JP4823449B2 - 薬剤揮散容器及びインジケーター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は芳香剤、防虫剤等の揮散性薬剤を揮散させるための薬剤揮散容器及びインジケーターに関し、詳しくは十分な揮散量を確保でき、嵩張らず、容器の設計が自由な薬剤揮散容器及びインジケーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の薬剤揮散容器の一例を図8及び図9に示す。すなわち、この薬剤揮散容器21は、内側に空所25を有する膨出部23が設けられた容器本体22と、容器本体22の膨出部23の開口部側に設けられて開口部を閉塞する蓋部材26とを具えたものであって、容器本体22の内側に形成される空所25内に液状、ゾル状又はゲル状の揮散性薬剤28を収容したものである。
【0003】
この場合、蓋部材26は、容器本体22の開口周縁で一体に接合され、これにより、その部分に容器本体22の全周に渡る接合部27が形成されるようになっている。また、蓋部材26は、薬剤透過性を有する素材、すなわち、気体(空気)を透過させず、揮散性薬剤28を透過させる特性を有する素材から形成され、この蓋部材26を介して空所25内に収容した揮散性薬剤28を徐々に揮散させることにより、揮散性薬剤28の薬効が得られるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成の薬剤揮散容器21にあっては、容器本体22の空所25に面している蓋部材26の部分のみが揮散性薬剤28を揮散させる揮散部となっているため、揮散面積が小さく十分な揮散量が得られない。すなわち、芳香剤や防虫剤に使用した場合には、揮散量が少ないために香りが弱いものになったり、防虫するのに十分な薬剤を空間に付与することができないという問題点があった。
【0005】
また、揮散量を確保するためには容器が大型化してしまい、設置スペースを大きく必要としたり、必要以上の量の薬剤が揮散してしまうという問題点もあった。
【0006】
さらに、揮散性薬剤28の揮散に伴って空所25内が減圧されることにより、容器本体22の一部が凹んでしまうため、外部から揮散性薬剤28の揮散終了の時点を明確に判断することができず、揮散性薬剤28が空所25内に未だ残っている状態で薬剤揮散容器21を廃棄処分してしまうような無駄が生じていた。
【0007】
この発明は、前記のような従来のもののもつ問題点を解決したものであって、十分な揮散量を確保でき、嵩張らず、容器の設計の自由度が高く、揮散性薬剤の揮散終了の時点を明確に判断することができる薬剤揮散容器及びインジケーターを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するためにこの発明による薬剤揮散容器は、内側に空所を有する膨出部と、該膨出部の開口周縁部に設けられる鍔部とからなる容器本体と、前記鍔部に接合されて前記膨出部の開口部を閉塞する蓋部材とを具え、前記膨出部の内側の密閉された空所内に液状、ゾル状又はゲル状の揮散性薬剤を収納し、該揮散性薬剤を透過させて揮散させる薬剤揮散容器において、前記蓋部材は、前記膨出部の開口部の面積より広い揮散面を有し、前記揮散性薬剤は、前記蓋部材と接触させることにより当該揮散性薬剤が蓋部材全体に広がって浸透し、該蓋部材表面全体から揮散するする手段を採用したものである。
また、前記蓋部材と前記鍔部との接触部及び/又は接合部の前記空所に連続する部分に前記空所に連通する密閉された補助空所を形成した手段を採用したものである。
さらに、前記蓋部材を伸縮自在な素材で形成して、前記揮散性薬剤の揮散による前記空所内の内圧の変化に追従して延伸させて前記容器本体の内面方向に接近させ、前記揮散薬剤の揮散が終了したときに、前記蓋部材が前記容器本体の内面に接触又は内面と所定の間隔をおいた位置に位置するように構成した手段を採用したものである。
さらに、前記膨出部の少なくとも側面部を薄肉に形成し、前記揮散性薬剤の揮散による前記空所内の内圧の変化に追従させて圧縮変形させて、前記揮散性薬剤の揮散が終了したときに所定の形状になるように構成した手段を採用したものである。
さらに、前記揮散性薬剤は、殺虫剤、防かび剤、殺菌剤、芳香剤、消臭剤、忌避剤等である手段を採用したものである。
さらに、前記蓋部材及び/又は容器本体は、気体不透過性かつ揮散性薬剤透過性である素材により形成されている手段を採用したものである。
さらに、前記容器本体及び/又は前記蓋部材の揮散面の少なくとも一部に揮散促進シートを設けた手段を採用したものである。
【0009】
また、上記の目的を達成するためにこの発明によるインジケーターは、内側に空所を有する膨出部と、該膨出部の開口周縁部に設けられる鍔部とからなる容器本体と、前記鍔部に接合されて前記膨出部の開口部を閉塞する蓋部材とを具え、前記膨出部の内側の密閉された空所内に液状、ゾル状又はゲル状の揮散性薬剤を収納し、該揮散性薬剤を透過させて揮散させるインジケーターにおいて、前記蓋部材は、前記膨出部の開口部の面積より広い揮散面を有し、前記揮散性薬剤は、前記蓋部材と接触させることにより当該揮散性薬剤が蓋部材全体に広がって浸透し、該蓋部材表面全体から揮散する手段を採用したものである。
また、前記蓋部材と前記鍔部との接触部及び/又は接合部の前記空所に連続する部分に前記空所に連通する密閉された補助空所を形成した手段を採用したものである。
さらに、前記蓋部材を伸縮自在な素材で形成して、前記揮散性薬剤の揮散による前記空所内の内圧の変化に追従して延伸させて前記容器本体の内面方向に接近させ、前記揮散薬剤の揮散が終了したときに、前記蓋部材が前記容器本体の内面に接触又は内面と所定の間隔をおいた位置に位置するように構成した手段を採用したものである。
加えて、前記膨出部の少なくとも側面部を薄肉に形成し、前記揮散性薬剤の揮散による前記空所内の内圧の変化に追従させて圧縮変形させて、前記揮散性薬剤の揮散が終了したときに所定の形状になるように構成した手段を採用したものである。
【0010】
【作用】
この発明による薬剤揮散容器は、前記のような手段を採用したことにより、空所内に収容されている揮散性薬剤が容器本体の膨出部の開口で蓋部材に接触し、揮散性薬剤が蓋部材に染み込むこと、及び接触された蓋部材と鍔部との間に揮散性薬剤が入り込み移動することにより揮散性薬剤が蓋部材全体に浸透され、蓋部材又は蓋部材及び容器本体を透過して揮散を開始する。従って、全体を大型化することなく、揮散性薬剤の揮散量を増大できるとともに、設計が自由に行えるためにデザイン性に富んだ容器にすることができる。また、揮散の進行に追従して空所内の内圧が減少する方向に変化し、揮散が終了したときに蓋部材が容器本体の内面に接触又は内面と所定の間隔をおいた位置に位置決めされるため、容器本体側面部を圧縮変形させた所定の形状となる。従って、蓋部材の伸縮度合い若しくは容器の形状変化の度合いを目視することにより、揮散性薬剤の終了時点を明確に判断することができる。
【0011】
また、この発明によるインジケーターは、前記のような手段を採用したことにより、揮散の進行に追従して空所内の内圧が減少する方向に変化し、揮散が終了したときに蓋部材が容器本体の内面に接触又は内面と所定の間隔をおいた位置に位置決めされることになるから、容器本体側面部を圧縮変形させて所定の形状となる。従って、蓋部材の伸縮の度合い若しくは容器の形状変化の度合いを目視することにより、揮散性薬剤の終了時点を明確に判断することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示すこの発明の実施の形態について説明する。
図1〜図3には、この発明による薬剤揮散容器の第1の実施の形態が示されていて、この薬剤揮散容器1は、容器本体2と、容器本体2の開口部を閉塞する蓋部材6とから構成されている。
【0013】
容器本体2は、断面略長方形状の膨出部3と、膨出部3の開口周縁部に一体に設けられる外方に張り出る鍔部4とからなるものであって、膨出部3の内側には断面略長方形状の空所5が形成されるようになっている。この場合、膨出部3は、側面部3aが上面部3bに比べて薄肉に形成されている。
【0014】
容器本体2は、気体(空気)を透過させず、揮散性薬剤を透過させる特性を有する素材、又は気体(空気)を透過させず、揮散性薬剤を透過させない特性を有する素材からなるものであって、各種の成形法によって上記のような形状に形成されるようになっている。
【0015】
容器本体2の素材として具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、EVA、塩化ビニル、ポリメチルペンテン等が挙げられる。これらの素材は、使用する揮散性薬剤の種類によって透過性又は不透過性を示すものであるから、使用する揮散性薬剤の種類に応じて適宜の素材を選択すれば良いものである。
【0016】
蓋部材6は、シート状をなすものであって、容器本体2の膨出部3の開口部側に密着した状態で設けられるようになっている。この場合、蓋部材6は、その周端部を容器本体2の鍔部4の周端部の全周に渡る接合部9で接着剤、熱融着等の接合手段によって一体に接合されており、接合部以外の鍔部4と蓋部材6は単に接触させている状態である。これにより、容器本体2の膨出部3の開口部が閉塞されて膨出部3の内側に密閉された断面略長方形状の空所5が形成されるようになっている。
【0017】
蓋部材6は、透過性を有するとともに、伸縮性を有する素材、すなわち気体(空気)を透過させず、揮散性薬剤を透過させる特性を有するとともに、伸縮性を有する素材からなるものであって、具体的には、ポリエチレン、ポリウレタン、EVA、ポリエステル、EVOH、それらを含む多層エラストマー等が挙げられる。これらの素材は、使用する揮散性薬剤の種類によって透過性又は不透過性を示すものであるから、使用する揮散性薬剤の種類に応じて適宜の素材を選択すれば良いものである。
【0018】
揮散性薬剤8は、液状、ゾル状又はゲル状に形成されるものであって、容器本体2の膨出部3の内側の空所5内に満杯に充填されるようになっている。この場合、空所5内には空気が混入していないものとする。揮散性薬剤8としては、殺虫剤、防かび剤、殺菌剤、防虫剤、芳香剤、消臭剤、忌避剤等が挙げられるが、これらに限定することなく、他の薬剤であっても良いものである。
【0019】
そして、上記のように構成した薬剤揮散容器1は、空所5内の揮散性薬剤8が膨出部3の開口部で蓋部材6と接触し揮散性薬剤8が蓋部材6に染み込むこと、及び接触された蓋部材6と鍔部4との間に揮散性薬剤8が入り込み移動することにより、揮散性薬剤8が蓋部材6全体に広がって浸透し、蓋部材6の表面を空気に接触させると、蓋部材の表面全体から揮散を開始する。容器本体2に揮散性薬剤8を透過させる特性を有する素材を使用した場合には、容器本体2の表面からも揮散性薬剤8の揮散が開始する。この場合、蓋部材6又は蓋部材6及び容器本体2の部分からも揮散を開始する。
【0020】
従って、全体を大型化することなく、揮散面積を大きくすることができ、揮散性薬剤の揮散量を増大できるとともに、設計が自由に行えるためデザイン性に富んだ容器にすることができる。
【0021】
また、揮散性薬剤8の揮散が進行すると、揮散性薬剤の空所5内の容積が徐々に減少し、揮散性薬剤8の容積の減少に追従して空所5の内圧が減少する方向に変化し、空所5の内圧の変化に追従して膨出部3の側面部3aが圧縮変形する。そして、揮散性薬剤8の揮散が終了した時点で膨出部3の側面部3aは全体が圧縮されて完全につぶれた状態となる(図3参照)。
【0022】
従って、膨出部3の側面部3aの形状を目視することにより、揮散性薬剤8の揮散終了時点を明確に判断することができるので、揮散性薬剤8が空所5内に残っている状態で薬剤揮散容器1を廃棄処分してしまうような無駄がなくなる。
【0023】
なお、前記の場合、図示はしないが、蓋部材6の表面に揮散促進シートを設けて揮散面積を増大させ、揮散性薬剤8の揮散を促進させるように構成しても良いものである。揮散促進シートとして具体的には織布、不織布、紙、スポンジ、繊維物等を挙げることができる。
【0024】
図4には、この発明による薬剤揮散容器の第2の実施の形態が示されていて、この薬剤揮散容器1は、膨出部3を略円柱状に形成し、蓋部材6に伸縮性の素材を採用したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0025】
そして、この実施の形態に示す薬剤揮散容器1にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様に、空所5内の揮散性薬剤8が膨出部3の開口部で蓋部材6と接触し揮散性薬剤8が蓋部材6に染み込むこと、及び接触された蓋部材6と鍔部4との間に揮散性薬剤8が入り込み移動することにより、揮散性薬剤8が蓋部材6に広がって浸透し、蓋部材6の表面を空気に接触させると、蓋部材6の表面全体から揮散を開始する。容器本体2に揮散性薬剤8を透過させる特性を有する素材を使用した場合には、容器本体2の表面からも揮散性薬剤8の揮散が開始する。この場合、蓋部材6又は蓋部材6及び容器本体2の部分からも揮散を開始する。
【0026】
従って、全体を大型化することなく、揮散面積を大きくすることができ、揮散性薬剤の揮散量を増大できるとともに、設計が自由に行えるためにデザイン性に富んだ容器にすることができる。
【0027】
そして、揮散性薬剤8の揮散が進行すると、揮散性薬剤8の空所5内の容積が徐々に減少し、揮散性薬剤8の容積の減少に追従して空所5の内圧が減少する方向に変化し、空所5の内圧の変化に追従して蓋部材6が延伸して容器本体2の内面方向に接近する。そして、揮散性薬剤8の揮散が終了したときに、蓋部材6は容器本体2の膨出部3内面全体に接触した状態なる。
【0028】
従って、蓋部材6の延伸の度合を目視することにより、揮散性薬剤8の揮散の進行状態を確認することができるので、揮散性薬剤8の揮散終了の時点を明確に判断することができることになる。この結果、揮散性薬剤8が空所5内に未だ残っている状態で薬剤揮散容器1を廃棄処分してしまうような無駄がなくなるものである。
【0029】
なお、この実施の形態においても、図示はしないが、蓋部材6の表面に揮散促進シートを設けて揮散面積を増大させ、揮散性薬剤8の揮散を促進させるように構成しても良いものである。
【0030】
図5〜図7には、この発明による薬剤揮散容器の第3の実施の形態が示されていて、この薬剤揮散容器11は、容器本体12の鍔部14の周端部と蓋部材16の周端部との間を一体に接合して、その部分に容器本体12の全周に渡る接合部19を形成するとともに、容器本体12の鍔部14に周方向に向かって所定の間隔ごとに膨出部13の内側の空所15に連通する管状の補助空所17を複数形成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0031】
そして、この実施の形態に示す薬剤揮散容器11にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様に、空所15内の揮散性薬剤18が膨出部13の開口部で蓋部材16と接触し揮散性薬剤18が蓋部材16に染み込むこと、及び接触された蓋部材16と鍔部14との間に揮散性薬剤18が入り込み移動することにより、揮散性薬剤18が蓋部材16に広がって浸透し、蓋部材16の表面を空気に接触させると、蓋部材16の表面全体から揮散を開始する。このとき、管状の補助空所17内にも揮散性薬剤18が導かれるので、補助空所17の蓋部材16と接触する部分からも揮散性薬剤18が蓋部材16に浸透することにより、揮散性薬剤18が速やかに蓋部材16全体に浸透して透過し、蓋部材16の表面全体から揮散を開始する。容器本体12に揮散性薬剤18を透過させる特性を有する素材を使用した場合には、容器本体12の表面からも揮散性薬剤18の揮散が開始する。この場合、蓋部材16又は蓋部材16及び容器本体12の部分からも揮散を開始する。
【0032】
従って、全体を大型化することなく、揮散面積を大きくすることができ、揮散性薬剤の揮散量を増大できるとともに、設計が自由に行えるためにデザイン性に富んだ容器にすることができる。
【0033】
そして、揮散性薬剤18の揮散が進行すると、揮散性薬剤18の空所15内の容積が徐々に減少し、揮散性薬剤18の容積の減少に追従して空所15の内圧が減少する方向に変化し、空所15の内圧の変化に追従して蓋部材16が延伸して容器本体12の内面方向に接近する。そして、揮散性薬剤18の揮散が終了したときに、蓋部材16は容器本体12の膨出部13の内面に全体が接触することになる。
【0034】
従って、蓋部材16の延伸の度合いを目視することにより、揮散性薬剤18の揮散の進行状態を確認することができるので、揮散性薬剤18の揮散終了の時点を明確に判断することができることになる。この結果、揮散性薬剤18が空所15内に未だ残っている状態で薬剤揮散容器11を廃棄処分してしまうような無駄がなくなるものである。
【0035】
なお、この実施の形態においても、図示はしないが、蓋部材16の表面に揮散促進シートを設けて揮散面積を増大させ、揮散性薬剤18の揮散を促進させるように構成しても良いものである。
【0036】
また、この実施の形態においては、容器本体12の鍔部14に周方向に向かって所定の間隔ごとに膨出部3の内側の空所15に連通する管状の補助空所17を複数形成したものを例示したが、これに限定することなく、補助空所は放射状、波形状、平行状等に複数設けても良く、また複数に限らず1本だけ設けても良い。また、この実施の形態においては、鍔部14に管状の補助空所17を設けたが、管状に限定されることなく、例えば鍔部14表面に凹凸を設けることにより、鍔部14との間に補助空所を設けるようにしても良い。さらに、この実施の形態においては、容器本体12の鍔部14に補助空所17を設けたが、鍔部14にしわを寄せるように補助空所を設け、毛細管現象を利用して空所15内の揮散性薬剤18を蓋部材16全体に導くようにしても良い。
【0037】
なお、前記各実施の形態においては、容器本体2、12の膨出部3、13を断面略長方形状に形成したが、これに限定することなく、断面三角形状、半円形状、動植物の形状、キャラクターの形状等の周知の形状としても良いものであり、その場合にも同様の作用、効果を奏するのは勿論のことである。
【0038】
さらに、前記各実施の形態では、膨出部3、13を容器本体2、12の中央部に1つ設けたものを例示したが、これに限定されることなく、複数の膨出部を設けても良く、また、端に設けたり、周端部に沿って設けても良い。さらに、その膨出部に連通する補助空所を設けて、蓋部材全体に揮散性薬剤を導くようにしても良い。さらに、容器本体2、12及び蓋部材6、16を可撓性の素材により成形し、若しくは容器本体2、12を折り曲げ可能に成形し、鍔部4、14を折り曲げた状態で使用しても良い。このような構成とすることにより、種々の形状のケース内に収納することができるものである。
【0039】
さらに、前記各実施の形態において、薬剤揮散容器1、11をインジケーターとして機能させても良いものであり、その場合には、蓋部材6、16の延伸の度合を目視することにより、時間経過を明確に判断することができるものである。
【0040】
【発明の効果】
この発明による薬揮散容器は、前記のように構成したことにより、空所内に収納した揮散性薬剤が蓋部材又は蓋部材及び容器本体を透過して揮散を開始すると、揮散性薬剤が膨出部の開口部で蓋部材と接触し、揮散性薬剤が蓋部材に染み込むこと、及び蓋部材と鍔部との隙間に揮散性薬剤が入り込み移動することにより、揮散性薬剤が蓋部材全体に広がって浸透され、蓋部材又は蓋部材及び容器本体を透過して揮散を開始する。従って、全体を大型化することなく、揮散性薬剤の揮散量を増大できるとともに、設計が自由に行えるためデザイン性に富んだ容器にすることができる。また、揮散の進行に追従して空所の内圧が減少する方向に変化し、揮散が終了したときに蓋部材が容器本体の内面に接触又は内面と所定の間隔をおいた位置に位置決めされることになるから、容器本体側面部を圧縮変形させて所定の形状となる。従って、蓋部材の伸縮度合い若しくは容器の形状変化の度合いを目視することにより、揮散性薬剤の終了時点を明確に判断することができる。この結果、空所内に未だ揮散性薬剤が残っている状態で薬剤揮散容器を廃棄処分してしまうような無駄はなくなる。
【0041】
また、空所に連通する補助空所を有しているので、揮散性薬剤が容器本体の膨出部の開口部及び補助空所で蓋部材に接触し、蓋部材全体に速やかに浸透され、蓋部材又は蓋部材及び容器本体を透過して揮散を開始する。従って、全体を大型化することなく、揮散性薬剤の揮散量を増大できるとともに、設計が自由に行えるためデザイン性に富んだ容器にすることができる。
【0042】
また、この発明によるインジケーターは、揮散の進行に追従して空所内の内圧が減少する方向に変化し、揮散が終了したときに蓋部材が容器本体の内面に接触又は内面と所定の間隔をおいた位置に位置決めされることになるから、容器本体側面部を圧縮変形させて所定の形状となる。従って、蓋部材の伸縮の度合い若しくは容器の形状変化を目視することにより、空所内の揮散性物質の揮散の進行状態を確認できるので、時間の経過を明確に判断することができることになる。
【0043】
また、空所に連結する補助空所を有しているので、揮散性薬剤が容器本体の膨出部の開口部及び補助空所で蓋部材に接触し、蓋部材全体に速やかに浸透され、蓋部材又は蓋部材及び容器本体を透過して揮散を開始する。従って、全体を大型化することなく、揮散性薬剤の揮散量を増大できるとともに、設計が自由に行えるためデザイン性に富んだインジケーターにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による薬剤揮散容器の第1の実施の形態を示したものであって、揮散開始前の状態を示した平面図である。
【図2】図1に示すもののA−A線断面図である。
【図3】第1の実施の形態の揮散途中の状態を示した断面図である。
【図4】この発明による薬剤揮散容器の第2の実施の形態を示したものであって、揮散開始前の状態を示した断面図である。
【図5】この発明による薬剤揮散容器の第3の実施の形態を示したものであって、揮散開始前の状態を示した平面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【図7】図5のC−C線断面図である。
【図8】従来の薬剤揮散容器の一例を示したものであって、揮散開始前の状態を示した断面図である。
【図9】従来の薬剤揮散容器の揮散途中の状態を示した断面図である。
【符号の説明】
1、11、21……薬剤揮散容器
2、12、22……容器本体
3、13、23……膨出部
3a……側面部
3b……上面部
4、14……鍔部
5、15、25……空所
6、16、26……蓋部材
17……補助空所
8、18、28……揮散性薬剤
9、19、27……接合部
Claims (11)
- 内側に空所を有する膨出部と、該膨出部の開口周縁部に設けられる鍔部とからなる容器本体と、
前記鍔部に接合されて前記膨出部の開口部を閉塞する蓋部材とを具え、
前記膨出部の内側の密閉された空所内に液状、ゾル状又はゲル状の揮散性薬剤を収納し、該揮散性薬剤を透過させて揮散させる薬剤揮散容器において、
前記蓋部材は、前記膨出部の開口部の面積より広い揮散面を有し、前記揮散性薬剤は、
前記蓋部材と接触させることにより当該揮散性薬剤が蓋部材全体に広がって浸透し、該蓋部材表面全体から揮散することを特徴とする薬剤揮散容器。 - 前記蓋部材と前記鍔部との接触部及び/又は接合部の前記空所に連続する部分に前記空所に連通する密閉された補助空所を形成したことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散容器。
- 前記蓋部材を伸縮自在な素材で形成して、前記揮散性薬剤の揮散による前記空所内の内圧の変化に追従して延伸させて前記容器本体の内面方向に接近させ、前記揮散薬剤の揮散が終了したときに、前記蓋部材が前記容器本体の内面に接触又は内面と所定の間隔をおいた位置に位置するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の薬剤揮散容器。
- 前記膨出部の少なくとも側面部を薄肉に形成し、前記揮散性薬剤の揮散による前記空所内の内圧の変化に追従させて圧縮変形させて、前記揮散性薬剤の揮散が終了したときに所定の形状になるように構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の薬剤揮散容器。
- 前記揮散性薬剤は、殺虫剤、防かび剤、殺菌剤、芳香剤、消臭剤、忌避剤等である請求項1〜4の何れかに記載の薬剤揮散容器。
- 前記蓋部材及び/又は容器本体は、気体不透過性かつ揮散性薬剤透過性である素材により形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の薬剤揮散容器。
- 前記容器本体及び/又は前記蓋部材の揮散面の少なくとも一部に揮散促進シートを設けた請求項1〜6の何れかに記載の薬剤揮散容器。
- 内側に空所を有する膨出部と、該膨出部の開口周縁部に設けられる鍔部とからなる容器本体と、
前記鍔部に接合されて前記膨出部の開口部を閉塞する蓋部材とを具え、
前記膨出部の内側の密閉された空所内に液状、ゾル状又はゲル状の揮散性薬剤を収納し、該揮散性薬剤を透過させて揮散させるインジケーターにおいて、
前記蓋部材は、前記膨出部の開口部の面積より広い揮散面を有し、前記揮散性薬剤は、
前記蓋部材と接触させることにより当該揮散性薬剤が蓋部材全体に広がって浸透し、該蓋部材表面全体から揮散することを特徴とするインジケーター。 - 前記蓋部材と前記鍔部との接触部及び/又は接合部の前記空所に連続する部分に前記空所に連通する密閉された補助空所を形成したことを特徴とする請求項8記載のインジケーター。
- 前記蓋部材を伸縮自在な素材で形成して、前記揮散性薬剤の揮散による前記空所内の内圧の変化に追従して延伸させて前記容器本体の内面方向に接近させ、前記揮散薬剤の揮散が終了したときに、前記蓋部材が前記容器本体の内面に接触又は内面と所定の間隔をおいた位置に位置するように構成したことを特徴とする請求項8又は9記載のインジケーター。
- 前記膨出部の少なくとも側面部を薄肉に形成し、前記揮散性薬剤の揮散による前記空所内の内圧の変化に追従させて圧縮変形させて、前記揮散性薬剤の揮散が終了したときに所定の形状になるように構成したことを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載のインジケーター。
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