JP2006289618A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 溶融成形、特にフィードブロック法による共押出成形による成形が可能で、且つ真空成形等の熱加工が可能な、優れた防湿性を有する積層体を提供すること。
【解決手段】
脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする表裏2層の表面層、及び該表面層の間に配置された中間層からなる積層構成を少なくとも有する積層体であって、上記中間層が、ワックス、高分子物質及びフィラーを含有し、かつ該フィラーの体積分率が15%以上、70%未満であるワックス含有組成物からなることを特徴とする積層体。
【選択図】 なし
【解決手段】
脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする表裏2層の表面層、及び該表面層の間に配置された中間層からなる積層構成を少なくとも有する積層体であって、上記中間層が、ワックス、高分子物質及びフィラーを含有し、かつ該フィラーの体積分率が15%以上、70%未満であるワックス含有組成物からなることを特徴とする積層体。
【選択図】 なし
Description
本発明は、溶融成形による成形が可能で、防湿性を有する積層体に関する。
包装用のフィルムに関する従来技術としては、例えば下記特許文献1に記載のフィルムが知られている。このフィルムは、近年環境意識の高まりとともに注目されている生分解性樹脂を用いたもので、乳酸系ポリマーを主成分とし、これに分子内に2個以上のカルボン酸エステル基を有する可塑剤を所定量含むフィルムである。このフィルムは、生分解性を有しているが、防湿性に劣るので、保存に際して防湿性が必要な物品の包装容器等に用いることはできなかった。
防湿性を有していないフィルムに防湿性を付与する方法としては、例えば下記特許文献2に記載されているように、ワックスエマルションと合成ゴムエマルションとを塗工してワックスを主体とする防湿層を形成する方法が知られている。しかしながら、このようなワックスを用いた防湿層は、熱成形性がないため、容器を成形した後に塗工や蒸着等の方法で防湿層を形成しなければならず、製造工程が複雑とならざるを得なかった。また、天然ワックス等の生分解性を有するワックスは、融点が85℃以下であるため、スープやインスタントカップ麺等のインスタント食品用の容器のように、保存に必要な防湿性、及び調理や飲食等するときに必要な耐熱水性が要求される容器の被覆に用いることはできなかった。
また、特許文献3には、二つの生分解性樹脂層の間に生分解性の防湿層を備えている積層フィルム(積層体)が提案されており、このフィルムは、防湿性及び耐熱水性を有し、熱成形も可能である。しかし、上記防湿層を形成するワックスを主成分とする組成物の溶融粘度が低く生分解性樹脂との溶融粘度に大きな差があるため、特に汎用法であるフィードブロック法による共押出成形により上記フィルムを成形することは困難である。
従って、本発明の目的は、溶融成形、特に共押出成形による成形が可能で、且つ2次加工として真空成形等の熱加工が可能な、防湿性を有する積層体を提供することにある。
本発明者等は、検討を重ねた結果、積層体における防湿層をワックス含有組成物で形成し、該防湿層中に多量のフィラーを含有させることにより、上記課題を解決し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする表裏2層の表面層、及び該表面層の間に配置された中間層からなる積層構成を少なくとも有する積層体であって、上記中間層が、ワックス、高分子物質及びフィラーを含有し、かつ該フィラーの体積分率が15%以上、70%未満であるワックス含有組成物からなることを特徴とする積層体を提供するものである。
本発明によれば、溶融成形、特に共押出成形による成形が可能で、且つ真空成形等の熱加工が可能な、防湿性を有する積層体を提供することができる。
以下、本発明の積層体について、その好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の積層体は、脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする表裏2層の表面層、及び上記表面層の間に配置された中間層からなる積層構成を少なくとも有する積層体であって、上記中間層が特定のワックス含有組成物から形成された防湿層であることを特徴とする。
本発明の積層体は、脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする表裏2層の表面層、及び上記表面層の間に配置された中間層からなる積層構成を少なくとも有する積層体であって、上記中間層が特定のワックス含有組成物から形成された防湿層であることを特徴とする。
上記防湿層の厚みは、実用的な防湿性を与えるとともに、高温での積層体の強度を維持する上で、最終製品において1〜500μmが好ましく、10〜200μmがさらに好ましい。
上記表裏2層の表面層それぞれの厚みは、その使用目的等に応じて適宜選択することができるが、積層体の強度及び取扱い性の点からは、剛性を必要とされる容器等の場合には、最終製品において100〜2000μmが好ましく、200〜1000μmがさらに好ましく、軟包装体等の柔軟性が必要とされる場合には、最終製品において10〜500μmが好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。
最終製品を、本発明の積層体を熱成形や延伸等の2次加工を行うことによって製造する場合には、最終製品で目的の厚みとるように積層体を成形する。
最終製品を、本発明の積層体を熱成形や延伸等の2次加工を行うことによって製造する場合には、最終製品で目的の厚みとるように積層体を成形する。
上記表裏2層の表面層は、脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とした樹脂層であり、該脂肪族ポリエステル系樹脂を好ましくは50重量%以上含有する。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂(以下、脂肪族ポリエステル系樹脂Aという)、脂肪族オキシカルボン酸系樹脂等が挙げられる。特に良好な成形性と適度な力学物性を有することから、上記脂肪族ポリエステル系樹脂A、中でも、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位の合計が50モル%以上である脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。該合計は60モル%以上であることがさらに好ましい。また、これら脂肪族ポリエステル系樹脂を2種以上混合して用いることもできる。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂(以下、脂肪族ポリエステル系樹脂Aという)、脂肪族オキシカルボン酸系樹脂等が挙げられる。特に良好な成形性と適度な力学物性を有することから、上記脂肪族ポリエステル系樹脂A、中でも、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位の合計が50モル%以上である脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。該合計は60モル%以上であることがさらに好ましい。また、これら脂肪族ポリエステル系樹脂を2種以上混合して用いることもできる。
上記脂肪族ポリエステル系樹脂Aを構成する脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位の具体例としては、例えば、エチレングリコール単位、ジエチレングリコール単位、トリエチレングリコール単位、ポリエチレングリコール単位、プロピレングリコール単位、ジプロピレングリコール単位、1,3−ブタンジオール単位、1,4−ブタンジオール単位、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル単位、1,6−へキサンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、ネオペンチルグリコール単位、ポリテトラメチレングリコール単位、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位等が挙げられる。また、これらは2種以上混合して用いることもできる。
上記脂肪族ポリエステル系樹脂Aを構成する脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位の具体例としては、例えば、コハク酸単位、シュウ酸単位、マロン酸単位、グルタル酸単位、アジピン酸単位、ピメリン酸単位、スベリン酸単位、アゼライン酸単位、セバシン酸単位、ウンデカン二酸単位、ドデカン二酸単位、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位等が挙げられる。また、これらは2種以上混合して用いることもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸系樹脂を構成する脂肪族オキシカルボン酸単位の具体例としては、例えば、グリコール酸単位、乳酸単位、3−ヒドロキシ酪酸単位、4−ヒドロキシ酪酸単位、4−ヒドロキシ吉草酸単位、5−ヒドロキシ吉草酸単位、6−ヒドロキシカプロン酸単位を挙げることができる。また、これらは2種以上混合して用いることもできる。
上記脂肪族ポリエステル系樹脂Aには、少量(10モル%以下)の乳酸単位、6−ヒドロキシカプロン酸単位等のオキシカルボン酸単位や、少量(5モル%以下)のトリメチロールプロパン単位、グリセリン単位、ペンタエリスリトール単位、プロパントリカルボン酸単位、リンゴ酸単位、クエン酸単位、酒石酸単位等の3官能以上の脂肪族多価アルコール単位、脂肪族多価カルボン酸単位、脂肪族多価オキシカルボン酸単位が共重合されていても良い。また、脂肪族オキシカルボン酸系樹脂には、少量(10モル%以下)の1,4−ブタンジオール単位、コハク酸単位、アジピン酸単位等の脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位や、少量(5モル%以下)のトリメチロールプロパン単位、グリセリン単位、ペンタエリスリトール単位、プロパントリカルボン酸単位、リンゴ酸単位、クエン酸単位、酒石酸単位等の3官能以上の脂肪族多価アルコール単位、脂肪族多価カルボン酸単位、脂肪族多価オキシカルボン酸単位が共重合されていても良い。
また、上記脂肪族ポリエステル系樹脂を構成するジオール(多価アルコール)単位、ジカルボン酸(多価カルボン酸)単位、及びオキシカルボン酸単位は、脂肪族系が主成分であるが、生分解性を損なわない範囲で、少量の他の成分、例えば、芳香族ジオール(多価アルコール)単位、芳香族ジカルボン酸(多価カルボン酸)単位、芳香族オキシカルボン酸単位等の芳香族系化合物単位を含有してもよい。芳香族ジオール(多価アルコール)単位の具体例としては、ビスフェノールA単位、1,4−ベンゼンジメタノール単位等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸(多価カルボン酸)単位の具体例としては、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、トリメリット酸単位、ピロリメリット酸単位、ベンゾフェノンテトラカルボン酸単位、フェニルコハク酸単位、1,4−フェニレンジ酢酸単位等が挙げられる。芳香族オキシカルボン酸単位の具体例としては、ヒドロキシ安息香酸単位が挙げられる。これらの芳香族系化合物単位の導入量は、50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。
本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂の製造方法は、公知公用の方法を採用することが出来、特に限定されない。また、生分解性に影響を与えない範囲で、該脂肪族ポリエステル系樹脂には、ウレタン結合、アミド結合、カーボネート結合、エーテル結合、ケトン結合等が導入されていても良い。
上記脂肪族ポリエステル系樹脂としては、コハク酸単位及びと1,4−ブタンジオール単位を主体として含有するポリブチレンサクシネート(PBS)、及びポリ乳酸が好ましい。ポリブチレンサクシネートとしては、三菱化学(株)製「GS Pla:AZシリーズ」、昭和高分子(株)製「ビオノーレ:1000番シリーズ」、ポリ乳酸としては、三井化学(株)製「レイシア」が挙げられる。
上記脂肪族ポリエステル系樹脂は、MFRが190℃、2.16kgf荷重下で0.1〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2〜70g/10分、更に好ましくは0.3〜50g/10分である。また、上記脂肪族ポリエステル系樹脂の分子量は、上記のMFRの範囲を満たすように選択するのが好ましい。
上記表裏2層の表面層である樹脂層は、端材の再利用、添加剤の添加等による機能性付与等の目的に応じて、それぞれ1〜5層からなることが好ましい。さらに、上記表裏2層の表面層を2層以上とする場合には、成形性の向上、機械物性の向上等を目的として、各層を、異なる種類の脂肪族ポリエステル系樹脂で形成してもよい。
上記樹脂層は、さらにフィラーを含有することが好ましい。上記樹脂層にフィラーを含有させることにより、2次加工として真空成形等の熱成形を行った後の積層体の収縮を防止することができる。フィラーとしては、無水シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等の塩類等が挙げられる。上記樹脂層におけるフィラーの含有量は、好ましくは1〜80重量%であり、より好ましくは3〜70重量%、特に好ましくは5〜60重量%である。
上記樹脂層である表裏2層の表面層がそれぞれ複数の層からなる場合は、それらの層の中の1層にフィラーを含有させてもよく、2層以上に含有させてもよい。その場合の1層当たりのフィラーの含有量は、1〜80重量%が好ましく、より好ましくは3〜70重量%、特に好ましくは5〜60重量%である。例えば、表裏2層の表面層がそれぞれ複数の層からなる場合、表裏2層の表面層をそれぞれ構成する層のうちの最外層にはフィラーを含有させず、該最外層以外の層にフィラーを含有させると、熱成形した後の積層体の収縮を防止することができ、しかも、最外層の形成に用いる樹脂はフィラーを含有せず粘度が低いため、成形時の樹脂の滑りが良好で加工性に優れるという効果を奏することも可能となる。
上記樹脂層には、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等を添加することもできる。これらの化合物を添加することにより、分解性を促進することができる。
上記樹脂層は、必要に応じて、さらに結晶造核剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、熱安定剤、可塑剤、顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、分散助剤等を含有することができる。
上記樹脂層は、脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とすることで生分解性を有しているが、実用的な期間で分解する点から、その生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又はJIS K6953)は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とした樹脂層である上記表面層と、生分解性を有するワックス含有組成物とを積層することで、本発明の積層体全体を生分解性とすることができる。
本発明の積層体において、上記防湿層は、ワックス、高分子物質及びフィラーを含有し、該フィラーの体積分率が15%以上、70%未満であるワックス含有組成物から形成されている。
上記ワックス含有組成物において、ワックスと高分子物質との重量比率(前者/後者)は95/5〜5/95であることが好ましく、より好ましくは90/10〜30/70、さらに好ましくは85/15〜55/45である。上記ワックス含有組成物中の高分子物質の含有量が上記重量比率を満たす量より多いと、防湿性が低下する傾向にある。逆に高分子物質の含有量が上記重量比率を満たす量より少ないと、ワックス含有組成物の溶融粘度が十分に高くなりにくく、また熱成形等において均一な成形や延伸ができなくなる場合がある。
また、上記ワックス含有組成物において、ワックス及び前記高分子物質の含有量は、フィラーの比重によって、その好ましい値が変化するが、例えば、比重2.5のフィラーの場合で考えると、ワックスは5〜60重量%、特に10〜55重量%の範囲から、前記高分子物質の含有量は、3〜60重量%、特に10〜35重量%の範囲から、前記のワックスと高分子物質との重量比率を満たすようにそれぞれ選択することが好ましい。
上記ワックス含有組成物におけるフィラーの含有量は、体積分率で15%以上、70%未満であり、好ましくは20〜60%、さらに好ましくは25〜50%である。フィラーの含有量が体積分率で15%未満であると、ワックス含有組成物の溶融粘度が低すぎ、溶融成形ができない。フィラーの含有量が体積分率で70%以上になると、ワックス含有組成物が溶融流動性を有さなくなり、積層体への成形が困難となる。尚、上記ワックス含有組成物において、フィラーの含有量は、重量基準で20〜85重量%、特に30〜75重量%の範囲から、フィラーの比重を考慮して上記体積分率を満たすように選択することが好ましい。
この様にフィラーを含有させる事で、上記ワックス含有組成物の溶融粘度が向上する事により共押出し成形による成形性が向上し、成形される多層シートの外観が良くなり、さらにワックス含有組成物により形成される防湿層と上記樹脂層との接着力向上、シート保管時の端面からのワックス含有組成物のはみ出し防止といった効果も発生する。
この様にフィラーを含有させる事で、上記ワックス含有組成物の溶融粘度が向上する事により共押出し成形による成形性が向上し、成形される多層シートの外観が良くなり、さらにワックス含有組成物により形成される防湿層と上記樹脂層との接着力向上、シート保管時の端面からのワックス含有組成物のはみ出し防止といった効果も発生する。
前記ワックスとしては、生分解性を有するものが好ましく、その生分解度(JIS K6950又はJIS K6953)は、30%以上が好ましく、さらに好ましくは50%以上、最も好ましくは60%以上である。
また、前記ワックスは、上記ワックス含有組成物や該ワックス含有組成物から溶融成形した成形体の保存安定性の点から、その融点が40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることが一層好ましい。ワックスの融点は、JIS K2235−5.3に従って測定される。
以上の各種特性を有する前記ワックスとして本発明において好ましく用いられるものには、植物系ワックス、動物系ワックス、石油系ワックス、合成ワックス等があり、例えば、府瀬川健蔵、「ワックスの性質と応用」、幸書房、1993年、改訂2版第1刷、2頁目、表1.0.1に記載されたワックスが使用可能である。
前記植物系ワックスとしては、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス等が挙げられる。前記動物系ワックスとしては、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう等が挙げられる。前記石油系ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスやアミドワックス等が挙げられる。
前記植物系ワックスとしては、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス等が挙げられる。前記動物系ワックスとしては、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう等が挙げられる。前記石油系ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。合成ワックスとしては、ポリエチレンワックスやアミドワックス等が挙げられる。
また、前記ワックスとしては、バイオマス由来のワックスが好ましく用いられる。本発明のワックス含有組成物において、バイオマス由来とは植物由来又は動物由来であることを意味する。尚、合成ワックスであっても、生分解性を有するものは、本発明において好ましく用いることができる。
また、バイオマス由来ではないが、マイクロクリスタリンワックスは、上記ワックス含有組成物から形成される防湿層と、前記樹脂層との接着性を良好なものとすることができるので好ましく用いられる。
また、バイオマス由来ではないが、マイクロクリスタリンワックスは、上記ワックス含有組成物から形成される防湿層と、前記樹脂層との接着性を良好なものとすることができるので好ましく用いられる。
前記高分子物質としては、未架橋の天然ゴム、未架橋のポリイソプレン、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、変成デンプン系樹脂等の非晶性高分子若しくは結晶性高分子等が挙げられる。
これらの高分子物質の中でも、生分解性を有するものが好ましく、生分解性を有する高分子物質としては、未架橋の天然ゴム、未架橋の合成ポリイソプレン、脂肪族ポリエステル系樹脂、変成デンプン系樹脂等が挙げられる。高分子物質の生分解度(JIS K6950又はJIS K6953)は、30%以上が好ましく、50%以上が更に好ましく、60%以上が最も好ましい。
また、上記ワックス含有組成物において用いられる高分子物質としては、バイオマス由来のものが好ましく、バイオマス由来の高分子物質としては、未架橋の天然ゴム、微生物による醗酵で得られたコハク酸や乳酸等を用いて化学合成したポリ乳酸やポリブチレンサクシネート、微生物が生産するポリヒドロキシアルカノエート、デンプンを脂肪酸等で変成した変成でんぷん系樹脂等が挙げられる。これらの高分子物質は、それぞれ単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、ワックス含有組成物中に高分子物質を微細に分散させるためには、ワックスと相溶性を有するものが好ましく、特に合成ポリイソプレン又は天然ゴムが好ましい。
上記ワックス含有組成物は、前記高分子物質を配合することで溶融粘度が高められるが、高分子物質の多くはワックス含有組成物の防湿性を低下させる傾向がある。前記高分子物質の中でも、ポリイソプレン又は天然ゴムを用いると、得られるワックス含有組成物の防湿性の低下を抑えながら、溶融粘度を高めることができる。また、前記高分子物質としてポリイソプレン又は天然ゴムを用いると、ワックス含有組成物を成形して得られる成形物に、耐熱性や強度を付与できるという付加的効果もある。
また、本発明のワックス含有組成物中に含まれる高分子物質は、その重量平均分子量が
20,000以上、特に400,00以上、とりわけ600,000以上の範囲にすることが好ましい。該重量平均分子量が低すぎると、ワックス含有組成物の溶融粘度、可撓性、接着性が低下するおそれがある。
ワックス含有組成物の溶融粘度を考えた場合には重量平均分子量は高いほど好ましいが、ワックス含有組成物の製造のしやすさを考慮すると、3,000,000以下が好ましい。それ以上の分子量であっても、事前に素練りをする事により製造に適した分子量に調整する事ができる。
重量平均分子量は、例えば、ワックス含有組成物をクロロホルムに溶解させた後、未融解のワックスを濾過により除去した溶液でGPCを測定し、その結果と分子量既知のポリスチレン標準サンプルのGPC測定で得た較正曲線とから求めることができる。
20,000以上、特に400,00以上、とりわけ600,000以上の範囲にすることが好ましい。該重量平均分子量が低すぎると、ワックス含有組成物の溶融粘度、可撓性、接着性が低下するおそれがある。
ワックス含有組成物の溶融粘度を考えた場合には重量平均分子量は高いほど好ましいが、ワックス含有組成物の製造のしやすさを考慮すると、3,000,000以下が好ましい。それ以上の分子量であっても、事前に素練りをする事により製造に適した分子量に調整する事ができる。
重量平均分子量は、例えば、ワックス含有組成物をクロロホルムに溶解させた後、未融解のワックスを濾過により除去した溶液でGPCを測定し、その結果と分子量既知のポリスチレン標準サンプルのGPC測定で得た較正曲線とから求めることができる。
前記フィラーとしては、無機フィラー、有機フィラー、及びその複合体からなる粒子状の物質が挙げられる。前記フィラーとしては、天然物又は天然物由来のものを用いることが、環境負荷等の点で好ましい。
前記無機フィラーとしては、無水シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等の塩類等が挙げられる。
前記有機フィラーとしては、生澱粉、加工澱粉、パルプ、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、木材粉末、竹粉末、樹皮粉末、ケナフや藁等の粉末といったバイオマス由来の有機フィラーが挙げられるほか、前記脂肪族ポリエステル系樹脂の粉末も挙げられる。
前記フィラーとしては、その平均粒径が100μm以下、とりわけ0.1〜50μm、特に0.5〜30μmのものを用いることが、均一な分散性並びに溶融粘度向上の効果の点から好ましい。尚、該平均粒径はレーザー回折・散乱法により求められる平均粒径である。
上記ワックス含有組成物には、必要に応じて、その他の成分を含有させることができる。その他の成分としては、酸化防止剤、着色剤、分散助剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等が挙げられる。その他の成分の含有量は、好ましくは上記ワックス含有組成物においてそれぞれ1重量%以下とする。
上記ワックス含有組成物は、190℃、2.16kgf荷重下でのメルトフローレート(以下MFRともいう)が500g/10分以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜100g/10分、最も好ましくは0.3〜50g/10分である。このようなMFRを有することにより、前記樹脂層の樹脂の溶融物性との差が小さくなるため、押出機を用いた溶融成形、特にフィードブロック法による共押出成形に一層適した溶融流動特性を有するワックス含有組成物となる。
上記ワックス含有組成物は、その透湿度が3g・mm/m2・24hr以下であることが好ましく、2g・mm/m2・24hr以下であることがさらに好ましい。該透湿度の下限値に制限はなく、低ければ低いほど好ましい。
上記透湿度は、該ワックス含有組成物から所定厚みのフィルムを成形し、そのフィルムについてカップ法(JIS Z 0208 条件B)によって測定した透湿度を、厚み1mmのフィルムに換算した値である。この透湿度の換算値は、透湿度がフィルム厚みに反比例すると仮定し、カップ法で測定した透湿度にフィルム厚みを乗じることにより算出される。
ただし、ワックス含有組成物のみからなるフィルムを作製し、その透湿度を上記の方法で測定することが困難である場合が多いため、その場合には、透湿度が既知の樹脂フィルムと、ワックス含有組成物との積層フィルムを作製し、ワックス含有組成物の透湿度を求める。例えば、樹脂層(A)/ワックス含有組成物層(B)/樹脂層(C)からなる3層フィルムを作製し、上記の方法で3層フィルム全体の透湿度を測定し、その透湿度をdとする。そして、別途、樹脂層(A)及び樹脂層(C)の透湿度を同様に測定し、それぞれの透湿度をa及びcとする。このとき、ワックス含有組成物層(B)の透湿度をbとすると、下記の関係が成り立つ。ここで、a、b、c、dは、実際の厚みにおける透湿度であり、1mmの厚みに換算した透湿度ではない。
1/d=1/a+1/b+1/c
この式から、未知数であるワックス含有組成物層(B)の透湿度bを求めることができる。
ただし、ワックス含有組成物のみからなるフィルムを作製し、その透湿度を上記の方法で測定することが困難である場合が多いため、その場合には、透湿度が既知の樹脂フィルムと、ワックス含有組成物との積層フィルムを作製し、ワックス含有組成物の透湿度を求める。例えば、樹脂層(A)/ワックス含有組成物層(B)/樹脂層(C)からなる3層フィルムを作製し、上記の方法で3層フィルム全体の透湿度を測定し、その透湿度をdとする。そして、別途、樹脂層(A)及び樹脂層(C)の透湿度を同様に測定し、それぞれの透湿度をa及びcとする。このとき、ワックス含有組成物層(B)の透湿度をbとすると、下記の関係が成り立つ。ここで、a、b、c、dは、実際の厚みにおける透湿度であり、1mmの厚みに換算した透湿度ではない。
1/d=1/a+1/b+1/c
この式から、未知数であるワックス含有組成物層(B)の透湿度bを求めることができる。
前記の表裏2層の表面層の間に前記防湿層を設けてなる本発明の積層体は、前記防湿層の存在によって防湿性を有している。本発明の積層体で必要とされる防湿性の程度は、用途、その後の加工方法等によって異なるため、用途等に応じて、表面層と防湿層の厚みの比率を適宜決定することにより調整できるが、カップ法(JIS Z 0208 条件B)により測定した1mmの厚みに換算した透湿度が5g・mm/m2・24hr以下であることが好ましく、3g・mm/m2・24hr以下であることがより好ましい。
また、本発明の積層体は、立体形状の容器に加工したり、別に準備した容器の表面の被覆に用いる場合を考慮すると、熱成形性を有していることが好ましい。
本発明の積層体を熱成形する場合の加熱温度は、防湿層に使用したワックス含有組成物の組成、熱成形の方法(真空/圧空成形、プレス成形等)等を考慮した上で、積層体全体が適切な厚み分布で成形され且つ十分な防湿性が得られるよう選択する。積層体の厚みのムラを抑えることができる加熱温度で熱成形することが、十分な防湿性を得る上で重要である。その条件を満足する加熱温度は、当業者が一般的に行う最適条件化の手法により求めることができる。
また、本発明の積層体は、生分解性を有することが好ましく、例えば、コンポスト等では2・3ヶ月の期間で分解できる点から、その生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又はJIS K6953)が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
本発明の積層体は、好ましくは以下のようにして製造される。
本発明の積層体は、防湿層を構成するワックス含有組成物と、樹脂層を構成する脂肪族ポリエステル系樹脂主体の樹脂とを原料とし、例えばフィードブロック又はマルチマニホールドタイプのフラットダイ又はサーキュラーダイを用いた共押出成形によって成形することができる。上記ワックス含有組成物は溶融粘度が高く樹脂層の樹脂との溶融物性の差が小さいため共押出成形性に優れる。特に、生産機として最も一般的なフィードブロックタイプのフラットダイを用いた共押出成形機における成形性が、従来の防湿組成物に比べて大幅に改良されている。共押出成形における押出し温度は、樹脂層は120〜280℃が好ましく、防湿層は40〜200℃が好ましい。
得られた積層体は必要に応じて一軸又は二軸延伸を行うことができる。
本発明の積層体は、防湿層を構成するワックス含有組成物と、樹脂層を構成する脂肪族ポリエステル系樹脂主体の樹脂とを原料とし、例えばフィードブロック又はマルチマニホールドタイプのフラットダイ又はサーキュラーダイを用いた共押出成形によって成形することができる。上記ワックス含有組成物は溶融粘度が高く樹脂層の樹脂との溶融物性の差が小さいため共押出成形性に優れる。特に、生産機として最も一般的なフィードブロックタイプのフラットダイを用いた共押出成形機における成形性が、従来の防湿組成物に比べて大幅に改良されている。共押出成形における押出し温度は、樹脂層は120〜280℃が好ましく、防湿層は40〜200℃が好ましい。
得られた積層体は必要に応じて一軸又は二軸延伸を行うことができる。
また、本発明の積層体は、脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とした樹脂層用の樹脂膜に、本発明のワックス含有組成物を挟んで熱プレスする方法によっても得ることができる。
また、本発明の積層体は、脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とした樹脂層用の樹脂を製膜し、この膜の片面上に防湿層として本発明のワックス含有組成物の均一な膜を形成した後、該ワックスの膜の上にさらに樹脂層用の樹脂膜を重ね合わせて圧着又は熱圧着させる押出ラミネート法によっても作製することができる。
また、本発明の積層体は、脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とした樹脂層用の樹脂を製膜し、この膜の片面上に防湿層として本発明のワックス含有組成物の均一な膜を形成した後、該ワックスの膜の上にさらに樹脂層用の樹脂膜を重ね合わせて圧着又は熱圧着させる押出ラミネート法によっても作製することができる。
本発明の積層体の用途について以下に詳述する。
本発明の積層体は、前記ワックス含有組成物から形成された防湿層の存在によって優れた防湿性を有しており、防湿性が必要とされる食品、日用品、工業品等の包装容器本体や、別に準備された容器の本体表面の被覆に好適に用いられる。包装容器本体としては、ピロー包装、スタンディングパウチ等の軟包装体、又は真空/圧空成形等の熱成形で立体形状の成形されたカップやトレー形状等の容器等が挙げられる。また、別に準備された容器の内面又は外面を本発明の積層体で被覆して、防湿性に優れた容器を得ることもできる。
本発明の積層体は、前記ワックス含有組成物から形成された防湿層の存在によって優れた防湿性を有しており、防湿性が必要とされる食品、日用品、工業品等の包装容器本体や、別に準備された容器の本体表面の被覆に好適に用いられる。包装容器本体としては、ピロー包装、スタンディングパウチ等の軟包装体、又は真空/圧空成形等の熱成形で立体形状の成形されたカップやトレー形状等の容器等が挙げられる。また、別に準備された容器の内面又は外面を本発明の積層体で被覆して、防湿性に優れた容器を得ることもできる。
前記ワックス含有組成物において、ワックスと高分子物質等の有機成分に生分解性のものを用いることで、上記の包装容器等を生分解性にすることができる。この場合、包装容器を構成する有機成分の生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又はJIS K6953)は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。その際、フィラーが無機物からなる場合には、天然物を用いることが環境負荷等の点で好ましい。
本発明の積層体を別に準備された容器本体の表面に被覆する場合には、容器本体の素材として天然繊維、生分解性の合成繊維等の繊維、天然高分子、生分解性樹脂、及びこれらの混合物等を用いることで、容器全体を生分解性とすることができるので好ましい。天然繊維としては、木材パルプ繊維、非木材パルプ繊維、絹、羊毛等が挙げられる。生分解性の合成繊維としては、ポリ乳酸繊維、ビニロン、レーヨン等が挙げられる。生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。天然高分子としては、でん粉、たん白質等が挙げられる。
容器本体は、その形態に特に制限はなく、例えば、カップ、どんぶり、ボトル、皿、鉢、箱、筒等の各種の容器形態が挙げられる。
また、前記容器本体は、その製法に特に制限はない。容器本体の製法としては、繊維状の素材に対しては湿式抄造方法、乾式抄造法、抄造シートの組立加工等が挙げられ、非繊維状素材に対しては、射出成形法、ブロー成形法、真空・圧空成形法等が挙げられる。前記容器本体には、例えば、その素材が前記繊維である場合は、該繊維を含む原料スラリーを湿式抄造した後、脱水、乾燥して容器形態としたものや、該原料スラリーを湿式抄造した後、脱水、乾燥してシート状とし、所定形状にカットし、屈曲し、接合して容器形態としたものを用いることが好ましい。特に、素材がパルプ繊維又はパルプ繊維を主体とするものである場合には、これらの繊維を含むスラリーを湿式抄造した後、脱水、乾燥して容器形態とするパルプモールド法により成形されたものであることが好ましい。
前記容器本体の部位のうち本発明の積層体で被覆する部位は、容器の用途、形態等に応じて適宜選択することができ、例えば、容器本体の内面、容器本体の外面等が挙げられる。特にカップ等の液体の保存に用いられる容器を被覆する場合には、少なくとも容器本体の内表面が本発明の積層体で被覆されていることが好ましい。
前記容器本体の表面に本発明の積層体を被覆する際は、容器本体の表面と本発明の積層体との間に接着剤を介して接合することもできるし、容器本体の表面と本発明の積層体とを直接接合することもできる。接着剤を用いる場合、該接着剤は、生分解性を有することが好ましく、その生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又はJIS K6953)は30%以上が好ましく、50%以上であるものがより好ましく、60%以上であるものがさらに好ましい。具体的には、デンプン、ポリビニルアルコール、にかわ、ゼラチン、カゼイン、未加硫の天然ゴム、未加硫のポリイソプレン等が挙げられる。また、加熱溶融により容器本体に接着させるために、接着剤として、容器本体側の樹脂層よりも融点の低い生分解性樹脂や各種天然樹脂等を用いることもできる。
本発明の積層体は、上記の用途以外にも、紙と本発明の積層体とをラミネートしたラミネート紙等の防湿紙にも用いることができる。該防湿紙からは、カップや箱等の形態に折曲加工や成形して容器を作製することもできる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等により制限されるものではない。
〔実施例1〕
(ワックス含有組成物1の作製)
マイクロクリスタリンワックス(以下単に「ワックス」ともいう;日本精蝋(株)製、Hi−Mic−1070)、ポリイソプレン(日本ゼオン(株)製、Nipol−IR2200)及びタルク(日本タルク(株)製、マイクロエースP−3、平均粒径5μm、板状)を用い、75リットル加圧ニーダーにより、ワックス含有組成物1を作製した。
ワックス含有組成物1において、各成分の重量比率(ワックス/ポリイソプレン/タルク)は70/30/100であり、タルクの体積分率は26%であった。
(ワックス含有組成物1の作製)
マイクロクリスタリンワックス(以下単に「ワックス」ともいう;日本精蝋(株)製、Hi−Mic−1070)、ポリイソプレン(日本ゼオン(株)製、Nipol−IR2200)及びタルク(日本タルク(株)製、マイクロエースP−3、平均粒径5μm、板状)を用い、75リットル加圧ニーダーにより、ワックス含有組成物1を作製した。
ワックス含有組成物1において、各成分の重量比率(ワックス/ポリイソプレン/タルク)は70/30/100であり、タルクの体積分率は26%であった。
(積層体1の作製)
脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とした表裏2層の表面層の間に、上記ワックス含有組成物1から形成された防湿層を設けた積層体1を、フィードブロック法による共押出成形により作製した。押出し温度は、表裏2層の表面層がいずれも160℃で、防湿層が50℃であった。また、フィードブロック及びTダイの温度は、いずれも160℃とした。
尚、表裏2層の表面層は、一方の表面層が表面層1−1及び表面層1−2の2層からなり、表面層1−2が積層体の一方の表面層の最外層である。もう一方の表面層は、表面層2−1及び表面層2−2の2層からなり、表面層2−2が積層体のもう一方の表面層の最外層である。表面層1−2及び表面層2−2は、三菱化学(株)製「GSPla:AZ71T」(ポリブチレンサクシネート)で形成し、表面層1−1及び表面層2−1は、三菱化学(株)製「GSPla:GZ95T」(ポリブチレンサクシネート/タルク=70重量%/30重量%)で形成した。表面層1−1及び表面層2−1の厚みはそれぞれ130μm、表面層1−2及び表面層2−2の厚みはそれぞれ15μm、防湿層の厚みは110μm、全厚みは400μmとした。
脂肪族ポリエステル系樹脂を主体とした表裏2層の表面層の間に、上記ワックス含有組成物1から形成された防湿層を設けた積層体1を、フィードブロック法による共押出成形により作製した。押出し温度は、表裏2層の表面層がいずれも160℃で、防湿層が50℃であった。また、フィードブロック及びTダイの温度は、いずれも160℃とした。
尚、表裏2層の表面層は、一方の表面層が表面層1−1及び表面層1−2の2層からなり、表面層1−2が積層体の一方の表面層の最外層である。もう一方の表面層は、表面層2−1及び表面層2−2の2層からなり、表面層2−2が積層体のもう一方の表面層の最外層である。表面層1−2及び表面層2−2は、三菱化学(株)製「GSPla:AZ71T」(ポリブチレンサクシネート)で形成し、表面層1−1及び表面層2−1は、三菱化学(株)製「GSPla:GZ95T」(ポリブチレンサクシネート/タルク=70重量%/30重量%)で形成した。表面層1−1及び表面層2−1の厚みはそれぞれ130μm、表面層1−2及び表面層2−2の厚みはそれぞれ15μm、防湿層の厚みは110μm、全厚みは400μmとした。
〔実施例2〕
(ワックス含有組成物2の作製)
ワックス含有組成物1におけるタルクの体積分率を34%とした以外は、ワックス含有組成物1と同様にして、ワックス含有組成物2を作製した。
(ワックス含有組成物2の作製)
ワックス含有組成物1におけるタルクの体積分率を34%とした以外は、ワックス含有組成物1と同様にして、ワックス含有組成物2を作製した。
(積層体2の作製)
ワックス含有組成物1に代えてワックス含有組成物2を防湿層の形成に用い、且つ、表面層1−1及び表面層2−1の厚みはそれぞれ85μm、表面層1−2及び表面層2−2の厚みはそれぞれ10μm、防湿層の厚みは130μm、全厚みは320μmとした以外は、実施例1と同様にして、積層体2を作製した。
ワックス含有組成物1に代えてワックス含有組成物2を防湿層の形成に用い、且つ、表面層1−1及び表面層2−1の厚みはそれぞれ85μm、表面層1−2及び表面層2−2の厚みはそれぞれ10μm、防湿層の厚みは130μm、全厚みは320μmとした以外は、実施例1と同様にして、積層体2を作製した。
〔比較例1〕
ワックス含有組成物の作製においてタルクを使用しなかった以外は、実施例1におけるワックス含有組成物の作製と同様にして、ワックス含有組成物3(比較品)を作製した。ワックス含有組成物3において、各成分の重量比率(ワックス/ポリイソプレン/タルク)は70/30/0であり、タルクの体積分率は0%であった。
次いで、ワックス含有組成物1に代えてワックス含有組成物3を防湿層の形成に用いた以外は、実施例1における積層体の作製と同様にして、積層体3を作製した。
ワックス含有組成物の作製においてタルクを使用しなかった以外は、実施例1におけるワックス含有組成物の作製と同様にして、ワックス含有組成物3(比較品)を作製した。ワックス含有組成物3において、各成分の重量比率(ワックス/ポリイソプレン/タルク)は70/30/0であり、タルクの体積分率は0%であった。
次いで、ワックス含有組成物1に代えてワックス含有組成物3を防湿層の形成に用いた以外は、実施例1における積層体の作製と同様にして、積層体3を作製した。
尚、上記実施例及び比較例で用いたポリブチレンサクシネート等のメルトフローレートは、以下の通りであった。
AZ71T:190℃、2.16kgf荷重下にて20g/10分
GZ95T:190℃、2.16kgf荷重下にて2.5g/10分
ワックス含有組成物1:190℃、2.16kgf荷重下にて48.9g/10分
125℃、1.20kgf荷重下にて0.3g/10分
ワックス含有組成物2:190℃、2.16kgf荷重下にて21.2g/10分
(125℃、1.20kgf荷重下では粘度が高すぎ測定不可)
ワックス含有組成物3:125℃、1.20kgf荷重下にて24.0g/10分
(190℃、2.16kgf荷重下では粘度が低すぎ測定不可)
また、上記実施例及び比較例で用いたワックス含有組成物の透湿度は、以下の通りであった。
ワックス含有組成物1:1.32g・mm/m2・24hr
ワックス含有組成物2:1.72g・mm/m2・24hr
ワックス含有組成物3:0.74g・mm/m2・24hr
AZ71T:190℃、2.16kgf荷重下にて20g/10分
GZ95T:190℃、2.16kgf荷重下にて2.5g/10分
ワックス含有組成物1:190℃、2.16kgf荷重下にて48.9g/10分
125℃、1.20kgf荷重下にて0.3g/10分
ワックス含有組成物2:190℃、2.16kgf荷重下にて21.2g/10分
(125℃、1.20kgf荷重下では粘度が高すぎ測定不可)
ワックス含有組成物3:125℃、1.20kgf荷重下にて24.0g/10分
(190℃、2.16kgf荷重下では粘度が低すぎ測定不可)
また、上記実施例及び比較例で用いたワックス含有組成物の透湿度は、以下の通りであった。
ワックス含有組成物1:1.32g・mm/m2・24hr
ワックス含有組成物2:1.72g・mm/m2・24hr
ワックス含有組成物3:0.74g・mm/m2・24hr
〔評価例1〕
得られた積層体について、目視にて外観の観察を行い、下記外観評価基準に基づいて評価した。また、得られた積層体について、以下の透湿度測定方法及び剥離力測定方法に従って、透湿度及び剥離力をそれぞれ測定した。これらの結果を表1に示す。
得られた積層体について、目視にて外観の観察を行い、下記外観評価基準に基づいて評価した。また、得られた積層体について、以下の透湿度測定方法及び剥離力測定方法に従って、透湿度及び剥離力をそれぞれ測定した。これらの結果を表1に示す。
(外観評価基準)
○:破れ、スジの発生なし。
×:破れ、スジの発生あり。
○:破れ、スジの発生なし。
×:破れ、スジの発生あり。
(透湿度測定方法)
得られた積層体について、カップ法(JIS Z 0208 条件B)によって透湿度を測定した。
得られた積層体について、カップ法(JIS Z 0208 条件B)によって透湿度を測定した。
(剥離力測定方法)
積層体を幅20mm、長さ50mmに切出して試験片を作製し、該試験片の端部の一方の樹脂層を剥がした状態で、引張り試験機((株)オリエンテック製RTA−500)にて引張り速度50mm/分でT字剥離試験を行い、剥離距離50mmにおける剥離力の積分平均値を求めた。
積層体を幅20mm、長さ50mmに切出して試験片を作製し、該試験片の端部の一方の樹脂層を剥がした状態で、引張り試験機((株)オリエンテック製RTA−500)にて引張り速度50mm/分でT字剥離試験を行い、剥離距離50mmにおける剥離力の積分平均値を求めた。
表1から明らかなように、実施例1及び2においては、用いたワックス含有組成物1及び2のMFRが低く、高い溶融粘度を有するため、フィードブロック法による押出し成形が可能であり、外観の良好な積層体が得られた。また、実施例1及び2で得られた積層体は、透湿度が低く防湿性に優れ、しかも、表面層と防湿層との接着性が良好で、剥離に大きな強度を要した。
これに対し、比較例1においては、用いたワックス含有組成物3の溶融粘度が低いため押出し成形に適しておらず、積層体成形時に破れが発生し、破れのない部分でも表面層に木目状のスジが見られた。
これに対し、比較例1においては、用いたワックス含有組成物3の溶融粘度が低いため押出し成形に適しておらず、積層体成形時に破れが発生し、破れのない部分でも表面層に木目状のスジが見られた。
さらに、実施例1及び2それぞれで得られた積層体は、紙製カップに真空成形法でラミネートしたところ、均一に延伸された防湿層を形成することができ、防湿性能の低下はみられなかった。
〔実施例3〕
(ワックス含有組成物4の作製)
3リットル加圧ニーダーを使用した以外は、実施例1のワックス含有組成物1と同様にして、ワックス含有組成物4を作製した。
(ワックス含有組成物4の作製)
3リットル加圧ニーダーを使用した以外は、実施例1のワックス含有組成物1と同様にして、ワックス含有組成物4を作製した。
(積層体4の作製)
80℃に温調した所定の間隔の2つのロール間で、表裏2層の表面層としてのフィルム間にワックス含有組成物4を防湿層として設けて、積層体4を作製した。表裏2層の表面層のフィルムには、それぞれ上記GZ95Tの厚み100μmのフィルムを使用した。上記ロール間隔は、防湿層の厚みが200μmとなる様に調整した。
80℃に温調した所定の間隔の2つのロール間で、表裏2層の表面層としてのフィルム間にワックス含有組成物4を防湿層として設けて、積層体4を作製した。表裏2層の表面層のフィルムには、それぞれ上記GZ95Tの厚み100μmのフィルムを使用した。上記ロール間隔は、防湿層の厚みが200μmとなる様に調整した。
〔比較例2〕
(ワックス組成物5の作製)
75リットル加圧ニーダーに代えて3リットル加圧ニーダーを使用した以外は、ワックス含有組成物3と同様にワックス含有組成物5を作製した。
(積層体5の作製)
ワックス含有組成物4に代えてワックス含有組成物5を防湿層に用いた以外は、実施例3と同様にして、積層体を作製した。
(ワックス組成物5の作製)
75リットル加圧ニーダーに代えて3リットル加圧ニーダーを使用した以外は、ワックス含有組成物3と同様にワックス含有組成物5を作製した。
(積層体5の作製)
ワックス含有組成物4に代えてワックス含有組成物5を防湿層に用いた以外は、実施例3と同様にして、積層体を作製した。
〔評価例2〕
実施例3で作製した積層体4及び比較例2で作製した積層体5に関して、上記剥離力測定方法により剥離力を測定した。それらの結果を表2に示す。
実施例3で作製した積層体4及び比較例2で作製した積層体5に関して、上記剥離力測定方法により剥離力を測定した。それらの結果を表2に示す。
表2から明らかなように、タルクを配合したワックス含有組成物5で防湿層を形成した積層体では、タルクを配合しないものと比較して、表面層との接着力が向上している。
Claims (9)
- 脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする表裏2層の表面層、及び該表面層の間に配置された中間層からなる積層構成を少なくとも有する積層体であって、
上記中間層が、ワックス、高分子物質及びフィラーを含有し、かつ該フィラーの体積分率が15%以上、70%未満であるワックス含有組成物からなることを特徴とする積層体。 - 上記ワックス及び上記高分子物質が、生分解性を有する請求項1記載の積層体。
- 上記高分子物質が、合成ポリイソプレン又は天然ゴムである請求項1又は2のいずれかに記載の積層体。
- 上記フィラーのレーザー回折・散乱法による平均粒径が、100μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 上記フィラーが、天然物若しくはバイオマス由来であるか又は生分解性を有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 190℃、2.16kgf荷重下での上記ワックス含有組成物のメルトフローレートが、500g/10分以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- 厚み1mmのフィルムとした場合の上記ワックス含有組成物の透湿度が、3g・mm/m2・24hr以下である請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 190℃、2.16kgf荷重下での上記脂肪族ポリエステル系樹脂のメルトフローレートが、0.1〜100g/10分である請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
- 上記表面層が、フィラーを含有する請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
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