13のS701:YES)、主回路120は、1回の大当たりで大入賞口13を15回まで開放させるために、ラウンド数が15でないかどうかを判定する(図13のS702)。
ラウンド数が15でなければ(図13のS702:YES)、主回路120は、ラウンド数に1を加算し(図13のS703)、大入賞ソレノイド115を励磁することにより、大入賞口13を開放する(図13のS706)。これにより、大入賞口13への玉の入賞が可能になる。
大入賞口13へ玉が10個入賞するか(図13のS705:YES)、大入賞口13が開放してから25秒が経過するか(図13のS706:YES)のいずれかが満たされると、主回路120は、大入賞ソレノイド115を非励磁とすることにより、大入賞口13を閉鎖し(図13のS707)、大当たり処理を終了する。これにより、大入賞口13への玉の入賞ができなくなる。
この後、大当たりフラグがまだONであるため(図13のS701:YES)、主回路120は、大入賞口13の開閉(S701〜S707)を繰り返す。
そして、ラウンド数が15になると(図13のS702:NO)、主回路120は、大当たりフラグをOFFにし(図13のS708)、ラウンド数を初期値0にリセットして(図13のS709)、大当たり処理を終了する。
実施例1によれば、通常時用乱数カウンタまたは確変時用乱数カウンタの同一周期内から複数の値を抽出したときに、遊技者に対し「この抽選は熱いよ」というアピールをすることで、遊技者の興趣をより高めることができる。
ところで、上記実施例1に係るパチンコ遊技機1に関しては、以下のような変形例を考えることができる。
実施例1では、大当たりとなった場合は、その時点での特図の抽出値の保留を全てリセットし、大当たり終了後は保留数が0個の状態からスタートするパチンコ遊技機について説明したが、大当たり終了後に保留をリセットしないパチンコ遊技機であっても、乱数カウンタの同一周期内から値を抽出した場合に、そのことを報知するようにしてもよい。大当たりに対する期待度は乱数カウンタの異なる周期から値を抽出した場合に比べて実際にはかわらないが、遊技者の中には当たりやすくなると思っている人もいるので、このような演出を行うことで遊技者に対し当たりやすそうなイメージを与えることができる。
また、実施例1では、始動入賞口ヘの玉の入賞を検知した時点の遊技状態(通常状態、確変状態)に応じて値を抽出する乱数カウンタを通常時用乱数カウンタと確変時用乱数カウンタのいずれかに決定して値を抽出するようにしたが、常に両乱数カウンタのそれぞれから値を抽出するようにしてもよい。この場合、判定手段は、判定時点の遊技状態(通常状態、確変状態)に応じて判定の対象となる抽出値を通常時用抽出値と確変時用抽出値のいずれかに決定することになる。
以上、本発明の実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。