JP4821189B2 - ガスバリア性を有する植物産生樹脂多層延伸ブローボトル - Google Patents
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Description
従って本発明の目的は、容器全体が天然素材から成ると共に、優れたバリア性、透明性を有する多層容器を提供するにある。
本発明によればまた、植物産生樹脂から成る延伸ブローボトル表面に、少なくとも一層のアセトン/水系溶媒又はエタノール/水系溶媒から成る親水親油バランス溶媒にプロラミンを配合してなるプロラミン含有溶液から成るプロラミン含有層、及び少なくとも一層の油脂ロウ又は水膨潤性板状フィラーから成る第二の層が形成されてなり、最外層がプロラミン含有溶液から成る層であり、前記プロラミン含有溶液が複数回塗工されていることを特徴とする多層延伸ブローボトルが提供される。
1.植物産生樹脂が、ポリ乳酸であること、
2.油脂ロウが、蜜ろうであること、
が好適である。
本発明の多層延伸ブローボトルにおいて、バリア層に使用するプロラミン、特にトウモロコシの種子主要貯蔵たんぱく質であるツェインは、親水親油バランス溶媒(以下、HLB溶媒という)にのみ溶解し、水に不溶であることから、かかるプロラミン含有溶液を塗布して成る塗膜により耐水性が向上することが知られている。
しかもプロラミン、油脂ロウ、水膨潤性板状フィラーの何れも天然素材からなるものであることから、これらを組み合わせて成るバリア層を植物産生樹脂、特にポリ乳酸から成る成形体上に形成することにより、天然素材のみから成り、生分解性及びバリア性を有する成形体として形成することが可能となるのである。
また本発明においては、耐水性、膜安定性、或いは板状フィラーの脱落防止等の点からプロラミン含有層が成形体の最表面に位置することが好ましく、プロラミンが含有されている限り、プロラミン単独含有の層でも、或いはプロラミンと、油脂ロウ又は水膨潤性板状フィラーを含有する層の何れであってもよいが、プロラミンを含有する層が最表層に位置していることが耐水性の点で重要である。
すなわちポリ乳酸からなるボトル上に、水膨潤性板状フィラーのみを含有し、ツェインを含有しない層を形成した場合には、耐水性及び水分バリア性の両方に劣り(比較例2)、またポリ乳酸からなるボトル上に、ツェインのみを含有し、油脂ロウ又は水膨潤性板状フィラーを含有しない層を形成した場合には、水分バリア性に劣っている(比較例1)。これに対して、ポリ乳酸から成るボトル上にツェイン及び板状フィラーを含有する層を形成した場合(実施例1)、或いはポリ乳酸から成るボトル上にツェイン及び蜜ろうを含有する層を形成した場合(実施例2)は、何れも、耐水性及び水分バリア性に優れていることが明らかである。
すなわち、HLB溶媒として水/アセトン系溶媒を用いた場合、一度塗りの場合は、不透明であるが、二度以上塗布することにより塗膜の透明化が可能になるのである(実施例1及び2参照)。
二度塗布することにより塗膜が透明化される理由は明らかではないが、一度塗りの場合はアセトンの揮発速度が大きいため、表層に歪(凹凸)が生じ、その結果外部へイズが生じて不透明になると考えられる。これに対して二度以上塗布することにより、一回目の塗膜の表層に選択的に配列された蛋白質ドメインに相溶性を示す蛋白が近づくため、一回目の塗布で形成された凹凸が埋まっているため、透明になると考えられる。
本発明において使用するプロラミンとしては、上述したトウモロコシの主要貯蔵たんぱく質であるツェインの他、小麦の主要貯蔵たんぱく質であるグリアジンを挙げることができるが、本発明においては、ツェインを用いることが好適である。
前述したとおり、プロラミンは水に不溶であり、HLB溶媒のみに溶解することから、水/アセトン溶媒、或いは水/アルコール溶媒を用いる。これらの溶媒の比率は、水:アセトン又はアルコール=5:95乃至40:60(容積比)の範囲にあることが好適である。
プロラミン含有溶液中のプロラミンの含有量は、HLB溶媒100重量部に対して1乃至20重量部、特に5乃至15重量部の範囲あることが好適である。上記範囲よりもプロラミン含有量が少ない場合には、上記範囲にある場合に比して耐水性、バリア性が劣るようになり、一方上記範囲よりもプロラミン含有量が多い場合には、上記範囲にある場合に比して膜安定性に劣るようになる。
またプロラミン含有溶液には、一般にソルビトール等の可塑剤を配合することが、塗工性の点から好ましい。かかる可塑剤の配合量は、プロラミンン100重量部に対し、2乃至40重量部の範囲にあることが好ましい。
天然油脂ロウとしては、蜜ロウ、木ろう、白ろう、イボタロウ、カルナバロウがバリア性の点から好適である。
油脂ロウを単層として形成する場合には、n−へキサン、トルエン等の溶剤で溶解して使用することが塗工性の点から好適であり、一般に油脂ロウの濃度が、1乃至40重量%となるように調製することが好ましい。
水膨潤性板状フィラーとしては、単位結晶層が積み重なって層状構造を有し、水又は溶剤に膨潤又は劈開してゾルを形成する膨潤性層状粘土鉱物を挙げることができ、具体的には、雲母(マイカ)、スメクタイト、カオリナイト、タルク、バーミキュライト等従来公知の層状粘土鉱物を挙げることができるが、特にマイカが好ましい。
本発明においては、水膨潤性板状フィラーは、膜安定性等の観点から、表層金属イオンがトリス酸、ジメチルステアリルアンモニウム塩やトリメチルステアリルアンモニウム塩等でカチオン交換されていることが、無機フィラーの劈開性や分散性の点で好適である。
水膨潤性板状フィラーを単層で形成する場合には、水又は溶剤100重量部に対して水膨潤性フィラーを0.1乃至4重量部の量で配合することが好ましい。またこの水膨潤性板状フィラー分散体には、水膨潤性板状フィラー100重量部に対して5乃至30重量部のバインダー成分、例えばベタイン等を配合することが膜安定性の点から好適である。
水膨潤性板状フィラーを分散させるために用いる水以外の溶剤としては、トルエン、MEK、クロロフォルム、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
本発明においては、上述したように、プロラミン含有溶液、油脂ロウ、水膨潤性板状フィラー分散体のそれぞれを単層として形成することもできるが、これらの混合組成物から成る一つの層として形成することもできる。
この場合、プロラミン含有溶液及び油脂ロウ、或いはプロラミン含有溶液及び水膨潤性板状フィラーの組み合わせで混合組成物を形成するが、上述したプロラミン含有溶液、或いは油脂ロウ、水膨潤性板状フィラー分散体を混合することにより調製することができる。
プロラミン含有溶液及び油脂ロウの混合組成物から成る塗布液の調製は、上述したHLB溶媒にプロラミン、必要により可塑剤を配合した溶液中に、上述した溶剤で希釈した乾性油を配合し、ホモジナイザー等で攪拌混合することにより調製することができる。
本発明の多層成形品は、後述する植物産生樹脂からなる成形体の表面、特に外面に、上述したプロラミン含有溶液と油脂ロウの混合物からなる層(以下、「PR+OFW」と略することがある)、プロラミン含有溶液と水膨潤性板状フィラーの混合物からなる層(以下、「PR+CL」と略することがある)の少なくとも一層を形成するか、或いはプロラミン含有溶液からなる層(以下、「PR」と略すことがある)と、油脂ロウからなる層(以下、「OFW」と略すことがある)又は水膨潤性板状フィラーからなる層(以下、「CL」と略すことがある)の各層を少なくとも一層形成し、プロラミン含有層が最表層に位置する限り種々の層構成を採用することができる。
これに限定されるものでないが、以下に層構成を例示する。尚、「PLA」は植物産生樹脂からなる成形体の層を意味する。
PLA/PR+CL,
PLA/PR+OFW/PR,
PLA/PR+CL/PR,
PLA/OFW/PR,
PLA/CL/PR,
PLA/PR+CL/PR+OFW,
PLA/PR+OFW/PR+CL,
PLA/PR/CL/PR,
PLA/PR/OFW/PR,
PLA/PR+CL/CL/PR,
PLA/PR+OFW/CL/PR,
PLA/PR+CL/OFW/PR,
PLA/PR+CL/PR+OFW/PR,
本発明の多層成形品の基体となる植物産生樹脂から成る成形体は、ヒドロキシアルカノエート単位を主体とする脂肪族ポリエステル樹脂からなるものであり、この脂肪族ポリエステル樹脂は、少なくともフィルムを形成し得る分子量を有するべきであり、一般にその数平均分子量は、10000乃至300000、特に20000乃至200000の範囲にあるのがよい。好適な脂肪族ポリエステル樹脂の例は、ポリヒドロキシアルカノエート、或いはこれらの共重合体である。
R O
| ‖
−[−O−CH−(CH2)n−C−]− ・・・(1)
式中、Rは水素原子、または直鎖或いは分岐鎖のアルキル基であり、nはゼロを含む正の整数である、
で表される反復単位、例えば、
グリコール酸[R=H、n=0、GA]
乳酸[R=CH3、n=0、LA]、
3−ヒドロキシブチレート[R=CH3、n=1、3HB]、
3−ヒドロキシバリレート[R=CH2CH3、n=1、3HV]、
3−ヒドロキシカプロエート[R=(CH2)2CH3、n=1、3HC]、
3−ヒドロキシヘプタノエート[R=(CH2)3CH3、n=1、3HH]、
γ−ブチロラクトン[R=H、n=2、BL]、
δ−バレロラクトン[R=H、n=3、VL]、
等の1種或いは2種以上からなる重合体が挙げられる。
ポリ乳酸(PLA)は、トウモロコシなどの穀物デンプンを原料とする樹脂であり、デンプンの乳酸発酵物、L−乳酸をモノマーとする重合体である。一般にそのダイマーであるラクタイドの開環重合法、及び、直接重縮合法により製造される。この重合体は、自然界に存在する微生物により、水と炭酸ガスにより分解され、完全リサイクルシステム型の樹脂として着目されている。
本発明に用いる成形体には、その用途に応じて、各種着色剤、充填剤、無機系或いは有機系の補強剤、滑剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、増粘剤、減粘剤、安定剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、防錆剤等を、公知の処方に従って配合することができる。
本発明の多層成形体の製法は、ヒドロキシアルカノエート単位を主体とする脂肪族ポリエステル樹脂から成る成形体を成形する工程、かかる成形体の少なくとも一方の表面、特に外面を上述したプロラミン含有溶液、乾性油、水膨潤性板状フィラー等を含有する塗膜を形成する工程から成っている。
本発明に用いる成形体は、上述した植物産生樹脂から成る限り、その製法及び形状は問わず、これに限定されるものではないが、ボトル、カップ等の容器、キャップ、或いはシート、フィルム等の形状をとることができる。
フィルム、シート或いはチューブの成形は、植物産生樹脂を押出機で溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ(リングダイ)等を通して所定の形状に押出すことにより行われ、T−ダイ法フィルム、ブローウンフィルム等が得られる。Tダイフィルムはこれを二軸延伸することにより、二軸延伸フィルムが形成される。
更に、植物産生樹脂を押出機を通して、一定の溶融樹脂塊に押し出し、これを金型で圧縮成形することにより、容器や容器製造用のプリフォームを製造することもできる。成形物は、フィルム、シート、ボトル乃至チューブ形成用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ成形用プリフォーム等の形をとり得る。
パリソン、パイプ或いはプリフォームからのボトルの成形は、押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより容易に行われる。また、パイプ乃至はプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。
更に、また、フィルム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の熱成形に付することにより、カップ状、トレイ状等の容器を成形することができる。
延伸温度は、植物産生樹脂として用いる脂肪族ポリエステルの種類によっても相違するが、一般的に言って、用いるポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)を基準とし、Tg乃至Tg+60℃の温度が適当であり、例えばポリ乳酸の場合、Tg+20℃乃至Tg+50℃の温度が適当である。
また延伸倍率は一般的に、機械方向(容器軸方向)の延伸倍率が1.4乃至4倍、横断方向(容器周方向)の延伸倍率が1.4乃至4倍で、好適には面積延伸倍率が2乃至16倍となるようなものである。
熱固定は、70乃至110℃、特に80乃至100℃の温度で0.5乃至30秒行うことが好ましく、成形型内或いは成形型外の何れで行ってもよい。
本発明においては、上述した種々の成形法により成形された植物産生樹脂から成る成形体の少なくとも一方の表面、特に外面に、前述したプロラミン含有溶液と、油脂ロウ又は水膨潤性板状フィラーを含有する塗膜を形成する。
これらの塗膜の形成は成形体に直接行うが、フィルムを製袋して成るパウチでは、製袋前のウエッブに行い、その後ヒートシール等による製袋を行うことになる。
プロラミン含有溶液と、油脂ロウ又は水膨潤性板状フィラーの塗布は、浸漬により好適に塗布することができるが、スプレー等によっても塗布することができる。またフィルム状態の場合はロールコーター等を用いて塗布することができる。
尚、塗膜形成のための塗布は一般に一回の浸漬等で充分であるが、一つの層を形成するために複数回行うこともできる。特に前述したようにプロラミン含有溶液に用いるHLB溶媒が水/アセトン溶媒の場合や、或いは水/エタノール系溶媒の場合は、プロラミン含有溶液の塗工は複数回行うことが好ましい。
塗布後乾燥することにより塗膜を形成することができるが、乾燥条件は、プロラミン含有溶液の場合は、20乃至55℃の温度で5乃至300分間、油脂ロウの場合は、20乃至55℃の温度で5乃至1800分間、水膨潤性板状フィラーの場合は、20乃至55℃の温度で5乃至300分間、乾燥することにより塗膜を形成することができる。
特にプロラミン含有溶液のHLB溶媒として水/アセトン系溶媒を用いた場合には、ポリ乳酸の熱変形温度以下の温度で短時間での乾燥で塗膜形成が可能であり、生産性に優れている。
[評価]
(塗膜性)
ポリ乳酸製延伸ブローボトルを、プロラミン含有溶液に浸漬し、引き出した。塗布液がボトル表面からはじかれた場合、塗布不良とし×とした。一方、表面から塗布液がはじかれない場合、塗布良好とし、○とした。
塗膜形成されたボトルの表面を素手でしごいた。この作業で、塗膜が浮き出し剥離したものは塗膜安定性なしとして×とした。一方、この作業で塗膜が浮き出すことなく、剥離しない塗膜を塗膜安定性ありとし、○とした。
塗膜形成されたボトルをそれぞれ水に浸漬した場合、塗膜が溶解し剥離が生じた場合、耐水性なしとし×とした。一方、水浸漬後に、手で握っても膜剥離が生じないものを耐水性有りとし、○とした。
プロラミン溶液を250ml容のポリ乳酸ボトルに塗布、乾燥後、180g量の蒸留水を充填(W0)、PLAキャップで密栓し25℃恒温槽に保存した。保存後のボトルを経時毎に重量測定し(Wt)、残留水重量から残留水分残率(%)を求めた。
残留水分残留率(%)=(Wt)/(W0)×100
結果をPLAボトルの水分残留率とPETフィルムの水分残留率差を100とした場合の改善率として示した(例:30%改善率はPLAよりPET側に30%バリア性が向上したことを示す)。
プロラミンとしてツェイン(昭和産業(株)社製)、可塑剤としてソルビトール、水膨潤性板状フィラー(クニミネ工業株式会社製クニピアF)をアミノ塩酸塩水溶液でカチオン交換反応させたフィラーを表1に示す量で用いた。これらの固体成分をアセトン/水(容積比7:3)のHLB溶媒に溶解した。
次に、ポリ乳酸(PLA)ボトルを上記混合液に浸漬し、ボトル底部にたまった余分な液だれをふき取った。この塗布行程で、塗布した塗膜がはじかれることはなく、均一に分布し、塗布性は良好であった。このボトルを55℃恒温槽で1時間乾燥させた。乾燥後のボトルは白化した。次に、この乾燥ボトル(白化PLAボトル)を再び上記混合液に浸漬し、液だれを除去後、55℃で1時間乾燥させた。再度ボトルを乾燥させると、内容液が目視観察できる状態に透明となった。又、水分バリア性の改善率は27%であった。加えて、ボトルを水道水に浸漬した場合、ボトル表層の塗膜は剥離(溶出)することなく保持しており、耐水性を確認した。
水膨潤性板状フィラーの代わりに蜜ろうを表1に示す量で用いた以外は実施例1と同様に行った。
塗布面の塗膜ははじかれることはなく、均一に分布し、塗布性は良好であった。このボトルを55℃恒温槽で1時間乾燥させた。乾燥後のボトルは白化した。
次に、この乾燥ボトル(白化PLAボトル)を再び上記混合液に浸漬し、液だれを除去後、55℃で1時間乾燥させた。再度ボトルを乾燥させると、内容液が目視観察できる状態にボトルが透明となった。又、水分バリア性の改善率は30%であった。加えて、ボトルを水道水に浸漬しても、ボトル表層の塗膜が剥離(溶出)することなく保持していた。
塗膜固体成分としてプロラミンのみを用いた他は、実施例1と同様に処理した。この場合、塗膜の塗布性は良好であったが水分バリア性改善率は2%以下であった。ボトルを水道水に浸漬した場合、ボトル表層の塗膜剥離・溶出はなく、耐水性を確認した。
塗布固体成分としてプロラミンの代わりにポリビニルアルコール樹脂を用いた他は実施例1同様に処理した。この場合、塗膜の塗布性は良好であったが水分バリア性改善率は2%以下であった。ボトルを水道水に浸漬した場合、ボトル表層の塗膜剥離・溶出が生じ耐水性がなかった。
プロラミンとしてツェイン(昭和産業株式会社製 トウモロコシ蛋白ツェインDP)を、アセトン:水の容積比7:3溶媒に、10wt/V%の濃度で配合し、これを溶解後、ツェイン量の約半分量のソルビトールを添加したプロラミン含有溶液中に、ポリ乳酸(PLA)ボトルを浸漬し取り出した後、ボトル底部にたまった余分な液だれをふき取った。この塗布行程では、塗布した塗膜がはじかれることはなく、均一に塗布できた。塗布性は良好であった。
このボトルを55℃恒温槽で1時間乾燥させた。乾燥後のボトルは白化した。
次に、この乾燥ボトル(白化PLAボトル)を、蜜ろう(和光純薬社製)含有量が10重量%のヘキサン溶液に浸漬後、取り出し、ボトル底部にたまった余分な液だれをふき取った。このボトルを室温25℃に72時間放置し、ボトル表面へ塗布した蜜ろうをボトル表面に固定した。
PLAボトル外表面に塗布する塗膜は、PLA/プロラミン(ツェイン)/蜜ろう/プロラミン(ツェイン)の順であった。
乾燥後のボトルを素手でしごいても剥離することはなかった。
水膨潤性板状フィラーとして、マイカ(クニミネ工業(株)社製クニピカF)を1wt/V%になるよう蒸留水に分散し、次に、水膨潤性板状フィラーの添加量の20wt%量の[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩]を添加し、7日間攪拌し、カチオン交換反応した水膨潤性板状フィラー溶液を、実施例3の蜜ロウ含有溶液の代わりに用い、層構成をPLA/プロラミン(ツェイン)/水膨潤性板状フィラー/プロラミン(ツェイン)の順で形成した以外は実施例3と同様に多層ボトルを成形した。
乾燥後のボトルを素手でしごいても剥離することはなかった。
実施例3で用いたプロラミン含有塗料を用い、PLA/プロラミン(ツェイン)/プロラミン(ツェイン)/プロラミン(ツェイン)の多層からなるボトルとした以外は実施例3同様にした。
ボトルを素手でしごいても剥離することはなかったが、バリア性に劣っていた。
実施例4で層構成を、PLA/プロラミン(ツェイン)/水膨潤性板状フィラーとする以外は実施例4同様に行った。
乾燥後のボトルを素手でしごいた場合、クレイ層が剥離した。
Claims (4)
- 植物産生樹脂から成る延伸ブローボトル表面に、アセトン/水系溶媒又はエタノール/水系溶媒から成る親水親油バランス溶媒にプロラミンを配合してなるプロラミン含有溶液と、油脂ロウ又は水膨潤性板状フィラーの何れか一方から成るプロラミン含有層が複数回の塗工により形成されていることを特徴とする多層延伸ブローボトル。
- 植物産生樹脂から成る延伸ブローボトル表面に、少なくとも一層のアセトン/水系溶媒又はエタノール/水系溶媒から成る親水親油バランス溶媒にプロラミンを配合してなるプロラミン含有溶液から成るプロラミン含有層、及び少なくとも一層の油脂ロウ又は水膨潤性板状フィラーから成る第二の層が形成されてなり、最外層がプロラミン含有溶液から成る層であり、前記プロラミン含有溶液が複数回塗工されていることを特徴とする多層延伸ブローボトル。
- 前記植物産生樹脂が、ポリ乳酸である請求項1又は2記載の多層延伸ブローボトル。
- 前記油脂ロウが、蜜蝋である請求項1乃至3の何れかに記載の多層延伸ブローボトル。
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