JP4822275B2 - 対照部を有するクロマトグラフィー用試験具 - Google Patents

対照部を有するクロマトグラフィー用試験具 Download PDF

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Description

本発明は、アビジン又はビオチンを固定化した対照部を有するクロマトグラフィー用試験具に関する。
試料中の被検出成分に特異的に結合する物質を用いて被検出成分を検出する試験具として、クロマトグラフィー用試験具が挙げられる。被検出成分の存在が疑われる試料をこの試験具の一部(試料添加部)に添加すると、試料は毛細管現象により試料添加部内を移動して、被検出成分と結合し得る標識物質を保持する標識物質保持部に到達する。被検出成分が存在する場合は、被検出成分が標識物質と結合して複合体を形成する。さらに、毛細管現象による試料の展開に伴って、この被検出成分−標識物質の複合体がクロマトグラフ媒体を移動し、被検出成分に結合し得る固定用物質を固定化した判定部に到達すると、この複合体が固定用物質に結合する。このことにより、判定部において標識物質−被検出成分−固定用物質のサンドイッチ状の複合体が形成される。標識物質が有色の担体粒子(着色したラテックス粒子やコロイド状金属粒子など)を含む場合、標識物質が判定部に捕捉されると判定部が発色する。この判定部の発色を観察することにより、試料中の被検出成分の検出を行うことができる。
クロマトグラフィーを用いて試料中の被検出成分を検出する際には、試料が適切に展開されたか否かを確認するために、通常、クロマトグラフ媒体に対照部が設けられている。有色の担体粒子で標識されたコントロール物質(標識コントロール物質)を試料とともに展開することにより、対照部に固定化されたコントロール物質に結合可能な物質と標識コントロール物質とが結合し、標識コントロール物質が対照部に捕捉されることとなる。標識コントロール物質は有色であるので、対照部に捕捉されると対照部が発色する。この対照部の発色を観察することにより、試料が適切に展開されたか否かを確認することができる。また、コントロール物質及びコントロール物質に結合可能な物質の組合せとしては、アビジン及びビオチンの組合せが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
上述のように、対照部は試料が適切に展開されたか否かを確認するための重要な機能を担っている。しかし、測定条件やクロマトグラフィー用試験具の組成等により、発色強度が低下することがあり、発色強度の向上が望まれていた。
特開2006−189317号公報 特開2006−194687号公報 特開2006−194688号公報
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、アビジン又はビオチンを固定化した対照部における発色強度が向上された、クロマトグラフィー用試験具を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
(1)生体試料中の被検出成分に結合可能な標識物質、及び着色担体粒子によって標識された標識アビジンを保持する標識保持部材と、被検出成分に結合可能な固定用物質を固定化した判定部、及び標識アビジンと結合可能なビオチンを固定化した対照部を有するクロマトグラフ媒体と、を備え、ビオチンが、還元剤及び/又はエタノールと共に対照部に固定化されているクロマトグラフィー用試験具;
)還元剤が、2−メルカプトエチルアミン、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン及び/又はシステインである、(1)に記載のクロマトグラフィー用試験具;
(3)ビオチンがキャリア蛋白を介して対照部に固定化されている、(1)又は(2)に記載のクロマトグラフィー用試験具;
4)被検出成分がインフルエンザウイルス、コロナウイルス、ロタウイルス、RSウイルス及びアデノウイルスからなる群より選択される1種以上である(1)〜()のいずれか1に記載のクロマトグラフィー用試験具;
(5)対照部が、ビオチン並びに還元剤及び/又はエタノールを混合して調整した塗布液を、クロマトグラフ媒体に塗布したものである、(1)〜()のいずれか1に記載のクロマトグラフィー用試験具;を提供するものである。

本発明によれば、アビジン又はビオチンを固定化した対照部における発色強度が向上された、クロマトグラフィー用試験具を提供することができる。
本実施形態のクロマトグラフィー用試験具に用いられる生体試料としては、哺乳類、鳥類などの動物から得られた試料や植物から得られた試料を挙げることができる。該生体試料は、動物から得られた試料、特にヒトを含む哺乳類から得られた試料及び鳥類から得られた試料がより好ましい。ヒトを含む哺乳類から得られた試料としては、血液、血清、糞便、痰、尿、唾液、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、涙液、スワブなどが挙げられる。鳥類から得られた試料としては、血液、血清、糞便などが挙げられる。
また、生体試料としては、生体から採取された試料を含むものであれば、特に限定されるものではないが、生体試料に前処理を施して調製された試料が好ましい。ここで、前処理とは、生体から採取された試料を検出に適した状態に処理することである。前処理としては、例えば、生体から採取された試料に適当な前処理用試薬を添加してフィルターで濾過して濾液を得ることが挙げられる。また、生体から採取された試料中の被検出成分が微量である場合は、前処理として、検出前に被検出成分を増幅させることができる。
上記の前処理用試薬としては特に限定されず、精製水、生理食塩水、リン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)液、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIBES)液、3−(シアノヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)液、3−(モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)液、アミノ酸液などが挙げられる。
本実施形態のクロマトグラフィー用試験具で検出し得る被検出成分としては、被検出成分に対する抗体を得ることができる物質であれば特に限定されず、細菌、原生生物や真菌などの細胞、ウイルス、タンパク質、多糖類などが挙げられる。例えば、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、カルシウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、肝炎ウイルス、重症急性呼吸器症候群の病原ウイルス(コロナウイルス)などのウイルス;マイコプラズマニューモニエ、大腸菌、スタフィロコッカスアウレウス、ストレプトコッカスニューモニエ、ストレプトコッカスピヨゲネス、マラリア原虫などの細胞;消化器系疾患、中枢神経系疾患、出血熱などの様々な疾患の病原体、これらの代謝産物;癌胎児性抗原やシフラなどの腫瘍マーカー;ホルモンなどが例示される。これらの被検出成分は、生体試料中に1種以上含まれてもよい。
本発明のクロマトグラフィー用試験具は、なかでも、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ロタウイルスおよびアデノウイルスから選択される1種以上のウイルスの検出に好適に用いることができる。
本実施形態の生体試料中の被検出成分に結合可能な標識物質としては、生体試料中の被検出成分に結合するものであれば、特に限定されるものではないが、被検出成分に特異的に結合するものが好ましく、特に被検出成分に対する抗体を担体で標識したものが好ましい。被検出成分に対する抗体は、公知の方法で作成することができるが、具体的には、被検出成分を適切なキャリアーと結合させ、得られたコンジュゲートでウマ、ウシ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、ラット、マウスなどの動物を免疫し、動物から血清を採取して抗被検出成分抗体を精製する方法を用いることができる。抗被検出成分抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよく、これらを混合して用いてもよい。また、抗体のフラグメント及びその誘導体を用いることもできる。
本実施形態における抗体は、抗体のフラグメント及びその誘導体をも含むものである。抗体のフラグメント及びその誘導体としては、Fab,Fab’,F(ab)2及びsFvフラグメント等が挙げられる。また、抗体のサブクラスはIgGに限定されず、IgMなどでもよい。
本実施形態における標識アビジン又は標識ビオチンとしては、対照部に固定化されているアビジン又はビオチンと結合し、対照部を発色するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、標識アビジンとしては、担体で標識したアビジン又はストレプトアビジンが挙げられ、標識ビオチンとしては、担体で標識したビオチン、ビオシチン、ビスノルビオチン、デスチオビオチン又はオキシビオチンが挙げられる。
本実施形態における担体としては、粒子状であるものが好ましく、例えば、色素分子、蛍光分子又は磁気粒子などで標識された寒天、アガロース、架橋アガロース、架橋アルギン酸、架橋グアガム、ニトロセルロースやカルボキシルセルロースなどのセルロースエステル類、ゼラチン、架橋ゼラチン、ラテックス、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体などの天然又は合成の樹脂及びその誘導体、ガラス(例えば活性化ガラス)、シリカゲル、カオリン、タルク、シリカ−アルミナ、アルミナ、硫酸バリウムなどの無機材料からなる粒子、赤血球、金などの金属コロイド等が挙げられる。なかでも、色素分子、蛍光分子又は磁気粒子を有するラテックス粒子及び金コロイドが好ましい。
上述の抗体、アビジン及びビオチンを、担体で標識する方法としては、当該技術において通常用いられている方法であれば特に限定されず、イオン相互作用、疎水相互作用、共有結合などの物理的吸着や適切な架橋剤を用いる化学的結合により行うことができる。例えば、ラテックス粒子を担体として用いる場合、ラテックス表面に架橋剤を用いて、タンパク質と結合するための官能基を導入し、この官能基に抗体、アビジン及びビオチン等を結合させることができる
架橋剤は、抗体、アビジン及びビオチンと担体との結合に通常用いられる架橋剤であれば特に限定されないが、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、2−イミノチオラン、N,N’−o−フェニレンジマレイミド、N−スクシンイミジル S−アセチルチオアセテート(SATA)、N−スクシンイミジル S−アセチルチオプロピオネート(SATP)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、N−スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−スクシンイミジル 6−マレイミドヘキサノエート、N−スクシンイミジル−4−ヨードアセチルアミノベンゾエート、N−スクシンイミジル−3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N−スクシンイミジルm−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル(p−マレイミドフェニル)アセテート、N−スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレートなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本実施形態において、標識保持部材としては、被検出成分に結合可能な標識物質及び標識アビジンを保持することができる素材であれば、特に限定されるものではないが、例えば、グラスファイバー、セルロースファイバー、プラスチック(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)ファイバー等が挙げられ、特にグラスファイバーが好ましい。
標識保持部材に保持される被検出成分に結合可能な標識物質及び標識アビジンは、互いに異なる色に標識されても、同じ色に標識されてもよい。また、被検出成分に結合可能な標識物質又は標識アビジンを標識保持部材に保持させる方法としては、標識保持部材をこれらの標識物質を含む緩衝液に含浸させ、適宜乾燥させる方法が挙げられる。
本実施形態において、被検出成分に結合可能な固定用物質としては、生体試料中の被検出成分に結合するものであれば、特に限定されるものではないが、被検出成分に結合可能な標識物質が被検出成分と結合する部位とは異なる部位に結合するものが好ましい。より具体的には、被検出成分に特異的に結合可能な抗体が好ましく、特に、被検出成分に結合可能な標識物質が結合する部位とは異なる部位で被検出成分に結合する抗体が好ましい。
本実施形態におけるアビジンとしては、アビジン及びアビジン類縁体であって、標識ビオチンと結合するものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、アビジン又はストレプトアビジン等が挙げられ、特にアビジンが好ましい。
本実施形態におけるビオチンとしては、ビオチン及びビオチン類縁体であって、標識アビジンと結合するものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、ビオチン、ビオシチン、ビスノルビオチン、デスチオビオチン、及びオキシビオチン等が挙げられ、特にビオチンが好ましい。
本実施形態において、クロマトグラフ媒体としては、静電作用、疎水相互作用のような物理的作用によりタンパク質と結合することができ、且つ毛管現象により試料を展開できる素材であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ニトロセルロース、ナイロン(例えば、カルボキシル基やアルキル基を置換基として有してもよいアミノ基が導入された修飾ナイロン)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、セルロースアセテート等が挙げられ、特にニトロセルロースが好ましい。
被検出成分に結合可能な固定用物質をクロマトグラフ媒体の判定部に固定化する方法としては、固定用物質をリン酸緩衝液等の適切な溶媒に溶解した塗布液を、クロマトグラフ媒体に塗布し、適宜乾燥させる方法が挙げられる。固定用物質の塗布液中の濃度、塗布する量は、特に限定されず、クロマトグラフィー用試験具の所望の感度に応じて適宜変更することができる。乾燥する時間及び温度は、固定用物質に影響を及ぼさない時間及び温度であれば特に限定されず、例えば30〜55℃で20分〜3時間程度である。
本実施形態において、アビジン又はビオチンを還元剤及び/又は低級アルコールと共にクロマトグラフ媒体の対照部に固定化する方法としては、アビジン又はビオチンが、還元剤及び/又は低級アルコールと共にクロマトグラフ媒体の対照部に固定化されるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、
i) アビジン又はビオチンと、還元剤及び/又は低級アルコールを、それぞれリン酸緩衝液等の適切な溶媒に溶解した塗布液を調製し、該塗布液をクロマトグラフ媒体に塗布し、適宜乾燥させる方法や、
ii) アビジン又はビオチンと、還元剤及び/又は低級アルコールをリン酸緩衝液等の適切な溶媒で混合した塗布液を調製し、該塗布液をクロマトグラフ媒体に塗布し、適宜乾燥させる方法
等が挙げられ、特にii)に示される混合した塗布液を調製する方法が、簡便性の観点から好ましい。乾燥する時間及び温度は、アビジン、ビオチン、還元剤及び低級アルコールに影響を及ぼさない時間及び温度であれば特に限定されず、例えば30〜55℃で20分〜3時間程度である。固定化する際のアビジン又はビオチンの塗布液中の濃度、塗布する量は、特に限定されず、クロマトグラフィー用試験具の所望の感度に応じて適宜変更することができる。
また、ビオチンをクロマトグラフ媒体に固定化する場合、ビオチン化したキャリア蛋白を用いると、キャリア蛋白を介してより強固に、ビオチンをクロマトグラフ媒体に固定化することができる。キャリア蛋白としては、アルブミン、グロブリン、カゼイン及びヘモシアニン等が挙げられ、アルブミンが好ましい。アルブミンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ウシ、ヤギ、トリ等の血清アルブミンが挙げられ、ウシ血清アルブミンであるBSAが好ましい。
本実施形態における還元剤としては、還元作用を有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、2−メルカプトエチルアミン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィン及びシステインが挙げられ、特に2−メルカプトエチルアミンが好ましい。還元剤の塗布液中の濃度、塗布する量は、特に限定されず、クロマトグラフィー用試験具の所望の感度に応じて適宜変更することができるが、例えば、塗布液中の濃度としては、5mM〜50mMが好ましく、特に7.5mM〜25mMが好ましい。
本実施形態における低級アルコールとしては、炭素数1〜6を有する脂肪族アルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール等が挙げられ、特にエタノールが好ましい。低級アルコールの塗布液中の濃度、塗布する量は、特に限定されず、クロマトグラフィー用試験具の所望の感度に応じて適宜変更することができるが、例えば、塗布液中の濃度としては、塗布液全量に対して、1〜20質量%であり、5〜15質量%であるのが好ましく、特に10質量%が好ましい。
図1は、本発明の一実施形態のイムノクロマトグラフィー用試験具の断面図である。このイムノクロマトグラフィー用試験具は、表面に粘着層を有するプラスチック板からなる基材1上に、コットンの不織布からなる試料添加用部材3と、グラスファイバーの不織布からなる標識保持部材5と、ニトロセルロースの多孔体からなるクロマトグラフ媒体9と、セルロースの不織布からなる吸収部材11とを備える。試料添加用部材3は、標識保持部材5を覆ってクロマトグラフ媒体9と接触するように配置され、標識保持部材5は、試料中の被検出成分と抗原抗体反応する標識物質を保持する。クロマトグラフ媒体9は、標識保持部材と間隔を介して配置され、被検出成分と抗原抗体反応する固定用物質が固定された判定部を有する。吸収部材11は、クロマトグラフ媒体9と接触するように配置されている。
クロマトグラフ媒体9には、上流側から順に、ライン状の第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cが形成され、標識保持部材5には、第1標識物質、第2標識物質及び標識アビジンが保持されている。第1判定部9A、第2判定部9B及び対照部9Cには、固定用物質として、それぞれ、抗インフルエンザA抗体、抗インフルエンザB抗体(以下、それぞれ「抗FluA抗体」、「抗FluB抗体」とする。)、ビオチンが固定されている。第1標識物質及び第2標識物質は、それぞれ、青色ラテックス粒子で標識された抗FluA抗体及び抗FluB抗体であり、標識アビジンは、赤色ラテックス粒子で標識されたアビジンである。抗FluA抗体及び抗FluB抗体は、それぞれ、第1被検出成分であるインフルエンザA型ウイルス及び第2被検出成分であるインフルエンザB型ウイルス(以下、それぞれ「FluAウイルス」、「FluBウイルス」とする。)と抗原抗体反応により結合する。
抗FluA抗体を例にとると、試料中にFluAウイルスが含まれていると、標識保持部材5にある標識された抗FluA抗体は、FluAウイルスの所定部位を認識して、抗原抗体反応により結合して複合体を形成する。次に、クロマトグラフ媒体9にある抗FluA抗体は、FluAウイルスの別の部位を認識して複合体を捕捉する。複合体が捕捉されると、第1判定部9Aには青色のラインが現れ、FluAウイルスの存在が目視により確認される。
また、標識アビジンは、クロマトグラフ媒体9にある抗FluA抗体、抗FluB抗体には捕捉されないが、ビオチンと特異的に結合するので、対照部9Cに固定されたビオチンに捕捉される。標識アビジンが捕捉されると、対照部9Cには赤色のラインが現れ、標識アビジンが対照部9Cに到達したことが目視される。対照部9Cは、第1判定部9A及び第2判定部9Bの下流に設けられるので、赤色のラインを確認することにより、試料が第1判定部9A及び第2判定部9Bを通過したことが確認される。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<還元剤の有無による、ビオチンを固定化した対照部の発色強度の比較>
(塗布液の調製)
1.0mg/mLのビオチン化BSAと、10mMの還元剤を含有するリン酸緩衝液(pH7.0)を調製し、塗布液とした。還元剤としては2−メルカプトエチルアミン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィン及びシステインをそれぞれ使用した。尚、コントロールとしては、1.0mg/mLのビオチン化BSAを含有するが、還元剤又はエタノールを含有しない塗布液を使用した。
(ビオチンを固定化した対照部を有するクロマトグラフ媒体の調製)
塗布液1μL/cmを、抗体塗布機(BioDot社)を用いてクロマトグラフ媒体に塗布し50℃で150分間乾燥させた。乾燥後のクロマトグラフ媒体をブロッキング液(BSAを含有するリン酸緩衝液(pH7.0))に浸漬し、ブロッキングを行った。ブロッキング後、洗浄液(SDSを含有するリン酸緩衝液(pH7.0))で洗浄し、40℃、120分間乾燥させ、ビオチンを固定化した対照部を有するクロマトグラフ媒体を調製した。
(標識保持部材の調製)
アビジンを赤色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.19μm)に感作し、分散用緩衝液(BSA及びシュークロースを含有するリン酸緩衝液(pH8.0)に懸濁することでアビジン感作ラテックス粒子を調製し、グラスファイバー製パッドに添加(832μL/300mm×5mm)後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識保持部材を調製した。
(各部材の基材への貼り付け、裁断)
ここで、図2を用いて、各部材の基材への貼り付け方法について説明する。バッキングシートからなる基材1に、図2に示すように、クロマトグラフ媒体9、標識保持部材5、不織布(コットン100%)からなる試料添加用部材3、不織布(セルロース)からなる吸収部材11を貼り合せた。次に、試料添加用部材3と吸収部材11をそれぞれ図示のように覆う透明シール13,15を貼った。最後に、裁断機(BioDot社)にて5mm幅に裁断し、イムノクロマトグラフィー用試験具を調製した。
(ビオチンを固定化した対照部の発色強度の比較)
調製したイムノクロマトグラフィー用試験具を、200μLの0.3w/v% NP−40(ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル)を含むリン酸緩衝液pH7.3(展開液16)で展開した。図3は、イムノクロマトグラフィー用試験具を用いて、展開液16を展開している状態を示したものである。展開液16を、まず、イムノクロマトグラフィー用試験具が挿入可能な試験管17に入れる。次に、イムノクロマトグラフィー用試験具を試料添加用部材3が展開液16に浸潤するように挿入し、展開を開始する。
なお、発色強度は、BioDot社のTSR3000メンブレンストリップリーダーで測定したラインの強度が0.015以上0.03未満のものを1+、0.03以上0.08未満のものを2+、0.08以上のものを3+となるような目視判定見本を作製し、イムノクロマトグラフィー用試験具に現れたライン強度を該目視判定見本と比較することにより判定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004822275
2−MEA:2−メルカプトエチルアミン
TCEP:トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィン
表1の結果から明らかなように、ビオチンを2−メルカプトエチルアミン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィン及びシステイン等の還元剤と共に対照部に固定化したクロマトグラフィー用試験具は、還元剤を含まないものに比べ、発色強度の増強が見られた。
<低級アルコールの有無による、ビオチンを固定化した対照部の発色強度の比較>
1.0mg/mLのビオチン化BSAと、10重量%のアルコールを含有するリン酸緩衝液(pH7.0)を調製し、塗布液とした以外は、実施例1と同様の方法でビオチンを固定化した対照部の発色強度の比較を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004822275
表1の結果から明らかなように、ビオチンをエタノールと共に対照部に固定化したクロマトグラフィー用試験具は、エタノールを含まないものに比べ、発色強度の増強が見られた。
<還元剤の濃度による、ビオチンを固定化した対照部の発色強度の比較>
1.0mg/mLのビオチン化BSAと、0、5mM、7.5mM、10mM及び25mMの2−メルカプトエチルアミンを含有するリン酸緩衝液(pH7.0)をそれぞれ調製し、塗布液とした以外は、実施例1と同様の方法でビオチンを固定化した対照部の発色強度の比較を行った。結果を表3に示す。
Figure 0004822275
表3から明らかなように、7.5mM、10mM及び25mMの2−メルカプトエチルアミンと共にビオチンを固定化した対照部は、2−メルカプトエチルアミンが0mMのものにくらべ、発色強度の増加が得られた。
以上により、本発明のクロマトグラフィー用試験具を用いると、ビオチンを固定化した対照部における発色強度が向上することが実験的に確認された。
本発明の一実施形態のイムノクロマトグラフィー用試験具の断面図である。 実施例で用いた、イムノクロマトグラフィー用試験具の断面図である。 実施例で用いた、イムノクロマトグラフィー用試験具を用いて、展開液16を展開している状態を示したものである。
符号の説明
1:基材 3:試料添加用部材 5:標識保持部材 9:クロマト用膜担体 9A:第1判定部 9B:第2判定部 9C:対照部 11:吸収部材 13,15:透明シール 16:展開液 17:試験管

Claims (5)

  1. 生体試料中の被検出成分に結合可能な標識物質、及び着色担体粒子によって標識された標識アビジンを保持する標識保持部材と、
    前記被検出成分に結合可能な固定用物質を固定化した判定部、及び前記標識アビジンと結合可能なビオチンを固定化した対照部を有するクロマトグラフ媒体と、を備え、
    記ビオチンが、還元剤及び/又はエタノールと共に前記対照部に固定化されているクロマトグラフィー用試験具。
  2. 前記還元剤が、2−メルカプトエチルアミン、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン及び/又はシステインである、請求項に記載のクロマトグラフィー用試験具。
  3. 前記ビオチンがキャリア蛋白を介して対照部に固定化されている、請求項1又は請求項2に記載のクロマトグラフィー用試験具。
  4. 前記被検出成分がインフルエンザウイルス、コロナウイルス、ロタウイルス、RSウイルス及びアデノウイルスからなる群より選択される1種以上である請求項1〜のいずれか1項に記載のクロマトグラフィー用試験具。
  5. 前記対照部が、ビオチン並びに還元剤及び/又はエタノールを混合して調整した塗布液を、クロマトグラフ媒体に塗布したものである、請求項1〜のいずれか1項に記載のクロマトグラフィー用試験具。
JP2006350611A 2006-12-26 2006-12-26 対照部を有するクロマトグラフィー用試験具 Expired - Fee Related JP4822275B2 (ja)

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